JP6062362B2 - Pkc活性化剤を使用した、異常な樹状突起棘に関連した認知障害の治療 - Google Patents

Pkc活性化剤を使用した、異常な樹状突起棘に関連した認知障害の治療 Download PDF

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Description

樹状突起棘
樹状突起棘は、脳内の最も主要なニューロンの樹状突起上に認められる小さい(μm未満の)膜質の突出である。樹状突起棘は、シナプスの2分の1を形成している、樹状突起細胞から突出し、神経伝達物質、たとえばグルタメートの受容体を含有する。成熟した樹状突起棘は、細い棘頸部を通して親の樹状突起に連結されている球根状の頭部(棘頭部)を有する。未成熟の棘は、損なわれたシグナル伝達能力を有し、典型的には、球根状の頭部を欠いているかまたはきわめて小さい頭部を有する。
樹状突起棘は、形状によって分類され、たとえば、マッシュルーム型の棘、細い棘、および短くて太い棘などがある。電子顕微鏡は、これらのカテゴリー間で形状の連続体を示す。異なる形状の棘は、シナプスの異なる発生段階および強度を反映するといういくつかの証拠がある。発生中、樹状突起棘は、電子顕微鏡によって、糸状仮足と呼ばれる、後にマッシュルーム型の形態に成熟する細い伸長として始まるように見える。レーザースキャニングおよび共焦点顕微鏡法は、棘の大きさおよび密度を含む、樹状突起棘特性における変化を示すために使用されてきた。同一の技術を使用して、生きている動物の脳におけるタイムラプス研究は、棘が行ったり来たりして、より大きなマッシュルーム型棘が時間をかけて最も安定になることを示している。
樹状突起棘のターンオーバーは、学習および記憶に関係していることが示されている。特に、長期記憶は、新しい樹状突起棘の成長および既存の棘の拡大によって部分的に媒介される。学習はマッシュルーム型棘の形成を増加させ、これは、長期連想記憶のための構造的貯蔵部位および記憶特異的なシナプス形成のための部位を提供することが知られている。高速の棘ターンオーバーは学習能の向上とも関連付けられているのに対して、棘の残存は記憶の安定化と関連付けられている。
樹状突起棘密度における変化は、シナプスの強度を高める、シナプス構造における、学習および記憶に誘発される変化の基礎を形成する。長期記憶は、たとえば、部分的に、特定の神経路を強化する新しい樹状突起棘の成長によって媒介される。2個のニューロン間の連結を強めることによって、シナプス後細胞を活性化するシナプス前細胞の能力が増強される。他のいくつかの機構も、シナプスの構造における、学習および記憶に誘発される変化に関与し、こうした変化としては、シナプス内に放出される神経伝達物質の量における変化および細胞がそれらの神経伝達物質にどのくらい有効に反応するかにおける変化などが挙げられる(Gaiarsaら、2002)。記憶は脳内のシナプスの相互に連結されたネットワークによって生成されるので、こうした変化は学習および記憶の神経化学的基礎を提供する。
樹状突起棘の数および形態における異常は、注意欠陥多動性障害、自閉症、精神遅滞、および脆弱性X症候群を含む、認知障害において認められている。たとえば、統合失調症患者および認知気分障害を患っている人々の脳は、これらの疾患に関連した脳領域における樹状突起棘の数の減少を示す。精神遅滞および自閉症において、樹状突起棘の形状はより長く、より未成熟であるように見える。同様に、精神遅滞および自閉症の最も一般的な遺伝性の形態である、脆弱性X症候群において認められる唯一の顕微鏡的脳異常は、細長い未成熟の樹状突起棘の存在である。
樹状突起棘の形態における変化は、老化の間のシナプス喪失にも関連している。アカゲザルの前頭皮質の特定領域における興奮性(非対称)と抑制性(対称)の両方のシナプスの密度は、5〜30歳で30%減少した。Petersら、Neuroscience、2008、152(4):970〜81。これは、認知障害と相関していた。同様のシナプス喪失は、アルツハイマー病患者の剖検において認められており、認知低下との最良の病理学的相関である。
脆弱性X症候群
脆弱性X症候群は、3600名の男性中約1名および5000名の女性中約1名に影響を及ぼしているX連鎖性の障害であり、遺伝性の精神的、身体的、および情動的障害の最も一般的な原因である。精神的障害は、学習能力障害から、「自閉様」行動を含む、より重症の認知または知性能力障害までに及びうる。
脆弱性X症候群は、正常な神経発生に必要とされるタンパク質(脆弱性X精神遅滞タンパク質;FMRP)を発現させるための遺伝子の欠損をもたらす、X染色体上に認められるFMR1遺伝子における変異から生じる。FMRPは、樹状突起へのmRNAの伝達の調節に関係する選択的RNA結合タンパク質である。樹状突起棘の成熟の遅延が脆弱性X精神遅滞患者ならびにFmr1ノックアウトマウスにおいて認められ、これにより、シナプス発生におけるFMRPの機能的必要性が示された。Luら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、2008、101(42):15201〜06;およびComeryら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1997、94(10):5401〜4。数名の脆弱性X患者における剖検結果より、未成熟樹状突起棘密度(樹状突起単位長あたりの数)が患者の試料においてより高かったことが示されており、これらのニューロンへのより多数の興奮性の入力が示唆されている。Greenoughら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2001、98(13):7101〜7106。これにより、脆弱性X症候群における樹状突起棘形成は、活用されていないシナプスを排除し、保持されたシナプスをより成熟しているように見える形態のより短くより完全な棘に変化させる正常な成熟パターンに従うことができないことが示唆される。
さらに、Fmr1ヌルマウスは、シナプス構造における活動に依存した変化のいくつかの形態の改変、皮質性長期増強および小脳性長期抑圧を示す。正常なFMRPは、正常な新生児発育中に、微小管結合タンパク質1B(MAP1B)の翻訳を抑制し、この抑制は、活性なシナプス形成に必要とされる。Davidovicら、Human Mol Genetics.2007、16(24):3047〜3058。異常に高いMAP1Bは、微小管安定性を高め、細胞骨格およびしたがって細胞形態、すなわち、細胞の形状、運動性、および分裂を維持するニューロンの能力に干渉しうる。
FMRPは、新しいニューロンが成体の脳内で産生されるプロセスである、成体の神経形成の調節においても鍵となる役割を果たす。研究より、歯状回(DG)において産生される新しいニューロンは海馬依存性の学習にきわめて重大であり、成体の神経形成を抑止することは学習および記憶における欠陥をもたらしうることが示されている。
FMRPは、アルツハイマー病とも関連付けられている。ベータ−アミロイドは、アルツハイマー病およびダウン症候群の老人斑中に認められる主なタンパク質であり、脆弱性Xのマウスおよび患者において高値を呈する。最近の研究より、FMRPは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、すなわち、切断されてベータ−アミロイド斑に入るタンパク質、と同一のmRNAコード領域エレメントに結合し、FMRPのサイレンシングは、APPタンパク質発現を促進することが示されている。Leeら、Nat Struct Mol Biol.、2010、17(6):732〜9。さらに、シナプスの構造および機能に強く影響する2種のマイクロ−RNA(特異的なmRNAの翻訳を抑制する短い非コードRNA)は、FMRPと相互作用することが示されている。Edbauerら、Neuron、2010、65(3):373〜84。
これまでのところ、脆弱性X症候群に関連した基本的な病変または認知障害のいずれかを治療するための承認されている薬物はない。臨床試験中の1種の薬物はフェノバムであり、これは、代謝型グルタミン酸受容体(mGluR5)アンタゴニストである。mGluR5の過活性化は、FMR1マウスにおいて認められている。より最近では、科学者は、ホスホイノシチド−3(PI3)キナーゼ阻害剤が、脆弱性X症候群のマウスモデルにおいて認められるニューロンの解剖学的構造における欠陥を修正できることを見出した。学習および記憶に関連する脳領域である、海馬からの培養ニューロンでの実験において、該薬物は、シナプスにおけるタンパク質産生の通常の出現およびレベルを回復させた。Grossら、J.Neurosci.、2010、30(32):10624〜38。
プロテインキナーゼC活性化およびシナプス形成
プロテインキナーゼC(PKC)は、プロテインキナーゼの最も大きな遺伝子ファミリーのうちの1つである。LiuおよびHeckman、Cellular Signalling、1998、10(8):529〜42。いくつかのPKCアイソザイムは、脳内で発現され、PKC−α、PKC−β1、PKC−βII、PKC−δ、PKC−ε、およびPKC−λなどが挙げられる。PKCは、主として細胞質ゾルタンパク質であるが、刺激に応じて膜に転位する。PKCは、アルツハイマー病に関連した多数の生化学的プロセスに関与することが示されている。
