以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
本実施形態の接点装置について図1〜3を用いて説明を行う。なお、図1における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、固定接点32を有する固定端子33、及び固定接点32に接離する可動接点34を有する可動接触子35、及び可動接触子35を固定接点32側へ付勢する接圧ばね36からなる接点ブロック3と、前記可動接触子35に形成される挿通孔35aを移動自在に挿通して可動接触子35の固定接点側32への移動を規制する可動軸5、及び可動接点34が固定接点32に接離するように可動軸5を駆動させる電磁石ブロック2からなる駆動手段と、接点ブロック3で発生するアークを短時間で消弧するための永久磁石46とから構成される接点装置が知られている。
可動接触子35は、略矩形平板状に形成されて上面における長手方向(左右方向)の両端側に可動接点34が各々固着され、略中央に挿通孔35aが穿設されている。また、可動接触子35は、下面が接圧ばね36によって押圧される。
可動軸5は、可動接触子35における挿通孔35aを移動自在に挿通する軸部51と、当該軸部51の上端に設けられて可動接触子35の上面に当接し、可動接触子35の固定接点32側への移動を規制する矩形状の当接部52とから構成される。
当接部52は、軟鉄等の磁性材料から形成されていることから、当接部の機能とヨークの機能との両方を兼ね備えている。以下、当接部52をヨーク当接部52と称す。
永久磁石46は、略直方体状に形成されて可動接触子35の長手方向に対して略平行に設けられる。ここで、永久磁石46は、可動接触子35の前方側と後方側とに固定接点32と可動接点34とのギャップ(接点ギャップ)を介して互いに対向してそれぞれ配設され、対向する一対の永久磁石46は、互いに対向する面の極性が同一(本実施形態ではN極)となっている。つまり、前方の永久磁石46は、前面がS極で後面がN極となるように設けられ、後方の永久磁石46は、前面がN極で後面がS極となるように設けられている。
本実施形態の接点装置では、電磁石ブロック2によって可動軸37が上方へ移動されると、可動接触子35に対する固定接点32側への規制が解除され、可動接触子35は、接圧ばね37の付勢力によって固定接点32側へ移動する。これにより、可動接点34が固定接点32に当接して接点間が導通する。
ここで、一対の永久磁石46によって、図2に示すように、接点ブロック3の周囲に磁場が形成される。そのため、固定接点32と可動接点34との間(接点間)で発生するアークは、可動接触子35を流れる電流の方向がいずれの方向であっても、互いに離れる方向へ引き伸ばされて消弧される。詳しく説明すると、図2において、電流が可動接触子35を左から右へ流れる場合、左側の接点間で発生するアークは左後方へ引き伸ばされ、右側の接点間で発生するアークは右後方へ引き伸ばされてアーク電流の短絡を防止できる。また、図2において、電流が可動接触子35を右から左へ流れる場合、左側の接点間で発生するアークは左前方へ引き伸ばされ、右側の接点間で発生するアークは右前方へ引き伸ばされてアーク電流の短絡を防止できる。
なお、図2中の番号31は、後述する封止容器31を示す。
また、永久磁石46は、その長さL1が一対の固定接点32間の距離L2よりも長く、一対の永久磁石46の互いに対向する各面の中心を通って各永久磁石46と垂直に交わる中心線Xが、一対の固定接点32間の中点Oを通るように配設されている。そのため、左右各接点の周囲には、上記中心線Xを対象の軸とする左右対称な磁場が形成されて、左右各接点間で発生するアークは、上記磁場からそれぞれ等しい力を受けて引き伸ばされる。従って、左右各接点における接点消耗が略等しくなって安定した接点の開閉性能を得ることができる。
更に、図3に示すように、可動接触子35の長手方向の端面に対向して一対の永久磁石46を接続する第一のヨーク47を設けることができる。第一のヨーク47は、可動接触子35の長手方向の端面に対向する基部47a、及び基部47aの両端から当該基部47aに対して略垂直に各々延設されて一対の永久磁石46にそれぞれ接続する一対の延設部47bから略コの字状に形成される。ここで、一対の延設部47bは、一対の永久磁石46のS極側の面に接続される。つまり、一方の延設部47bは、前方の永久磁石46の前面に接続され、他方の延設部47bは、後方の永久磁石46の後面に接続される。
これにより、一対の永久磁石46から出る磁束は、第一のヨーク47に引き寄せられて漏れ磁束が抑制され、接点近傍の磁束密度を向上することができて接点間に発生するアークを引き伸ばす力が増大する。従って、第一のヨーク47を設けることで、永久磁石46のサイズを小さくしてもアークを引き伸ばす力を維持できるため、アーク遮断性能を維持しつつも接点装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
また、図4に示すように、一対の永久磁石46間において、当該一対の永久磁石46と略平行に配置されて可動接触子35の上面に当接するヨーク当接部52が設けられる。つまり、ヨーク当接部52は、一対の永久磁石46によって発生する磁束中に配設されて当該磁束の一部がヨーク当接部52へ垂直に入射する。ここで、ヨーク当接部52の前面及び後面から入射した各磁束は、ヨーク当接部52の略中央で反発し合って当該ヨーク当接部52の左右側面から各々出射し、接点部近傍を通り第一のヨーク47へ向かって進む。従って、ヨーク当接部52によって接点部近傍を通る磁束数が多くなり、アーク電流を引き伸ばす力が増大してアーク遮断性能を向上させることができる。つまり、ヨーク当接部52によって、一対の永久磁石46間に発生する磁束を効率よく接点部近傍へ誘導することができる。
また、図5(a)に示すように、一般的に近傍にヨークが設けられていない導体(接触子35)に電流が流れると、導体の中心を磁界の中心として同心円状に磁束が発生する。そのため、図5(a)において、導体内を右から左へ向かう磁束の数と導体内を左から右へ向かう磁束の数とが略等しく、導体に電磁力は発生しない。
しかし、本実施形態の接点装置では、接点間が導通した際、図5(b)に示すように、可動接触子35の上面に近接するヨーク当接部52の影響を受けて、当該可動接触子35の周囲に発生する磁界のバランスが崩れる。具体的に説明すると、図5(b)において、右から左に向かう磁束の多くはヨーク当接部52に引き寄せられて、図5(a)に示すようにヨークが可動接触子35の近傍に設けられていない場合に比べて、可動接触子35内を右から左に向かう磁束の数が減少する。以下、ヨーク当接部52を第二のヨーク52と称する。
