JP5831403B2 - 結合光学系及び結合方法 - Google Patents

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Description

この発明は、光通信等に用いられる光学素子を結合させる結合光学系及び結合方法に関する。
スマートフォンやタブレット端末等の普及により、莫大な情報量を有するデータの通信が要求されている。それに伴い、光通信の更なる大容量化が望まれている。
従来の光通信は、クラッド内に一つのコアが設けられたシングルコアファイバを用いて行われている。しかし、一つのシングルコアファイバで通信を行う場合には容量の限界があるため、それを超える容量のデータ通信を行うための手段が要求されている。
これに関し、たとえば、一つのクラッド内に複数のコアが設けられた光ファイバであるマルチコアファイバを用いることができる(特許文献1、2参照)。マルチコアファイバは複数のコアを有するため、シングルコアファイバに比べ、大容量のデータ通信を行うことが可能となる。
光通信においては、このようなマルチコアファイバを、たとえば、シングルコアファイバを複数本束ねたファイバ束や、レーザーダイオード等の発光素子、フォトダイオード等の受光素子と光学的に結合させて使用する場合がある。以下、マルチコアファイバ、ファイバ束、発光素子及び受光素子の全て或いは一部を「光学素子」という場合がある。
特開平10−104443号公報 特開平8−119656号公報
ここで、マルチコアファイバと他の光学素子とを光学的に結合する際には、結合効率の確保が問題となる。
同じコア数のマルチコアファイバ同士を結合する場合、マルチコアファイバ同士の位置合わせを行うことで、コア同士を確実に結合することができる。従って、結合損失を生じ難く、高い結合効率を達成することができる。
一方、マルチコアファイバと他の光学素子とを結合する場合には、結合効率が低下するという問題がある。たとえば、一般的に、マルチコアファイバの各コアは、ファイバ束の各シングルコアファイバの径より狭い間隔で配列されている。従って、ファイバ束とマルチコアファイバとを結合する場合にそのコア同士を確実に結合することが困難となる。よって、マルチコアファイバとファイバ束との間の結合効率が低下する。
この発明は上記の問題点を解決するものであり、マルチコアファイバと他の光学素子とを結合する際に、結合効率の低下を抑制可能な結合光学系及びそれを用いた結合方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1記載の結合光学系は、複数の光源、複数の受光素子、及び複数のシングルコアファイバを束ねたファイバ束のうちのいずれかの光学素子と、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバとの間に配置され、光学素子とマルチコアファイバとを光学的に結合する。結合光学系は、光学素子及びマルチコアファイバの一方からなる入射側素子から入射する複数の光それぞれの開口数と、他方からなる出射側素子に向けて出射する複数の光それぞれの開口数とが等しくなるよう構成されている。結合光学系は、第1光学系と、第2光学系とを含む。第1光学系は、複数の光それぞれを収束させる。第2光学系は、複数の光の間隔を変更する。第1光学系は、複数のレンズがアレイ状に配置された構成である。第2光学系は、両側テレセントリック光学系である。
また、上記課題を解決するために、請求項2記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、第1光学系は、第2光学系よりも光学素子側に配置されている。
また、上記課題を解決するために、請求項3記載の結合光学系は、請求項1又は2記載の結合光学系であって、第1光学系の倍率及び第2光学系の倍率は、以下の式を満たす値である。
βm×βr=1
但し、
βm:第1光学系の倍率
βr:第2光学系の倍率
また、上記課題を解決するために、請求項4記載の結合光学系は、請求項1〜3のいずれかに記載の結合光学系であって、複数のレンズ間のピッチが、複数の光源間のピッチ、複数の受光素子間のピッチ及び複数のシングルコアファイバ間のピッチのいずれかと等しい。
また、上記課題を解決するために、請求項5記載の結合光学系は、請求項1〜4のいずれかに記載の結合光学系であって、第2光学系の倍率は、複数の光源間のピッチ、複数の受光素子間のピッチ及び複数のシングルコアファイバ間のピッチのいずれかと、マルチコアファイバのコア間のピッチとの比に等しい。
また、上記課題を解決するために、請求項記載の結合光学系は、請求項1〜のいずれかに記載の結合光学系であって、入射側素子と、結合光学系と、出射側素子とは、入射側素子からの光の主光線それぞれが結合光学系の入射面に対して垂直に入射し、結合光学系の出射面から出射された光の主光線それぞれが出射側素子の受光面に対して垂直に入射する配置となっている。
また、上記課題を解決するために、請求項記載の結合方法は、請求項1〜のいずれかに記載の結合光学系を用いて、入射側素子から入射する複数の光それぞれの開口数と、出射側素子に向けて出射する複数の光それぞれの開口数とが等しくなるよう、光学素子とマルチコアファイバとを結合させる。
光学素子とマルチコアファイバとを光学的に結合する結合光学系は、入射側素子から入射する複数の光それぞれの開口数と、出射側素子に向けて出射する複数の光それぞれの開口数とが等しくなるよう設計されている。従って、マルチコアファイバと他の光学素子とを結合する際に、結合効率の低下を抑制可能となる。
実施形態に共通のマルチコアファイバを示す図である。 第1実施形態に係る結合光学系を示す図である。 第2実施形態に係る結合光学系を示す図である。 第2実施形態に係る偏向光学系を示す図である。 第2実施形態に係る偏向光学系の別例を示す図である。 第2実施形態に係る偏向光学系の別例を示す図である。 第3実施形態に係る結合光学系を示す図である。 第3実施形態に係る偏向光学系を示す図である。 第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2に係る結合部材を示す図である。 第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例3に係る結合部材を示す図である。 第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例4に係る結合部材を示す図である。 第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2〜4に係る結合部材を示す図である。 第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2〜4に係るマルチコアファイバを示す図である。 第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2〜4に係るマルチコアファイバ及び結合部材を示す図である。
[マルチコアファイバの構成]
図1を参照して、マルチコアファイバ1の構成について説明する。マルチコアファイバ1は、一般に可撓性を有する長尺の円柱部材である。図1は、マルチコアファイバ1の斜視図である。図1では、マルチコアファイバ1の先端部分のみを示している。
マルチコアファイバ1は、たとえば石英ガラスやプラスチック等、光の透過性が高い素材により形成されている。マルチコアファイバ1は、複数のコアC(k=1〜n)と、クラッド2を含んで構成されている。
コアCは、光源(図示なし)からの光を伝送する伝送路である。コアCはそれぞれ端面E(k=1〜n)を有する。端面Eからは、光源(図示なし)で発せられた光が出射される。クラッド2よりも屈折率を高めるために、コアCは、たとえば石英ガラスに酸化ゲルマニウム(GeO)が添加された素材により形成されている。なお、図1では7つのコアC〜Cを有する構成を示したが、コアCの数は少なくとも2つ以上であればよい。
クラッド2は、複数のコアCを覆う部材である。クラッド2は、光源(図示なし)からの光をコアC内に閉じ込める役割を有する。クラッド2は端面2aを有する。コアCの端面E及びクラッド2の端面2aは同一面(マルチコアファイバ1の端面1b)を形成している。クラッド2の素材としては、コアCの素材よりも屈折率が低い素材が用いられる。たとえば、コアCの素材が石英ガラスと酸化ゲルマニウムからなる場合には、クラッド2の素材としては石英ガラスを用いる。このように、コアCの屈折率をクラッド2の屈折率よりも高くすることで、光源(図示なし)からの光をコアCとクラッド2の境界面で全反射させる。よって、コアC内に光を伝送させることができる。
<第1実施形態>
次に、図2を参照して、第1実施形態に係る結合光学系20の構成例を説明する。本実施形態では、ファイバ束10と、マルチコアファイバ1とを結合する場合について述べる。図2は、結合光学系20、ファイバ束10及びマルチコアファイバ1の軸方向の断面図である。
[ファイバ束の構成]
ファイバ束10は、複数のシングルコアファイバ100を含んで構成されている。ファイバ束10は、結合するマルチコアファイバ1のコア数(本実施形態では7つ)と等しい数のシングルコアファイバ100(本実施形態では7本)が束ねられている。図2では3本のシングルコアファイバ100のみを示している。シングルコアファイバ100は、クラッド101の内部にコアCを含んで構成されている。コアCは、光源(図示なし)からの光を伝送する伝送路である。コアCの端面Caから出射された光は、所定の開口数NAで結合光学系20の入射面(後述)に入射する。なお、開口数NAは、Nsinθで定義される(NA=Nsinθ)。Nは屈折率である。θは、端面Caから出射された光(光束)が結合光学系20に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。
