JP5919812B2 - 成形性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents

成形性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建材や家電、自動車などの部材の素材に好適な、成形性(特に曲げ加工性)に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法に関する。
建材や家電、自動車などの分野では、製品の軽量化等の観点から使用部材の薄肉化が進められており、これらの部材の素材として広く使用されている0.8mm厚のTS340MPa級鋼板は、0.7mm厚、或いは更に0.6mm厚の鋼板に取って代わられつつある。
しかしながら、素材となる鋼板の厚さは、部材の特性に大きな影響を及ぼす。そのため、部材に要求される所望の特性を維持しつつ部材(鋼板)の薄肉化を図ることは容易ではない。
例えば、平板部材の耐デント性Aは、部材(或いは素材となる鋼板)の板厚tおよび引張強さTSが大きくなるほど良好となり、おおむね「A∝t×t×TS」の関係式で評価される。そのため、同一鋼種規格による鋼板(部材)の薄肉化は、部材の耐デント性の低下を招き、問題となる。
そこで、部材の薄肉化には、高強度化が必須となる。具体的には、上記の関係式(A∝t×t×TS)に従い、現行材である「0.8mm厚、TS340MPa級」の鋼板と同等の耐デント性を維持しつつ鋼板の板厚を0.7mm、0.6mmに薄肉化する場合には、引張強さTS:440MPa、600MPaへの高強度化が必要となる。
鋼板の高強度化には、大別して固溶強化増大による固溶強化や、第2相を微細かつ多量に析出させる分散強化が活用されている。しかしながら、これらの強化機構では、多くの固溶強化元素や析出強化元素を添加することが必要となり、製造コストが増大する。また、建材や家電、自動車などの部材となる鋼板には多くの場合、耐食性を確保する目的でめっき処理が施されるが、多くの元素を添加すると、めっき付着性を損なうといった問題も生じる。
このような問題に対し、添加元素を増加させることなく、鋼板製造時、冷間圧延工程での加工硬化によって鋼板の高強度化を図る技術が確立されている。
例えば、特許文献1および特許文献2には、鋼板の製造工程の最後に冷間圧延を施すことにより、鋼板の高強度化を図る技術が提案されている。しかしながら、加工硬化させた鋼は、高強度であるものの加工性に極めて乏しい。そのため、冷間圧延後の焼鈍工程を省略したこれらの技術では、加工性に優れた鋼板を得ることが極めて困難であり、鋼板をプレス加工等によって所望の部材形状に成形する際、様々な支障をきたす。
これらの技術に対し、特許文献3には、各種容器用として用いられる缶用鋼板の製造方法に関し、所定の組成を有する圧延素材に熱間圧延を施して熱延板とし、ついで、該熱延板に冷間圧延を施したのち、連続焼鈍工程で、500 ℃以上でかつ再結晶率が90%未満、好ましくは60%以上90%未満となる温度範囲で均熱する技術が提案されている。そして、係る技術によると、部分再結晶状態で連続焼鈍を行うことで、加工性に優れた高強度缶用極薄冷延鋼板が得られるとされている。
しかしながら、部分再結晶状態は、強度のバラツキが大きくなるため、強度の安定した高強度鋼板を得ることが困難である。
一方、特許文献4には、電機、建材、自動車などの分野で使用される曲げ加工性に優れた冷延鋼板の製造方法に関し、質量%で、C:0.025%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.05〜0.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.01〜0.1%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼を、Ar3変態点以上の仕上温度で熱間圧延後、500℃以上650℃以下の巻取温度で巻取り、酸洗後、圧延率が85%以下の範囲で、かつ冷間圧延後の鋼板の引張強度TSが390MPa以上、板厚が0.4mm以上となるように冷間圧延を行い、或いは更に冷間圧延後、回復焼鈍を行う技術が提案されている。
そして、特許文献4で提案された技術によると、冷間加工の圧延率(圧下率ともいう)を調整して加工硬化により高強度化を図り、続く回復焼鈍を行い曲げ加工を改善することで、引張強度TSが390MPa以上の高強度化とポンチ先端曲率が2R以下の厳しい90度曲げ加工を可能とする優れた曲げ加工性が両立できるとされている。また、特許文献4で提案された技術では、鋼板をフェライト圧延組織とし、鋼のC含有量を0.0040%以下に抑制してセメンタイトの析出量を抑制することで、密着曲げ加工を施すことも可能になるとされている。
特開平8−176674号公報 特開2000−87184号公報 特開2001−107187号公報 特開2010−229545号公報
しかしながら、特許文献4で提案された技術では、得られた鋼板に90度曲げ加工部や密着曲げ加工部を施し、その加工部を観察して肌荒れの有無を確認すると、鋼板の板厚が0.8mmである場合には肌荒れが確認されないものの、冷間加工の圧延率(圧下率ともいう)を75%超として鋼板の板厚を0.7mm以下に薄肉化すると、肌荒れが確認される場合があった。そのため、意匠性が要求される部材への適用は制限され、汎用性等の面で問題が見られた。更に、特許文献4で提案された技術、すなわち冷間加工の圧下率を調整して鋼板の高強度化を図る技術では、強度を確保する目的で冷間加工の圧下率を70%超と高めに設定して製造した鋼板に密着曲げ加工を施すと、割れ発生には至らないものの、加工部の板厚が極端に薄肉化する場合もあった。加工部の板厚が大幅に減少すると、該加工部の剛性が極度に低下する。そのため、所定の強度が要求される部材にこのような鋼板を適用すると、部材の使用時に割れ等を招来する問題もあった。また、曲げた部分を平坦に戻すときに破断する問題も見られた。
以上のように、従来技術では、鋼板を薄肉化するに際し、密着曲げ等の厳しい加工条件に耐え得る加工性を維持しつつ高強度化を図ることが極めて困難であった。そのため、従来技術では、優れた耐デント性が要求され且つ厳しい加工条件で成形される複雑形状部材、例えば、建材、家電、自動車などの部材を薄肉化する場合に様々な支障をきたし、改善の余地が見られた。
本発明は、上記した従来技術が抱える問題を有利に解決し、建材や家電、自動車などの部材の素材に好適な、成形性(特に曲げ加工性)に優れた高強度薄鋼板、具体的には、引張強さTS:400MPa以上、より好ましくは500MPa以上であり、密着曲げ加工を施しても曲げ加工部に割れや極端な板厚の減少、肌荒れが生じない、曲げ加工性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは、フェライト組織を有する薄鋼板の強度および曲げ加工性(特に密着曲げ加工部の耐割れ性や表面性状)に及ぼす各種要因について鋭意検討した。