PKC活性化は、学習および記憶の促進において重要な役割を有し、外因的に投与されたPKC活性化剤は、記憶および学習を増加させることが示されている。SunおよびAlkon、Eur J Pharmacol.、2005、512:43〜51;Alkonら、Proc Natl Acad Sci USA、2005、102:16432〜16437。たとえば、PKCの活性化は、ニューロン上での連合学習の生物物理学的効果を模倣することが示されている。SunおよびAlkon、Science、1989、245(4920):866〜869。さらに、PKC転位における学習特異的な変化は、PKC活性化の尺度として役立つものであるが、ウサギにおいて認められている。同文献。さらに、PKC活性化剤ブリオスタチンでのラットの処理は、結果として、マッシュルーム型の樹状突起棘(「マッシュルーム型棘」)の数における記憶特異的な増加、シナプス前小胞の数の増加、およびシナプスの接触を生じる、マッシュルーム型棘に関連した二重シナプスシナプス前終末(「シナプスボタン」)の発生の増加をもたらす。HongpaisanおよびAlkon、Proc Natl Acad Sci USA、2007、104:19571〜19576。ブリオスタチンに誘導される、長期連想記憶のためのシナプス形成も、PKC活性化によって調節される。同文献。
PKC活性化は、ラットの海馬においてシナプス形成を誘導することも示されており、神経変性の状態の間の、PKCに媒介される抗アポトーシスおよびシナプス形成の潜在的な可能性が示唆されている。SunおよびAlkon、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105(36):13620〜13625。PKC活性化剤である、ブリオスタチン−1を用いた虚血後/低酸素の治療は、シナプス形成、神経栄養活性、ならびに空間学習および記憶において虚血状態に誘発された欠陥を有効に救済した。SunおよびAlkon、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105(36):13620〜136255。この効果は、シナプスタンパク質スピニオフィリン(spiniophilin)およびシナプトフィジンのレベルの上昇、ならびにシナプスの形態における構造的変化を伴った。HongpaisanおよびAlkon、Proc Natl Acad Sci USA、2007、104:19571〜19576。
PKCは、ニューロトロフィン産生も活性化する。ニューロトロフィン、特に脳由来神経栄養因子(BDNF)および神経成長因子(NGF)は、損傷を受けたニューロンおよびシナプスの修復および再成長を開始する鍵となる成長因子である。いくつかのPKCアイソザイム、特にPKC−εおよびPKC−αの活性化は、最も可能性の高いことにはニューロトロフィンの産生を上方制御することによって、神経学的損傷から保護することが示されている。Weinrebら、The FASEB Journal、2004、18:1471〜1473)。PKC活性化剤は、チロシンヒドロキシラーゼの発現を誘導し、ニューロンの生存および軸索突起の成長を誘導することも報告されている。DuおよびIacovitti、J.Neurochem.、1997、68:564〜69;HongpaisanおよびAlkon、Proc Natl Acad Sci USA、2007、104:19571〜19576;Lallemendら、J.Cell Sci.、2005、118:4511〜25。
PKC活性化剤は、細胞によって分泌される、非アミロイド形成的な可溶性APP(sAPP)の相対量も増加させる。PKC活性化は、AD線維芽細胞において異常なMAPキナーゼリン酸化および付随したAβのレベルの上昇も逆戻りさせる。米国特許出願公開第US−2007−0082366号を参照されたい。さらに、1種の強力なPKC活性化剤である、ブリオスタチンは、ヒトAD遺伝子を有するトランスジェニックマウスの脳内のAβ(1〜42)レベルを低下させることが見出された。
本開示は、異常な樹状突起棘に関連した認知障害を治療する方法であって、薬学的に許容される担体中の有効量のPKC活性化剤を、それを必要としている対象に投与することを含む方法を提供する。
一態様において、認知障害は脆弱性X症候群である。他の一態様において、認知障害は脆弱性X関連振戦/運動失調症候群である。他の一態様において、認知障害は精神遅滞である。さらに他の一態様において、認知障害は自閉症である。
一態様において、PKC活性化剤は大環状ラクトンである。
特定の一態様において、大環状ラクトンは、ブリオスタチンまたはネリスタチン化合物である。
他の特定の一態様において、ブリオスタチン化合物は、ブリオスタチン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、または−18であり、ネリスタチン化合物は、ネリスタチン−1である。
さらなる特定の一態様において、大環状ラクトンはブリオログである。
一態様において、PKCは、下方制御されることなく活性化される。
他の一態様において、PKC活性化剤は、脆弱性X症候群を有する対象において認知機能を改善する。
一態様において、認知機能としては、学習、記憶、注意、自閉様行動内気、知覚統合困難、注意欠陥、活動過多、衝動性、抑うつ不安、数学的学習能力障害、攻撃的傾向、抽象的思考の欠如、発言および言語の遅延、ならびに低下したIQなどが挙げられる。
他の一態様において、PKC活性化剤は、マッシュルーム型棘を含む、ニューロン中の樹状突起棘の形態を回復させる。
他の一態様において、PKC活性化剤は、シナプトフィジンの量を増加させる。
本開示のさらなる利点は、部分的には後に続く説明に記載されることになり、かつ部分的には説明から明らかになることになり、または開示の実施によって学んでもよい。本開示の利点は、添付の特許請求の範囲に特に示されている要素および組合せによって実現され、達成されることになる。
先の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、単に例示的および説明的なものであり、特許請求されている開示を制限するものではないことを理解されたい。
添付の図面は、本明細書中に組み込まれその一部を構成するものであり、本開示の一(いくつかの)態様を例示し、明細書と共に、開示の原理を説明するのに役立つものである。
FMR1トランスジェニックおよび対照マウスにおける学習および記憶獲得についてのブリオスタチン−1の結果を表す図。 FMR1トランスジェニックおよび対照マウスにおける記憶保持実験でのブリオスタチン−1の結果を表す図。 加齢ラットにおけるシナプス形成および記憶保持についてのブリオスタチン−1の結果を表す図。 1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラマチル(tetramathyl)−インドカルボシアニンペルクロラート(DiI)で染色された、対照野生型マウス、脆弱性Xトランスジェニックマウス、およびブリオスタチン処理をした脆弱性Xトランスジェニックマウスからの海馬CA1ニューロンのシナプス後樹状突起棘の共焦点顕微鏡像。樹状突起棘の形状は、マッシュルーム型(M)、短くて太い(S)、または細い(T)として分類されており、糸状仮足は、「F」と標識されている。Fx=脆弱性Xトランスジェニックマウス;bry=ブリオスタチン。 図4に示されている100μmの樹状突起シャフトあたりのマッシュルーム型樹状突起棘(左パネル)および全樹状突起棘(右パネル)の定量化を表す図。Fx=脆弱性Xトランスジェニックマウス;bry=ブリオスタチン;データは平均±SEMとして示されている。p<0.05;***p<0.001;両側t−検定。N=3〜4匹の動物;実験条件あたりN=21〜34本の樹状突起。 図4に示されている100μmの樹状突起シャフトあたりの糸状仮足数の定量化を表す図。Fx=脆弱性Xトランスジェニックマウス;bry=ブリオスタチン;データは平均±SEMとして示されている。***p<0.001;両側t−検定。N=3〜4匹の動物;実験条件あたりN=21〜34本の樹状突起。 海馬CA1領域における、シナプス前膜マーカーである成長関連タンパク質−43(GAP−43)の共焦点顕微鏡法および免疫組織化学法(上方パネル)ならびにシナプス前膜密度の定量化(下方パネル)を表す図。Fx=脆弱性Xトランスジェニックマウス;bry=ブリオスタチン;データは平均±SEMとして示されている。**p<0.01;両側t−検定。N=3〜4匹の動物;実験条件あたりN=24〜32枚の共焦点画像。 海馬CA1領域における、シナプス後膜マーカーであるニューログラニンの共焦点顕微鏡法および免疫組織化学法(上方パネル)ならびにシナプス前膜密度の定量化(下方パネル)を表す図。Fx=脆弱性Xトランスジェニックマウス;bry=ブリオスタチン;データは平均±SEMとして示されている。***p<0.001;両側t−検定。N=3〜4匹の動物;実験条件あたりN=24〜32枚の共焦点画像。 シナプス前小胞膜タンパク質であるシナプトフィジンの共焦点顕微鏡法および免疫組織化学法(上方パネル)ならびにシナプス前軸索ボタンおよびシナプス前小胞濃度の定量化(下方パネル)を表す図。Fx=脆弱性Xトランスジェニックマウス;bry=ブリオスタチン;データは平均±SEMとして示されている。**p<0.01;***p<0.001;両側t−検定。N=3〜4匹の動物;実験条件あたりN=24〜32枚の共焦点画像。
