JP6060503B2 - 蓋材および該蓋材を用いた包装容器 - Google Patents

蓋材および該蓋材を用いた包装容器 Download PDF

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Description

本発明は、上端に開口部を有し、かつ上端周縁にフランジ部を有する容器本体の、前記フランジ部においてシール密封するのに適した紙を主体とした蓋材に関するものであり、特に即席麺等を収納し、熱湯を注いで食する包装容器の蓋材であってアルミニウム箔を含まない構成の蓋材に関する。
従来、例えば即席麺や即席スープ等を収納する包装容器において、上端に開口部を有し、かつ上端周縁にフランジ部を有する容器本体の前記フランジ部を熱シール等により密封する紙を主体とした蓋材として、紙層の下面にアルミニウム箔、シーラント層が積層されたものが知られている。この開封に際し、フランジ部にシールされている蓋材をその周縁のタブを持ち上げながら略中心部まで剥がすと、上記のようなアルミニウム箔を介在させた構成の蓋材は、剥がしたままの状態を維持できる性質(以下デッドホールド性という)を有する。
この性質により、例えば即席ラーメンなどでは、剥がして半開きの状態のまま容易に熱湯を注ぐことができ、次いで一旦再封して麺を温めほぐし柔らかくする場合、蓋材を元に戻し、タブを容器本体のフランジ部に巻き付けるようにして止められる性質(以下再封性という)を有するものであった。この再封性としては蓋材を元に戻すとカールなどせずに平坦になる性質であってもよい。
しかしながら、上記のようなアルミニウム箔が介在する構成の蓋材においては、使用後の焼却処理において、アルミニウム箔が炉中にインゴットとして絡みついて焼却炉を傷めたり、焼却効率を低下させたりする問題があった。また、その焼却灰の埋立処分において雨水等との反応による有害ガスの発生等の問題があった。
さらにまた、蓋材にアルミニウム箔の介在は、内容物が収容された容器中に異物の混入を検査する金属探知機の使用を不可能にしていて、このような金属探知機使用による検査法を可能とすることが要望されていた。
上記問題点を解決するための蓋材として、例えばアルミニウム箔を除いた紙層、シーラント層等で構成された積層材料を用いた場合、デッドホールド性がなく簡単に蓋が閉じてしまい、熱湯を注ぎ難くし、熱湯がこぼれ火傷などの危惧があった。また熱湯を注いだ後の再封に際し、熱等で蓋がカールして閉まらず、再封しにくいという問題点があった。
図3には蓋材のデッドホールド性を模式的に示した。図3(A)には、容器本体(40)の開口部周縁に形成されたフランジ(42)の上面にシールされた蓋材(41)を開封用プルタブ(43)を引っ張って上方に持ち上げて図の左側の開口部を開けた状態の断面を示している。
蓋材にデッドホールド性がある場合には開けられた蓋材(41)は持ち上げる作業を終了した後に力を加えることを止めても元の状態には戻らず、容器本体(40)の開口部は開口した状態を保ち、内部にお湯を注ぐ作業を安全に行うことが出来る。
図示しないが蓋材(41)の開封用プルタブ(43)を容器本体のフランジ(42)に引っ掛けて元に戻らない状態をより安定させることも可能である。
また、お湯を注いでから再封する動作を行なったときも、蓋材は反発力によって戻ることなく、調理に要する一定時間が経過するまで安心して放置することが出来る。
これに対して蓋材にデッドホールド性がない場合には、図3(A)の状態で蓋材(41)から手を離すと蓋材(41)は折れ曲がった状態(41’)から反発力によって元の状態に戻ってしまい、図3(B)のように容器本体(40)の開口部を元のように塞いでしまうことになる。熱湯から発生する蒸気の影響を受けてこの戻りはさらに促進される。この場合には容器内部にお湯を注ぐ作業は蓋材を手で押さえた状態で手早く行なわなければならず危険でやりにくい作業となってしまう。
このような問題に対する解決策として特許文献1には、廃棄物に係わる環境問題の危惧がなく、かつ金属探知機による製品の検査を可能にするために、アルミニウム箔を用いない構成の積層体であっても、十分な開封状態(デッドホールド性)と再封性を有する即席食品用容器の蓋材が提案されている。