まず、本発明者らは、加工硬化を活用することにより得られた引張強さTS:500MPa級の薄鋼板に密着曲げ加工を施し、該薄鋼板の成形性について調査した。そして、加工硬化量が大きいほど、密着曲げ加工時に曲げ加工部が肌荒れや割れ、或いは、割れには至らないものの曲げ中央部の板厚が大幅に減少する傾向があることを確認した。また、上記薄鋼板に焼鈍処理を施すことにより、密着曲げ加工部の肌荒れや割れ発生、或いは曲げ中央部における板厚減少が大幅に抑制されることを確認した。
そこで、本発明者らは、各種条件の冷間加工を施すことによりフェライト組織を有する鋼板(板厚:0.6mmの薄鋼板)とし、これらの鋼板から曲げ試験片を採取し、該試験片に密着曲げ加工(曲げ方向:C方向)を施し、密着曲げ加工部を観察して肌荒れ度や割れの有無を確認するとともに、曲げ中央部における板厚減少率を測定した。また、上記冷間加工に続き各種条件の焼鈍を施し、冷間加工ままの鋼板と同様に密着曲げ加工(曲げ方向:C方向)を施し、密着曲げ加工部を観察して肌荒れ度や割れの有無を確認するとともに、曲げ中央部における板厚減少率を測定した。ここで、C方向とは、鋼板の圧延方向に直交する方向である。
なお、肌荒れ度は、図5に示すように、密着曲げ加工後、試験片の幅方向中央部断面(C方向断面)を観察し、密着曲げ加工後の曲げ外周部に生じた凹凸の凹部(図5中のA点)を直線で結び、該直線と凸部(図5中のB点)との最大距離L(図5中のL1,L2,L3・・・の最大値)で定量化したものとする。
また、板厚減少率は、図6に示すように、密着曲げ加工後、試験片の幅方向中央部断面(C方向断面)を観察し、曲げ中央部における板厚(図6中のt)を測定し、(加工前の板厚t0−密着曲げ加工後の曲げ中央部の板厚t)/(加工前の板厚t0)により得られた値とする。
その結果、冷間加工ままの鋼板では、何れも板厚減少率が0.10(10%)以上であり、密着曲げ加工部において割れが発生し易い状態となっていることが確認された。また、冷間加工ままの鋼板は何れも、密着曲げ加工部の肌荒れ度が5μm以上であった。更に、冷間加工に続き焼鈍を施した鋼板であっても、冷間加工の圧延率(加工硬化量)が高くなるにつれて、密着曲げ加工部において割れや肌荒れが発生し易くなる傾向が見られることが明らかになった。これらの鋼板に対し、冷間加工の圧延率(加工硬化量)を低減するとともに、冷間加工に続き焼鈍を施した鋼板では、何れも板厚減少率が0.05(5%)以下の値を示し、割れも発生せず、良好な密着曲げ加工性を示すことが確認された。また、これらの鋼板は何れも、密着曲げ加工部の肌荒れ度が3μm以下であった。
以上のように、本発明者らは、板厚を0.6mmにまで低減した薄鋼板を製造するに際し、冷間加工の圧延率(加工硬化量)を小さくするとともに、適正温度での焼鈍処理を施すことで、密着曲げ加工のような厳しい加工にも耐え得る優れた曲げ加工性を有する薄鋼板が得られることを突き止めた。しかしながら、上記の如く冷間加工の圧延率(加工硬化量)を低減した薄鋼板では、所望の強度が得られないという問題が残された。
そこで、本発明者らは、加工硬化量(冷間加工の圧延率)を極力低減しつつ薄鋼板の高強度化を図る手段について模索し、安価な元素であるNを固溶強化元素として活用することに想到した。そして、Nを固溶強化元素として活用した固溶強化機構によると、密着曲げ加工時の板厚減少率や肌荒れ度が比較的低い値に維持され、密着曲げ加工性を損なうことなく鋼板を高強度化することが可能であることを知見した。
また、先述のとおり、薄鋼板を製造するに際し、冷間加工に続き適正温度で焼鈍処理を施すことで優れた曲げ加工性を有する薄鋼板が得られるが、焼鈍処理に伴う薄鋼板の強度低下は避けられない。そこで、本発明者らは、加工硬化による強化機構とともにNを固溶強化元素とした固溶強化機構を活用したフェライト組織を有する薄鋼板について、所望の引張強さTS(400MPa以上)を確保するための焼鈍条件について検討した。その結果、薄鋼板を製造するに際し、鋼組成を所定の組成に規定したうえ、焼鈍温度AT(℃)を下記の式を満足するように設定することにより、焼鈍後の薄鋼板において400MPa以上の引張強さTSが維持されることを知見した。

AT(℃)≦(400−152−7.3×CR−155×[N]×100/(3.8×Nb−0.26)
(CR:冷間圧延工程の圧延率(%))
(Nb:Nbの含有量(質量%)。但し、鋼がNbを含有しない場合はNb=0。)
([N]:焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量(質量%))
上記の式を導出するに至った実験、すなわち、冷間加工の圧延率CR(%)、固溶N量(質量%)、Nb含有量(質量%)および焼鈍温度AT(℃)の各々が、焼鈍処理後の薄鋼板の引張強さTS(MPa)に及ぼす影響を調査するための実験について以下に述べる。
C:0.003%含有鋼に熱間圧延を施し熱延板とし、該熱延板に種々の圧延率(40〜70%)で冷間圧延を施してフェライト組織を有する冷延板とした(板厚:0.6mm)。得られた冷延板から、圧延方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行い、圧延方向引張強さTS0を測定した。測定結果を図1に示す。図1は、圧延方向引張強さTS0に及ぼす冷間圧延の圧延率の影響を示し、圧延率CRが1%上昇するにつれて、冷延板の圧延方向引張強さTS0が7.3MPa高くなることが分かる。
また、上記で得られた冷延板に、種々の焼鈍温度AT(℃)で焼鈍処理を施し(焼鈍時間:100s)、焼鈍板とした。次いで、得られた焼鈍板から、圧延方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行い、圧延方向引張強さTSを測定した。そして、これらの測定結果から、焼鈍処理中の回復率ρ(焼鈍温度の高温化に伴う焼鈍板強度減少量(MPa/℃))を算出し、先に求めた未焼鈍冷延板の圧延方向引張強さTS0と回復率ρとの関係を求めた。図2は、回復率ρ(MPa/℃)に及ぼす未焼鈍冷延板の圧延方向引張強さTS0の影響を示し、未焼鈍冷延板の圧延方向引張強さTS0が100MPa上昇するにつれて、回復率ρが0.08MPa/℃上昇することが分かる。
また、上記と同様のC:0.003%含有鋼に熱間圧延を施し熱延板(板厚:1.5mm)とし、該熱延板に60%の圧延率で冷間圧延を施し、種々の固溶N含有量(質量%)のフェライト組織を有する冷延板(板厚:0.6mm)とした。なお、冷延板に含まれる固溶N量(質量%)は、熱間圧延条件(圧延温度、巻取り温度等)を変更することにより調整した。また、得られた冷延板を様々な焼鈍温度(450〜500℃)で焼鈍した焼鈍板について、上記と同様にして圧延方向引張強さTSを測定した。また、冷延板と焼鈍板の固溶N含有量を測定し、焼鈍前後で固溶N含有量に変化がないことが判った。TSの測定結果を図3に示す。図3は、焼鈍板の圧延方向引張強さTSに及ぼす焼鈍板(冷延板)の固溶N量(質量%)の影響を示し、固溶N量が0.01質量%上昇するにつれて、焼鈍板の圧延方向の引張強さTSが155MPa高くなることが分かる。
