JP6067632B2 - 帯電部材 - Google Patents
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Description
本実施形態の帯電部材は、導電性支持体と、導電性支持体上に積層された導電性弾性体層と、導電性弾性体層上に最外層として積層された導電性樹脂層とからなる。図1は、本実施形態に係る帯電部材の模式断面図である。図1に示すとおり、帯電部材10は、導電性支持体(軸体)1の外周面上に、ロール径方向の内側から外側に向かって、導電性弾性体層2と導電性樹脂層3とが、この順に一体的に積層されている。なお、図1はあくまでも模式図であるため、例えば導電性弾性体層と導電性樹脂層との間に、耐電圧性(耐リーク性)を高めるための抵抗調整層のような中間層が介在する態様が排除されるものではない。
導電性支持体としては、導電性を有する金属からなるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等からなる金属製の中空体(パイプ状)や中実体(ロッド状)等が用いられる。導電性支持体の外周面には、導電性を損なわない程度において、防錆や耐傷性付与を目的として、必要に応じてめっき処理が施されていてもよい。また、同外周面には、導電性弾性体層との接着性を高めるため、必要に応じて接着剤、プライマー等が塗布されていてもよい。その際、十分な導電性を確保するために、これら接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化されていてもよい。
導電性弾性体層としては、感光体に対する均一な密着性を確保するために適度な弾性を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ポリウレタン系エラストマー、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム;ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の合成樹脂;などをベースポリマーとして用いて形成される。これらは単独で又は2種以上併せて用いてもよい。
導電性樹脂層はマトリックス材料と、樹脂粒子及び無機粒子からなる群より選択される少なくとも一種の粒子とを含有する。本実施形態において、当該粒子は第一の粒子を含有する。図2は、本実施形態に係る帯電部材の導電性樹脂層表面を拡大して示す模式断面図である。図2に示すとおり、導電性樹脂層3はマトリックスとなる材料(マトリックス材料)3aと、同材料中に分散された樹脂粒子及び無機粒子からなる群より選択される少なくとも一種の複数の第一の粒子3bとを有している。
クラウン量=D2−(D1+D3)/2
(式中、D1(mm)は長手方向の一方の端部側での帯電部材の外径、D2(mm)は中央部での帯電部材の外径、D3(mm)は長手方向の他方の端部側での帯電部材の外径を示す。D1及びD3は中央部より両端方向に各135mm離れた位置の外径である。)
図1に示すような本実施形態の帯電部材は、例えば、次のようにして作製することができる。すなわち、導電性弾性体層用の材料をニーダー等の混練機を用いて混練し、導電性弾性体層用材料を調製する。また、導電性樹脂層用の材料をロール等の混練機を用いて混練し、この混合物に有機溶剤を加えて混合、攪拌することにより、導電性樹脂層用塗布液を調製する。つぎに、導電性支持体となる芯金をセットした射出成形用金型内に、導電性弾性体層用材料を充填し、所定の条件で加熱架橋を行う。その後、脱型することで、導電性支持体の外周面に沿って導電性弾性体層が形成されてなるベースロールを製造する。ついで、上記ベースロールの外周面に、導電性樹脂層用塗布液を塗工して導電性樹脂層を形成する。このようにして、導電性支持体の外周面に導電性弾性体層が、そして導電性弾性体層の外周面に導電性樹脂層が形成されてなる帯電部材を作製することができる。
(導電性弾性体層形成用材料の調製)
ゴム成分としてエピクロルヒドリンゴム(ダイソー(株)製、「エピクロマーCG−102」)100.00質量部、滑剤としてソルビタン脂肪酸エステル(花王(株)、「スプレンダーR−300」)5.00質量部、軟化剤としてリシノール酸5.00質量部、受酸剤としてハイドロタルサイト類化合物(協和化学工業(株)製、「DHT−4A」)0.50質量部、導電剤としてテトラブチルアンモニウムクロリド(イオン導電剤)(東京化成工業(株)製、「テトラブチルアンモニウムクロリド」)1.00質量部、フィラーとしてシリカ(東ソー・シリカ(株)製、「Nipsil ER」)50.00質量部、架橋促進剤として酸化亜鉛5.00質量部、ジベンゾチアゾールスルフィド1.50質量部及びテトラメチルチウラムモノサルファイド0.50質量部、並びに架橋剤として硫黄1.05質量部を配合し、所定のロールを用いて混練することで、導電性弾性体層形成用材料(ゴム弾性部形成用材料)を調製した。
