JP5924710B2 - 回転電機 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば電動機や発電機などの回転電機に関し、特に電機子巻線の結線構造に関するものである。
近年、電動機や発電機などの回転電機において、小型高出力、および高品質が求められている。この種の回転電機を小型化するに当たり、有効な磁束を発生しないコイルエンドを小型化する観点から、導体線を電機子鉄心のティースのそれぞれに巻回した集中巻の電機子巻線を用いられていた。しかしながら、トルク脈動が抑えられ、高出力化が可能な分布巻構造の電機子巻線を用いた電機子が要望されている。さらに、磁石価格の高騰により、磁石を用いない誘導機の要求も高まっており、より高効率の分布巻の電機子巻線を用いた電機子が求められている。
ここでは、導体線を1つのティースに巻回して構成された集中巻の巻線に対し、導体線を2スロット以上離れたスロットに巻回して構成された巻線を分布巻の巻線とする。つまり、分布巻の巻線は、1のスロットから延出した導体線が連続する2つ以上のティースをまたいで他のスロットに入るように巻回されている。
特許文献1に記載された従来の回転電機では、矩形導体線を複数回巻き回してコイル状に形成された亀甲形の巻線コイルを、周方向に連続する6本のティースの両側に位置するスロットの各対に収納して、分布巻の電機子巻線を構成していた。そして、巻線コイルの両端の略頭頂部に、ねじれを伴わずにクランク形状を形成して、回転電機の軸方向の拡大を抑制し、小型化を実現していた。
特開2008−104293号公報
しかしながら、特許文献1には、巻線コイル間の結線方法についての開示が無く、結線方法によっては、軸方向寸法が巻線コイル間を結線する渡り線により大きくなってしまい、回転電機の小型化を阻害することになる。
また、電機子巻線の仕様の変更に対しては、巻線コイルの結線を変えることで対応することになるが、結線の変更が複雑となり、それに対応する部品数が増加し、製造コストの高騰をもたらすことになる。
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、小コイル群間の結線、および相コイル間の結線を簡略化して、電機子巻線の仕様変更に簡易に対応できるとともに、小コイル群を構成する巻線体間の結線を工夫して、軸方向寸法の拡大を抑制し、小型化を図る回転電機を得ることを目的とする。
この発明による回転電機は、電機子巻線が円環状の電機子鉄心に装着されて構成される電機子を有し、スロットが上記電機子鉄心に毎極毎相当たりq(但し、qは2以上の自然数)の割合で形成されている。上記電機子巻線は、それぞれ、螺旋状にm回(但し、mは2以上の自然数)巻回されている導体線により構成され、各列にm本並んで2列に配列された直線部、および列間で該直線部の端部間を連結するコイルエンドを有し、該導体線の一方の巻線端が一方の列の直線部配列方向の一端に位置する該直線部の長さ方向一側に延出し、該導体線の他方の巻線端が他方の列の直線部配列方向の他端に位置する該直線部の長さ方向一側に延出している複数の巻線体を備え、上記複数の巻線体は、それぞれ、2列に配列された上記直線部の各列を上記電機子鉄心の周方向に連続する複数本のティースの両側に位置するスロット対のそれぞれに収納して、周方向に1スロットピッチで配列され、上記一方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最浅部から延出して周方向に1スロットピッチで配列され、かつ上記他方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最深部から延出して周方向に1スロットピッチで配列されている。上記電機子巻線を構成する相コイルのそれぞれは、電気角で360°離れたスロット対に収納されている上記巻線体、周方向の配列順に、上記一方の巻線端と上記他方の巻線端とを連結して直列に接続されている、周方向に1周する(2×q)本の小コイル群を備え、上記小コイル群の一方の端部を構成する上記一方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最浅部から延出して周方向に配列して内径側巻線端群を構成し、かつ上記小コイル群の他方の端部を構成する上記他方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最深部から延出して周方向に配列して外径側巻線端群を構成し、上記相コイルを構成する上記小コイル群間、および上記相コイル間が、上記内径側巻線端群内の巻線端同士を結線し、かつ上記外径側巻線端群内の巻線端同士を結線することにより、接続されるように構成されている。
この発明によれば、電機子巻線を構成する相コイルのそれぞれは、電気角で360°離れたスロット対に収納されている巻線体を、周方向の配列順に、内径側巻線端群の巻線端と外径側巻線端群の巻線端とを連結して直列に接続して形成されている。そこで、内径側巻線端群の巻線端と外径側巻線端群の巻線端とを連結する渡り部同士が軸方向に重なることがなく、コイルエンドの軸方向寸法の拡大が抑制され、小型化が図られる。また、渡り部の長さが短くなるので、電機子巻線を構成する各相コイルの低抵抗化および低銅損化が図られ、高効率化および軽量化が図られる。
上記相コイルを構成する上記小コイル群間、および上記相コイル間が、上記内径側巻線端群内の巻線端同士を結線し、かつ上記外径側巻線端群内の巻線端同士を結線することにより、接続されている。そこで、内径側巻線端群内の巻線端同士の結線、および外径側巻線端群内の巻線端同士の結線の一方の結線状態を固定し、他方の結線方法を変えるだけで、小コイル群の直列および並列の接続形態、さらには相コイルのY結線およびΔ結線の結線形態を簡易に切り換えることができるので、電機子巻線の仕様変更に簡易に対応することができる。そこで、結線の変更が複雑となることに起因する部品数の増加、および製造コストの高騰を抑制することができる。
この発明の実施の形態1に係る回転電機を示す片側断面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機の要部を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される電機子を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される電機子鉄心を構成する鉄心ブロックを示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される電機子の電機子巻線を構成する巻線アッセンブリを示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を示す正面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を示す側面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を正面斜め上方から見た斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法を説明する斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法における48番目の巻線体を組み込む手順を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法における48番目の巻線体を組み込む手順を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法における48番目の巻線体を組み込む手順を説明する模式図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを電機子鉄心に装着する方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを電機子鉄心に装着する方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを電機子鉄心に装着する方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを電機子鉄心に装着する方法を説明する図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における2つの巻線体が1つのスロットを共有して電機子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た要部端面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を径方向外方から見た展開図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線体が周方向に1スロットピッチで8つ配列した状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線体が周方向に1スロットピッチで8つ配列した状