JP5976361B2 - 接着方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接着方法に関する。
従来、車両部品等の部材の接着方法としては、一般に、主剤のみからなる1液型の接着剤、又は主剤と硬化剤とからなる2液型の接着剤を接着対象物に塗布し、接着対象物同士を貼り合わせて接着構造物を形成する方法が用いられている。
例えば、特許文献1には、主剤のみで硬化可能であって硬化剤を添加することにより硬化を促進させる接着剤を用いて接着対象物を接着するにあたり、前記接着対象物に対して主剤のみで接着剤の塗布を開始する第1塗布工程と、第1塗布工程の後に主剤に硬化剤を添加しながら接着剤を塗布する第2塗布工程と、第2塗布工程の後に主剤のみを塗布しながら接着剤の塗布を終了する第3塗布工程とを含む接着方法が提案されている。
特開2006−274170号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、接着剤の形成後、接着対象物を用いて接着構造物を形成した場合、接着剤の形成から10分程度の短時間では、接着対象物同士の接着状態が維持できず、接着構造物を移動できない、という問題があった。
また、近年では、接着構造物を短時間で移動可能とすることに加えて、接着剤の形成から数時間経過後に、接着構造物を加熱することがある。このような場合、主剤のみからなる1液型の接着剤を使用した方法によっては、加熱時に接着構造物を構成する接着対象物同士の接着状態が維持できない、という問題があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、接着対象物を接着して得られる接着構造物を短時間で移動できるとともに、加熱しても接着対象物同士の接着状態の維持を可能とする接着方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するため本発明者は鋭意検討し、以下の発明を完成させた。本発明は以下の(1)〜(2)である。
(1) 結晶化可能なウレタンプレポリマーと融点Mの結晶化剤を含む主剤と、ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤とポリエーテルポリオールとを含み、前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤の含有量が、前記ポリエーテルポリオールと前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤との合計量に対して1質量%以上10質量%以下である硬化剤とを、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、主剤及び硬化剤の加温工程と、
前記主剤と前記硬化剤とを混合する混合工程と、
複数の接着対象物の少なくとも1つに前記混合した接着剤組成物を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程と、
前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程と、
を含むことを特徴とする接着方法。
(2) 前記主剤に含まれる結晶化剤の融点Mが、50℃以上80℃以下である上記(1)に記載の接着方法。
本発明の接着方法によれば、接着構造物は短時間で初期の接着強度が発現できるとともに、加熱しても接着対象物同士の接着状態を維持できる、という効果を奏する。
図1は、本実施形態に係る接着方法の手順を示す図である。
以下、本発明について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、本実施形態に係る接着方法の手順を示す図ある。本実施形態に係る接着方法は、融点Mの結晶化剤を含む主剤と、ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤とポリエーテルポリオールとを含み、前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤の含有量が、前記ポリエーテルポリオールと前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤との合計量に対して1質量%以上10質量%以下である硬化剤とを、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、主剤及び硬化剤の加温工程(ステップS1)と、(融点M−10)℃以上の温度に加温された主剤と硬化剤とを混合して接着剤組成物を得る混合工程(ステップS2)と、複数の接着対象物の少なくとも1つに前記混合した接着剤組成物を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程(ステップS3)と、前記接着構造物を移動する接着構造物移動工程(ステップS4)と、前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程(ステップS5)とを含むことを特徴とする接着方法である。
次に、本実施形態に係る接着方法で用いられる接着剤組成物について説明する。本実施形態の接着剤組成物は、主剤および硬化剤を含む2液混合型のものである。2液混合型接着剤組成物は、速硬化が可能であり、硬化後の耐熱性に優れる。本実施形態に用いる2液混合型接着剤組成物としては、例えば、ウレタン系接着剤組成物が硬化速度および硬化後の硬度等の点で好ましい。
<主剤>
