JP5983149B2 - タッチパネル用電極基材、及びタッチパネル、並びに画像表示装置 - Google Patents
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Description
ただ、ITO薄膜からなる透明導電膜42aは、インジウムというレアメタル(希土類元素)が使用される為に高価である点、及び、抵抗(表面抵抗率)がタッチパネルの大面積化を図るには高抵抗である点で、低コスト化及び大画面化への要求に対応し難い。
(1)透明基材と、この透明基材の少なくとも片面に形成され多数の開口領域を画成する導電体メッシュとを有するタッチパネル用電極基材であって、
前記導電体メッシュの平面視形状であるメッシュパターンが、二つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する多数の境界線分から形成され、
前記メッシュパターンは、前記境界線分及び前記開口領域について、
(条件A)5本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域、及び、7本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域のうち、少なくとも二種類の開口領域が含まれている。
(条件B)6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域が、最も多く含まれている。
(条件C)周囲を取り囲む境界線分の数が同一の開口領域の形状は一定でない。
の3条件を満たすメッシュパターンを含み、
D AVG −3σ≦D≦D AVG +3σとしたときに(D AVG は開口領域の大きさDの平均値、σは開口領域の大きさDの分布の標準偏差)、3σ=0.1D AVG 〜0.5D AVG である、
タッチパネル用電極基材。
(2)前記(1)のタッチパネル用電極基材を含んでなる、タッチパネル。
(3)前記(2)のタッチパネルをディスプレイパネルの表示面側に配置してなる、画像表示裝置。
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「平面視形状」とは、「シート面」に平行な面に於ける形状のことを意味する。言い換えると、「平面視形状」とは、「シート面」に立てた法線の方向から見た形状のことを意味する。
「シート面」は、通常、透明基材1の表面又は裏面と平行な面でもあり、図1に於いては、XY平面又はこれと平行な面となる。
「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
先ず、本発明によるタッチパネル用電極基材を、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。図1(A)は断面図、図1(B)は平面図である。
すなわち、このメッシュパターン2Pは、二つの分岐点Bの間を延びて開口領域Aを画成する多数の境界線分Lから形成され、境界線分L、及び開口領域Aについて、
(条件A)5本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域A、6本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域A、及び、7本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aのうち、少なくとも二種類の開口領域Aが含まれている。
(条件B)6本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aが、最も多く含まれている。
(条件C)周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一の開口領域Aの形状は一定でない。
の3条件を満たすメッシュパターンを含むパターンとなっている。
透明基材1は、透明で電気絶縁性の基材であれば特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂などからなる樹脂シート、ガラス、セラミックス等からなる無機板を用いることができる。
なお、一般に、タッチパネル用電極基材或いはこれを用いたタッチパネルを、液晶表示パネルの表示面上に配置する場合、その透明基材として通常の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートを用いると、当該シートが有する光学異方性による液晶表示パネル出射光の偏光面の回転効果と当該シートが有する偏光フィルタ効果(透過光中にはP偏光成分が、又反射光中にはS偏光成分が増えることによる)との複合効果によって、干渉縞乃至は虹色のムラが視認され画像視認性が阻害されることが知られている(特許第3947950号公報、特許第4888853号公報等参照)。本発明のタッチパネル用電極基材10乃至はこれを用いたタッチパネルに於いても、こうした問題は生じ得る。このような干渉縞乃至は虹色のムラを解消する為には、透明基材1として、以下の何れかのものを使うことが有効である。
