JP5842379B2 - 非水系電解液二次電池 - Google Patents
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Description
このような背景の下、特許文献1、2には、負極活物質に炭素を用い、非水電解質として二重結合を有する環状カーボネートを用いた非水電解液二次電池では、電極表面を保護して保存特性やサイクル特性等の電池耐久性を向上させることが記載されている。しかしながら、充電状態の電池を高温で放置したり、連続充放電サイクルを行うと、正極上で不飽和環状カーボネートまたはその誘導体が酸化分解して炭酸ガスを発生するという問題が
あった。このような使用環境下で炭酸ガスが発生すると、例えば、電池の安全弁が作動したり、電池が膨張する等により電池自体が使用不能になる場合がある。
そこで、本発明は、近年の二次電池に要求される性能を達成しようとする際に発現する上記の種々の問題を解消し、特に、サイクル・保存等の耐久特性が改善された非水系電解液二次電池を提供すること にある。
リチウム塩とこれを溶解する非水系溶媒を含有してなる非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極、並びに正極を備えた非水系電解液二次電池であって、
前記負極は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法における1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度の比として定義されるラマンR値が0.1以上である炭素質材料を少なくとも1種類以上含有する負極活物質を含み、且つ、前記非水系電解液が下記一般式(1)で表される化合物を含有していることを特徴とする非水系電解液二次電池、に存する。
から20の炭化水素基である。R4は官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。nおよびmは0以上の整数を表す。Wは上記Rと同義の範囲であり、Wは上記Rと互いに同一であっても異なっていてもよい。)
また、前記炭素質材料は、層間距離d002が0.335nm以上、0.339nm以下であることを特徴とすることが好ましく、
また、前記炭素質材料は、炭素を核黒鉛に被覆した炭素質材料、黒鉛を核黒鉛に被覆した炭素質材料、天然炭素質材料からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、
また、前記一般式(1)で表される化合物は、(2)式で表される化合物であることが好ましく、
NR4 4または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。R4 は
官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
また、前記非水系電解液は、(A)LiαXOnFm(X=周期表第2または3周期の13、15、16族の何れかの元素、α=1〜2、n=1〜3、m=1〜2)で表される化合物を含有することが好ましく、
また、前記非水系電解液は、(B)下記一般式(3)で表される化合物を含有することが好ましく、
また、前記非水系電解液は、(C)炭素−炭素不飽和結合またはフッ素原子の少なくとも1つを有するカーボネートを含有することが好ましい。
本発明は、炭素−炭素三重結合が他の官能基やヘテロ元素を介することなく、単結合にて環構造に結合した化合物を非水系電解液に用い、かつラマンR値(以下、ラマン値と記載することもある)が0.1以上である炭素粒子からなる負極活物質を非水系電解液電池に使用することを特徴の一つとしている。通常、特許文献1〜2に代表されるように、電極表面を保護して保存特性やサイクル特性等の電池耐久性を向上させる材料の多くは環状構造の化合物であり、更に多重結合性部位を有している。本発明者等はこの点に着目し、環構造中の官能基やヘテロ元素の結合部位、多重結合が環構造に結合する部位、および多重結合部分の電子軌道の混成状態について詳細に検討を行ったところ、例えば、環状化合物を構成する環骨格の一部が多重結合である化合物よりも、多重結合が環構造に結合をされている化合物の方が正極との安定性に優れること、加えて、炭素−炭素三重結合性の置換基が環構造に結合している方が、炭素−炭素二重結合よりも負極表面に安定な電極保護被膜を形成しやすい。一方、特許文献3に記載されているような、炭素−炭素三重結合を有する化合物であっても鎖状化合物である場合は、重合度が伸びにくく、電極保護被膜としての安定性が得られないことから、著しい電池耐久性の向上効果が確認されない(例えば実施例6及び比較例7参照)。
ラメータの一つとしては、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法における1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度の比として定義されるラマンR値が挙げられる。発明者等はラマンR値と炭素質負極上の分解生成物について詳細に検討を行ったところ、ラマンR値が0.1以上である炭素質材料と共に一般式(1)で表される化合物を用いると、電池耐久特性に優れた相乗効果が得られる知見を得た。この理由は現在のところ明らかとなっていないが、一般式(1)の化合物の分解反応性と重合性がラマンR値で規定される負極表面物性に強く依存しており、負極表面において極めて安定な電極保護被膜が形成され、一般式(1)の化合物以外の電解液成分による副分解反応が抑制されて、特に電池のサイクル・保存等の耐久特性が改善された非水系電解液電池が提
供されると推測される。
1.負極
本発明の非水系電解液二次電池に用いる負極は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極であり、特定の負極活物質を含むものである。以下に負極に使用される負極活物質について述べる。
本発明の構成要素の一つである負極活物質としては、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法における1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度の比として定義されるラマンR値が0.1以上の炭素質材料であり、この条件を満たせばよく、それ以外には 特に制限はされない。ここで、本発明におけるラマンR値が0.
