JP6026769B2 - 熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、機械乳化法により、熱可塑性樹脂水性分散液を製造する方法に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性物質を界面活性剤や保護コロイド剤等の分散剤を用いて水に分散させた分散液、いわゆるエマルジョンを製造する方法は、種々知られている。
例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体の場合は、先ず、エチレン・酢酸ビニル共重合体を加熱溶融し、次いで、アニオン系やノニオン系の界面活性剤を添加撹拌し、その後、熱水を添加して、ホモミキサー等の機械剪断力を用いて乳化することにより得られる(特許文献1参照)。
この乳化剤は、得られた製品の使用時において、ブリードアウトするおそれがあり、また、部分ケン化ポリビニルアルコールのエステル部分が加水分解されて、酢酸が発生する可能性があるため、用途によっては、使用できない場合がある。
これに対し、乳化安定性などを改良した特定のアクリル系共重合体の中和物を、アニオン系水溶性高分子分散剤として用いるポリマー水性分散液の製造方法(特許文献2参照)や、低温造膜性に優れる特定のアクリル系共重合体の中和物をカチオン系水溶性高分子分散剤として用いるポリマー水性分散液の製造方法が知られている(特許文献3参照)。これらは、いずれも、ホモミキサー等の機械剪断力を用いて乳化させている。
特開昭57−061035号公報 特開昭58−127752号公報 特開昭58−118843号公報
しかしながら、これらの方法は、多量の高分子乳化液を投入する際に分離が生じ、混練が困難となる場合があった。この状態が生じると、得られるエマルジョン粒子は、粒径が大きく、不均一となる傾向があった。
そこで、この発明は、かかる問題点を解決し、粒径が小さく均一なエマルジョン粒子を有する熱可塑性樹脂水性分散液を得ることを目的とする。
この発明は、機械乳化法により熱可塑性樹脂の水性分散液を製造する方法において、乳化・分散剤として高分子乳化剤を使用し、かつ、この高分子乳化剤を複数回に分割して添加することを特徴とすることにより、上記課題を解決したのである。
特に、上記高分子乳化剤の1回目の添加を、全添加量の50重量%以上99重量%以下の添加とし、2回目以降の添加は、分割添加の回数に応じて、均等割、又は漸減するように分割して添加することが好ましい。
高分子乳化剤を複数回に分割して添加するので、熱可塑性樹脂を乳化させる際に分離が生じるのを抑制でき、効率よく混練が可能となり、粒子径の小さい均一なエマルジョン粒子を得ることができる。
特に、高分子乳化剤の1回目の添加を、全添加量の50重量%以上99重量%以下の添加とし、2回目以降の添加は、分割添加の回数に応じて、均等割、又は漸減するように分割して添加することにより、混練をより効率的に行うことが可能となり、粒子径の小さいエマルジョン粒子を、さらに均一に得ることができる。
本願発明に用いる押出機の例を示す模式図
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法は、機械乳化法により熱可塑性樹脂の水性分散液を製造する方法である。
[熱可塑性樹脂]
上記熱可塑性樹脂とは、分散対象の熱可塑性樹脂をいう。
この熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム物質等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン等のエチレン、プロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体及びエステルあるいはその塩、エチレン・メタクリル酸共重合体あるいはその塩、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体あるいはその塩、エチレン・アクリル酸エチル・無水マレイン酸共重合体等のいわゆるエチレンを主体とした結晶性エチレン系共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体等のプロピレンを主体とした結晶性プロピレン系共重合体等が挙げられる。
上記変性ポリオレフィン系樹脂としては、ハロゲン化ポリオレフィン、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン等が挙げられる。上記ハロゲン化ポリオレフィンの具体例としては、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等があげられる。また、上記不飽和カルボン酸変性ポリオレフィンは、不飽和カルボン酸、例えば無水マレイン酸で変性したポリオレフィンが挙げられる。この無水マレイン酸は、入手が容易であり、かつ、経済的である。この無水マレイン酸の使用量、すなわち変性量は、0.1〜20重量%がよく、0.1〜10重量%が好ましい。0.1重量%より小さいと、変性による効果を十分に発揮できない傾向がある。一方、20重量%より多いと、乳化が不安定になる傾向がある。