一方、図5(b)において、左から右へ向かう磁束は全体的に上方へ移動して、図5(a)に示すようにヨークが可動接触子35の近傍に設けられていない場合に比べて、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束の数が増加する。
すると、可動接触子35内を左から右に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する上向きの電磁力は、可動接触子35内を右から左に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する下向きの電磁力に比べて大きくなり、可動接触子35には上向きの電磁力(吸引力)が働く。つまり、可動接触子35には、当該可動接触子35の変位方向と略平行(鉛直上向き)の固定接点側への吸引力が働く。
ここで、可動接触子35に作用する鉛直上向きの吸引力は、可動接触子35に発生する接点反発力(下向きの力)とは、180度反対方向の力であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。そのため、上記吸引力によって接点反発力を効率よく打ち消すことができ、接点間における接点圧の低下を低減することができる。
従って、本実施形態の接点装置は、一対の永久磁石46が設けられたことによって左右各接点における接点消耗が略等しくなり、更に、第二のヨーク52が可動接触子35を固定接点側へ吸引する、これにより、本実施形態の接点装置は、負荷短絡時の電磁反発力に対する耐量をアップさせつつ、安定したアーク遮断性能を備え、より安定した接点の開閉性能を得ることができる。
また、本実施形態では、第二のヨーク52が、ヨークと当接部の両方の機能を有していると共に、第二のヨーク52と軸部51とが一体成型されて可動軸5が構成される。したがって、一つの部品(可動軸5)が、ヨーク及び当接部及び軸部の機能を有することで部品点数を削減することができる。
なお、本実施形態では、第二のヨーク52と軸部51とが一体成型されているが、第二のヨーク52と軸部51とを別々に成型した後に、第二のヨーク52に軸部51を嵌挿する等して一体に形成するものであってもよい。
そして、上記本実施形態の接点装置は、例えば、図6に示すような電磁継電器に用いられる。
上記電磁継電器は、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)、図8(a)〜(c)に示すように、中空箱型のケース4内に、電磁石ブロック2及び接点ブロック3を一体に組み合わせて構成される内器ブロック1と、永久磁石46と、第一のヨーク47とを収納する。以下、図6(a)における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向とする。
電磁石ブロック2は、絶縁材料から形成され励磁巻線22が巻装される中空筒状のコイルボビン21、及び励磁巻線22の両端に各々接続されるコイル端子23、及びコイルボビン21の筒内に固定され通電された励磁巻線22によって磁化される固定鉄心24、及び固定鉄心24とはコイルボビン21の軸方向に対向してコイルボビン21の筒内に配置され励磁巻線22の通電の入切に応じて固定鉄心24に吸引されてコイルボビン21の筒内を軸方向に移動する可動鉄心25、及び磁性材料からなりコイルボビン21を包囲する継鉄26、及びコイルボビン21の筒内に配設されて可動鉄心25を下方へ付勢する復帰ばね27を備える。
また、接点ブロック3は、絶縁材料から下面が開口した中空箱型に形成される封止容器31、及び略円柱状に形成されて封止容器31の上面に貫設されて下面に固定接点32が設けられる固定端子33、及び固定接点32に接離する可動接点34を有して封止容器31内に配設される可動接触子35、及び可動接触子35の下面に当接し可動接触子35を固定接点33側へ付勢する接圧ばね36を備える。
コイルボビン21は、樹脂材料により上端及び下端に鍔部21a、21bが形成された中空円筒状に形成され、円筒部21cの外周には励磁巻線22が巻回されている。そして、円筒部21cの下端側の内径は、上端側の内径よりも拡径されている。
励磁巻線22は図8(c)に示すように、コイルボビン21の鍔部21aに設けられる一対の端子部121に端部が各々接続され、端子部121に接続されるリード線122を介して一対のコイル端子23とそれぞれ接続される。
コイル端子23は、銅等の導電性材料から形成され、半田等によりリード線122と接続される基部23aと、当該基部23aから略垂直に延設される端子部23bとから形成されている。
継鉄26は、図8(b)に示すように、コイルボビン21の上端側に配設される略矩形板状の第一の継鉄板26Aと、コイルボビン21の下端側に配設される略矩形板状の第二の継鉄板26Bと、第二の継鉄板26Bの左右両端より上方へ向けて延設され、第一の継鉄板26Aに接続される一対の第三の継鉄26Cとから構成される。
そして、第一の継鉄板26Aの上面側略中央には凹部26aが形成されており、当該凹部26aの略中央には挿通孔26cが形成されている。そして、当該挿通孔26cには、上端に鍔部28aが形成される有底円筒状の円筒部材28が挿通し、鍔部28aが凹部26aに接合される。ここで、円筒部材28の円筒部28b内の下端側には、磁性材料から略円柱状に形成された可動鉄心25が配設され、更に円筒部28bに磁性材料から略円柱状に形成された固定鉄心24が挿入されて、固定鉄心24と可動鉄心25とが対向配置される。
また、第一の継鉄板26Aの上面には、周縁部が第一の継鉄板26Aに固定され、略中央に固定鉄心24の上端に形成される鍔部24aを収納する空間を形成する凸部45aが設けられた金属からなるキャップ部材45が設けられており、当該キャップ部材45によって固定鉄心24の抜け止めがなされる。
そして、コイルボビン21の下端側の内周面と円筒部材28の外周面との間に形成される隙間部分には、磁性材料からなる円筒状のブッシュ26Dが嵌合されており、継鉄26と固定鉄心24と可動鉄心25と共に磁気回路を形成している。
復帰ばね27は、固定鉄心24の軸方向に形成される挿通孔24bを挿通すると共に、下端が可動鉄心25の上面と当接し、上端がキャップ部材45の下面に当接する。更に、復帰ばね27は、可動鉄心25とキャップ部材45との間に圧縮状態で設けられており、可動鉄心25を下方へ弾性付勢するものである。
可動軸5は、非磁性材料から上下方向に長い長尺丸棒状に形成される軸部51と、当該軸部51の上端に軸部51と一体に形成される磁性材料からなる鍔状の第二のヨーク52とから構成される。
軸部51は、キャップ部材45の凸部45aの略中央に形成される挿通孔45b、及び復帰ばね27を挿通し、下端部に形成されるねじ部51aが、可動鉄心25の軸方向に形成されるねじ孔25aに螺合することで可動鉄心25と接続される。