また、前記したC:0.003%含有鋼に0〜0.035質量%のNbを加えて種々のNb含有量の鋼を用意し、これらの鋼に熱間圧延を施し熱延板とし、該熱延板に冷間圧延(圧延率:60%)を施してフェライト組織を有する冷延板とした(板厚:0.6mm)。次いで、得られた各種の冷延板に、種々の焼鈍温度で焼鈍処理を施し(焼鈍時間:100s)、焼鈍板とした。得られた焼鈍板から、圧延方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行い、圧延方向引張強さTSを測定した。そして、これらの測定結果から、焼鈍処理中の回復率ρ(焼鈍温度の高温化に伴う焼鈍板強度減少量(MPa/℃))を求めた。図4は、回復率ρ(MPa/℃)に及ぼす鋼板Nb含有量(質量%)の影響を示し、鋼板に含まれるNb含有量が0.01質量%増加するにつれて、回復率ρが0.038MPa/℃減少することが分かる。
図1〜4から明らかであるように、焼鈍板の圧延方向引張強さTS(MPa)と、冷間圧延の圧延率(%)、焼鈍板(冷延板)の固溶N含有量(質量%)、鋼中のNb含有量(質量%)、焼鈍温度AT(℃)との間には比例関係が認められ、焼鈍板の圧延方向引張強さTS(MPa)は以下の式で表すことができる。
TS=7.3(MPa)×CR+155(MPa)×[N]×100+(3.8×Nb−0.26)×AT+Const.
なお、上記の式において、[N]は焼鈍板(冷延板)の固溶N含有量(質量%)、Nbは鋼中のNb含有量(質量%)、Const.は定数である。
また、以上の実験により得られた各データ(TS,CR,[N],Nb,AT)を上記の式に代入してデータ毎に定数(Const.)を算出し、これらの平均値を定数(Const.=152(MPa))として用い、更に上記の式を変形すると、以下に示すように焼鈍温度AT(℃)を表す式が得られる。
AT(℃)=(TS−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(3.8×Nb−0.26) … (1A)
したがって、焼鈍板の圧延方向引張強さTSを400MPa以上とする、すなわち焼鈍板のTSの下限値(TSL)を400MPaとする場合には、以下の式を満足するような焼鈍温度AT(℃)で焼鈍すればよいことになる。
AT(℃)≦(400−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(3.8×Nb−0.26)
更に、本発明者らは、以上の実験により得られた薄鋼板のうち圧延方向引張強さTSが400MPa以上である薄鋼板の組織観察(密着曲げ加工前の組織)を行った。次いで、密着曲げ加工(曲げ方向:C方向)を施したのち、肌荒れ度および板厚減少率を測定した。その結果、優れた密着曲げ加工性(肌荒れ度: 3μm以下、板厚減少率:0.05以下)を示した薄鋼板は何れも、フェライト相を主相とした回復組織を有していることが明らかとなった。
本発明は上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
[1] 質量%で、
C :0.0005%以上0.0080%以下、 Si:0.4%以下、
Mn:0.1%以上0.5%以下、 P :0.08%以下、
S :0.04%以下、 sol.Al:0.05%以下、
N :0.0060%以上0.0200%以下
を、Nおよびsol.Alが下記(1)式を満足するように含有し、且つ固溶N:0.0035%以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相を主相とした冷間圧延回復組織を有し、圧延方向の引張強さが400MPa以上600MPa未満、板厚:0.7mm以下であることを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板。

N/sol.Al ≧ 0.2 … (1)
(N、sol.Al:各元素の含有量(質量%))
[2] [1]において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti、Bのうちの1種または2種を下記(2)式および(3)式を満足するように含有することを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板。

0.0060 ≦ N−(Ti/48+B/11)×14 … (2)
{N−(Ti/48+B/11)×14}/sol.Al ≧ 0.2 … (3)
(N、sol.Al、Ti、B:各元素の含有量(質量%))
[3] [1]または[2]において、前記組成に加えてさらに、質量%でNb:0.05%未満を、下記(4)式を満足するように含有することを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板。

{N−(Ti/48+B/11)×14}/Nb ≧ 0.5 … (4)
(N、Ti、B、Nb:各元素の含有量(質量%))
[4] 鋼素材を加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延板とする熱間圧延工程と、前記熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、さらに前記冷延板を所定の温度まで加熱し、該加熱温度に一定時間保持し、その後冷却する焼鈍処理を施す焼鈍処理工程とを順次施し薄鋼板とするにあたり、
前記鋼素材を、質量%で、
C :0.0005%以上0.0080%以下、 Si:0.4%以下、
Mn:0.1%以上0.5%以下、 P :0.08%以下、
S :0.04%以下、 sol.Al:0.05%以下、
N :0.0060%以上0.0200%以下
を、Nおよびsol.Alが下記(1)式を満足するように含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、前記熱間圧延工程の加熱温度を1000℃以上とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記巻き取りの巻取り温度CTを下記(5)式を満足する温度とし、前記冷間圧延工程の圧延率CRを40%以上65%以下とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを450℃以上620℃以下であり且つ下記(6)式を満足する温度とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度での保持時間を5s以上600s以下とし、前記薄鋼板を圧延方向の引張強さが400MPa以上600MPa未満で、板厚:0.7mm以下である高強度薄鋼板とすることを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。

N/sol.Al ≧ 0.2 … (1)
CT(℃)≦700−10×(sol.Al/N) … (5)
(CT:熱間圧延工程の巻取り温度(℃))
(N、sol.Al:各元素の含有量(質量%))
AT(℃)≦(TSL−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(−0.26) … (6)
(AT:焼鈍処理工程の加熱温度(℃))