この提案では、容器本体の上端開口部をシール密封する、アルミニウム箔を含まない積層体で、かつ外周縁に剥離用タブと開封用タブを有し、該両タブは中心より略90°の位置に設けられている即席食品用容器の蓋材において、前記積層体は、複合シートと表面シートとが、中央に前記剥離用タブの基部の幅近傍の所定の領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と該易剥離領域以外の接着領域とに区画されて互いに積層接着され、前記表面シートの易剥離領域と接着領域の境界線よりやや易剥離領域の両側にハーフカットによるミシン目もしくはそれと類似の切り目を刻設してなる即席食品用容器の蓋材が開示されている。
この蓋材を用いると、蓋の上層の一部を帯状に剥離、除去することが出来、残った蓋の下層部分がヒンジ的に機能して開封時と再封時に元に戻らないという性質によってデッドホールド性を発現できるという効果がある。
図4は上記の蓋材の帯状剥離部分ミシン目加工の説明図である。(A)は上層の一部の剥離前の状態を、(B)は蓋材の部分開封後の状態を示している。
容器の開封時には、まず、容器のフランジに蓋材(41)をシールしたところを上面から見た図4(A)に矢印で示したように、剥離用プルタブ(44)を把持して上方に持ち上げる。これによって剥離開始ハーフカット(45)から上層部分が切り離されて上層部の剥離部境界のミシン目加工(11)に沿って境界線で囲まれた内部の領域のみが帯状に除去される。
つぎに開封用プルタブ(43)を把持して矢印のように上方に持ち上げる。これによって容器外周縁のフランジから蓋材(41)が剥離して容器開口部が部分的に開口する。このときに、蓋材(41)のほぼ中心部まで剥離すると上層部の剥離部境界のミシン目加工(11)に沿って境界線で囲まれた内部の領域のみが帯状に除去された位置に到達する。この位置で剥離を停止して蓋材を剥離進行方向に折り曲げると図4の(B)に断面を示した状態で停止する。
このときに、蓋材は上層部が剥離除去された領域(46)でヒンジ状に折れ曲がり開封状態を保持する。すなわち、上記領域(46)においては紙を主体とする上層部が剥離除去されることで、厚みも薄くなっている為、折り曲げられた蓋材が元の平坦な状態に戻ろうとする反発力が低減される。上記領域以外では剥離された蓋材の厚みが減っていないので折れ曲がることはない。さらに蓋材(41)を折り曲げて開封用プルタブ(43)をフランジに引っ掛けて完全に仮固定することも可能である。
また、この蓋を用いた商品はアルミニウム箔を有しないのでお湯入れ調理とともに電子レンジ調理も可能である。
蓋材の上層部分を貫通する直線状のミシン目を設けた上記の蓋材においては、断続的に
入れたハーフカットの間を破りながら切り取るために剥離時の抵抗がやや大きく、剥離する角度によってはうまく剥離できない場合がある。
境界線として上層部分を貫通する直線状のハーフカットを設ける方法もあるが、この方法においては、容器にシールする前のあらかじめ蓋の外形に抜き加工された枚葉状態の蓋のときに製造、充填ライン上でその直線に沿って蓋材が折れ込み不具合が発生する可能性がある。
とくに端から端までの直線カットを施すと、蓋材の製造工程や充填時の生産ライン上で蓋が折れ曲がってしまう危険が大きい。図5には蓋材の枚葉状態での折れ曲がりの説明図を示した。左側の図は蓋材(41)に直線状のハーフカット(10)を二本刻設した、枚葉に抜き加工した後の折れ曲がり前の状態を、右側の図は直線状のハーフカット(10)から折れ曲がった後の様子である。
上記の事情から蓋の表面から上層部分を貫通するハーフカットを入れてそれに沿って上層部分を切り取る蓋材で、開封時に切り取り易く、デッドホールド性を有し、かつ枚葉状態での製造時と充填時に蓋材が折れて不具合が起こることのないアルミニウム箔を含まない蓋材が望まれていた。
特開2002−37311号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、廃棄物に係わる環境問題の危惧をなくして、金属探知機による製品の検査と電子レンジによる調理を可能にするために、アルミニウム箔を用いない構成の積層体であっても、十分な開封状態(デッドホールド性)と再封性を有し、かつ枚葉状態での製造時と充填時に蓋材が折れて不具合が起こることのない即席食品用容器の蓋材を提供することにある。
そこで本発明者は、蓋の表面から上層部分を貫通するハーフカットを入れてそれに沿って上層部分を切り取る蓋材で、容器外面となる蓋材の表面から切離線として入れる上層部を貫通するハーフカットの形状を直線状ではなく波線等の非直線状とすることで開封時に切り取り易く断面が荒れない、かつ充填時等の枚葉状態での取り扱い時に蓋材が折れて不具合が起こることのない蓋材とすることが出来ることを見出し本発明を完成した。