上記ゴム物質としては、ポリブチレン、ポリイソブチレン、エチレン・プロピレン共重合ラバー、液状ポリブタジエン及びその変性物、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ラバー等が挙げられる。
上記以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンワックス、エステル系ワックス、カルナバワックス、フィッシャートロプスワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス及びそれらの酸化物、低分子量ポリアミド、脂肪酸アミド等のアミド化合物、テルペン及びその誘導体、ロジン及びその誘導体、石油樹脂及びその誘導体、低分子量スチレン系樹脂及びその誘導体等を挙げることができる。
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂や変性ポリオレフィン系樹脂は、汎用樹脂として入手が容易で、かつ、樹脂そのものも乳化しやすいという特性を有している点で好ましい。
上記の熱可塑性樹脂の融点やビカット軟化点は、200℃以下が好ましい。この200℃を越えると、得られる水性分散液のエマルジョン粒子が不定形で粒子径が大きくなり、水性分散液の静置安定性が悪くなる場合がある。
[高分子乳化剤]
上記の熱可塑性樹脂を乳化・分散する乳化・分散剤として、高分子乳化剤を使用することができる。
乳化剤として、高分子系の乳化剤を用いることにより、乳化・分散対象である上記熱可塑性樹脂に混練した際、この熱可塑性樹脂との親和力が良好となるので、得られる樹脂水性分散液が長期間、安定な分離状態を保つことができる。
上記乳化剤としては、高分子乳化剤を用いることが好ましいが、その効果を阻害しない範囲で低分子の乳化剤を併用してもよい。上記低分子乳化剤としては、アニオン系乳化剤として、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。なお、ナトリウム塩以外にも、対応するカリウム塩やカルシウム塩等を用いてもよい。また、ノニオン系乳化剤として、通常、重量平均分子量5000以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等があげられる。さらに、両イオン性乳化剤として、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
高分子乳化剤としては、カチオン性を示す高分子共重合体(以下、「カチオン性高分子乳化剤」と称する。)、アニオン性を示す高分子共重合体(以下、「アニオン性高分子乳化剤」と称する。)、ノニオン性でかつ親水/親油の両セグメントを有する高分子共重合体(以下、「ノニオン性高分子乳化剤」と称する。)、及びカチオン性を及びアニオン性の両方の性質を示す高分子共重合体(以下、「両性高分子乳化剤」と称する。)が挙げられる。
なお、本明細書中「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル又はメタクリル」を意味する。また、本明細書において、「主成分とする」とは、全体に対して、その主成分に該当する成分が50重量%以上含有する成分をいう。
[高分子乳化剤−カチオン性高分子乳化剤]
上記カチオン性高分子乳化剤は、カチオン性単量体を含有する単量体混合物の共重合体をいう。このカチオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記カチオン性高分子乳化剤の例としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等が挙げられる。
特に(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルのアルキルアミノ基で置換されるアルキル基の炭素数は1〜6の範囲にあることがよい。そして、このような(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルの例としては、(メタ)アクリル酸N,N―ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
上記カチオン性高分子乳化剤を構成する共重合体は、単量体混合物の調整時、共重合の前又は後に中和することによって、四級化、すなわち、カチオン化することができる。
