JP5919707B2 - 固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体 - Google Patents

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Description

本発明は、固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体に関するものである。
従来、固体素子を有するデバイスを製造する場合には、デバイスの基板として撓みにくいガラス基板等の剛性基板が用いられていた。しかしながら、重量や耐衝撃性の点を考慮すると剛性基板は必ずしも固体素子を有するデバイスに用いるものとして適切なものではない。そこで、近年、剛性基板にかえて可撓性基板も用いられつつある。一方で、可撓性基板は、剛性基板に対して撓みやすいといった問題を有しており、この可撓性基板を、そのまま従来プロセスに適用することで固体素子を有するデバイスを精度よく作製することは困難とされてきた。
このような状況下、撓みにくい剛性基板上に剥離層を介して固体素子を形成し、剥離層にレーザー光の照射を行って剥離を生じさせ、剥離した固体素子を可撓性基板に転写する方法がある(例えば、特許文献1)。
特開平10−125930号公報
しかし、上記のような方法では、剛性基板上に固体素子が形成された状態で剥離層にレーザー光の照射を行うため固体素子に損傷が生じるという問題があった。また、剥離した固体素子を可撓性基板に転写するときに固体素子に損傷が生じるという問題があった。
本発明は、固体素子を損傷させにくい、固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体を提供することを目的とする。
本発明に係る固体素子を有するデバイスの製造方法は、可撓性基板及び剛性基板を準備し、前記可撓性基板及び前記剛性基板に紫外線を照射する紫外線照射工程と、前記可撓性基板の紫外線を照射した部位及び前記剛性基板の紫外線を照射した部位を接触させて、前記可撓性基板及び前記剛性基板が剥離可能な状態で直に固着している複合体を形成する複合体形成工程と、前記複合体の可撓性基板側に固体素子を形成する固体素子形成工程と、前記複合体から剛性基板を剥離する剛性基板剥離工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、固体素子が形成された可撓性基板から剛性基板を剥離するだけで可撓性基板上に形成された固体素子を有するデバイスを製造することができるため、固体素子を損傷させにくいという効果を得ることができる。
本発明に係る複合体は、紫外線を照射した部位を有する可撓性基板と、紫外線を照射した部位を有する剛性基板と、を備え、前記可撓性基板の紫外線を照射した部位及び前記剛性基板の紫外線を照射した部位が接触しており、前記可撓性基板及び前記剛性基板が剥離可能な状態で直に固着していることを特徴とする。
この発明によれば、可撓性基板と剛性基板の間に接着層や粘着層が存在しないため、剥離した場合に接着層や粘着層が残らないという効果を得ることができる。
本発明の製造方法においては、固体素子が形成された可撓性基板から剛性基板を剥離するだけで可撓性基板上に形成された固体素子を有するデバイスを製造することができるため、固体素子を損傷させにくいという効果を得ることができる。本発明の製造方法に用いる複合体においては、可撓性基板と剛性基板の間に接着層や粘着層が存在しないため、剥離した場合に接着層や粘着層が残らないという効果を得ることができる。
本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。 本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。 本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。 本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。 本発明の製造方法で用いる複合体の例を示す図である。
以下、本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体について詳細に説明する。