1以上である炭素質材料とは以下に定義されるものである。
(ラマン値)
負極活物質のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上、好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、通常1.5以下であり、好ましくは1.2以下、更に好ましくは1以下、特に好ましくは0.5以下であり、最も好ましくは0.35以下である。
また、負極活物質の1580cm−1付近のラマン半値幅は特に制限されないが、通常10cm−1以上、好ましくは15cm−1以上であり、また、通常100cm−1以下、好ましくは80cm−1以下、更に好ましくは60cm−1以下、特に好ましくは40cm−1以下である。
半値幅が大きすぎると、粒子表面の結晶性が低下し、非水系電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
さらに、本発明で用いる負極活物質としては以下の物性を有するものであることが望ましい。
本発明で定義される炭素質材料は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満の炭素のことである。ここで、d値はより好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d値が大きすぎると結晶性が低下し、初期不可逆容量が増加する場合がある。一方0.335nmは黒鉛の理論値である。
ましくは、炭素質材料が、炭素を核黒鉛に被覆した炭素質材料、黒鉛を核黒鉛に被覆した炭素質材料、及び天然炭素質材料からなる群から選ばれる1種以上を含む。天然炭素質材料としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられる。人造炭素質材料としては、ピッチ原料を高温熱処理して製造した、コークス、ニードルコークス、高密度炭素材料等の黒鉛質粒子が挙げられる。より好ましくは、低コストと電極作製のし易さの点で、球形化した天然炭素質材料である。
負極活物質の学振法によるX線回折で求めた黒鉛粒子の結晶子サイズ(Lc)、(La)は、30nm以上であることが好ましく、中でも100nm以上であることが更に好ましい。結晶子サイズがこの範囲であれば、負極活物質に充電可能なリチウム量が多くなり、高容量を得易いので好ましい。
負極活物質の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)が、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上、特に好ましくは7μm以上であり、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下である。
くことになる場合がある。また、平均粒径が大きすぎると、塗布により電極を作製する際に、不均一な塗面になりやすく、電池製造工程上望ましくない場合がある。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、本発明の負極活物質の体積基準平均粒径と定義する。
負極活物質のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上、好ましくは0.7m2 ・g−1以上、更に好ましくは1.0
m2・g−1以上、特に好ましくは1.5m2 ・g−1以上であり、また、通常100
m2 ・g−1以下、好ましくは25m2・g−1以下、更に好ましくは15m2 ・g
−1以下、特に好ましくは10m2・g−1以下である。
負極活物質のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上、好ましくは0.5g・cm−3以上、更に好ましくは0.7g・cm−3以上、特に好ましくは1g・cm−3以上であり、また、通常2g・cm−3以下、好ましくは1.8g・cm−3以下、更に好ましくは1.6g・cm−3以下である。タップ密度が小さすぎると、負極として用いた場合に充填密度が上がり難く、高容量の電池を得ることができない傾向がある。また、タップ密度が大きすぎると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい傾向がある。
セルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の質量からタップ密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、本発明の負極活物質のタップ密度として定義する。
負極活物質の配向比は、通常0.005以上、好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.015以上であり、また、通常0.67以下である。配向比が小さすぎると、高密度充放電特性が低下する傾向がある。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
素の(110)回折と(004)回折のピーク強度から、(110)回折ピーク強度/(004)回折ピーク強度で表わされる比を算出する。該測定で算出される配向比を、本発明の負極活物質の配向比と定義する。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
(アスペクト比)
負極活物質の黒鉛粒子のアスペクト比(長径/短径)は、通常0.05以上、好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.14以上、また、通常20以下、好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは7以下の範囲である。
これに対し、アスペクト比が上記範囲であれば、高容量化のために電極密度を高くした場合、黒鉛粒子が球形や立方体に近い形状になり、黒鉛粒子が潰れ難く、集電体からの剥離などが起き難くサイクル特性が向上するので好ましい。
また、電極膨張を抑制できるので電池内部の空間を確保し易く、酸化分解による少量のガス発生が生じても、電池内部に空間があるので内圧の上昇が少なく、電池の膨張等が起き難いので好ましい。
負極表面の写真を撮影(若しくは、集電体の膜面に対して平行な面で研磨や切断し、その断面写真を撮影)をし、撮影された写真の画像解析により、黒鉛粒子表面(断面)の長径(最も長い径)を50点以上測定する。また、負極を集電体の膜面に対して垂直に切断、研磨し、その断面写真を撮影し、撮影された写真の画像解析により、黒鉛粒子断面の短径(粒子の厚み)を50点以上測定する。測定された長径及び短径のそれぞれについて平均値を求め、これら平均長径と平均短径との比を、アスペクト比(長径/短径)とする。
ここで、極板化した粒子は、通常は平板に対して粒子の厚み方向が垂直になるように並ぶ傾向があることから、上記の方法により、粒子に特徴的な長径と短径を得ることが出来る。
Electron Microscope:SEM)を用いて撮影する。但し、SEM写真では球形化黒鉛の形状を特定できない場合には、偏光顕微鏡又は透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いて、上述と同様に断面(表面)写真を撮影することにより、アスペクト比を求めることができる。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを後述する集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、さらに好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔である。
(集電体と負極活物質層との厚さの比)
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上がさらに好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が大きすぎると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる傾向がある。また、集電体と負極活物質層の厚さの比が小さすぎると、負極活物質に対する集電体の体積比が増加し、電池の容量が減少する傾向がある。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース
等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
(増粘剤)
増粘剤は、通常、負極活物質層を作製する際のスラリーの粘度を調整するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がさらに好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下がさらに好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が大きすぎると、負極活物質粒子が破壊され、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を招く傾向がある。また、密度が小さすぎると、負極活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し、単位容積当たりの容量が低下する傾向がある。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、負極板から金属箔(集電体)厚さを差し引いた負極活物質層 の厚さは通常15μm
以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
また、上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
2−1.電解質
<リチウム塩>
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;
HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;
CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3
SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li等のスルホン酸リチウム塩類;
LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(
FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;
LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;
その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO
2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;等が挙げられる。
非水溶媒としては、飽和環状カーボネート、フッ素原子を有する環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル化合物、スルホン系化合物等を使用することが可能である。
<飽和環状カーボネート>
飽和環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられる。具体的には、炭素数2〜4の飽和環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、1種を単独で用いる場合の配合量の下限は、非水溶媒100体積%中、5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲とすることで、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液電池の大電流放電特性、負極に対する安定性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。また上限は
、95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、さらに好ましくは85体積%以下である。この範囲とすることで、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液電池の負荷特性を良好な範囲としやすくなる。
フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、フッ素化環状カーボネートともいう)としては、フッ素原子を有する環状カーボネートであれば、特に制限はない。
フッ素化環状カーボネートとしては、炭素原子数2〜6のアルキレン基を有する環状カーボネートの誘導体が挙げられ、例えばエチレンカーボネート誘導体である。エチレンカーボネート誘導体としては、例えば、エチレンカーボネート又はアルキル基(例えば、炭素原子数1〜4個のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられ、中でもフッ素原子が1〜8個のものが好ましい。
ルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が、高イオン伝導性を与え、かつ好適に界面保護被膜を形成する点でより好ましい。
フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。フッ素化環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、非水系溶媒100体積%中、好ましくは0.01体積%以上、より好ましくは0.1体積%以上、さらに好ましくは0.2体積%以上であり、また、好ましくは95体積%以下、より好ましくは90体積%以下である。この範囲であれば、非水系電解液電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、高温保存特性の低下や、ガス発生量の増加により、放電容量維持率が低下することを回避しやすい。
て用いる場合の配合量に明確な境界は存在せず、後に記載する配合量をそのまま踏襲できる。
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7のものが好ましい。
具体的には、炭素数3〜7の鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、フッ素化鎖状カーボネートともいう)も好適に用いることができる。フッ素化鎖状カーボネートが有するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好ましくは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素に結合していてもよい。フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート誘導体等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カーボネートの配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。また、
鎖状カーボネートは、非水溶媒100体積%中、90体積%以下、より好ましくは85体積%以下であることが好ましい。このように上限を設定することにより、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
例えば、特定の鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート、またはエチルメチルカーボネート、またはジエチルカーボネートを選択した場合、環状カーボネート及び/またはフッ素原子を有する環状カーボネートの配合量が10体積%以上、好ましくは15体積%以上、80体積%以下、好ましくは50体積%以下、さらに好ましくは35体積%以下、ジメチルカーボネート、またはエチルメチルカーボネート、またはジエチルカーボネートの配合量が20体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは65体積%以上、90体積%以下、好ましくは85体積%以下であることが好ましい。このような配合量を選択することで、電解質の低温析出温度を低下させながら、非水系電解液の粘度も低下させてイオン伝導度を向上させ、低温でも高出力を得ることができる。
<環状カルボン酸エステル>
環状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素原子数が3〜12のものが挙げられる。具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素数が3〜7のものが挙げられる。具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することで、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、鎖状カルボン酸エステルの配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。このように上限を設定することで、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液電池の大電流放電特性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていてもよい炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチ
ル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。
するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質が炭素質材料の場合、鎖状エーテルがリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
中でも、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−フルオロスルホラン、3−フルオロスルホラン、2,2−ジフルオロスルホラン、2,3−ジフルオロスルホラン、2,4−ジフルオロスルホラン、2,5−ジフルオロスルホラン、3,4−ジフルオロスルホラン、2−フルオロ−3−メチルスルホラン、2−フルオロ−2−メチルスルホラン、3−フルオロ−3−メチルスルホラン、3−フルオロ−2−メチルスルホラン、4−フルオロ−3−メチルスルホラン、4−フルオロ−2−メチルスルホラン、5−フルオロ−3−メチルスルホラン、5−フルオロ−2−メチルスルホラン、2−フルオロメチルスルホラン、3−フルオロメチルスルホラン、2−ジフルオロメチルスルホラン、3−ジフルオロメチルスルホラン、2−トリフルオロメチルスルホラン、3−トリフルオロメチルスルホラン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン等が、イオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。
本発明は、リチウム塩とこれを溶解する非水系溶媒を含有してなる非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極、並びに正極を備えた非水系電解液二次電池であって、非水系電解液中に下記一般式(1)で表される化合物よりなる群から少なくとも一種以上を含有することを特徴としている。
R1 、P−R1 を表し、同一でも異っていてもよい。YはCR1 2、C=O、S=O、S(=O)2、P(=O)−R2、P(=O)−OR3 を表す。式中、R及びR1 は水素、ハロゲン、または、官能基を有しても良い炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異っていてもよい。R2は官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。R3は、Li、NR4 4または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。R4は官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異っていても良い。nおよびmは0以上の整数を表す。Wは上記Rと同義の範囲であり、Wは上記Rと互いに同一であっても異なっていてもよい。
式中、XとZは、一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、CR1 2、
O、S、N−R1がより好ましい。また、Yも一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、C=O、S=O、S(=O)2 、P(=O)−R2、P(=O)−OR