本実施形態の主剤は、融点Mの結晶化剤と結晶化可能なポリマーとを含む。本実施形態の主剤に含まれる結晶化可能なポリマーとは、後述する混合工程(ステップS2)終了後、約10分以下で、最終的な硬さの少なくとも20%程度の硬さに硬化するポリマーを意味する。この結晶化可能なポリマーの硬化は、接着剤組成物の冷却により当該ポリマーが結晶化することで達成される。
[結晶化可能なポリマー]
本実施形態の主剤に含まれる結晶化可能なポリマーとしては、例えば、分子内に複数のイソシアネート基を分子末端に含有するウレタンプレポリマーを挙げることができる。以下、本実施形態のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを「ウレタンプレポリマー」という。ウレタンプレポリマーは、取り扱いの観点から室温で液状であるものが好ましい。なお、本実施形態における室温とは、20℃以上30℃以下であり、好適には25℃付近の温度である。ウレタンプレポリマーの製造方法は、特に制限されるものではなく、従来より公知の方法が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、イソシアネート基(NCO基)がヒドロキシ基(OH基)に対して過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。ウレタンプレポリマーは、一般に、0.5質量%以上10質量%以下のNCO基を分子末端に含有するのが好ましい。このイソシアネート基は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素のいずれに結合していてもよい。
(ポリイソシアネート化合物)
ウレタンプレポリマーに含まれるポリイソシアネート化合物は、ウレタン系プレポリマーの製造の際に使用され、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基が芳香族炭化水素と結合している芳香族ポリイソシアネート、イソシアネート基が脂肪族炭化水素と結合している脂肪族ポリイソシアネート、イソシアネート基が脂環式炭化水素と結合している脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、あるいはこれらの混合物等のトルエンジイソシアネート)、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、あるいはこれらの混合物等のジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(1,5−NDI)、ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(HXDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などが挙げられる。
また、これら芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、ビウレット変性ポリイソシアネート、アロファネート変性ポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDIまたはポリメリックMDI)、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
このようなポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらポリイソシアネート化合物のうち、反応後は低粘度となり、ウレタン系プレポリマーを含む主剤の取り扱いが容易となる理由から、芳香族ポリイソシアネートの中ではTDI、MDIが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートの中ではHDI、XDI、脂環族ポリイソシアネートの中ではIPDIが、それぞれ好ましい。
(ポリオール化合物)
ウレタンプレポリマーに含まれるポリオール化合物としては、ヒドロキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリオール化合物としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。また、ヒマシ油などの天然系のポリオール化合物を使用してもよい。
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールおよびペンタエリスリトールからなる群から選択される少なくとも1種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびポリオキシテトラメチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、およびその他の低分子ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸またはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸からなる群から選択される少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタンおよびペンタエリスリトール等から選択される多価アルコールの少なくとも1種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキサイドおよびポリオキシテトラメチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種を付加させて得られるポリエーテルポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。上記ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール等が挙げられる。