第二のヨーク52は、軟鉄から略矩形平板状に形成され、可動接触子35の固定接点側への移動を規制する。つまり、第二のヨーク52は、可動接触子35の移動を規制する当接部の機能とヨークの機能とを有する。
可動接触子35は、略矩形状に形成された本体部35aの左右両端側に可動接点34が固着されて略中央に形成される挿通孔35bに可動軸5が挿通される。
固定端子33は、銅等の導電性材料により略円柱状に形成され、上端に鍔部33aが形成され、下面に可動接点34に対向する固定接点32が固着されている。また、固定端子33の上面から軸方向へねじ孔33bが穿設されており、図示しない外部負荷等のねじ部が当該ねじ孔33bに螺合されることで接続される。
封止容器31はセラミック等の耐熱性材料から下面が開口した中空箱型に形成され、その上面には前記固定端子33が貫設する2つの貫通穴31aが並設される。そして、固定接点端子33が、鍔部33aを封止容器31の上面から突出させた状態で貫通穴31aに貫設されてろう付けにより接合される。また、図8(a)に示すように、封止容器31の開口周縁にはフランジ38の一端がろう付けにより接合される。そして、フランジ38の他端が第一の継鉄板26Aとろう付けにより接合されることで封止容器31は密閉される。
更に、封止容器31の開口部には、固定接点32と可動接点34との間で発生するアークを、封止容器31とフランジ38との接合部から絶縁するための絶縁部材39が設けられている。
絶縁部材39は、セラミックや合成樹脂等の絶縁性材料から上面が開口した略中空直方体状に形成され、下面略中央に形成される矩形枠39a内の凹部に前記キャップ部材45の凸部45aが嵌合される。また、絶縁部材39の周壁の上端側が封止容器31の周壁の内面に当接することで、固定接点32と可動接点34とからなる接点部から、封止容器31とフランジ部38とからなる接合部の絶縁を図っている。
更に、絶縁部材39の内底面の略中央には、接圧ばね36の内径と略同サイズの内径を有する円形枠39cが形成され、当該円形枠39cの略中央には、可動軸5が挿通する挿通孔39bが形成される。そして、当該円形枠39c内の凹部に可動軸5が挿通した接圧ばね36の下端部が嵌め込まれることで接圧ばね36の位置ずれが防止される。
加えて、接圧ばね36は、上端が可動接触子35の下面に当接して絶縁部材39と可動接触子35との間において圧縮状態で設けられることで、可動接触子35を固定接点32側へ弾性付勢するものである。
永久磁石46は、略直方体状に形成されて封止容器31の前面側及び後面側にそれぞれ封止容器に当接して配設される。一対の永久磁石46は、封止容器31を介して対向して設けられ、互いに対向する面の極性が同一となっている(本実施形態ではN極)。ここで、一対の永久磁石46は、封止容器31内の固定接点32と可動接点34との接点ギャップを介して対向している。
第一のヨーク47は、略矩形板状の基部47aと、当該基部47aの前後両端からそれぞれ当該基部47aに対して略垂直に延設される一対の延設部47bとから略コの字状に形成され、封止容器31の左右両側面側にそれぞれ配設される。基部47aは、封止容器31の左右側面に当接して設けられ、一対の延設部47bが、永久磁石46及び封止容器31を前後方向から挟み込んでいる。つまり、一対の延設部47bの内、一方の延設部47bが、前方の永久磁石46の前面(S極面)に当接し、他方の延設部47bが、後方の永久磁石46の後面(S極面)に当接している。
ケース4は、樹脂材料によって略矩形箱状に形成され、上面が開口した中空箱型のケース本体41と、ケース本体41の開口に覆設する中空箱型カバー42とから構成される。
ケース本体41は、左右側壁の前端に電磁継電器を取り付け面にねじ留めにより固定する際に用いられる挿通孔141aが形成された突部141が設けられている。また、ケース本体41の上端側の開口周縁には段部41aが形成されており、下端側に比べて外周が小さくなっている。そして、段部41aよりも上方の前面にはコイル端子23の端子部23bが嵌め込まれる一対のスリット41bが形成されている。更に、段部41aよりも上方の後面には、一対の凹部41cが左右方向に並設されている。
カバー42は、下面が開口した中空箱型に形成されており、後面にはケース本体41に組み付ける際にケース本体41の凹部41cに嵌まり込む一対の突部42aが形成されている。また、カバー42の上面には、上面を左右に略2分割する仕切り部42cが形成され、当該仕切り部42cによって2分割された上面にはそれぞれ、固定端子33が挿通する一対の挿通孔42bが形成される。
そして、図8(c)に示すように、ケース4に電磁石ブロック2及び接点ブロック3からなる内器ブロック1収納する際には、コイルボビン21の下端の鍔部21bとケース本体41の底面との間に略矩形状の下側クッションゴム43を介装し、封止容器31とカバー42との間に固定端子33の鍔部33aが挿通する挿通孔44aが形成された上側クッションゴム44を介装する。
上記電磁継電器では、復帰ばね27が接圧ばね36よりも高いばね係数を有しているため、復帰ばね27の付勢力によって可動鉄心25が下方へ摺動し、それに伴って可動軸5も下方へ移動する。これにより、可動軸5の第二のヨーク52の移動に伴って可動接触子35も下方へ移動するため、初期状態では可動接点34が固定接点32と離間した状態で設けられる。
そして、励磁巻線22が通電されると可動鉄心25が固定鉄心24に吸引されて上方へ摺動するため、可動鉄心25に連結された可動軸5も連動して上方へ移動する。これにより、可動軸5の第二のヨーク52が固定接点32側へ移動し、接圧ばね36の付勢力により可動接触子35も固定接点32側へ移動することで、可動接触子35に固着された可動接点34が固定接点32に当接して接点間が導通する。
上記構成からなる電磁継電器は、上記接点装置を備えていることから、安定した接点開閉性能を備えると共に、小型化、低コスト化を図ることができる。
また、一般的に電磁継電器は、電磁石ブロック2が備えるコイルボビン21のサイズによって前後方向の寸法が決定され、左右方向の寸法は、可動接点34が長手方向に沿って並設される可動接触子35の長手方向(左右方向)の寸法によって決定される。
詳しく説明すると、コイルボビン21は、上下両端に鍔部21a、21bが形成された円筒型であり、ケース4の前後方向の内寸は上記コイルボビン21の外形に応じて設定される。ここで、可動接触子35は、前後方向が短手方向であることから、上方から見ると可動接触子35の前後方向の両側から電磁石ブロック2が飛び出して見える。つまり、前後方向において、可動接触子35とケース4の内壁との間には、デッドスペースが存在している。