(1)トリアセチルセルロースシートの様な屈折率異方性の小さい材料。
(2)特許第3947950号公報、特許第4888853号公報等に開示される如くの、面内位相差値Reが通常の2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートよりも十分大な値、具体的には、Re≧3000nm、より好ましくはRe≧8000nmの高延伸倍率(3〜7倍程度)で延伸されたポリエチレンテレフタレートシート等のポリエステル樹脂シート。ここで面内位相差値Reは、上記樹脂シートのシート面内の遲相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率ny、及び厚みdから、Re=(nx−ny)×dとして定義される。
導電体メッシュ2は、導電体材料が所定のメッシュパターン2Pで形成されてなる。導電体材料としては、銅、金、銀、白金、錫、アルミニウム、ニッケル等の高導電性金属(これらの合金も含む)を用いることができる。特にこれらの高導電性金属は、ITO薄膜等の金属酸化物薄膜に比べて、導電体メッシュ2を形成した面の表面抵抗率を低くできる利点がある。高導電性金属を用いた導電体メッシュ2は、金属箔、金属蒸着層などの金属層のエッチングによるパターンニング、或いは、金属粉末とバインダ樹脂を含む導電ペースト等を用いた印刷法など、公知の形成法で形成することができる。
バインダ樹脂として、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。なかでも、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、硬化が迅速で且つ導電体メッシュ2の強度にも優れ、好ましい樹脂の一種である。
メッシュパターン2Pは、導電体メッシュ2を、シート面の法線方向(図1でZ軸方向)から観察した場合における、導電体メッシュ2の平面視形状である。以下、このメッシュパターン2Pについて、図3及び図9を主として参照しながら説明する。
メッシュパターン2Pのライン部Ltは、多数の分岐点Bを含んでいる。メッシュパターン2Pのライン部Ltは、両端において分岐点Bを形成する多数の境界線分Lから構成されている。すなわち、メッシュパターン2Pのライン部Ltは、二つの分岐点Bの間を延びる多数の境界線分Lから構成されている。そして、分岐点Bにおいて、境界線分Lが接続されていくことにより、開口領域Aが画成されている。言葉を換えて言うと、境界線分Lで周囲を取り囲まれ、区画されて1つの閉領域としての開口領域Aが画成されている。
(条件A)5本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域A、6本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域A、及び、7本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aのうち、少なくとも二種類の開口領域Aが含まれている。
(条件B)6本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aが、最も多く含まれている。
(条件C)周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一の開口領域Aの形状は一定でない。
の3条件を満たすメッシュパターンを含むパターンとなっている。
(条件A)5本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域A、6本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域A、及び、7本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aのうち、少なくとも二種類の開口領域Aが含まれている。及び、
(条件B)6本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aが、最も多く含まれている。
の2条件において、周囲を取り囲む境界線分Lの数とは、開口領域Aが多角形である場合は、その多角形の角数(或いは辺数〕と一致する。
即ち、各開口領域Aを構成する境界線分Lが全て直線のみからなる場合は、5本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aは、5角形となり、6本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aは6角形となり、7本の境界線分Lによって周囲を取り囲まれた開口領域Aは、7角形となる。
なお、境界線分Lは、後述するように、直線、折れ線、曲線など、他の境界線分Lと接触しなければ、何れでもよい。
3本 0個
4本 79個