その他のポリオールとしては、例えば、ポリマーポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール等;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のような低分子量のポリオール;等が挙げられる。
このようなポリオール化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ウレタンプレポリマーを作製する際のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との量は、イソシアネート基とヒドロキシル基との当量比(イソシアネート基(NCO基)/ヒドロシル基(OH基))が、1.2以上2.5以下となるのが好ましく、1.5以上2.0以下となるのがより好ましい。当量比がこのような範囲である場合、得られるウレタンプレポリマーの粘度が適当となり、ウレタンプレポリマー中の未反応のポリイソシアネート化合物の残存量を低減することができる。
ウレタンプレポリマーの作製方法は特に限定されず、例えば、上述の当量比(NCO基/OH基)のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、50℃以上130℃以下で加熱かくはんすることによって作製することができる。また、必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミンのようなウレタン化触媒を用いることができる。
ウレタンプレポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
[結晶化剤]
本実施形態の主剤に含まれる融点Mの結晶化剤としては、例えば、イソシアネート基を有するポリエステル化合物が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル化合物は、数平均分子量が1000以上20000以下であって、平均官能価(プレポリマー1分子当りに保有するイソシアネート基の数)が1.6以上3.0以下であるものを使用することができる。イソシアネート基を有するポリエステル化合物としては、例えば、ポリエステルポリオールに、イソシアネート基を有する化合物を反応させて得ることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、およびその他の低分子ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸からなる群から選択される少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、ウレタン系プレポリマー等の合成に利用される従来より公知のポリイソシアネートを利用することができる。具体的には、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、オクタデシルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、p−MDI、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらの変性品等が挙げられる。このようなポリイソシアネート化合物は、単独でも2種以上を併用してもよい。
イソシアネート基を有するポリエステル化合物としては、具体的には、例えば、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオールから生成したポリエステルポリオールの末端にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を結合した化合物などが挙げられる。
本実施形態の主剤に含まれる結晶化剤の融点Mは、50℃以上80℃以下であるのが好ましく、55℃以上70℃以下であるのがより好ましい。結晶化剤の融点Mが、50℃以上では、夏場における硬化性が良好となり、80℃以下では、エネルギーコストの点で有利であり、主剤の熱劣化を抑制することができる。
本実施形態の主剤は、結晶化可能なポリマー、融点Mの結晶化剤以外に、カーボンブラック、炭酸カルシウム、触媒、可塑剤、クレー等を含有することができる。カーボンブラック、炭酸カルシウム、触媒、可塑剤、クレー等としては、特に限定されず、通常市販されているものを用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えば、米国材料試験協会規格における、N110、N220、N330、N550、N770等あるいはこれらの混合物が挙げられる。カーボンブラックの含有量は、結晶化可能なポリマー100質量部に対して10質量部以上150質量部以下であることが好ましい。