本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法は、可撓性基板及び剛性基板を準備し、前記可撓性基板及び前記剛性基板に紫外線を照射する紫外線照射工程と、前記可撓性基板の紫外線を照射した部位及び前記剛性基板の紫外線を照射した部位を接触させて、前記可撓性基板及び前記剛性基板が、90°剥離試験の剥離速度300mm/minで、0.01N/25mm〜5N/25mmの剥離に必要な力により剥離可能な状態で直に固着している複合体を形成する複合体形成工程と、前記複合体の可撓性基板側に固体素子を形成する固体素子形成工程と、前記複合体から剛性基板を剥離する剛性基板剥離工程と、を有し、
前記可撓性基板はポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテル、ポリカーカーボネート、アクリル、ポリウレタン又はポリイミドをふくめるポリマーを含み、前記剛性基板は無アルカリガラス又は石英ガラスをふくめるガラスを含むものである。
また、本発明の製造方法で用いる複合体は、紫外線を照射された部位を有する可撓性基板と、紫外線を照射された部位を有する剛性基板と、を備え、前記可撓性基板の紫外線を照射された部位及び前記剛性基板の紫外線を照射された部位が接触しており、前記可撓性基板及び前記剛性基板が、90°剥離試験の剥離速度300mm/minで、0.01N/25mm〜5N/25mmの剥離に必要な力により剥離可能な状態で直に固着しており、前記可撓性基板はポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテル、ポリカーカーボネート、アクリル、ポリウレタン又はポリイミドをふくめるポリマーを含み、前記剛性基板は無アルカリガラス又は石英ガラスをふくめるガラスを含むものである。

本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体について図面を参照しながら説明する。
図1(1a)〜(1f)は、固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。
まず、可撓性基板1及び剛性基板2を準備し、前記可撓性基板1及び前記剛性基板2に紫外線3を照射する(紫外線照射工程)(図1(1a)〜(1b))。このとき、前記可撓性基板1及び前記剛性基板2を準備する順番並びに前記可撓性基板1及び前記剛性基板2に紫外線3を照射する順番は特に問わない。次に、前記可撓性基板1の紫外線3を照射した部位4及び前記剛性基板2の紫外線3を照射した部位5を紫外線3を照射した後にできるだけ素早く接触させて、前記可撓性基板及び前記剛性基板が剥離可能な状態で直に固着している複合体6を形成する(複合体形成工程)(図1(1c)〜(1d))。次いで、前記複合体6の前記可撓性基板1側に固体素子7を形成する(固体素子形成工程)(図1(1e))。このとき、前記可撓性基板1と前記固体素子7の間に他の層が入っていても良い。次いで、前記複合体6から剛性基板2を剥離する(剛性基板剥離工程)(図1(1f))。このとき、剥離する方法は、特に問わない。
本発明によれば、固体素子が形成された可撓性基板から剛性基板を剥離するだけで可撓性基板上に形成された固体素子を有するデバイスを製造することができるため、固体素子を損傷させにくいことが可能となる。また、本発明によれば、可撓性基板と剛性基板の間に接着層や粘着層が存在しないため、剥離した場合に接着層や粘着層が残らないという効果を得ることが可能となる。
図2(2a)〜(2f)は、固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。
紫外線照射工程において、紫外線3をパターン状に照射する点以外は図1と同様である。可撓性基板のみをパターン状に照射しても、剛性基板のみをパターン状に照射してもよいし、可撓性基板及び剛性基板の両方をパターン状に照射しても良い。
図3(3a)〜(3f)は、固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。
可撓性基板1が紫外線3を照射する面に凹凸を有する点以外は図1と同様である。
図4(4a)〜(4f)は、固体素子を有するデバイスの製造方法及びその製造方法で用いる複合体の一例を示す工程図である。
剛性基板2が紫外線3を照射する面に凹凸を有する点以外は図1と同様である。
図5(5a)〜(5d)は、固体素子を有するデバイスの製造方法で用いる複合体の例を示す図である。
図5(5a) は図1(1d)の複合体、図5(5b) は図2(2d)の複合体、 図5(5c) は図3(3d)の複合体、図5(5d) は図4(4d)の複合体をそれぞれ示している。
以下、本発明の固体素子を有するデバイスの製造方法における各工程及びその製造方法で用いる複合体について説明する。