態を軸方向一端側から見た端面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子を軸方向他端側から見た端面図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルを構成する小コイル群の結線図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルを構成する小コイル群を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの小コイル群の配列状態を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルの内径側巻線端群の結線図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルの外径側巻線端群の第1結線図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルの外径側巻線端群の第2結線図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線の第1結線図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線の第2結線図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における内径側巻線端群内の巻線端同士を連結する結線部材を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における外径側巻線端群内の巻線端同士を連結する結線部材を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における結線部材を用いて接続された巻線アッセンブリを示す斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る回転電機における電機子巻線のW相コイルを構成する小コイル群の結線図である。 この発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの結線方法を示す模式図である。 この発明の実施の形態2に係る回転電機における巻線アッセンブリの結線方法を示す模式図である。 この発明の実施の形態3に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。 この発明の実施の形態4に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。
以下、本発明による回転電機の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る回転電機を示す片側断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る回転電機の要部を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される電機子を示す斜視図、図4はこの発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される電機子鉄心を構成する鉄心ブロックを示す斜視図、図5はこの発明の実施の形態1に係る回転電機に適用される電機子の電機子巻線を構成する巻線アッセンブリを示す斜視図、図6はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を示す斜視図、図7はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を示す正面図、図8はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を示す側面図、図9はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを構成する巻線体を正面斜め上方から見た斜視図である。
図1および図2において、回転電機100は、有底円筒状のフレーム2およびフレーム2の開口を塞口する端板3を有するハウジング1と、フレーム2の円筒部に内嵌状態に固着された電機子10と、フレーム2の底部および端板3にベアリング4を介して回転可能に支持された回転軸6に固着されて、電機子10の内周側に回転可能に配設された回転子5と、を備えている。
回転子5は、軸心位置に挿通された回転軸6に固着された回転子鉄心7と、回転子鉄心7の外周面側に埋設されて周方向に設定されたピッチで配列され、磁極を構成する永久磁石8と、を備えた永久磁石型回転子である。なお、回転子5は、永久磁石式回転子に限定されず、絶縁しない回転子導体を、回転子鉄心のスロットに収納して、両側を短絡環で短絡したかご形回転子や、絶縁した導体線を回転子鉄心のスロットに装着した巻線形回転子を用いてもよい。
つぎに、電機子10の構成について具体的に図3乃至図9を参照しつつ説明する。
電機子10は、図3に示されるように、電機子鉄心11と、電機子鉄心11に装着された電機子巻線20と、を備えている。ここで、説明の便宜上、回転子5の極数pを8、電機子鉄心11のスロット数Sを48個、電機子巻線20を三相巻線とする。すなわち、スロット13は、毎極毎相当たり2個の割合で電機子鉄心11に形成されている。なお、毎極毎相当たりのスロット数qは2となる。
鉄心ブロック12は、円環状の電機子鉄心11を周方向に48等分割したもので、図4に示されるように、設定された枚数の電磁鋼板を積層一体化して作製され、断面円弧形のコアバック部12aと、コアバック部12aの内周壁面から径方向内方に延設されたティース12bと、を備えている。そして、電機子鉄心11は、ティース12bを径方向内方に向けて、コアバック部12aの周方向の側面同士を突き合わせて、48個の鉄心ブロック12を周方向に配列、一体化して、円環状に構成されている。周方向に隣り合う鉄心ブロック12により構成されるスロット13が、内周側に開口するように、周方向に等角ピッチで配列されている。ティース12bは周方向幅が径方向内方に向って漸次狭くなる先細り形状に形成されており、スロット13の断面は長方形となっている。
電機子巻線20は、図3に示されるように、電機子鉄心11に装着された巻線アッセンブリ21に設定された結線処理が施されて構成される。巻線アッセンブリ21は、図5に示されるように、周方向に連続する6本のティース12bの両側に位置するスロット13の対に収納される巻線体22を1スロットピッチで周方向に配列して構成される。後述する巻線端22gが、それぞれ軸方向に延出して、巻線アッセンブリ21の内径側に1スロットピッチで周方向に配列されている。また、後述する巻線端22hが、それぞれ、軸方向に巻線端22gと同じ方向に延出して、巻線アッセンブリ21の外径側に1スロットピッチで周方向に配列されている。
巻線体22は、図6乃至図9に示されるように、例えば、エナメル樹脂で絶縁被覆された、かつ接続部のない連続した銅線やアルミニウム線などからなる長方形断面の導体線を、長方形断面の長辺で構成される平面が相対し、かつ相対する当該平面間に長方形断面の短辺長さに略等しい隙間dを確保して、略六角形で螺旋状に4回巻かれて構成された亀甲形コイルである。巻線体22は、例えば、導体線をエッジワイズ巻きに螺旋状に4回巻き回して筒状のコイル体を作製し、その後コイル体をコイル成形機により略六角形に成形されて作製される。また、巻線体22は、折り曲げ加工により、導体線を略六角形に曲げつつ、螺旋状に巻いて作製してもよい。
巻線体22は、6スロット角度間隔離れて2列となった、各列に隙間dをあけて、長方形断面の短辺方向に4本ずつ配列された第1および第2直線部22a,22bと、第1および第2直線部22a,22bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド22c,22dと、を備えている。なお、6スロット角度間隔とは、連続する6つのティース12bの両側のスロット13のスロット中心間の間隔であり、1磁極ピッチに相当する。
第1コイルエンド22cは、一方の列の第1直線部22aの一端から設定された傾斜で他方の列の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、第1および第2直線部22a,22bの列間の中央部(第1頂部22e)で略直角に曲げられて第1および第2直線部22a,22bの配列方向に隙間dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜で他方の列の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、他方の列の第2直線部22bの一端に接続されている。