炭酸カルシウムとしては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウム等が挙げられる。また、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等により表面処理された表面処理炭酸カルシウムも用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒としては、3級アミンや有機スズ化合物等の硬化触媒、又はこれらの混合物を用いることができる。触媒としては、具体的には、例えば、ジオクチルスズジラウレート(ネオスタンU−810、日東化成社製)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BL−19、エアープロダクツジャパン社製)からなる混合物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、スルホン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、安息香酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
クレーとしては、例えば、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<硬化剤>
本実施形態の硬化剤は、ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤とポリエーテルポリオールとを含む。
(ポリエーテルポリオール)
本実施形態の硬化剤に含まれるポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタンおよびペンタエリスリトール等から選択される多価アルコールの少なくとも1種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキサイドおよびポリオキシテトラメチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種を付加させて得られるポリエーテルポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド等が挙げられる。上記ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール等が挙げられる。
これらのポリエーテルポリオールは、単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。ポリエーテルポリオールは、いずれの場合においても、重量平均分子量400以上5000以下、特に、1000以上4000以下のものを使用するとバランスの良い物性が得られるため好ましい。
ポリエーテルポリオールの平均官能価(1分子当りに保有する、イソシアネート基と反応し得る活性水素の数)は、1.5以上4.5以下であることが好ましい。平均官能価を上記範囲内とすることで、イソシアネート基と十分に反応することができる。平均官能価が1.5を下回ると、イソシアネート基と十分に反応することができないため、好ましくない。また、平均官能価が4.5を越えると、硬化物の靱性や伸びが低下するため、好ましくない。
(結晶化剤)
本実施形態の硬化剤に含まれる結晶化剤は、ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基であるポリエステル化合物である。
ポリエステル化合物としては、例えば、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、およびその他の低分子ポリオールからなる群から選択される少なくとも1種と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸からなる群から選択される少なくとも1種との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンなどの開環重合体;等が挙げられる。このようなポリエステル化合物は、単独でも2種以上を併用してもよい。
ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基であるポリエステル化合物としては、具体的には、例えば、セバシン酸と1,6−ヘキサンジオールから生成したポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である化合物が挙げられる。
結晶化剤の含有量は、ポリエーテルポリオールとポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤との合計量に対して1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。結晶化剤の含有量が上記範囲内であると、本実施形態の接着方法による接着構造物は極短時間(5分前後)で初期の接着強度を発現できるとともに、加熱しても接着対象物同士の接着状態を維持することができる。
本実施形態の硬化剤に含まれる結晶化剤の融点Mは、50℃以上80℃以下であるのが好ましく、55℃以上70℃以下であるのがより好ましい。結晶化剤の融点Mが、50℃以上では、夏場における硬化性が良好となり、80℃以下では、エネルギーコストの点で有利である。
本実施形態の硬化剤は、ポリエーテルポリオール、ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤以外に、炭酸カルシウム、触媒等を含有することができる。炭酸カルシウム、触媒としては、特に限定されず、通常市販されているものを用いることができる。