本開示は、PKC活性化剤を使用した、異常な樹状突起棘に関連した認知障害の治療のための方法を提供する。特定の態様において、認知障害は、脆弱性X症候群および脆弱性X関連振戦/運動失調症候群(FXTAS)である。ブリオスタチン−1は、加齢ラットにおいて失われたシナプスを回復させる能力および、脆弱性X症候群のモデルである、FMR1ヌルマウスにおいて野生型シナプスの形態を回復させる能力を有することが認められている。これまでのところ、失われたシナプスを回復させるかまたは異常な形態のシナプスを正常な形態に回復させることができる承認されている薬物はない。ブリオスタチン−1は、加齢とFMR1ヌルの両方の動物において、記憶喪失および認知機能も回復させた。これまでのところ、脆弱性X症候群の治療用に承認されている薬物はなく、行動療法および教育のみである。したがって、脆弱性X症候群の根底にある分子病変に対処することができる療法についての長い間感じられてきた必要性がある。
定義
「脆弱性X症候群」は、GCCリピートの数の増加に関与するFMR1遺伝子の変異に関連した疾患である。正常なFMR1遺伝子は、最大54個までのCGGリピートを有するが、完全変異は、200個を超えるCGGリピートをもたらす。過度のCGGリピートによって引き起こされるFMR1遺伝子の不活性化は、脆弱性X症候群の原因となる。
本明細書中で使用される場合、「脆弱性X関連振戦/運動失調症候群(FXTAS)」は、脆弱性X症候群の成人発症型であり、FMR1遺伝子の前変異(permutation)を有する個体において生じ、これらの個体はより少ないCGGリピートを有する。FXTASは、典型的には50歳を超える男性に影響を及ぼす。FXTASの臨床的特徴としては、小脳性運動失調、神経障害、自律神経機能障害、重症の企図振戦、ならびに他の神経変性の徴候、たとえば脳萎縮、記憶喪失および認知症、不安、ならびに被刺激性などが挙げられる。早期卵巣機能不全は、前変異を有する女性のうち25%で報告されている。
「シナプス」は、ニューロン間、またはニューロンと他の型の細胞との間の機能的連結である。シナプスは、一般に軸索を樹状突起に連結するが、軸索を細胞本体に、軸索を軸索に、および樹状突起を樹状突起にも連結する。
本明細書中で使用される場合、「シナプス形成」は、シナプスの形成、すなわち、シナプス前ニューロンにおける神経伝達物質放出部位およびシナプス後ニューロンにおける受容野の形成に関与するプロセスを指す。シナプス前終末、またはシナプスボタンは、シナプス前細胞の軸索の終端にある終末の球根状のものであり、シナプス小胞と呼ばれる小さな膜結合球体内に封入された神経伝達物質を含有する。シナプス後ニューロンの樹状突起は、神経伝達物質受容体を含有し、これは、シナプス後肥厚(PSD)と呼ばれるタンパク質のネットワークに連結される。PSD内のタンパク質は、神経伝達物質受容体の係留および輸送ならびにこれらの受容体の活性の調節に関与している。受容体およびPSDは、樹状突起棘と呼ばれる、主部の樹状突起シャフトからの特殊な突起において見出されることが多い。
「プロテインキナーゼC」とは、PKC遺伝子によってコードされた、あらゆるアイソフォームのPKCを指す。PKC遺伝子ファミリーは、現在、以下の4つのサブグループに分類される11遺伝子からなる:1)在来型PKCα(アルファ)、β1、β2(ベータ)(β1およびβ2は、同一遺伝子の選択的スプライシングされた型である)およびγ(ガンマ)、2)新型PKCδ(デルタ)、ε(イプシロン)、およびθ(シータ)、3)非典型PKCζ(ゼータ)、λ(ラムダ)、η(エータ)およびι(イオタ)ならびに4)PKCμ(ミュー)。α、β1、β2、およびγのアイソフォームは、カルシウムイオン依存性、リン脂質およびジアシルグリセロール−依存性であり、PKCの在来型アイソフォームを代表するものであるのに対して、他のアイソフォームは、リン脂質およびジアシルグリセロールによって活性化されるが、カルシウムには依存しない。PKCアイソフォームのイプシロンおよびガンマは、主に脳特異的である。すべてのアイソフォームは、5つの可変(V1〜V5)領域を包含し、α、β1、β2、およびγのアイソフォームは、高度に保存された4つの(C1〜C4)構造ドメインを含有する。PKCα、β1、β2、およびγ以外のすべてのアイソフォームは、C2ドメインを欠いており、λおよびηのアイソフォームも、ジアシルグリセロールが結合するC1にある2つのシステインに富んだジンクフィンガードメインのうちの9つを欠いている。C1ドメインは、すべてのアイソフォーム間で高度に保存された偽基質配列も含有し、これは、基質結合部位を阻害して酵素の不活性な立体配座を生じることによって自己調節機能に役立つ(Houseら、Science、1997、238:1726〜1728)。
本明細書中で使用される場合、「プロテインキナーゼC活性化剤」または「PKC活性化剤」とは、PKCアイソザイムの酵素活性を、これらのアイソザイムを細胞質ゾルの位置から細胞膜の内表面に結合するように転位させることによって高める物質を意味する。
「薬学的に許容される」という語句は、生理学的に認容され、対象に投与されたときに不適切な反応を典型的に生じない分子実体および組成物を指す。たとえば、本明細書中で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、連邦の規制機関もしくは州政府によって承認されていることまたは米国薬局方もしくは動物において、より詳細にはヒトにおいて使用される他の一般に認められる薬局方に挙げられていることを意味する。「薬学的に許容される担体」という用語は、有効成分と組み合わされてもよく、組合せ後に、有効成分を対象に投与するために使用されうる化学組成物を意味し、化合物と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルを指しうる。
「治療有効量」および「有効量」という用語は、測定可能な治療反応をもたらす治療薬の量を指す。治療反応は、使用者(たとえば、臨床医)が、症状および代替の臨床マーカーの改善を含む、療法に有効な反応として認識することになるいかなる反応であってもよい。したがって、治療反応は、一般に、疾患または状態、たとえば脆弱性X症候群の1つ以上の症状の改善または抑制であることになる。測定可能な治療反応には、症状または疾患が治療薬によって予防されるかもしくはその発症を遅らされる、またはそれ以外の場合に軽減されるという所見も含まれる。
本明細書中で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物を含む。いくつかの態様において、哺乳動物はヒトである。
「約」および「およそ」という用語は、測定の性質または精度を考慮して、測定される量についての許容される程度の誤差を一般に意味するものとする。誤差の典型的な例示的な程度は、示されている値または値の範囲の20パーセント(%)以内、たとえば10%以内、およびさらにたとえば、5%以内である。代替的に、生物系において、「約」および「およそ」という用語は、示されている値の桁規模の範囲内、たとえば5倍およびさらにたとえば、2倍の値を意味していてもよい。本明細書において示されている数量は、他に明記されていない限りおよそのものであり、すなわち、明記されていないときに「約」または「およそ」という用語が推測されうる。
PKC活性化剤
本開示との使用が意図されるPKC活性化剤としては、ベンゾラクタム、ピロリジノン、ブラジキニン、ボンベシン、コレシストキニン、トロンビン、プロスタグランジンF2αおよびバソプレッシンなどが挙げられる。他のPKC活性化剤としては、1,2−sn立体配置にある多様な脂肪酸を有するジアシルグリセロールを含む、天然および非天然のジアシルグリセロール(DAG)などが挙げられる。より最近では、多価不飽和脂肪酸誘導体がPKCεを選択的に活性化することが示されている。PCT特許出願公開第WO2010/014585号を参照されたい。
一態様において、PKC活性化剤は、大環状ラクトンでありえ、これらに限定されないが、ブリオスタチン化合物クラスおよびネリスタチン化合物クラスに入っているものなどが挙げられる。大環状ラクトン、たとえばブリオスタチン−1は、米国特許4,560,774に記載されている。大環状ラクトンおよびそれらの誘導体は、他に、米国特許6,187,568、米国特許6,043,270、米国特許5,393,897、米国特許5,072,004、米国特許5,196,447、米国特許4,833,257、および米国特許4,611,066に記載されている(参照により本明細書にその全体が組み込まれている)。上記の特許には、大環状ラクトンについての多様な化合物および、抗炎症または抗腫瘍薬としてのそれらの使用を含む、多様な使用が記載されている。Szallasiら、Journal of Biological Chemistry、1994、269(3):2118〜24;Zhangら、Cancer Research、1996、56:802〜808;Henningsら、Carcinogenesis、1987、8(9):1343〜1346;Varterasianら、Clinical Cancer Research、2000、6:825〜828;Mutterら、Bioorganic&Medicinal Chemistry、2000、8:1841〜1860。ブリオスタチンおよびネリスタチン化合物は、海洋性のBryozoanであるBugula neritina Lから最初に単離された。