同様に、第2コイルエンド22dは、他方の列の第2直線部22bの他端から設定された傾斜で一方の列の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、第1および第2直線部22a,22bの列間の中央部(第2頂部22f)で略直角に曲げられて第1および第2直線部22a,22bの配列方向に隙間dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜で一方の列の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、一方の列の第1直線部22aの他端に接続されている。
このように構成された巻線体22においては、第1および第2直線部22a,22b、および第1および第2コイルエンド22c,22dは、それぞれ、導体線の長方形断面の長辺で構成される平面を相対させ、導体線の長方形断面の短辺方向に、短辺長さの略2倍(2d)のピッチで配列されている。また、第1頂部22eおよび第2頂部22fを介して接続された第1直線部22aと第2直線部22bは、配列方向に隙間dだけずれている。また、巻線体22は、一方の列の配列方向の一端に位置する第1直線部22aの他端から長さ方向に延出する巻線端22gと、他方の列の配列方向の他端に位置する第2直線部22bの他端から長さ方向に延出する巻線端22hと、を備える。つまり、巻線端22g,22hは、巻線体22の他端側の対角位置から、第1および第2直線部22a,22bの長さ方向に、かつ同じ方向に延出している。
つぎに、巻線アッセンブリ21の組み立て方法について図10乃至図18を参照しつつ説明する。図10乃至図15はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法を説明する斜視図、図16乃至図18はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの組み立て方法における48番目の巻線体を組み込む手順を説明する模式図である。
まず、導体線を螺旋状に4ターン巻回して巻線体22を作製する。ここで、説明の便宜上、巻線体22を組み付け順に巻線体221、巻線体222、巻線体223、巻線体2247、巻線体2248とする。
そして、図10に示されるように、1番目および2番目の巻線体221,222を軸方向高さ位置を揃えて周方向に隣接させる。ついで、図11に示されるように、2番目の巻線体222の第1直線部22aを、1番目の巻線体221の隙間dを有する第2直線部22b間に差し込む。ついで、2番目の巻線体222の第1直線部22aが、1番目の巻線体221の第1直線部22aから1スロットピッチ(1スロット間の角度)離間した位置となるまで、2番目の巻線体222を周方向に移動させる。これにより、2つの巻線体221,222が、図12に示されるように、組み立てられる。2つの巻線体221,222の組立体は、巻線体222の導体線が巻線体221の導体線間の隙間に入り込み、径方向に重なり合い、剛性が高まる。
ついで、図13に示されるように、3番目の巻線体223を巻線体221,222の組立体に軸方向高さ位置を揃えて周方向に隣接させる。ついで、図14に示されるように、3番目の巻線体223の第1直線部22aを、巻線体221,222の第2直線部22b間に差し込む。ついで、3番目の巻線体223の第1直線部22aが、2番目の巻線体222の第1直線部22aから1スロットピッチ(1スロット間の角度)離間した位置となるまで、3番目の巻線体223を周方向に移動させる。これにより、3つの巻線体221,222,223からなるサブアッセンブリ24が、図15に示されるように、組み立てられる。
さらに、巻線体22を順次、軸方向高さ位置を揃え、周方向に移動させて、47番目の巻線体2247まで組み上げる。47個の巻線体221〜2247が組み上げられた組立体23は、拡径されて、図16に示されるように、1番目の巻線体221と47番目の巻線体2247との間を48番目の巻線体2248の周方向幅より広げたC字状に成形される。
ついで、図17に示されるように、48番目の巻線体2248を47番目の巻線体2247側に組み付ける。さらに、図18に示されるように、C字状の組立体23の開口を閉じ、1番目の巻線体221と48番目の巻線体2248とを組み付け、図5に示される円環状の巻線アッセンブリ21が組み立てられる。このように組み立てられた巻線アッセンブリ21では、径方向に1列に並んだ8本の第1および第2直線部22a,22bが、1スロットピッチで周方向に48列配列される。
つぎに、巻線アッセンブリ21の電機子鉄心11への装着方法について図19乃至図27を参照しつつ説明する。図19乃至図22はそれぞれこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリを電機子鉄心に装着する方法を説明する図であり、図19および図20は巻線アッセンブリの装着前の状態を示し、図21は巻線アッセンブリの装着後の状態を示し、図22は巻線アッセンブリの装着後の状態を拡大して示している。図23はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における2つの巻線体が1つのスロットを共有して電機子鉄心に装着された状態を軸方向一端側から見た要部端面図、図24はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を軸方向一端側から見た展開図、図25はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を径方向外方から見た展開図、図26はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線体が周方向に1スロットピッチで8つ配列した状態を示す斜視図、図27はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線体が周方向に1スロットピッチで8つ配列した状態を軸方向一端側から見た端面図である。なお、図20乃至図22は、便宜上、巻線アッセンブリ21は第1および第2直線部22a,22bのみで表されている。また、図24では、便宜上、コイルエンドを直線的に示している。
まず、48個の鉄心ブロック12が、図19および図20に示されるように、ティース12bのそれぞれを、巻線アッセンブリ21の隣り合う第1および第2直線部22a,22bの列間の径方向外方に位置させるように、周方向に略等角ピッチで配列される。ついで、周方向に配列された鉄心ブロック12を、同時に径方向内方に移動させる。これにより、鉄心ブロック12のティース12bのそれぞれが隣り合う第1および第2直線部22a,22bの列間に挿入され、隣り合う鉄心ブロック12の周方向の側面同士が突き合わされて、鉄心ブロック12の径方向内方への移動が阻止され、図21および図22に示されるように、巻線アッセンブリ21が電機子鉄心11に装着される。そして、各スロット13内には、8本の第1および第2直線部22a,22bが、長方形断面の長辺を周方向に向けて、径方向に1列に整列されて並んで収納される。
このように、周方向に配列された鉄心ブロック12を内径側に移動させて、巻線アッセンブリ21に挿入することで、径方向に不揃いに並んでいる第1および第2直線部22a,22bが、隣り合う鉄心ブロック12のティース12bの間隔が狭まる動きにより整列される。さらに、径方向に整列された第1および第2直線部22a,22bの相互間の隙間が、鉄心ブロック12のコアバック部12aの内径側への移動により、縮小されて、なくなる。それにより、スロット13内の導体線の占積率を向上させることができる。また、スロット13内の導体線と鉄心ブロック12とが接しており、通電時に発熱体となる巻線アッセンブリ21から電機子鉄心11への伝熱性能を向上させることができるため、巻線アッセンブリ21の温度上昇を抑制し、電気抵抗の増加を抑制することができる。また、鉄心ブロック12は隣り合うティース12b間の間隔が徐々に狭まるように挿入されるので、電機子巻線20と鉄心ブロック12との接触面での摺動が抑えられ、導体線の絶縁被膜の損傷を防止することができる。
巻線体22が、第1および第2コイルエンド22c、22dを第1および第2頂部22e,22fで径方向に第1および第2直線部22a,22bの径方向寸法に略等しい隙間dだけシフトするように構成されている。そこで、1つの巻線体22を、他の1つの巻線体22に、軸方向の高さ位置を合わせて、他の1つの巻線体22側に周方向に移動させることで、干渉無く組み付けることができ、巻線アッセンブリ21の組立性を向上することができる。
鉄心ブロック12のティース12bを巻線アッセンブリ21の外周側から第1および第2直線部22a,22bの列間に差し込む工程において、先細り状のティース12bを第1および第2直線部22a,22bの列間のそれぞれに外径側から挿入して径方向内方に移動させるので、巻線アッセンブリ21は、第1および第2直線部22a,22bが1列に整列化された状態で、電機子鉄心11に装着される。
このように電機子鉄心11に装着された巻線アッセンブリ21においては、2つの巻線体22が、図23乃至図25に示されるように、1つのスロット13を共有して、それぞれ、周方向に連続する6本のティース12bの両側に位置するスロット13の対に巻装されている。
