JP5846400B2 - 工作機械とその熱変形の補正方法 - Google Patents

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Description

この発明は工作機械とその熱変形の補正方法に関し、特に工作機械が熱変形してもワークを所定のサイズに加工できるようにすることに関する。
出願人は、主軸とタレットとの距離をリニアセンサにより測定することを提案した(特許文献1 特許4351379)。リニアセンサをインバー合金等の熱膨張率が小さな材料から成るスケールとスケールを読み取るセンサヘッドとで構成し、一方を主軸側に他方をタレット側に固定すると、温度の影響を受けずに主軸とタレットとの距離を測定できる。そして測定した距離に基づいて主軸あるいはタレットを移動させると、工作機械の熱変形の影響を受けずに、ワークを加工できる。
ここで他の先行技術を示す。特許文献2(特開2008-49425)は、タッチセンサにより主軸中心に対する刃先の位置を検出することを開示している。タッチセンサは主軸中心上の位置と、主軸中心から離れた位置との間を移動し、タレットから刃先までの距離の測定に用いることができる。そしてタッチセンサとその出没機構はツールセッターと呼ばれている。特許文献3(特開2010-228011)は、タッチセンサを備えたツールホルダーをタレットに取り付け、ワークの直径方向両端にタッチセンサが接触するように、タレットとワークを相対移動させることを開示している。このタッチセンサは機内計測装置と呼ばれ、加工後のワークのサイズを測定できる。すると前回のワークでの加工誤差を解消するように、次のワークに対する刃先の送り量を補正できる。しかしこの手法では、最初のワークでの加工誤差を小さくできない。
特許4351379 特開2008-49425 特開2010-228011
精密な加工を行う工作機械はNC制御を施すのが通常であり、通常は、前記のセンサ以外のエンコーダ等によりサーボモータの回転数を監視し、エンコーダの信号によりサーボモータを制御して入力指令を実行する。そこで温度の影響を受けないセンサの信号と、エンコーダの信号とをどのように組み合わせて、サーボモータへフィードバックするかが問題となる。
この発明の基本的課題は、ワークの加工に際して、工作機械の熱変形の影響を小さくすることにある。
この発明の工作機械は、スケールとセンサヘッドとにより、主軸中心とツール取付部との間の距離を測定する、NC制御の工作機械であって、
主軸とツール取付部とを相対移動させる、エンコーダ付きのサーボモータと、
工作機械の機械部分に比べて低熱膨張率の材料で構成され、かつ位置を表すマークを備える、スケールと、
スケールのマークを読み取ることにより、主軸中心とツール取付部との間の距離を測定するセンサヘッドと、
前記エンコーダの信号に基づいて、サーボモータを制御することにより、主軸またはツール取付部を移動させる制御装置、とを備え、
前記ツール取付部は、主軸に取り付けられたワークを切削加工する刃先を有するツールが取り付けられるように構成され、
前記制御装置は、ワークを仕上げ加工する際に、
仕上げ加工直前のアプローチ位置まで主軸またはツール取付部を移動させることにより、ツールの刃先を主軸中心へ接近させると共に、
前記アプローチ位置で、前記センサヘッドにより主軸中心とツール取付部間の距離を測定し
測定した距離に基づく補正量だけ、仕上げ加工での主軸またはツール取付部の移動量を補正し、
補正後の仕上げ加工の移動量だけ主軸またはツール取付部を、前記アプローチ位置からさらに移動させることにより、前記仕上げ加工を行うように構成されている。
この発明の工作機械の熱変形の補正方法は、工作機械の機械部分に比べて低熱膨張率の材料で構成されたスケールを、センサヘッドで読み取って、主軸中心とツール取付部との間の距離を測定することにより、工作機械の熱変形を補正する方法であって、
前記ツール取付部には、主軸に取り付けられたワークを切削加工する刃先を有するツールが取り付けられ、
ワークを仕上げ加工する際に、
サーボモータのエンコーダの信号に基づき、仕上げ加工直前のアプローチ位置まで主軸またはツール取付部を移動させることにより、ツールの刃先を主軸中心へ接近させるステップと、
前記アプローチ位置で前記センサヘッドにより主軸中心とツール取付部間の距離を測定するステップと、
測定した距離に基づく補正量だけ、仕上げ加工での主軸またはツール取付部の移動量を補正するステップと、
サーボモータのエンコーダの信号に基づき、補正後の仕上げ加工の移動量だけ、主軸またはツール取付部前記アプローチ位置からさらに移動させることにより、前記仕上げ加工を行うステップ、とを実行する。