特定の一態様において、大環状ラクトンはブリオスタチンである。ブリオスタチン−1は、PKCα、PKCδおよびPKCεを含む、PKCアイソザイムの示差的な調節を示す。ブリオスタチン−1は、動物およびヒトにおいて毒性および安全性の試験が行われており、抗癌剤として活発に調査されている。より特定の一態様において、ブリオスタチンは、ブリオスタチン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、または−18である。他の一態様において、PKC活性化剤は、ネリスタチン−1である。
さらに他の一態様において、PKC活性化剤はブリオログである。ブリオスタチンの類似体は、一般にブリオログと呼ばれ、本開示の方法における使用に好適な特定の一クラスのPKC活性化剤である。下記の表は、数種類のブリオログの構造的特徴をまとめたものであり、ブリオログはPKCに対するこれらの親和性において大きく異なっている(0.25nM〜10μM)ことを示している。構造的には、これらはすべて類似している。ブリオスタチン−1は、2個のピラン環および1個の6員環アセタールを有するが、ほとんどのブリオログでは、ブリオスタチン−1のピランのうちの1個は第2の6員アセタール環で置きかえられている。この変更は、ブリオログの安定性を、ブリオスタチン−1に相対して、たとえば、強酸または塩基の両方において、低下させるが、生理学的なpHにおける有意差はほとんど有さない。ブリオログは、ブリオスタチン−1(988)と比較して、より低い分子量(約600〜755の範囲に及ぶ)も有し、この特性は、血液脳関門を越える輸送を促進する。
Figure 0006062362
ブリオログ活性は、ブリオログの化学構造とそれらが作用する基質の両方によって異なる。類似体1(Wenderら、Curr Drug Discov Technol.、2004、1:1;Wenderら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1998、95:6624;Wenderら、Am Chem Soc.、2002、124:13648)は、PKCに対する高い親和性を有する。類似体2は、ブリオスタチン−1のA環を欠いており、PKCに対する高い親和性を維持している最も単純な類似体である。活性なブリオログの他に、類似体7dは、26位でアセチル化されており、PKCに対する親和性を実質的に有さない。
Figure 0006062362
B環ブリオログも本開示の方法における使用に好適である。これらの合成ブリオログは、低いナノモル範囲にある親和性を有する。Wenderら、Org Lett.、2006、8:5299。B環ブリオログは、完全に合成物であるという利点を有し、天然源からの精製を必要としない。
さらに他のブリオログは、Wenderら、Org Lett.、2005、7(6):1177〜80およびWenderら、Org.Lett.、2008、10(15):3331〜3334に記載されている。これらのブリオログは、それぞれC20−またはC7−官能基化されており、これらのブリオログのうちのいくつかは、PKCに対する一桁のナノモル親和性を示す。
Figure 0006062362
B環ブリオログのPKC結合親和性
好適なブリオスタチン類似体の第3のクラスは、A環ブリオログである。これらのブリオログは、ブリオスタチンIよりもわずかに低い、PKCに対する親和性(ブリオログ3、4、および5についてそれぞれ6.5、2.3、および1.9nM)を有するが、より低い分子量を有する。
他のブリオログは、Haleら、Org.Lett.、2003、5(4):499〜502に記載されており、以下のものなどが挙げられる:
Figure 0006062362
ブリオスタチン類似体は、米国特許第6,624,189号および第7,256,286号にも記載されている。
ブリオスタチンの合成類似体も、本開示によって意図される。特に、これらの類似体は、ブリオスタチンを用いたNMR分光法の比較によって決定されるようなC1−、C19−、C26−酸素認識ドメインの方向性および多様な程度のPKC結合親和性を保持する。米国特許第6,624,189号に開示および記載されているブリオスタチン類似体も、本開示の方法において使用されてもよい。特に、米国特許第6,624,189号の式Iの属(第3段、35〜66行目)によって記載されているブリオスタチン類似体ならびに米国特許第6,624,189号の式II〜VIIならびに1998aおよび1998bの種(第8段、28〜60行目)は、本開示の方法における使用に好適なPKC活性化剤である。
ジアシルグリセロール(DAG)のいくつかの誘導体は、プロテインキナーゼCに結合してそれを活性化する(Niedelら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80:36;Moriら、1982、J.Biochem(Tokyo)、91:427;Kaibuchiら、1983、J.Biol.Chem.、258:6701)。しかし、DAGおよびDAG誘導体は、薬物としての価値が限られている。ジアシルグリセロールによるPKCの活性化は、一過的であり、その理由は、それらが、ジアシルグリセロールキナーゼおよびリパーゼによって迅速に代謝されるからである(Bishopら、1986、J.Biol.Chem.、261:6993;Chungら、1993、Am.J.Physiol.、265:C927)。脂肪酸置換は、活性化の強度を決定する。不飽和脂肪酸を有するジアシルグリセロールは、最も活性である。立体異性の立体配置もきわめて重大である。1,2−sn立体配置を有する脂肪酸は活性であるのに対して、2,3−sn−ジアシルグリセロールおよび1,3−ジアシルグリセロールは、PKCに結合しない。cis−不飽和脂肪酸は、ジアシルグリセロールと相乗的である。本開示の一態様において、「PKC活性化剤」という用語は、DAGまたはDAG誘導体、たとえばホルボールエステルを明白に除外する。
イソプレノイドは、本開示の方法における使用に好適なPKC活性化剤である。たとえば、ファルネシルチオトリアゾールは、2.5μMのKdでPKCを活性化する合成イソプレノイドである。たとえば、ファルネシルチオトリアゾールは、ジオレオイルグリセロールと効力が等しい(Gilbertら、1995、Biochemistry、34:3916)が、脂肪酸の加水分解性エステルを有さない。ファメシル(Famesyl)チオトリアゾールおよび関連化合物は、安定な持続性のPKC活性化剤である。分子量が低く(305.5)、荷電基がないので、ファルネシルチオトリアゾールは、血液脳関門を容易に越えるはずである。
Figure 0006062362
オクチルインドラクタムVは、テレオシジンに関連した非ホルボールプロテインキナーゼC活性化剤である。オクチルインドラクタムV、特に(−)−鏡像異性体の利点としては、より高い代謝安定性、高い効力(Fujikiら、1987、Adv.Cancer Res.、49:223;Collinsら、1982、Biochem.Biophys.Res.Commun.、104:1159)(EC.sub.50=29nM)、および血液脳関門を越える輸送を促進する低い分子量などが挙げられる。
Figure 0006062362
グニジマクリンは、0.1〜1nMの濃度でネズミ白血病および固形腫瘍に対して強力な抗腫瘍活性を示すダフナン型ジテルペンである。これは、K562細胞において約3nMの濃度でPKC活性化剤として作用し、Cdc25Aの抑制およびその後のサイクリン依存性キナーゼ2(Cdk2)の阻害(5ng/mlで100%の阻害が達成される)を通して、G1/S期における細胞周期進行を調節する。グニジマクリンは、ブリオスタチンと類似した複素環式の天然生成物であるが、いくらか小さい(MW=774.9)。
Figure 0006062362
イリパリダルは、Iris pallidaから単離された二環式トリテルペノイドである。イリパリダルは、NCI60細胞系スクリーニングにおいてマイクロモル〜ナノモルの範囲のGI50(増殖を50%阻害するために必要とされる濃度)値で抗増殖活性を示す。これは、高い親和性(Ki=75.6nM)でPKCαに結合する。これは、RasGRP3依存的な様式でERK1/2のリン酸化を誘導する。イリパリダルは、486.7の分子量(M.W.)を有する。イリパリダルは、ブリオスタチンの約半分のみの大きさであり、荷電基を欠いている。
Figure 0006062362