上記中和に用いられる中和剤としては、酸性化合物が用いられる。この酸性化合物としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、シュウ酸、蟻酸、酢酸等の有機酸があげられるが、これらの中でも、熱可塑性樹脂分散液から得られる皮膜に残存しにくい蒸気圧の高い中和剤、例えば、蟻酸、酢酸を用いた中和した(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル共重合体が、カチオン性高分子乳化剤としてより好ましい。中和剤は、カチオン性を示す官能基に対して60モル%〜150モル%使用することが望ましい。
この範囲未満であったり、この範囲を超えて多く使用すると、いずれの場合も熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が悪くなる傾向がある。
上記カチオン性高分子乳化剤中のカチオン性単量体由来の構造単位の含有量は、全熱可塑性樹脂成分に対して1モル%以上が必要で、2モル%以上が好ましい。1モル%よりも少ないと分散安定性が低下する傾向がある。一方、含有割合の上限は85モル%がよく、80モル%が好ましい。85モル%より多いと、分散安定化効果が低下することがある。
[高分子乳化剤−アニオン性高分子乳化剤]
上記アニオン性を示す高分子乳化剤としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、酸性リン酸エステル基などを有するアニオン性単量体を含む単量体を含有する単量体混合物の共重合体をいう。このような単量体としては、例えば、スルホン酸基含有単量体として、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。また、酸性リン酸エステル基含有単量体として、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
また、カルボキシル基含有単量体として好ましい単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
アニオン性高分子乳化剤として特に好ましいものとしては、カルボキシル基を含有する単量体を用いた共重合体、特にマレイン酸を用いた共重合体、例えばスチレン−マレイン酸共重合体及びその部分エステルや、(メタ)アクリル酸を用いた共重合体、例えば、(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
上記アニオン性高分子乳化剤中のアニオン性単量体由来の構造単位の含有量は、共重合成分として5モル%以上が必要で、10モル%以上が好ましい。5モル%より少ないと、高分子乳化剤としての安定化効果が低下する。一方、含有割合の上限は80モル%がよく、70モル%が好ましい。80モル%より多いと熱可塑性樹脂水性分散液の安定化効果が低下する傾向があり、さらには、得られる熱可塑性樹脂水性分散液の耐水性が低下し、また、乾燥皮膜が硬くなるため、低温でのヒートシール性が低下したり、乾燥皮膜が白濁したりする。
また、上記アニオン性を示す官能基を、アルカリ性物質からなる中和剤で中和してもよい。この中和剤としては、アンモニアや水酸化ナトリウム等があげられる。中和剤は、アニオン性を示す官能基に対して60モル%〜150モル%使用することが望ましい。この範囲未満であったり、この範囲を超えて多く使用すると、いずれの場合も熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が悪くなる傾向がある。
これらの中でも、アニオン性高分子乳化剤として特に好ましいものとしては、熱可塑性樹脂水性分散液から得られる皮膜の耐水性の観点から、皮膜に残存しにくい蒸気圧の高い中和剤、例えば、アンモニアを用いて中和した(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が挙げられる。なお、これらのアニオン性高分子乳化剤は、2種類以上を併用しても構わない。
[高分子乳化剤−ノニオン性高分子乳化剤]
上記ノニオン性高分子乳化剤としては、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
これらのノニオン性高分子乳化剤の中でも、特に、式(1)で示される反応性乳化剤が好ましい。
−(C2nO)m−R・・・・・(1)
なお、式中、Rは下記の2種類の基(a)及び(b)から選ばれる基を示し、Rは、Hまたは炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示し、mは4〜25の整数を示す。
(a)(メタ)アクリロイルオキシ基
(CH=CH−COO− 又は CH=C(CH)−COO−)
(b)(メタ)アクリロイルオキシエトキシ基
(CH=CH−COO−CH−CH−O− 又は CH=C(CH)−COO−CH−CH−O−)