5本 1141個
6本 2382個
7本 927個
8本 94個
9本 8個
10本以上 0個
であり、周囲を取り囲む境界線分Lの数が、5本、6本、及び7本の開口領域Aを全て含み、且つ6本の開口領域Aの数が最多であった。
(条件C)周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一の開口領域Aの形状は一定でない。
この(条件C)の意味は、周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一の開口領域Aの全部が互いに同一形状ではなく、少なくとも1つは残りの開口領域Aと異なる形状のものを含むと言う意味である。なお、好ましくは、周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一の開口領域Aの50%以上が、互いにその形状が異なるようにする。
ここで、2つの開口領域A同士が互いに合同な図形であって且つその向きが異なる場合も、その2つの開口領域Aの形状は互いに異なると見なす。
周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一の開口領域Aは、その形状が一定でないことに加えて、更にその面積も一定でないことが、より好ましい。これは、言い換えると、メッシュパターン2Pに含まれる開口領域Aのうち、周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一となる開口領域Aのうち、その形状及び面積がすべての開口領域Aで同一ではなく、少なくとも一部の開口領域Aは他と異なるものになると言うことを意味する。本実施形態におけるメッシュパターン2Pは、こうしたメッシュパターンからなる。
このようにすることによって、より一層、モアレを視認され難くすると共に、明暗ムラ
を、より一層視認され難くすることができる。
本件発明者らは、鋭意研究を重ねた結果として、単にメッシュパターンのパターンを不規則化するのではなく、上記(条件A)、(条件B)及び(条件C)の3条件を満たすメッシュパターンを含むメッシュパターン2Pとすることにより、金属メッシュ42bが周期的パターンである構成の従来のタッチパネル用電極基材40と、周期的画素配列を有するディスプレイパネルとを重ねた際に生じ得るモアレを、極めて効果的に視認され難くすることができると判明した。
こうしたモアレ防止効果が、導電体メッシュ2の全域に亘って得られるようにするには、そのメッシュパターン2Pの全領域が、上記(条件A)、(条件B)及び(条件C)の3条件を満たすメッシュパターンのみから構成されていることが好ましい。本実施形態においては、このようなメッシュパターン2Pとなっている。
さらに、本実施形態によるメッシュパターン2Pでは、上記(条件A)、(条件B)及び(条件C)の3条件を満たすメッシュパターンが、一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0となるメッシュパターンとなっている。このように一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが3.0≦N<4.0となっている場合、メッシュパターン2Pの配列パターンを、図11Aに示された正方格子パターン(N=4.0)から大きく異なるパターンとすることができる。また、一つの分岐点Bから延びる境界線分Lの数の平均値Nが3.0<N<4.0となっている場合には、ハニカム配列(N=3.0)からも大きく異なるパターンとすることができる。
こうすることによって、モアレを、極めて効果的に且つ安定的に視認され難くすることができる。
本実施形態におけるメッシュパターン2Pは、開口領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないようになっている。
図4は、メッシュパターン2Pに対するXY平面に平行なシート面に於ける平面図である。同図では、メッシュパターン2Pで画成される多数の開口領域Aが、周囲を取り囲む境界線分Lの数が同一の開口領域Aの面積及び形状は一定でない。そして、開口領域Aに一定の周期で配置されている領域が存在せず、繰返周期が存在しない、言い換えると、開口領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しない。同図では、任意の位置で任意の方向を向く一本の仮想的な直線diが選ばれている。
この一本の直線diが、ライン部Ltの境界線分Lと交差し交差点が形成される。この交差点を、図面では図面左下から順に、交差点c1,c2,c3,・・・・・,c9として図示してある。隣接する交差点、例えば、交差点c1と交差点c2との距離が、前記或る一つの開口領域Aの直線di上での寸法t1である。次に、寸法t1の開口領域Aに対して直線di上で隣接する別の開口領域Aについても、同様に、直線di上での寸法t2が定まる。そして、任意位置で任意方向の直線diについて、直線diと交差する境界線分Lとから、任意位置で任意方向の直線diと遭遇する多数の開口領域Aについて、該直線di上における寸法として、t1,t2,t3,・・・・・・,t8が定まる。そして、t1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びには、周期性が存在しない。