THF(テトラヒドロフラン)中に、ポリマー成分として熱可塑性N−メトキシメチル化6−ナイロン(ナガセケムテックス(製)製、「トレジンF−30K」)100.00質量部、硬化剤としてメチレンビスエチルメチルアニリン(イハラケミカル工業(株)製、「キュアハード−MED」)5.00質量部、及び導電剤としてカーボンブラック(電子導電剤)(電気化学工業(株)製、「デンカブラックHS100」)18.00質量部を混合し、これにさらに以下に示す樹脂粒子又は無機粒子を各実施例及び比較例に応じて添加し、溶液が均一になるまで十分に撹拌した。その後、二本ロールを用いて溶液中の各成分を分散させた。これにより、導電性樹脂層形成用塗布液を調製した。
[樹脂粒子]
PMMA粒子(積水化成品工業(株)製、「テクノポリマー MBXシリーズ」)
Nylone粒子(エルフ・アトケム・ジャパン社製、「オルガゾールシリーズ」)
[無機粒子]
シリカ粒子(DENKA社製、「デンカ溶融シリカ(DF) 球状(FB、FBX)」)
ただし、各粒子の平均粒子径は次のようにして測定した。すなわち、SEM観察により複数の粒子の母集団から任意に100個の粒子を抽出し、それらの粒子径の平均値を各粒子の平均粒子径とした。なお、粒子形状が真球状ではなく不定形である場合は、最長径と最短径との単純平均値をその個々の粒子の粒子径とした。
円柱状のロール成形空間を有するロール成形金型を準備し、ロール成形空間と同軸となるように直径6mmの芯金をセットした。この芯金をセットしたロール成形空間に、上記のとおり調製した導電性弾性体層形成用材料を注入し、170℃にて30分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、導電性の軸体としての芯金の外周面に沿って形成された、厚み3mmの導電性弾性体層を得た。
得られた帯電部材について以下の評価を行った。評価結果をまとめて表1及び2に示す。なお、表1中、粒子添加量の[phr]とは、マトリックス材(本実施例においてはN−メトキシメチル化6−ナイロン)100質量部に対する添加量(質量部)を示すものである。
導電性樹脂層の層厚Aは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、倍率5000倍で数箇所測定することにより計測した。また、粒子間距離Smは、JIS94−B0601評価に則した方法で、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmとして測定した。より詳しくは、本測定器により、帯電部材の任意の6か所を測定し、その6か所の平均値をもって各測定値とした。
導電性樹脂層の十点平均粗さ(RzJIS)は、JIS94−B0601における十点平均粗さ評価に則した方法で、(株)小坂研究所製の表面粗さ測定器SE−3400を用い、カットオフを0.8mm、測定速度を0.5mm/s、測定長さを8mmとして測定した。より詳しくは、本測定器により、帯電部材の任意の6か所を測定し、その6か所の平均値をもって十点平均粗さとした。
画像形成装置としてSamsung製MultixpressC8640NDを用いた。これに上記のとおり得られた帯電部材を組み込み、以下の条件に従って画像形成性評価を行った。
<画像形成条件>
印刷環境:常温常湿度環境下(23℃/60%RH)
印刷条件:印刷通常スピード305mm/secとその半速スピード、印刷枚数(180kPV、360kPVの2点)、紙の種類(OfficePaperEC)
導電性支持体端部への荷重:片側5.88N
印加バイアス:感光体表面電位が−600Vとなるように便宜調整して決定した。
上記画像形成装置を用いて、ハーフトーン画像を出力した。この画像を目視にて観察し、画像のガサツキ感について以下の基準に基づき評価した。
評価A:ハーフトーン画像でガサツキが発生しなかった。
評価B:ハーフトーン画像でかすかにガサツキが発生した(かすかな摩耗による)。
評価C:ハーフトーン画像でかすかにガサツキ及びポチが発生した(摩耗によるわずかな微粒子の脱落あり)。
評価D:ハーフトーン画像でガサツキ及びポチが発生した。
上記画像形成装置を用いて、ハーフトーン画像を出力した。この画像中に現れる初期帯電不良を目視にて観察し、以下の基準に基づき評価した。なお、初期帯電不良とは感光体と帯電部材の摺動性の変化、マイクロスリップと関係しているものと考えられ、特に後述する粒子脱落とも関係している。
評価A:均一なハーフトーン画像が得られた。
評価B:画像端部にわずかに帯電ムラが発生した。
評価C:画像端部に明らかに帯電ムラが発生した。
評価D:画像全面に帯電ムラが発生した。
上記画像形成装置を用いて360kPV走行後の帯電部材表面を、光学顕微鏡(オムロン製VC3000)にて倍率350倍で観察し、粒子脱落の状態を観察した。観察部位は常に同じ位置(帯電部材のゴム端部から30mmの位置、及び帯電部材の中央位置)とし、画像解析により初期からの粒子脱落割合を求めた。粒子脱落の程度について以下の基準に基づき評価した。
評価A:観察部位全面で粒子脱落は観察されなかった。
評価B:中央部では粒子脱落は観察されなかったが、端部では50%未満脱落が観察された。
評価C:中央部では粒子脱落は観察されなかったが、端部では50〜100%脱落が観察された。
評価D:観察部位全面で粒子脱落が観察された。
一定帯電バイアス印加時の感光体表面電位をV0、現像バイアスをVdcとすると、Vclnは、下記式にて定義することができる。