上記の式(1)に示されるようなノニオン系反応性乳化剤の具体例としては、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレートテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレートエトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングルコール(メタ)アクリレート等があげられる。これらの中でもエチレングリコール基の繰り返し単位数が2〜25のポリエチレングリコール鎖を有するものが更に好ましい。繰り返し単位数が2より小さいと分散安定性が低下する傾向となり、また、25よりも大きい場合は、通常の温度において親水基が固形化するため、十分な分散安定化効果が得られない場合がある。これらのノニオン性乳化剤は、2種類以上を併用しても構わない。
[高分子乳化剤−両性高分子乳化剤]
上記両性高分子乳化剤は、カチオン性を及びアニオン性の両方の性質を示す高分子共重合体からなる。この両性高分子乳化剤としては、上記したアニオン性単量体と上記したカチオン性単量体とを含有する単量体混合物を共重合して得られる共重合体をいう。このアニオン性単量体及びカチオン性単量体としては、上記したものと同様のものを使用できる。
上記両性高分子乳化剤に用いられる単量体混合物は、上記のアニオン性単量体及びカチオン性単量体に加え、ノニオン性単量体からなる他の共重合単量体を含有させてもよい。このノニオン性単量体としては、上記したものと同様のものを使用できる。
上記両性高分子乳化剤に用いられるカチオン性単量体由来のカチオン性基の合計当量数は、上記両性高分子乳化剤に用いられるアニオン性単量体由来のアニオン性基の合計当量数未満であることが好ましい。
上記両性高分子乳化剤に用いられるカチオン性単量体及びアニオン性単量体の配合比の具体例としては、次の範囲が挙げられる。すなわち、カチオン性単量体由来のカチオン性基と、アニオン性単量体由来のアニオン性基との配合比は、当量比で、カチオン性基/アニオン性基が50/50未満がよく、40/60以下が好ましい。50/50以上だと、汎用的に使用されているアニオン系水性分散液と混合使用することが困難になる傾向がある。一方、この配合比の下限は、10/90がよく、20/80が好ましい。10/90より小さいと、得られる水性分散液の造膜温度の上昇を引き起こし、得られる乾燥皮膜の低温接着性や透明性を悪化させることがあり、その用途が限定されることがある。
また、上記ノニオン性単量体の含有割合は、両性高分子乳化剤に用いられる単量体全体に対して、90モル%以下がよく、85モル%以下が好ましい。90モル%より多いと、中和物の親水性が低下して安定なポリマー水性分散液を製造することができなくなるおそれがある。一方、含有割合の下限は、10モル%がよく、20モル%が好ましく、30モル%がより好ましい。10モル%より少ないと、中和した際の親水性が高くなりすぎて、やはり安定なポリマー水性分散液が得られない傾向がある。
両性高分子乳化剤においても、アニオン性を示す官能基をアンモニアや水酸化ナトリウム等のアルカリ性物質からなる中和剤で、またカチオン性を示す官能基を、蟻酸や酢酸等の酸性物質からなる中和剤で、それぞれ中和してもよい。いずれの場合も中和剤の使用量は、アニオン性又はカチオン性を示す官能基に対して60モル%〜150モル%使用することが望ましい。この範囲未満であったり、この範囲を超過したりすると、いずれの場合も分散される熱可塑性樹脂粒子が過度に大きくなったり、熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が悪くなったりする傾向がある。
なお、これらの両性高分子乳化剤は、2種類以上を併用しても構わない。
[高分子乳化剤の製造]
上記の高分子乳化剤を構成する共重合体は、各単量体成分をそれぞれ秤量し、次に、重合器に各成分を個別に添加して重合するか、または各単量体を予め混合した上で重合器に添加して重合することにより製造することができる。この共重合反応は、通常、単量体原料を重合開始剤の存在下に0〜180℃、好ましくは40〜120℃で0.5〜20時間、好ましくは2〜10時間の条件下で行われる。この重合はエタノール、イソプロパノール、セロソルブ等の親水性溶媒や水の存在下で行うのが好ましい。
単量体原料としては、カチオン性高分子乳化剤においては、上記のカチオン性単量体及びノニオン性単量体を用い、アニオン性高分子乳化剤においては、上記のアニオン性単量体及びノニオン性単量体を用い、また、両性高分子乳化剤においては、上記のアニオン性単量体、カチオン性単量体、及び必要に応じてノニオン性単量体を、上記した構成割合の範囲内となるように用意する。なお、両性高分子乳化剤においては、上記したように、アニオン性単量体由来のアニオン性基の当量がカチオン性単量体由来のカチオン性基の当量より過剰に使用されるので、得られた単量体混合物は、全体として、アニオン性を示すこととなる。
ノニオン性高分子乳化剤においては、前述のように親水性セグメントと親油性セグメントとを、ブロック共重合等によって高分子鎖中に導入することで製造できる。