従って、可動接触子35の左右方向の両側に一対の永久磁石46を配設する場合には、ケース4の左右方向の寸法を更に大きくする必要がある。しかしながら、本実施形態では、可動接触子35の前後方向の両側に一対の永久磁石46を配設していることから、ケース4内の上記デッドスペースを有効活用でき、ケース4の大型化を防止することができる。
ここで、上記電磁継電器は、接点間が導通した際、可動接触子35の上面に可動軸5の第二のヨーク52が近接する。すると、図5(b)で説明した通り、可動接触子35の周囲に発生する磁界のバランスが崩れて、可動接触子35には、当該可動接触子35の変位方向と略平行の鉛直上向きの吸引力が働く。
従って、接点間に接点反発力が働いた場合であっても、可動接触子35には接点反発力とは180度反対方向の吸引力が働く。そのため、接点反発力を効率よく打ち消すことができ、接圧の低下や接点開離時のアークによる接点溶着等の不具合を防止することができる。
更に、第二のヨーク52が略平板状に形成されることで、第二のヨーク52の可動接触子35に対向する面における各点から可動接触子35までの距離がそれぞれ略一定となって、可動接触子35に働く吸引力を略均一にすることができる。
また、励磁巻線22への通電がオフされると、復帰ばね27の付勢力によって可動鉄心25が下方へ摺動し、それに伴って可動軸5も下方へ向かって移動する。そのため、第二のヨーク52が下方へ移動して可動接触子35も下方へ移動するので、固定接点32と可動接点34とが離間し、接点間が遮断される。
なお、第二のヨーク52は、図9に示すように、その前端及び後端がケース4の内壁に当接して設けられることで、接圧ばね36のばねの巻き方向の回転力等を受けた場合であっても別途部品を設けることなく回転が防止される。ここで、本実施形態では、第二のヨーク52の前端及び後端がケース4の内壁に当接しているが、第二のヨーク52の一部のみがケース4の内壁に当接して第二のヨーク52の回転が防止されるものであってもよい。
なお、本実施形態では、当接部52は、軟鉄から形成されることで、当接部とヨークとの両方の機能を有したヨーク当接部として用いられているが、当接部52を非磁性材料から形成して、別途ヨークを設けてもよい。その場合、ヨークは、一対の固定端子33の略中央に設けられると共に、可動軸の軸心に略対向して設けられる。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態の接点装置について図10を用いて説明を行う。なお、本実施形態の接点装置と実施形態1の接点装置とでは、一対の永久磁石46に対する可動接触子35の配置、及び一対の永久磁石46の厚みのみが異なり、実施形態1と共通する構造については、共通の符号を付して説明を省略する。なお、図10における上下左右を前後左右として説明を行う。更に、以下の説明では、可動接触子35に左から右へ向かって電流が流れているものとして説明を行う。
実施形態1で示した通り、左側の接点部で発生するアークは左後方へ引き伸ばされ、右側の接点部で発生するアークは右後方へひき伸ばされる(図10中の矢印参照)。ここで、本実施形態では、可動接触子35が、一対の永久磁石46間において前方の永久磁石46寄りに設けられている。つまり、可動接触子35を、一対の永久磁石46間の中央から前方の永久磁石46寄りに移動した分だけ、可動接触子35の後方側の空間が広くなっている。
従って、本実施形態の接点装置では、可動接触子35を流れる電流の向きが図10において右向きの場合に、アークを引き伸ばす距離を実施形態1に比べて長くすることができて、順方向電流に対してのアーク遮断性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、前方の永久磁石46の厚みが、後方の永久磁石46の厚みに比べて薄く形成されている。そのため、後方の永久磁石46によって発生する可動接触子35の後方側における磁場の強度が、前方の永久磁石46によって発生する可動接触子35の前方側における磁場の強度に比べて強くなっている。従って、アーク電流を後方側へ引き伸ばす力が強くなり、アーク遮断性能を更に向上させることができる。
なお、本実施形態では、可動接触子35に流れる電流の向きが右向き場合について説明しているが、電流の向きが逆向き(右から左)の場合にも適用可能である。但し、その場合には、可動接触子35を一対の永久磁石46間の中央から後方の永久磁石46寄りに配置し、後方の永久磁石46の厚みを前方の永久磁石46の厚みよりも薄くすればよい。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態3)
本実施形態の接点装置について図11を用いて説明を行う。なお、本実施形態の接点装置と実施形態1の接点装置とでは、可動軸5の第二のヨーク53の形状のみが異なり、実施形態1と共通する構造については、共通の符号を付して説明を省略する。なお、図11における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の第二のヨーク53は、図11に示すように、略矩形平板状の基部53aと、当該基部53aの前後両端から下方へ向けて延設された一対の延設部53bとから断面略コの字状に形成されている。
そして、接点間が導通した際には、第二のヨーク53の基部53aの下面が可動接触子35の上面に近接すると共に、一対の延設部53bがそれぞれ可動接触子35の前端及び後端に近接する。
すると、図12に示すように、可動接触子35の上面及び前端及び後端に近接する第二のヨーク53の影響を受けて、当該可動接触子35の周囲に発生する磁界のバランスが崩れる。具体的に説明すると、図12において可動接触子35内を右から左に向かう磁束の多くは、第二のヨーク53に引き寄せられる。そのため、前記図6(b)に示す平板状の第二のヨーク52が可動接触子35の近傍に設けられている場合に比べて、可動接触子35内を右から左に向かう磁束の数が更に減少する。
一方、図12において、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束は、全体的に上方へ移動して、前記図6(b)に示す平板状の第二のヨーク52が可動接触子35の近傍に設けられている場合に比べて、可動接触子35内を左から右へ向かう磁束の数が更に増加する。
すると、可動接触子35内を左から右に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する上向きの電磁力が、可動接触子35内を右から左に向かう磁束によって当該可動接触子35に作用する下向きの電磁力に比べて更に大きくなる。そのため、可動接触子35には、当該可動接触子35の変位方向と略平行でより大きな鉛直上向きの電磁力(吸引力)が働く。