[結合光学系の構成]
本実施形態に係る結合光学系20は、第1光学系21と、第2光学系22とを含んで構成されている。第1光学系21は、複数の光それぞれを収束させる機能を有している。第2光学系22は、複数の光の間隔を変更する機能を有している。
本実施形態における第1光学系21は、ファイバ束10からの複数の光それぞれを収束させる機能を有している。第1光学系21は、アレイ状に配置された複数の凸レンズ21aを含んで構成されている。複数の凸レンズ21aは、ファイバ束10に含まれるシングルコアファイバ100と等しい数だけ設けられている。第1光学系21(凸レンズ21a)は、ファイバ束10の各端面Caから出射された光(主光線Pr)それぞれが、対応する凸レンズ21aの面に対して垂直に入射する位置に配置されている(なお、この場合には端面Caが絞りとして機能している)。複数の凸レンズ21aは、そのピッチP(隣り合う凸レンズ21aの光軸間距離)が複数のシングルコアファイバ100間のピッチPout(隣り合うシングルコアファイバ100の光軸間距離。たとえば、ファイバ束10の中心に配置されたファイバのコアCの光軸と、その周辺に配置されたファイバのコアCの光軸との間隔)と等しくなるよう配置されている。なお、第1光学系21は、第2光学系22よりもファイバ束10側に配置されている。本実施形態において、ファイバ束10からの光が入射する凸レンズ21aの面は、「入射面」の一例である。また、本実施形態における複数の凸レンズ21aは、「複数のレンズ」の一例である。
第1光学系21(各凸レンズ21a)の倍率は、所定の倍率βmとなるよう設計されている。また、第1光学系21(各凸レンズ21a)は、出射した光の開口数NA´(=Nsinθ´)が入射した光の開口数NAよりも小さくなるよう設計されている。θ´は、第1光学系21から出射した光(光束)が結像点IPに到達する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。
本実施形態における第2光学系22は、第1光学系21からの複数の光の間隔を狭める機能を有している。第2光学系22は、2枚の凸レンズ22a、22bを含む両側テレセントリック光学系により構成されている。第2光学系22は、第1光学系21からの複数の光(主光線Pr)それぞれが、対応するマルチコアファイバ1の各コアCの端面Eに対して垂直に入射する位置に配置されている。第2光学系22は、第2光学系22から出射した光(光束)が所定の開口数NA´´(=Nsinθ´´)となるよう設計されている。θ´´は、第2光学系22から出射された光(光束)がマルチコアファイバ1(各コアCの端面E)に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。本実施形態において、第1光学系21からの光が出射される凸レンズ22bの面は、「出射面」の一例である。また、本実施形態において、端面Eは、「受光面」の一例である。
また、本実施形態において、第2光学系22は、その倍率βrが複数のシングルコアファイバ100間のピッチPoutとマルチコアファイバ1のコアC間のピッチPin(マルチコアファイバ1における隣り合うコアCの光軸間距離。たとえば、マルチコアファイバ1の中心のコアCの光軸と周辺のコアCの光軸との間隔)との比と等しくなるよう設計されている。なお、倍率βrと、ピッチPoutとピッチPinとの比は、用いる光学素子の公差や設計上のバラツキにより、必ずしも等しくなる必要はない。少なくとも光伝送に必要な結合効率を確保できる値、たとえば、以下の式(1)を満たす値であればよい。
0.9βr<Pin/Pout<1.1βr・・・(1)
また、第1光学系21に入射する光の開口数NAと第2光学系22から出射される光の開口数NA´´が異なると結合効率の低下を招く。従って、本実施形態では、開口数NAと開口数NA´´が等しくなるよう結合光学系20が設計されている。
更に、本実施形態においては、以下の式(2)を満たすように、第1光学系21の倍率βm及び第2光学系22の倍率βrが設計されている。
βm×βr=1・・・(2)
なお、倍率βmと倍率βrとの関係は、用いる光学素子の公差や設計上のバラツキにより、必ずしも式(2)の条件を満たす必要はない。少なくとも光伝送に必要な結合効率を確保できる値、たとえば、以下の式(3)を満たす値であればよい。
0.9<βm×βr<1.1・・・(3)
また、上記説明では、第1光学系21から出射された光が第2光学系22に入射するように配置された結合光学系20の構成について述べたが、第1光学系21と第2光学系22の配置を逆にしてもよい。この場合も、第1光学系21の倍率βm及び第2光学系22の倍率βrは式(2)または式(3)の関係を満たせばよい。
[光の進み方について]
次に、図2を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。本実施形態では、ファイバ束10から光が出射する構成について説明する。すなわち、本実施形態におけるファイバ束10は、「入射側素子」の一例である。一方、本実施形態におけるマルチコアファイバ1は、「出射側素子」の一例である。
まず、複数のシングルコアファイバ100内それぞれに設けられたコアCの端面Caから光が出射される。各端面Caから出射された光は、それぞれ拡散しながら、所定の開口数NAで第1光学系21(凸レンズ21a)に入射する。上述の通り、本実施形態では、端面Caから出射されたそれぞれの光(主光線Pr)は、第1光学系21(凸レンズ21aの面)に対して垂直に入射される。
第1光学系21に入射した複数の光(主光線Pr)それぞれは、結像点IPを二次光源として第2光学系22(凸レンズ22aの面)に垂直に入射する。複数の光それぞれが第2光学系22に入射する場合の開口数(NA´に等しい)は、開口数NAよりも小さくなっている。従って、第2光学系22の構成を簡素化することが可能となる。
また、第2光学系22は両側テレセントリックな光学系で形成されている。従って、第2光学系22に垂直に入射した複数の光(主光線Pr)は、互いの間隔が狭められた状態で第2光学系22(凸レンズ22bの面)から垂直に出射される。
このとき、本実施形態では、第1光学系21の倍率βm及び第2光学系22の倍率βrが式(2)の関係を満たしている。従って、各端面Caから出射された光それぞれの開口数NAを変えることなく(NA=NA´´)マルチコアファイバ1の複数のコアC(端面E)に対し、対応する光(主光線Pr)を垂直に入射させることが可能となる。従って、光学素子間の結合効率が高い状態を維持したまま光の伝送が可能となる。
具体例として、複数のシングルコアファイバ100間のピッチPoutが120μmのファイバ束10と、コアC間のピッチPinが40μmのマルチコアファイバ1とを結合する場合について説明する。この場合、ピッチが1/3に縮小されるため、第1光学系21の倍率βmを3とし、第2光学系22の倍率βrを1/3とすれば、開口数NAを変えることなく(NA=NA´´)マルチコアファイバ1の複数のコアCに対し、対応する光(主光線Pr)を垂直入射させることが可能となる。
ピッチPin及びピッチPoutは、マルチコアファイバ1やファイバ束10の光学設計時に任意に設定することができる。たとえば、ピッチPoutは、100〜150μm程度の間で設定できる。また、ピッチPinは、たとえば、30〜50μm程度の間で任意に設定できる。
[変形例1]
本実施形態では、ファイバ束10から出射された複数の光を、結合光学系20を介してマルチコアファイバ1に導く例について説明したが、光を出射する対象はこれに限られない。たとえば、ファイバ束10の代わりに複数の光源を用いることも可能である。この場合、光源が「入射側素子」の一例である。また、この場合、上述の「Pout」は、隣り合う光源間のピッチ(たとえば、中心に配置される光源の出射面の中心と、その周辺に配置される光源の出射面の中心との距離)となる。
[変形例2]
或いは、上述の結合光学系20を用い、マルチコアファイバ1(複数のコアC)から出射される複数の光それぞれを、ファイバ束10又は受光素子(図示なし)に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1が、「入射側素子」の一例である。また、ファイバ束10又は受光素子が「出射側素子」の一例である。以下、マルチコアファイバ1から出射される光それぞれを、ファイバ束10に導く例について述べる。
本変形例における第2光学系22は、マルチコアファイバ1から出射される複数の光の間隔を広げる機能を有している。本変形例において、マルチコアファイバ1からの光が入射する凸レンズ22bの面は、「入射面」の一例である。
本変形例における第1光学系21は、第2光学系22からの複数の光それぞれを収束させる機能を有している。収束された光(主光線Pr)それぞれは、対応するコアCの端面Caに垂直に入射する。本変形例において、第2光学系22からの光が出射される第1光学系21(凸レンズ21a)の面は、「出射面」の一例である。また、本実施形態において、端面Caは、「受光面」の一例である。
本変形例におけるθは、第1光学系21から出射された光(光束)がファイバ束10(各シングルコアファイバ100)に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。θ´は、第2光学系22から出射された光(光束)が結像点IPに到達する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。θ´´は、マルチコアファイバ1から出射された光(光束)が第2光学系22に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。