3 がより好ましい。RとR1 は、一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、水素、フッ素、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基があげられる。
くは、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素、置換基を有してもよい芳香族炭化水素・芳香族ヘテロ環があげられる。
R3は、一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、Li、置換基を有してもよい飽和脂肪族炭化水素、置換基を有してもよい不飽和脂肪族炭化水素、置換基を有してもよい芳香族炭化水素・芳香族ヘテロ環があげられる。
好ましい芳香族炭化水素としては、フェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2、4−ジフルオロフェニル基、2、6−ジフルオロフェニル基、3、5−ジフルオロフェニル基、2、4、6−トリフルオロフェニル基、があげられる。
これらの中でも、メチル基、エチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2、2、2−トリフルオロエチル基、エテニル基、エチニル基、フェニル基、がより好ましい。
nおよびmは一般式(1)に記載の範囲であれば特に限定されないが、好ましくは、0または1であり、さらに好ましくは、n=m=1またはn=1、m=0である。また、分子量は、好ましくは50以上である。また、好ましくは500以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する不飽和環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が十分に発現されやすい。以下にこれら好ましい化合物の具体例を示す。
また、Rにおけるフッ素またはエチニル基の数は合わせて2つ以内で有ることが好ましい。これらの数が多すぎると、電解液との相溶性が悪化する恐れがあり、また、反応性が高すぎて副反応が増加する恐れが有る。
さらに、式中、XとZは、CR1 2またはOがより好ましい。これら以外の場合、反応性が高すぎて副反応が増加する恐れが有る。
これらのうち、さらに好ましい化合物の具体例を以下に示す。
(=O)−OR3 の場合XとZが共にOまたはCH2 であるか、XとZのいずれか一
方がOであり、もう一方がCH2 で有ることが好ましい。YがC=OまたはS=Oの場合、XとZが共にCH2 であると、反応性が高すぎて副反応が増加する恐れが有る。
−OR3 を表す。R2 は官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。R3は、Li、NR4 4または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。R4は官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異っていてもよい。
なお、一般式(1)で表される化合物は、既知の方法により合成したものを用いても、市販のものを用いてもよい。
本発明の非水系電解液は、一般式(1)で表される化合物とともに、(A)〜(C)の化合物を少なくとも1種類以上含有することが好ましい。これらの化合物を併用することによって、電極表面に保護能力の高い良質な複合皮膜が形成され、非水系電解液電池のサイクル特性及び保存特性が大きく改善される。特に高電圧条件下において、その改善効果が顕著である。
2−4−1.(A)LiαXOnFmで表される化合物
本発明の非水系電解液は、一般式(1)で表される化合物とともに、LiαXOnFmで表される化合物(以下、(A)の化合物ともいう)を含有することが好ましい。Xは、周期表第2または3周期の13、15、16族の何れかの元素であり、α=1〜2、n=1〜3、m=1〜2を表している。
本発明の非水系電解液全体に対する(A)の化合物の配合量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下の濃度で含有させる。上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等の効果がより向上する。一方で多すぎる場合は、低温において析出して電池特性を低下させる場合があり、少なすぎる場合は、低温特性やサイクル特性、高温保存特性等の向上効果が十分に発現しない場合がある。
定する手法としては、特に制限がなく、公知の手法であれば任意に用いることができるが、例えばLiPO2F2の場合、イオンクロマトグラフィーや、F核磁気共鳴分光法(以下、NMRと省略する場合がある)等を用いて測定することができる。
2−4−2.(B)一般式(3)で表される化合物
本発明の非水系電解液は、一般式(1)で表される化合物とともに、一般式(3)で表される化合物(以下、(B)の化合物ともいう)を含有することが好ましい。
キサラトマロナトボレート、リチウム(ビスオキサラト)(マロナト)ホスフェート、リチウム(オキサラト)(ビスマロナト)ホスフェート、ナトリウム(ビスオキサラト)(マロナト)ホスフェート、ナトリウム(オキサラト)(ビスマロナト)ホスフェート、カリウム(ビスオキ
サラト)(マロナト)ホスフェート、カリウム(オキサラト)(ビスマロナト)ホスフェート、
リチウムジフルオロ(オキサラト)(マロナト)ホスフェート、カリウムジフルオロ(オキサラト)(マロナト)ホスフェート、ナトリウムジフルオロ(オキサラト)(マロナト)ホスフェート、が挙げられる。
場合の好ましい一例は、LiPF6とLiBF4や、LiPF6とFSO3Li、LiPF
6とLiPO2F2、LiPF6とLiN(FSO2)2、LiPF6とLiN(CF3SO2)2、LiPF6とリチウムビスオキサラトボレート、LiPF6とリチウムジフルオロオキサラトボレート、LiPF6とリチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、LiPF6とリチウムジフルオロビスオキサラトフォスフェート、LiPF6とリチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、LiPF6とFSO3LiとLiPO2F2、LiPF6とFSO3Liとリチウムビスオキサラトボレート、LiPF6とFSO3Liとリチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、LiPF6とFSO3Liとリチウムジフルオロビスオキサラトフォスフェート、LiPF6とFSO3Liとリチウムトリス(オキサラト)ホスフェート、LiPF6とLiPO2F2とリチウムビスオキサラトボレート、LiPF6とLiPO2F2とリチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、LiPF6とLiPO2F2とリチウムジフルオロビスオキサラトフォスフェート、LiPF6とLiPO2F2とリチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等の併用であり、負荷特性やサイクル特性を向上させる効果がある。
を組み立てる際に系中でLiPO2F2を発生させる方法が挙げられ、本発明においてはいずれの手法を用いても良い。
2−4−3.(C)炭素−炭素不飽和結合またはフッ素原子の少なくとも1つを有するカーボネート
C)の化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、不飽和環状カーボネートともいう)としては、環状カーボネートの骨格内に不飽和結合を有するビニレンカーボネート類、或いは芳香環または炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類、カテコールカーボネート類等が挙げられる。
また、不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
炭素−炭素不飽和結合を有する鎖状カーボネート(以下、不飽和鎖状カーボネートともいう)としては、炭素−炭素不飽和結合を有する鎖状カーボネート類、或いは芳香環を有する置換基で置換された鎖状カーボネート類等が挙げられる。
メチルビニルカーボネート、エチルビニルカーボネート、ジビニルカーボネート、メチル−1−プロペニルカーボネート、エチル−1−プロペニルカーボネート、ジ−1−プロペニルカーボネート、メチル(1−メチルビニル)カーボネート、エチル(1−メチルビニル)カーボネート、ジ(1−メチルビニル)カーボネート、メチル−2−プロペニルカーボネート、エチル−2−プロペニルカーボネート、ジ(2−プロペニル)カーボネート、1−ブテニルメチルカーボネート、1−ブテニルエチルカーボネート、ジ(1−ブテニル)カーボネート、メチル(1−メチル−1−プロペニル)カーボネート、エチル(1−メチル−1−プロペニル)カーボネート、ジ(1−メチル−1−プロペニル)カーボネート、メチル−1−エチルビニルカーボネート、エチル−1−エチルビニルカーボネート、ジ−1−エチルビニルカーボネート、メチル(2−メチル−1−プロペニル)カーボネート、エチル(2−メチル−1−プロペニル)カーボネート、ジ(2−メチル−1−プロペニル)カーボネート、2−ブテニルメチルカーボネート、2−ブテニルエチルカーボネート、ジ−2−ブテニルカーボネート、メチル(1−メチル−2−プロペニル)カーボネート、エチル(1−メチル−2−プロペニル)カーボネート、ジ(1−メチル−2−プロペニル)カーボネート、メチル(2−メチル−2−プロペニル)カーボネート、エチル(2−メチル−2−プロペニル)カーボネート、ジ(2−メチル−2−プロペニル)カーボネート、メチル(1,2−ジメチル−1−プロペニル)カーボネート、エチル(1,2−ジメチル−1−プロペニル)カーボネート、ジ(1,2−ジメチル−1−プロペニル)カーボネート、エチニルメチルカーボネート、エチルエチニルカーボネート、ジエチニルカーボネート、メチル−1−プロピニルカーボネート、エチル−1−プロピニルカーボネート、ジ−1−プロピニルカーボネート、メチル−2−プロピニルカーボネート、エチル−2−プロピニルカーボネート、ジ−2−プロピニルカーボネート、1−ブチニルメチルカーボネート、1−ブチニルエチルカーボネート、ジ−1−ブチニルカーボネート、2−ブチニルメチルカーボネート、2−ブチニルエチルカーボネート、ジ−2−ブチニルカーボネート、メチル(1−メチル−2−プロピニル)カーボネート、エチル(1−メチル−2−プロピニル)カーボネート、ジ(1−メチル−2−プロピニル)カーボネート、3−ブチニルメチルカーボネート、3−ブチニルエチルカーボネート、ジ−3−ブチニルカーボネート、メチル(1,1−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート、エチル(1,1−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート、ジチル(1,1−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート、メチル(1,3−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート、エチル(1,3−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート、ジチル(1,3−ジメチル−2−プロピニル)カーボネート、メチル(1,2,3−トリメチル−2−プロピニル)カーボネート、エチル(1,2,3−トリメチル−2−プロピニル)カーボネート、ジチル(1,2,3−トリメチル−2−プロピニル)カーボネート、等が挙げられる。
メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、フェニルビニルカーボネート、アリルフェニルカーボネート、エニチルフェニルカーボネート、2−プロペニルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチル(2−メチルフェニル)カーボネート、エチル(2−メチルフェニル)カーボネート、(2−メチルフェニル)ビニルカーボネート、アリル(2−メチルフェニル)カーボネート、エニチル(2−メチルフェニル)カーボネート、2−プロペニル(2−メチルフェニル)カーボネート、ジ(2−メチルフェニル)カーボネート、メチル(3−メチルフェニル)カーボネート、エチル(3−メ
チルフェニル)カーボネート、(3−メチルフェニル)ビニルカーボネート、アリル(3−メチルフェニル)カーボネート、エニチル(3−メチルフェニル)カーボネート、2−プロペニル(3−メチルフェニル)カーボネート、ジ(3−メチルフェニル)カーボネート、メチル(4−メチルフェニル)カーボネート、エチル(4−メチルフェニル)カーボネート、(4−メチルフェニル)ビニルカーボネート、アリル(4−メチルフェニル)カーボネート、エニチル(4−メチルフェニル)カーボネート、2−プロペニル(4−メチルフェニル)カーボネート、ジ(4−メチルフェニル)カーボネート、ベンジルメチルカーボネート、ベンジルエチルカーボネート、ベンジルフェニルカーボネート、ベンジルビニルカーボネート、べンジル−2−プロペニルカーボネート、ベンジルエチニルカーボネート、ベンジル−2−プロピニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、メチル(2−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、メチル(3−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、メチル(4−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、エチル(2−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、ジ(2−シクロヘキシルフェニル)カーボネート、等が挙げられる。
<フッ素化カーボネート>
フッ素原子を有するカーボネートとして、フッ素原子を有する鎖状カーボネート(以下、フッ素化鎖状カーボネートともいう)、及びフッ素原子を有する環状カーボネート(以下、フッ素化環状カーボネートともいう)のどちらも用いることができる。
フッ素化鎖状カーボネートのフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好ましくは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素に結合していてもよい。フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート誘導体
等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。
また、フッ素化鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
フッ素化環状カーボネートとしては、炭素原子数2〜6のアルキレン基を有する環状カーボネートの誘導体が挙げられ、例えばエチレンカーボネート誘導体である。エチレンカーボネート誘導体としては、例えば、エチレンカーボネート又はアルキル基(例えば、炭素原子数1〜4個のアルキル基)で置換されたエチレンカーボネートのフッ素化物が挙げられ、中でもフッ素原子が1〜8個のものが好ましい。
ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。これらは高イオン伝導性を与え、かつ好適に界面保護被膜を形成する。
また、フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
炭素−炭素不飽和結合及びフッ素原子の両方を有する環状カーボネート(以下、フッ素化不飽和環状カーボネートともいう)としては、フッ素化ビニレンカーボネート誘導体、芳香環又は炭素−炭素不飽和結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体等が挙げられる。
また、フッ素化不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。
炭素−炭素不飽和結合及びフッ素原子の両方を有する鎖状カーボネート(以下、フッ素化不飽和鎖状カーボネートともいう)としては、1−フルオロビニルメチルカーボネート、2−フルオロビニルメチルカーボネート、1,2−ジフルオロビニルメチルカーボネート、エチル−1−フルオロビニルカーボネート、エチル−2−フルオロビニルカーボネート、エチル−1,2−ジフルオロビニルカーボネート、ビス(1−フルオロビニル)カーボネート、ビス(2−フルオロビニル)カーボネート、ビス(1,2−ジフルオロビニル)カーボネート、1−フルオロ−1−プロペニルメチルカーボネート、2−フルオロ−1−プロペニルメチルカーボネート、3−フルオロ−1−プロペニルメチルカーボネート、1、2−ジフルオロ−1−プロペニルメチルカーボネート、1,3−ジフルオロ−1−プロペニルメチルカーボネート、2,3−ジフルオロ−1−プロペニルメチルカーボネート、3,3−ジフルオロ−1−プロペニルメチルカーボネート、1−フルオロ−2−プロペ
ニルメチルカーボネート、2−フルオロ−2−プロペニルメチルカーボネート、3−フルオロ−2−プロペニルメチルカーボネート、1,1−ジフルオロ−2−プロペニルメチルカーボネート、1,2−ジフルオロ−2−プロペニルメチルカーボネート、1,3−ジフルオロ−2−プロペニルメチルカーボネート、2,3−ジフルオロ−2−プロペニルメチルカーボネート、フルオロエチニルメチルカーボネート、3−フルオロ−1−プロピニルメチルカーボネート、1−フルオロ−2−プロピニルメチルカーボネート、3−フルオロ−2−プロピニルメチルカーボネート、等があげられる。
(C)の化合物の分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、50以上、250以下が好ましい。不飽和環状カーボネートの場合、より好ましくは80以上、150以下、フッ素化不飽和環状カーボネートの場合は、より好ましくは100以上、200以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が十分に発現されやすい。
不飽和環状カーボネートの場合の配合量は、非水系溶媒100質量%中、好ましくは、0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
フッ素化不飽和環状カーボネート或いは、フッ素化不飽和鎖状カーボネートの場合の配合量は、通常、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
また、一般式(1)で表される化合物と(C)の化合物の配合量の割合は、特に限定されないが、(C)の化合物が不飽和結合を有するカーボネートの場合、不飽和結合を有するカーボネートの合計含有質量を[Mu]、一般式(1)で表される化合物の合計含有質量を[M(1)]としたときに、通常、[M(1)]/[Mu]が100〜0.01、より好まし
くは20〜0.05、さらに好ましくは10〜0.1である。
本発明で規定する非水系電解液電池において、目的に応じて適宜助剤を用いてもよい。助剤としては、以下に示される、過充電防止剤、その他の助剤、等が挙げられる。
<過充電防止剤>
本発明の非水系電解液において、非水系電解液電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
本発明の非水系電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、1−ブテン−1,4−スルトン、3−ブテン−1,4−スルトン、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、2−メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル、2−ヘキセンニ
トリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2−フルオロプロピオニトリル、3−フルオロプロピオニトリル、2 ,2−ジフルオロプロピオニトリル、2,3−ジフルオロプロピオニトリル、3 ,3−ジフルオロプロ
ピオニトリル、2 ,2 ,3−トリフルオロプロピオニトリル、3 ,3 ,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル等のシアノ基を1つ有する化合物;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル、メチルマロノニトリル、エチルマロノニトリル、イソプロピルマロノニトリル、tert−ブチルマロノニトリル、メチルスクシノニトリル、2,2−ジメチルスクシノニトリル、2,3−ジメチルスクシノニトリル、トリメチルスクシノニトリル、テトラメチルスクシノニトリル3,3’−(エチレンジオキシ)ジプロピオニトリル、3,3’−(エチレンジチオ)ジプロピオニトリル等のシアノ基を2つ有する化合物;1,12−ジイソシアナトドデカン、1,11−ジイソシアナトウンデカン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,9‐ジイソシアナトノナン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,7−イソシアナトヘプタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン等のイソシアネート基を2つ有する化合物;ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