インゲノールは、ホルボールに関連したジテルペノイドであるが、毒性がかなり少ない。これは、トウワタ植物Euphorbia peplusに由来する。たとえば、インゲノール3,20−ジベンゾエートは、PKCに対する結合について[3H]ホルボールジブチレートと競合する(結合のKi=240nM)(Winklerら、1995、J.Org.Chem.、60:1381)。インゲノール−3−アンゲレートは、局所的に使用されるときに、扁平上皮癌および黒色腫に対する抗腫瘍活性を有する(Ogbourneら、2007、Anticancer Drugs、18:357)。
Figure 0006062362
ナフタレンスルホンアミドは、N−(n−ヘプチル)−5−クロロ−1−ナフタレンスルホンアミド(SC−10)およびN−(6−フェニルヘキシル)−5−クロロ−1−ナフタレンスルホンアミドを含み、もう1つのクラスのPKC活性化剤のメンバーである。SC−10は、ホスファチジルセリンのものと類似した機構を使用して、カルシウム依存的な様式でPKCを活性化する(Itoら、1986、Biochemistry、25:4179)。ナフタレンスルホンアミドは、ブリオスタチンとは異なる機構によって作用し、ブリオスタチンまたはもう1つのクラスのPKC活性化剤のメンバーと相乗効果を示すことが期待されるはずである。構造的に、ナフタレンスルホンアミドは、カルモジュリン(CaM)アンタゴニストW−7と類似しているが、CaMキナーゼに対する効果を有さないことが報告されている。
Figure 0006062362
リノール酸誘導体DCP−LA(2−[(2−ペンチルシクロプロピル)メチル]シクロプロパンオクタン酸)は、既知のPKCの、アイソフォーム特異的なごく少数の既知の活性化剤のうちの1種である。DCP−LAは、100nMの最大効果で選択的にPKCεを活性化する。(Kannoら、2006、J.Lipid Res.、47:1146)。SC−10と同様に、DCP−LAは、ジアシルグリセロール結合部位の代わりに、PKCのホスファチジルセリン結合部位と相互作用する。
PKCを直接に活性化するための代替のアプローチは、内因性の活性化因子である、ジアシルグリセロールのレベルを高めることである。ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤、たとえば6−(2−(4−[(4−フルオロフェニル)フェニルメチレン]−1−ピペリジニル)エチル)−7−メチル−5−H−チアゾロ[3,2−a]ピリミジン−5−オン(R59022)および[3−[2−[4−(ビス−(4−フルオロフェニル)メチレン]ピペリジン−1−イル)エチル]−2,3−ジヒドロ− −2−チオキソ−4(1H)−キナゾリノン(R59949)は、内因性のリガンドであるジアシルグリセロールのレベルを高め、それによってPKCの活性化を引き起こす(Meinhardtら、2002、Anti−Cancer Drugs、13:725)。
多様な成長因子、たとえば線維芽細胞成長因子18(FGF−18)およびインスリン成長因子は、PKC経路を通して機能する。FGF−18の発現は学習において上方制御されており、インスリン成長因子の受容体は学習に関係していることが示されている。これらのまたは他の成長因子によるPKCシグナル伝達経路の活性化は、プロテインキナーゼCを活性化する可能性のあるさらなる手段を提供する。
成長因子、たとえばNGFおよびBDNFの合成および/または活性化を刺激する成長因子活性化剤、たとえば4−メチルカテコール誘導体、たとえば4−メチルカテコール酢酸(MCBA)も、シナプス形成および/または神経突起の分枝形成に役割を果たしている収束経路と同様に、PKCを活性化する。
本開示によるPKC活性化剤としては、脂肪酸、たとえば不飽和脂肪酸、たとえばMUFAおよび/またはPUFA、ならびにそれらの誘導体であってその中の少なくとも1個のC=C二重結合がシクロプロピル基によって置きかえられた(すなわち、「シクロプロパン化された」二重結合である)またはエポキシル基によって置きかえられた(すなわち、「エポキシ化された」二重結合である)誘導体などが挙げられる。いくつかの態様において、不飽和脂肪酸のすべてのC=C二重結合は、シクロプロピル基および/またはエポキシル基によって置きかえられている。いくつかの態様において、脂肪酸誘導体は、シクロプロピル基とエポキシル基の両方を含んでいてもよい。
脂肪酸誘導体の末端官能基は、たとえば、フリーのカルボン酸(−CO)、アルコール(−CHOH)、またはエステル(−COR)、たとえばモノエステルまたはポリエステルであってもよい。エステルのアルキル基(R)は、直鎖であってもまたは分枝していてもよく、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、secブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、およびテトラデシル基などが挙げられる。エステルは、エステル結合内の脂肪アルコールに連結された脂肪酸から形成されていてもよい。意図される他のアルキルエステルとしては、脂肪族アルコールエステルおよび芳香族アルコールエステルなどが挙げられる。一態様において、たとえば、アルコールエステルはプロピレングリコールエステルである。他の一態様において、アルコールエステルはグリセロールエステルである。脂肪酸のグリセロールエステルとしては、たとえば、グリセロール脂肪酸エステル、グリセロール酢酸脂肪酸エステル、グリセロール乳酸脂肪酸エステル、グリセロールクエン酸脂肪酸エステル、グリセロールコハク酸脂肪酸エステル、グリセロールジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、グリセロール酢酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、およびポリグリセロールが縮合されたリシノール酸エステルなどが挙げられる。脂肪酸は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジン酸の形態でグリセロールに結合されていてもよいので、グリセロール誘導体は生物学的に重要である。たとえば、トリアシルグリセロール(またはトリグリセリド)は、3個の脂肪酸のカルボキシル基がグリセロールの全3個の炭素のヒドロキシルにエステル化されている化合物である。カルボン酸のエステル化は、負電荷を排除することによって、血液脳関門を越える輸送を促進する;アルコール基も、血液脳関門を越える輸送を促進する。
本開示の脂肪酸誘導体の基礎となりうるMUFAとしては、これらに限定されないが、以下の構造を有する脂肪酸などが挙げられる:
CH(CH)xCH=CH(CH)yCOOH
式中、xおよびyのそれぞれは、互いとは独立して、3〜11の奇数の整数である。例としては、cis−およびtrans−MUFA、たとえばオレイン酸、エライジン酸、オブツシル酸、カプロレイン酸、ラウロレイン酸、リンデリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、およびペトロセリン酸などが挙げられる。MUFAアルコールの例としては、たとえば、エライジルアルコール、オレイルアルコール、および1−モノリノレイルrac−グリセロールなどが挙げられる。シクロプロパン化およびエポキシ化されたMUFA誘導体の特定の例としては、エリアジル(eliadic)アルコールシクロプロパン(BR−106)、エリアジン(eliadic)酸シクロプロパン(BR−107)、オレイルアルコールシクロプロパン(BR−108)、およびエポキシステアリン酸(BR−116)などが挙げられる。
本開示の方法で意図される天然にシクロプロパン化またはエポキシ化されたMUFAまたはそのエステルもしくはアルコール誘導体としては、マルベニン酸(malvenic acid)、ベルノル酸、およびステルクリン酸などが挙げられる。例示的な化合物は、ベルノル酸メチルエステル(BR−117)である。
本開示の脂肪酸誘導体の基礎となりうるPUFAとしては、これらに限定されないが、以下の構造を有する脂肪酸などが挙げられる:
CH(CH(CH=CHCH(CHCOOH
式中、xおよびyは、それぞれ独立に、2〜6の範囲に及ぶ整数であり、メチレンおよび/またはポリメチレンで中断されたポリエンを含む。これらは、オメガ−6 PUFAである。例としては、これらに限定されないが、リノール酸、γ−リノール酸、アラキドン酸、およびアドレン酸などが挙げられ、これらは以下の構造を有する:
リノール酸 CH(CH(CH=CHCH(CHCOOH
γ−リノレン酸 CH(CH(CH=CHCH(CHCOOH
アラキドン酸 CH(CH(CH=CHCH(CHCOOH
アドレン酸 CH(CH(CH=CHCH(CHCOOH
本開示の脂肪酸誘導体の基礎となりうるPUFAのさらなる例としては、以下の構造などが挙げられる:
CHCH(CH=CHCH(CHCOOH
式中、xおよびyは、それぞれ独立に、2〜6の範囲に及ぶ整数であり、メチレンおよび/またはポリメチレンで中断されたポリエンを含む。これらは、オメガ−3 PUFAである。例としては、これらに限定されないが、α−リノール酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、およびエイコサテトラエン酸などが挙げられ、これらは以下の構造を有する:
