JP5902405B2 - エレベータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エレベータ装置に関し、特にレールに沿って鉛直方向へかごを案内するため、かごに取り付けられているローラガイドアッセンブリを改良したものである。
一般的なエレベータ装置は、昇降路に沿ってかごを昇降させるための駆動手段と、かごが平面内で位置ずれしたり傾いたりしないように安定してかごを昇降させるガイド手段とを備えている。前記駆動手段は、昇降路の上部に駆動ドラムを配置し、該駆動ドラムに昇降ロープを巻回し、該昇降ロープの一端にかごを吊り下げ他端にカウンタウエイトを吊り下げて両者の重さのバランスを取り、駆動ドラムを駆動することによりかごとカウンタウエイトとが相互に反対方向へ昇降するように構成されている。また、前記ガイド手段は、かごの外部の側面近傍であって昇降路の対向する位置に上下方向に沿って配置された一対のガイドレールと、夫々のガイドレールを挟むローラを有すると共にかごの上下の側面近傍に配置された複数のローラガイドアッセンブリとによって構成されている。
従来のエレベータ装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このエレベータ装置は、FIG1に示すように、昇降路には鉛直方向に沿って一対のガイドレール16が配置されている一方、かご12には上下の左右に4つのローラガイドアッセンブリ20を備えている。夫々のローラガイドアッセンブリ20は、FIG2のように、ガイドレール16に係合する3つのローラ22を備えており、夫々のローラ22は水平方向へ揺動自在に設けられている。即ち、ベース40に回転シャフト34が回転自在に設けられ、該回転シャフト34の一端に上方へ突出するレバーアーム26の基端部が結合され、該レバーアーム26の先端部にアームエンド30及びローラ軸24を介してローラ22が回転自在に支持され、該ローラ22をガイドレール16へ向って付勢するサスペンションサブアッセンブリ42が設けられている。また、回転シャフト34の他端にはダンパーとしてフリクションダンピングサブアッセンブリ44が設けられている。
特許第4050466
ところが、ローラ22を水平方向へ揺動自在にするための揺動機構において、ガイドレール16へ向って付勢されるローラ22の可動寸法が僅かであるのに対し、サスペンションサブアッセンブリ42(付勢手段)とフリクションダンピングサブアッセンブリ44(ダンパー)が多くのスペースを占有し、またこれらの構成部品のコストが高い。
そこで本発明は、上記の課題を解決し、揺動機構に設けられる付勢手段とダンパーとを省略したエレベータ装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、鉛直方向に沿って形成された昇降路と、該昇降路に沿って昇降するかごと、前記昇降路に沿って配置され前記かごを昇降自在に案内するガイドレールと、該ガイドレールにより案内されると共に前記かごに設けられた複数のローラガイドアッセンブリと、を備えたエレベータ装置において、
前記ローラガイドアッセンブリは、前記ガイドレールに対峙する水平回動軸を設けると共に、該水平回動軸の一端にアームを介して水平揺動軸を設け、さらに該水平揺動軸に前記ガイドレール上を転がるローラを回転自在に設けることで構成してあり、
支持部材に前記水平回動軸を支持するための挿入孔を形成し、該挿入孔に筒形状の弾性部材を挿入すると共に、該弾性部材の内部に前記水平回動軸を挿入することで、該水平回動軸と前記弾性部材および前記軸支持部材の三者を隙間なく密着させ、
前記水平回動軸の外周面と前記弾性部材の内外周面および前記軸支持部材の内周面のそれぞれの断面形状を多角形にすることで、前記水平回動軸と前記弾性部材および前記軸支持部材のそれぞれの境界部分が相対的に回動するのを規制するようにしたことを特徴とする。