この発明では、アプローチ位置でセンサヘッドにより主軸中心とツール取付部間の距離を測定し、測定した距離に基づく補正量だけ、仕上げ加工での主軸またはツール取付部の移動量を補正する。そして主軸またはツール取付台の移動は、サーボモータのエンコーダの信号をサーボコントローラへフィードバックすることにより制御する。アプローチ後から仕上げ加工を完了するまでの間に、工作機械の熱的状況が変化する可能性は、時間が極く短い為、小さい。そこ仕上げ加工の直前のアプローチ位置で、主軸中心とツール取付部間の距離を測定することにより、ワークを正確なサイズに加工できる。また従前のエンコーダの信号による制御系に、低熱膨張率のスケールとセンサヘッドとから成る計測系を組み合わせることができる。低熱膨張率の材料にはスーパーインバー合金、インバー合金等のインバー系合金があり、他にセラミックス、ガラス、プラスチックでも熱膨張率が極めて小さい材料が知られている。なおこの明細書において、工作機械の記載はそのまま工作機械の熱変形の補正方法にも当てはまり、逆に工作機械の熱変形の補正方法の記載はそのまま工作機械にも当てはまる。
好ましくは、前記制御装置は、加工プログラム中の指令値と前記エンコーダの信号との誤差を解消するように、前記サーボモータをフィードバック制御し、
前記補正量は、アプローチ位置での、指令値とセンサヘッドにより測定した主軸中心とツール取付部間の距離の誤差で、
前記制御装置は、仕上げ加工で、加工プログラム中の主軸または取付部の移動量を前記補正量だけ補正し、補正済みの移動量とエンコーダの信号との誤差を解消するように、サーボモータをフィードバック制御する。
指令値とエンコーダの信号との誤差を解消するようにサーボモータをフィードバック制御することにより、主軸または取付部が移動する。そしてアプローチ位置で、工作機械の熱変形等によるエンコーダ信号の誤差を測定し、この誤差を仕上げ加工で解消するように制御する。
好ましくは工作機械は、ベッドに一点支持され、かつ低熱膨張率の材料から成るフレームと、
前記フレームから主軸側へ延び、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第1のスケールと、
前記フレームから前記ツール取付部側へ延び、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第2のスケールと、
主軸側に設けられ、第1のスケールの磁気マークを読み取ることにより、フレームを基準とする主軸側の位置を読み取る第1のセンサヘッドと、
ツール取付部側に設けられ、第2のスケールの磁気マークを読み取ることにより、フレームを基準とするツール取付部側の位置を読み取る第2のセンサヘッドとを備え、
前記制御装置は、第1のセンサヘッドで求めた位置と第2のセンサヘッドで求めた位置との差分により、主軸中心とツール取付部間の距離を測定するように構成されている。
フレームと第1及び第2のスケールとで、工作機械の熱変形の影響を実質的に受けないスケール、即ち基準座標系を実現できる。このスケールを第1及び第2のセンサヘッドにより読み取り、2個のセンサヘッドの信号の差分により、主軸中心とツール取付部間の距離を熱変形の影響を受けずに測定できる。
好ましくは、前記主軸は、主軸中心に水平面内で直交するX方向と、主軸中心に水平面内で平行なZ方向とに移動でき、
フレームの長手方向がZ軸に平行に延び、
第1のスケール及び第2のスケールはX軸に平行に配置され、
第1のスケールからZ軸に平行に延び、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第3のスケールと、
フレームの長手方向と平行に設けられ、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第4のスケールと、
主軸側に設けられ、第3のスケールの磁気マークを読み取ることにより、主軸側のZ軸座標を読み取る第3のセンサヘッドと、
ツール取付部側に設けられ、第4のスケールの磁気マークを読み取ることにより、ツール取付部側のZ軸座標を読み取る第4のセンサヘッドとを備え、
前記制御装置は、第3のセンサヘッドで求めたZ軸座標と第4のセンサヘッドで求めたZ軸座標との差分により、主軸端面とツール取付部間のZ軸方向距離を測定するように構成されている。
このようにすると、主軸端面とツール取付部間のZ軸方向距離を、工作機械の熱変形の影響無しに独立した測定座標により測定できる。従ってZ軸方向に沿っても、加工プログラム通りにサイズに加工できる。
好ましくは前記制御装置は、仕上げ加工後に、前記アプローチ位置までの移動量と、前記補正量により補正する前の仕上げ加工での移動量の和だけ、主軸または取付部を後退させるように構成されている。このようにすると、アプローチ位置で測定した補正量だけ戻る位置が変更され、補正量は次の実加工に対しても実時刻に有効となる。
好ましくは、工作機械はツールの刃先に接触すると信号を発生するタッチセンサと、タッチセンサの出退機構とをさらに備え、
前記制御装置は、旧ツールを新ツールに交換する際に、旧ツールの刃先がタッチセンサに接触する際の主軸中心とツール取付部間の距離と、新ツールの刃先がタッチセンサに接触する際の主軸中心とツール取付部間の距離との差分だけ、前記アプローチ位置を補正するように構成されている。
このようにするとツールの交換によるオフセットの変化を補正できる。