α−リノレン酸 CHCH(CH=CHCH(CHCOOH
エイコサテトラエン酸 CHCH(CH=CHCH(CHCOOH
エイコサペンタエン酸 CHCH(CH=CHCH(CHCOOH
ドコサヘキサエン酸 CHCH(CH=CHCH(CHCOOH
PUFA誘導体としては、PUFA(カルボン酸、アルコール、またはエステル末端基)などが挙げられ、このとき、少なくとも1個のC=C二重結合は、シクロプロパン化またはエポキシ化されている。cis−PUFAエステルの例としては、以下の構造などが挙げられる:
CH(CH(CH=CHCH(CHCOOR
CHCH(CH=CHCH(CHCOOR
式中、xおよびyは、それぞれ独立に、2〜6の範囲に及ぶ整数であり、Rはアルキル基である。いくつかの態様において、Rは、アルコール、たとえば一価または多価アルコールのアルキル基である。アルコールの例としては、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、グリセロール、マンニトール、およびソルビトールなどが挙げられる。こうした場合において、アルコールは、分枝または非分枝のアルキル鎖を含んでいてもよく、または芳香族アルキル、たとえばフェノールアルコールを含んでいてもよい。PUFA誘導体の例としては、これらに限定されないが、リノールアルコールジシクロプロパン(BR−105)、リノレルアルコールトリシクロプロパン(BR−104)、およびベルノル酸メチルエステルシクロプロパン(BR−109)などが挙げられる。
いくつかの態様において、PUFA誘導体は、PUFAまたはそのエステルもしくはアルコールであり、このとき、少なくとも1個のC=C二重結合は、シクロプロパン化(cyclpropanated)またはエポキシ化されている。いくつかの態様において、たとえば、PUFA誘導体は、シクロプロパン化またはエポキシ化された2〜6個の二重結合を有するPUFAまたはそのエステルもしくはアルコールを含む。少なくとも1つの態様において、PUFA誘導体は、シクロプロパン化またはエポキシ化された3個の二重結合を有するPUFAまたはそのアルコールもしくはエステルを含む。本開示のPUFA誘導体は、シクロプロピル基とエポキシル基の両方も含んでいてもよい。
いくつかの態様において、PUFA誘導体は、エポキシ化されたcis−PUFAアルコール、たとえば、リノールアルコールジシクロプロパンまたはリノレルアルコールトリシクロプロパンを含んでいてもよい。
本開示によるシクロプロパン化および/またはエポキシ化された脂肪酸の基礎を形成しうるPUFAとしては、これらに限定されないが、アラキドン酸(AA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、およびエイコサペンタエン酸(EPA)などが挙げられる。例示的なPUFA誘導体としては、ドカヘキサエン(docahexaenonic)酸メチルエステルヘキサシクロプロパン(BR−111);エイコサペンタエン酸メチルエステルペンタシクロプロパン(BR−114);およびアラキドン酸メチルエステルテトラシクロプロパン(BR−115)などが挙げられる。
一態様において、PKC活性化剤は、以下の構造を有する、シクロプロパン化された、DHAのPUFA誘導体を含む:
Figure 0006062362
式中、Rは、Hまたはアルキル基である。一態様において、Rは、メチル(BR−111またはDHA−CB6メチルエステル)、またはメチル−3−(2−((2−((2−((2−((2−((2−エチルシクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)−シクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)シクロプロピル)プロパノエートである。
他の一態様において、PKC活性化剤は、以下の構造を有するPUFA誘導体を含む:
Figure 0006062362
この化合物は、BR−114(EPA−CP5またはメチル4−(2((2−((2−((2−エチルシクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)−シクロプロピル)ブタノエートメチルエステル)である。
さらに他の一態様において、PKC活性化剤は、以下の構造を有するPUFA誘導体を含む:
Figure 0006062362
この化合物は、BR−115(AA−CP4またはメチル4−(2−((2−((2−((−ペンチルシクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)シクロプロピル)メチル)シクロプロピル)ブタノエートメチルエステル)である。
他の一態様において、PKC活性化剤は、以下の構造を有するPUFA誘導体を含む:
Figure 0006062362
式中、Rは、Hまたはアルキルエステルである。一態様において、Rはメチルである。
製剤化および投与
PKC活性化剤は、それが血液脳関門を越えることを可能にすることになる任意の経路による投与用の有用な投与量単位中に生産されていてもよい。血漿からの多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脳内に越えて入ることが可能なことが実証されている。Rapoportら、J.Lipid Res.、2001、42:678〜685。したがって、一態様において、PKC活性化剤は、PUFA−誘導体化合物として製剤化される。本明細書中に開示の組成物の例示的な投与の経路としては、経口、非経口、経粘膜、鼻内、吸入、または経皮経路などが挙げられる。非経口経路としては、静脈内、細動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、包膜内、および頭蓋内投与などが挙げられる。
PKC活性化剤は、従来法に従って製剤化することができる。PUFA誘導体化合物として製剤化される場合、こうした製剤は、標準的な製剤で対象に提供することができ、薬学的に許容される任意の添加物、たとえば、賦形剤、滑沢剤、希釈剤、香味剤、着色剤、緩衝液、および崩壊剤を含んでいてもよい。標準的な製剤は当技術分野においてよく知られている。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Mack Publishing Company、2000を参照されたい。
一態様において、化合物は、経口剤形で製剤化される。経口投与の場合、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤、たとえば結合剤(たとえば、予めゼラチン状にされたトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);フィラー(たとえば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(たとえば、バレイショデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて従来の手段によって調製される、タブレットまたはカプセルの形態をとっていてもよい。タブレットは、当技術分野においてよく知られている方法によってコーティングされていてもよい。経口投与用の液体製剤は、たとえば、溶液、シロップもしくは懸濁液の形態をとっていてもよく、またはこれらの製剤は、使用前に水もしくは他の好適なビヒクルとの構成用の乾燥製品として提供されてもよい。こうした液体製剤は、薬学的に許容できる添加物、たとえば懸濁化剤(たとえば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(たとえば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性ビヒクル(たとえば、アーモンド油、油性エステル類、エチルアルコールまたは精留植物油);および保存剤(たとえば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)を用いて従来の手段によって調製されてもよい。製剤は、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤および甘味剤も含有していてもよい。
他の一態様において、PKC活性化剤は、非経口投与用に製剤化される。化合物は、注射による、たとえば、ボーラス注射または持続注入による、非経口投与用に製剤化されてもよい。注射用の製剤は、保存剤が添加された単位剤形で、たとえば、アンプル中または多回投与容器中で、提供されてもよい。組成物は、懸濁液、溶液、分散液、または油性もしくは水性ビヒクル中のエマルションのような形態をとっていてもよく、製剤化剤、たとえば懸濁化、安定化および/または分散化剤を含有していてもよい。
先に記載の製剤に加えて、PKC活性化剤誘導体は、インプラントによって(たとえば皮下または筋肉内に)または筋肉内注射によって投与されてもよい。したがって、たとえば、化合物は、好適なポリマーもしくは疎水性材料と共に(たとえば許容される油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂と共に、またはやや難溶の誘導体として、たとえば、やや難溶の塩として製剤化されてもよい。