炭酸カルシウムとしては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、コロイダル炭酸カルシウム)等が挙げられる。また、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等により表面処理された表面処理炭酸カルシウムも用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒としては、有機金属化合物、アミン類等の硬化触媒、又はこれらの混合物を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤の配合量としては、主剤(イソシアネート基を有するポリエステル樹脂も含む)のイソシアネート基数に対して、活性水素基の数が、70%以上100%以下となるように、混合するのが好ましい。イソシアネート基に対する活性水素基の数を上記範囲内とすることで、接着性に優れる硬化物とすることができる。
また、本実施形態の接着剤組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、硬化促進触媒、老化防止剤、接着性付与剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤、溶剤等が挙げられる。各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。
本実施形態の接着剤組成物の主剤及び硬化剤を製造する方法は特に限定されないが、例えば、上記各成分を、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、スタティックミキサー、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させる等により混合する方法が挙げられる。
このように、本実施形態の接着方法で用いられる接着剤組成物は、融点Mの結晶化剤を含む主剤と、ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤とポリエーテルポリオールとを含む硬化剤とを、(融点M−10)℃以上の温度に加温することを特徴とする2液混合型接着剤組成物である。
本実施形態の接着方法で用いられる接着剤組成物は、主剤及び硬化剤に結晶化剤を所定量含むことにより、後述する接着構造物形成工程(ステップS3)終了後、極短時間(5分前後)で、即ち、後述する接着構造物移動工程(ステップS4)の開始前に、移動時に接着構造物の接着形状が維持できる強度にまで接着剤組成物を硬化させることができる。この硬化は、(融点M−10)℃以上の温度に加温された結晶化剤が含まれる接着剤組成物が冷却されることにより、接着剤組成物中の主剤及び硬化剤が結晶化することで初期の接着強度が発現し、接着構造物形成工程(ステップS3)終了後、非常に短時間で、接着構造物を移動することができる。
次に、本実施形態に係る接着方法について図1を参照して説明する。
図1に示すように、融点Mの結晶化剤を含む主剤とポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤を含む硬化剤の加温工程(ステップS1)は、融点Mの結晶化剤を含み、結晶化可能なポリマーを含む主剤とポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤とポリエーテルポリオールとを含み、前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤の含有量が、前記ポリエーテルポリオールと前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤との合計量に対して1質量%以上10質量%以下である硬化剤とを、(融点M−10)℃以上の温度に加温する工程である。
本実施形態の主剤に含まれる結晶化可能なポリマーとは、後述する混合工程(ステップS2)終了後、約10分以下で、最終的な硬さの少なくとも20%程度の硬さに硬化するポリマーを意味する。このポリマーの硬化は、接着剤組成物の冷却により当該ポリマーが結晶化することで達成される。
結晶化剤を含む主剤及びポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤を含む硬化剤の加温工程(ステップS1)では、以上に示した主剤及び硬化剤に結晶化剤を含ませたものを加温する。結晶化剤の主剤及び硬化剤への混合方法は特に限定されない。例えば、スタティックミキサーなどを用いて混合することができる。
結晶化剤を、主剤及び硬化剤に混合した後、結晶化剤を含む、主剤及び硬化剤を加温する。加温条件は、結晶化剤の融点Mよりも10℃低い温度以上とする。これにより、結晶化剤が溶解する。結晶化剤を十分に溶解させることを考慮した場合には、加温条件は、結晶化剤の融点Mよりも5℃低い温度以上とすることが好ましい。また、加温条件の上限値については、理論上制限はないが、作業効率を考慮した場合には、できるだけ低い温度とすることが好ましい。
本実施形態においては、主剤及び硬化剤に結晶化剤を含むことにより、後述する接着構造物形成工程(ステップS3)終了後、極短時間で、即ち、後述する接着構造物移動工程(ステップS4)の開始前に、移動時に接着構造物の接着形状が維持できる強度にまで接着剤組成物を硬化させることができる。この硬化は、上述のとおり、加温された結晶化剤が含まれる接着剤組成物が冷却されることにより、接着剤組成物中の主剤及び硬化剤が結晶化することで達成される。これにより、接着構造物形成工程(ステップS3)終了後、極短時間(5分前後)で、接着構造物を移動することができる。結晶化剤を含む、主剤及び硬化剤を加温した後、混合工程(ステップS2)に進む。
なお、本実施形態では、主剤及び硬化剤の両方に各々結晶化剤を混合して、主剤及び硬化剤の両方を加温した場合について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、主剤のみに結晶化剤を混合して加温してもよいし、硬化剤のみに結晶化剤を混合して加温してもよい。また、結晶化剤を配合していない主剤や、結晶化剤を配合していない硬化剤を加温してもよい。