1.紫外線照射工程
本発明の紫外線照射工程は、可撓性基板1及び剛性基板2を準備し、可撓性基板1及び剛性基板2に紫外線を照射するものである。本発明では、紫外線3の照射を固体素子7を形成する前に行うため、紫外線3によって固体素子7に損傷を与えることがないという効果がある。
1−1.可撓性基板
可撓性基板1は、フレキシブルプリント配線板(JIS C5603)等の柔軟で変形可能なデバイスの基板に適用できる程度の可撓性を有するものである。可撓性基板1は、このような可撓性を有するので、それを単体で用いた場合には、下記の固定素子形成工程等で撓んでしまう。そこで、本発明では、可撓性基板1および剛性基板2が直に固着している複合体6を下記の固定素子形成工程等で用いることで、剛性基板2が可撓性基板1を支持して可撓性基板1が撓むことを妨げ、可撓性基板1に固体素子7を精度よく形成することができる。基板の可撓性は、一般にその厚みに大きく依存する。そこで、可撓性基板1は、その厚みが0.5mm未満であることが好ましい。基板の厚みが0.5mm未満であれば、一般的な材料において、フレキシブルプリント配線板(JIS C5603)等の柔軟で変形可能なデバイスの基板に適用できる程度の可撓性を有するものと考えられるためである。 可撓性基板に用いられる材料は、ポリマー、金属、セラミック、又はガラス等を挙げることができる。可撓性基板に用いられる材料は、ポリマーを用いることが好ましい。ポリマーは、他の材料と比較して一般に柔軟な材料なので、柔軟で変形可能なデバイスの基板として広く用いられている。ポリマーとしては、特に限定はないが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、アクリル、ポリウレタン、ポリイミドなどを挙げることができ、用いるデバイスの用途に照らして適宜選択することができる。
可撓性基板は、紫外線を照射する面に凹凸を有していても良い。紫外線を照射する面に凹凸を有している可撓性基板は、紫外線を照射したあとに凹の部分で剛性基板と接触しない状態とし、凸の部分で剛性基板と接触する状態とすることで、剛性基板との接触する面積を制御できるため、固着する面積を制御することが可能となる。従って、紫外線を照射する面に凹凸を有している可撓性基板の凹凸の面積を制御することで、固着する面積を制御できるため、剛性基板剥離工程において、剛性基板を剥離するために必要な力を制御することができる。なお、凹凸の形状は、とくに限定はないが、後述するドット状のパターン形状であることが好ましい。凹凸の形状がドット状のパターン形状である場合、凹の部分でドット部を有し凸の部分でドット部以外である場合や凸の部分でドット部を有し凹の部分でドット部以外である場合等特に限定は無い。
1−2.剛性基板
剛性基板2は、上記の可撓性基板1を支持して、下記の固体素子形成工程等で可撓性基板1が撓むことを妨げることが可能な程度の剛性を有するものである。基板の剛性は、一般にその厚みに大きく依存する。そこで、剛性基板2の厚みは、その厚みが0.5mm以上であることが好ましく、より好ましくは、0.7mm以上である。基板の厚みが0.5mm以上、さらには0.7mm以上であれば、一般的な材料において、可撓性基板1を支持して、下記の固体素子形成工程等で可撓性基板1が撓むことを妨げることが可能な程度の剛性を有するものと考えられるためである。剛性基板に用いられる材料は、ポリマー、金属、セラミック、又はガラス等を挙げることができる。剛性基板に用いられる材料は、可撓性基板を支持しやすいため、無アルカリガラスや石英ガラス等のガラスを用いることが好ましい。
剛性基板は、紫外線を照射する面に凹凸を有していても良い。紫外線を照射する面に凹凸を有している剛性基板は、紫外線を照射したあとに凹の部分で可撓性基板と接触しない状態とし、凸の部分で可撓性基板と接触する状態とすることで、可撓性基板との接触する面積を制御できるため、固着する面積を制御することが可能となる。従って、紫外線を照射する面に凹凸を有している剛性基板の凹凸の面積を制御することで、固着する面積を制御できるため、剛性基板剥離工程において、剛性基板を剥離するために必要な力を制御することができる。なお、凹凸の形状は、とくに限定はないが、後述するドット状のパターン形状であることが好ましい。凹凸の形状がドット状のパターン形状である場合、凹の部分でドット部を有し凸の部分でドット部以外である場合や凸の部分でドット部を有し凹の部分でドット部以外である場合等特に限定は無い。