(TSL:目標とする薄鋼板引張強さの下限値(MPa)、TSL≧400MPa)
(CR:冷間圧延工程の圧延率(%))
([N]:焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量(質量%))
[5] [4]において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti、Bのうちの1種または2種を下記(2)式および(3)式を満足するように含有することを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。

0.0060 ≦ N−(Ti/48+B/11)×14 … (2)
{N−(Ti/48+B/11)×14}/sol.Al ≧ 0.2 … (3)
(N、sol.Al、Ti、B:各元素の含有量(質量%))
[6] [4]または[5]において、前記組成に加えてさらに、質量%でNb:0.05%未満を下記(4)式を満足するように含有し、前記熱間圧延工程の巻取り温度CTを前記(5)式に代えて下記(7)式を満足する温度とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを450℃以上620℃以下であり且つ前記(6)式に代えて下記(8)式を満足する温度とすることを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。

{N−(Ti/48+B/11)×14}/Nb ≧ 0.5 … (4)
(N、Ti、B、Nb:各元素の含有量(質量%))
CT(℃)≦700−z … (7)
ここで、zは10×(sol.Al/N)および50×(Nb/N)のうち大きいほうの値とする。
(CT:熱間圧延工程の巻取り温度(℃))
(N、sol.Al、Nb:各元素の含有量(質量%))
AT(℃)≦(TSL−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(3.8×Nb−0.26) … (8)
(AT:焼鈍処理工程の加熱温度(℃))
(TSL:目標とする薄鋼板引張強さの下限値(MPa)、TSL≧400MPa)
(CR:冷間圧延工程の圧延率(%))
(Nb:Nbの含有量(質量%))
([N]:焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量(質量%))
[7] [4]ないし[6]のいずれかにおいて、前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを450℃以上620℃以下とし、前記焼鈍処理工程の冷却停止温度を500℃以下とし、前記焼鈍処理工程後に、溶融亜鉛めっき処理工程を設けることを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
[8] [7]において、前記溶融亜鉛めっき処理工程後に合金化処理工程を設け、該合金化処理工程の合金化処理温度GTを550℃以下とすることを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
本発明によれば、建材や家電、自動車などの部材の素材に好適な、引張強さが400MPa以上であり且つ成形性、特に曲げ加工性に優れた高強度薄鋼板を得ることができる。すなわち、本発明の高強度薄鋼板によると、板厚を0.8mm未満、例えば0.7mm、0.6mmと薄肉化した場合であっても、現行の0.8mm厚TS340MPa級鋼板と同等以上の耐デント性を確保することができるため、建材や家電、自動車などの軽量化に大きく貢献する。また、本発明の高強度薄鋼板は、密着曲げ等の厳しい加工条件に耐え得る加工性を有するため、複雑な形状を有する部材への適用も可能となり、産業上格段の効果を奏する。
未焼鈍冷延板の圧延方向引張強さTS0(MPa)に及ぼす冷間圧延の圧延率CR(%)の影響を示す図である。 焼鈍処理中の回復率ρ(焼鈍温度の高温化に伴う焼鈍板強度減少量(MPa/℃))に及ぼす未焼鈍冷延板の圧延方向引張強さTS0 (MPa)の影響を示す図である。 焼鈍板の圧延方向引張強さTSに及ぼす固溶N量(質量%)の影響を示す図である。 焼鈍処理中の回復率ρ(焼鈍温度の高温化に伴う焼鈍板強度減少量(MPa/℃))に及ぼす鋼板Nb含有量(質量%)の影響を示す図である。 密着曲げ加工を施した鋼板の肌荒れ度を説明する図である。((a)は組織写真、(b)は模式図。) 密着曲げ加工を施した鋼板の板厚減少率を説明する図である。((a)は組織写真、(b)は模式図。)
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明鋼板の成分組成の限定理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。
C :0.0005%以上0.0080%以下
Cは、鋼を強化するうえで有効な元素であるが、C含有量が0.0080%を超えると、鋼板の密着曲げ加工時に割れの起点となる粗大な炭化物の析出量が多くなり、曲げ加工性を損なう。一方、C含有量が0.0005%未満であると、製造コストが著しく増大する。したがって、C含有量は0.0005%以上0.0080%以下とする。好ましくは0.0010%以上0.0050%以下である。
Si:0.4%以下
Siは、固溶強化元素であり、鋼の高強度化に有効な元素である。このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、Si含有量が0.4%を超えると、鋼板の延性が低下する。したがって、Si含有量は0.4%以下とする。好ましくは0.1%以下である。
Mn:0.1%以上0.5%以下
Mnは、硫化物を形成して熱間脆性を改善する元素であり、本発明ではMn含有量を0.1%以上とする。好ましくは、0.16%以上である。一方、Mn含有量が過度に高くなると、鋼板の密着曲げ加工時に割れの起点となるMnSが多くなり、加工時に割れが発生し易くなるため、Mn含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.3%以下である。
P :0.08%以下
Pは、固溶強化元素であり、鋼の降伏強度を高めるうえで有効な元素であるが、鋼板の延性に悪影響を及ぼす元素でもある。したがって、P含有量は0.08%以下とする。好ましくは0.015%以下である。
S :0.04%以下
Sは、鋼中では硫化物として存在し、鋼板の延性および伸びフランジ性を劣化させる原因となる。そのため、本発明ではSを極力低減することが好ましく、0.04%以下とする。好ましくは0.01%以下である。
sol.Al:0.05%以下
Alは、脱酸剤として作用し、鋼の脆性改善に有効な元素である。このような効果を得るためには酸可溶Al(sol.Al)で0.005%以上含有することが望ましい。しかしながら、AlはNと親和力が強いため、sol.Al含有量が過剰になると、冷間圧延工程時の固溶N量を低減させ、固溶Nによる固溶強化能が劣化する。このため、sol.Al含有量は0.05%以下とする。好ましくは0.04%以下であり、より好ましくは0.019%以下である。