また重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩からなる開始剤、上記過硫酸塩に亜硫酸塩、チオ硫酸塩の還元剤等を併用したレドックス系開始剤、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等の有機過酸化物、あるいはこれらと鉄(II)塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩の還元剤等を併用したレドックス系開始剤、2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキセン、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。この重合開始剤の使用量は、使用される単量体全量に対して、0.01〜10重量%が好ましい。
中和反応は、上記共重合体と酸性化合物又は塩基性化合物を、20〜100℃で0.1〜3時間反応させることにより行われる。
また、予め、上記単量体原料に用いられるアニオン性有単量体又はカチオン性単量体を中和剤で中和しておいて、共重合に供与してもよい。
得られる中和物は、一般に5〜50重量%の水溶液として使用される。
上記高分子乳化剤の重量平均分子量は1,000〜1,000,000の範囲が好ましい。1,000未満であると、熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が低下して分散ができなくなることがある。一方、1,000,000より大きくなると高分子乳化剤が水に溶解しにくくなり、熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が悪くなる傾向がある。より好ましい高分子乳化剤の重量平均分子量は2,000〜100,000、さらに好ましい重量平均分子量は50,000〜80,000である。
上記高分子乳化剤を水溶液又は水性分散液として得た場合、その水溶液又は水性分散液の粘度は、測定温度50℃で、1,000mPa・s以上が好ましく、10,000mPa・s以上がより好ましい。一方、粘度の上限は、100,000mPa・sが好ましく、80,000mPa・sがより好ましい。これらの範囲を外れると、高分子乳化剤としての乳化性能が不足したり、または添加に際して長時間を要したり、或いは添加容器等に残留して所望量の添加が困難となることがある。
上記高分子乳化剤を水溶液又は水性分散液として得た場合、その高分子乳化剤の水溶液又は水性分散液中の高分子乳化剤の濃度は、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。5重量%より小さいと、熱可塑性樹脂水性分散液中の高分子乳化剤濃度が低くなり、分散安定性が低下する場合がある。一方、濃度の上限は、80重量%が好ましく、50重量%がより好ましい。80重量%より高い濃度では、熱可塑性樹脂水性分散液の水分量が不足して、良好な分散安定性が得られない場合がある。
上記高分子乳化剤の使用量は、得られる分散液の安定性、及び得られる皮膜の耐水性の面で、熱可塑性樹脂100重量部に対して2〜40重量部が好ましい。さらに好ましくは2〜20重量部である。2重量部未満であると熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が低下するおそれがある。40重量部を超えると得られる皮膜の耐水性が低下すると同時にヒートシール性も低下するおそれがある。
[機械乳化法]
上記機械乳化法とは、押出機やニーダー、インクロール等の混練機を用いて、熱可塑性樹脂を乳化・分散剤及び水等の水系媒体の存在下で混練して乳化・分散する方法や、混練に代えて、ホモジナイザー、ディスパー等を用いて、剪断力により均質化処理を行ったりする方法をいう。
上記押出機としては、単軸、二軸以上の多軸の押出機があるが、混練の程度や効率等から、二軸の押出機が好ましい。この押出機の例として、スクリューを2本以上ケーシング内に有する多軸押出機(特開昭56−2149号公報参照)等が挙げられる。
この押出機により機械乳化する方法としては、上記押出機の投入口や注入口から、上記熱可塑性樹脂を投入し、別の注入口から、上記の乳化・分散剤や水等の水系媒体を投入して混練・混合し、乳化させることが一般的である。
上記押出機のシリンダー温度は、40〜270℃がよい。また、処理時間は、20秒間〜20分間程度で十分である。
ところで、上記の熱可塑性樹脂の水性分散液を、押出機を用いて製造する場合、連続しての製造が可能となる。
[熱可塑性樹脂水性分散液の製造]
この発明にかかる熱可塑性樹脂水性分散液は、上記熱可塑性樹脂と、乳化・分散剤として上記高分子乳化剤とを混合することによって得られる。上記高分子乳化剤(固形分)の合計添加量は、上記熱可塑性樹脂(固形分)を100重量%としたとき、3重量%以上がよく、5重量%以上が好ましい。3重量%より少ないと、安定した水性分散液を製造することが困難となりやすい。一方、添加量の上限は、30重量%が好ましく、20重量%がより好ましい。30重量%より多いと、得られる皮膜の機械的強度が実用に耐えられなくなる場合があり、また、得られる皮膜の紙、アルミニウム箔、フィルム等の基材に対する密着性が低下する傾向がある。