この発明によれば、水平回動軸が筒形状の弾性部材を介して軸支持部材により支持されているので、ローラがガイドレールにより水平方向へ押されて揺動した場合は、アームを介して水平回動軸に回動力が作用する。水平回動軸と弾性部材と軸支持部材とはこれらの部材の境界部分の相対的な回動が規制されているので、弾性部材は外周部が固定されており、内周部には水平回動軸からの回動力が作用することになる。このため、弾性部材には捩り力が作用して捩られるが、その後に捩り力が作用しなくなると元の位置へ復帰する。ローラがガイドレールの繋ぎ部分に生じた段差を乗り越える際には、弾性部材の弾性力によりローラがガイドレールに付勢されているのでかごの振動が抑制され、かごの内部の積載物が偏ってかごが偏荷重を受けた際には、弾性部材が捩られた状態でかごがガイドレールにより支持されるため、ローラに無理な力が作用することなくかごの傾きが抑制され、その後に偏荷重が作用しなくなると弾性部材は捩られた状態から復帰する。この弾性部材は、ローラをガイドレールに付勢する付勢機能と、付勢されたローラが付勢された方向へ往復移動を繰り返すのを抑制するダンパー機能と、ローラを支持する軸受機能とを果たすことになる。
請求項1に係るエレベータ装置によれば、揺動機構を構成する水平回動軸と軸支持部材との間に弾性部材を介在させこれらの部材の境界部分が相対的に回動するのを規制する規制手段を設けたので、水平揺動軸に水平方向の力が作用した際に弾性部材が捩られてその後に水平方向の力が作用しなくなると元の位置へ復帰することを繰り返す。このため、揺動機構に従来のように付勢手段やダンパーを設ける必要がなく、従来に比べて部品の設置スペースが少なくて済む。また、揺動機構における水平回動軸と軸支持部材との間に弾性部材を介在させるだけでよいので、従来のように付勢手段とダンパーとを設ける構成に比べて製造コストが安くて済む。更に、弾性部材の硬度を変更してバネ定数を変えることにより、エレベータの構造やエレベータの速度の違いによる多様な振動を防止するための要求に対応することができる。また更に、弾性部材が摩耗したり経年劣化したりした場合は、弾性部材のみを交換すれば済み、その他の周辺部分の分解,組立,調整が不要であり、メンテナンスに費やす時間を削減することができる。
ローラガイドアッセンブリの揺動機構を示す斜視図。 図1に示した水平回動軸の支持部を示す断面図。 ローラガイドアッセンブリに係り、(a)は平面図、(b)は正面図。 エレベータ装置の斜視図。
以下、本発明によるエレベータ装置の実施の形態について説明する。
図4に示すように、鉛直方向に沿って図示しない昇降路が形成されており、該昇降路に沿って昇降するかご1が設けられている。かご1はワイヤ20により昇降可能に吊り下げられており、該ワイヤ20の他端には図示しないカウンタウエイトが吊り下げられ、両者の重量が吊り合っている。そして、かご1に平面内での位置ずれや傾きが生じないようにかご1を昇降させるため、かご1の側面の位置には、昇降路に沿って一対のガイドレール2,2が配置される一方、前記かご1の上下の側面近傍の位置には、ガイドレール2,2に沿ってかご1を案内するために複数のローラガイドアッセンブリ3が設けられている。
前記ガイドレール2は、レール本体2aと該レール本体2aを保持する保持部2bとによって構成され、断面略T字形になっている。これらの一対のガイドレール2,2は、レール本体2aの部分を対向させた状態で配置されている。
一方、かご1をかご1の側方と上下方向から囲むようにして、かご1には移動枠4が設けられている。該移動枠4は、左右の2本の縦枠4aと2本の上枠4bと2本の下枠4bとにより構成され、左右の縦枠4aと下枠4bとはかご1の側面および下面に当接させて設けられ、上枠4bはかご1の上面から少し離れた位置に設けられている。左右の縦枠4aは断面略コの字形であって開口部が外側に開口する一方、2本の上枠4bと2本の下枠4bとは断面略コの字形であって開口部が上方または下方に開口し、2本の上枠4bと2本の下枠4bとが、左右の縦枠4aを夫々挟んだ状態で結合されている。