そして、1つの巻線体22に着目すれば、一方のスロット13のスロット開口側から第1層の第1直線部22aから軸方向一端側に延出した第1コイルエンド22cは、傾斜角度θで周方向に他方のスロット13側に延び、第1頂部22eで径方向外方に隙間dだけシフトされ、その後逆向きの傾斜角度θで周方向に他方のスロット13側に延び、他方のスロット13のスロット開口側から第2層の第2直線部22bに連結されている。ついで、他方のスロット13のスロット開口側から第2層の第2直線部22bから軸方向他端側に延出した第2コイルエンド22dは、傾斜角度θで周方向に一方のスロット13側に延び、第2頂部22fで径方向外方に隙間dだけシフトされ、その後逆向きの傾斜角度θで周方向に一方のスロット13側に延び、一方のスロット13のスロット開口側から第3層の第1直線部22aに連結されている。ここで、径方向とはスロット深さ方向に相当する。
このように、一方のスロット13の第1層、第3層、第5層および第7層の第1直線部22aと他方のスロット13の第2層、第4層、第6層および第8層の第2直線部22bとが、それぞれ、第1および第2コイルエンド22c、22dにより螺旋状に連結されている。第1および第2直線部22a,22bの端部から第1および第2頂部22e,22fに至る傾斜部は、軸方向から見て、略円弧状に形成されている。そして、2つの巻線体22が共有するスロット13には、2つの巻線体22の第1および第2直線部22a,22bが、導体線の長方形断面の長辺を周方向に向けて、径方向に1列に交互に並んで、収納されている。
ここで、図26および図27は、8つの巻線体22を周方向に1スロットピッチで配列した状態を抜粋して示している。巻線体22の第1直線部22aから延出した第1コイルエンド22cは、図27中、左側の巻線体22の第1直線部22aから延出した第1コイルエンド22cの下方を通って周方向に延在し、第1頂部22eに至る手前で出現し、第1頂部22eで径方向外方に隙間dだけシフトして、左側の巻線体22の第1コイルエンド22cの上方を通って周方向に延在し、第2直線部22bに接続される。
一方、巻線体22の第2直線部22bから延出した第2コイルエンド22dは、図示されていないが、図27の裏面側で、左側の巻線体22の第2直線部22bから延出した第2コイルエンド22dの上方を通って周方向に延在し、第2頂部22fで径方向外方に隙間dだけシフトして、左側の巻線体22の第2コイルエンド22dの下方を通って周方向に延在し、第1直線部22aに接続される。
8つの巻線体22は、図26および図27に示されるように、第1および第2直線部22a,22bを第1および第2頂部22e,22fにより径方向に隙間dだけシフトさせているので、互いに干渉することなく、周方向に1スロットピッチで配列される。
つぎに、巻線アッセンブリ21の結線方法について図28乃至図36を参照しつつ説明する。図28はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子を軸方向他端側から見た端面図、図29はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルを構成する小コイル群の結線図、図30はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルを構成する小コイル群を示す斜視図、図31はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの小コイル群の配列状態を示す斜視図、図32はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルの内径側巻線端群の結線図、図33はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルの外径側巻線端群の第1結線図、図34はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線のU相コイルの外径側巻線端群の第2結線図、図35はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線の第1結線図、図36はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における電機子巻線の第2結線図である。なお、図28中、1,7,13・・・、43はスロット13に周方向に順にふったスロット番号である。
まず、図28において、U1−1A,U1−2A・・・U1−8AおよびU1−1B,U1−2B・・・U1−8Bは、スロット番号(1+6n)(但し、nは0を含む自然数)のスロット13の群に装着されたU1相を構成する巻線体22の巻線端であり、U2−1A,U2−2A・・・U2−8AおよびU2−1B,U2−2B・・・U2−8Bはスロット番号(2+6n)のスロット13の群に装着されたU2相を構成する巻線体22の巻線端である。
また、巻線体22がスロット番号(3+6n)のスロット群に装着され、V1相を構成し、巻線体22がスロット番号(4+6n)のスロット群に装着され、V2相を構成する。巻線体22がスロット番号(5+6n)のスロット群に装着され、W1相を構成し、巻線体22がスロット番号(6+6n)のスロット群に装着され、W2相を構成する。ここでは、説明の便宜上、V1−1A,V1−2A,V1−1B,V1−2B(V1相を構成する巻線体22の巻線端)、V2−1A,V2−2A,V2−1B,V2−2B(V2相を構成する巻線体22の巻線端)、W1−1A,W1−2A,W1−1B,W1−2B(W1相を構成する巻線体22の巻線端)、W2−1A,W2−2A,W2−1B,W2−2B(W2相を構成する巻線体22の巻線端)のみを示している。
つぎに、図29に基づいて、U相コイルを構成する第1乃至第4小コイル群U101,U102,U201,U202の結線方法を説明する。
電気角で360°離れた巻線体22のU1−1BとU1−3A、U1−3BとU1−5A、U1−5BとU1−7Aを接続し、第1小コイル群U101を作製する。同様に、電気角で360°離れた巻線体22のU1−2BとU1−4A、U1−4BとU1−6A、U1−6BとU1−8Aを接続し、第2小コイル群U102を作製する。同様に、電気角で360°離れた巻線体22のU2−1BとU2−3A、U2−3BとU2−5A、U2−5BとU2−7Aを接続し、第3小コイル群U201を作製する。同様に、電気角で360°離れた巻線体22のU2−2BとU2−4A、U2−4BとU2−6A、U2−6BとU2−8Aを接続し、第4小コイル群U202を作製する。
第1小コイル群U101は、図30に示されるように、周方向に電気角で360°離れて配列された4つの巻線体22を、周方向の配列順に直列に接続して構成される。そこで、接続される巻線体22の巻線端22g,22h間の距離が短くなり、巻線端22gを延ばして渡り部として利用し、巻線体22同士を接続することができる。第2乃至第4小コイル群U102,U201,U202においても、周方向に電気角で360°離れて配列された4つの巻線体22を、周方向の配列順に直列に接続して構成される。第1乃至第4小コイル群U101,U102,U201,U202は、それぞれ、電機子鉄心11に周方向に約1周(機械角で360°)するように巻装された周回コイルである。図示していないが、V相コイルおよびW相コイルも、同様に、構成される。
図31は、図28の端面図に示されるように並べられた巻線体22を図29における小コイル群の結線図に基づいて接続して構成された巻線アッセンブリ21の斜視図である。12個の小コイル群の巻線端22gが、それぞれ、巻線アッセンブリ21の内径側から軸方向に延出して周方向に配列し、内径側巻線端群700を構成している。また、12個の小コイル群の巻線端22hが、それぞれ、巻線アッセンブリ21の外径側から軸方向に延出して周方向に配列し、外径側巻線端群800を構成している。
ここで、この実施の形態1では、毎極毎相当たりのスロット数qが2、極数pが8、1つのスロット13に収納されている巻線体22の本数が2であるので、1相当たりの小コイル群の数(×q)が4となり、各小コイル群を構成する直列接続される巻線体22の数(p/2)が4となる。
この実施の形態1によれば、各相コイルを構成する小コイル群が、それぞれ、周方向に電気角で360°離れて配列された4つの巻線体22を、周方向の配列順に直列に接続して構成されているので、巻線体22間を接続する渡り部同士が軸方向に重なることがない。そこで、コイルエンドの軸方向寸法の拡大が抑制され、回転電機100の小型化が実現される。また、巻線体22間を接続する渡り部の長さが短くなるので、電機子巻線20を構成する各相コイルの低抵抗化および低銅損化が図られ、回転電機100の高効率化および軽量化が実現される。
つぎに、図32乃至図36に基づいて、電機子巻線20の結線方法について説明する。
まず、U相コイルを構成する第1乃至第4小コイル群U101,U102,U201,U202における内径側巻線端群700の結線方法について図32を用いて説明する。