ここで、可動接触子35に作用する鉛直上向きの吸引力は、可動接触子35に発生する接点反発力(下向きの力)とは、180度反対方向の力であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。そのため、実施形態1に比べて可動接触子35に更に大きな上向きの吸引力が発生して、接点間の接点圧の低下をより一層防止することができる。
従って、本実施形態の接点装置では、第二のヨーク53によって可動接触子35に対して、実施形態1よりも更に強い接点反発力を打ち消す力(吸引力)が働く。すなわち、本実施形態の接点装置は、負荷短絡時の電磁反発力に対する耐量をアップさせつつ、安定したアーク遮断性能を備え、より安定した接点の開閉性能を得ることができる。且つ、また、本実施形態では、第二のヨーク53が、ヨークと当接部の両方の機能を有していると共に、第二のヨーク53と軸部51とが一体に形成されて可動軸5が構成される。したがって、一つの部品(可動軸5)が、ヨーク及び当接部及び軸部の機能を有することで部品点数を削減することができる。
また、第二のヨーク53は、一対の延設部53bが、共にケース4の内壁に当接して設けられることで、接圧ばね36のばねの巻き方向の回転力等を受けた場合であっても別途部品を設けることなく回転が防止される。なお、本実施形態では、一対の延設部53bが、共にケース4の内壁に当接するが、一方の延設部53bのみがケース4の内壁に当接して第二のヨーク53の回転が防止されるものであってもよい。
また、本実施形態では、第二のヨーク53と軸部51とが一体成型されているが、第二のヨーク53と軸部51とを別々に成型した後に、第二のヨーク53に軸部51を嵌挿する等して一体に形成するものであってもよい。
なお、本実施形態では、当接部53は、軟鉄から形成されることで、当接部とヨークとの両方の機能を有したヨーク当接部として用いられているが、当接部53を非磁性材料から形成して、別途ヨークを設けてもよい。その場合、ヨークは、一対の固定端子33の略中央に設けられると共に、可動軸の軸心に略対向して設けられる。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態4)
本実施形態の接点装置について図13を用いて説明を行う。但し、実施形態1と共通する構造については、共通の符号を付して説明を省略する。なお、図13における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態における接点装置と、図1に示す実施形態1の接点装置とで異なる点は、可動接触子35の下面に当該可動接触子35を介して第二のヨーク52に対向する、例えば軟鉄等の磁性材料からなるヨーク板6(以下、第三のヨーク6と称する)が固着されている点である。
本実施形態の接点装置では、駆動手段2によって可動軸5が上方へ変位すると、それに伴って可動軸5の第二のヨーク52も上方へ変位する。すると、第二のヨーク52の上方への変位に伴って可動接触子35の上方(固定接点32側)への規制が解除されて、可動接触子35は接圧ばね36の付勢力によって上方へ変位する。そして、可動接触子35に設けられた可動接点34が、固定接点32に当接することで接点間が導通する。その際、第二のヨーク52は、駆動手段2によって変位後の位置が保たれて、接圧ばね36によって上方へ保持された可動接触子35に当接または近接する。
また、接点間が導通して可動接触子35に電流が流れることで当該可動接触子35の周囲に磁場が発生し、図14に示すように、第二のヨーク52と第三のヨーク6とを通る磁束が形成されて、第二のヨーク52と第三のヨーク6との間に第一の磁気吸引力が発生する。
そして、第二のヨーク52と第三のヨーク6との間に働く第一の磁気吸引力によって、第三のヨーク6が第二のヨーク52に吸引される。つまり、第三のヨーク6が固着された可動接触子35に、当該可動接触子35の変位方向と略平行な(可動接触子35を固定接点32側へ押し付ける)上向きの力が働く。
ここで、可動接触子35に上向きの力を及ぼす第二のヨーク52と第三のヨーク6との間に働く第一の磁気吸引力は、可動接触子35に発生する接点反発力(下向きの力)とは、略180度反対方向の力であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。そのため、本実施形態の接点装置では、上記第一の磁気吸引力によって接点反発力を効率よく打ち消すことができ、接点間における接圧の低下を低減することができる。
従って、本実施形態の接点装置は、負荷短絡時の電磁反発力に対する耐量をアップさせつつ、安定したアーク遮断性能を備え、より安定した接点の開閉性能を得ることができる。
また、本実施形態では、第二のヨーク52が、ヨークと当接部の両方の機能を有していると共に、第二のヨーク52と軸部51とが一体成型されて可動軸5が構成される。したがって、一つの部品(可動軸5)が、ヨーク及び当接部及び軸部の機能を有することで部品点数を削減することができる。
なお、本実施形態では、第二のヨーク52と軸部51とが一体成型されているが、第二のヨーク52と軸部51とを別々に成型した後に、第二のヨーク52に軸部51を嵌挿する等して一体に形成するものであってもよい。
また、固定端子32側の第二のヨーク52は、第三のヨーク6に比べて固定端子33からの磁束をより強く受けることで、磁束密度が高くなっている。そのため、第二のヨーク52の上下方向における厚みを厚くする方が、第三のヨーク6の上下方向の厚みを厚くするよりも、上記第一の磁気吸引力を効率的に増大させることができる。従って、第二のヨーク52の厚みを厚くすることで、接点間の接圧の低下をより確実に防止することができる。
また、本実施形態では、当接部52が、磁性材料から形成されることで、当接部とヨークとの両方の機能を有した第二のヨーク52として用いられているが、当接部52を非磁性材料から形成して、別途ヨークを設けてもよい。その場合、ヨークは、一対の固定端子33の略中央に設けられると共に、可動軸5の軸心に対向して設けられる。
更に、本実施形態では、第二のヨーク52及び第三のヨーク6が、略矩形平板状に形成されていることから、第二のヨーク52の第三のヨーク6に対向する面における各点から第三のヨーク6までの距離がそれぞれ略一定となって、第三のヨーク6に働く第一の磁気吸引力を均一にすることができる。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態5)