他の一態様において、PKC活性化剤は、小胞内、特にミセル、リポソームまたはAlkonらに対する米国特許出願シリアル番号7,682,627に記載のような人工のLDL粒子で送達されうる。
投与用の用量は、1日あたり1mg〜10gの化合物、好ましくは10mg〜1gの化合物、きわめて好ましくは250mg〜500mgの化合物を送達するように好適に調製されてもよい。局所投与または非経口製剤用に調製されるときには、用量は、最終製剤の0.01%〜60重量%、好ましくは0.1%〜30重量%、きわめて好ましくは1%〜10重量%を含有する処方で作製されてもよい。最適な日用量は、当技術分野において知られている方法によって決定されることになり、因子、たとえば患者の年齢および他の臨床的に関連した因子によって影響されることになる。
療法の評価
本開示のPKC活性化剤を用いた処置の評価は、疾患の症状または臨床代用マーカーにおける改善の評価によって行うことができる。たとえば、治療した対象における記憶または認知技能の改善により、シナプス形成の増加があることが示唆されてもよい。本開示の方法による改善について評価されうる認知表現型の例としては、これらに限定されないが、軽度から中等度の自閉様行動(たとえば、手のフラッピング、およびアイコンタクトの回避)、内気、知覚統合困難、注意欠陥、活動過多、衝動性、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、抑うつ性の情動、不安、精神遅滞(知能指数[IQ]は典型的には35〜70である)、数学的学習能力障害、攻撃的傾向、抽象的思考の欠如、早期のマイルストーンに達した後の発達遅延(特に発言および言語の遅延)、ならびに年齢増加に伴うIQの低下などが挙げられる。
組合せ療法
本開示のPKC活性化剤は、現在使用されているまたは使用されるようになる、薬物療法、行動療法、コミュニケーションおよび教育療法を含む、脆弱性X症候群のためのいかなる療法とも組み合わせて投与することができる。
[例]
例1:ブリオスタチンは、脆弱性Xマウスにおいて学習および記憶を改善する
動物。以下の2種類のマウス(雄、The Jackson Laboratories、ME、USA;1群あたり9〜10匹)を試験において使用した:FVB.129P2−Fmrltm1Cgr/J(FMR1)およびFVB.129P2−Pde6bTyrc−ch/AntJ(対照群として)。
薬物投与。ブリオスタチン−1を20μg/mで投与した(尾静脈内、2用量/週を13週間、2ヵ月齢に開始)。無処理群には、処理群と同一の容量のビヒクルを同一の投与頻度で投与した。
水中迷路。第1の訓練である空間的水中迷路の課題は、最終用量後10日目に開始された。四分円のうちの1つの中央に置かれ、水面下に約2cm浸水した、隠れた足場を見つけるように、マウスを8日間訓練させた(2試験/日)。全試験の開始時に、各試験で異なる出発地点を使用して、マウスを、迷路の壁に面する水中に個別に配置して、それらが足場を見つけるまで泳げるようにし、ここで、それらは20秒間残され、その後、それらのホームケージに戻された。1.5分間以内に足場を見つけることができなかったマウスは、研究者によってそこに誘導され、90秒で評価された。泳ぐ経路をビデオで追跡するシステムで記録し、これは、プラットフォームまでの潜時、泳いだ距離、および四分円内で費やされた時間の百分率を計算した。訓練試験後、足場の部位についての記憶の保持を四分円内でマウスが移動した距離によって評価するために足場を除去して、探索試験(四分円試験または保持試験)を行った。ビデオで追跡するシステムは、1分間の間の各四分円内の動物の運動を追跡した。探索試験後、可視的足場試験(水面より上であるが新しい位置に9インチ突出したポールで印をつけた足場がある)を行い、動物の脱出のための知覚運動能力および意欲を評価した。
結果。4つの群の間で学習に有意差があり(F3,623=5.214、p=0.001;図1)、群間での異なる学習が示された。ブリオスタチン1処理は、FMR1マウスの学習能力を有意に(ビヒクルを用いたFMR1対ブリオスタチン−1を用いたFMR1:F1,319=15.556、p<0.001)、対照のレベルまで(ビヒクルを用いた野生型対ブリオスタチン−1を用いたFMR1:F1,319=0.827、p>0.05)改善し、ブリオスタチン−1処理がトランスジェニックマウスの学習能力を改善したことが示された。
(標的四分円距離を探索試験の間の非標的四分円値の平均で除算して)標的四分円比を使用して探索試験の結果を解析した(図2)。群間で標的四分円比に有意な差がありF3,38=3.016、p<0.05)、群間での空間記憶における差が示された。詳細な解析より、トランスジェニックマウスにおけるブリオスタチン−1処理は、記憶想起を、処理なしのトランスジェニックマウスのもの(F1,19=6.640、p<0.05)と比較して、対照のレベルまで(対照マウス対ブリオスタチン−1を用いたトランスジェニックマウス:F1,15=0.028、p>0.05)有意に改善したことが明らかにされた。
探索試験の後に決定された、可視的足場試験により、群間で有意差はないことが明らかにされ(F3,38=1.042 p>0.05;図示せず)、これにより、異なる群間で知覚運動能力および脱出意欲における有意差はなかったことが示された。したがって、群間での学習および記憶想起能力における差が、それらの知覚運動能力および脱出意欲における差によるものであると考えることはできない。
例2:ブリオスタチンは、加齢ラットにおいてシナプスの喪失を回復させる
共焦点インビボ実験。麻酔下(抱水クロラール;Sigma−Aldrich;400mg/kg体重、腹腔内)で、ラットを、重力によってPBSで心臓を通して灌流させて血液を洗い出し、次いで、冷却した固定液の代わりに、室温でPBS中4%のパラホルムアルデヒド150mlを用いて軽く固定した。これは、低体温が樹状突起棘の数を減少させうるからである。脳を摘出して、10分間、後固定した。その後、海馬を右脳半球から単離して、背側海馬を、DiI染色および免疫組織化学法用にビブラトームを用いて400μmで切片化した。
DiI染色。電気生理学に使用されるように調製された、ガラス電極の先端部を、ジクロロメタン(Sigma−Aldrich)中5%(重量/体積)の1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラマチル−インドカルボシアニンペルクロラート(DiI、Molecular Probes/Invitrogen)中に浸漬し、室温で30分間空気乾燥させた。DiIでコーティングされた電極の先端部を、400μmの厚さの海馬切片のCA1領域の上昇層中に挿入して破壊し、残した。PBS中に4℃で一晩維持して、DiIがCA1ニューロンの形質膜中に拡散できるようにした後に、次いで、海馬切片を、35μmの厚さに再切片化し、PBSを封入剤として使用して、ガラススライド上にマウントした。放射層中のDiIで染色された樹状突起棘を、510共焦点スキャニングシステムを備えたZeiss Axiovert 200M顕微鏡を使用して568nm/>510nm(励起/放出)で収集した。共焦点画像のスタック(0.4μm毎に撮像)を収集して、個々の樹状突起シャフトのすべての樹状突起棘を得た。解析中、画像のスタックは、ImageJプログラム(National Institutes of Health)を用いて回収した。1枚の画像上で確認された個々の棘を、隣接するスタックした画像上で検証して、この棘の三次元構造を見積もった。それらの棘は、それらの頸部直径よりも3倍以上大きい頭部直径を有し(図1dおよびe)、マッシュルーム型棘として特定された。およそ4〜6枚のスタックした画像セットを各動物から得た。すべての画像セットをプールしてコード化した;したがって、画像は、未知の動物数および未知の処理で確認された(二重盲検プロトコル)。
免疫組織化学法。400μmの厚さの海馬切片を固定液(PBS中の4%のパラホルムアルデヒド)中に室温で30分間さらに浸漬し、次いで、ビブラトームを使用することによって35μmの厚さで切片化した。次いで、切片を、Hongpaisanら、J Neurosci.、2004、24:10878〜10887に記載のように、免疫組織化学法用に処理した。組織切片を、スピノフィリンに対する一次抗体(ポリクローナルIgG;1:100;Upstate/Millipore)、シナプトフィジンに対する一次抗体(モノクローナルIgG;1:2,000;Chemicon/Millipore)、および/またはHuC/Dに対する一次抗体(モノクローナルIgG;1:100;Molecular Probes)と共に浮遊させて室温で一晩インキュベートした。ポリクローナル抗体の場合は、組織切片を、Alexa Fluor568ヤギ抗ウサギIgG(1:200;Molecular Probes)と共に室温で3時間インキュベートした。モノクローナル抗体の場合は、切片を、ビオチン化された二次抗体(1:20;Vector Laboratories)と共に室温で3時間、次いで、Alexa Fluor488(1:100;Molecular Probes)と結合されたストレプトアビジンと共に室温で3時間処理した。切片を、核を対比染色するためのDAPI(Vector Laboratories)を含むVECTASHIELD封入剤でマウントして、共焦点顕微鏡で撮像した(512ピクセル×512ピクセル)。