第1小コイル群U101の内径側巻線端であるU1−7Bと第4小コイル群U202の内径側巻線端であるU2−8Bが渡り線711により接続され、第1小コイル群U101と第4小コイル群U202が直列に接続される。ついで、第2小コイル群U102の内径側巻線端であるU1−8Bと第3小コイル群U201の内径側巻線端であるU2−7Bが渡り線721により接続され、第2小コイル群U102と第3小コイル群U201が直列に接続される。さらに、V相コイルおよびW相コイルが渡り線712,713,722,723を用いて同様に結線される。これにより、内径側巻線端群700の全ての巻線端の結線が内径側巻線端群700内の巻線端同士の結線で完結される。
第1および第2小コイル群U101,U102と第3および第4小コイル群U201,U202は、電気角で30°ずれたスロット13に収納されている。そこで、第3および第4小コイル群U201,U202には、第1および第2小コイル群U101,U102と比べ、電気角で30°位相のずれた、回転子5からの逆起電力が発生する。そのため、U1−7BとU1−8Bとを接続して第1および第2小コイル群U101,U102を直列に接続し、U2−7BとU2−8Bとを接続して第3および第4小コイル群U201,U202を直列に接続し、さらに、U1−1AとU2−1Aとを接続し、U1−2AとU2−2Aとを接続して、並列回路を構成すると、逆起電力の位相差によって電流が発生する。この電流が効率の悪化の原因となる。この実施の形態1では、電気角でπ+30°ずれたスロット13に収納されている小コイル群同士を直列に接続しているので、位相差に起因する電流の発生が抑制される。
ここで、図示していないが、毎極毎相当たりのスロット数qが3の場合、例えばU相コイルが収納される3つのスロット群は、互いに電気角で20°(=π×p/S)ずれている。そこで、電気角でπ±20°ずれたスロット13に収納されている小コイル群を直列に接続、あるいは電気角でπ±40°ずれたスロット13に収納されている小コイル群を直列に接続すれば、位相差に起因する電流の発生を抑制できる。このように、位相差に起因する電流の発生を抑制するためには、電気角でπ±(π×p/S)×l(但し、lは0<l≦q−1を満足する自然数)だけずれたスロット13に収納されている小コイル群を直列に接続すればよい。
つぎに、U相コイルを構成する第1乃至第4小コイル群U101,U102,U201,U202における外径側巻線端群800の結線方法を図33および図34を用いて説明する。
図33に示されるように、第1小コイル群U101の外径側巻線端であるU1−1Aと第3小コイル群U201の外径側巻線端であるU2−1Aが渡り線811により接続され、第2小コイル群U102の外径側巻線端であるU1−2Aと第4小コイル群U202の外径側巻線端であるU2−2Aが渡り線821により接続される。これにより、それぞれ8個の巻線体22を直列に接続したコイルを並列に接続して並列回路に構成されたU相コイルが得られる。さらに、V相コイルおよびW相コイルが渡り線812,813,822,823を用いて同様に結線され、外径側巻線端群800の全ての巻線端の結線が外径側巻線端群800内の巻線端同士の結線で完結される。
また、図34に示されるように、第3小コイル群U201の外径側巻線端であるU2−1Aと第4小コイル群U202の外径側巻線端であるU2−2Aが渡り線811により接続され、16個の巻線体22を直列に接続して直列回路に構成されたU相コイルが得られる。さらに、V相コイルおよびW相コイルが同様に結線され、外径側巻線端群800の全ての巻線端の結線が外径側巻線端群800内の巻線端同士の結線で完結される。
このように、内径側巻線端群700内の巻線端同士の結線を変えることなく、外径側巻線端群800内の同一相コイルの巻線端同士の結線を変えるだけで、各相コイルの回路を並列又は直列に変えることができるので、電機子巻線20の仕様変更に簡易に対応することができる。そこで、結線の変更が複雑となることに起因する部品数の増加、および製造コストの高騰を抑制することができる。
つぎに、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルの結線方法を図35および図36を用いて説明する。
図35に示されるように、並列回路に構成されたU相コイル、V相コイルおよびW相コイルの渡り線821,822,823を中性点86に結線し、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルの渡り線811,812,813を給電部とすることにより、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルをY結線した分布巻きの電機子巻線20が得られる。
また、図36に示されるように、U相コイルの渡り線821とV相コイルの渡り線812とを結線し、V相コイルの渡り線822とW相コイルの渡り線813とを結線し、W相コイルの渡り線823とU相コイルの渡り線811とを結線して、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルをΔ結線した分布巻きの電機子巻線20が得られる。
このように結線された電機子巻線20を用いた回転電機100は、電機子巻線20に設定された交流電力を給電することで、8極、48スロットのインナーロータ型の3相モータとして動作する。
このように、内径側巻線端群700内の巻線端同士の結線を変えることなく、外径側巻線端群800内の異なる相コイルの巻線端同士の結線を変えるだけで、相コイルの結線をY結線又はΔ結線に変えることができるので、電機子巻線20の仕様変更に簡易に対応することができる。そこで、結線の変更が複雑となることに起因する部品数の増加、および製造コストの高騰を抑制することができる。
内径側巻線端群700の全ての巻線端の結線が内径側巻線端群700内の巻線端同士の結線で完結され、かつ外径側巻線端群800の全ての巻線端の結線が外径側巻線端群800内の巻線端同士の結線で完結されるので、小コイル群間を結線する渡り線は、外径側から内径側に、あるいは内径側から外径側に引き回されることなく、周方向に延線される。そこで、電機子巻線20の軸方向寸法の拡大が抑えられ、回転電機100の小型化が図られる。
つぎに、16個の巻線体22を直列に接続して直列回路に構成されたU相コイル、V相コイルおよびW相コイルをY結線する場合について説明する。図37はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における内径側巻線端群内の巻線端同士を連結する結線部材を示す斜視図、図38はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における外径側巻線端群内の巻線端同士を連結する結線部材を示す斜視図、図39はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における結線部材を用いて接続された巻線アッセンブリを示す斜視図である。
内径側巻線端群700内の巻線端同士を結線する渡り線711,712,713,721,722,723は、例えば、銅などの導体板をプレス成形して作製され、図37に示されるように、円弧状の基部711a,712a,713a,721a,722a,723aと、基部711a,712a,713a,721a,722a,723aの両端から内径側に延設されたL字状の接続端子711b,712b,713b,721b,722b,723bと、を備えている。
外径側巻線端群800内の巻線端同士を結線する渡り線811,812,813は、例えば、銅などの導体板をプレス成形して作製され、図38に示されるように、円弧状の基部811a,812a,813aと、基部811a,812a,813aの両端から外径側に延設されたL字状の接続端子811b,812b,813bと、を備えている。さらに、中性点渡り線85は、例えば、銅などの導体板をプレス成形して作製され、図38に示されるように、円弧状の基部85aと、基部85aに突設された接続端子85bと、を備えている。
そして、渡り線711の基部711aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子711bがU1−7B,U2−8Bに接合される。渡り線712の基部712aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子712bがV1−7B,V2−8Bに接合される。渡り線713の基部713aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子713bがW1−7B,W2−8Bに接合される。さらに、渡り線721の基部721aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子721bがU2−7B,U1−8Bに接合される。渡り線722の基部722aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子722bがV2−7B,V1−8Bに接合される。渡り線723の基部723aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子723bがW2−7B,W1−8Bに接合される。これにより、内径側巻線端群700内の巻線端同士の結線が完結する。