N :0.0060%以上0.0200%以下
Nは、冷間圧延工程前の熱延板に含まれる固溶Nを確保する観点から、0.0060%以上含有させる必要がある。一方、N含有量が過剰になると、連続鋳造時のスラブ割れの発生率を上昇させる原因となる。したがって、N含有量は0.0200%以下とする。好ましくは0.016%以下である。
固溶N:0.0035%以上
Nを固溶強化元素として活用する本発明においては、鋼板に所望の強度(圧延方向引張強さTS:400MPa以上)を付与するために、固溶N量を0.0035%以上とする必要がある。圧延方向引張強さTSを440MPa以上とするためには、固溶N量を0.0065%以上とすることが好ましい。
ここで、固溶N量は、鋼中の全N量から、電解抽出によって測定した析出N量を差し引いた値とする。また、析出N量は、定電位電解法を用いた電解抽出による溶解法によって求めた値とする。なお、電解液としては、アセチルアセトン系電解液を用いることが好ましい。
本発明の鋼板は、Nおよびsol.Alを、上記した範囲で且つ(1)式を満足するように含有する。
N/sol.Al ≧ 0.2 … (1)
(N、sol.Al:各元素の含有量(質量%))
上記(1)式は、鋼板中の固溶Nを所望の含有量(0.0035%以上)とするために満足すべき要件である。Nに対してsol.Alが過剰に含まれると、鋼板中のAlN析出量が増し(固溶N量が不足し)、鋼板に所望の強度を付与することができない。したがって、N/sol.Alは0.2以上とする。好ましくは0.3以上である。
以上が、本発明における基本組成であるが、基本組成に加えてさらに、Ti、Bの1種または2種を(2)式および(3)式を満足するように含有することができる。なお、(2)式および(3)式において、Tiを含有しない場合はTi=0とし、Bを含有しない場合はB=0とする。
0.0060 ≦ N−(Ti/48+B/11)×14 … (2)
{N−(Ti/48+B/11)×14}/sol.Al ≧ 0.2 … (3)
(N、sol.Al、Ti、B:各元素の含有量(質量%))
後述するように、本発明の鋼板はフェライト相を主相とした組成を有する鋼板であり、鋼に熱間圧延、冷間圧延を施したのち、焼鈍処理を施すことにより製造される。
ここで、TiおよびBは、フェライトの再結晶温度を高め、上記焼鈍処理時に鋼板が軟化するのを抑制する効果を有する。その一方で、これらの元素は、Nとの親和力が極めて強いため、これらの含有量が過剰になると、高温で析出物(窒化物)を形成し、冷間圧延工程時の固溶N量を著しく低下させるおそれがある。
そこで、本発明において、Ti、Bを含有させる場合には、鋼板中の固溶N量を確保すべく、(2)式および(3)式を満足するように含有させる。
また、TiやBとともに析出物を形成しないNに対して、sol.Alが過剰に含まれると、鋼板中のAlN析出量が増す(すなわち固溶Nが不足する)ため、{N−(Ti/48+B/11)×14}/sol.Alを0.2以上とする。好ましくは0.3以上である。
また、基本組成に加えてさらに、Nbを0.05%未満で且つ (4)式を満足するように含有することができる。なお、(4)式において、Tiを含有しない場合はTi=0とし、Bを含有しない場合はB=0とする。
{N−(Ti/48+B/11)×14}/Nb ≧ 0.5 … (4)
(N、Ti、B、Nb:各元素の含有量(質量%))
Nb:0.05%未満
Nbは、Ti、Bと同様に、フェライトの再結晶温度を高め、上記焼鈍処理時に鋼板が軟化するのを抑制する効果を有する。このような効果を発現させるうえでは、Nb含有量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、Nb含有量が過剰になると、鋼板を過度に高強度化させて延性を劣化させるおそれがある。したがって、Nb含有量は、0.05%未満にするとともに、鋼板中の固溶N量を確保すべく(4)式を満足するように調整する。
本発明の鋼板において、上記以外の成分は、Feおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、Ni、Cr、Cuなどが挙げられる。これらは合計で0.3%以下の含有が許容される。
次に、本発明鋼板の組織の限定理由について説明する。
本発明の鋼板は、フェライト相を主相とした冷間圧延回復組織を有するものとする。
本発明では、鋼板の成形性(特に曲げ加工性)を確保すべく、フェライト相を主相とした鋼板組織とする。ここで、主相とは、組織全体に対する体積率で92%以上、好ましくは95%以上である場合を言う。なお、主相以外の第二相としては、セメンタイト、パーライト等が挙げられる。また、第二相は、体積率で8%以下とする。第二相の体積率が8%超になると、鋼板の延性低下が著しくなる。特に良好な延性が必要とされる場合には、第二相の体積率を5%以下とすることが好ましい。
また、先述のとおり、冷間圧延ままの鋼板では、密着曲げ加工時の板厚減少率が大きくなり、また密着曲げ加工部の肌荒れも顕著となる。そのため、本発明では、鋼板の曲げ加工性を改善する目的で、後述するように鋼板に焼鈍処理を施し、鋼板組織を冷間圧延回復組織とする。なお、鋼板組織が再結晶組織になると、鋼板強度が著しく低下するため、また、鋼板強度のバラツキが大きくなるため、好ましくない。
ここで、「冷間圧延回復組織」とは、冷間圧延加工によってフェライト粒等の鋼板の結晶粒に蓄積された歪が、熱処理によって回復した組織を意味し、熱処理によって再結晶した組織とは異なる。また、結晶粒が冷間圧延回復組織であるか否かの判断は、本発明の鋼板はフェライト相を主相とするものであるため、等軸のフェライトの再結晶粒が10%以下であるか否かによって行うものとし、フェライトの全結晶粒のうち再結晶粒の占める割合が10%以下であれば回復組織とする。
また、本発明の鋼板は、表面にめっき皮膜を有するものとしてもよい。めっき皮膜としては、溶融亜鉛めっき皮膜や合金化溶融亜鉛めっき皮膜が好ましい。
次に、本発明の薄鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、上記した組成の鋼素材を加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延板とする熱間圧延工程と、前記熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、さらに前記冷延板を所定の温度まで加熱し、該加熱温度に一定時間保持し、その後冷却する焼鈍処理を施す焼鈍処理工程とを順次施し薄鋼板とする。この際、前記熱間圧延工程の加熱温度を1000℃以上とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記巻き取りの巻取り温度CTを(5)式を満足する温度とする。また、上記鋼素材がNbを含有する場合、前記巻き取りの巻取り温度CTを(7)式を満足する温度とする。
CT(℃)≦700−10×(sol.Al/N) … (5)
CT(℃)≦700−z … (7)
ここで、zは、10×sol.Al/Nおよび50×Nb/Nのうち大きいほうの値とする。