また、上記熱可塑性樹脂の含有割合は、得られる熱可塑性樹脂水性分散液全体に対して、30重量%以上がよく、40重量%以上が好ましい。30重量%より少ないと、水性分散液を塗布した後の乾燥に時間を要し、また、接着性も不十分となりやすい。一方、含有割合の上限は、90重量%がよく、80重量%が好ましい。90重量%より多いと、分散が不安定となりやすく、水性分散液の調製が困難となりやすい。
上記高分子乳化剤を用いて、この発明にかかる熱可塑性樹脂水性分散液を製造する方法としては、例えば、溶融した熱可塑性樹脂を高分子乳化剤と水の混合物中に添加し、押出機により均一に混練する方法等の、上記した機械乳化法が挙げられる。
押出機を用いる機械乳化法のより好ましい態様としては、以下のような方法を例示できる。
図1に示すように、押出機11のホッパー12より、上記熱可塑性樹脂Aを連続的に供給する。そして、この押出機の溶融ゾーン及び混練ゾーンの少なくとも1箇所に設けた途中投入口13より高分子乳化剤B(B1〜B3)を加圧供給し、これと前記溶融熱可塑性樹脂をスクリューで溶融混練する。そして、必要に応じて、前記途中投入口13から温水Cを加圧供給して分散させる。なお、押出機11において、投入口A〜投入口B1は一般的に溶融ゾーン、投入口B2〜Cは一般的に混練ゾーンである。そして、投入口Cから排出口14までの間に、圧縮ゾーン及び計量ゾーンが設けられる。
上記の高分子乳化剤B(B1〜B3)は、図1に示されているように、複数回に分割されて添加される。これにより、混練をより効率的に行うことが可能となり、粒子径の小さいエマルジョン粒子を、さらに均一に得ることができる。
なお、高分子乳化剤の添加は、分割して行われる限り、同じ投入口から添加しても、或いは異なる投入口から添加してもよい。
より好ましい添加方法は、分割添加を押出機の下流方向に向かい、異なる投入口から順次、投入を行う方法である。
上記高分子乳化剤の1回目の添加は、全添加量の50重量%以上とするのが好ましく、60重量%以上とするのがより好ましい。50重量%未満だと、熱可塑性樹脂と高分子乳化剤との接触混練の程度が不足して、良好な水性分散液が得にくくなるという問題点を生じる場合がある。一方、1回目の添加の上限は、99重量%が好ましく、80重量%がより好ましい。99重量%より多いと、得られる水性分散液中の熱可塑性樹脂の粒子径が大きくなり、保存安定性が悪化する傾向となる。
上記高分子乳化剤の2回目以降の添加は、分割添加の回数に応じて、均等割、又は漸減するように分割して添加すればよい。より好ましい添加方法としては、前述の通り、図1の場合において、ホッパー寄りの途中投入口13aで、1回目の高分子乳化剤(B1)の添加を行い、途中投入口13aより排出口14側の途中投入口13bで、2回目の高分子乳化剤(B2)の添加を行い、途中投入口13bより排出口14側の途中投入口13cで、3回目の高分子乳化剤(B3)の添加を行うことを例示できる。
なお、高分子乳化剤を全て供給した後、途中投入口13cより下流側(排出口14側)の途中投入口13dにおいて、温水Cを供給することにより、上記の熱可塑性樹脂及び高分子乳化剤の混練物の水分散化に好適な濃度調整を行うことができる。
このため、上記高分子乳化剤の1回目の添加を、押出機11の混練ゾーンでの途中投入口で行うと、分配混合と分散混合とがバランスよく行われ、より均一で粒径の小さい熱可塑性樹脂水性分散液が得られるという点で好ましい。
なお、複数回添加を行う場合において、後になる程添加量を増やすような分割添加を行うと、混練時間が長くなり、得られるエマルジョンの粒径が大きくなる傾向がある。
この発明は、高分子乳化剤を複数回添加するものであり、かつ、その好ましい態様としては、1回目の添加量を全添加量の50重量%以上とし、以後の添加において、順次添加量を同じか減少させることである。これにより、添加混合時の混練対象の熱可塑性樹脂の粘度と高分子乳化剤の粘度との粘度比を1に近づけることができ、熱可塑性樹脂と高分子乳化剤との混練を効率よく行うことが可能となる。
この粘度比をより詳細に説明すると、上記高分子乳化剤を添加する際、この高分子乳化剤の粘度をηdispとし、上記高分子乳化剤の添加部位における押出機内の樹脂の粘度をηresinとしたとき、この比の値η(ηresin/ηdisp)は、0.1より大きい方がよく、0.3より大きい方が好ましい。0.1より小さいと、より溶融粘度の低い熱可塑性樹脂のみが流動して均一な混練が難しくなるという問題点を生じる場合がある。一方、この比の値ηの上限は、10がよく、5が好ましい。10より大きいと、低粘度の高分子乳化剤のみが流動し、やはり均一な混練が困難となる場合がある。
この発明にかかる熱可塑性樹脂水性分散液には、本発明の目的・効果を阻害しない限り、上記の各成分の他に必要に応じて、消泡剤、粘度調整剤、低分子乳化剤、酸化防止剤を配合してもよい。
