JP6077367B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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本発明は、自動車エンジンなどの内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒に関する。
自動車エンジンなどの内燃機関から排出される排ガス中に含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)を浄化する種々の排ガス浄化用触媒が開発されている。この排ガス浄化用触媒として、例えば特許文献1〜6に開示されているように、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、及びロジウム(Rh)などの貴金属を、セリウム複合酸化物、ジルコニウム複合酸化物、またはペロブスカイト複合酸化物に、担持または固溶しているものが知られている。
また、上記したような貴金属を含む排ガス浄化用触媒に、アルカリ土類金属を混合し、貴金属(特にパラジウム)のHC被毒による触媒性能の低下を抑制する技術が知られている。
さらに、貴金属のシンタリング及び凝集による触媒活性の低下を抑制することを主目的として開発された、酸素貯蔵能(OSC能とも呼ぶ)を有さない酸化物粒子に貴金属を担持した排ガス浄化用触媒、あるいは、使用雰囲気の変動を抑制することを主目的として開発された、酸素貯蔵能(OSC能とも呼ぶ)を有する酸化物粒子に貴金属を担持した排ガス浄化用触媒が知られている。
特開平01−242149 特公平6−75675 特開平10−202101 特開2004−41866 特開2004−41867 特開2004−41868
一般的にアルカリ土類金属を添加した排ガス浄化用触媒では、粒子表面に貴金属を担持した酸化物とアルカリ土類金属を単に混合しているのみである。そのため、貴金属とアルカリ土類金属の接触性が悪く、HC被毒抑制効果が不十分となり得る。
また、浄化反応を維持する目的、及び、使用雰囲気の変動を抑制する目的の両方を達成するために、上述したOSC能を有さない酸化物粒子に貴金属を担持した触媒とOSC能を有する酸化物粒子に貴金属を担持した触媒とを混合することが考えられる。しかしこの場合、使用する貴金属の量が増加して、得られる触媒のコストが上昇してしまう。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされてものであり、触媒のHC被毒を抑制し、かつ、使用する貴金属の増加を抑えつつ、触媒性能を向上させた排ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
本発明の排ガス浄化用触媒は、酸素貯蔵能を有する第1酸化物粒子と、前記第1酸化物粒子よりも酸素貯蔵能が低く、かつ、前記第1酸化物粒子の表面に担持されている第2酸化物粒子と、前記第2酸化物粒子に担持されている貴金属と、前記第2酸化物粒子に担持されており、かつ、前記貴金属と接触しているアルカリ土類金属と、を含むことを特徴とする。
本発明の排ガス浄化用触媒は、第1酸化物粒子よりも酸素貯蔵能が低い第2酸化物粒子上に貴金属を担持している。さらに、酸素貯蔵能を有する第1酸化物粒子上に貴金属を担持した第2酸化物粒子を担持している。これにより、排ガス浄化用触媒に貴金属を分散した状態で配置することができ、貴金属を触媒活性の高いメタル状態で維持し易くなる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒には、酸素貯蔵能を有する第1酸化物粒子が含まれているため、使用雰囲気の変動を抑制することができ、触媒活性の低下を抑えて反応性を維持することができる。
また、本発明の排ガス浄化用触媒では、酸素貯蔵能を有する第1酸化物粒子上に貴金属を担持した第2酸化物粒子を担持した構造としているため、使用する貴金属の量を抑えつつ、貴金属の触媒機能を効率的に利用することができる。
さらに、本発明の排ガス浄化用触媒においては、第2酸化物粒子上にアルカリ土類金属が担持されており、該アルカリ土類金属が貴金属と接触しているため、貴金属のHC被毒抑制が効率よく行われ、触媒の排ガス浄化性能を維持することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記アルカリ土類金属と前記貴金属との相関係数は、0.60以上であることが好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記アルカリ土類金属の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記アルカリ土類金属は、バリウム(Ba)、ストロンチウム(St)、カルシウム(Ca)からなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記第1酸化物粒子は、セリウム及びジルコニアを含んでいる複合酸化物とすることができる。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記第2酸化物粒子は、ジルコニアを含んでいる複合酸化物とすることができる。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記第2酸化物粒子の径は、前記第1酸化物粒子の径よりも小さくすることができる。
本発明の排ガス浄化用触媒において、前記貴金属は、ロジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1つとすることができる。