本発明の非水系電解液電池は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液電池について説明する。
本発明の非水系電解液二次電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能な負極及び正極と、上記の本発明の非水系電解液とを備える。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
Fe, MnおよびCuからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であることが好ましく、Co,Ni,Fe,Mnからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であることがより好ましい
。例えば、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiFeP2O7等のリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、LiMnPO4等のリン酸マンガン類、LiNiPO4等のリン酸ニッケル類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
これらの中でも、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiFeP2O7等のリン酸鉄類が、高温・充電状態での金属溶出が起こりにくく、また安価であるために好適に用いられる。
行う場合は、0.1mol%以上5mol%以下が好ましく、さらに好ましくは0.2mol%以上2.5mol%以
下である。
また、本発明のリチウム遷移金属系化合物粉体は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B、Na、Mg、Al、K、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、Mo、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pb、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Bi、N、F、Cl、Br、Iの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
本発明においては、正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものをも「正極活物質」という。
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられるが、中でも一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パス切れ等の劣化がおきやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐため好ましい。また、板状等軸配向性の粒子であるよりも球状ないし楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作成する際の導電材との混合においても、均一に混合されやすいため好ましい。
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.0μm以上、最も好ましくは2μm以上であり、上限は、好ましくは20μm以下、より好ましくは18μm以下、さらに好ましくは16μm以下、最も好ましくは15μm以下である。上記下限を下回ると、高タップ密度品が得られなくなる場合があり、上限を超えると粒子内のリチウムの拡散に時間がかかるため、電池性能の低下をきたしたり、電池の正極作成、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化し、薄膜状に塗布する際に、スジを引く等の問題を生ずる場合がある。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種類以上混合することで、正極作成時の充填性をさらに向上させることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.03μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.08μm以上であり、特に好ましくは0.1μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記上限を超えると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなる場合がある。逆に、上記下限を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずる場合がある。
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着材とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着材、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることにより正極を得ることができる。
より好ましくは3.8g/cm3以下、さらに好ましくは3.6g/cm3以下の範囲である。この範囲を上回ると集電体/活物質界面付近への電解液の浸透性が低下し、特に高電流密度での充放電特性が低下し高出力が得られない場合がある。また下回ると活物質間の導電性が低下し、電池抵抗が増大し高出力が得られない場合がある。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。含有量がこの範囲よりも低いと導電性が不十分となる場合がある。逆に、含有量がこの範囲よりも高いと電池容量が低下する場合がある。
正極活物質層の製造に用いる結着材としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
増粘剤は、通常、正極活物質層の製造に用いるスラリーの粘度を調製するために使用することができる。特に水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。さらに増粘剤を添加する場合には、活物質に対する増粘剤の割合は、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、よ
り好ましくは0.6質量%以上であり、また、上限としては5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。この範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。上回ると、正極活物質層に占める活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や正極活物質間の抵抗が増大する問題が生じる場合がある。
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
(正極板の厚さ)
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、正極板から金属箔(集電体)厚さを差し引いた正極活物質層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
7.電池性能
本発明で得られた電池は、特に制限なく用いることができるが、好ましくは高電圧化や高容量化された電池に用いることができる。
また、高容量化とは、例えば18650型電池の場合、通常2600mAh以上、好ましくは2800mAh以上、より好ましくは、3000mAh以上である。
本実施例で用いる一般式(1)の化合物は、下記の方法により合成した。
[化合物α]
原料1)は、非特許文献(Journal of Organic Cehmistry,56(3),1083−1088(1991))の方法に従って合成を行った。次いで、非特許文献(Europian journal of organic chemistry,2009(20),2836−2844)に準じる方法により、化合物αを得た。
窒素気流下、塩化メチレンに原料1)を溶解し、原料3)の塩化メチレン溶液を滴下し
た。室温で3時間攪拌後、水を加えて反応を停止し、有機層を飽和重曹水・水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧条件で溶媒を除去し中間体1)を得た。この中間体1)をアセトニトリルに溶解させ、氷冷しながら、触媒量の塩化ルテニウムを溶解させた水溶液、過ヨウ素酸ナトリウムを順に加え、1時間攪拌した。ジエチルエーテル、飽和重
曹水を加え、有機層に抽出した。硫酸ナトリウムを用いて乾燥したのちシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、化合物βを得た。
窒素気流下、テトラヒドロフラン原料1)を溶解させ、トリエチルアミンを加え塩基性にした後、原料4)のテトラヒドロフラン溶液を滴下した。その後、室温で2時間攪拌し
、析出した白色粉末をろ別後、減圧条件で溶媒を除去し、化合物γを得た。
実施例1〜3
[負極の作製]
以下の物性を有する球形化された天然黒鉛混合物を負極活物質として用いた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.21、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.336nm、である球形化された天然炭素質材料混合物を用いた。ここで、球形化された天然炭素質材料混合物には、球形化天然黒鉛粒子と球形化天然黒鉛粒子の1000℃熱処理物を1対1の質量割合で混合した混合物を用いた。