本発明の製造方法において、剛性基板剥離工程で剛性基板を剥離することで、最終的には可撓性基板にのみ固体素子が形成されるため、剛性基板は再利用することが可能である。剛性基板を再利用することで製造コストを削減することができる。特に、ガラスや石英ガラス等の高価な剛性基板を用いる場合には、製造コストの削減の効果が高い。
1−3.紫外線
紫外線3としては、波長が400nm以下の光であれば特に限定は無いが、エネルギーが強く可撓性基板及び剛性基板に照射する時間を短縮できるため、真空の雰囲気が必要な200nm以下の波長領域のもの(真空紫外線)が好適である。この波長領域の中でも200〜120nmの波長領域、さらには172nmの波長のものが好ましい。
紫外線の照度は、特に限定は無いが、1mW/cm2〜300mW/cm2にあることが好ましく、3mW/cm2〜50mW/cm2にあることがより好ましく、5mW/cm2〜10mW/cm2にあることがさらに好ましい。
紫外線の照射時間は、特に限定は無いが、0.5分〜20分であることが好ましい。
紫外線は、可撓性基板及び剛性基板のそれぞれの全面に照射しても良いし、パターン状に照射しても良い。パターン状に照射する場合、可撓性基板及び剛性基板のそれぞれの基板と紫外線の光源の間にフォトマスクを設置することでパターン状に照射する方法が挙げられる。パターン状に照射することで、可撓性基板と剛性基板の固着する面積を制御できるため、剛性基板剥離工程において、複合体から剛性基板を剥離するために必要な力を制御することができる。
2.複合体形成工程
複合体形成工程は、可撓性基板1の紫外線3を照射した部位及び剛性基板2の紫外線3を照射した部位を接触させて、可撓性基板1及び剛性基板2が剥離可能な状態で直に固着している複合体6を形成するものである。
2−1.可撓性基板の紫外線を照射した部位及び剛性基板の紫外線を照射した部位の接触
可撓性基板の紫外線を照射した部位4及び剛性基板の紫外線を照射した部位5を接触させることで固着する正確な理由は不明であるが、次のような理由であると考えられる。高いエネルギーを有している紫外線を照射されたことによって、可撓性基板の紫外線を照射した部位4及び剛性基板の紫外線を照射した部位5は、原子の間の共有結合が切断された状態になっている。その状態で、可撓性基板の紫外線を照射した部位4及び剛性基板の紫外線を照射した部位5を接触させると、可撓性基板の紫外線を照射した部位4及び剛性基板の紫外線を照射した部位5の間で新しい共有結合が作られるため、可撓性基板の紫外線を照射した部位4及び剛性基板の紫外線を照射した部位5を接触させることで固着すると考えられる。
可撓性基板の紫外線を照射した部位及び剛性基板の紫外線を照射した部位同士でしか固着しない。すなわち、可撓性基板の紫外線を照射した部位及び剛性基板の紫外線を照射しなかった部位同士を接触させても固着はしない。また、可撓性基板の紫外線を照射しなかった部位及び剛性基板の紫外線を照射した部位を接触させても固着はしない。
可撓性基板の紫外線を照射した部位及び剛性基板の紫外線を照射した部位を接触させる際の条件は特に限定はないが、可撓性基板及び剛性基板に紫外線を照射したあとにできるだけ早く可撓性基板の紫外線を照射した部位及び剛性基板の紫外線を照射した部位を接触させることが好ましい。可撓性基板及び剛性基板に紫外線を照射したあとにある程度の時間が経ってしまうと固着する力が無くなるためである。また、可撓性基板の紫外線を照射した部位及び剛性基板の紫外線を照射した部位を加熱しながら接触させると固着する力が高くなる。
2−2.剥離可能な状態
本明細書での「剥離可能な状態」とは、90°剥離試験(剥離速度は、300mm/min)で剥離している際に可撓性基板又は剛性基板が大きく損傷しない状態を意味する。
3.固体素子形成工程
固体素子形成工程は、複合体6の可撓性基板1側に固体素子7を形成するものである。本発明では、可撓性基板1を剥離するだけで従来のように転写はしないため、固体素子7に損傷が生じにくい。
3−1.固体素子
固体素子7は、特に限定はされないが、薄膜トランジスタ、薄膜ダイオード、その他の薄膜半導体素子、当該半導体素子を含んで構成される薄膜回路、太陽電池やイメージセンサ等に用いられる光電変換素子、スイッチング素子、メモリ、圧電素子等のアクチュエータ、マイクロミラー、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体等の記録媒体、磁気記録ヘッド、コイル、インダクタ、薄膜高透磁材料およびそれらを組み合わせたマイクロ磁気デバイス、フィルタ、反射膜、ダイクロックミラー、偏光素子等の光学薄膜、半導体薄膜、超伝導薄膜、磁性薄膜、金属多層薄膜、金属セラミック多層薄膜、金属半導体多層薄膜、セラミック半導体多層薄膜、有機薄膜と他の物質の多層薄膜等が挙げられる。本発明の製造方法は固体素子の損傷を少なくすることができるため、損傷に敏感である薄膜トランジスタに好適に用いることができる。