なお、受光素子が「出射側素子」に当たる場合、上述の「Pout」は、隣り合う受光素子間のピッチ(たとえば、中心に配置される受光素子の受光面の中心と、その周辺に配置される受光素子の受光面の中心との距離)となる。
[作用・効果]
本実施形態(変形例を含む)の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る結合光学系20は、複数の光源、複数の受光素子、及び複数のシングルコアファイバ100を束ねたファイバ束10のいずれかを含む光学素子と、複数のコアCがクラッド2で覆われたマルチコアファイバ1との間に配置され、光学素子とマルチコアファイバ1とを光学的に結合する。結合光学系20は、光学素子及びマルチコアファイバ1の一方からなる入射側素子から入射する複数の光それぞれの開口数と、他方からなる出射側素子に向けて出射する複数の光それぞれの開口数とが等しくなるよう設計されている。
より具体的には、本実施形態に係る結合光学系20は、第1光学系21と、第2光学系22とを含む。第1光学系21は、複数の光それぞれを収束させる。第2光学系22は、複数の光の間隔を変更(狭める・広げる)する。
また、第1光学系21の倍率βm及び第2光学系22の倍率βrは、以下の式(2)を満たす値に設計される。
βm×βr=1・・・・・(2)
このように、結合光学系20に入射する光の開口数と結合光学系20から出射する光の開口数とが変わらないよう第1光学系21と第2光学系22を組み合わせることにより、結合効率を落とすことなく光を伝送することが出来る。すなわち、本実施形態における結合光学系20によれば、結合効率の低下を抑制しつつ、光学素子とマルチコアファイバ1とを光学的に結合することができる。
また、本実施形態に係る結合光学系20は、第1光学系21は、第2光学系22よりも光学素子側に配置されている。
光学系をこのように配置することで、第1光学系21から第2光学系22に入射する光の開口数NA´(又は第2光学系22から第1光学系21に入射する光の開口数NA´)を小さく抑えることができるため、光学系の構成を簡素化することが可能となる。
また、本実施形態に係る第1光学系21は、複数のレンズ21aがアレイ状に配置された構成である。
この場合、第1光学系21を同形状の単玉レンズを用いた簡素な構成で設計できる。
また、本実施形態に係る結合光学系20は、複数のレンズ21a間のピッチPmが、複数の光源間のピッチ、複数の受光素子間のピッチ及び複数のシングルコアファイバ100間のピッチPoutのいずれかと等しくなるよう設計されている。
この場合、たとえば、複数のシングルコアファイバ100からの光(主光線Pr)それぞれを、対応する複数のレンズ21aの面に垂直に入射させることができる(すなわち、シングルコアファイバ100からの光束を軸上光束として扱うことができる)。或いは、複数のレンズ21aから出射された複数の光(主光線Pr)それぞれを複数のシングルコアファイバ100の端面Caや複数の受光素子の面に垂直に入射させることができる。従って、結合効率の低下を抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係る第2光学系22は、両側テレセントリック光学系である。
また、本実施形態に係る第2光学系22の倍率βrは、複数の光源間のピッチ、複数の受光素子間のピッチ及び複数のシングルコアファイバ100間のピッチPoutのいずれかと、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチPinとの比に等しくなるよう設計されている。
この場合、結合光学系20からの複数の光(主光線Pr)それぞれを、対応するマルチコアファイバ1のコアC(或いは、対応する複数の受光素子、ファイバ束10)に垂直に入射させることが可能となる。従って、結合効率の低下を抑制することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、図3〜図6を参照して、第2実施形態に係る結合光学系30の構成例を説明する。本実施形態では、ファイバ束10と、マルチコアファイバ1とを結合する場合について述べる。図3は、結合光学系30、ファイバ束10及びマルチコアファイバ1の軸方向の断面図である。なお、ファイバ束10の構成等、第1実施形態と同様の構成等については詳細な説明を省略する場合がある。
[結合光学系の構成]
本実施形態に係る結合光学系30は、コリメート光学系31と、偏向光学系32と、結像光学系33とを含んで構成されている。
コリメート光学系31は、ファイバ束10からの複数の光それぞれをコリメートさせる機能を有している。コリメート光学系31は、アレイ状に配置された複数のコリメートレンズ31aを含んで構成されている。複数のコリメートレンズ31aは、ファイバ束10に含まれるシングルコアファイバ100と等しい数だけ設けられている。コリメート光学系31(コリメートレンズ31a)は、各端面Caから出射された光(主光線Pr)が、対応するコリメートレンズ31aの面に対して垂直に入射する位置に配置されている(なお、この場合には端面Caが絞りとして機能している)。複数のコリメートレンズ31aは、そのピッチPcl(隣り合うコリメートレンズ31aの光軸間距離。たとえば、中心に配置されたコリメートレンズ31aのレンズ中心と、その周辺に配置されたコリメートレンズ31aのレンズ中心との間隔)が複数のシングルコアファイバ100間のピッチPout(隣り合うシングルコアファイバ100の光軸間距離)と等しくなるよう配置されている。なお、コリメート光学系31は、偏向光学系32よりもファイバ束10側に配置されている。本実施形態において、ファイバ束10からの光が入射するコリメートレンズ31aの面は、「入射面」の一例である。
偏向光学系32は、入射する複数の光(本実施形態では、ファイバ束10からの光)を個別に偏向する機能を有している。本実施形態における偏向光学系32は、第1偏向プリズム32a及び第2偏向プリズム32bを含んで構成されている。本実施形態における第1偏向プリズム32aは、「第1偏向光学系」の一例である。本実施形態における第2偏向プリズム32bは、「第2偏向光学系」の一例である。
本実施形態における第1偏向プリズム32aは、コリメート光学系31(コリメートレンズ31a)でコリメートされた複数の光それぞれをコリメートされたまま所定の方向に偏向させる機能を有している。なお、図3に示すように、第1偏向プリズム32aは、その中央を通過する光は偏向されないよう設計されている。第1偏向プリズム32aは、入射する光の数に対応した入射面321a及び出射面322aを有している。また、本実施形態における第1偏向プリズム32aは、コリメート光学系31からの複数の光(主光線Pr)それぞれが、対応する入射面321aに対して垂直に入射されるよう設計されている。
本実施形態において、入射面321aは平面で形成されている。出射面322aは、複数の光の数に対応した凸面に形成されている。ここで、出射面322aは、所定の角度γだけ傾斜するよう設計されている。
この傾斜角度γは、たとえば以下のようにして決定される。図4Aは、第1偏向プリズム32aの断面の一部を拡大した図である。ここでは、第1偏向プリズム32aの出射面322aに入射する光(図では主光線Prのみ示す)の入射角度をγin、第1偏向プリズム32aにより偏向されて出射する光(図では主光線Prのみ示す)の出射角度をγout、複数のシングルコアファイバ100間のピッチをPout、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチをPin、第1偏向プリズム32aと第2偏向プリズム32bとの間隔をtとする。なお、入射角度γinは、傾斜角度γと等しい。
このとき、出射角度γoutは、以下の式(4)により決定される。
Tan[γout]=(Pout−Pin)/t・・・(4)
また、第1偏向プリズム32aの母材屈折率をN、出射側の媒質の屈折率をN´とした場合、入射角度γinは、以下の式(5)の関係が成り立つ。
Nsin[γin]=N´sin[γout]・・・(5)
たとえば、Poutが120μm、Pinが40μm、tが0.3mmで設計される場合、出射角度γoutは、約14.9°となる。また、ここでは出射側の媒質は空気(N´=1)であるとする。この出射角度γoutに対し、第1偏向プリズム32aを母材屈折率が1.6の材料で形成するときには、入射角度γinは、約9.25°となる。従って、傾斜角度γが約9.25°となるよう、第1偏向プリズム32aの出射面322aを設計することができる。
なお、入射面321aを凸面とすることも可能である。この場合、傾斜角度γ´は、たとえば以下のようにして決定される。図4Bは、第1偏向プリズム32aの断面の一部を拡大した図である。ここでは、第1偏向プリズム32aの入射面321aに入射する光(図では主光線Prのみ示す)の入射角度をγ´in、入射した光の偏向角度をγ´、入射面321aの垂線に対する入射した光の角度をγ´、第1偏向プリズム32aにより偏向されて出射する光(図では主光線Prのみ示す)の出射角度をγ´out、複数のシングルコアファイバ100間のピッチをPout、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチをPin、第1偏向プリズム32aと第2偏向プリズム32bとの間隔をtとする。なお、入射角度γ´inは、傾斜角度γ´と等しい。
このとき、出射角度γoutは、上記式(4)により決定される。
また、入射角度γ´in、偏向角度γ´、角度γ´は、以下の式(6)の関係となっている。
γ´=γ´in−γ´・・・(6)