上記のように蓋材の表面からハーフカットの切離線を入れるにあたって、ハーフカットの切離線の形状は非直線状であれば波線状に限らず、他の曲線や折れ曲がりを含む線状でもよい。
上記の課題を解決するための、本発明の請求項1に係る発明は、充填時に枚葉供給されて容器本体の上端開口部にシール密封される、アルミニウム箔を含まない積層体で、かつ外周縁に剥離用タブと開封用タブを有し、該両タブは中心より略90°の位置に設けられている蓋材において、
前記積層体は、下層部と上層部とが、前記剥離用タブの基部から前記中心を通り前記蓋材の外周縁に至る、前記剥離用タブの基部の幅を有する所定の領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と該易剥離領域以外の接着領域とに区画されて互いに積層接着され、易剥離領域と接着領域の境界線よりやや易剥離領域に入り込んだ両側の上層部に2本の並列又は線対称のハーフカットによる連続した切り目からなる非直線状の切離部を刻設してなることを特徴とする蓋材である。
本発明の請求項2に係る発明は、前記上層部は少なくとも紙層を含む構成からなり、下層部は内面側から少なくともシーラント層、基材フィルム層、接着熱可塑性樹脂層の順に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材である。
本発明の請求項3に係る発明は、前記剥離用タブの基部の下層部にハーフカットによる溝を刻設し、該刻設されたハーフカットによる溝が前記非直線状の切離部の切り目と交差していることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋材である。
本発明の請求項4に係る発明は、非直線状の切離部の1本切り目における幅が1mmから3mmの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蓋材である。
本発明の請求項5に係る発明は、非直線状の切離部の2本切り目における最狭部の幅が5mm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の蓋材である。
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の蓋材を用いた包装容器である。
本発明の請求項1または2に係る蓋材は、その構成中にアルミニウム箔を含まないので、廃棄物に係わる環境問題の危惧がなく、かつ金属探知機による検査が可能となっている。さらに、開封に際し、まず外周縁の剥離用タブを引っ張り上げると易剥離領域の両側の2本の並列又は線対称のハーフカットによる連続した切り目からなる非直線状の切離部に沿って易剥離領域の上層部が切れて剥離され、次いで他方の開封用タブを引っ張りあげ、上層部が剥離された部分まで蓋材を剥がして折り曲げると、その剥離された部分が、シーラント層、基材フィルム層等でなる下層の薄いフィルムのみとなるので、折り曲げられたままの状態を維持できる性質、即ちデットホールド性を有し、さらに再封に際し、折り曲げられた部分を元に戻すと、この部分に紙層がないのでカールが無くなり平坦な状態に戻り易くなる所謂再封性にも優れる蓋材とすることができる。
さらに、請求項1または2に係る本発明の蓋材は、易剥離領域と接着領域の境界領域に形成された、2本の並列又は線対称のハーフカットによる連続した切り目からなる非直線状の切離部が上層部に形成されていることによって、ハーフカットによる切離部を直線状に形成した場合に比べて充填時に蓋材が折れて不具合が起こることのない蓋材とすることが出来る。
加えて、請求項1または2に係る本発明の蓋材は、易剥離領域と接着領域の境界領域に形成された、2本の並列又は線対称のハーフカットによる連続した切り目からなる非直線状の切離部が上層部に形成されていることによって、ミシン目状のカットによる切離部を直線状に形成した場合に比べて、開封時に切り取り易く断面が荒れない蓋材とすることが出来る。
また、請求項3に係る本発明の蓋材は、開封前の易剥離領域の剥離に際し、その剥離用タブを一旦手前側に折り曲げてから引っ張りあげると、下層部に刻設されたハーフカット溝がきっかけとなり、この溝と交差している上層部の2本の並列又は線対称のハーフカットによる連続した切り目からなる非直線状の切離部から切断し易くなるので、易剥離領域における上層部の剥離を容易にかつ確実にすることができる。