また好ましくは、工作機械の制御装置は、前記ツール取付部に取り付けた標準治具と主軸中心とを互いに位置決めする際の、前記第1のセンサヘッドで読み取った主軸中心の位置を主軸原点位置として、第1のセンサヘッドの読み取り位置を補正するように構成されている。
このようにすると、主軸原点位置を基準座標系で測定できる。従って主軸の軸方向と水平面内で直角な方向へ、主軸が倒れ込むことによる誤差を補正できる。
好ましくは工作機械は、主軸にチャックされたワークのサイズを計測する機内計測装置をさらに備え、前記制御装置は、ツール交換後または工作機械の始動時に、前記仕上げ加工を中間仕上げ加工と残りの仕上げ加工とに分割し、仕上げ加工の途中位置まで主軸またはツール取付部を移動させる中間仕上げ加工を行わせ、中間仕上げ加工後に、ワークのサイズを機内計測装置により測定して、中間仕上げ加工での目標サイズとの誤差を求め、求めた誤差を解消するように、残りの仕上げ加工での主軸またはツール取付部の移動量を補正するように構成されている。
このようにすると、ツールの交換後、あるいは工作機械を休止させた後の始動時に、最初のワークから正確に加工できる。
また好ましくは前記制御装置は、前記補正量を工作機械の動作履歴と共に複数記憶するメモリと、前記動作履歴により定まる許容範囲以上の補正量を検出するとその旨を出力する解析部とを備えている。例えば始業直後、あるいはツールの交換直後には補正量は大きく、同じツールで加工を繰り返して工作機械の熱的状況が安定すると補正量は小さくなるはずである。そこで工作機械の動作履歴を元に許容範囲を定めて補正量を解析すると、ツールの寿命管理や工作機械及びセンサ系の異常を検出できる。
特に好ましくは工作機械は温度センサを備え、かつ前記解析部は工作機械の動作履歴と温度とから前記許容範囲を定め、温度は例えば気温と工作機械の各部の温度である。このようにすると、温度が安定している際には許容範囲を狭く、温度が変化している際には許容範囲を広くし、的確に異常を検出できる。
好ましくは、前記センサヘッドからの信号が到着すると、前記エンコーダの信号をラッチするように、前記制御装置が構成されている。一般にセンサヘッドの信号に比べ、エンコーダの信号は短い時間間隔で得られるので、センサヘッドからの信号に基づいて、エンコーダの信号をラッチすると、事実上センサヘッドからの信号とエンコーダの信号とを同時に読み込むことができる。
実施例の工作機械での工作機械本体の平面図で、併せて制御装置の概念構成を示す。 実施例の工作機械本体の斜視図。 実施例の工作機械の要部拡大平面図 実施例のツールセッターを示す図 実施例の機内計測装置を示す図 実施例の標準治具を示す図 読み取り制御部の詳細を示すブロック図 補正部の詳細を示すブロック図 実施例での加工を示す図 実施例での基本ルーチンのフローチャート 実施例でのツール交換ルーチンのフローチャート 実施例での起動ルーチンのフローチャート
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
実施例の工作機械を図1〜図12を参照して説明する。図1〜図3は工作機械の概要を示し、工作機械は機械部分である工作機械本体1と、工作機械本体1を制御する制御装置2とから成り、制御はNC制御である。固定のベッド3に送り台4を介して設置された主軸台5に、主軸6が回転自在に支持されている。またベッド3に支持台26が固定され、、タレット7が支持台26に回転割出可能に、即ち高い角度精度で支持されている。
ベッド3に設けられたX軸ガイド9に沿って、主軸中心Oと水平面内で直行するX軸方向に沿って、サーボモータ10と送りねじ機構11とにより、送り台4が移動する。図2のように、送り台4上に設けられたZ軸ガイド13に沿って、主軸中心Oと平行なZ軸方向に主軸台5が移動自在で、サーボモータ14と送りねじ機構15とによって移動する。主軸6は主軸台5に内蔵の主軸モータ(図示せず)よって回転し、主軸6の前端にチャック17が取り付けられ、ワークWをチャックする。
タレット7はタレット中心軸T回りに回転自在で、複数のツールホルダ19を着脱自在で、ツールホルダ19にはバイト、回転工具等のツール18が取付けられる。支持台26に回転自在に支持された中空軸7cの先端にタレット7が固定され、割出用モータ(図示せず)で中空軸7cを回転させることにより、任意のツールホルダ19が主軸6に対向する位置に位置決めされる。なお、図1,図2では、ツール18を1個のみ示し、他は省略してある。実施例では主軸6がX軸とZ軸方向とに移動するが、タレット7が移動するようにしても良い。さらに工作機械はX軸、Z軸が移動する旋盤であるが、X軸、鉛直なY軸、及びZ軸が移動するマシニングセンター等でも良い。