また、第1偏向プリズム32aの母材屈折率をN、出射側の媒質の屈折率をN´とした場合、以下の式(7)が成り立つ。
Nsin[γ´]=N´sin[γ´out]・・・(7)
更に、入射角度γ´inと角度γ´は、スネルの法則により以下の式(8)の関係が成り立つ。
N´sin[γ´in]=N´sin[γ´]・・・(8)
たとえば、Poutが120μm、Pinが40μm、tが0.3mmで設計される場合、出射角度γoutは、約14.9°となる。また、ここでは出射側の媒質は空気(N´=1)であるとする。この出射角度γoutに対し、第1偏向プリズム32aを母材屈折率が1.6の材料で形成するときには、入射角度γinは、約24°となる。従って、傾斜角度γ´が約24°となるよう、第1偏向プリズム32aの入射面321aを設計することができる。
本実施形態における第2偏向プリズム32bは、第1偏向プリズム32aにより偏向された光それぞれを更に偏向させる機能を有している。本実施形態では、第2偏向プリズム32bからの複数の光(主光線Pr)それぞれが、結像光学系33に対して垂直に入射する方向に偏向させる。第2偏向プリズム32bで偏向された場合でも、複数の光それぞれがコリメートされた状態は変わらない。なお、図3に示すように、第2偏向プリズム32bは、その中央を通過する光は偏向されないよう設計されている。第2偏向プリズム32bは、入射する光の数に対応した入射面321b及び出射面322bを有している。本実施形態において、入射面321bは複数の光の数に対応した凹面で形成されている。出射面322bは、平面に形成されている。また、出射面322bを凹面とすることもできる。なお、第2偏向プリズム32bの凹面の傾斜角度は、上述の第1偏向プリズム32aの傾斜角度を求める方法と同様の手法により求めることができる。
なお、本実施形態では、第1偏向プリズム32aと第2偏向プリズム32bが別体の構成について説明したが、偏向光学系32は、1つの偏向プリズム32´で構成されていてもよい。図5にその一例を示す。図5は、偏向プリズム32´の側面図である。偏向プリズム32´は、コリメート光学系31からの光が入射する入射面32´a及び結像光学系33に対して光を出射する出射面32´bが形成されている。入射面32´aは、たとえば上述の第1偏向プリズム32aの出射面322aと同様に形成されている。出射面32´bは、たとえば上述の第2偏向プリズム32bの入射面321bと同様に形成されている。
また、偏向光学系32は、所定の偏向度Rを有している。偏向度Rとは、偏向光学系32に入射する主光線Prの角度と偏向光学系32から出射した主光線Prの角度の変化量である。偏向度は、偏向光学系32に入射する光の光束高さ(中心の光束から他の光束までの距離)と偏向光学系32から出射する光の光束高さの比で表すこともできる。
偏向光学系32が第1偏向プリズム32a及び第2偏向プリズム32bからなる場合、偏向度Rは、第1偏向プリズム32aに入射する主光線Prの角度と第2偏向プリズム32bから出射した主光線Prの角度の変化量である。なお、この場合、偏向度Rは、第1偏向プリズム32aの偏向度R1及び第2偏向プリズム32bの偏向度R2を合成したものともいえる。
本実施形態においては、第1偏向プリズム32aの偏向度R1と第2偏向プリズム32bの偏向度R2とが等しくなるよう設計されている。また、本実施形態においては、偏向度R(R1+R2)が、複数のシングルコアファイバ100間のピッチPoutとマルチコアファイバ1のコアC間のピッチPinとの比に等しくなるよう設計されている。
結像光学系33は、偏向光学系32により偏向された複数の光(光束)それぞれを、マルチコアファイバ1の各コアCに結像させる機能を有している。結像光学系33は、アレイ状に配置された複数の結像光学レンズ33aを含んで構成されている。複数の結像光学レンズ33aは、マルチコアファイバ1の各コアCと等しい数だけ設けられている。結像光学系33(結像光学レンズ33a)は、偏向光学系32から出射された光(主光線Pr)が、対応する各コアCの端面Eに対して垂直に入射する位置に配置されている。複数の結像光学レンズ33aは、そのピッチPim(隣り合う結像光学レンズ33aの光軸間距離。たとえば、中心に配置された結像光学レンズ33aのレンズ中心と、その周辺に配置された結像光学レンズ33aのレンズ中心との間隔)が各コアC間のピッチPinと等しくなるよう配置されている。結像光学系33は、出射した光(光束)が所定の開口数NA´´(=Nsinθ´´)となるよう設計されている。θ´´は、結像光学系33から出射された光(光束)がマルチコアファイバ1(各コアCの端面E)に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。本実施形態において、偏向光学系32からの光が出射される結像光学レンズ33aの面は、「出射面」の一例である。また、本実施形態において、端面Eは、「受光面」の一例である。
また、コリメート光学系31に入射する光の開口数NAと結像光学系33から出射される光の開口数NA´´が異なると結合効率の低下を招く。従って、本実施形態では、開口数NAと開口数NA´´とが等しくなるよう結合光学系30が設計されている。
また、本実施形態では、開口数NAと開口数NA´´とを等しくするため、コリメート光学系31(コリメートレンズ31a)の焦点距離fclと結像光学系33(結像光学レンズ33a)の焦点距離fimとが等しくなるよう結合光学系30が設計されている。
なお、焦点距離fclと焦点距離fimとの関係は、用いる光学素子の公差や設計上のバラツキにより、必ずしも等しくする必要はない。少なくとも光伝送に必要な結合効率を確保できる値、たとえば、以下の式(9)を満たす値であればよい。
0.9<fim/fcl<1.1・・・(9)
[光の進み方について]
次に、図3を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。本実施形態では、ファイバ束10から光が出射する構成について説明する。すなわち、本実施形態におけるファイバ束10は、「入射側素子」の一例である。一方、本実施形態におけるマルチコアファイバ1は、「出射側素子」の一例である。
まず、複数のシングルコアファイバ100内それぞれに設けられたコアCの端面Caから光が出射される。各端面Caから出射された光は、それぞれ拡散しながら、所定の開口数NAでコリメート光学系31(コリメートレンズ31a)に入射する。本実施形態では、端面Caから出射されたそれぞれの光(主光線Pr)は、コリメート光学系31(コリメートレンズ31aの面)に対して垂直に入射される。
コリメート光学系31に入射した複数の光それぞれは、コリメートされ、第1偏向プリズム32aに入射する。第1偏向プリズム32aは、所定の偏向度R1で複数の光それぞれを個別に偏向させる。偏向された光それぞれは、第2偏向プリズム32bに入射する。
第2偏向プリズム32bは、所定の偏向度R2で複数の光を個別に偏向させる。第2偏向プリズム32bで偏向された光それぞれは、結像光学系33に入射する。結像光学系33に入射した光それぞれは、対応するマルチコアファイバ1のコアCに入射する。
このとき、本実施形態では、焦点距離fclと焦点距離fimとが等しくなっている。従って、各端面Caから出射された光それぞれの開口数NAを変えることなく(NA=NA´´)マルチコアファイバ1の複数のコアC(端面E)に対し、対応する光(主光線Pr)を垂直に入射させることが可能となる。従って、光学素子間の結合効率が高い状態を維持したまま光の伝送が可能となる。
具体例として、複数のシングルコアファイバ100間のピッチPoutが120μmのファイバ束10と、コアC間のピッチPinが40μmのマルチコアファイバ1とを結合する場合について説明する。この場合、ピッチが1/3に縮小されるため、第1偏向プリズム32aの偏向度R1と第2偏向プリズム32bの偏向度R2を合成した値が3となるように設計すれば、開口数NAを変えることなく(NA=NA´´)マルチコアファイバ1の複数のコアCに対し、対応する光(主光線Pr)を垂直入射させることが可能となる。この場合、ピッチPclは120μm、ピッチPimは40μmであることが望ましい。
なお、ピッチPin及びピッチPoutは、マルチコアファイバ1やファイバ束10の光学設計時に任意に設定することができる。たとえば、ピッチPoutは、100〜150μm程度の間で設定できる。また、ピッチPinは、たとえば、30〜50μm程度の間で任意に設定できる。
[変形例3]
本実施形態では、ファイバ束10から出射された複数の光を、結合光学系30を介してマルチコアファイバ1に導く例について説明したが、光を出射する対象はこれに限られない。たとえば、ファイバ束10の代わりに複数の光源を用いることも可能である。この場合、光源が「入射側素子」の一例である。また、この場合、上述の「Pout」は、隣り合う光源間のピッチとなる。
[変形例4]
或いは、上述の結合光学系30を用い、マルチコアファイバ1(複数のコアC)から出射される複数の光それぞれを、ファイバ束10又は受光素子(図示なし)に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1が、「入射側素子」の一例である。また、ファイバ束10又は受光素子が「出射側素子」の一例である。以下、マルチコアファイバ1から出射される光それぞれを、ファイバ束10に導く例について述べる。
本変形例における結像光学系33は、マルチコアファイバ1から出射される複数の光それぞれをコリメートする機能を有している。すなわち、本変形例においては、結像光学系33が「コリメート光学系」に当たる。本変形例において、マルチコアファイバ1からの光が入射する結像光学レンズ33aの面は、「入射面」の一例である。また、本変形例における結像光学レンズ33a間のピッチは、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチと等しくなっている。