図4では、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8は、判り易い様に図面下方に、直線diと共にメッシュパターン2Pとは分離して描いてある。
すなわち、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びの様に、境界線分Lで画成された開口領域Aには繰返周期を持つ方向が存在しない。
言い換えると、開口領域Aの配置において、任意位置を通る任意方向の仮想的線分di上での開口領域Aの寸法tiの並びの数列が非周期関数となる。すなわち、t(i)=t(i+M)となるMが存在しない(i,Mはそれぞれ独立な正の整数)。
このように、開口領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないことを、開口領域Aが一定の繰返周期で並べられている方向が存在しない、とも表現する。
このように、開口領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないことが、モアレを視認され難くすることに寄与している。
ここで、本発明固有の上記メッシュパターン2Pのパターンを作成する方法の一例を以下に説明する。
なお、図8(A)に於いて、これら母点群から得られるボロノイ境界(図9参照)を参考までに破線で図示してある。この図から、例えば、BP3とBP1の両母点は互いに隣接するが、BP3とBP6の両母点は互いに隣接しないことがわかる。
この様に構成することにより、開口領域Aの面分布がより均一化して、メッシュパターン2Pの粗密がより均一化し、導電体メッシュ2を目視した際の透明性の均一性が不足すると生じる明暗ムラを、より一層効果的に目立たなくさせることができる。
DAVG−3σ≦D≦DAVG+3σ
としたときに(但し、DAVGは大きさDの平均値、σは大きさDの分布の標準偏差)、
3σ=0.1DAVG〜0.5DAVG
とするのが好ましい。
(1)或る一つの開口領域Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描ける場合は、この開口領域Aの外接円直径を以って、大きさDとする。
(2)或る一つの開口領域Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描けない場合は、この開口領域Aに属する2分岐点B間の距離の最大値(多角形の場合は最長の対角線長)を以って、大きさDとする。
境界線分Lは、同図のように二つのボロノイ点XPの間を直線状に延びるように決定してもよいし、あるいは、他の境界線分Lと接触しない範囲で二つのボロノイ点XPの間を種々の経路(例えば、円(弧)、楕円(弧)、抛物線、双曲線、正弦曲線、双曲線正弦曲線、楕円函数曲線、ベッセル関数曲線等の曲線状、折れ線状等の経路)で延びるようにしてもよい。
境界線分Lは、同図のように二つのボロノイ点XPの間を直線状に延びるように決定した場合、各ボロノイ境界XBが、境界線分Lを画成するようになる。
なお、メッシュパターン2Pの代表的な寸法パラメータとしては、例えば、境界線分Lの線幅を1〜100μm、開口領域Aの大きさDの平均値DAVGを50〜1000μmとすることができる。
図10Cには、図3及び図10Aに示されたメッシュパターン2Pを、図10Bに示されたディスプレイパネル30に於ける典型的な画素配列上に重ねた状態が示されている。図10Cからも理解され得るように、図3及び図10Aに示されたメッシュパターン2Pを実際に作製してディスプレイパネル30の画素配列上に配置した場合、視認され得る程度のモアレは生じなかった。
図11Cには、図11Aに示された周期的メッシュパターン42Pを、図11Bに示されたディスプレイパネル30(図10Bで示したものと同じである)に於ける典型的な画素配列上に重ねた状態が示されている。図11A、図11B及び図11Cからも理解され得るように、周期的メッシュパターン42Pを有するタッチパネル用電極基材40がディスプレイパネル30の画素配列上に配置されると、周期的メッシュパターン42Pと画素の規則的パターンとの干渉によって、明暗の筋(図11Cに示された例では、モアレとして左上から右下に延びている明暗の筋)が視認されるようになる。
これに対して、本発明固有のメッシュパターン2Pは、バイアス角を考慮することなく、1種類のパターンのみで各種画素設計のディスプレイパネル30に対してモアレが視認され難く、実用上モアレが視認されない汎用性の高いタッチパネル用電極基材10を提供することができる。
本発明のタッチパネル用電極基材10は、上記した形態以外の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