実施例の工作機械では、主軸中心Oと刃先との距離Lを、熱変形しない計測システムにより計測する。ただし刃先の位置を直接測定するのは難しいので、タレット7の主軸6側の端面(ツールホルダ19を固定する側の面で、ツール取付面という)と主軸中心Oとの距離を測定し、タレット7の端面と刃先との距離は図4及び図11のようにして別途に測定する。そして計測した距離を制御装置2を入力することにより、工作機械の熱変形の影響無しに、ワークWを加工する。ベッド3にフレーム30が1点支持され、送り台4の下部へとX軸に平行に延びるスケール31と、タレット7の中心軸に沿ってX軸に平行に伸びるスケール32とが、フレーム30に固定されている。ここで1点支持とは、ベッド3の熱膨張によりフレーム30が変形しないように、ベッド3の1個所にフレーム30を取り付けることをいう。フレーム30,スケール31,32はスーパーインバー合金等の低熱膨張率の材料で構成され、材質は単なるインバー合金、ガラス、セラミックス、液晶ポリマー等のプラスチック等でも良く、ベッド3に比べて熱膨張が小さい材料を用いる。
送り台4には主軸中心Oの直下にセンサヘッド33が設けられ、例えば4個のコイルによりスケール31の磁気マークを読み取りX軸座標を求める。スケール31は熱膨張率が極めて低いので、フレーム30に対する送り台4のX軸座標を、工作機械の熱変形の影響から独立して測定できる。スケール32はタレット7の中心軸と同軸にタレット7内へ延び、同様に磁気マークが設けられ、例えば4個のコイルを備えるセンサヘッド34が磁気マークを読み取る。スケール32も同様に熱膨張率が極めて低いので、フレーム30に対するタレット7のX軸座標を、工作機械の熱変形の影響無しに、測定できる。またスケール32とセンサヘッド34は、タレット7の内部に置かれることにより保護されている。なおスケール31,32を送り台4と支持台26とに取り付け、センサヘッド33,34をフレーム30に取り付けても良い。熱変形が少ないフレーム30を基準とする位置を表し、かつセンサヘッド33,34の信号に基づく座標系を基準座標系という。
実施例では、求めた2つのX軸座標の差を用いる。センサヘッド33,34からのX軸座標の差はタレット7のツール取り付け面から主軸中心Oまでの距離を表し、タレット7のツール取り付け面からツール18の刃先までの距離が分かると、刃先から主軸中心Oまでの距離Lが分かる。距離Lを、周囲の温度、工作機械の発熱等の影響を受けないフレーム30を基準とする基準座標系で測定できれば、工作機械の熱変形の影響無しにワークを加工できる。主軸台5の位置はエンコーダ20によっても測定でき、エンコーダ20の信号に基づく座標系を機械座標系という。制御装置2は、エンコーダ20で測定した機械座標系を、基準座標系での距離Lにより補正しながら、サーボコントローラ44を制御する。
Z軸座標を熱変形の影響無しで求める場合、スケール35,36とセンサヘッド37,38を設ける。スケール35は例えばZ軸に平行にスケール31に取り付け、送り台4に設けたセンサヘッド37によりZ軸座標を読み取る。またスケール36は例えばフレーム30にZ軸に平行に取り付けるが、スケール32に取り付けても良い。支持台26に設けたセンサヘッド38により、スケール36からZ軸座標を読み取る。スケール35,36はスーパーインバー合金等の熱膨張率が小さい材料により構成されて磁気マークが設けられ、センサヘッド37,38は複数のコイルにより磁気マークを検出する。2つのZ軸座標の差が基準座標系でのZ軸座標で、タレット中心軸Tに対する主軸台5のZ軸座標を表し、熱変形の影響を受けない基準座標系の座標である。
制御装置2は、プログラム用のメモリ41に記憶された加工プログラムを、CPUを備える演算制御部43で実行し、工作機械本体1を制御する。演算制御部43は、加工プログラムを読み出して命令を解釈するシーケンス制御部(不図示)、及び読み取り制御部46、補正部47、X軸のサーボコントローラ44、Z軸のサーボコントローラ45を備えている。演算制御部43は、加工プログラム中のX軸指令値RxをX軸サーボコントローラ44に与え、Z軸指令値RzをZ軸サーボコントローラ45に与える。サーボコントローラ44,45はエンコーダ20,21の信号と指令値との誤差を解消するように、サーボモータ10,14をフィードバック制御する。読み取り制御部46は、センサヘッド33,34からの読み取りを制御する。補正部47は、基準座標系での測定値に基づいて、機械座標系の誤差(機械座標系と基準座標系との誤差)を補正し、サーボコントローラ44,45へ補正量を入力する。
図4は実施例のツールセッターを模式的に表し、ベース50にタッチセンサ52が取り付けられ、ベース50は、タッチセンサ52の検出面が主軸中心Oと一致する位置と、加工領域から退避した位置との間で、出没する。出没には例えばベース50を旋回させるアーム、あるいはベース50を直進運動させる流体圧シリンダーを用いる。そしてタッチセンサ52がツール18の先端と接触した際の基準座標系でのX軸座標を求めると、ツール18の刃先位置とタレット7とのオフセットを補正できる。オフセットの絶対的な値を正確に測定するためには、図4で、ベース50を正確に位置決めする必要がある。しかし新旧の刃先位置を連続して測定すると、測定の間ベース50の位置が変動しなければ、新旧の刃先位置の差分からオフセットの変化を正確に求めることができる。なお図4の手順は、例えばNC制御でのMコードで定義される。当該ツールが寿命に達したり、何等かの異常が認められた際には、ベース50の位置を固定し、タッチセンサ52を主軸中心Oと一致する位置に保持したまま、新たなツールに交換する。その際に、新旧のツールがタッチセンサ52と接触する座標を基準座標系で計測し、その差分を求める、その値を補正項に入れる事で、旧ツールから新ツールへの連続的な加工を継続できる。