本変形例における偏向光学系32は、結像光学系33からの複数の光それぞれを偏向ささせる機能を有している。偏向された光(主光線Pr)それぞれは、コリメート光学系31に垂直に入射する。
本変形例におけるコリメート光学系31は、偏向光学系32から出射される複数の光それぞれを、対応するシングルコアファイバ100のコアCに結像する機能を有している。すなわち、本変形例においては、コリメート光学系31が「結像光学系」に当たる。本変形例において、偏向光学系32からの光が出射されるコリメート光学系31(コリメートレンズ31a)の面は、「出射面」の一例である。また、本変形例において、端面Caは、「受光面」の一例である。また、本変形例において、コリメートレンズ31a間のピッチは、シングルコアファイバ100のコアC間のピッチと等しくなっている。
本変形例において、偏向光学系32として実施形態と同様、複数の偏向光学系(第1偏向プリズム32a、第2偏向プリズム32b)を用いる場合、第1偏向プリズム32aが「第2偏向光学系」の一例となる。また、第2偏向プリズム32bが「第1偏向光学系」の一例となる。
本変形例におけるθは、コリメート光学系31から出射された光(光束)がファイバ束10(各シングルコアファイバ100)に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。θ´´は、マルチコアファイバ1から出射された光(光束)が結像光学系33に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。
また、「出射側素子」として受光素子を用いる場合、本変形例における偏向度Rは、複数の受光素子間のピッチと、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチとの比に等しい。また、この場合、コリメートレンズ31a間のピッチは、受光素子間のピッチと等しくなっている。
[作用・効果]
本実施形態(変形例を含む)の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る結合光学系30は、入射する複数の光を個別に偏向する偏向光学系32を含む。
このように、結合光学系30に偏向光学系32を用いた場合にも結合効率を落とすことなく光を伝送することが出来る。すなわち、本実施形態における結合光学系30によれば、結合効率の低下を抑制しつつ、光学素子とマルチコアファイバ1とを光学的に結合することができる。
また、本実施形態に係る結合光学系30は、コリメート光学系31を有する。コリメート光学系31(コリメートレンズ31a)は、入射側素子のいずれかからの光をコリメートする。偏向光学系32は、コリメート光学系31でコリメートされた光を偏向する。
コリメート光学系31をこのように配置することで、結合光学系30の構成を簡素化することが可能となる。
また、本実施形態に係るコリメート光学系31は、複数のコリメートレンズ31aがアレイ状に配置された構成である。
この場合、コリメート光学系31を同形状の単玉レンズを用いた簡素な構成で設計できる。
また、本実施形態に係る複数のコリメートレンズ31a間のピッチPclは、複数の光源間のピッチ、複数のシングルコアファイバ間のピッチPout及びマルチコアファイバのコア間のピッチPinのいずれかと等しくなるよう設計されている。
この場合、たとえば、複数のシングルコアファイバ100からの光(主光線Pr)それぞれをコリメートレンズ31aの面に垂直に入射させることができる(すなわち、シングルコアファイバ100からの光束を軸上光束として扱うことができる)。或いは、コリメートレンズ31aから出射された複数の光(主光線Pr)それぞれを複数のシングルコアファイバ100の端面Caや複数の受光素子の面に垂直に入射させることができる。従って、結合効率の低下を抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係る偏向光学系32は、第1偏向光学系(第1偏向プリズム32a)及び第2偏向光学系(第2偏向プリズム32b)を含んで構成されている。第1偏向光学系は、入射する複数の光を偏向する。第2偏向光学系は、第1偏向光学系により偏向された複数の光を更に偏向する。
このように、複数の偏向光学系を用いる場合にも結合効率を落とすことなく光を伝送することが出来る。すなわち、本実施形態における結合光学系30によれば、結合効率の低下を抑制しつつ、光学素子とマルチコアファイバ1とを光学的に結合することができる。
また、本実施形態に係る第1偏向光学系及び第2偏向光学系は、一方の片面が凸形状に形成されており、他方の片面が凹形状に形成されている。
また、本実施形態に係る偏向光学系32は、第1偏向光学系の偏向度R1と第2偏向光学系の偏向度R2が等しくなるよう設計されている。
また、本実施形態に係る偏向光学系32の偏向度Rは、複数の光源間のピッチ、複数の受光素子間のピッチ及び複数のシングルコアファイバ間のピッチPoutのいずれかと、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチPinとの比に等しくなるよう設計されている。
偏向光学系32をこのように構成することにより、入射側素子から入射した光(主光線Pr)それぞれを出射側素子の面に対して垂直に入射させることができる。すなわち、結合効率の低下を抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係る結合光学系30は、結像光学系33(結像光学レンズ33a)を含む。結像光学系33は、偏向光学系32により偏向された光を、出射側素子のいずれかに結像させる。
また、本実施形態に係る結像光学レンズ33aは、複数のレンズがアレイ状に配置された構成である。
また、本実施形態に係る結像光学レンズ33a間のピッチPimは、複数のシングルコアファイバ100間のピッチPout、受光素子間のピッチ及びマルチコアファイバ1のコアC間のピッチPinのいずれかと等しくなるよう設計されている。
このように、結像光学系33を構成することにより、結像光学系33から出射する光(主光線Pr)それぞれを出射側素子の面に対して垂直に入射させることができる。すなわち、結合効率の低下を抑制することが可能となる。
また、本実施形態において、コリメートレンズ31aの焦点距離fclと結像光学レンズ33aの焦点距離fimとが等しくなるよう設計されている。
このような構成により、結合光学系30に入射する光の開口数と結合光学系30から出射する光の開口数とが変わらないようにできるため、結合効率を落とすことなく光を伝送することが出来る。すなわち、本実施形態における結合光学系30によれば、結合効率の低下を抑制しつつ、光学素子とマルチコアファイバ1とを光学的に結合することができる。
<第3実施形態>
次に、図6及び図7を参照して、第3実施形態に係る結合光学系30´の構成例を説明する。本実施形態では、ファイバ束10と、マルチコアファイバ1とを結合する場合について述べる。図6は、結合光学系30´、ファイバ束10及びマルチコアファイバ1の軸方向の断面図である。なお、ファイバ束10の構成等、第1及び第2実施形態と同様の構成等については詳細な説明を省略する場合がある。
[結合光学系の構成]
本実施形態に係る結合光学系30´は、コリメート光学系31と、偏向光学系34と、結像光学系33とを含んで構成されている。コリメート光学系31及び結像光学系33は第2実施形態と同様の構成である。
本実施形態における偏向光学系34は、第1回折光学系34a及び第2回折光学系34bを含んで構成されている。本実施形態における第1回折光学系34aは、「第1偏向光学系」の一例である。本実施形態における第2回折光学系34bは、「第2偏向光学系」の一例である。
本実施形態における第1回折光学系34aは、コリメート光学系31(コリメートレンズ31a)でコリメートされた複数の光それぞれをコリメートされたまま回折により所定の方向に偏向させる機能を有している。なお、図6に示すように、第1回折光学系34aは、その中央を通過する光は偏向されないよう設計されている。第1回折光学系34aは、入射する光の数に対応した入射面341a及び出射面342a・343aを有している。また、本実施形態における第1回折光学系34aは、コリメート光学系31からの複数の光(主光線Pr)それぞれが、対応する入射面341aに対して垂直に入射されるよう設計されている。
入射面341aは平面に形成されている。入射面341aには、コリメート光学系31からの光が入射する。
出射面342aは、鋸歯状の突起部からなる回折格子として形成されている。一方、出射面343aには、回折格子が形成されていない。従って、出射面343aを通過する光は、回折により偏向されることはない。
図7は、出射面342a及び出射面343aを図6の矢印A方向から見た図である。図7に示すように、本実施形態における出射面342a及び出射面343aは、7本のシングルコアファイバ100からの光それぞれを出射させる7つの面F(F〜F)を有する。このうち、面F(出射面343a)は、シングルコアファイバ100からの光を偏向させずに透過させる。面F〜F(出射面342a)には、ピッチd(突起部の間隔)で回折格子が形成されている。本実施形態において、回折格子のピッチdは全て等しいものとする。
このピッチdは、たとえば以下のようにして決定される。ここでは、出射面342aに入射する光の入射角度をεin、出射面342aにより偏向されて出射する光の出射角度をεout、第1回折光学系34aの母材屈折率をN、出射側の媒質の屈折率をN´、回折次数をm、入射する光の波長をλとする。