混合工程(ステップS2)は、加温された主剤及び硬化剤を用いて、主剤と硬化剤とを混合して接着剤組成物を形成する工程である。主剤及び硬化剤の混合方法は、特に限定されない。例えば、スタティックミキサーなどを用いて混合することができる。主剤及び硬化剤を混合したら接着構造物形成工程(ステップS3)に進む。
接着構造物形成工程(ステップS3)は、複数の接着対象物の少なくとも1つに前記混合した接着剤組成物を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する工程である。本実施形態における接着対象物は、主に車両部品であり、例えば、プラスチック部品、FRP(繊維強化樹脂)、金属、及び塗装を施した表面等が挙げられる。ステップS3は混合工程(ステップS2)の終了後5秒以上30分以下の時間内に開始することができる。接着対象物へ接着剤組成物を塗布して接着対象物を貼り合せる方法は、特に限定されない。例えば、接着対象物に接着剤組成物を、刷毛等によって塗布する方法、又は、ガンによって塗布する方法を適宜選択し、接着対象物を貼り合せることができる。接着対象物を貼り合せて接着構造物を形成したら、接着構造物移動工程(ステップS4)に進む。
接着構造物移動工程(ステップS4)は、前記接着構造物を移動する工程である。ステップS4は混合工程(ステップS2)後2分以上経過後に、上述したように接着剤組成物が最終的な硬さの少なくとも20%の硬さに硬化するため、上記時間経過後に行うことができる。また、接着構造物の移動は、室温雰囲気で行う。接着構造物の移動にあたり、運搬機器によって接着構造物を構成する接着対象物の少なくとも一方を把持し、所定の場所まで移動する。
これにより、短時間に、接着構造物を室温雰囲気で移動しても、接着構造物を構成する接着対象物同士がずれることはなく、接着構造物をその接着時と同様の形状に維持することができる。なお、本実施形態において、接着構造物の移動時には接着剤組成物が最終的な硬さの少なくとも20%の硬さに硬化しているため、接着対象物同士を事前に仮止めして、接着対象物同士の位置ずれを防止する必要はない。接着構造物を移動したら、接着構造物加熱工程(ステップS5)に進む。
接着構造物加熱工程(ステップS5)は、前記接着構造物を加熱する工程である。ステップS5は、混合工程(ステップS2)終了後、1時間以上経過後に上述のように接着剤組成物が主剤と硬化剤との架橋反応によりさらに硬化するため、上記時間経過後に行うことができる。また、接着構造物の加熱は、高温雰囲気で行う。接着構造物の加熱にあたり、接着構造物を加熱炉内に入れる。加熱温度としては好ましくは40℃以上100℃以下であり、より好ましくは40℃以上80℃以下である。加熱温度が上記範囲を超えると、接着部分に発泡が生じるので好ましくない。加熱温度が上記範囲を下回ると十分な接着強度が得られない。加熱時間としては好ましくは10分以上30分以下である。加熱時間が上記範囲より短い場合、加熱炉から取り出した時に十分な接着強度が得られない。
なお、従来は、接着構造物の加熱前に、別の硬化炉内で接着剤組成物を硬化させていたが、本実施形態の接着方法によれば、接着剤組成物を硬化させるためだけに用いる硬化炉を別途用意することなく、作業性を向上させることができる。また、本実施形態において、接着構造物の加熱時には接着剤組成物が硬化しているため、接着対象物同士を事前に仮止めして、接着対象物同士の位置ずれを防止する必要はない。
このように、本実施形態の接着方法によれば、接着対象物を接着して得られる接着構造物は短時間で初期の接着強度が発現するため、接着構造物の形成後に極短時間で接着構造物を移動させることができるとともに、接着構造物を加熱しても接着状態を維持することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<主剤及び硬化剤の調製>
下記表1に示す各成分を表1に示す質量比(質量部)で配合し、これらを真空中で、電動かくはん機等を用いて十分に混合することにより主剤及び硬化剤を得た。表1中各成分の配合量は、ウレタンプレポリマーを100質量部とした場合の各配合量である。
<接着構造物の作製>
100mm×100mm×5mmのプラスチック板を複数枚用意し、接着対象物とした。表1に示す実施例1〜3及び比較例1〜3の主剤および硬化剤を63℃で加温し、それらを電動かくはん機等を用いて十分に混合し、接着剤組成物を得た。室温下でプラスチック板の一方に対し、各接着剤組成物をプラスチック板の四辺に、幅8mm×高さ12mmの断面三角形状に、塗布した。接着剤組成物の形成後5分以内に両プラスチック板を貼り合せ、接着剤組成物の厚みが5mmとなるまで両プラスチック板を圧締し、各実施例、各比較例における接着構造物を作製した。
<評価>
接着剤組成物を用いて2枚のプラスチック板を貼り合わせて接着構造物を形成した後、所定時間経過後における各接着構造物について接着性を以下の通り評価した。評価結果を表1に示す。なお、評価1は結晶化性を評価するものであり、評価2は硬化性および発泡性を評価するものであり、評価3は作業性(再張り合わせ性:ズレが発生した時の直しが可能か)を評価するものである。
[評価1(結晶化性):接着剤組成物の形成から10分経過後]
2枚のプラスチック板を貼り合わせる前に塗布した接着剤組成物の形成から10分後に、各実施例、各比較例の接着構造物に対し、2枚の接着対象物が離れる方向に50g/cmの接着剤組成物の長さ当たりの荷重をかけ、両プラスチック板が離れた距離(変位量)を測定した。表1中、「○」、「×」は、各々以下の状態を示す。