上述した実施形態では、メッシュパターン2Pの全領域において、開口領域Aの配置に周期性を有する方向が存在しないようになっている例を説明した。
ただ、本発明においては、図12の様に、その内部に於いて導電体メッシュ2が有するメッシュパターン2Pの全領域が、単位パターン領域Sを特定方向に配列することによって複数集合してメッシュパターン2Pの全領域が構成されるようにして、且つ各単位パターン領域S内に於いては、複数の開口領域Aが、所定の繰返周期のないパターンで配列されている領域からなるようにしてもよい。
すなわち、この形態に於いては、メッシュパターン2Pの全領域中に、局所的に見たときに、同一パターンで開口領域群が配列されてなる単位パターン領域Sを2箇所以上含むようになる。この場合、特定方向について、一定周期で4箇所以上の繰り返しが無ければ、単位パターン領域S同士の繋ぎ目は実質上目立ち難く、無視し得る。もちろん、単位パターン領域S中でモアレは視認され難くなっている。この例において、一つの単位パターン領域S内におけるメッシュパターン2Pのパターンは、例えば、図5〜図9を参照しながら説明したパターン作成方法と同様にして作成することができる。
本発明のタッチパネル用電極基材10は、実質上、ディスプレイパネルの画素の周期的配列との干渉によるモアレが生じないとともに、明暗ムラも生じない。しかしながら、原因は現在不明であるが、タッチパネル用電極基材10を用いたタッチパネルを、ディスプレイパネルの表示面側に設置した場合、条件如何によっては、画像に微細なチラツキが生じる場合がある。このチラツキを目立ち難くする為に、本発明のタッチパネル用電極基材10は、その表面上、裏面上、或いは構成層間中の適宜位置に、可視光線中の特定波長域の中に吸収スペクトルを持つ着色フィルタを積層することが有効である。すなわち、本発明のタッチパネル用電極基材10は、前記着色フィルタを構成層として含むことができる。前記着色フィルタとしては、無彩色(黒色乃至灰色)、有彩色(青、茶、緑等)の何れでもよいが、画像の色彩に影響が少ない点で無彩色の方が好ましい。
本発明によるタッチパネルは、上記したタッチパネル用電極基材10を含んでなる入力装置である。
上記タッチパネル用電極基材10は、その導電体メッシュ2の必要な部分を残し、不必要な部分は除去して、必要な電極パターンを形成した形で、タッチパネルに組み込まれる。あるいは、上記タッチパネル用電極基材10は、その導電体メッシュ2の形成時から必要な電極パターンで形成しておいてもよい。タッチパネルに組み込まれたタッチパネル用電極基材10は、電極パターン以外の配線等その他の導電層で形成されてなるパターンも、その一部又は全部を導電体メッシュ2で形成されたものとしてもよい。
なお、投影型静電容量方式はマルチタッチ(多点同時入力)が可能な点でも注目されている方式であるが、他の方式でもマルチタッチを可能にする技術が提案されている。
第1の方向と第2の方向とは互いに交差し、本実施形態例では互いに直交する。複数の第1の電極パターン3aのそれぞれは、四角形状乃至は菱形形状の単位電極4aを、その角部分で複数連ねて形成される。同様に、第2の電極パターン3bのそれぞれも、四角形状乃至は菱形形状の単位電極4bを、その角部分で複数連ねて形成される。
また、電極パターンの形状は、例えば同じ投影型静電容量方式のタッチパネルであっても、上記で説明した以外に、各種あり得る。
本発明によるタッチパネル20は、前記タッチパネル用電極基材10の変形形態として説明したのと同様の理由から、タッチパネル20をディスプレイパネルの表示面側に設置
したとき、画像に微細なチラツキが生じる場合は、このチラツキを目立ち難くする為に、前記着色フィルタを構成層として含むことが好ましい。
本発明によるタッチパネル用電極部材10を構成要素とするタッチパネル20の画像観察者側表面、ディスプレイパネル30側表面、或いは画像観察者側表面とディスプレイパネル30側表面の両面に反射防止処理を施すことができる。画像観察者側表面に反射防止処理を施した場合、日光、電灯光等の外来光の反射による画面の白化や周囲の風景の映り込みによる画像視認性低下を防止し得る。ディスプレイパネル30側表面に反射防止処理を施した場合は、ディスプレイパネル30とタッチパネル20との間の光多重反射による干渉縞(Newton環等)、ゴースト像等の発生を防止し得る。こうした反射防止処理としては従来公知のものを適宜採用し得る。例えば、以下の(1)〜(3)を採用し得る。
(2)外来光を散乱乃至は拡散させる為に、光の入射する最表面を粗面化する処理。この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面に直接微細凹凸を形成して粗面化する方法;基体表面に放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬化する樹脂バインダ中に、光拡散性粒子としてシリカなどの無機粒子や、樹脂粒子などの有機粒子を含有させた塗膜により粗面化層を設ける方法;及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法等を挙げることができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、熱硬化性或いは電離放射線硬化性のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が好適に使用される。