本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化用触媒を示す模式図である。 実施例の結果を示すものであり、排ガス浄化用触媒中のBa担持量に対するNOxの50%浄化温度の測定結果をプロットしたグラフである。 実施例の結果を示すものであり、排ガス浄化用触媒におけるアルカリ土類金属と貴金属との相関係数に対して、NOxの50%浄化温度の測定結果をプロットしたグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「複合酸化物」とは、複数の酸化物が単に物理的に混合されたものではなく、複数の酸化物が固溶体を形成しているものを意味することとする。
図1に示すように、本発明の一実施形態にかかる排ガス浄化用触媒10は、第1酸化物粒子11と、第2酸化物粒子12と、貴金属粒子(貴金属)13と、アルカリ土類金属粒子(アルカリ土類金属)14とを含んでいる。第2酸化物粒子は、第1酸化物粒子11の表面に担持されており、第1酸化物粒子11の表面の一部又は全部を被覆している。貴金属粒子13は、第2酸化物粒子12上に担持されている。アルカリ土類金属粒子14は、貴金属粒子13と接触した状態で、第2酸化物粒子12上に担持されている。
(第1酸化物粒子について)
第1酸化物粒子11は、酸素貯蔵能(OSC能)を有している。すなわち、第1酸化物粒子11は、排ガス中の酸素を吸蔵及び放出することにより、排ガスの空燃比の変動を緩和する役割を担っている。この第1酸化物粒子11としては、例えば、セリウム(Ce)を含む酸化物を用いることができ、好ましくは、セリウム酸化物とジルコニウム(Zr)酸化物との複合酸化物(すなわち、CeZr系複合酸化物)を使用することができる。
第1酸化物粒子1は、セリウム酸化物に加えて、セリウム以外の希土類元素をさらに含む複合酸化物であってもよい。この希土類元素としては、例えば、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)などを挙げることができる。また、これらの希土類元素の酸化物を2種類以上組合せて用いることもできる。
第1酸化物粒子11のSEM観察により得られる平均粒子径D50は、例えば、1〜95μmの範囲内とし、好ましくは10〜30μmの範囲内とする。この粒子径を過度に小さくすると、第2酸化物粒子12の凝集が比較的生じ易くなり、排ガス浄化用触媒10の耐久性能が低下する可能性がある。この粒子径を過度に大きくすると、第1酸化物粒子11上に第2酸化物粒子12を均一に分散させることが比較的困難となり、排ガス浄化用触媒10の耐久性能が低下する可能性がある。
なお、「SEM観察により得られる平均粒子径D50」は、例えば、以下のようにして求めることができる。まず、SEMの試料台上に、試料(例えば、第1酸化物粒子11)を載せる。そして、例えば、2500倍〜50000倍の倍率で試料を観察し、SEM画像を得る。このSEM画像において、試料の各粒子のうち、他の粒子との重なり合いによってその一部が観察不可能となっていないものが占める面積Ak(k=1,2,…,n;nは、当該SEM画像に含まれる試料の粒子のうち、他の粒子との重なり合いによってその一部が観察不可能となっていないものの数とする)を測定する。測定された各面積Akの各々に対応した円等価径dkを求める。即ち、次式(1)を満足する粒子径dkを求める。
その後、これら粒子径dkを、粒子数nに亘って算術計算して、SEM画像に対応した粒子径を求める。
以上のSEM観察を、任意の100箇所について行い、各SEM画像に対応した粒子径の平均値を得る。得られた平均値が、粒度D50となる。但し、この際、第1酸化物粒子11の粒子径の標準偏差は20μm以下とする。
(第2酸化物粒子について)
第1酸化物粒子11の表面を被覆している第2酸化物粒子12の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。この第2酸化物粒子12の数は、第1酸化物粒子11のOSC能を有効に利用することができるという理由で、多い方が好ましい。
第2酸化物粒子12は、以下のような理由から、第1酸化物粒子11の表面の一部のみを被覆していることが好ましい。例えば、1つの第1酸化物粒子11上に複数の第2酸化物粒子12が担持されている場合、これら複数の第2酸化物粒子12のうち少なくとも2つは、互いに接触していないことが望ましい。これにより、排ガス浄化用触媒10を長期間にわたって使用しても、第1酸化物粒子11上における第2酸化物粒子12のシンタリング又は凝集が比較的生じ難い状態とすることができる。その結果として、各第2酸化物粒子12上に担持されている貴金属粒子13同士が接触することを抑制することができる。したがって、貴金属粒子13のシンタリング又は凝集に起因した触媒活性の低下を抑制することができる。
第2酸化物粒子12による第1酸化物粒子11の表面の被覆率は、40〜95%の範囲内とすることが好ましく、50〜90%の範囲内とすることがさらに好ましい。被覆率が過度に小さいと、第1酸化物粒子11のOSC能を有効に利用できない可能性があり、排ガス浄化用触媒10の性能が低下する可能性がある。一方、被覆率が過度に大きいと、例えば、排ガス浄化用触媒10の使用条件が厳しくなった場合に、第2酸化物粒子12の凝集が比較的生じ易くなる可能性があり、排ガス浄化用触媒10の性能が低下する可能性がある。
なお、第2酸化物粒子12による第1酸化物粒子11の表面の被覆率(「第1酸化物粒子の被覆率」)は、例えば、以下のようにして求めることができる。
まず、排ガス浄化用触媒10に対して、SEMを用いた表面観察を行う。具体的には、排ガス浄化用触媒10に含まれる第1酸化物粒子11の表面を、SEMにより2500〜50000倍の倍率で観察する。
次に、得られた観察図において、第1酸化物粒子11が占めている領域(第2酸化物粒子12が被覆している部分も含む)の面積S1を求める。同様に、得られた観察図において、第1酸化物粒子11の表面を被覆している第2酸化物粒子12が占めている領域の面積S2、及び、第1酸化物粒子11の表面を被覆しているアルカリ土類金属粒子14が占めている領域の面積S3を求める。得られた各面積に基づいて、次式(2)により被覆率を算出する。