固体素子は、その一般的な方法で製造することができ、特に限定はされない。
4.剛性基板剥離工程
剛性基板剥離工程は、複合体6から剛性基板2を剥離するものである。本発明では、最終的に剛性基板2を剥離するため、剛性基板2を再利用することができる。
4−1.剥離
剥離をする方法は、機械による剥離や人間の手による剥離等、特に問わないが、剥離時の損傷を防ぐことができるため、可撓性基板又は剛性基板の一辺から均一に力を加えて剥離することが好ましい。剥離の際の固体素子7の損傷を防ぐために剥離するために必要な力を調整する方法を用いることが好ましい。剥離するために必要な力は、90°剥離試験(剥離速度は、300mm/min)で、0.01N/25mm〜5N/25mmであることが好ましく、0.05N/25mm〜3N/25mmであることがより好ましい、中でも、0.1N/25mm〜0.6N/25mmであることがさらに好ましい。
剥離するために必要な力を調整する方法は、紫外線照射工程において紫外線をパターン状に照射する方法、紫外線を照射する面に凹凸を有する可撓性基板を用いる方法、又は紫外線を照射する面に凹凸を有する剛性基板を用いる方法等が挙げられる。
紫外線照射工程において紫外線をパターン状に照射する方法は、可撓性基板及び剛性基板のそれぞれの基板と紫外線の光源の間にフォトマスクを設置することでパターン状に照射する方法が挙げられる。中でも、剥離するために必要な力を均一にすることができるため、均一の間隔に設けられたドットの形状をパターン状に照射する方法が好ましい。この際、ドット状のパターンは、紫外線が照射された領域と紫外線が照射されなかった領域のどちらでも良い。ドット状のパターンは、紫外線が照射された領域と紫外線が照射されなかった領域の合計の面積に対する紫外線が照射された領域の面積比が10%以上30%以下であることが好ましい。
紫外線を照射する面に凹凸を有する可撓性基板を用いる方法では、紫外線を照射したあとに凹の部分で剛性基板と接触しない状態となり、凸の部分で剛性基板と接触する状態となる可撓性基板を用いる方法が挙げられる。この方法では、紫外線を照射する面に凹凸を有している可撓性基板の凹凸の面積を制御することで、固着する面積を制御できるため、剛性基板剥離工程において、剛性基板を剥離するために必要な力を制御することができる。また、紫外線を照射する面に凹凸を有する剛性基板を用いる方法では、紫外線を照射したあとに凹の部分で可撓性基板と接触しない状態となり、凸の部分で可撓性基板と接触する状態となる剛性基板を用いる方法が挙げられる。この方法では、紫外線を照射する面に凹凸を有している剛性基板の凹凸の面積を制御することで、固着する面積を制御できるため、剛性基板剥離工程において、剛性基板を剥離するために必要な力を制御することができる。
5.複合体
複合体6は、紫外線3を照射した部位を有する可撓性基板1と、紫外線3を照射した部位を有する剛性基板2と、を備え、前記可撓性基板1の紫外線3を照射した部位4及び前記剛性基板2の紫外線3を照射した部位5が接触しており、前記可撓性基板1及び前記剛性基板2が剥離可能な状態で直に固着しているものである。本発明の製造方法に用いる複合体6においては、可撓性基板1及び剛性基板2の間に接着層や粘着層が存在しないため、剥離した場合に接着層や粘着層が残らないという効果を得ることができる。また、本発明の複合体6は、可撓性基板1及び剛性基板2の間に接着層や粘着層が形成されないため、膜厚が薄いという効果がある。膜厚が薄いと、ハンドリングの向上という効果があるため好ましい。また、パターン状に紫外線を照射した場合、固着している面の固着している部分と固着している面の固着していない部分の境界で接着層や粘着層による段差が生じないため、複合体形成工程時に段差部分において空気などの泡噛みがなく、さらに、固体素子形成工程において加熱プロセスがある場合、段差部分に混入した空気などの膨張によって可撓性基板1が変形することがないという効果を有する。
6.用途
本発明の固体素子7を有するデバイスの製造方法により製造される固体素子7を有するデバイスの用途としては、例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。本発明の複合体6の用途としては、固体素子を有するデバイスの製造方法において基板として用いることが挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