ついで、渡り線811の基部811aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子811bがU2−1A,U2−2Aに接合される。渡り線812の基部812aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子812bがV2−1A,V2−2Aに接合される。渡り線813の基部813aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子813bがW2−1A,W2−2Aに接合される。さらに、中性点渡り線85の基部85aが巻線アッセンブリ21のコイルエンドの軸方向外方に配置され、接続端子85bがU1−2A,V1−2A,W1−2Aに接合される。これにより、外径側巻線端群800内の巻線端同士の結線が完結する。
巻線アッセンブリ21は、図39に示されるように、渡り線711,712,713,721,722,723,811,812,813および中性点渡り線85により結線され、それぞれ直列回路に構成されたU相コイル、V相コイルおよびW相コイルがY結線された電機子巻線20を構成する。
このように、内径側巻線端群700の全ての巻線端の結線が内径側巻線端群700内の巻線端同士の結線で完結され、かつ外径側巻線端群800の全ての巻線端の結線が外径側巻線端群800内の巻線端同士の結線で完結されるので、渡り線711,712,713,721,722,723,811,812,813および中性点渡り線85としてプレス成形された結線部材を用いて、巻線アッセンブリ21を簡易に結線できる。
なお、上記実施の形態1では、外径側巻線端群800内の巻線端を給電部とするものとして説明しているが、内径側巻線端群700内の巻線端を給電部としてもよいことはいうまでもないことである。
また、上記実施の形態1では、巻線体22の第1および第2巻線端22g,22hの溶接部間の絶縁について、何ら記載していないが、例えば溶接部に電気絶縁性樹脂を塗布すればよい。
また、上記実施の形態1では、1本のティース12bが円弧状のコアバック部12aに突設された、円環状の電機子鉄心11を48等分割した鉄心ブロック12を用いるものとしているが、2個の鉄心ブロック12が一体に作製された、すなわち2本のティースが円弧状のコアバック部から突設された鉄心ブロックを用いてもよい。この場合、鉄心ブロックの個数が半減するので、電機子10の組立作業性が高められる。
実施の形態2.
図40はこの発明の実施の形態2に係る回転電機における電機子巻線のW相コイルを構成する小コイル群の結線図である。
まず、図40に基づいて、W相コイルを構成する第1乃至第4小コイル群W101,W102,W201,W202の結線方法を説明する。
電気角で360°離れた巻線体22のW1−1BとW1−3A、W1−3BとW1−5A、W1−5BとW1−7Aを接続し、第1小コイル群W101を作製する。同様に、電気角で360°離れた巻線体22のW1−8BとW1−2A、W1−2BとW1−4A、W1−4BとW1−6Aを接続し、第2小コイル群W102を作製する。同様に、電気角で360°離れた巻線体22のW2−1BとW2−3A、W2−3BとW2−5A、W2−5BとW2−7Aを接続し、第3小コイル群W201を作製する。同様に、電気角で360°離れた巻線体22のW2−8BとW2−2A、W2−2BとW2−4A、W2−4BとW2−6Aを接続し、第4小コイル群W202を作製する。図示していないが、V相コイルおよび相コイルは、上記実施の形態1と同様に構成される。
ついで、第1小コイル群W101の内径側巻線端であるW1−7Bと第4小コイル群W202の内径側巻線端であるW2−6Bが渡り線713により接続され、第1小コイル群W101と第4小コイル群W202が直列に接続される。第2小コイル群W102の内径側巻線端であるW1−6Bと第3小コイル群W201の内径側巻線端であるW2−7Bが渡り線723により接続され、第2小コイル群W102と第3小コイル群W201が直列に接続される。図示していないが、V相コイルおよび相コイルが、渡り線711,712,721,722を用いて、上記実施の形態1と同様に結線される。これにより、内径側巻線端群700の全ての巻線端の結線が内径側巻線端群700内の巻線端同士の結線で完結される。
ついで、第1小コイル群W101の外径側巻線端であるW1−1Aと第2小コイル群W102の外径側巻線端であるW1−8Aが渡り線813により接続され、第3小コイル群W201の外径側巻線端であるW2−1Aと第4小コイル群W202の外径側巻線端であるW2−8Aが渡り線823により接続される。これにより、それぞれ8個の巻線体22を直列に接続したコイルを並列に接続して並列回路に構成されたW相コイルが得られる。図示していないが、U相コイルおよびV相コイルが渡り線811,812,821,822を用いて、上記実施の形態1と同様に結線され、外径側巻線端群800の全ての巻線端の結線が外径側巻線端群800内の巻線端同士の結線で完結される。
つぎに、この実施の形態2による結線方法の効果について図41および図42を用いて説明する。図41はこの発明の実施の形態1に係る回転電機における巻線アッセンブリの結線方法を示す模式図、図42はこの発明の実施の形態2に係る回転電機における巻線アッセンブリの結線方法を示す模式図である。
図41は実施の形態1による並列回路の相コイルをY結線した巻線アッセンブリの模式図であり、図中、内径側巻線端群700の巻線端間の渡り線711,712,713,721,722,723に付された矢印は給電部から中性点に向かう方向を示している。この結線方法では、W相コイルの内径側巻線端間を結線する渡り線713,723が、U1−7BとU2−8Bを結線する渡り線711、U1−8BとU2−7Bを結線する渡り線721、V1−7BとV2−8Bを結線する渡り線712およびV1−8BとV2−7Bを結線する渡り線722を跨ぐ構造となり、内径側巻線端群700が周方向に分散してしまう。
この実施の形態2による結線方法では、図42に示されるように、W相コイルの内径側巻線端間の渡り線713,723における給電部から中性点に向かう方向が、巻線アッセンブリ21の周方向に関し、U相コイルおよびV相コイルの内径側巻線端間の渡り線711,712,721,722における給電部から中性点に向かう方向と逆向きとなっている。これにより、内径側巻線端群700を構成する巻線端が周方向に連続して配列し、内径側巻線端群700の占める周方向角度範囲が狭くなり、回転電機の小型化が図られる。
また、この実施の形態2による結線方法では、図42に示されるように、給電部となる外径側巻線端群800を構成する巻線端も、内径側巻線端群700を構成する巻線端と同様に、周方向に連続して配列されており、巻線アッセンブリ21が図42に破線90で示される箇所で分離可能となる。そこで、結線された巻線アッセンブリ21をC字状に広げることが可能となる。つまり、図10乃至図18に示された巻線アッセンブリ21の組み立て途中で、巻線体22の巻線端同士の接合が可能となる。これにより、ばらばらであった巻線体22を接合することで、巻線体22のハンドリングが容易となる。さらに、複数個の巻線体22を接合一体化することで、巻線体22が安定し、巻線アッセンブリ21の組立性が高められる。
ここで、上記実施の形態2では、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルをY結線して3相交流巻線を構成するものとしているが、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルをΔ結線して3相交流巻線を構成してもよい。つまり、図42において、渡り線823,811を連結し、渡り線821,812を連結し、渡り線822,813を連結することにより、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルをΔ結線して3相交流巻線を構成してもよい。この場合も、渡り線713,723におけるW相コイル両端の渡り線822,813の連結部(第1給電部)から渡り線823,811の連結部(第2給電部)に向かう方向が、巻線アッセンブリ21の周方向に関し、渡り線711,721におけるU相コイル両端の渡り線823,811の連結部(第2給電部)から渡り線821,812の連結部(第3給電部)に向かう方向および渡り線712,722におけるV相コイル両端の渡り線821,812の連結部(第3給電部)から渡り線822,813の連結部(第1給電部)に向かう方向と逆方向となっている。そして、内径側巻線端群700および外径側巻線端群800を構成する巻線端は、それぞれ、周方向に連続して配列され、巻線アッセンブリが周方向に分離可能となっている。したがって、実施の形態2において、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルをΔ結線して3相交流巻線を構成しても、同様の効果が得られる。
実施の形態3.