正極活物質としてLiCoO2を90質量%と、導電材としてのアセチレンブラック5質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチル
ピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延し、切り出したものを正極として用いた。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合物(体積比30:70)に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表1に記載の割合で化合物を混合し電解液として用いた。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極と負極の端子を突設させながら挿入した後、表1に記載の電解液をそれぞれ袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製し電池とした。
上記のように作製されたリチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で慣らし運転を行った。慣らし運転を行った電池を、25℃において0.2Cに相当する電流で定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)(0.05Cカット)で充電した後、0.2Cに相当する電流で定電流放電を実施して初期放電容量を求めた。ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、5Cとはその5倍の電流値を、また0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
慣らし運転が完了したリチウム二次電池を、45℃において、0.5Cの定電流で充電後、0.5Cの定電流で放電する過程を1サイクルとして、100サイクル実施した。(100サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100の計算式から、容量維持率を求めた。
慣らし運転が終了した電池を25℃において、0.2Cに相当する電流で定電流−定電圧(0.05Cカット)で充電した後、これを85℃で24時間保存した。電池を室温まで冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、高温保存前後の体積変化から発生したガス量を求めた。
負極活物質として次に記す球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体と球形化天然黒鉛の混合物を用いた以外は、実施例1と同じ正極、電解液(化合物含む)を用い電池を組み立て、同様に電池特性を求めた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.22、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.336nm、である、球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体と球形化天然黒鉛からなる混合物を用いた。
上記負極活物質を用いて、実施例1に記載の同じ方法で負極を作成した。
上記負極と、表1に記載の電解液を用いた以外は、実施例1と同じ正極を用い電池を組み
立て、同様に電池特性を求めた。
負極活物質として次に記す球形化天然黒鉛に黒鉛を被覆した菱面体晶率が7%の複合体と菱面体晶率が21%の球形化天然黒鉛の混合物を用いた以外は、実施例1と同じ正極、電解液(化合物含む)を用い電池を組み立て、同様に電池特性を求めた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.17、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.336nm、である、球形化天然黒鉛に黒鉛を被覆した複合体と球形化天然黒鉛からなる混合物を用いた。
上記負極活物質を用いて、実施例1に記載の同じ方法で負極を作成した。
上記負極、及び表1に記載の電解液を用いた以外は、実施例1と同じ正極を用い電池を組み立て、同様に電池特性を求めた。
表1に記載の電解液に含まれる化合物を変えた以外は、実施例1と同じ負極、正極を用い電池を組み立て、同様に電池特性を求めた。
上記実施例及び比較例で得られた負極活物質の粉体物性及び電解液に含まれる化合物並びに電池特性を表1に示す。
式(1)の化合物を含有しない非水系電解液を用いた場合(比較例1、2)に比べて、サイクル容量維持率と高温保存時のガス発生量抑制に優れる。また、一般式(1)以外の化合物と共に、一般式(1)以外の化合物が導入されている場合であっても、上記電池耐久性に優れることも分かる。このように優れたサイクル容量維持率及び低いガス発生量を発揮する理由は、充放電時に非水系電解液中の一般式(1)の化合物が、特定のラマン値を
有する負極活物質を用いた負極表面上で、電池特性の低下を防ぐことが可能な、極めて安定な負極表面保護層を形成していることと推測される。
実施例6〜9
[負極の作製]
負極活物質として次に記す球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.32、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.3355nmである球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。ここで、球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体には、炭素前駆体を焼成後に3質量%(被覆率)となるように球形化天然黒鉛に被覆し、1100℃焼成した材料を用いた。
正極活物質としてLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2を90質量%と、導電材
としてのアセチレンブラック5質量%と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを、正極として用いた。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(体積比30:30:40)に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表2に記載の割合で化合物を混合し、電解液を得た。
上記の正極、負極、及び電解液を用いて実施例1と同様の方法によりシート状電池を作製した。
[初期放電容量の評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で慣らし運転を行った。慣らし運転を行った電池を、25℃において0.2Cに相当する電流で定電流−定電圧(0.05Cカット)で充電した後、0.2Cに相当する電流で定電流放電を実施して初期放電容量を求めた。
慣らし運転を行ったリチウム二次電池を、60℃において、2Cの定電流で充電後、2Cの定電流で放電する過程を1サイクルとして、500サイクル実施した。(500サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100の計算式から、放電容量維持率を求めた。
以下の物性を有する球形化された黒鉛粒子を負極活物質として用いたこと以外は実施例6と同様の方法により作製した負極を用いた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.04、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.3354nmである黒鉛粒子を用いた。
比較例4〜6
表2に記載の電解液を用いた以外は、実施例6と同じ負極、正極を用い電池を組み立て、同様に電池特性を求めた。
上記実施例及び比較例で得られた負極活物質の粉体物性及び電解液に含まれる化合物並びに電池特性を表2に示す。
ン値が本発明の範囲でない場合(参考例1、比較例3)や、一般式(1)の化合物を含有しない非水系電解液を用いた場合(比較例4〜6)に比べて、サイクル容量維持率に優れる。
定のラマン値を有する負極活物質を用いた負極表面上で、電池特性の低下を防ぐことが可能な、極めて安定な負極表面保護層を形成していることと推測される。
実施例10〜12、比較例7、8
[負極の作製]
負極活物質として次に記す球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.32、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.3355nmである球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。ここで、球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体には、炭素前駆体を焼成後に3質量%(被覆率)となるように球形化天然黒鉛に被覆し、1100℃焼成した材料を用いた。
チルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)100質量部及びスチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)1質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。得られたスラリーを厚さ18μmの銅箔に塗布して乾燥し、プレス機で電極密度1.5g/cm3に圧延し、切り出したものを負極として用いた。
正極活物質としてLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2を90質量%と、導電材
としてのアセチレンブラック5質量%と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを正極として用いた。
乾燥アルゴン雰囲気下、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(体積比30:30:40)に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表3に記載の割合で化合物を混合し、電解液を得た。
上記の正極、負極、及び電解液を用いて実施例1と同様の方法によりシート状電池を作製した。
[初期放電容量の評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で慣らし運転を行った。慣らし運転を行った電池を、25℃において0.2Cに相当する電流で定電流−定電圧(0.05Cカット)で充電した後、0.2Cに相当する電流で定電流放電を実施して初期放電容量を求めた。