上記のSEM観察及び被覆率算出を任意の100箇所について行い、各被覆率の平均値を第1酸化物粒子11の被覆率(Cov.)とする。
第2酸化物粒子12は、第1酸化物粒子11と比較してOSC能がより低い。例えば、第1酸化物粒子11がセリウム(Ce)を含んでいる場合、第2酸化物粒子12のセリウム含有量は、第1酸化物粒子11よりも少ない。第2酸化物粒子12は、OSC能を有していなくてもよい。例えば、第2酸化物粒子12は、セリウムを含んでいなくてもよい。
第2酸化物粒子12としては、例えば、セリウムを含まずジルコニウムを含んでいるジルコニウム酸化物を使用することができる。より具体的には、第2酸化物粒子12として、ジルコニウムとセリウム以外の希土類元素との複合酸化物(すなわち、Zr系複合酸化物)を使用することができる。この希土類元素としては、イットリウム(Y)、ネオジム(Nd)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)などを挙げることができる。また、これらの希土類元素の酸化物を2種類以上組合せて用いることもできる。なお、ジルコニウムとセリウム以外の希土類元素との複合酸化物は、排ガス浄化用触媒10の性能に悪影響を与えない範囲内で、セリウムをさらに含んでいてもよい。
第2酸化物粒子12の平均粒子径D50は、第1酸化物粒子11の平均粒子径D50と比較して小さい。それゆえ、第1酸化物粒子11と第2酸化物粒子12上に担持された貴金属粒子13との間の距離は、比較的に短い。したがって、貴金属粒子13は、第1酸化物粒子11のOSC能がもたらす効果を効率的に享受することができる。すなわち、貴金属粒子13は、最適な又はそれに近い空燃比において、排ガス浄化反応を触媒することができる。
第2酸化物粒子12のSEM観察により得られる平均粒子径D50は、例えば、0.05〜0.5μmの範囲内とし、好ましくは0.1〜0.3μmの範囲内とする。この粒子径を過度に小さくすると、第2酸化物粒子12同士の凝集が比較的生じ易くなり、排ガス浄化用触媒10の耐久性能が低下する可能性がある。この粒子径を過度に大きくすると、第1酸化物粒子11と第2酸化物粒子12上に担持された貴金属粒子13との間の距離が比較的長くなる。これにより、第1酸化物粒子11のOSC能がもたらす効果を貴金属粒子13が効率的に享受することが比較的困難となり、排ガス浄化用触媒10の排ガス浄化性能が低下する可能性がある。第2酸化物粒子12の平均粒子径D50についても、第1酸化物粒子11の平均粒子径D50と同様の方法で求めることができる。但し、第2酸化物粒子12の平均粒子径D50を求める際には、粒子径の標準偏差は、0.2μm以下とする。
なお、通常、第2酸化物粒子12の平均粒子径は、貴金属粒子13の平均粒子径と比較してより大きい。但し、本発明では必ずしもこれに限定はされない。
第2酸化物粒子12の第1酸化物粒子11に対するモル比(第2酸化物粒子12/第1酸化物粒子11=S/L)は、例えば、1/30〜20/1の範囲内とし、好ましくは1/1〜10/1とする。この比率を過度に小さくすると、排ガス浄化用触媒10に導入可能な単位質量当たりの貴金属量が少なくなり、その初期性能が低下する可能性がある。この比率を過度に大きくすると、第2酸化物粒子12の凝集が比較的生じ易くなり、排ガス浄化用触媒10の耐久性能が低下する可能性がある。
(貴金属粒子について)
貴金属粒子13は、HC及びCOの酸化反応並びにNOxの還元反応を触媒する役割を担っている。この貴金属粒子13としては、例えば、白金族元素を使用することができる。より具体的には、貴金属粒子13として、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、又は、これらの2つ以上の組合せを使用することができる。
貴金属粒子13は、第2酸化物粒子12の少なくとも1つに担持されている。各第2酸化物粒子12には、1つの貴金属粒子13が担持されていてもよいし、2つ以上の貴金属粒子13が担持されていてもよい。
貴金属粒子13は、第2酸化物粒子12の表面のうち、第1酸化物粒子11との接触面を除く全体を被覆していてもよいし、その一部のみを被覆していてもよい。第2酸化物粒子12に担持されている各貴金属粒子13は、第2酸化物粒子12以外の外界と接触する面を多くするために、第2酸化物粒子12上に、互いから離間して、ほぼ均一に分布していることが好ましい。
第2酸化物粒子12の酸素以外の構成元素は、第1酸化物粒子11の酸素以外の構成元素と比較して、雰囲気の組成の変動に伴った酸化数の変化を生じ難い。それゆえ、貴金属粒子13を第2酸化物粒子12上に優先的に担持させた場合、貴金属粒子13を第1酸化物粒子11上に優先的に担持させた場合と比較して、貴金属の酸化が生じ難い。すなわち、貴金属粒子13を第2酸化物粒子12上に優先的に担持させた場合、貴金属粒子13を第1酸化物粒子11上に優先的に担持させた場合と比較して、貴金属は触媒活性の高い0価のメタル状態を維持し易い。したがって、第2酸化物粒子12に担持された貴金属粒子13は、比較的長期間にわたって高い触媒活性を維持できる。
本実施の形態の排ガス浄化用触媒10では、ほとんどの貴金属粒子13は、第2酸化物粒子12上に担持されている。そのため、貴金属粒子13は、酸化による触媒活性の低下を生じ難い。
但し、本発明の排ガス浄化用触媒においては、第2酸化物粒子上に担持されている貴金属粒子だけではなく、第1酸化物粒子上に担持されている貴金属粒子が含まれていてもよい。第1酸化物粒子上に担持されている貴金属粒子としては、上記した第2酸化物粒子上に担持されている貴金属粒子と同様のものを使用することができる。