Vcln=V0−Vdc
なお、各帯電部材においてVclnラチチュード幅が存在し、適正値よりも低い領域ではバックグランド(かぶり)が発生し易くなり、逆に適正値よりも高い領域では感光体上へのキャリアーの付着が大きくなる現象が生じる。このようなことから、画像出力する際の制御幅(Vclnラチチュード)が広いほど、画像出力制御が容易になる。
Vclnラチチュード評価は具体的には次のようにして行った。
・現像バイアスを一定値に固定しつつ帯電バイアスの値を振り、Vclnを変化させた。
・バックグランド(かぶり)については、感光体上のトナーを粘着テープ(Scotch メンディングテープ 3M社製)に転写し、そのテープの色見をマクベス反射濃度計(マクベス社製)により測定した。そして、測定値が0.02を超えた時のVcln(1)を記録した。
・キャリアー付着については、感光体上のトナーを粘着テープに転写した際に、キャリアーが観察された時のVcln(2)を記録した。
・Vcln(2)とVcln(1)の電位幅(バックグランド(かぶり)とキャリアー付着の発生しない電位幅)から、Vclnラチチュードを算出した。
帯電部材のAskerC硬度(表面硬度)は、JIS K6301に規定されるスプリング式硬さ試験に則り、AskerC硬度計を用いて500g加重の条件で測定した。
図4は、金属ロール電極法による帯電部材の抵抗値測定方法を示す図である。具体的な測定方法は次のとおりである。まず、25℃/55%RHの環境下において、直径30mmのアルミ円筒導体20に上方向から帯電部材10を当接させた。その時、帯電部材の両端(導電性支持体1の両端部)にそれぞれ750gfの荷重を加えることで、帯電部材10をアルミ円筒導体20に押圧した。そして、アース側に1kΩ程度の電気抵抗R0を設け、アルミ円筒導体20を60rpmで回転させ、帯電部材10をアルミ円筒導体20に対して従動させた。以上のような測定系で帯電部材の芯金(導電性支持体1)に測定電圧を−300V印加し、アース側に設けた抵抗R0の両端の電圧を測定し、電流を算出することによって帯電部材の抵抗値Rを算出した。その抵抗値Rのlogを取り、帯電部材の電気抵抗値logRとした。
導電性樹脂層の層厚、粒子の種類等を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして帯電部材を作製し、その評価を行った。
Claims (15)
- 導電性支持体と、該導電性支持体上に積層された導電性弾性体層と、該導電性弾性体層上に最外層として積層された導電性樹脂層とからなる帯電部材であって、
前記導電性樹脂層はマトリックス材料と、樹脂粒子及び無機粒子からなる群より選択される少なくとも一種の粒子とを含有し、
前記粒子は第一の粒子を含有し、
前記導電性樹脂層における前記マトリックス材料単独で形成される部分の層厚をA[μm]、前記第一の粒子の平均粒子径をB1[μm]、及び前記粒子の粒子間距離をSm[μm]、としたとき、
Aが1.0〜7.0μmであり、
B1/Aが5.0〜30.0であり、
Smが50〜400μmである、帯電部材。 - 前記導電性樹脂層の十点平均粗さ(RzJIS)が10.0〜35.0μmである、請求項1記載の帯電部材。
- 前記粒子の含有量が、前記導電性樹脂層の全質量を基準として5〜50質量%である、請求項1又は2記載の帯電部材。
- B1が5.0〜50.0μmである、請求項1〜3のいずれか一項記載の帯電部材。
- 前記粒子は第二の粒子をさらに含有し、
前記第二の粒子の平均粒子径をB2[μm]としたとき、
B1が15.0〜40.0μmであり、
B1−B2が10.0μm以上である、請求項1〜4のいずれか一項記載の帯電部材。 - 前記粒子が絶縁性粒子である、請求項1〜5のいずれか一項記載の帯電部材。
- 前記粒子が不定形粒子である、請求項1〜6のいずれか一項記載の帯電部材。
- 前記粒子が樹脂粒子である、請求項1〜7のいずれか一項記載の帯電部材。
- 前記樹脂粒子が、ナイロン樹脂粒子及びアクリル樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項8記載の帯電部材。
- 前記マトリックス材料が、ナイロン樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1〜9のいずれか一項記載の帯電部材。
- 前記導電性弾性体層がエピクロルヒドリンゴムを含有する、請求項1〜10のいずれか一項記載の帯電部材。
- AskerC硬度が78±4である、請求項1〜11のいずれか一項記載の帯電部材。
- 導電性支持体端部に掛る荷重が5.0〜8.0Nのとき、クラウン量が60〜120μmである、請求項1〜12のいずれか一項記載の帯電部材。
- 金属ロール電極法により測定される電気抵抗値をRとしたとき、logRの値が5.4±0.4である、請求項1〜13のいずれか一項記載の帯電部材。
- 直流電圧のみが印加され、印加されるバイアス電圧が−1000〜−1500Vである、請求項1〜14のいずれか一項記載の帯電部材。
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