図43はこの発明の実施の形態3に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。なお、図43では、便宜上、コイルエンドを直線的に示している。
図43において、巻線体22Aは、連続する6本のティース12bの一側のスロット13の第1層、第2層、第5層および第6層に収納された4本の第1直線部22aと、連続する6本のティース12bの他側のスロット13の第3層、第4層、第7層および第8層に収納された4本の第2直線部22bと、第1および第2直線部22a,22bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド22c,22dと、を備えている。
4本の第1コイルエンド22cは、一方のスロット13の第1層、第2層、第5層および第6層の第1直線部22aの一端から設定された傾斜角度で他方の列の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、それぞれ、第1頂部22e(図示せず)で略直角に曲げられて径方向外方(スロット深さ方向の底部側)に距離2dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜角度で他方のスロット13の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、他方のスロット13の第3層、第4層、第7層および第8層の第2直線部22bの一端に接続されている。
2本の第2コイルエンド22dは、他方のスロット13の第3層および第7層の第2直線部22bの他端から設定された傾斜角度で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、第2頂部22f(図示せず)で略直角に曲げられて径方向内方(スロット深さ方向の開口側)に隙間dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜角度で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、一方のスロット13の第2層および第6層の第1直線部22aの他端に接続されている。
1本の第2コイルエンド22dは、他方のスロット13の第4の第2直線部22bの他端から設定された傾斜角度で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、第2頂部22f(図示せず)で略直角に曲げられて径方向外方に隙間dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜角度で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、一方のスロット13の第5層の第1直線部22aの他端に接続されている。
このように構成された巻線体22Aにおいては、第1および第2直線部22a,22b、および第1および第2コイルエンド22c,22dは、それぞれ、導体線の長方形断面の長辺で構成される平面を相対させ、導体線の長方形断面の短辺方向に、1列に配列されている。そして、第1および第2直線部22a,22bは、径方向に関し、連結する第1および第2コイルエンド22c、22dの第1および第2頂部22e,22fでの径方向の変位量だけ変位している。つまり、第1直線部22aは、一方のスロット13内の第1層、第2層、第5層および第6層に収納され、第2直線部22bは他方のスロット13内の第3層、第4層、第7層および第8層に収納されている。
また、各スロット13には、一方の巻線体22Aの第1直線部22aと他方の巻線体22Aの第2直線部22bが径方向(スロット深さ方向に)に1列に並んで収納されている。そして、一方の巻線体22Aの第1直線部22aが第1層、第2層、第5層および第6層に収納され、他方の巻線体22Aの第2直線部22bが第3層、第4層、第7層および第8層に収納されている。
このように、巻線体22Aは、互いに干渉することなく、周方向に1スロットピッチで配列される。また、巻線体22Aの巻線端22g,22hは、巻線体22Aの他端側の対角位置から、第1および第2直線部22a,22bの長さ方向に、かつ同じ方向に延出している。したがって、巻線体22に替えて巻線体22Aを用いて巻線アッセンブリを作製し、上記実施の形態1と同様に、内径側巻線端群内の巻線端同士を連結し、および外径側巻線端群内の巻線端同士を連結するようにすれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
実施の形態4.
図44はこの発明の実施の形態4に係る回転電機における3つの巻線体が電機子鉄心の同一スロット群に周方向に連続して装着された状態を軸方向一端側から見た展開図である。なお、図44では、便宜上、コイルエンドを直線的に示している。
図44において、巻線体22Bは、連続する6本のティース12bの一側のスロット13の第1層、第2層、第5層および第7層に収納された4本の第1直線部22aと、連続する6本のティース12bの他側のスロット13の第3層、第4層、第6層および第8層に収納された4本の第2直線部22bと、第1および第2直線部22a,22bの列間で、長さ方向の一端同士と他端同士とを交互に連結する第1および第2コイルエンド22c,22dと、を備えている。
2本の第1コイルエンド22cは、一方のスロット13の第1層および第2層の第1直線部22aの一端から設定された傾斜で他方の列の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、それぞれ、第1頂部22e(図示せず)で略直角に曲げられて径方向外方(スロット深さ方向の底部側)に距離2dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜で他方のスロット13の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、他方のスロット13の第3層および第4層の第2直線部22bの一端に接続されている。
他の2本の第1コイルエンド22cは、一方のスロット13の第5層および第7層の第1直線部22aの一端から設定された傾斜で他方の列の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、それぞれ、第1頂部22e(図示せず)で略直角に曲げられて径方向外方(スロット深さ方向の底部側)に隙間dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜で他方のスロット13の第2直線部22b側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、他方のスロット13の第6層および第8の第2直線部22bの一端に接続されている。
1本の第2コイルエンド22dは、他方のスロット13の第3層の第2直線部22bの他端から設定された傾斜で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、第2頂部22f(図示せず)で略直角に曲げられて径方向内方(スロット深さ方向の開口側)に隙間dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、一方のスロット13の第2層の第1直線部22aの他端に接続されている。
他の2本の第2コイルエンド22dは、他方のスロット13の第4層および6層の第2直線部22bの他端から設定された傾斜で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向外方に延出し、第2頂部22f(図示せず)で略直角に曲げられて径方向外方に隙間dだけ変位し、その後略直角に曲げられて設定された傾斜で一方のスロット13の第1直線部22a側に、かつ第1および第2直線部22a,22bの長さ方向内方に延出し、一方のスロット13の第5層および第7層の第1直線部22aの他端に接続されている。