請求項4に係る本発明の蓋材によれば、非直線状の切離部の1本切り目における幅が1mmから3mmの範囲であることによって開封時に切断し易くかつ切り目からそれて破断することのない蓋材とすることが出来る。前記1本切り目における幅とは、曲線や折れ線状などの非直線状の切離部の1本の切り目における振幅の幅(P)を表す。
本発明の請求項5に係る蓋材は、非直線状の切離部の2本切り目における最狭部の幅が5mm以上であることによって開封時に切断位置が隣接する切り目に移行することなく安定して切断できる蓋材とすることが出来る。
本発明の請求項6に係る包装容器によれば、開封時に切り取り易く断面が荒れない、デッドホールド性を有する、かつ充填時に蓋材が折れて不具合が起こることのない包装容器とすることが出来るようになった。
以上のように、本発明の即席食品用容器の蓋材によれば、容器外面となる蓋材の表面から切離線として入れる上層部を貫通するハーフカットの形状を直線状のミシン目ではなく非直線状のハーフカットとすることで開封時に切り取り易く断面が荒れない、デッドホールド性を有する、かつ充填時に蓋材が折れて不具合が起こることのない蓋材とそれを用いた包装容器とすることが出来るようになった。
本発明の蓋材を用いた容器の例を上面から見た時の概観図である。(A)は剥離前、(B)は剥離後。 本発明の蓋材の層構成の例を示す断面略図である。 従来の蓋材のデッドホールド性の説明図である。(A)は開封直後、(B)は戻り状態。 従来の蓋材の帯状剥離部分ミシン目加工の説明図である。(A)は剥離前、(B)は開封後の状態。 従来の蓋材の枚葉状態での折れ曲がりの説明図である。左図は折れ曲がり前、右図は折れ曲がり後。 本発明の蓋材の他の例を上面から見た時の概観図である。 本発明の蓋材の他の例を上面から見た時の概観図である。 本発明の蓋材の帯状剥離部分ハーフカット加工の説明図である。(A)は剥離前、(B)は開封後の状態。
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明の蓋材を用いた容器の例は、図1の概観図(A)に示すように、例えば上端の周縁にフランジ(42)を設けた開口部を有する容器本体(40)の前記開口部を密封するための蓋材(41)に関するものであって、その蓋材(41)は、アルミニウム箔を含まない積層体で、その外周縁に剥離用プルタブ(44)と開封用プルタブ(43)を有し、これら両タブ(44、43)は中心(Q)より略90°の位置に設けられていて、その一方の剥離用プルタブ(44)は、上層部に刻設されている剥離部境界やや内側のハーフカット加工(10)を切断し上層部を剥離するためのもので、他方の開封用タブ(43)は、蓋材(41)をフランジ(42)から剥離し開封するためのものであり、容器本体(40)のフランジ(42)にヒートシール等でシールされ、密封されているものである。
上記本発明の蓋材(41)は、まず図1(A)の正面図に示すように、中心より45°方向に延びる外周縁に剥離用プルタブ(44)と開封用プルタブ(43)を有し、中央に前記の剥離用プルタブ(44)の基部に近い幅の領域に易剥離剤の塗布された易剥離層(30)の領域からなる易剥離領域(L1)とこの易剥離領域(L1)以外の接着領域(L2)とに区画されて表面の上層部と内面の下層部が互いに積層接着されていて、易剥離領域(L1)と接着領域(L2)との2本の境界線よりやや易剥離領域(L1)内に、容器外面となる蓋材の表面から切離線として入れる、上層部を貫通する非直線状の剥離部境界のハーフカット加工(10)を刻設してなるものである。
さらに上記本発明の蓋材(41)は、アルミニウム箔を含まない積層体でなり、この積層体は、図2の(A)に示すように、例えば表面の上層部(51)と内面の下層部(52)が、中央に剥離用プルタブ(44)の基部の幅近の領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域(L1)とこの易剥離領域(L1)の両側に上層部(51)と下層部(52)が接着する接着領域(L2)とに区画されて互いに積層接着され、この上層部(51)の易剥離領域(L1)と接着領域(L2)の境界線よりやや易剥離領域(L1)内にハーフカットによる切れ目線(10)を刻設してなるものである。