図5は実施例の機内計測装置を模式的に示し、タッチセンサ54がツールホルダー19に取り付けられている。送り台4をZ軸方向とX軸方向とに移動させると、ワークWの直径方向の両端にタッチセンサ54を接触させることができる。例えばワークが図5のWで表される時とW’で表される時との、基準座標系でのX軸座標の差はワークの直径を表している。同様に円筒形のワークに対して内径を測定できる。また送り台4をZ軸方向に移動させると、ワークの一点を基準として、ワーク各部のZ軸座標を基準座標系で測定できる。機内計測装置により、加工後のワークのサイズを求めて、指令値からの誤差を測定できる。長時間の機械休止後やツール交換時などの、機械に於ける非連続的な熱変位の補正機能として、機内計測装置を利用する事で自動化が達成できる。
図6は、基準座標系による主軸原点のX軸座標を求めるための標準治具58を示す。標準治具58とツールホルダー56はスーパーインバー合金等の低熱膨張率の材料で構成され、標準治具58は精密に加工された丸棒状で、標準治具58の中心もしくはその特定の面上に主軸原点を定める。例えば図4のようにして主軸中心上に位置決めされたタッチセンサ52を用いる場合、タッチセンサ52が標準治具58に接触している際のセンサヘッド33のX軸座標を、主軸原点のX軸座標と見なすことができる。また主軸に取り付けたダイヤルゲージ60を用いる場合、主軸を1回転させた際にダイヤルゲージの読みが変化しない場合に、標準治具58の中心と主軸中心が一致していると見なすことができる。そしてこの場合のセンサヘッド33のX軸座標を、主軸原点のX軸座標と見なしても良い。以上のようにして求めたX軸座標を主軸原点のオフセットとしてログファイルに記憶し、またセンサヘッド33の信号をこのオフセットで補正して用いる。図6の手順も、例えばMコードで定義できる。この方法で求めた主軸中心のX軸位置は基準座標系の原点となる。
図7は読み取り制御部46を示し、センサヘッド33,34の信号と同時にエンコーダ20,21の信号を読み込むための構成を示す。62〜65はメモリで、この内メモリ64,65はラッチメモリである。読み取り制御部46はエンコーダ20の信号を監視し、所定の値に達するとセンサヘッド33,34に指令して、その信号を読み取る。この時、可動側のセンサヘッド33の信号が到着した時点で、エンコーダ20からの信号をメモリ64にラッチする。するとサーボモータ10が動作中でも、同じ時点でセンサヘッド33とエンコーダ20の信号を読み込むことができ、信号を読み込んだ時間差による誤差が生じない。固定側のセンサヘッド34からの信号は時間によらずほぼ一定で、読み込みのタイミングを正確に制御する必要はない。Z軸座標を読み込む場合、同様にセンサヘッド37の信号が到着した時点で、エンコーダ21からの信号をメモリ65にラッチする。この場合も、固定側のセンサヘッド38からの信号は、読み込みのタイミングを正確に制御する必要がない。エンコーダ20、21とセンサヘッド33、34の読み取り時点のずれによる誤差を除くため、サーボモーターを一旦停止させて、エンコーダ20、21とセンサヘッド33、34の出力を読み込む事もできる。
図8は補正部47の詳細を示し、補正部本体70は基準座標系でのタレット7に対する主軸のX軸座標とZ軸座標とにより、X軸指令値とZ軸指令値とを補正する。これらの補正値及び、ツール交換時の新旧の刃先位置の差、主軸中心座標等をログファイル72に記憶する。またログファイル72には、休止後の再起動、ツールの交換、主軸中心座標を測定、機械のメンテナンス等の工作機械のイベントを記憶し、さらに気温と工作機械の各部の温度等を記憶する。解析部74はログファイル72での補正値を、工作機械のイベントと、気温及び工作機械の温度等を参照して解析し、異常があれば図示しないモニター等へ出力する。
朝の始業直後及びツールの交換直後等は補正量が大きく、この後連続してワークを加工すると、補正量は徐々に減少するはずである。また機械の温度変化、あるいは気温の変化が激しい場合、補正量は増加し、これらの温度変化が小さいと補正量は減少するはずである。さらに主軸の原点座標の推移は、送り台に対する主軸の傾きの推移である。そこで解析部74は、工作機械の動作履歴と温度変動の程度から補正量への許容範囲を定め、補正量が許容範囲を越えると出力する。また主軸の原点座標が初期値から所定値以上変化すると、送り台4等のメンテナンスが必要である旨の出力をする。
図9,図10に、加工の基本的仕組みを示す。例えばワークの外周を切削加工するものとし、Gコードで指令が与えられるものとする。コードがG00のアプローチで、熱変形に対する補正を無視し、エンコーダの信号を監視しながら、指令値に従い送り台を移動させる。図9の左から右へと送り台は移動し、エンコーダの信号が所定値に達すると、インポジションか否かの判定をすると共に、主軸側とタレット側のセンサヘッドの信号を読み取る。これによって送り台4の基準座標とタレット7の基準座標とが判明する。2つのセンサヘッドの信号の差分は、タレットと送り台間の距離を表している。