このとき、ピッチdは、以下の式(10)により決定される。
Nsin[εin]−N´sin[εout]=mλ/d・・・(10)
ここで、図6に示すように、光が出射面342aに対して垂直に入射する。このとき、使用する回折次数を1とすれば、ピッチdは、以下の式(11)により決定される。なお、出射側の媒質は空気(N´=1)であるとする。
N−sin[εout]=λ/d・・・(11)
本実施形態における第2回折光学系34bは、第1回折光学系34aにより偏向された光それぞれを更に偏向させる機能を有している。本実施形態では、第2回折光学系34bからの複数の光(主光線Pr)それぞれが、結像光学系33に対して垂直に入射する方向に偏向させる。第2回折光学系34bで偏向された場合でも、複数の光それぞれがコリメートされた状態は変わらない。なお、図6に示すように、第2回折光学系34bは、その中央を通過する光は偏向されないよう設計されている。第2回折光学系34bは、入射する光の数に対応した入射面341b・342b及び出射面343bを有している。
入射面341bは、鋸歯状の突起部からなる回折格子として形成されている。一方、入射面342bには、回折格子が形成されていない。従って、入射面342bを通過する光は、回折により偏向されることはない。入射面341b・342bには、第1回折光学系34aからの光が入射する。
出射面343bは平面に形成されている。出射面343bから出射された複数の光(主光線Pr)それぞれは、結像光学系33(結像光学レンズ33a)に対して垂直に入射する。なお、第2回折光学系34bにおけるピッチは、上述の第1回折光学系34aにおいてピッチdを求める方法と同様の手法により求めることができる。
[光の進み方について]
次に、図6を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。本実施形態では、ファイバ束10から光が出射する構成について説明する。すなわち、本実施形態におけるファイバ束10は、「入射側素子」の一例である。一方、本実施形態におけるマルチコアファイバ1は、「出射側素子」の一例である。
まず、複数のシングルコアファイバ100内それぞれに設けられたコアCの端面Caから光が出射される。各端面Caから出射された光は、それぞれ拡散しながら、所定の開口数NAでコリメート光学系31(コリメートレンズ31a)に入射する。本実施形態では、端面Caから出射されたそれぞれの光(主光線Pr)は、コリメート光学系31(コリメートレンズ31aの面)に対して垂直に入射される。
コリメート光学系31に入射した複数の光それぞれは、コリメートされ、第1回折光学系34aに入射する。第1回折光学系34aは、入射した複数の光を回折格子により個別に偏向させる。偏向された光それぞれは、第2回折光学系34bに入射する。
第2回折光学系34bは、入射した複数の光を個別に偏向させる。第2回折光学系34bで偏向された光それぞれは、結像光学系33に入射する。結像光学系33に入射した光それぞれは、対応するマルチコアファイバ1のコアCに入射する。
このとき、本実施形態では、焦点距離fclと焦点距離fimとが等しくなっている。従って、各端面Caから出射された光それぞれの開口数NAを変えることなく(NA=NA´´)マルチコアファイバ1の複数のコアC(端面E)に対し、対応する光(主光線Pr)を垂直に入射させることが可能となる。従って、光学素子間の結合効率が高い状態を維持したまま光の伝送が可能となる。
[変形例5]
本実施形態では、ファイバ束10から出射された複数の光を、結合光学系30´を介してマルチコアファイバ1に導く例について説明したが、光を出射する対象はこれに限られない。たとえば、ファイバ束10の代わりに複数の光源を用いることも可能である。この場合、光源が「入射側素子」の一例である。また、この場合、上述の「Pout」は、隣り合う光源間のピッチとなる。
[変形例6]
或いは、上述の結合光学系30´を用い、マルチコアファイバ1(複数のコアC)から出射される複数の光それぞれを、ファイバ束10又は受光素子(図示なし)に導くことも可能である。この場合、マルチコアファイバ1が、「入射側素子」の一例である。また、ファイバ束10又は受光素子が「出射側素子」の一例である。以下、マルチコアファイバ1から出射される光それぞれを、ファイバ束10に導く例について述べる。
本変形例における結像光学系33は、マルチコアファイバ1から出射される複数の光それぞれをコリメートする機能を有している。すなわち、本変形例においては、結像光学系33が「コリメート光学系」に当たる。本変形例において、マルチコアファイバ1からの光が入射する結像光学レンズ33aの面は、「入射面」の一例である。また、本変形例における結像光学レンズ33a間のピッチは、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチと等しくなっている。
本変形例における偏向光学系34は、結像光学系33からの複数の光それぞれを回折格子により偏向させる機能を有している。偏向された光(主光線Pr)それぞれは、コリメート光学系31に垂直に入射する。
本変形例におけるコリメート光学系31は、偏向光学系34から出射される複数の光それぞれを、対応するシングルコアファイバ100のコアCに結像する機能を有している。すなわち、本変形例においては、コリメート光学系31が「結像光学系」に当たる。本変形例において、偏向光学系34からの光が出射されるコリメート光学系31(コリメートレンズ31a)の面は、「出射面」の一例である。また、本変形例において、端面Caは、「受光面」の一例である。また、本変形例において、コリメートレンズ31a間のピッチは、シングルコアファイバ100のコアC間のピッチと等しくなっている。
本変形例において、偏向光学系34として実施形態と同様、複数の偏向光学系(第1回折光学系34a、第2回折光学系34b)を用いる場合、第1回折光学系34aが「第2偏向光学系」の一例となる。また、第2回折光学系34bが「第1偏向光学系」の一例となる。
本変形例におけるθは、コリメート光学系31から出射された光(光束)がファイバ束10(各シングルコアファイバ100)に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。θ´´は、マルチコアファイバ1から出射された光(光束)が結像光学系33に入射する際の主光線Pr及びマージナル光線Mrがなす角度である。
また、「出射側素子」として受光素子を用いる場合、本変形例における偏向度Rは、複数の受光素子間のピッチと、マルチコアファイバ1のコアC間のピッチとの比に等しい。また、この場合、コリメートレンズ31a間のピッチは、受光素子間のピッチと等しくなっている。
[作用・効果]
本実施形態(変形例を含む)の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る第1偏向光学系(第1回折光学系34a)及び第2偏向光学系(第2回折光学系34b)は、それぞれの片面の少なくとも一部が回折格子として形成されている。
このように、偏向光学系として回折光学系(第1回折光学系34a及び第2回折光学系34b)を用いた場合にも結合効率を落とすことなく光を伝送することが出来る。すなわち、本実施形態における結合光学系30´によれば、結合効率の低下を抑制しつつ、光学素子とマルチコアファイバ1とを光学的に結合することができる。
[第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例1]
上記実施形態では、マルチコアファイバ1のコアCの間隔が等しい場合について説明したが、コアCの間隔が各々異なっている場合や、コアCの内幾つかの間隔が等しく他は間隔が異なるといった、コアCの間隔について複数の間隔設定がある場合にも上記構成は応用可能である。この場合、それぞれのコアCの位置に応じて結合光学系20の設計を行えばよい。たとえば、第1実施形態においては、コアCの位置に応じて第1光学系21及び第2光学系22の倍率設定を行えばよい。この場合、それぞれのコアCの位置に応じて、式(2)または式(3)にある倍率関係で、それぞれのコアCに対する光学系を設計する。このとき、たとえば図2に示す第2光学系22をアレイ状に構成する等すれば、所望の要件を満たすことが可能となる。光学系第2実施形態においては、コアCの位置に応じて偏向度の設定を行えばよい。この場合、それぞれのコアCの位置に応じて、偏向プリズム32a、32b、または32´の複数の入射面、出射面の角度について、それぞれの面において、第2実施形態の説明と同様の方法で偏向度設定すればよい。第3実施形態においては、コアCの位置に応じ、第1回折光学系34a及び第2回折光学系34bそれぞれの面Fにおける回折格子のピッチdを変更すればよい。
[第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2]
ファイバ束10とマルチコアファイバ1との間を媒体で充填することも可能である。
[結合部材の構成]
図8は、結合部材20、ファイバ束10及びマルチコアファイバ1の軸方向の断面を示す概念図である。本変形例に係る結合部材20は、一端がファイバ束10と接し、他端がマルチコアファイバ1と接する。結合部材20は、所定の媒体で充填されている。所定の媒体は、空気以外の媒体であり、たとえば、石英ガラスやBK7が用いられる。結合部材20とファイバ束10(マルチコアファイバ1)とは、対向する端面同士が接着剤等により固定される。接着剤は、コアC(コアCa)の屈折率と同程度の屈折率を有する。