このようにして製造された熱可塑性樹脂水性分散液は、熱可塑性物質の粒子が平均粒径10μm以下で、水に分散しているものである。この熱可塑性樹脂水性分散液は、用いる熱可塑性物質の種類にもよるが、塗料、粘着剤、インクのバインダー、接着剤、粘着剤、エマルジョンの改質剤、ポリオレフィン基材用プライマー等として利用することができる。
以下、この発明を、実施例を用いてより具体的に示す。なお、この発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、以下に、各評価方法及び原材料を記載する。
<評価方法>
[体積平均粒子径]
レーザー回折型粒度分布測定装置((株)島津製作所製:SALD−2200)を用いて体積平均粒子径及び10μm以上の大きな粒子の含有割合(重量%)を測定した。
[透明性]
濁度計(日本電色工業(株)製:NDH5000)を用いて、JIS K7136:2000に従ってヘーズを測定した。
[ブツ]
JIS K5600−2−5:1999に従って、グラインドゲージを用いてブツの大きさを測定した。
[エマルジョンの安定性]
250mlのポリ容器に熱可塑性樹脂分散液を200g入れ、50℃の乾燥機に静置保管し、皮張りや樹脂浮き等の経時変化を観察し、下記の基準で評価した。
○:皮張りや樹脂浮き等は見られなかった。
×:皮張りや樹脂浮き等が見られた。
[粘度測定]
粘度計(東機産業(株)製:VISCOMETER TVB−10M,−10H)を用いて50℃での粘度を測定した。
[温度粘度カーブ]
レオメーター(ジャスコインターナショナル社製REOLOGICA INSTRUMENTS AB:VAR−100AD Rheometer)を用いて、温度粘度カーブを測定した。
<原材料>
(熱可塑性樹脂)
・ エチレン・酢酸ビニル共重合体・・・三井・デュポン ポリケミカル(株)製、商品名:エバフレックスEV220、以下、「EV220」と略する。
・ 精製キャンデリラワックス・・・ミツバ貿易(株)製、商品名:精製キャンデリラワックス リファイン、以下、「キャンデリラ樹脂」と略する。
・ エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸共重合体・・・アルケマ(株)製、商品名:ボンダインHX8210、以下、「HX8210」と略する。
(汎用ノニオン界面活性剤)
・ビニルアルコール系樹脂・・・日本合成化学工業(株)製、商品名:ニチゴーGポリマーを50%水溶液に調整して使用した(不揮発分50%、7900mPa・s(50℃、BM型、#4、12rpm))。以下、「ニチゴーG」と略する。
(高分子乳化剤原料)
・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート…三洋化成工業(株)製、メタクリレートDMA、以下「DMA」と略す。
・ブチルメタクリレート…三菱レイヨン(株)製、以下、「BMA」と略す。
・ラウリルメタクリレート…三菱レイヨン(株)製、以下「SLMA」と略す。
・イソプロパノール…(株)トクヤマ製:トクソーIPA(登録商標)、以下「IPA」と略す。
・2,2’−アゾビスイソブチロニトリル…大塚化学(株)製、以下「AIBN」と略す。
(高分子乳化剤1の製造)
冷却器、窒素導入管、攪拌機、滴下ロート及び加熱・冷却用のジャケットを装備した150L反応器に攪拌下、表1に記した各成分を所定量仕込み、窒素置換後、内温を80℃まで上昇させた。更に、表1に記載の量の重合開始剤AIBNを添加して、重合を開始した。温度を80℃に保って4時間重合を継続した。次いで、得られた共重合体を表1に記載の量の中和剤で中和した後、IPAを留去しながら水を添加して置換し、アクリル系共重合体からなるカチオン性高分子乳化剤の中和物の粘稠な水溶液を得た(高分子乳化剤1、収率は97%、不揮発分35%、5900mPa・s(50℃、BH型、#4、12rpm))。
(高分子乳化剤2の製造)
原料単量体、重合開始剤、溶媒及び中和剤を表1に示す種類及び量としたこと以外は、上記高分子乳化剤1と同様にして重合を行い、アクリル系共重合体からなるアニオン性高分子乳化剤の中和物の粘稠な水溶液を得た(高分子乳化剤2、収率は97%、不揮発分15%、10000mPa・s(50℃、BH型、#4、12rpm))。
Figure 0006026769
<樹脂水性分散液の製造>
(実施例1)
異方向に回転するニーディングディスクを有するバッチ式混練機(BENCH KNEADER PBV−03、入江商会社製)を使用して、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EV220)を97℃にて混練溶融させ、樹脂重量に対して10wt%の上記高分子乳化剤1を90%と10%に2分割して、同じ途中投入口から投入した。分割投入の時間は4分間隔とした。混練後に95℃のイオン交換水で希釈して不揮発分50%のポリオレフィン系樹脂水性分散液を得た。分割条件、分散液の特徴を表2に示す。