(CT:熱間圧延工程の巻取り温度(℃))
(N、sol.Al、Nb:各元素の含有量(質量%))
更に、前記冷間圧延工程の圧延率CRを40%以上70%以下とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを620℃以下であり且つ (6)式を満足する温度とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度での保持時間を5s以上600s以下とすることを特徴とする。また、上記鋼素材がNbを含有する場合、前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを上記に代えて620℃以下であり且つ(8)式を満足する温度とする。
AT(℃)≦(TSL−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(−0.26) … (6)
AT(℃)≦(TSL−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(3.8×Nb−0.26) … (8)
(AT:焼鈍処理工程の加熱温度(℃))
(TSL:目標とする薄鋼板引張強さの下限値(MPa)、TSL≧400MPa)
(CR:冷間圧延工程の圧延率(%))
(Nb:Nbの含有量(質量%))
([N]:焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量(質量%))
本発明において、鋼素材の溶製方法は特に限定されず、転炉、電気炉等、公知の溶製方法を採用することができる。また、溶製後、偏析等の問題から連続鋳造法によりスラブ(鋼素材)とするのが好ましいが、造塊−分塊圧延法、薄スラブ連鋳法等、公知の鋳造方法でスラブとしても良い。
鋼素材の加熱温度:1000℃以上
上記の如く得られた鋼素材に、加熱、粗圧延および仕上げ圧延からなる熱間圧延を施して熱延板とするが、本発明においては、粗圧延前の鋼素材を1000℃以上に加熱する。加熱温度が1000℃未満である場合、鋼素材中にNが未固溶のままで残留してしまうため、前記した固溶Nによる固溶強化能を十分に発現させることができない。このような観点から、加熱温度は高いほど好ましいが、過度に加熱を行うと、厚い酸化スケールが鋼表面に生成し、酸洗処理コストが増大する。したがって、鋼素材の加熱温度は1280℃以下とすることが好ましい。
なお、鋳造後粗圧延前の鋼素材が、所定温度以上(1000℃以上)の温度を保持しており、鋼素材中のNが固溶している場合には、鋼素材を加熱することなく直送圧延しても良い。また、粗圧延条件については特に限定する必要はない。
仕上げ圧延終了温度:850℃以上
仕上げ圧延終了温度が850℃未満であると、オーステナイト域で圧延終了することが困難となり、熱延板に粗大粒が発生し、強度のバラツキや曲げ加工時に肌荒れし易くなる。したがって、仕上げ圧延終了温度は850℃以上とする。好ましくは880℃以上である。なお、仕上げ圧延終了温度が過剰に高くなると、2次スケールが厚くなり、スケール欠陥が発生し易くなることが懸念されるため、仕上げ圧延終了温度は920℃以下とすることが望ましい。
巻取り温度CT(℃)
巻取り温度は、鋼素材がNbを含有しない場合は上記(5)式を満足する温度とし、鋼素材がNbを含有する場合は上記(7)式を満足する温度とする。巻取り温度が過剰に高くなり、上記(5)式、(7)式を満足しなくなると、巻取り時にAlまたはNbが窒化物を形成するため、固溶Nを確保する観点から好ましくなく、所望の固溶N量(0.0035%以上)を確保することが困難となる。一方、板形状を良好に保つ観点からは、巻取り温度を400℃以上とすることが好ましい。
なお、所望の固溶N量(0.0035%以上)を確保する観点からは、仕上げ圧延終了後の冷却を水冷とすることが好ましく、仕上げ圧延終了温度から巻取り温度までの平均冷却速度は10℃/s以上200℃/s以下とすることが好ましい。
冷間圧延工程の圧延率CR:40%以上70%以下
以上のようにして得られた熱延板を、通常の方法に従い酸洗し、冷間圧延を施して冷延板とする。ここで、冷間圧延工程の圧延率CRが40%未満であると、加工硬化量が小さくなり過ぎ、所望の鋼板強度を確保することが困難となる。一方、上記圧延率CRが70%を超えると、加工硬化が過度に進行し、鋼板の延性が著しく低下する。したがって、冷間圧延工程の圧延率CRは40%以上70%以下とする。好ましくは45%以上65%以下である。
焼鈍処理工程の加熱温度AT
以上のようにして得られた冷延板に、回復による延性向上を目的とした焼鈍処理を施す。本発明では、焼鈍温度(焼鈍処理の加熱温度)AT(℃)を、上記(6)式または(8)式を満足する温度に設定することが重要である。ここで、式中[N]は、焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量であり、本発明の範囲内であれば、焼鈍処理工程の前後で変化しない。したがって、冷延板に含まれる固溶N含有量は、冷延板を直接分析してもよいし、或いは既存の製造条件から冷延圧下率(CR)を変更する際など、既存の焼鈍板の固溶N含有量を、冷延板中の固溶N含有量とみなしてもよい。
上記(6)式あるいは(8)式を満足しない場合、所望の鋼板強度TSL(圧延方向引張強さ:400MPa以上)を確保することができない。また、上記(6)式あるいは(8)式を満足する場合であっても、焼鈍処理の加熱温度(焼鈍温度)ATが620℃を超えると、再結晶が生じて鋼板強度が急激に軟化する。そのため、焼鈍処理の加熱温度(焼鈍温度)ATは、鋼素材がNbを含有しない場合は上記(6)式を満足する温度とし、鋼素材がNbを含有する場合は上記(8)式を満足する温度とし、更に620℃以下とする。なお、特にTi、Nbを含有しない鋼組成の場合には再結晶温度が低くなるため、焼鈍処理の加熱温度(焼鈍温度)AT を580℃以下とすることが好ましい。
保持時間:5s以上600s以下
前記焼鈍処理工程の加熱温度(焼鈍温度)ATでの保持時間が5s未満であると、十分に回復が進まず、鋼板の延性が向上しない。一方、上記保持時間が600sを超えると、回復から再結晶に移行し易くなる。したがって、上記保持時間は5s以上600s以下とする。好ましくは10s以上400s以下である。
なお、焼鈍処理工程の加熱温度(焼鈍温度)ATで所定時間保持した後の冷却条件は特に規定されない。また、焼鈍処理後には、板形状の矯正などを目的として調質圧延やレベリングを施してもよいが、過度の調質圧延は鋼板の延性劣化を招くため、1%以下の伸長率とすることが好ましい。
以上により、曲げ加工性に優れた薄鋼板(板厚0.4〜1.6mm)、すなわち、密着曲げ加工を施した際の板厚減少率:0.05以下、肌荒れ度:3μm以下であり、且つ圧延方向引張強さTS:400MPa以上の高強度薄鋼板が得られる。圧延方向引張強さTSは、剪断、打ち抜き時の荷重を低下させるという観点から680MPa以下とすることが好ましく、600MPa未満とすることがより好ましい。なお、圧延方向引張強さTSは、例えば前記(1A)式に従い、焼鈍温度AT(℃)、冷間圧延工程の圧延率CR(%)、鋼組成(固溶N量(%)、Nb含有量(%)等)を調整することにより、所望の値(400〜680MPa)に制御することができる。