図1においては剥離部境界のハーフカット加工(10)は、平行に並んだ2本の波線としてあるが、これらの形状と配置は特に例示した形状に限られるものではない。
たとえばハーフカット加工(10)の例として、図6には(A)に示した2本の波線以外に(B)には三角折れ線の例を、(C)には四角折れ線の例を示した。
さらに、ハーフカット加工(10)の例として、図7の(D)には線対称に配置された2本の波線の例を、(E)には同じく三角折れ線の例を、(F)には同じく四角折れ線の例を示した。
剥離部境界のハーフカット加工(10)は、形状としては図の(B)に示したような1本の幅(P)が1mm以上であることが、枚葉形状での折れ曲がりを防ぐ点から見て好ましい。
本発明の蓋材の層構成の例を示す断面略図の例を図2に示した。図2の(A)は比較的簡単な構成の場合を、(B)には別の場合の例を挙げてある。
本発明の蓋材は、図2(A)に示すように、例えば紙層からなる前記上層部(51)と、内面側から容器のフランジ部にシール適性のあるシーラント層(27)、基材フィルム層(29)、上層部(51)との接着性を持たせるための接着熱可塑性樹脂層(28)の順に積層されている下層部(52)とからなる蓋材(41)である。
また図2の(B)に例示したように、上層部(51)の層構成は、外面側から、表面フィルム(24)、紙層(25)とし、下層部(52)の層構成は、内面側からシーラント層(27)、印刷インキなどによる遮光印刷層(26)、基材フィルム層(29)、接着熱可塑性樹脂層(28)の順としてもよい。
この場合には遮光印刷層(26)を外側すなわち上層部(51)側に施してもよく、遮光を必要としない内容物の場合は、この遮光層(26)がない構成であっても構わない。
また、本発明の蓋材では、図1(A)に示すように、剥離用プルタブ(44)の基部の下層部面に下層部内面側から上層部に届く深さの剥離開始ハーフカット(45)を刻設し、この刻設されたハーフカット(45)が、上層部に刻設された剥離部境界のハーフカット加工(10)と直交するようにしたものである。
図8は本発明の蓋材の波帯状剥離部分ハーフカット加工の説明図である。図8(A)は上層の一部の剥離前の状態を、(B)は蓋材の部分開封後の状態を示している。
容器の開封時には、まず、容器のフランジに蓋材(41)をシールしたところを上面から見た図8(A)に矢印で示したように、剥離用プルタブ(44)を把持して上方に持ち上げる。これによって剥離開始ハーフカット(45)から下層部分が切り離されて上層部の剥離部境界のハーフカット加工(10)に沿って境界線で囲まれた内部の領域のみが波帯状に除去される。その結果、易剥離領域の上層部(51)が取り去られた部分は、薄い下層部(52)のみとなる。
つぎに開封用プルタブ(43)を把持して上方に持ち上げる。これによって容器外周縁のフランジから蓋材(41)が剥離して容器開口部が部分的に開口する。このときに、蓋材(41)のほぼ中心部まで剥離すると上層部の剥離部境界のハーフカット加工(10)に沿って境界線で囲まれた内部の領域のみが波帯状に除去された位置に到達する。この位
置で剥離を停止して蓋材を剥離進行方向に折り曲げると図8の(B)に断面を示した状態で停止する。
このときに、蓋材は上層部が波帯状に剥離除去された領域(46)でヒンジ状に折れ曲がり開封状態を保持する。このように易剥離領域の上層部(51)が剥離除去された部分の下層部(52)は薄いフィルムのみでなるのでデットホールド性に優れたような状態となり、よって折り曲げられたままの状態を保持できるようになる。このようにして開封が完了すると蓋が折り曲げられた状態で容易に安全に熱湯等を容器内に注ぐことができる。
上記上層部が剥離除去された領域(46)以外では剥離された蓋材の厚みが減っていないので折れ曲がることはない。さらに蓋材(41)を折り曲げて開封用プルタブをフランジに引っ掛けて完全に仮固定することも可能である。
また、本発明の蓋材の再封は、折り曲げられた易剥離領域内の波帯状の下層部のみの部分を元の平坦な状態に戻すと、この部分に上層部としての紙層がないので熱湯によるカール等もなく自然に平坦な状態となり、この状態を維持できる。
このように再封性に優れるので、麺等を温めほぐすために、蓋の上に重し等を乗せる等の手間をかけずに済む蓋材とすることができる。
次に、本発明の蓋材に用いる積層体の加工方法の実施形態の一例を説明する。