また、結合部材20は、ファイバ束10の各光路(シングルコアファイバ100)からの光それぞれのモードフィールド径を変更し、且つモードフィールド径が変更された光の間隔を変更してマルチコアファイバ1の各コア(コアC)へ導く。なお、モードフィールド径とは、ある対象から実際に出射される光の直径をいう。たとえば、シングルコアファイバ100のコアC内を通過する光は、コアC周辺のクラッド101側にもわずかに漏れている。よって、シングルコアファイバ100から出射される光は、コアCからだけでなく、コアC周辺のクラッド101からも出射する。すなわち、シングルコアファイバ100から出射する光の径は、コアCの径よりも大きくなる。この「シングルコアファイバ100から出射する光の径」は、モードフィールド径の一例である。
本変形例における結合部材20は、第1光学系21と、第2光学系22とを含んで構成されている。第1光学系21は、シングルコアファイバ100から入射される光それぞれのモードフィールド径を変更して第2光学系22へ入射させる。第2光学系22は、第1光学系21から入射される光の間隔を変更し、マルチコアファイバ1のコアCの間隔に合わせる。なお、第1光学系21及び第2光学系22のレンズ部分を構成する媒体A2とそれ以外の部分を構成する媒体A1とは屈折率が異なる。媒体A1は、「第1媒体」の一例である。媒体A2は、「第2媒体」の一例である。また、本変形例における第1光学系21及び第2光学系22は、媒体A1を介して一体に形成されている(第1光学系21及び第2光学系22は連続的に形成されている)。
媒体A1の屈折率は、シングルコアファイバ100のコアCの屈折率またはマルチコアファイバ1のコアCの屈折率と等しい材料であることが望ましい。たとえば、マルチコアファイバ1のコアCが石英ガラスに酸化ゲルマニウム(GeO)が添加された素材により形成されている場合、媒体A1としても同じ石英ガラスに酸化ゲルマニウムが添加された材料が用いられる(或いは、コアCと屈折率が同程度になる別の材料を使用してもよい)。
本変形例における第1光学系21は、ファイバ束10の各シングルコアファイバ100からの光それぞれのモードフィールド径を拡大する拡大光学系である。第1光学系21は、アレイ状に配置された複数の凸レンズ部21aを含んで構成されている。複数の凸レンズ部21aは、媒体A2からなり、媒体A1中に配置されている。複数の凸レンズ部21aは、ファイバ束10からの光それぞれのモードフィールド径を変更する必要があるため、ファイバ束10に含まれるシングルコアファイバ100と等しい数だけ設けられている。第1光学系21(凸レンズ部21a)は、ファイバ束10の各端面Caから出射された光の主光線Prそれぞれが、対応する凸レンズ部21aの面に対して垂直に入射する位置に配置されている(凸レンズ部21aは、各コアCと同じ光軸上に配置されている)。凸レンズ部21aは、コアCのモードフィールド径より大きな径を有し、コアCからの光を集光する。本変形例における複数の凸レンズ部21aは、「複数のレンズ」の一例である。
本変形例における第2光学系22は、第1光学系21からの光(モードフィールド径が拡大された複数の光)の間隔を狭めてマルチコアファイバ1のコアC〜コアCに導く縮小光学系である。第2光学系22は、2枚の凸レンズ部(凸レンズ22部a、凸レンズ部22b)を含む両側テレセントリック光学系により構成されている。凸レンズ部22a及び凸レンズ部22bは、媒体A2からなり、媒体A1中に配置されている。凸レンズ部22a及び凸レンズ部22bが一組だけ設けられているのは、複数の凸レンズ部21aからの光の間隔を変更するためである。第2光学系22は、第1光学系21からの光の主光線Prそれぞれが、対応するマルチコアファイバ1の各コアCの端面Eに対して垂直に入射する位置に配置されている。
[光の進み方について]
次に、図8を参照して、本実施形態に係る光の進み方について説明する。本変形例では、ファイバ束10から光が出射する構成について説明する。
まず、複数のシングルコアファイバ100内それぞれに設けられたコアCの端面Caから光が出射される。各端面Caから出射された光それぞれは、媒体A1内を拡散しながら、所定のモードフィールド径で凸レンズ部21aに入射する。上述の通り、本実施形態では、端面Caから出射されたそれぞれの光の主光線Prは、凸レンズ部21aに対して垂直に入射される。凸レンズ部21aを透過した光それぞれは、モードフィールド径が拡大された状態で結像点IPにおいて結像する。
凸レンズ部21aを透過した光それぞれは、結像点IPを二次光源として媒体A1内を拡散しながら凸レンズ部22aに入射する。
凸レンズ部22a及び凸レンズ部22bは両側テレセントリックな光学系として形成されている。従って、凸レンズ部22aに垂直に入射した光の主光線Prそれぞれは、コリメートされた状態で媒体A1内を通過し、凸レンズ部22bに入射する。光の主光線Prそれぞれは、互いの間隔が狭められた状態で凸レンズ部22bから垂直に出射され、媒体A1内を通過してマルチコアファイバ1の複数のコアCに対し垂直に入射する。
また、第1光学系21と第2光学系22とを別体で作成し、それらを組み合わせることで結合部材20を構成することも可能である。具体的には、第1光学系21及び第2光学系22それぞれを媒体A1及び媒体A2により作成する。そして、第1光学系21の端面及び第2光学系22の端面を接着剤で固定することにより、一体の結合部材20を形成する。接着剤は、媒体A1の屈折率と同程度の屈折率を有する。
[第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例3]
図9は、結合部材20、ファイバ束10及びマルチコアファイバ1の軸方向の断面を示す概念図である。本変形例では、第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2で示した結合部材20を構成する第1光学系21及び第2光学系22としてGRINレンズを使用する例を述べる。
[結合部材の構成]
本変形例における結合部材20は、GRINレンズを有する。GRINレンズとは、レンズを構成する媒体をイオン交換処理することにより、レンズ内の屈折率分布を調整し、拡散する光を曲げて光を集める屈折率分布型のレンズである。イオン交換の処理方法により屈折率分布を調整することができる。GRINレンズとしては、たとえば、セルフォックレンズ(「セルフォック」は登録商標)を用いることができる。
第1光学系21はGRINレンズSL1を有する。GRINレンズSL1は、ファイバ束10(シングルコアファイバ100)からの光のモードフィールド径を変更するよう屈折率が調整された媒体から形成されている。本実施形態において、GRINレンズSL1は、ファイバ束10を形成するシングルコアファイバ100の数に対応し、複数設けられている。GRINレンズSL1は、「第1GRINレンズ」の一例である。
また、本変形例における複数のGRINレンズSL1それぞれは、第1光学部材SL1a及び第2光学部材SL1bを有する。第1光学部材SL1aは、一端がファイバ束10と接し、シングルコアファイバ100から入射して拡散する光をコリメートするよう屈折率分布が調整されている。第2光学部材SL1bは、一端が第1光学部材SL1aの他端と接し、第1光学部材SL1aでコリメートされた光を収束するよう屈折率分布が調整されている。第2光学部材SL1bで収束された光(結像点IPにおける光)のモードフィールド径は、シングルコアファイバ100からの光のモードフィールド径に比べ拡大されている。第1光学部材SL1a及び第2光学部材SL1bは、接着剤等により固定されることで一体のGRINレンズSL1を構成する。接着剤は、媒体の屈折率と同程度の屈折率を有する。
第2光学系22はGRINレンズSL2を有する。GRINレンズSL2は、モードフィールド径が変更された光の間隔を変更するよう屈折率が調整された媒体から形成されている。本変形例において、GRINレンズSL2は、複数のGRINレンズSL1からの光が入射するよう一つだけ設けられている。GRINレンズSL2は、「第2GRINレンズ」の一例である。
また、本変形例におけるGRINレンズSL2は、第3光学部材SL2a及び第4光学部材SL2bを有する。第3光学部材SL2aは、一端が第2光学部材SL1bの他端と接し、複数の第2光学部材SL1bからの光それぞれをコリメートするよう屈折率分布が調整されている。第4光学部材SL2bは、一端が第3光学部材SL2aの他端と接し、他端がマルチコアファイバ1と接する。第4光学部材SL2bは、第3光学部材SL2aからの光を収束するよう屈折率分布が調整されている。第4光学部材SL2bで収束された光は、対応するマルチコアファイバ1の各コアCに入射する。第3光学部材SL2a及び第4光学部材SL2bは、接着剤等により固定されることで一体のGRINレンズSL2を構成する。そして、第2光学部材SL1b及び第3光学部材SL2aが接着剤等により固定されることで、結合部材20は一体に形成される。
なお、GRINレンズSL1及びGRINレンズSL2は、複数の光学部材により形成されている必要はない。GRINレンズSL1及びGRINレンズSL2は、それぞれの機能を達成できるように屈折率が調整された媒体から形成されていればよい。すなわち、GRINレンズSL1及びGRINレンズSL2は、それぞれ一の光学部材で形成されていてもよい。或いは、GRINレンズSL1及びGRINレンズSL2を一の光学部材で形成することも可能である。
[光の進み方について]
次に、図9を参照して、本変形例に係る光の進み方について説明する。本変形例では、ファイバ束10から光が出射する構成について説明する。