前記2本の上枠4bおよび2本の下枠4bの両端位置には、ローラガイドアッセンブリ3が設けられている。該ローラガイドアッセンブリ3は、図3に示すように、ガイドレール2のレール本体2aを挟む一対のローラ5a,5bと、一対のレール本体2aの内側に位置してレール本体2aの対向面を転動する単一のローラ5cとを備えている。このようなローラ5a,5b,5cをかご1の4箇所に設けることにより、かご1の平面内での位置ずれやかご1の前後左右方向の傾きが規制される。
ローラガイドアッセンブリ3の構成を具体的に説明する。図3(a)に示すように、前記移動枠4を構成する上枠4b,下枠4bの両端位置にベース部材6が結合されている。該ベース部材6には、ガイドレール2のレール本体2aが入り込む切欠部6aが形成されている。即ち、前記移動枠4を構成する縦枠4aの断面略コの字形の内部に、ガイドレール2のレール本体2aの部分が配置されており、このレール本体2aから逃がすため、ベース部材6には前記切欠部6aが形成されている。
前記ベース部材6の上には、ガイドレール2上を転がる前記ローラ5a,5b,5cが支持されている。即ち、ベース部材6の上に3つの軸支持部材7が立設されており、夫々の軸支持部材7には前記ガイドレール2と対峙する水平回動軸12が設けられ、該水平回動軸12の一端に上方へ突出するアーム13を介して水平揺動軸8が設けられ、該水平揺動軸8にローラ5a,5b,5cが回転自在に支持されている。これらの部材の関係を図1の斜視図に示す。
次に、前記ローラ5a,5b,5cの構成を説明する。前記ローラ5a,5b,5cは同一の構成なので、ローラ5aのみについて説明する。ローラ5aは、円環形状のローラ外周部10と、該ローラ外周部10の内側に嵌め込まれたローラ支持部14と、該ローラ支持部14の内側に嵌め込まれた軸受9とによって構成されている。前記ローラ外周部10は、ラバーまたはウレタン等の弾性部材によって作られている。前記軸受9は一般的な構成であり、内輪と外輪との間に複数の鋼球を介在させて構成されている。
次に、前記水平回動軸12を支持する部分の構成を図2(a)に基づいて説明する。この部分の構成は、ローラ5a,5b,5cの夫々についいて同一である。前記軸支持部材7に挿入孔7aが形成され、該挿入孔7aに筒形状の弾性部材としてのラバー11が挿入され、該ラバー11の内部11aに前記水平回動軸12が挿入されている。
そして、水平回動軸12とラバー11と軸支持部材7との境界部分が相対的に回動しないように構成されている。即ち、前記水平回動軸12の外周面と前記ラバー11の内外周面と前記軸支持部材7の内周面との断面形状が多角形としての本実施の形態では正方形に設定されており、各部材の内外周面に形成された多角形が、各部材の相対的な回動を規制する規制手段として機能する。前記ラバー11と前記軸支持部材7とは、より強固な結合が要求されるため、正方形断面どうしの嵌め込みに加えて加硫接着されている。
次に、本実施の形態のエレベータ装置の作用を説明する。
この発明によれば、水平回動軸12が筒形状のラバー11を介して軸支持部材7により支持されているので、ローラ5a,5b,5cがガイドレール2により水平方向へ押されて揺動した場合は、アーム13を介して水平回動軸12に回動力が作用する。水平回動軸12とラバー11と軸支持部材7とはこれらの部材の境界部分の相対的な回動が規制されているので、ラバー11は外周部が固定されており、内周部には水平回動軸12からの回動力が作用することになる。このため、ラバー11には捩り力が作用して捩られるが、その後に捩り力が作用しなくなると元の位置へ復帰する。ローラ5a,5b,5cがガイドレール2の繋ぎ部分に生じた段差を乗り越える際には、ラバー11の弾性力によりローラ5a,5b,5cがガイドレール2に付勢されているのでかご1の振動が抑制され、かご1の内部の積載物が偏ってかご1が偏荷重を受けた際には、ラバー11が捩られた状態でかご1がガイドレール2により支持されるため、ローラ5a,5b,5cに無理な力が作用することなくかご1の傾きが抑制され、その後に偏荷重が作用しなくなるとラバー11は捩られた状態から復帰する。このラバー11は、ローラ5a,5b,5cをガイドレール2に付勢する付勢機能と、付勢されたローラ5a,5b,5cが付勢された方向へ往復移動を繰り返すのを抑制するダンパー機能と、ローラ5a,5b,5cを支持する軸受機能とを果たすことになる。