本発明の蓋材(41)に用いる積層体の構成要素としては、まず図2(A)に示すように、あらかじめ容器本体(40)との熱溶着を容易にした低温接着性を有する直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなるシーラント(27)を基材フィルム(29)にウレタン系接着剤を介して貼り合せることによって作製した下層部(52)の一部積層部を作成する。
巻取状の紙(25)にグラビア印刷法にて表裏同一工程で、表面側にウレタン系接着剤層を介してドライラミネート法により延伸ポリエステルフィルム(24)を貼り合せ、裏面側に易剥離剤を印刷することにより作製された上層部(51)を、上記の下層部(52)の一部積層部と、ポリエチレン樹脂(28)からなる接着熱可塑性樹脂層の押し出しによりエクストルーダーを用いてラミネートすることにより積層材を作製する。
続いて、このラミネートされた巻取状の積層材を枚葉状に大断ちした後、図1、図2の形状の上層部を貫通する剥離部境界のハ−フカット加工(10)および下層部を貫通して紙層(25)に至る剥離開始ハーフカット(45)を行い(巻取状にてハーフカット加工する場合もある。)、ハーフカット完了後、小断ち・抜き加工を経て本発明の蓋材(41)を作製する。(ハーフカット加工時に同時に小断ち・抜き加工を行う場合もある。)
そして、この蓋材をあらかじめ成型された容器本体(紙カップ、発泡スチロール、スチロール、ポリプロピレン等からなる容器)に内容物を充填してからヒートシール法にてシールすることによって本発明の蓋材を用いた充填済み容器を作成することが出来る。
以下に本発明の蓋材(41)の材料等を図1、図2を参考にして説明する。まず本発明の蓋材(41)を構成する上層部(51)としては、紙層を含み、少なくとも表面が白色で多色印刷適性を有するものが好ましく、例えば坪量50g/m〜120g/m 程度の両アート紙、片アート紙あるいは両面コート紙、片面コート紙などを好適に使用することができ、場合によっては合成紙であってもよい。
また、上層部(51)の層構成中には図(B)に示したように表面フィルム(24)を含むことも出来る。表面フィルム(24)は紙層(25)の保護等の目的で設けられ、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等のプラスチックフィルムが多く使用される。表面フィルムの厚みは必要な保護性能と加工適性との関係で決められとくに制限はない。
また、本発明の蓋材(41)の下層部(52)を構成するシーラント層(27)としては、例えばヒートシール性に優れる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン樹脂あるいはエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタアクリル酸共重合体(EMAA)等エチレン共重合樹脂のフィルムが好適に用いられ、さらにこれらポリオレフィン樹脂にポリスチレンやポリブデン等からなる、ポリオレフィン樹脂に対し不相溶性成分を混合したものとすることもできる。厚みは20μm〜100μm程度が適当である。
また、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂等からなるホットメルト接着剤を塗布量15g/m〜25g/m程度で設けてもよく、これらシーラント層(27)によって容器本体(40)のフランジ(42)との十分な密封性と剥離開封性を可能とすることができる。
また、本発明の蓋材(41)の下層部(52)を構成する基材フィルム(29)としては、例えば厚さ6〜16μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、厚さ15〜25μmの二軸延伸ポリエチレン(OPE)フィルム、二軸延伸ナイロン(ONy)フィルム、厚さ10〜25μmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムなどの比較的薄く腰のないフィルムが挙げられ、サイズや内容物等によって適宜選定することができる。
さらにまた、本発明の蓋材(41)の下層部(52)を構成する接着熱可塑性樹脂層(28)としては、例えば熱溶融された直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)とエチレン/メタアクリル酸共重合樹脂(EMAA)の混合樹脂等を厚さ5μm〜20μmに押出してラミネート層としたものなどが挙げられる。