まず、複数のシングルコアファイバ100内それぞれに設けられたコアCの端面Caから光が出射される。各端面Caから出射された光それぞれは、第1光学部材SL1aでコリメートされ、第2光学部材SL1bに入射する。第2光学部材SL1bに入射した光は、第2光学部材SL1bを構成する媒体の屈折率分布により収束される。第2光学部材SL1bを透過した光それぞれは、モードフィールド径が拡大された状態で結像点IPにおいて結像する。
第2光学部材SL1bを透過した光それぞれは、結像点IPを二次光源として第3光学部材SL2aに入射する(本実施形態では、結像点IPが、GRINレンズSL1とGRINレンズSL2との境界に位置するよう、各GRINレンズの屈折率が調整されている)。
第3光学部材SL2aに入射した光それぞれは、第3光学部材SL2aを構成する媒体の屈折率分布に基づいてコリメートされた状態で第3光学部材SL2aを通過し、第4光学部材SL2bに入射する。そして、第4光学部材SL2bに入射した光は、第4光学部材SL2bを構成する媒体の屈折率分布に基づいて収束され、且つ互いの間隔が狭められた状態でマルチコアファイバ1の複数のコアCに対し入射する。
[第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例4]
図10は、結合部材20、ファイバ束10及びマルチコアファイバ1の軸方向の断面を示す概念図である。本変形例では、結合部材20を構成する第1光学系21として複数のファイバFを使用し、第2光学系22としてGRINレンズSL2を使用する例を述べる。
[結合部材の構成]
本変形例における結合部材20は、第1光学系21及び第2光学系22を有する。
第1光学系21は、媒体として、複数のファイバF(k=1〜n)を有する。ファイバFは、一端がファイバ束10を構成するシングルコアファイバ100と接し、シングルコアファイバ100からの光それぞれのモードフィールド径を変更する。ファイバFは、光を伝送するコアC及びコアCを覆うクラッド3を含んで構成されている。シングルコアファイバ100と接する入射端におけるコアCの径は、シングルコアファイバ100のコアCの径とほぼ同じである。ファイバFは、ファイバ束10を構成するシングルコアファイバ100の数と等しい数だけ設けられる。
また、ファイバFは、入射端と出射端でコア径が異なる。具体的に、ファイバFは、シングルコアファイバ100と接する入射端におけるコアCの径よりもGRINレンズSL2と接する出射端におけるコアCの径のほうが大きくなるよう形成されている。ファイバFのコアCを通過する光は、出射端に近づくにつれてモードフィールド径が大きくなる。
ファイバFは、たとえば以下の方法により製造される。まず、一本のファイバの一部に対して熱を加え、ファイバを切断する。切断したファイバの端面に対して更に熱処理を行うことにより、一端のコア径が他端のコア径より大きいファイバFを得ることができる。
なお、本変形例では、第1光学系21を構成するファイバFとシングルコアファイバ100とが別体である例について述べたが、上記製造方法でシングルコアファイバ100を製造することにより、シングルコアファイバ100とファイバFとを一体で製造することも可能である。このように、シングルコアファイバ100とファイバFkとを一体で製造することにより、シングルコアファイバ100とファイバFとのアライメント調整が不要となる。
本変形例における第2光学系22は、第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例3で示したGRINレンズSL2が用いられる。GRINレンズSL2は、一端がファイバFの他端と接し、複数のファイバFそれぞれでモードフィールド径が変更された光の間隔を変更するよう屈折率が調整された媒体から形成されている。
[光の進み方について]
次に、図10を参照して、本変形例に係る光の進み方について説明する。本変形例では、ファイバ束10から光が出射する構成について説明する。
まず、複数のシングルコアファイバ100内それぞれに設けられたコアCの端面Caから光が出射される。各端面Caから出射された光それぞれは、ファイバFでモードフィールド径が拡大され、GRINレンズSL2に入射する。
GRINレンズSL2に入射した光それぞれは、第2光学系22を構成する媒体の屈折率分布に基づいて収束され、且つ互いの間隔が狭められた状態でマルチコアファイバ1の複数のコアCに対し入射する。
なお、第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2〜4において、結合部材20を介してマルチコアファイバ1とファイバ束10とを接続する場合、それぞれの接続部分で回転方向のアライメント調整が必要になる。本変形例では、アライメント調整が不要となる構成について説明する。以下、マルチコアファイバ1と結合部材20との接続に関して述べるが、結合部材20とファイバ束10との接続でも同様の構成を用いることが可能である。
図11Aは、結合部材20の端面を示す図である。図11Bは、マルチコアファイバ1の端面を示す図である。図11Cは、図11A及び図11BにおけるA−A断面を示す図である。
図11A及び図11Cに示すように、結合部材20の端面(マルチコアファイバ1と接続される側の端面)には、被嵌合部M1が設けられている。被嵌合部M1としては、たとえば、結合部材20の端面に少なくとも2つの穴部H(k=1〜n)が設けられる。本変形例では、穴部H〜穴部Hの3つが設けられている。
図11B及び図11Cに示すように、マルチコアファイバ1のクラッド2の端面2a(結合部材20と接続される側の端面)には、嵌合部M2が設けられている。嵌合部M2としては、たとえば、端面2aに少なくとも2つの突起部P(k=1〜n)が設けられる。本変形例では、穴部H〜穴部Hに対応する突起部P〜突起部Pの3つが設けられている。突起部Pのサイズは、穴部Hのサイズとほぼ同じ大きさに形成されている。
図11Cに示すように、結合部材20とマルチコアファイバ1とを接続する際、突起部Pと穴部Hとが嵌合するように接続することで、結合部材20の端面に対するマルチコアファイバ1の端面1bの位置は一意に決まる。すなわち、回転方向のアライメント調整が不要となる。なお、結合部材20の端面に嵌合部M2を設け、クラッド2の端面2aに被嵌合部M1を設けることも可能である。
また、第1実施形態から第3実施形態に共通の変形例2〜4における第1光学系21と第2光学系22とは任意の組み合わせが可能である。たとえば、結合部材20は、第1光学系21として第2実施形態におけるGRINレンズSL1を有し、第2光学系22として第1実施形態における両側テレセントリック光学系(凸レンズ部22a、凸レンズ部22b)を有することも可能である。
1 マルチコアファイバ
1b 端面
2 クラッド
2a 端面
10 ファイバ束
20 結合光学系
21 第1光学系
21a 凸レンズ
22 第2光学系
22a、22b 凸レンズ
100 シングルコアファイバ
101 クラッド
C、C コア
Ca、E 端面

Claims (7)

  1. 複数の光源、複数の受光素子、及び複数のシングルコアファイバを束ねたファイバ束のうちのいずれかの光学素子と、複数のコアがクラッドで覆われたマルチコアファイバとの間に配置され、前記光学素子と前記マルチコアファイバとを光学的に結合する結合光学系であって、前記光学素子及び前記マルチコアファイバの一方からなる入射側素子から入射する複数の光それぞれの開口数と、他方からなる出射側素子に向けて出射する複数の光それぞれの開口数とが等しくなるよう構成されており、
    前記結合光学系は、
    前記複数の光それぞれを収束させる第1光学系と、
    前記複数の光の間隔を変更する第2光学系と、
    を含み、
    前記第1光学系は、複数のレンズがアレイ状に配置された構成であり、
    前記第2光学系は、両側テレセントリック光学系であることを特徴とする結合光学系。
  2. 前記第1光学系は、前記第2光学系よりも前記光学素子側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の結合光学系。
  3. 前記第1光学系の倍率及び前記第2光学系の倍率は、以下の式を満たす値であることを特徴とする請求項1又は2記載の結合光学系。
    βm×βr=1
    但し、
    βm:第1光学系の倍率
    βr:第2光学系の倍率
  4. 前記複数のレンズ間のピッチが、前記複数の光源間のピッチ、前記複数の受光素子間のピッチ及び前記複数のシングルコアファイバ間のピッチのいずれかと等しいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の結合光学系。
  5. 前記第2光学系の倍率は、前記複数の光源間のピッチ、前記複数の受光素子間のピッチ及び前記複数のシングルコアファイバ間のピッチのいずれかと、前記マルチコアファイバのコア間のピッチとの比に等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の結合光学系。
  6. 前記入射側素子と、前記結合光学系と、前記出射側素子とは、前記入射側素子からの光の主光線それぞれが前記結合光学系の入射面に対して垂直に入射し、前記結合光学系の出射面から出射された前記光の主光線それぞれが前記出射側素子の受光面に対して垂直に入射する配置となっていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の結合光学系。
  7. 前記請求項1〜6のいずれかに記載の結合光学系を用いて、前記入射側素子から入射する複数の光それぞれの開口数と、前記出射側素子に向けて出射する複数の光それぞれの開口数とが等しくなるよう、前記光学素子と前記マルチコアファイバとを結合させることを特徴とする結合方法。
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