排ガス浄化用触媒10が含んでいる貴金属のうち、第2酸化物粒子12に担持されている貴金属の比率は、50質量%(wt%)以上とすることが好ましく、70wt%以上とすることがより好ましく、99wt%以上とすることがさらに好ましい。
第2酸化物粒子12に担持させる貴金属の量は、排ガス浄化用触媒10の質量を基準として、例えば、0.1〜10wt%の範囲内とし、好ましくは0.3〜5wt%の範囲内とする。この貴金属の量を過度に小さくすると、排ガス浄化用触媒10に導入可能な単位質量当たりの貴金属量が少なくなり、その初期性能が低下する可能性がある。この貴金属の量を過度に大きくすると、貴金属粒子13の分散性が悪化して、貴金属粒子13の凝集が生じ易くなる可能性があり、貴金属量に見合った浄化性能が得られない可能性がある。なお、排ガス浄化用触媒10が基材を含んでいる場合、上記の「排ガス浄化用触媒10の質量」は、排ガス浄化用触媒10のうち基材を除いた部分の質量を意味することとする。
(アルカリ土類金属粒子について)
アルカリ土類金属粒子14は、触媒として機能する貴金属のHC被毒を抑制し、触媒の排ガス浄化性能を維持するという役割を担っている。より具体的には、アルカリ土類金属粒子14として、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、又は、これらの2つ以上の組合せを使用することができる。
アルカリ土類金属粒子14は、貴金属粒子13と接触しつつ、第2酸化物粒子12の少なくとも1つに担持されている。各第2酸化物粒子12に担持されているアルカリ土類金属粒子14の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
第2酸化物粒子12に担持させるアルカリ土類金属の量は、排ガス浄化用触媒10の質量を基準として、例えば、0.1〜20wt%の範囲内とすることが好ましく、1〜20wt%の範囲内とすることがより好ましく、1〜10wt%の範囲内とすることがさらに好ましい。このアルカリ土類金属の量を過度に小さくすると、貴金属のHC被毒を抑制する効果が低減し、触媒の排ガス浄化性能が低下する可能性がある。このアルカリ土類金属の量を過度に大きくすると、貴金属粒子がアルカリ土類金属によってカバーリングされ、貴金属粒子の外界との接触面積が低下し、触媒の排ガス浄化性能が低下する可能性がある。なお、排ガス浄化用触媒10が、基材を含んでいる場合、上記の「排ガス浄化用触媒10の質量」は、排ガス浄化用触媒10のうち基材を除いた部分の質量を意味することとする。
ここで、「貴金属粒子13とアルカリ土類金属粒子14とが接触している」とは、それぞれの粒子の表面同士が少なくとも一部においてあるいは部分的に接していることを意味する。より具体的には、貴金属粒子13とアルカリ土類金属粒子14との接触度合いは、「アルカリ土類金属と貴金属との相関係数」(以下、単に相関係数ともいう)に基づいて評価することができる。この相関係数の値は、+1に近いほど各粒子同士の接触の度合いが高いこと意味する。排ガス浄化用触媒10においては、上記の相関係数は、0.60以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましい。
なお、貴金属粒子13とアルカリ土類金属粒子14との接触度合いの評価指標となる「アルカリ土類金属と貴金属との相関係数」は、例えば、以下のようにして求めることができる。
まず、排ガス浄化用触媒10の第2酸化物粒子12に含まれる元素(Zr、Y、Nd、La、Prなど)、アルカリ土類金属元素(Ba、Sr、Caなど)、及び、貴金属元素(Pd、Pt、Rhなど)の特性X線強度を走査型電子顕微鏡(FE−SEM−EDX)により測定する。この測定では、200,000倍の倍率で観察する。また、1回の測定で測定対象とする領域の寸法を500nmとし、500nmの長さを20nm毎に25点分析する。
続いて、得られた測定値を以下の各式に当てはめ、「CZ,B/P」、「σZ」、及び、「σB/P」の各数値を算出した後、以下の式(3)に基づいて、相関係数(ρZ,B/P)を算出する。ここで、第2酸化物粒子12に含まれる元素の測定値を「Z」、アルカリ土類金属元素の測定値を「B」、貴金属元素の測定値を「P」とする。また、各測定値Zの平均値を「Zav」、各測定値Bの平均値を「Bav」、各測定値Pの平均値を「Pav」とする。
CZ,B/P=1/nΣ[(Z−Zav)(B/P−Bav/Pav)n=1
(Z−Zav)(B/P−Bav/Pav)n=2+… ]
相関係数(ρZ,B/P)=(CZ,B/P)/(σZ・σB/P) (3)
上記の式(3)で得られる相関係数の値が+1に近いほど、アルカリ土類金属と貴金属との接触度合いが高いことを意味する。
(排ガス浄化用触媒の製造方法)
続いて、排ガス浄化用触媒10の製造方法の一例について説明する。
先ず、水等の液体中に第2酸化物粒子12を分散させ、その液体に貴金属粒子13の塩を含む水溶液を投入することで、第2酸化物粒子12の表面に貴金属粒子13を吸着担持させる。その後、得られた固体を濾別し、貴金属粒子13が担持された第2酸化物粒子の粉末を得る。
続いて、得られた粉末を水等の液体中に分散させ、その液体に第1酸化物粒子11及びクエン酸等の有機酸を投入する。その後、加熱処理などによって水分を除去した後、焼成処理を行い、第1酸化物粒子11上に、貴金属粒子13を担持している第2酸化物粒子が担持された組成物の粉末を得る。
次に、得られた粉末を水等の液体中に分散させ、その液体にアルカリ土類金属塩(例えば、バリウムジイソプロポキシド)の溶液とヘキサナトリウムベンゼンヘキサチオラート(以下、BHTともいう)を添加し、共沈物を得る。得られた共沈物を濾過し、水分を除去した後、焼成することで、排ガス浄化用触媒10を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は上述したような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々な態様で実施し得る。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