すべてのデータを、ImageJプログラムを使用することによって定量化した。放線状層の表面部分から撮像した63−μm×63−μmの画像におけるスピノフィリンおよびシナプトフィジンプロファイルの出現を、バックグラウンドを減算した後に写真用ネガで解析した。次いで、スピノフィリンおよびシナプトフィジンの顆粒の総数を、ImageJを使用することによって計数した。シナプトフィジン強度を、63−μm×63−μmの画像の全領域で定めた。HuC/D免疫染色を、各個別のCA1錐体ニューロンの近位樹状突起部分における蛍光強度を測定することによって定量化した。未処理の対照データを100%に設定し、他のすべての実験データを、それらの対照の百分率として定めた。
統計解析。すべてのグラフデータは、平均±SEMとして示されている。すべての行動訓練および共焦点画像からの共焦点データを、最初に、一要因ANOVAによって統計的に解析した。次いで、ANOVAで示されたような群間の有意な全体的な差を有する行動データを、2群間の差(たとえば、迷路対迷路およびブリオスタチン)について一要因ANOVAでさらに解析した。
結果。図3に示されているように、加齢ラットのブリオスタチン−1処理は、シナプス小胞糖タンパク質であるシナプトフィジンの存在を増加させ、シナプスの数における増加を示した。
例3:ブリオスタチンは、脆弱性Xマウスにおいて、樹状突起棘の喪失を防止し、正常な樹状突起棘の形態を回復させる
FMR1(FVB.129P2−Fmrltm1Cgr/J)および対照(FVB.129P2−Pde6bTyrc−ch/AntJ)マウスを、例1に記載のようにブリオスタチン−1で処理した。次いで、マウスを屠殺し、例2に記載のように海馬切片を摘出して処理した。
図4は、ブリオスタチンでまたはそれなしで処理したFMR1マウスにおける樹状突起棘形成の結果を示している。脆弱性Xトランスジェニックマウスは、樹状突起棘の喪失を示し、これは、糸状仮足と置きかえられていた。ブリオスタチンでの処理は、樹状突起マッシュルーム型棘の数および密度を野生型レベルまで回復させた。
脆弱性Xトランスジェニックマウスでは、野生型対照マウスよりも少ない数のマッシュルーム型および全樹状突起棘も示された(図5)。これにより、対照マウスと比較して、脆弱性Xトランスジェニックマウスにおけるマッシュルーム型樹状突起棘の記憶依存的形成の喪失が示される。ブリオスタチンでの処理は、脆弱性Xトランスジェニックマウスにおけるマッシュルーム型および全樹状突起棘の記憶依存的形成の喪失を防止した(図5)。
脆弱性Xトランスジェニックマウスからの海馬CA1ニューロンは、野生型対照マウスと比較して、有意に多数の糸状仮足を有した(図6)。これにより、糸状仮足は、これはシナプスを含有しないが、脆弱性Xマウスでは樹状突起棘への分化およびシナプスの形成ができないことが示される。ブリオスタチンでの処理は、脆弱性Xトランスジェニックマウスにおける糸状仮足から樹状突起棘への変形および支持されたシナプス形成を改善した(図6)。
シナプス前膜マーカーである成長関連タンパク質−43(GAP−43)での染色により、脆弱性Xトランスジェニックマウスは、野生型対照マウスよりも低いシナプス前膜密度を有することが示された(図7)。ブリオスタチンでの処理は、脆弱性Xトランスジェニックマウスにおけるシナプス前膜密度を野生型レベルまで回復させた(図7)。
シナプス後膜マーカーであるニューログラニンで海馬CA1領域を染色したとき、同様の結果が認められた。特に、ニューログラニン染色により、シナプス後膜密度における変化は、シナプス前密度における変化および全体的な樹状突起棘数における変化と同様であったことが明らかにされた(図8)。これらのデータにより、シナプスの数は、脆弱性Xにおいて減少しているが、ブリオスタチン処理で回復させることができることが示される。
シナプス前小胞およびシナプス前ボタンを、シナプス前小胞膜タンパク質シナプトフィジンで染色することによって調査した(図9)。図9における各個別のシナプトフィジン粒は、単一のシナプス前軸索ボタンを表しており、蛍光強度は、各軸索ボタン内のシナプス前小胞の濃度を示している。実験条件にわたってシナプス前軸索ボタンの数における差は認められなかったが、脆弱性Xトランスジェニックマウスにおいてシナプス前小胞濃度の低下が認められた。ブリオスタチンでの処理は、脆弱性Xトランスジェニックマウスにおけるシナプス前小胞濃度を有意に回復、およびさらに上昇させた(図9)。これらの結果により、ブリオスタチンによって誘導されたマッシュルーム型棘は、既存の棘とのシナプスをすでに有している既存の軸索ボタンとシナプスを形成し、多重シナプスボタンの数を増加させる結果となることが示唆される。
全体的に、示している図面中のデータおよびPKC活性化剤の有益な効果は、ブリオスタチンで処理したFMR1マウスによって実証された。これらの有益な効果は、シナプス前部および後部のマーカーの増加によって、成熟シナプスの数の増加、マッシュルーム型棘(この上に成熟シナプスが生じる)の数の増加および未成熟棘(この上に成熟シナプスはないことが多い)の数の減少を含むことが示された。棘およびシナプスのすべての測定は、処理および訓練レジメンの後に屠殺したマウスの脳において行った。
ブリオスタチン処理のもう1つの有益な効果は、FMR1マウスで認められた空間的迷路学習および記憶における欠陥の修正であった。
特許、特許出願、公報、製品説明書、およびプロトコルは、本出願の全体を通して引用されており、これらの開示は、参照によりその全体がすべての目的で本明細書に組み込まれている。
本開示の他の態様は、本明細書の考察および本明細書中に開示されている開示の実施から当業者に明らかとなるであろう。本明細書および例は、添付の特許請求の範囲によって示されている本開示の実際の範囲および趣旨と共に、単に例示的なものとしてみなされることが意図される。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
異常な樹状突起棘に関連した認知障害を、それを必要とする対象において治療する方法であって、薬学的に許容される担体中の有効量のPKC活性化剤を前記対象に投与することを含み、
PKCが、下方制御されることなく活性化され、
前記PKC活性化剤が、(a)認知機能を改善する、(b)ニューロン中の樹状突起棘の形態を回復させる、および/または(c)シナプトフィジンの量を増加させる方法。
[2]
[2]に記載の方法であって、前記PKC活性化剤が大環状ラクトンである方法。
[3]
[2]に記載の方法であって、前記大環状ラクトンが、ブリオスタチンまたはネリスタチン化合物である方法。
[4]
[3]に記載の方法であって、前記ブリオスタチン化合物が、ブリオスタチン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、または−18である方法。
[5]
[3]に記載の方法であって、前記ネリスタチン化合物がネリスタチン−1である方法。
[6]
[2]に記載の方法であって、前記大環状ラクトンがブリオログである方法。
[7]
[1]に記載の方法であって、前記認知機能が、学習、記憶、注意、自閉様行動内気、知覚統合困難、注意欠陥、活動過多、衝動性、抑うつ不安、数学的学習能力障害、攻撃的傾向、抽象的思考の欠如、発言および言語の遅延、ならびに低下したIQを含む方法。
[8]
[1]に記載の方法であって、前記樹状突起棘がマッシュルーム型棘である方法。
[9]
[1]に記載の方法であって、前記認知障害が、脆弱性X症候群、脆弱性X関連振戦/運動失調症候群、自閉症、および精神遅滞から選択される方法。

Claims (3)

  1. 異常な樹状突起棘に関連した認知障害を、それを必要とする対象において治療するためのPKC活性化剤を含む医薬組成物であって、
    PKCが、下方制御されることなく活性化され、
    前記PKC活性化剤が、(a)認知機能を改善する、(b)ニューロン中の樹状突起棘の形態を回復させる、および/または(c)シナプトフィジンの量を増加させ、
    前記認知障害が、脆弱性X症候群、脆弱性X関連振戦/運動失調症候群、自閉症、および精神遅滞から選択され
    薬学的に許容される担体中に有効量のPKC活性化剤を含む前記医薬組成物が前記対象に投与され
    前記PKC活性化剤が、ブリオスタチン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、または−18である、医薬組成物。
  2. 請求項1に記載の医薬組成物であって、前記認知機能が、学習、記憶、注意、自閉様行動内気、知覚統合困難、注意欠陥、活動過多、衝動性、抑うつ不安、数学的学習能力障害、攻撃的傾向、抽象的思考の欠如、発言および言語の遅延、ならびに低下したIQを含む医薬組成物。
  3. 請求項1に記載の医薬組成物であって、前記樹状突起棘がマッシュルーム型棘である医薬組成物。
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