○:変位量が0.1mm未満の場合
×:変位量が0.1mm以上の場合
[評価2(硬化性および発泡性):接着剤組成物の形成から2時間経過後に加熱試験]
2枚のプラスチック板を貼り合わせる前に塗布した接着剤組成物の形成から2時間後に、各実施例、各比較例の接着構造物を加熱炉内に入れ80℃雰囲気下で30分加熱硬化させた。その際加熱炉内で2枚の接着対象物が離れる方向に50g/cmの荷重をかけ、両プラスチック板が離れた距離(変位量)を測定した。表1中、「○」、「×」は、各々以下の状態を示す。
○:変位量が0.1mm未満の場合
×:変位量が0.1mm以上の場合
[評価3(作業性):接着構造物の形成から3分経過後、貼り直しが可能かの試験]
2枚のプラスチック板を貼り合わせて接着構造物を形成してから3分後に、各実施例、各比較例の接着構造物に対し、2枚の接着対象物を剥がした後、再度貼り合わせを行い、その後、2枚の接着対象物が離れる方向に50g/cmの接着剤組成物の長さ当たりの荷重をかけ、両プラスチック板が離れた距離(変位量)を測定した。表1中、「○」、「×」は、各々以下の状態を示す。
○:変位量が0.1mm未満の場合
×:変位量が0.1mm以上の場合、又は接着剤組成物が硬く剥がすことができない、もしくは再度貼り合わせができない。
Figure 0005976361
上記表1に示される各成分は、以下のとおりである。
・ウレタンポリマー:ポリプロピレングリコールと、4,4’―ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とを反応させた、末端にNCO基を有するプレポリマー
・カーボンブラック:商品名「ニテロンN330」、新日化カーボン社製
・主剤に用いた炭酸カルシウム:商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製
・主剤に用いた触媒:ジオクチルスズジラウレート(U−810、日東化成社製)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BL−19、エアープロダクツジャパン社製)からなる混合物
・主剤に用いた結晶化剤:セバシン酸と1,6−ヘキサンジオールから生成したポリエステルポリオールの末端にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を結合した化合物、融点M=58℃
・硬化剤に用いた結晶化剤含有ポリエーテルポリオール:セバシン酸と1,6−ヘキサンジオールから生成したポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である化合物をポリエーテルポリオールに溶解させた混合物
・硬化剤に用いた炭酸カルシウム:商品名「スーパーS」、丸尾カルシウム社製
・硬化剤に用いた触媒:トリエチレンジアミン、商品名「DABCO」、エアプロダクツ社製
表1から明らかなように、主剤及び硬化剤に結晶化剤を所定量混合して所定温度に加温し、この加温後の主剤と硬化剤とを混合して形成した接着剤組成物を用いた実施例1〜3の接着方法については、評価1〜3のいずれについても、両プラスチック板が離れた距離(変位量)は0.1mm未満、「○」であり、接着性及び結晶化性・硬化性・発泡性・作業性に優れることが確認された。すなわち、接着構造物の形成から3分経過後に貼り直しが可能であり、接着剤組成物の形成から10分経過後の接着性が良好であり、接着剤組成物の形成から2時間経過後に加熱した場合でも接着性が良好であることが確認された。
これに対し、硬化剤に結晶化剤を含まない比較例1、結晶化剤を所定量以上含む比較例2、及び主剤のみ用い硬化剤を含まない比較例3の接着方法については、評価1〜3の少なくともいずれかについて、両プラスチック板が離れた距離(変位量)は0.1mm以上、「×」であり、接着性及び結晶化性・硬化性・発泡性・作業性に劣ることが確認された。
よって、本実施例の接着方法によれば、接着対象物を接着して得られる接着構造物は短時間で接着強度が発現するため、接着構造物の形成後に極短時間で接着構造物を移動させることができるとともに、接着構造物を加熱しても接着状態を維持することができることが判明した。従って、本実施例の接着方法は、車両部品などの接着に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 結晶化可能なウレタンプレポリマーと融点Mの結晶化剤を含む主剤と、ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤とポリエーテルポリオールとを含み、前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤の含有量が、前記ポリエーテルポリオールと前記ポリエステル骨格を有する両末端がカルボキシル基である結晶化剤との合計量に対して1質量%以上10質量%以下である硬化剤とを、(融点M−10)℃以上の温度に加温する、主剤及び硬化剤の加温工程と、
    前記主剤と前記硬化剤とを混合する混合工程と、
    複数の接着対象物の少なくとも1つに前記混合した接着剤組成物を塗布し、前記接着対象物を貼り合わせて接着構造物を形成する接着構造物形成工程と、
    前記接着構造物を加熱する接着構造物加熱工程と、
    を含むことを特徴とする接着方法。
  2. 前記主剤に含まれる結晶化剤の融点Mが、50℃以上80℃以下である請求項1に記載の接着方法。
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