また、必要に応じて設けられる遮光印刷層(26)としては、カーボン入りのインキでもよいが、前記基材フィルム(29)と接着熱可塑性樹脂層(28)とを接着させる目的からエチレン/メタアクリル酸共重合樹脂(EMAA)やウレタン等のアンカーコート剤を混合したものとすることもでき、グラビア法等で塗布して得られる。
そのほかに、本発明の蓋材(41)の下層部(52)あるいは上層部(51)を構成するたとえばガスバリア層等の層を必要に応じて設けることが出来る。
ガスバリア層としては、あるいは、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレートフィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等に酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層を用いることができる。
さらに、本発明の蓋材(41)を構成する易剥離層(30)に用いる易剥離剤としては、例えばニトロセルロース(硝化綿)系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂あるいはこれら樹脂の混合物を主体とし、これらにポリエチレンワックスやシリコン等を相溶性を考慮して混合したものなどが挙げられる。これらを易剥離剤としてグラビア法あるいはスクリーン法等にて易剥離領域(L1)に塗布して易剥離層(30)を得ることができる。
<実施例1>
図2(B)に示すように、上層部(51)として、表面に絵柄等が印刷された坪量10
4.7g/mの片アート紙を用い、その裏面に、ニトロセルロース50重量部にポリエチレンワックス50重量部をブレンドした易剥離剤を幅10mmの帯状の易剥離領域(L1)に塗布乾燥して易剥離層(30)を形成した。
一方で基材フィルム(29)として厚さ12μmの両面コロナ処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、その片面にウレタン系のアンカーコート剤を介して厚さ45μmのポリエチレン用イージーピール層をラミネートし、もう一方の片面にウレタン系のカーボン入りアンカーコート剤とそれを挟んで酸化チタン入りアンカーコート剤を遮光印刷層(26)として重ねて塗布乾燥し、この遮光印刷層(26)面と、上記で得た上層部(51)の易剥離層(30)面との間に熱溶融された低密度ポリエチレン(LDPE)を厚さ15μmの接着熱可塑性樹脂層(28)として押し出してラミネートし、即は席食品用容器の蓋材に用いる積層体を得た。
続いて図1(A)に示すように、上記で得られた積層体の易剥離領域(L1)内両側に、波線状の2本のハーフカット(10)を上層部(51)に施し、それによって囲まれた波帯状の易剥離領域(L1)方向の周縁先端に剥離用プルタブ(44)と、その波帯状の易剥離領域(L1)と直交する方向の周縁に開封用プルタブ(43)と、該剥離用プルタブ(44)の基部の裏面で、下層部(52)にハーフカット(45)を施した直径96.5mmの蓋材を得た。
このとき、波線状の2本のハーフカット(10)は曲率半径10mmの円周を連続させた波線状のハーフカットとし、2本の配置間隔は最狭部で5mmとし、波の高低差すなわち1本の幅(P)は2mmとした。なお易剥離領域(L1)の位置は蓋の中央より開封用プルタブ(43)のやや逆側に来るようにした。
<比較例1>
波線状の2本のハーフカット(10)に代えて直線状の2本のミシン目を設けた以外は実施例1と同様にして蓋材を得た。
<比較例2>
波線状の2本のハーフカット(10)に代えて直線状の2本のハーフカットを設けた以外は実施例1と同様にして蓋材を得た。
上記で得られた即席食品用容器の蓋材を紙カップ(40)のフランジ(42)のポリエチレンで被覆された上部にヒートシールして密封し、即席麺カップのテスト試料を作製した。
このテスト試料の開封に際するデッドホールド性(熱湯の注ぎ易さ)は、図4、図8に示すように、開封用プルタブ(43)を引っ張り上げながらカップのフランジ(42)から剥離して、中央の易剥離領域の上層部が剥離除去された領域(46)で上層部(51)が切断され除去された部分で折り曲げられるとそのままの状態を維持するもので、熱湯の注ぎ易いものであった。
またその再封性(熱湯を注いだ後、麺を温め軟らかくする待ち時間の再封のし易さ)は、上記の図に示すように、上層部(51)が切断され除去された部分では薄い樹脂フィルムのみでできているので熱(熱湯)によるカールがないので元の平坦な状態に戻すとそのままの状態を維持し、特に重しなどを必要としない所謂再封性に優れるものであった。