本実施形態の接点装置について図15を用いて説明を行う。なお、本実施形態の接点装置と実施形態4の接点装置とでは、ヨーク板7(第三のヨーク)の形状のみが異なり、実施形態4と共通する構造については、共通の符号を付して説明を省略する。なお、図15における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の第三のヨーク7は、図15に示すように、略矩形平板状の基部7aと、当該基部7aの前後両端から上方へ向けて延設された一対の延設部7bとから断面略コの字状に形成されている。
そして、図16に示すように、接点間が導通した際には、第三のヨーク7における延設部7bの先端が、第二のヨーク52に近接することで、実施形態3に比べて第二のヨーク52と第三のヨーク7とのギャップが小さくなり、第三のヨーク7は第二のヨーク52からより強い第一の磁気吸引力を受ける。つまり、可動接触子35には、より大きな上向きの力が働く。
従って、本実施形態の接点装置では、第二のヨーク52と第三のヨーク7との間に働く第一の磁気吸引力が実施形態4に比べて大きく、接触子35に対して更に大きな上向きの力が発生して、接点間の接圧の低下をより一層防止することができる。
ここで、上記第一の磁気吸引力は、可動接触子35に発生する接点反発力(下向きの力)とは、略180度反対方向の力(上向きの力)であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。
従って、本実施形態の接点装置は、一対の永久磁石46が設けられたことによって左右各接点における接点消耗が略等しくなり、更に、可動接触子35が、実施形態4よりも更に強い第一の磁気吸引力で固定接点32側へ吸引される。すなわち、本実施形態の接点装置は、安定したアーク遮断性能を備えると共に、第三のヨーク7によって固定接点32側へ押圧されて、より安定した接点の開閉性能を有している。
また、本実施形態では、第二のヨーク52が、ヨークと当接部の両方の機能を有していると共に、第二のヨーク52と軸部51とが一体に形成されて可動軸5が構成される。したがって、一つの部品(可動軸5)が、ヨーク及び当接部及び軸部の機能を有することで部品点数を削減することができる。
また、本実施形態では、第二のヨーク52と軸部51とが一体成型されているが、第二のヨーク52と軸部51とを別々に成型した後に、第二のヨーク52に軸部51を嵌挿する等して一体に形成するものであってもよい。
なお、本実施形態では、第二のヨーク52は、磁性材料から形成されることで、当接部とヨークとの両方の機能を有したヨーク当接部として用いられているが、当接部52を非磁性材料から形成して、別途ヨークを設けてもよい。その場合、第二のヨーク52は、一対の固定端子33の略中央に設けられると共に、可動軸の軸心に略対向して設けられる。
加えて、第三のヨーク7における基部7aの下面略中央には、略円環状の溝部71aが形成されており、当該溝部71aに接圧ばね36の上端が嵌まり込むことで当該接圧ばね36のすわりが安定し、可動接触子35に接点反発力が発生した際に、当該可動接触子35に均一な力が作用して接点反発力に対する耐力を安定して得ることができる。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態6)
本実施形態の接点装置について図17を用いて説明を行う。なお、本実施形態の接点装置と実施形態5の接点装置とでは、ヨーク当接部53(第二のヨーク53)の形状のみが異なり、実施形態5と共通する構造については、共通の符号を付して説明を省略する。なお、図17における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の第二のヨーク53は、図17に示すように、略矩形平板状の基部53aと、当該基部53aの前後両端から下方へ向けて延設された一対の延設部53bとから断面略コの字状に形成されている。
そして、図18に示すように、接点間が導通した際には、第二のヨーク53の延設部53bの先端面が、第三のヨーク7の延設部7bの先端面に近接し、第二のヨーク53と第三のヨーク7との間に働く第一の磁気吸引力がより一層大きくなる。更に、延設部53bの先端面と延設部7bの先端面との間のギャップが可動接触子35の側端部の略中央に対向するように設定されることで、第二のヨーク53と第三のヨーク7との間のギャップから発生する漏れ磁束を低減でき、第二のヨーク53と第三のヨーク7との間に働く第一の磁気吸引力を実施形態5に比べてより一層高めることができる。つまり、可動接触子35には、当該可動接触子35の変位方向と略平行な更に大きな上向きの力が働く。
従って、本実施形態の接点装置は、一対の永久磁石46が設けられたことによって左右各接点における接点消耗が略等しくなり、更に、可動接触子35が、第三のヨーク7から実施形態4よりも更に強い力で固定接点32側へ押圧される。すなわち、本実施形態の接点装置は、安定したアーク遮断性能を備えると共に、より一層安定した接点の開閉性能を有している。
ここで、上記第一の磁気吸引力は、可動接触子35に発生する接点反発力(下向きの力)とは、略180度反対方向の力(上向きの力)であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。
また、本実施形態では、第二のヨーク53が、ヨークと当接部の両方の機能を有していると共に、第二のヨーク53と軸部51とが一体に形成されて可動軸5が構成される。したがって、一つの部品(可動軸5)が、ヨーク及び当接部及び軸部の機能を有することで部品点数を削減することができる。
また、本実施形態では、第二のヨーク53と軸部51とが一体成型されているが、第二のヨーク53と軸部51とを別々に成型した後に、第二のヨーク53に軸部51を嵌挿する等して一体に形成するものであってもよい。
なお、本実施形態では、当接部53は、磁性材料から形成されることで、当接部とヨークとの両方の機能を有したヨーク当接部として用いられているが、当接部53を非磁性材料から形成して、別途ヨークを設けてもよい。その場合、ヨークは、一対の固定端子33の略中央に設けられると共に、可動軸の軸心に略対向して設けられる。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態7)
本実施形態の接点装置について図19、20を用いて説明を行う。なお、図19における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、固定接点32が下端に設けられた固定端子33と、固定接点32に接離する可動接点61を有する可動接触子68と、可動接触子68の上面に対向して配設される第二のヨーク69と、可動接触子68を固定接点32側へ付勢する接圧ばね65と、第二のヨーク69を保持する保持部材66と、保持部材66と連結される可動軸67と、可動接点61が固定接点32に接離するように可動軸67を駆動させる電磁石ブロック2とを備えている。なお、固定接点32、固定端子33、電磁石ブロック2については、実施形態1と共通であるため同様の符号を付して説明を省略する。