厚さが0.1mmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製)と厚さが0.7mmの無アルカリガラスを準備した。ポリエチレンナフタレートフィルムに、ポリエチレンナフタレートフィルムから100μmの距離離れた位置にフォトマスクを設置し、フォトマスクを介してポリエチレンナフタレートフィルムに紫外線(172nm、照度8.3mW)を大気中で180秒間照射した。ここで、フォトマスクには紫外線が透過する領域が直径10μmであるドットパターンが配置され、紫外線が照射された領域と紫外線が照射されなかった領域の合計の面積に対する紫外線が照射された領域の面積比が10%となるように設計されたフォトマスクを用いた。さらに、無アルカリガラスに紫外線(172nm、照度8.3mW)を大気中で3分間照射した。次に、ポリエチレンナフタレートフィルムの紫外線を照射した部位及び無アルカリガラスの紫外線を照射した部位同士を重ね、ローラー温度を120℃に設定したホットラミネーターにて貼り合せた。次に、ポリエチレンナフタレートフィルム上に薄膜トランジスタを形成した。次に、ポリエチレンナフタレートフィルムと無アルカリガラスを人間の手によって剥離することで、固体素子を有するデバイスを得た。このとき、INSTRON社製万能試験機にて90°剥離試験(剥離速度は、300mm/min)を実施し、剥離するために必要な力を測定した結果、0.1N/25mmであった。また、固体素子を有するデバイスに損傷はなかった。
〔実施例2〕
紫外線が照射された領域と紫外線が照射されなかった領域の合計の面積に対する紫外線が照射された領域の面積比が30%となるように設計されたフォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様の方法で固体素子を有するデバイスを得た。このとき、INSTRON社製万能試験機にて90°剥離試験(剥離速度は、300mm/min)を実施し、剥離するために必要な力を測定した結果、0.6N/25mmであった。また、固体素子を有するデバイスに損傷はなかった。
1 … 可撓性基板
2 … 剛性基板
3 … 紫外線
4 … 可撓性基板の紫外線を照射した部位
5 … 剛性基板の紫外線を照射した部位
6 … 複合体
7 … 固体素子
8 … フォトマスク
9 … 固体素子を有するデバイス

Claims (2)

  1. 可撓性基板及び剛性基板を準備し、前記可撓性基板及び前記剛性基板に紫外線を照射する紫外線照射工程と、
    前記可撓性基板の紫外線を照射した部位及び前記剛性基板の紫外線を照射した部位を接触させて、前記可撓性基板及び前記剛性基板が、90°剥離試験の剥離速度300mm/minで、0.01N/25mm〜5N/25mmの剥離に必要な力により
    剥離可能な状態で直に固着している複合体を形成する複合体形成工程と、
    前記複合体の可撓性基板側に固体素子を形成する固体素子形成工程と、
    前記複合体から剛性基板を剥離する剛性基板剥離工程と、を有し、
    前記可撓性基板はポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテル、ポリカーカーボネート、アクリル、ポリウレタン又はポリイミドをふくめるポリマーを含み、
    前記剛性基板は無アルカリガラス又は石英ガラスをふくめるガラスを含む
    ことを特徴とする固体素子を有するデバイスの製造方法。
  2. 紫外線を照射された部位を有する可撓性基板と、
    紫外線を照射された部位を有する剛性基板と、を備え、
    前記可撓性基板の紫外線を照射された部位及び前記剛性基板の紫外線を照射された部位が接触しており、前記可撓性基板及び前記剛性基板が、90°剥離試験の剥離速度300mm/minで、0.01N/25mm〜5N/25mmの剥離に必要な力により剥離可能な状態で直に固着しており、
    前記可撓性基板はポリエステル、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテル、ポリカーカーボネート、アクリル、ポリウレタン又はポリイミドをふくめるポリマーを含み、
    前記剛性基板は無アルカリガラス又は石英ガラスをふくめるガラスを含む
    ことを特徴とする複合体。
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