以下の実施例1〜24に記載の方法にしたがって、本発明にかかる排ガス浄化用触媒を製造した。また、本発明の排ガス浄化用触媒と比較するために、以下の比較例1〜4に記載の方法にしたがって排ガス浄化用触媒を製造した。
〔実施例1〕
粒度D50が0.2μmのジルコニウム−イットリウム酸化物(以下ZYという、Zr/Yモル比率=9/1)122.2g(1.00mol)を1000mlのイオン交換水中で分散させ、Pd硝酸塩水溶液を投入し酸化物表面に吸着担持させ、吸引濾過で水溶液を除去した。濾液をICP発光分光で分析したところ、Pd担持効率は100%であった。
上記担持粉末を1000mlのイオン交換水中で分散させ、粒度D50が20μmのセリウム−ジルコニウム酸化物(以下CZという、Ce/Zrモル比率=6/4)152.6g(1.00mol)、クエン酸15.3gを投入し、加熱して水分除去した後、大気中500℃で1時間焼成し、Pd担持ZYをCZ上に分散させた。Pd担持量は最終製品に対し、1wt%とした。
得られた粉末をイオン交換水中で分散させ、バリウムジイソプロポキシドをn−プロピルアルコールに溶かした溶液(Baとして5wt%)とBHT(Pdに対しモル比で2倍量)を添加し、共沈物を得た。得られた共沈物を濾過し、純水で洗浄した後、110℃で乾燥後、大気中600℃で3時間焼成した。Ba担持量は最終製品に対し10wt%とした。
得られた粉末を圧粉成型、粉砕して粒度を0.5〜1.0mmのペレット状に整粒した触媒A10gを得た。
〔比較例1〕
粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)をイオン交換水中で分散させ、バリウムジイソプロポキシドをn−プロピルアルコールに溶かした溶液(Baとして5wt%)を添加し、共沈物を得た。得られた共沈物を濾過し、純水で洗浄した後、110℃で乾燥後、大気中600℃で3時間焼成した。Ba担持量は最終製品に対し10wt%とした。
粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)を1000mlのイオン交換水中で分散させ、Pd硝酸塩水溶液を投入し酸化物表面に吸着担持させ、吸引濾過で水溶液を除去した。濾液をICP発光分光で分析したところ、Pd担持効率は100%であった。Pd担持量は最終製品に対し、1wt%とした。
得られたPd担持ZYを1000mlのイオン交換水中で分散させ、上記Ba担持CZ、クエン酸15.3gを投入し、加熱して水分除去した後、大気中500℃で1時間焼成し、Pd担持ZYをBa担持CZ上に分散させた。
得られた粉末を圧粉成型、粉砕して粒度を0.5〜1.0mmのペレット状に整粒した触媒B10gを得た。
〔比較例2〕
粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)を1000mlのイオン交換水中で分散させ、Pd硝酸塩水溶液を投入し酸化物表面に吸着担持させ、吸引濾過で水溶液を除去した。濾液をICP発光分光で分析したところ、Pd担持効率は100%であった。
上記担持粉末を1000mlのイオン交換水中で分散させ、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)を投入し、加熱して水分除去した後、大気中500℃で1時間焼成し、ZYをPd担持CZ上に分散させた。Pd担持量は最終製品に対し、1wt%とした。
得られた粉末をイオン交換水中で分散させ、バリウムジイソプロポキシドをn−プロピルアルコールに溶かした溶液(Baとして5wt%)を添加し、共沈物を得た。得られた共沈物を濾過し、純水で洗浄した後、110℃で乾燥後、大気中600℃で3時間焼成した。Ba担持量は最終製品に対し10wt%とした。
得られた粉末を圧粉成型、粉砕して粒度を0.5〜1.0mmのペレット状に整粒した触媒C1.0gを得た。
〔実施例2〕
実施例1に対して、Pd硝酸塩水溶液の代わりにジニトロジアンミンPt硝酸溶液を用いたこと以外は同様の手順で触媒D10gを得た。Pt担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例3〕
実施例1に対して、Pd硝酸塩水溶液の代わりにRh硝酸塩水溶液を用いたこと以外は同様の手順で触媒E10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例4〕
実施例1に対して、粒度D50が0.05μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が0.05μmのジルコニウム−ランタン酸化物(以下ZLという、Zr/Laモル比率=9/2)128.0g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒F10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例5〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が0.2μmのジルコニウム−ネオジム酸化物(以下ZNという、Zr/Ndモル比率=9/1)128.5g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒G10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例6〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が0.2μmのジルコニウム−プラセオジム酸化物(以下ZPという、Zr/Prモル比率=9/1)127.9g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒H10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例7〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が0.05μmのZY122.2g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒I10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例8〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が0.1μmのZY122.2g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒J10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例9〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が0.5μmのZY122.2g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒K10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例10〕
実施例1に対して、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が20μmのセリウム−ジルコニウム−ランタン酸化物(以下CZLという、Ce/Zr/Laモル比率=6/3/1)157.3g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒L10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例11〕
実施例1に対して、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が20μmのセリウム−ジルコニウム−ランタン−イットリウム酸化物(以下CZLYという、Ce/Zr/La/Yモル比率=6/2/1/1)156.3g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒M10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例12〕
実施例1に対して、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が1μmのCZ152.6g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒N10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例13〕
実施例1に対して、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が50μmのCZ152.6g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒O10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例14〕
実施例1に対して、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が75μmのCZ152.6g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒P10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例15〕
実施例1に対して、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに、粒度D50が95μmのCZ152.6g(1.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒Q10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例16〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに粒度D50が0.2μmのZY12.22g(0.10mol)を用いたこと、及び、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに粒度D50が20μmのCZ547.7g(3.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒R10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例17〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに粒度D50が0.2μmのZY24.44g(0.20mol)を用いたこと、及び、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに粒度D50が20μmのCZ305.1g(2.00mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒S10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例18〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに粒度D50が0.2μmのZY244.4g(2.00mol)を用いたこと、及び、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに粒度D50が20μmのCZ30.51g(0.20mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒T10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例19〕