可動接触子68は、略矩形板状に形成されて上面の長手方向(左右方向)両端側に可動接点61がそれぞれ設けられている。
第二のヨーク69は、軟鉄等の磁性材料から平板状に形成され、可動接触子62の上面に対向して設けられる。
接圧ばね65は、上端が可動接触子68の下面略中央に当接し、可動接触子68の下面略中央に突設される突部68aが、接圧ばね65の上端側内径部に嵌挿する。
保持部材66は、略矩形板状の基部661と、基部661の前後方向両端から上方へそれぞれ延設される一対の狭持部662と、一対の狭持部662の先端が前後方向において内側へ向けて折曲されてなる当接部663とから構成される。
そして、一対の狭持部662間に、下端が基部661の上面に当接する接圧ばね65、及び接圧ばね65に下面が押圧される可動接触子68、及び下面が可動接触子68の上面に対向して一対の狭持部662によって保持される第二のヨーク69が配設される。
ここで、保持部材66における基部661の上面略中央には、略円柱状の突部664が突設されており、当該突部664が接圧ばね65の下端側内径部に嵌挿する。これにより、接圧ばね65が、基部661と可動接触子68との間に圧縮状態で固定され、可動接触子68を固定接点32側(上方)へ付勢する。そして、接圧ばね65の付勢力によって可動接触子68は固定端子33側(上方)へ移動しようとするが、可動接触子68の上面が当接部663により上方への移動が規制された第二のヨーク69に当接することで、固定接点32側への移動が規制される。
可動軸67は、上下方向に長い略棒体状に形成されて下端側に電磁石ブロック2が接続され、上端に保持部材66の基部661が固定される。
そして、上記構成からなる本実施形態の接点装置では、駆動手段2によって可動軸67が上方へ変位すると、それに伴って可動軸67に接続された保持部材66も上方へ変位する。すると、当該変位に伴って、保持部材66に保持された第二のヨーク69も上方へ移動し、これにより可動接触子68に対する上方への移動の規制が解除される。そして、可動接触子68は、接圧ばね65の付勢力によって上方へ移動し、可動接触子68に設けられた可動接点61が固定接点32に当接して接点間が導通する。
ここで、接点間が導通して可動接触子62に電流が流れることで、実施形態1の図5(b)で説明した通り、可動接触子68には上向きの電磁力(吸引力)が働く。つまり、可動接触子68には、当該可動接触子68の変位方向と略平行(鉛直上向き)の固定接点側への吸引力が働く。
ここで、可動接触子68に作用する鉛直上向きの吸引力は、可動接触子68に発生する接点反発力(下向きの力)とは、180度反対方向の力であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。そのため、上記吸引力によって接点反発力を効率よく打ち消すことができ、接点間における接点圧の低下を低減することができる。
従って、本実施形態の接点装置は、一対の永久磁石46が設けられたことによって左右各接点における接点消耗が略等しくなり、更に、第二のヨーク69が可動接触子35を固定接点側へ吸引する、これにより、本実施形態の接点装置は、負荷短絡時の電磁反発力に対する耐量をアップさせつつ、安定したアーク遮断性能を備え、より安定した接点の開閉性能を得ることができる。
なお、固定接点32は、固定端子33に一体に設けられるもの、若しくは、別体に設けられるもののいずれであってもよい。同様に、可動接点61は、可動接触子62に、一体に設けられるもの、若しくは、別体に設けられるもののいずれであってもよい。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態8)
本実施形態の接点装置について図21〜25を用いて説明を行う。なお、図21における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
本実施形態の接点装置は、固定接点32が下端に設けられた固定端子33と、固定接点32に接離する可動接点61を有する可動接触子62と、可動接触子62の上面に対向して配設される第二のヨーク63と、可動接触子62の下面に対向して配設される第三のヨーク64と、可動接触子62を固定接点32側へ付勢するための接圧ばね65と、第二のヨーク63を保持する保持部材66と、保持部材66と連結される可動軸67と、可動接点61が固定接点32に接離するように可動軸67を駆動させる電磁石ブロック2とを備えている。なお、固定接点32、固定端子33、電磁石ブロック2については、実施形態1と共通であるため同様の符号を付して説明を省略する。
可動接触子62は、略矩形板状に形成されて上面の長手方向(左右方向)両端側に可動接点61がそれぞれ設けられている。また、可動接触子62における各長辺の略中央には、略矩形状の切欠部62aが形成されている。
第二のヨーク63は、軟鉄等の磁性材料から断面略コの字状に形成され、可動接触子62の上面に対向する略矩形板状の基部631と、基部631の両端が折曲されて下方へ延設されてなる一対の延設部632とから構成される。そして、第二のヨーク63は、可動接触子62の切欠部62aに延設部632が挿通することで可動接触子62の左右方向の移動を規制する。
第三のヨーク64は、軟鉄等の磁性材料から略矩形板状に形成され、可動接触子62の下面に固着されて可動接触子62を介して第二のヨーク63に対向する。そして、第二のヨーク63における一対の延設部632の先端が、第三のヨーク64における上面に対向し、可動接触子62が、第一、第二のヨーク63,64に挟み込まれる。なお、本実施形態では、第三のヨーク64が可動接触子62に固着して当該可動接触子62と一体に設けられているが、第三のヨーク64は、可動接触子62の下面に当接して当該可動接触子62と別体に設けられるものであってもよい。
接圧ばね65は、上端が第三のヨーク64の下面に当接し、第三のヨーク64の下面略中央に突設される突部64aが、接圧ばね65の上端側内径部に嵌挿する。
保持部材66は、略矩形板状の基部661と、基部661の前後方向両端から上方へそれぞれ延設される一対の狭持部662と、一対の狭持部662の先端が内側へ向けて折曲されてなる当接部663とから構成される。
そして、一対の狭持部662間に、第二、第三のヨーク63,64に挟み込まれた可動接触子62、及び接圧ばね65が配設され、第二のヨーク63は一対の狭持部662によって保持される。