本発明においては、以上のようにして製造された薄鋼板に対し、めっき処理を施すことにより、鋼板表面にめっき皮膜を形成してもよい。例えば、めっき処理として溶融亜鉛めっき処理を施し溶融亜鉛めっき皮膜を形成し、或いは溶融亜鉛めっき処理後、更に合金化処理を施すことにより、鋼板表面に合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成してもよい。
溶融亜鉛めっき処理を施す場合、前記焼鈍処理工程の加熱温度(焼鈍温度)ATが450℃未満であると、不めっきが発生する問題が懸念される。したがって、上記加熱温度(焼鈍温度)ATを、上記(6)式あるいは(8)式を満足し且つ620℃以下にするとともに、450℃以上とすることが好ましい。また、上記加熱温度(焼鈍温度)に所定時間(5s以上600s以下)保持したのち、500℃以下の温度まで冷却したのち、溶融亜鉛めっき処理を施して冷却する。上記において500℃以下の温度まで冷却する理由は、表面欠陥の発生を抑制するためである。なお、溶融亜鉛めっき処理条件は特に限定されず、常法に従い溶融亜鉛めっき処理を施すことができる。
また、上記溶融亜鉛めっき処理後の薄鋼板に、合金化処理を施してもよい。合金化処理を施す場合には、合金化処理温度GTを550℃以下とすることが好ましい。550℃超の高温域で合金化処理を施すと、めっき密着性が劣化し易いためである。
表1に示す成分の溶鋼を通常公知の手法により溶製、鋳造して肉厚300mmのスラブ(鋼素材)とした。これらのスラブを、1250℃に加熱後、粗圧延し、仕上げ圧延終了温度:900℃とする仕上げ圧延を施し、仕上げ圧延終了後、仕上げ圧延終了温度から巻取り温度までの温度域を30℃/sの平均冷却温度で冷却し、表2に示す巻取り温度で巻取り、熱延板とした。次いで、熱延板を酸洗したのち、表2に示す圧延率CRで冷間圧延を施して冷延板(板厚0.6 mm)とした。
上記により得られた冷延板に焼鈍処理を施した。焼鈍処理時の加熱温度(焼鈍温度)AT、該加熱温度(焼鈍温度)での保持時間は表2のとおりである。なお、目標とする薄鋼板の圧延方向引張強さの下限値TSLは400MPaである。また、一部の冷延板については焼鈍処理後、470℃まで冷却したのち、溶融亜鉛めっき処理、或いは更に合金化処理を施した。なお、合金化処理は、合金化処理温度:500℃に10s保持することにより行った。
以上のようにして得られた焼鈍後(或いは溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理後)の鋼板から試験片を採取し、組織観察、固溶N量測定、引張試験、密着曲げ加工試験を行い、フェライト相の体積率、固溶Nの含有量、圧延方向引張強さTS、密着曲げ加工後の板厚減量率、密着曲げ加工部の肌荒れ度を求めた。試験方法は以下のとおりである。なお、焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量は、上記により求めた焼鈍板の固溶N含有量と等しいとみなした。
<組織観察>
焼鈍後(或いは溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理後)の鋼板から、試験片を採取し、試験片の圧延方向断面を機械的に研磨し、ナイタールで腐食した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で倍率:1000倍にて撮影した組織写真(SEM写真)を用い、画像解析装置によりフェライト相、フェライト相以外の組織の種類、および、それらの面積率を求め、各相の体積率とした。
また、(フェライト相)結晶粒が回復組織であるか否かの判断は、上記組織写真(SEM写真)を用いて等軸フェライトの面積率を測定し、該面積率が10%以下であれば回復組織であると判断した。
<固溶N量測定>
焼鈍後(或いは溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理後)の鋼板から、試験片を採取し、該試験片中の全N量から、電解抽出によって測定した析出N量を差し引いた値を固溶N量とした。なお、析出N量は、定電位電解法を用いた電解抽出による溶解法によって求めた。電解液としては、アセチルアセトン系電解液を用いた。
<引張試験>
焼鈍後(或いは溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理後)の鋼板から、圧延方向を長さ方向(引張り方向)としたJIS 5号サイズの試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠した引張試験を行い、圧延方向引張強さTSを求めた。
<密着曲げ加工試験>
焼鈍後(或いは溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理後)の鋼板から、圧延方向:25mm、圧延垂直方向:60m、厚さ:0.6mmの試験片を採取し、圧延垂直方向が曲げ方向となるように密着曲げ加工を施し、割れの有無を確認した。また、密着曲げ加工後の試験片を、幅方向に研磨してから観察し(すなわち、試験片の幅方向中央断面を研磨してから観察し)、前記した方法に従い密着曲げ加工後の板厚減量率、密着曲げ加工部の肌荒れ度を求めた。なお、肌荒れ度については、肌荒れ度:3μm以下であるものを「肌荒れ度:良好(○)」、肌荒れ度:3μm超であるものを「肌荒れ度:不良(×)」とした。
以上の結果を、表3に示す。
本発明例は何れも、密着曲げ加工を施した際の板厚減少率:0.05以下、肌荒れ度:3μm以下である優れた曲げ加工性を有するとともに圧延方向引張強さTSが400MPa以上である高強度薄鋼板となっている。また、組織観察の結果、本発明例は何れも、等軸フェライトの面積率が10%以下であり、主相であるフェライト相の結晶粒が回復組織となっていることも確認している。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、所定の高強度が確保できていないか、曲げ加工性が確保できていない。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C :0.0005%以上0.0080%以下、 Si:0.4%以下、
    Mn:0.1%以上0.5%以下、 P :0.08%以下、
    S :0.04%以下、 sol.Al:0.05%以下、
    N :0.0060%以上0.0200%以下
    を、Nおよびsol.Alが下記(1)式を満足するように含有し、且つ固溶N:0.0035%以上であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成と、フェライト相を主相とした冷間圧延回復組織を有し、圧延方向の引張強さが400MPa以上600MPa未満、板厚:0.7mm以下であることを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板。