さらに、上記のテスト試料を用いて剥離のし易さと枚葉状態での折れを評価した。
実施例1で作成したテスト試料では剥離のし易さは抵抗なく良好であり、枚葉状態での折れも起こらず良好であった(○)。
比較例1のミシン目仕様のテスト試料では剥離のし易さはミシン目のつなぎ抵抗があり
やや不良であったが、枚葉状態での折れは起こらず良好であった(△)。比較例2で作成したテスト試料では剥離のし易さは抵抗なく良好であったが、枚葉状態での折れ曲がりが起こって作業性にやや劣る結果となった(△)。
結果を表1に示した。
Figure 0006060503
以上のように、構成中にアルミニウム箔を含まないので、廃棄物に係わる環境問題の危惧がなく、かつ金属探知機による検査が可能としたなっている本発明の蓋材によれば、開封に際し、折り曲げられたままの状態を維持できる性質、即ちデットホールド性を有し、再封に際し、折り曲げられた部分を元に戻すと、この部分に紙層がないのでカールが無くなり平坦な状態に戻り易くなる所謂再封性にも優れる蓋材とすることができた。
さらに、ハーフカットによる切離部を直線状に形成した場合に比べて充填時に蓋材が折れて不具合が起こることのない蓋材とすることが出来た。また、ミシン目状のカットによる切離部を直線状に形成した場合に比べて、開封時に切り取り易く断面が荒れない蓋材とすることが出来た。
本発明の蓋材は、内容物の充填時に枚葉供給されて容器にシールされ開封時に容器からピールされる蓋としてアルミニウム箔を用いないでも部分剥離中に元に戻らないデッドホールド性を発現して使い易い開封性および再封性を確保できる機構を持った蓋として好適に使用できる。
P…一本のハーフカットの幅
Q…蓋の中心
L1…易剥離領域
L2…接着領域
10…剥離部境界のハーフカット加工
11…剥離部境界のミシン目加工
24…表面フィルム
25…紙層
26…遮光印刷層
27…シーラント層
28…接着熱可塑性樹脂層
29…基材フィルム
30…易剥離層
40…容器本体
41…蓋材
41’…蓋材
42…フランジ
43…開封用プルタブ
44…剥離用プルタブ
45…剥離開始ハーフカット
46…上層部が剥離除去された領域
51…上層部
52…下層部

Claims (6)

  1. 充填時に枚葉供給されて容器本体の上端開口部にシール密封される、アルミニウム箔を含まない積層体で、かつ外周縁に剥離用タブと開封用タブを有し、該両タブは中心より略90°の位置に設けられている蓋材において、
    前記積層体は、下層部と上層部とが、前記剥離用タブの基部から前記中心を通り前記蓋材の外周縁に至る、前記剥離用タブの基部の幅を有する所定の領域に易剥離剤を塗布することにより形成された易剥離層による易剥離領域と該易剥離領域以外の接着領域とに区画されて互いに積層接着され、易剥離領域と接着領域の境界線よりやや易剥離領域に入り込んだ両側の上層部に2本の並列又は線対称のハーフカットによる連続した切り目からなる非直線状の切離部を刻設してなることを特徴とする蓋材。
  2. 前記上層部は少なくとも紙層を含む構成からなり、下層部は内面側から少なくともシーラント層、基材フィルム層、接着熱可塑性樹脂層の順に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋材。
  3. 前記剥離用タブの基部の下層部にハーフカットによる溝を刻設し、該刻設されたハーフカットによる溝が前記非直線状の切離部の切り目と交差していることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋材。
  4. 非直線状の切離部の1本切り目における幅が1mmから3mmの範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の蓋材。
  5. 非直線状の切離部の2本切り目における最狭部の幅が5mm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の蓋材。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の蓋材を用いた包装容器。
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