センサヘッド33で求めた基準座標と主軸中心O間のオフセットは、図6の作業により測定済みで、センサヘッド33の信号をオフセットにより補正する。なお以下では、センサヘッド33の信号はオフセットを補正済みであるものとする。またツール18の刃先位置とタレット7間のオフセットは図4の作業により測定済みで、センサヘッド34の信号を刃先−タレット間のオフセットにより補正する。以下同様に、センサヘッド34の信号はオフセットを補正済みであるものとする。センサヘッド33,34の信号の差分は、基準座標系でのタレットと送り台間の距離Lを表している。
1回の仕上げ加工の間の工作機械の熱的状況の変化は小さく、複数のワークを連続して加工している場合、工作機械は熱的にほぼ安定している。そこで2個目以降のワークに対して、仕上げ加工中に基準座標系と機械座標系との誤差が変化することは無視できる。このためアプローチ終了時に機械座標系の誤差を求めて機械座標系の移動量を補正すると、熱変形の影響無しに仕上げ加工できる。図9に示すように、基準座標系も機械座標系でも、刃先が主軸中心から離れるとX座標が増加する。オフセット補正済みのセンサヘッド33の信号をPs,オフセット補正済みのセンサヘッド34の信号をPtとすると、Ps−Ptが基準座標系での主軸中心に対するタレット座標である。エンコーダ20の信号から求めた機械座標をPmとすると、機械座標と基準座標の誤差ΔX=Pm−(Ps−Pt)だけ刃先を指令値よりも主軸中心側へ前進させるように仕上げ加工の送り量を補正すると、加工プログラム通りのサイズに加工できる。
切削が終了すると、誤差ΔXを無視して、アプローチと切削送りの指令値の和だけ、送り台を戻す。これによってアプローチ終了時に測定した機械座標系の誤差が解消する。なお図9,図10の手順は工作機械が熱的に安定するまではワーク毎に実行し、熱的に安定すると、全ワークに対して実行しても、いくつかのワーク毎に実行しても良い。なお1個のワークに対しZ軸方向位置を変えて複数回の加工を行う場合、Z軸方向の移動中にあるいはアプローチ終了時に基準座標を測定し、仕上げでの送り量を補正する。
ツール交換後の最初ワークへの処理を図11に示す。ツールを交換すると、ツール18の刃先位置とタレット7とのオフセットが変化する。またツール交換の間に、工作機械の熱的状況が変化する可能性もある。そこで図4のようにして新旧の刃先位置の差分を基準座標系にて測定し、基準座標系でのタレット7と刃先位置間のオフセットを求めた差分に従って機械座標系を補正する。また機械座標系での工具摩耗量等の値は、通常の工具磨耗オフセット領域を使用して補正する。従って、基準座標系を使用して補正を加えるメモリと、工具磨耗を補正するメモリは独立な領域を使用し、実加工時に双方を加算する演算が必要となる。ツール18を交換すると、刃先位置とタレット間のオフセットが変化するだけでなく、切れ味等の要素も変化する可能性がある。そこで仕上げ加工を中間仕上げと最終仕上げとに分割し、中間仕上げ後に図5の機内計測装置によりワークのサイズを測定して、指令値からの誤差を求め、最終仕上げ時にその分も補正として加算することにより、トータルとして誤差を解消する。このようにするとツール交換後の最初のワークから、熱変形の影響無しに、正確にワークを加工できる。また中間仕上げ後に測定した基準座標を、機内計測により測定したワークのサイズにより校正できる。
工作機械の起動後の最初のワークへの処理を図12に示す。休止中にツールホルダー19が熱変形するが、センサヘッド33,34ではこの熱変形を測定できない。そこでアプローチ終了後に中間仕上げを実行し、加工プログラムでの指令値と機内計測装置により測定したワークサイズとの差を解消するように、最終仕上げを実行する。またツール交換の場合と同様に、中間仕上げ後に測定した基準座標を、機内計測により測定した加工ワークの計測値により校正し、誤差を補正パラメータとして記憶すると共に、機械座標系での移動量を補正する。
実施例ではワークの外形加工を説明したが、内径加工等の他の加工でも良い。またX軸以外にZ軸方向にも熱変形の影響を除くためには、センサヘッド37,38の信号により同様の処理を行えばよい。さらに工作機械の種類は、複合旋盤、マシニングセンター等、任意である。なおワーク自体の熱膨張の影響は、ワーク温度の計測等により別途に補正するものとする。また中間仕上げ後のワークサイズは手動で測定しても良い。さらに誤差を100%解消するように補正しても、誤差の大小を複数のランクに区分し、ランク毎に補正値を決めて補正しても良い。
スーパーインバー合金等でも熱膨張率は0ではない。しかしながらフレーム30とスケール31,32は、ベッド3に一点支持されているので、その熱変形は熱膨張率から簡単に求めることができる。例えばスケール31,32の温度を図示しない温度センサで測定し、センサヘッド33,34の読み取り位置とフレーム30間の距離と、20℃等の基準温度からの差と線熱膨張率長さとの積を求める。この積によりセンサヘッド33,34の信号から求めた位置を補正すると、スーパーインバー合金等の熱膨張の影響を除くことができる。