(実施例2〜4)
表2に記載の分割割合で高分子乳化剤を分割して添加したこと以外は、実施例1と同様にして混練を行い、不揮発分50%のポリオレフィン系樹脂水性分散液を得た。分割条件、分散液の特徴を表2に示す。
(実施例5)
高分子乳化剤種としてキャンデリラ樹脂を用い、表2に記載の分割割合で高分子乳化剤を分割して添加したこと以外は、実施例1と同様にして混練を行い、不揮発分50%のポリオレフィン系樹脂水性分散液を得た。分割条件、分散液の特徴を表2に示す。
(実施例6)
高分子乳化剤種としてHX8210を用い、表2に記載の分割割合で高分子乳化剤を分割した以外は、実施例1と同様にして混練を行い、不揮発分50%のポリオレフィン系樹脂水性分散液を得た。分割条件、分散液の特徴を表2に示す。
(比較例1)
高分子乳化剤を分割せずに全量を一括して投入したこと以外は、実施例1と同様にして混練を行い、不揮発分50%のポリオレフィン系樹脂水性分散液を得た。分割条件、分散液の特徴を表2に示す。
(比較例2)
高分子乳化剤を分割せずに全量を一括して投入したこと以外は、実施例5と同様にして混練を行い、不揮発分50%のポリオレフィン系樹脂水性分散液を得た。分割条件、分散液の特徴を表2に示す。
(比較例3)
高分子乳化剤種としてニチゴーGを用い、分割せずに100%一度に投入した以外は、実施例6と同様にして混練を行い、不揮発分50%のポリオレフィン系樹脂水性分散液を得た。分割条件、分散液の特徴を表2に示す。
Figure 0006026769
(結果)
上記の結果、実施例1〜6によって得られた熱可塑性樹脂水性分散液は、エマルジョン粒子の粒子径が小さく、透明で、ブツは観察されず、エマルジョンも安定していた。
一方、比較例1によって得られた熱可塑性樹脂水性分散液は、粒子径は小さかったものの、エマルジョンの安定性に欠けており、しばらく放置すると、凝集が生じていた。また、比較例2〜3によって得られた熱可塑性樹脂水性分散液は、粒子径が大きく、エマルジョンの安定性に欠けていた。
11 押出機
12 ホッパー
13(13a、13b、13c、13d) 途中投入口
14 排出口
A 熱可塑性樹脂
B(B1〜B3) 高分子乳化剤
C 温水

Claims (8)

  1. 機械乳化法により、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂の水性分散液を製造する方法において、
    乳化・分散剤として、重量平均分子量が2,000〜100,000の高分子乳化剤の水溶液又は水性分散液を使用し、
    かつ、この高分子乳化剤を、複数回に分割して添加すると共に、その1回目の添加は、全添加量の50重量%以上99重量%以下の添加を行い、2回目以降の添加は、分割添加の回数に応じて、均等割、又は漸減するように分割して添加することを特徴とする熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。
  2. 上記機械乳化法は、押出機を用いて行われ、
    かつ、上記高分子乳化剤の添加を、上記押出機の投入口から行うことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。
  3. 上記高分子乳化剤の1回目の添加を、押出機の混練ゾーンに行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。
  4. 上記高分子乳化剤の水溶液又は水性分散液の粘度は、測定温度50℃で、5,000mPa・s以上100,000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。
  5. 上記高分子乳化剤の水溶液又は水性分散液中の高分子乳化剤の濃度は、5重量%以上80重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。
  6. 上記高分子乳化剤の合計添加量は、上記熱可塑性樹脂に対し、3重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。
  7. 上記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂又は変性ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。
  8. 上記高分子乳化剤の添加を、添加部位における押出機内の樹脂の粘度(ηresin)とこの高分子乳化剤の粘度(ηdisp)との比の値η(ηresin/ηdisp)を、0.1<η<10とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂水性分散液の製造方法。


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