慣らし運転を行ったリチウム二次電池を、60℃において、2Cの定電流で充電後、2Cの定電流で放電する過程を1サイクルとして、300サイクル実施した。(500サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100の計算式から、放電容量維持率を求めた。
の化合物を含有する非水系電解液でないものを用いた電池(比較例7、8)に比べて、高温サイクル容量維持率に優れる。このように、一般式(1)で表される化合物であれば、どのような化合物を用いても電池耐久性に特徴的な効果を発揮する。しかし、一般式(1)と同様に環外に多重結合性部位を有する化合物であっても、環外に炭素−炭素二重結合を有する比較例7の化合物では、仮にラマン値が本発明の範囲内である負極を用したとしても、耐久性向上効果は実施例10〜12に比べて大きく劣る。このように優れたサイクル容量維持率を発揮する理由は、充放電時に非水系電解液中の一般式(1)の化合物が、
特定のラマン値を有する負極活物質を用いた負極表面上で、電池特性の低下を防ぐことが可能な有効な、極めて安定な負極表面保護層を形成していることと推測される。また、実施例(A)及び(B)よりも高い電池電圧であっても、本発明の効果は維持されることも分かる。
実施例13〜16、比較例9、10
[負極の作製]
負極活物質として次に記す球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.32、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.3355nmである球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。ここで、球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体には、炭素前駆体を焼成後に3質量%(被覆率)となるように球形化天然黒鉛に被覆し、1300℃焼成した材料を用いた。
正極活物質としてLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2を90質量%と、導電材
としてのアセチレンブラック5質量%と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを、予め導電助剤を塗布した厚さ15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを正極として用いた。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(体積比30:30:40)に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表4に記載の割合で化合物を混合し、電解液を得た。
上記の正極、負極、及び電解液を用いて実施例1と同様の方法によりシート状電池を作製した。
[初期放電容量の評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で慣らし運転を行った。慣らし運転を行った電池を、25℃において0.2Cに相当する電流で定電流−定電圧(0.05Cカット)で充電した後、0.2Cに相当する電流で定電流放電を実施して初期放電容量を求めた。
慣らし運転を行ったリチウム二次電池を、0.2Cに相当する電流で定電流−定電圧(0.05Cカット)で充電した後、75℃で120時間保存した。電池を室温まで冷却させた後、0.2Cに相当する電流で定電流放電して放電容量を求め、(保存後の放電容量)÷(初期放電容量)×100の計算式から、容量維持率を求めた。結果を表4に示す。
の化合物を含有する非水系電解液でないものを用いた電池(比較例9、10)に比べて、高温保存容量維持率に優れる。このように優れたサイクル容量維持率を発揮する理由は、充放電時に非水系電解液中の一般式(1)の化合物が、特定のラマン値を有する負極活物
質を用いた負極表面上で、電池特性の低下を防ぐことが可能な有効な、極めて安定な負極表面保護層を形成していることと推測される。
実施例17、比較例13、14
[負極の作製]
負極活物質として次に記す球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。具体的には、上記の方法にて測定した負極活物質のラマンR値が0.32、格子面(002面)のd値(層間距離)が0.3355nmである球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体を用いた。ここで、球形化天然黒鉛に炭素を被覆した複合体には、炭素前駆体を焼成後に3質量%(被覆率)となるように球形化天然黒鉛に被覆し、1300℃焼成した材料を用いた。
正極活物質としてLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2を90質量%と、導電材
としてのアセチレンブラック5質量%と、結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを、予め導電助剤を塗布した厚さ15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを正極として用いた。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(体積比30:30:40)に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表3に記載の割合で化合物を混合し、電解液を得た。
上記の正極、負極、及び電解液を用いて実施例1と同様の方法によりシート状電池を作製した。
[初期放電容量の評価]
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において0.2Cに相当する定電流で慣らし運転を行った。慣らし運転を行った電池を、25℃において0.2Cに相当する電流で定電流−定電圧(0.05Cカット)で充電した後、0.2Cに相当する電流で定電流放電を実施して初期放電容量を求めた。
慣らし運転を行った電池を、60℃において、2Cの定電流で充電後、2Cの定電流で放電する過程を1サイクルとして、300サイクル実施した。(300サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100の計算式から、放電容量維持率を求めた。評価結果を表5に示す。
[電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(体積比30:30:40)に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表3に記載の割合で化合物を混合した。
上記の正極、負極、及び電解液を用いて実施例15と同様の方法によりシート状電池を作製し、電池特性評価を行った。
の化合物を含有する非水系電解液でないものを用いた電池(比較例11〜15)に比べて、高温サイクル容量維持率に優れる。しかし、環内に二重結合を有する化合物(比較例11)や、一般式(1)と同様に環外に多重結合性部位を有する化合物であっても環外に炭素−炭素二重結合を有する化合物(比較例12、13)や、一般式(1)と同様に炭素−炭素三重結合部位を有する化合物であっても、特許文献3に記載されている炭素−炭素三重結合が結合した鎖状化合物(比較例14)では、例えラマンR値が0.1以上の炭素質材料と併用してもこのような効果は確認されず、炭素−炭素三重結合が単結合にて環構造に結合している一般式(1)の化合物のみで確認される特異的な特徴であることが理解できる。このように優れたサイクル容量維持率を発揮する理由は、充放電時に非水系電解液中の一般式(1)の化合物が、特定のラマン値を有する負極活物質を用いた負極表面上で
、電池特性の低下を防ぐことが可能な、極めて安定な負極表面保護層を形成していることと推測される。また、実施例(A)〜(D)の電池電圧よりも更に高い状態であっても、本発明の効果は維持される。
Claims (7)
- リチウム塩とこれを溶解する非水系溶媒を含有してなる非水系電解液と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極、並びに正極を備えた非水系電解液二次電池であって、
前記負極は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法における1580cm−1のピーク強度に対する1360cm−1のピーク強度の比として定義されるラマンR値が0.1以上である炭素質材料を少なくとも1種類以上含有する負極活物質を含み、
且つ、前記非水系電解液が下記一般式(2)で表される化合物を含有していることを特徴とする非水系電解液二次電池。
NR 4 4 または、官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基である。R 4 は
官能基を有してもよい炭素数1から20の炭化水素基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。) - 前記炭素質材料は、層間距離d002が0.335nm以上、0.339nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記炭素質材料は、炭素を核黒鉛に被覆した炭素質材料、黒鉛を核黒鉛に被覆した炭素質材料、天然炭素質材料からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記非水系電解液は、(A)LiαXOnFm(X=周期表第2または3周期の13、15、16族の何れかの元素、α=1〜2、n=1〜3、m=1〜2)で表される化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記非水系電解液は、(B)下記一般式(3)で表されるオキサラート化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
- 前記非水系電解液は、(C)炭素−炭素不飽和結合またはフッ素原子の少なくとも1つを有するカーボネートを含有することを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の非水系電解液二次電池。
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