実施例では以下の効果が得られる。
1) 主軸中心とタレットとの距離を熱の影響を受けずに実測することにより、工作機械の熱変形の影響を小さくできる。また理論的なモデルを用いるのではなく、実測値に基づく補正なので信頼性が高い。
2) アプローチの終了時から仕上げ加工の終了までの時間は僅かで、アプローチの終了時に機械座標系の誤差を求めて、仕上げ加工で誤差を解消することにより、正確に加工できる。
3) ツールの交換時に刃先位置を測定し、かつ中間仕上げを実行することにより、ツール交換後の最初のワークから正確に加工できる。
4) 休止後の起動時に中間仕上げを実行することにより、起動後の最初のワークから正確に加工できる。
5) 基準座標系と機械座標系との誤差の傾向を解析することにより、工作機械の状態を把握でき、また許容範囲を越える加工誤差が生じる前にメンテナンスを行うことができる。
6) 図6のようにして、主軸中心の位置を基準座標系で測定すると、送り台に対して主軸が倒れ込むことによる誤差を補正できる。また主軸中心の基準座標の推移から、工作機械のメンテナンスの要否を判断できる。
1 工作機械本体 2 制御装置 3 ベッド 4 送り台
5 主軸台 6 主軸 7 タレット 7c 中空軸 8 軸受
9 X軸ガイド 10,14 サーボモータ 11,15 送りネジ機構
13 Z軸ガイド 17 チャック 18 ツール
19 ツールホルダ 20,21 エンコーダ 26 支持台
30 フレーム 31,32 スケール 33,34 センサヘッド
35,36 スケール 37,38 センサヘッド 41 メモリ
43 演算制御部 44,45 サーボコントローラ
46 読み取り制御部 47 補正部 50 ベース
52,54 タッチセンサ 56 ツールホルダー 58 標準治具
60 ダイヤルゲージ 62〜65 メモリ 70 補正部本体
72 ログファイル 74 解析部
L 主軸中心と刃先との距離 O 主軸中心
T タレット中心軸 W ワーク

Claims (12)

  1. スケールとセンサヘッドとにより、主軸中心とツール取付部との間の距離を測定する、NC制御の工作機械であって、
    主軸とツール取付部とを相対移動させる、エンコーダ付きのサーボモータと、
    工作機械の機械部分に比べて低熱膨張率の材料で構成され、かつ位置を表すマークを備える、スケールと、
    スケールのマークを読み取ることにより、主軸中心とツール取付部との間の距離を測定するセンサヘッドと、
    前記エンコーダの信号に基づいて、サーボモータを制御することにより、主軸またはツール取付部を移動させる制御装置、とを備え、
    前記ツール取付部は、主軸に取り付けられたワークを切削加工する刃先を有するツールが取り付けられるように構成され、
    前記制御装置は、ワークを仕上げ加工する際に、
    仕上げ加工直前のアプローチ位置まで主軸またはツール取付部を移動させることにより、ツールの刃先を主軸中心へ接近させると共に、
    前記アプローチ位置で、前記センサヘッドにより主軸中心とツール取付部間の距離を測定し、
    測定した距離に基づく補正量だけ、仕上げ加工での主軸またはツール取付部の移動量を補正し、
    補正後の仕上げ加工の移動量だけ主軸またはツール取付部を、前記アプローチ位置からさらに移動させることにより、前記仕上げ加工を行うように構成されている、工作機械。
  2. 前記制御装置は、加工プログラム中の指令値と前記エンコーダの信号との誤差を解消するように、前記サーボモータをフィードバック制御し、
    前記補正量は、アプローチ位置での、指令値とセンサヘッドにより測定した主軸中心とツール取付部間の距離の誤差で、
    前記制御装置は、仕上げ加工で、加工プログラム中の主軸またはツール取付部の移動量を前記補正量だけ補正し、補正済みの移動量とエンコーダの信号との誤差を解消するように、サーボモータをフィードバック制御することを特徴とする、請求項1の工作機械。
  3. 工作機械のベッドに一点支持され、かつ低熱膨張率の材料から成るフレームと、
    前記フレームから主軸中心側へ延び、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第1のスケールと、
    前記フレームから前記ツール取付部側へ延び、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第2のスケールと、
    主軸側に設けられ、第1のスケールの磁気マークを読み取ることにより、フレームを基準とする主軸中心の位置を読み取る第1のセンサヘッドと、
    ツール取付部側に設けられ、第2のスケールの磁気マークを読み取ることにより、フレームを基準とするツール取付部側の位置を読み取る第2のセンサヘッドとを備え、
    前記制御装置は、第1のセンサヘッドで求めた位置と第2のセンサヘッドで求めた位置とにより、主軸中心とツール取付部間の距離を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2の工作機械。