(3)特許第4406553号公報、特許第4265729号公報、特許第4632589号公報等に開示される如く、表面に隣接突起間距離dが可視光線波長帯域の最短波長λmin以下で配列した微小突起群からなる微小凹凸構造を形成する処理。該微小突起は厚み方向に直交する仮想的切断面に於ける断面積が外部(隣接する空気の側)に向かうに従って減少するような形状とされる。こうした微細凹凸構造は入射光に対する表面部分の屈折率の厚み方向の変化を、該微小突起を構成する材料の屈折率から外部の媒質(通常は空気)の屈折率に向かって連続的に変化させるように機能する。これによって、物体と外部媒質との界面に於ける屈折率の不連続に起因する光反射を低減し得る。
本発明による画像表示装置は、上記したタッチパネル20をディスプレイパネルの表示面側に配置してなる構成の画像表示装置である。
図16の断面図は、本発明の画像表示装置の一実施形態を示し、同図の画像表示装置100は、ディスプレイパネル30と、このディスプレイパネル30の表示面30a側に配置された本発明のタッチパネル20とを、少なくとも含む構成の装置である。
ディスプレイパネル30としては、液晶表示パネル、プラズマディスプレイパネル、EL(電界発光)パネル、電子ペーパーなどの各種ディスプレイパネルの他、ブラウン管でもよい。
本発明による画像表示装置100は、前記タッチパネル用電極基材10の変形形態として説明したのと同様の理由から、画像に微細なチラツキが生じる場合は、このチラツキを目立ち難くする為に、タッチパネル20が前記着色フィルタを含まないか又は含んでいても、ディスプレイパネル30の表示面30a側の適宜位置に、前記着色フィルタを含むことが好ましい。
本発明によるタッチパネル用電極基材10、及びタッチパネル20の用途は、特に限定されない。ただし、特にモアレが生じ得る周期的パターンを有する物と組み合わせる用途が好適である。例えば、ディスプレイパネル、或いは網点で表現された白黒乃至はカラーの印刷物である。
本発明の画像表示裝置100は、テレビジョン受像裝置、電算機器、電話機、計測器、医療用機器、遊戯機器、事務用機器、現金自動支払機、電子黒板、電子書籍端末、電子看板、自販機等の、入力手段を表示部等に備えた画像表示装置に広く適用できる。
2 導電体メッシュ
2P メッシュパターン
3,3a,3b 電極パターン
4a,4b 単位電極
5,5a,5b 配線
6 制御回路
10 タッチパネル用電極基材
20 タッチパネル
30 ディスプレイパネル
30a 表示面
40 従来のタッチパネル用電極基材
41 透明基材
42a 透明導電膜
42b 金属メッシュ
42P 周期的メッシュパターン
100 画像表示装置
A 開口領域
B 分岐点
BP 母点
L 境界線分
Lt ライン部(境界線分の集合)
S 単位パターン領域
Claims (3)
- 透明基材と、この透明基材の少なくとも片面に形成され多数の開口領域を画成する導電体メッシュとを有するタッチパネル用電極基材であって、
前記導電体メッシュの平面視形状であるメッシュパターンが、二つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する多数の境界線分から形成され、
前記メッシュパターンは、前記境界線分及び前記開口領域について、
(条件A)5本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域、6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域、及び、7本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域のうち、少なくとも二種類の開口領域が含まれている。
(条件B)6本の境界線分によって周囲を取り囲まれた開口領域が、最も多く含まれている。
(条件C)周囲を取り囲む境界線分の数が同一の開口領域の形状は一定でない。
の3条件を満たすメッシュパターンを含み、
D AVG −3σ≦D≦D AVG +3σとしたときに(D AVG は開口領域の大きさDの平均値、σは開口領域の大きさDの分布の標準偏差)、3σ=0.1D AVG 〜0.5D AVG である、タッチパネル用電極基材。 - 請求項1に記載のタッチパネル用電極基材を含んでなる、タッチパネル。
- 請求項2に記載のタッチパネルをディスプレイパネルの表示面側に配置してなる、画像表示装置。
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