実施例1に対して、粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)の代わりに粒度D50が0.2μmのZY244.4g(2.00mol)を用いたこと、及び、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)の代わりに粒度D50が20μmのCZ15.26g(0.10mol)を用いたこと以外は同様の手順で、触媒U10gを得た。Pd担持量は1wt%、Ba担持量は10wt%とした。
〔実施例20〕
粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)を1000mlのイオン交換水中で分散させ、Pd硝酸塩水溶液を投入し酸化物表面に吸着担持させ、吸引濾過で水溶液を除去した。濾液をICP発光分光で分析したところ、Pd担持効率は100%であった。
上記担持粉末を1000mlのイオン交換水中で分散させ、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)、クエン酸15.3gを投入し、加熱して水分除去した後、大気中500℃で1時間焼成し、Pd担持ZYをCZ上に分散させた。Pd担持量は最終製品に対し、1wt%とした。
得られた粉末をイオン交換水中で分散させ、ストロンチウムジイソプロポキシドをn−プロピルアルコールに溶かした溶液(Srとして5wt%)を添加し、共沈物を得た。得られた共沈物を濾過し、純水で洗浄した後、110℃で乾燥後、大気中600℃で3時間焼成した。Sr担持量は最終製品に対し10wt%とした。
得られた粉末を圧粉成型、粉砕して粒度を0.5〜1.0mmのペレット状に整粒した触媒V10gを得た。
〔実施例21〕
粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)を1000mlのイオン交換水中で分散させ、Pd硝酸塩水溶液を投入し酸化物表面に吸着担持させ、吸引濾過で水溶液を除去した。濾液をICP発光分光で分析したところ、Pd担持効率は100%であった。
上記担持粉末を1000mlのイオン交換水中で分散させ、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)、クエン酸15.3gを投入し、加熱して水分除去した後、大気中500℃で1時間焼成し、Pd担持ZYをCZ上に分散させた。Pd担持量は最終製品に対し、1wt%とした。
得られた粉末をイオン交換水中で分散させ、カルシウムジイソプロポキシドをn−プロピルアルコールに溶かした溶液(Caとして5wt%)を添加し、共沈物を得た。得られた共沈物を濾過し、純水で洗浄した後、110℃で乾燥後、大気中600℃で3時間焼成した。Ca担持量は最終製品に対し10wt%とした。
得られた粉末を圧粉成型、粉砕して粒度を0.5〜1.0mmのペレット状に整粒した触媒W10gを得た。
〔比較例3〕
粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)を1000mlのイオン交換水中で分散させ、Pd硝酸塩水溶液を投入し酸化物表面に吸着担持させ、吸引濾過で水溶液を除去した。濾液をICP発光分光で分析したところ、Pd担持効率は100%であった。
上記担持粉末を1000mlのイオン交換水中で分散させ、粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)、クエン酸15.3gを投入し、加熱して水分除去した後、大気中500℃で1時間焼成し、Pd担持ZYをCZ上に分散させた。Pd担持量は最終製品に対し、1wt%とした。Ba担持量は0wt%とした。
得られた粉末を圧粉成型、粉砕して粒度を0.5〜1.0mmのペレット状に整粒した触媒X10gを得た。
〔実施例22〕
実施例1に対して、Ba担持量を最終製品に対し0.1wt%としたこと以外は同様の手順で触媒Y10gを得た。Pd担持量は1wt%とした。
〔実施例23〕
実施例1に対して、Ba担持量を最終製品に対し1wt%としたこと以外は同様の手順で触媒Z10gを得た。Pd担持量は1wt%とした。
〔実施例24〕
実施例1に対して、Ba担持量を最終製品に対し20wt%としたこと以外は同様の手順で触媒AA10gを得た。Pd担持量は1wt%とした。
〔比較例4〕
実施例1に対して、Ba担持量を最終製品に対し30wt%としたこと以外は同様の手順で触媒AB10gを得た。Pd担持量は1wt%とした。
〔比較例5〕
粒度D50が0.2μmのZY122.2g(1.00mol)を1000mlイオン交換水中で分散させ、バリウムジイソプロポキシドをn−プロピルアルコールに溶かした溶液(Baとして5wt%)と、分子量の大きいPVP(K90等)を保護材としたPdコロイド溶液を添加し、共沈物を得た。得られた共沈物を濾過し、純水で洗浄した後、110℃で乾燥後、大気中600℃で3時間焼成した。濾液をICP発光分光で分析したところ、Pd担持効率は100%であった。Pd担持量は最終製品に対し1wt%とし、Ba担持量は最終製品に対し10wt%とした。
粒度D50が20μmのCZ152.6g(1.00mol)を1000mlのイオン交換水中で分散させ、上記Pd・Ba担持ZYを投入し、加熱して水分除去した後、大気中500℃で1時間焼成し、Pd・Ba担持ZYをCZ上に分散させた・得られた粉末を圧粉成型、粉砕して粒度を0.5〜1.0mmのペレット状に整粒した触媒AC10を得た。