  4. 前記主軸は、主軸中心に水平面内で直交するX方向と、主軸中心に水平面内で平行なZ方向とに移動でき、
    フレームの長手方向がZ軸に平行に延び、
    第1のスケール及び第2のスケールはX軸に平行に配置され、
    第1のスケールからZ軸に平行に延び、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第3のスケールと、
    フレームの長手方向と平行に設けられ、低熱膨張率の材料から成り、かつ磁気マークが設けられている第4のスケールと、
    主軸側に設けられ、第3のスケールの磁気マークを読み取ることにより、主軸端面側のZ軸座標を読み取る第3のセンサヘッドと、
    ツール取付部側に設けられ、第4のスケールの磁気マークを読み取ることにより、ツール取付部側のZ軸座標を読み取る第4のセンサヘッドとを備え、
    前記制御装置は、第3のセンサヘッドで求めたZ軸座標と第4のセンサヘッドで求めたZ軸座標との差分により、主軸端面とツール取付部間のZ軸方向距離を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項3の工作機械。
  5. 前記制御装置は、仕上げ加工後に、前記アプローチ位置までの移動量と、前記補正量により補正する前の仕上げ加工での移動量の和だけ、主軸または取付部を後退させるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの工作機械。
  6. ツールの刃先に接触すると信号を発生するタッチセンサと、タッチセンサの出退機構とをさらに備え、
    前記制御装置は、旧ツールを新ツールに交換する際に、旧ツールの刃先がタッチセンサに接触する際の主軸中心とツール取付部間の距離と、新ツールの刃先がタッチセンサに接触する際の主軸中心とツール取付部間の距離との差分だけ、前記アプローチ位置を補正するように構成されていることを特徴とする、請求項3または4の工作機械。
  7. 前記制御装置は、前記ツール取付部に取り付けた標準治具と主軸中心とを互いに位置決めする際の、前記第1のセンサヘッドで読み取った主軸中心の位置を主軸原点位置として、第1のセンサヘッドの読み取り位置を補正するように構成されていることを特徴とする、請求項3,4,6のいずれかの工作機械。
  8. 主軸にチャックされたワークのサイズを計測する機内計測装置をさらに備え、
    前記制御装置は、ツール交換後または工作機械の始動時に、前記仕上げ加工を中間仕上げ加工と残りの仕上げ加工とに分割し、
    仕上げ加工の途中位置まで主軸またはツール取付部を移動させる中間仕上げ加工を行わせ、
    中間仕上げ加工後に、ワークのサイズを機内計測装置により測定して、中間仕上げ加工での目標サイズとの誤差を求め、
    求めた誤差を解消するように、残りの仕上げ加工での主軸またはツール取付部の移動量を補正するように構成されていることを特徴とする、請求項3,4,6,7のいずれかの工作機械。
  9. 前記制御装置は、前記補正量を工作機械の動作履歴と共に複数記憶するメモリと、前記動作履歴により定まる許容範囲以上の補正量を検出するとその旨を出力する解析部とを備えていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの工作機械。
  10. 温度センサを備え、かつ前記解析部は工作機械の動作履歴と温度とから前記許容範囲を定めることを特徴とする、請求項9の工作機械。
  11. 前記センサヘッドからの信号が到着すると、前記エンコーダの信号力をラッチするように、前記制御装置が構成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかの工作機械。
  12. 工作機械の機械部分に比べて低熱膨張率の材料で構成されたスケールを、センサヘッドで読み取って、主軸中心とツール取付部との間の距離を測定することにより、工作機械の熱変形を補正する方法であって、
    前記ツール取付部には、主軸に取り付けられたワークを切削加工する刃先を有するツールが取り付けられ、
    ワークを仕上げ加工する際に、
    サーボモータのエンコーダの信号に基づき、仕上げ加工直前のアプローチ位置まで主軸またはツール取付部を移動させることにより、ツールの刃先を主軸中心へ接近させるステップと、
    前記アプローチ位置で前記センサヘッドにより主軸中心とツール取付部間の距離を測定するステップと、
    測定した距離に基づく補正量だけ、仕上げ加工での主軸またはツール取付部の移動量を補正するステップと、
    サーボモータのエンコーダの信号に基づき、補正後の仕上げ加工の移動量だけ、主軸またはツール取付部を前記アプローチ位置からさらに移動させることにより、前記仕上げ加工を行うステップ、とを実行する、工作機械の熱変形の補正方法。
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