このエレベータ装置によれば、揺動機構を構成する水平回動軸12と軸支持部材7との間にラバー11を介在させこれらの部材の境界部分が相対的に回動するのを規制する規制手段を設けたので、水平揺動軸8に水平方向の力が作用した際にラバー11が捩られてその後に水平方向の力が作用しなくなると元の位置へ復帰することを繰り返す。このため、揺動機構に従来のように付勢手段やダンパーを設ける必要がなく、従来に比べて部品の設置スペースが少なくて済む。また、揺動機構における水平回動軸12と軸支持部材7との間にラバー11を介在させるだけでよいので、従来のように付勢手段とダンパーとを設ける構成に比べて製造コストが安くて済む。更に、ラバー11の硬度を変更してバネ定数を変えることにより、エレベータの構造やエレベータの速度の違いによる多様な振動を防止するための要求に対応することができる。また更に、ラバー11が摩耗したり経年劣化したりした場合は、ラバー11のみを交換すれば済み、その他の周辺部分の分解,組立,調整が不要であり、メンテナンスに費やす時間を削減することができる。
この発明によれば、多角形の内周面に多角形の外周面が嵌まり込むことにより、軸支持部材7に対してラバー11の回動が規制され、該ラバー11に対して水平回動軸12の回動が規制されており、該水平回動軸12に回動力が作用するとラバー11は捩られてその後に元の位置へ復帰する。
このエレベータ装置によれば、水平回動軸12とラバー11と軸支持部材7との各部材の内外周面の断面形状を多角形にして規制手段を構成したので、規制手段の構成が簡単である。
ラバーまたはウレタン等の弾性部材によって作られたローラ外周部10とラバー11との硬度(バネ定数)の組合せを調整することにより、通常時はラバー11の捩りと復帰とによりかご1の振動が抑制され、非常停止装置が作用してかご1が停止する際には、ローラ外周部10が撓むことによりローラ5a,5b,5cに作用する衝撃が緩和される。
なお、上記実施の形態での多角形としては、正方形に限らず、正五角形,正六角形等にすることもできる。
1…かご
2…ガイドレール
3…ローラガイドアッセンブリ
5a,5b,5c…ローラ
6…ベース部材
7…軸支持部材
7a…挿入孔
7b,12a…凹部
8…水平揺動軸
11…弾性部材
11a…内部
12…水平回動軸
13…アーム

Claims (2)

  1. 鉛直方向に沿って形成された昇降路と、該昇降路に沿って昇降するかごと、前記昇降路に沿って配置され前記かごを昇降自在に案内するガイドレールと、該ガイドレールにより案内されると共に前記かごに設けられた複数のローラガイドアッセンブリと、を備えたエレベータ装置において、
    前記ローラガイドアッセンブリは、前記ガイドレールに対峙する水平回動軸を設けると共に、該水平回動軸の一端にアームを介して水平揺動軸を設け、さらに該水平揺動軸に前記ガイドレール上を転がるローラを回転自在に設けることで構成してあり、
    支持部材に前記水平回動軸を支持するための挿入孔を形成し、該挿入孔に筒形状の弾性部材を挿入すると共に、該弾性部材の内部に前記水平回動軸を挿入することで、該水平回動軸と前記弾性部材および前記軸支持部材の三者を隙間なく密着させ、
    前記水平回動軸の外周面と前記弾性部材の内外周面および前記軸支持部材の内周面のそれぞれの断面形状を多角形にすることで、前記水平回動軸と前記弾性部材および前記軸支持部材のそれぞれの境界部分が相対的に回動するのを規制するようにしたことを特徴とするエレベータ装置。
  2. 請求項1に記載のエレベータ装置において、
    前記水平回動軸の外周面と前記弾性部材の内外周面および前記軸支持部材の内周面のそれぞれの断面形状が正方形であることを特徴とするエレベータ装置。
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