ここで、保持部材66における基部661の上面略中央には、略円柱状の突部664が突設されており、当該突部664が接圧ばね65の下端側内径部に嵌挿する。これにより、接圧ばね65が、基部661と第三のヨーク64との間に圧縮状態で固定され、第三のヨーク64を介して可動接触子62を固定接点32側(上方)へ付勢する。そして、接圧ばね65の付勢力によって可動接触子62は固定端子33側(上方)へ移動しようとするが、当該可動接触子62の上面が当接部663により上方への移動が規制された第二のヨーク63に当接することで、固定接点32側への移動が規制される。
可動軸67は、上下方向に長い略棒体状に形成されて下端側に電磁石ブロック2が接続され、上端に保持部材66の基部661が固定される。
そして、上記構成からなる本実施形態の接点装置では、駆動手段2によって可動軸67が上方へ変位すると、それに伴って可動軸67に接続された保持部材66も上方へ変位する。すると、当該変位に伴って、保持部材66に保持された第二のヨーク63も上方へ移動し、これにより可動接触子62に対する上方への移動の規制が解除される。そして、可動接触子62は、接圧ばね65の付勢力によって第三のヨーク64と共に上方へ移動し、可動接触子62に設けられた可動接点61が固定接点32に当接して接点間が導通する。
ここで、接点間が導通して可動接触子62に電流が流れることで、可動接触子62の周囲に磁場が発生し、図23に示すように、第二、第三のヨーク63,64を通る磁束が形成される。これにより、当該第二、第三のヨーク63,64との間に磁気吸引力が発生して、第三のヨーク64が第二のヨーク63に吸引される。そのため、第三のヨーク64が、可動接触子62の下面を押圧して、当該可動接触子62を固定接点32側へ押し付ける上向きの力が働く。
ここで、第三のヨーク64に働く磁気吸引力は、可動接触子62に発生する接点反発力(下向きの力)とは、略180度反対方向の力であるため、当該接点反発力を最も効率よく打ち消す方向に働く力となっている。
従って、本実施形態の接点装置は、安定したアーク遮断性能を備えると共に、第三のヨーク64が可動接触子62を固定接点32側へ押圧することから、安定した接点の開閉性能を有している。
また、接点間が導通した後、可動軸67が更に固定接点32側へ駆動された際(以下、オーバートラベル時と称す)、可動接触子62は固定端子33に当接して上方への移動が規制されているため、保持部材66に保持された第二のヨーク63が可動接触子62から離間する。ここで、例えば、図24(a)に示すように、第二のヨークとして略平板状のヨーク63´を用い、第三のヨークとして略コの字状のヨーク64´を用いた場合、ヨーク63´の磁路とヨーク64´の磁路とが連続しないため、ヨーク63´とヨーク64´との間で漏れ磁束が発生する。
しかし、本実施形態の接点装置では、第二のヨーク63が略コの字状に形成されていることから、オーバートラベル時においても、図24(b)に示すように、第二のヨーク63の延設部632が可動接触子62に接触するため、可動接触子62を介して第二のヨーク63の磁路と第三のヨーク64の磁路とが連続して漏れ磁束が防止される。従って、第二のヨーク63と第三のヨーク64との間で漏れ磁束が発生することを防止でき、第三のヨーク64に働く磁気吸引力の低下を防止することができる。
更に、図25に示すように、略コの字状の第二のヨーク63は、可動接触子62に対する対向面積S1が、平板状の第三のヨーク64の可動接触子62に対する対向面積S2に比べて大きいため、可動接触子62からの磁束をより受け易く、更に、第二のヨーク63の磁路長L1は、第三のヨーク64の磁路長L2に比べて長くなっている。そのため、第二のヨーク63の上下方向の厚みを厚くする方が、第三のヨーク64の上下方向の厚みを厚くするよりも、第三のヨーク64に働く磁気吸引力を効率的に増大させることができる。
また、第二のヨーク63は、第三のヨーク64比べて固定端子33の近くに位置し、当該固定端子33からの磁束を受け易いため、第三のヨーク64よりも磁束密度が高くなる。
以上のことから、固定端子33側の第二のヨーク63を略コの字状に形成することで、第三のヨーク64に対する磁気吸引力を効率的に増大させることができ、例えば、第二のヨーク63を平板状とした場合に得られる第三のヨーク64に対する磁気吸引力を、当該平板状のヨークに比べて厚みの薄い略コの字状のヨークで得ることができる。従って、第二のヨーク63を略コの字状とすることで、第三のヨーク64に対する磁気吸引力を保ちつつも当該第二のヨーク63の厚みを抑えることができ、接点装置の小型化を図ることができる。
なお、固定接点32は、固定端子33に一体に設けられるもの、若しくは、別体に設けられるもののいずれであってもよい。同様に、可動接点61は、可動接触子62に、一体に設けられるもの、若しくは、別体に設けられるもののいずれであってもよい。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。
(実施形態9)
本実施形態の接点装置について図26を用いて説明を行う。なお、本実施形態の接点装置は、実施形態1乃至8いずれか記載の接点装置において、一対の永久磁石46間に永久磁石片48を配置したものである。なお、実施形態1乃至8いずれの接点装置に永久磁石48設けた場合であっても、同様の作用効果を得ることができるため、本実実施形態では、実施形態1の接点装置に永久磁石片48を設けた場合についての説明を行う。以下、図26における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
永久磁石片48は、略直方体状に形成されて一対の永久磁石46間の略中央に配設されて可動接触子35の上面に対向し、更に、一対の第一のヨーク47間の略中央に位置している。ここで、永久磁石48は、一対の永久磁石46及び一対の第一のヨーク47それぞれに対して互いに対向する面が略平行となるように配設されている。
そして、永久磁石片48は、一対の永久磁石46それぞれに対向する各面(第一の面)の極性が、当該第一の面に対向する永久磁石46の面の極性とは異極(S極)に設定され、一対の第一のヨーク47に対向する各面(第二の面)の極性が、第一の面の極性とは異極(N極)に設定されている。つまり、永久磁石片48は、左右各側面の極性がN極に設定され、前後各側面の極性がS極に設定されている。そのため、一対の永久磁石46間及び一対の第一のヨーク47間に発生する磁束は、永久磁石片48に引き寄せられて当該永久磁石46によって中継される。
従って、本実施形態の接点装置は、永久磁石片48が設けられたことで、一対の永久磁石46間及び一対の第一のヨーク47間における漏れ磁束が抑制され、各接点部近傍の磁束密度が向上する。従って、永久磁石片48を設けることで、各接点部近傍の磁束密度が高くなり、接点部に発生するアークを引き伸ばす力が増大してアーク遮断性能を更に向上させることができる。
また、本実施形態の接点装置は、封止接点装置であってもよい。