このように構成された巻線体22Bにおいては、第1および第2直線部22a,22b、および第1および第2コイルエンド22c,22dは、それぞれ、導体線の長方形断面の長辺で構成される平面を相対させ、導体線の長方形断面の短辺方向に、1列に配列されている。そして、第1および第2直線部22a,22bは、径方向に関し、連結する第1および第2コイルエンド22c、22dの第1および第2頂部22e,22fでの径方向の変位量だけ変位している。つまり、第1直線部22aは、一方のスロット13内の第1層、第2層、第5層および第7層に収納され、第2直線部22bは他方のスロット13内の第3層、第4層、第6層および第8層に収納されている。
また、各スロット13には、一方の巻線体22Bの第1直線部22aと他方の巻線体22Bの第2直線部22bが径方向(スロット深さ方向に)に1列に並んで収納されている。そして、一方の巻線体22Bの第1直線部22aが第1層、第2層、第5層および第7層に収納され、他方の巻線体22Bの第2直線部22bが第3層、第4層、第6層および第8層に収納されている。
このように、巻線体22Bは、互いに干渉することなく、周方向に1スロットピッチで配列される。また、巻線体22Bの巻線端22g,22hは、巻線体22Bの他端側の対角位置から、第1および第2直線部22a,22bの長さ方向に、かつ同じ方向に延出している。したがって、巻線体22に替えて巻線体22Bを用いて巻線アッセンブリを作製し、上記実施の形態1と同様に、内径側巻線端群内の巻線端同士を連結し、および外径側巻線端群内の巻線端同士を連結するようにすれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏する。
なお、上記各実施の形態では、巻線体22が接続部のない連続した導体線を螺旋状に巻回して構成されているのとしているが、巻線体は、例えば短尺の導体を連結して作製された導体線を螺旋状に巻回して構成されてもよい。
また、上記各実施の形態では、インナーロータ型の電動機ついて説明しているが、本発明をアウターロータ型の電動機に適用しても、同様の効果を奏する。
また、上記各実施の形態では、本願を電動機に適用した場合について説明しているが、本願を発電機に適用しても、同様の効果を奏する。
また、上記各実施の形態では、絶縁被覆された導体線を用いて巻線体を作製するものとしているが、絶縁被覆されていない導体線を用いて作製された巻線体に絶縁被覆処理を施してもよい。
また、上記各実施の形態では、8極48スロットの回転電機について説明しているが、極数およびスロット数は、8極48スロットに限定されないことは言うまでもないことである。
また、上記各実施の形態では、巻線体が導体線を螺旋状に4ターン巻回して構成されているものとしているが、導体線のターン数は4回に限定されず、2回以上であればよい。

Claims (6)

  1. 電機子巻線が円環状の電機子鉄心に装着されて構成される電機子を有し、スロットが上記電機子鉄心に毎極毎相当たりq(但し、qは2以上の自然数)の割合で形成された回転電機において、
    上記電機子巻線は、それぞれ、螺旋状にm回(但し、mは2以上の自然数)巻回されている導体線により構成され、各列にm本並んで2列に配列された直線部、および列間で該直線部の端部間を連結するコイルエンドを有し、該導体線の一方の巻線端が一方の列の直線部配列方向の一端に位置する該直線部の長さ方向一側に延出し、該導体線の他方の巻線端が他方の列の直線部配列方向の他端に位置する該直線部の長さ方向一側に延出している複数の巻線体を備え、
    上記複数の巻線体は、それぞれ、2列に配列された上記直線部の各列を上記電機子鉄心の周方向に連続する複数本のティースの両側に位置するスロット対のそれぞれに収納して、周方向に1スロットピッチで配列され、上記一方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最浅部から延出して周方向に1スロットピッチで配列され、かつ上記他方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最深部から延出して周方向に1スロットピッチで配列され
    上記電機子巻線を構成する相コイルのそれぞれは、電気角で360°離れたスロット対に収納されている上記巻線体、周方向の配列順に、上記一方の巻線端と上記他方の巻線端とを連結して直列に接続されている、周方向に1周する(2×q)本の小コイル群を備え、
    上記小コイル群の一方の端部を構成する上記一方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最浅部から延出して周方向に配列して内径側巻線端群を構成し、かつ上記小コイル群の他方の端部を構成する上記他方の巻線端が上記スロットのスロット深さ方向の最深部から延出して周方向に配列して外径側巻線端群を構成し、
    上記相コイルを構成する上記小コイル群間、および上記相コイル間が、上記内径側巻線端群内の巻線端同士を結線し、かつ上記外径側巻線端群内の巻線端同士を結線することにより、接続されるように構成されていることを特徴とする回転電機。
  2. 上記内径側巻線端群内の巻線端同士、又は上記外径側巻線端群内の巻線端同士を連結して接続される2つの上記小コイル群は、電気角でπ±(π×p/S)×l(但し、Sはスロット数、pは極数、lは0<l≦q−1を満足する自然数)離れていることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
  3. 上記電機子巻線が三相の相コイルをY結線して構成される三相交流巻線であり、1つの相コイルにおける2つの上記小コイル群を接続する上記内径側巻線端群内の巻線端同士、又は上記外径側巻線端群内の巻線端同士の連結部における給電部から中性点に向かう方向が、上記電機子巻線の周方向に関し、他の相コイルにおける2つの上記小コイル群を接続する上記内径側巻線端群内の巻線端同士の連結部、又は上記外径側巻線端群内の巻線端同士の連結部における給電部から中性点に向かう方向と逆であり、
    上記内径側巻線端群内の巻線端、又は上記外径側巻線端群内の巻線端が、周方向に連続して配列されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機。
  4. 上記電機子巻線が三相の相コイルをΔ結線して構成される三相交流巻線であり、1つの相コイルにおける2つの上記小コイル群を接続する上記内径側巻線端群内の巻線端同士、又は上記外径側巻線端群内の巻線端同士の連結部におけるΔ結線の環状に配列された給電部の一方の配列方向が、上記電機子巻線の周方向に関し、他の相コイルにおける2つの上記小コイル群を接続する上記内径側巻線端群内の巻線端同士の連結部、又は上記外径側巻線端群内の巻線端同士の連結部におけるΔ結線の環状に配列された給電部の一方の配列方向と逆であり、
    上記内径側巻線端群内の巻線端、又は上記外径側巻線端群内の巻線端が、周方向に連続して配列されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機。
  5. 上記内径側巻線端群内の巻線端同士、および上記外径側巻線端群内の巻線端同士が、上記巻線体とは別部材の結線部材により連結されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機。
  6. 上記電機子鉄心が、円弧状のコアバック部およびティースを備えた鉄心ブロックを該コアバック部の周方向側面同士を突き合わせて円環状に配列して構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機。
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