    N/sol.Al ≧ 0.2 … (1)
    (N、sol.Al:各元素の含有量(質量%))
  2. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti、Bのうちの1種または2種を下記(2)式および(3)式を満足するように含有することを特徴とする請求項1に記載の密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板。

    0.0060 ≦ N−(Ti/48+B/11)×14 … (2)
    {N−(Ti/48+B/11)×14}/sol.Al ≧ 0.2 … (3)
    (N、sol.Al、Ti、B:各元素の含有量(質量%))
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%でNb:0.05%未満を、下記(4)式を満足するように含有することを特徴とする請求項1または2に記載の密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板。

    {N−(Ti/48+B/11)×14}/Nb ≧ 0.5 … (4)
    (N、Ti、B、Nb:各元素の含有量(質量%))
  4. 鋼素材を加熱し、粗圧延と仕上げ圧延からなる熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却し、巻き取り、熱延板とする熱間圧延工程と、前記熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、さらに前記冷延板を所定の温度まで加熱し、該加熱温度に一定時間保持し、その後冷却する焼鈍処理を施す焼鈍処理工程とを順次施し薄鋼板とするにあたり、
    前記鋼素材を、質量%で、
    C :0.0005%以上0.0080%以下、 Si:0.4%以下、
    Mn:0.1%以上0.5%以下、 P :0.08%以下、
    S :0.04%以下、 sol.Al:0.05%以下、
    N :0.0060%以上0.0200%以下
    を、Nおよびsol.Alが下記(1)式を満足するように含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成とし、前記熱間圧延工程の加熱温度を1000℃以上とし、前記仕上げ圧延の仕上げ圧延終了温度を850℃以上とし、前記巻き取りの巻取り温度CTを下記(5)式を満足する温度とし、前記冷間圧延工程の圧延率CRを40%以上65%以下とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを450℃以上620℃以下であり且つ下記(6)式を満足する温度とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度での保持時間を5s以上600s以下とし、
    前記薄鋼板を圧延方向の引張強さが400MPa以上600MPa未満で、板厚:0.7mm以下である高強度薄鋼板とすることを特徴とする密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。

    N/sol.Al ≧ 0.2 … (1)
    CT(℃)≦700−10×(sol.Al/N) … (5)
    (CT:熱間圧延工程の巻取り温度(℃))
    (N、sol.Al:各元素の含有量(質量%))
    AT(℃)≦(TSL−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(−0.26) … (6)
    (AT:焼鈍処理工程の加熱温度(℃))
    (TSL:目標とする薄鋼板引張強さの下限値(MPa)、TSL≧400MPa)
    (CR:冷間圧延工程の圧延率(%))
    ([N]:焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量(質量%))
  5. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti、Bのうちの1種または2種を下記(2)式および(3)式を満足するように含有することを特徴とする請求項4に記載の密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。

    0.0060 ≦ N−(Ti/48+B/11)×14 … (2)
    {N−(Ti/48+B/11)×14}/sol.Al ≧ 0.2 … (3)
    (N、sol.Al、Ti、B:各元素の含有量(質量%))
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%でNb:0.05%未満を下記(4)式を満足するように含有し、前記熱間圧延工程の巻取り温度CTを前記(5)式に代えて下記(7)式を満足する温度とし、前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを450℃以上620℃以下であり且つ前記(6)式に代えて下記(8)式を満足する温度とすることを特徴とする請求項4または5に記載の密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。

    {N−(Ti/48+B/11)×14}/Nb ≧ 0.5 … (4)
    (N、Ti、B、Nb:各元素の含有量(質量%))
    CT(℃)≦700−z … (7)
    ここで、zは10×(sol.Al/N)および50×(Nb/N)のうち大きいほうの値とする。
    (CT:熱間圧延工程の巻取り温度(℃))
    (N、sol.Al、Nb:各元素の含有量(質量%))
    AT(℃)≦(TSL−152−7.3×CR−155×[N]×100)/(3.8×Nb−0.26) … (8)
    (AT:焼鈍処理工程の加熱温度(℃))
    (TSL:目標とする薄鋼板引張強さの下限値(MPa)、TSL≧400MPa)
    (CR:冷間圧延工程の圧延率(%))
    (Nb:Nbの含有量(質量%))
    ([N]:焼鈍処理工程前の冷延板に含まれる固溶Nの含有量(質量%))
  7. 前記焼鈍処理工程の加熱温度ATを450℃以上620℃以下とし、前記焼鈍処理工程の冷却停止温度を500℃以下とし、前記焼鈍処理工程後に、溶融亜鉛めっき処理工程を設けることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
  8. 前記溶融亜鉛めっき処理工程後に合金化処理工程を設け、該合金化処理工程の合金化処理温度GTを550℃以下とすることを特徴とする請求項7に記載の密着曲げ加工性および成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
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