以上の実施例1〜24、及び、比較例1〜5で得られた排ガス浄化用触媒を用いて、以下の実験を行った。
(耐久試験)
各実施例及び各比較例において得られたペレット状の排ガス浄化用触媒を、流通式の耐久試験装置に配置した。この装置に、窒素に酸素(O2)を2%加えたリーンガスと、窒素に一酸化炭素(CO)を4%加えたリッチガスとを、触媒床温度950℃において500ml/minの流量で、5分周期で交互に20時間流通させる耐久試験を行った。
(活性評価)
各実施例及び各比較例において得られた排ガス浄化用触媒を常圧固定床流通反応装置に配置し、ストイキ相当のモデルガスを流通させながら100℃から500℃まで12℃/分の速度で昇温し、その間のHC、NOx浄化率を連続的に測定した。上記の耐久試験後の50%浄化温度を、表1に示す。
(触媒中の第1酸化物粒子11及び第2酸化物粒子12の粒子径D50評価)
各実施例及び各比較例において得られた排ガス浄化用触媒について、上述した「SEM観察により得られる平均粒子径D50」の算出方法にしたがって、第1酸化物粒子11及び第2酸化物粒子の平均粒子径D50を求めた。
その結果を表1に示す。
(第1酸化物粒子11の被覆率評価)
各実施例及び各比較例において得られた排ガス浄化用触媒について、上述した「第1酸化物粒子の被覆率」の算出方法にしたがって、第2酸化物粒子12による第1酸化物粒子11の表面の被覆率を求めた。
その結果を表1に示す。
(アルカリ土類金属と貴金属の接触度合い評価)
アルカリ土類金属と貴金属の接触度合いを評価するために、各実施例及び各比較例において得られた排ガス浄化用触媒について、上述した「アルカリ土類金属と貴金属との相関係数」の算出方法にしたがって、相関係数を求めた。
その結果を表1に示す。
図2には、表1に示す結果の中から、アルカリ土類金属(Ba)の担持量がそれぞれ異なる実施例1,22,23,24、及び、比較例3,4の排ガス浄化用触媒について、Ba担持量に対するNOxの50%浄化温度の測定結果をプロットしたグラフを示す。
図3には、表1に示す結果のうち、実施例1,7,8,9、及び、比較例1,2の排ガス浄化用触媒について、アルカリ土類金属と貴金属との相関係数に対する、NOxの50%浄化温度の測定結果をプロットしたグラフを示す。
図2に示すように、Ba担持量が、排ガス浄化用触媒の質量を基準として0.1〜20wt%の範囲内にある実施例1,22,23,24の排ガス浄化用触媒では、NOxの50%浄化温度を350℃以下とすることができた。これに対して、Ba担持量が、排ガス浄化用触媒の質量を基準として0wt%である比較例3、及び、30wt%である比較例4では、NOxの50%浄化温度は350℃を超える値となった。この結果より、Ba担持量が0.1〜20wt%の範囲内にある排ガス浄化用触媒は、排ガス浄化性能をより高めることができることがわかった。
また、図3に示すように、アルカリ土類金属と貴金属との相関係数が0.60以上である実施例1,7,8,9の排ガス浄化用触媒は、該相関係数が0.60未満である比較例1,2の排ガス浄化用触媒と比較して、NOxの50%浄化温度を低くすることができた。さらに、相関係数が0.70以上である実施例1,7,8の排ガス浄化用触媒は、相関係数が0.68である実施例9の排ガス浄化用触媒と比較して、NOxの50%浄化温度を低くすることができた。この結果より、排ガス浄化用触媒の浄化性能をより高めるためには、相関係数は、0.60以上であることが好ましく、0.70以上であることがより好ましいことがわかった。
以上より、本発明の排ガス浄化用触媒は、比較例の排ガス浄化用触媒と比較して、触媒の三元性能を向上させることができることがわかった。
10…排ガス浄化用触媒、11…第1酸化物粒子、12…第2酸化物粒子、13…貴金属粒子(貴金属)、14…アルカリ土類金属粒子(アルカリ土類金属)

Claims (6)

  1. 酸素貯蔵能を有する第1酸化物粒子と、
    前記第1酸化物粒子よりも酸素貯蔵能が低く、かつ、前記第1酸化物粒子の表面に担持されている第2酸化物粒子と、
    前記第2酸化物粒子に担持されている貴金属と、
    前記第2酸化物粒子に担持されており、かつ、前記貴金属と接触しているアルカリ土類金属と、を含み、
    前記アルカリ土類金属と前記貴金属との相関係数は、0.60以上であり、
    前記アルカリ土類金属の含有量は、0.1〜20質量%であることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
  2. 前記アルカリ土類金属は、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びカルシウム(Ca)からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化用触媒。
  3. 前記第1酸化物粒子は、セリウム及びジルコニウムを含んでいる複合酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒。
  4. 前記第2酸化物粒子は、ジルコニウムを含んでいる複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  5. 前記第2酸化物粒子の径は、前記第1酸化物粒子の径よりも小さいことを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
  6. 前記貴金属は、ロジウム、白金、及びパラジウムからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の排ガス浄化用触媒。
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