JP5768218B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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洗濯物を収容した回転ドラム内で、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥等の各工程を制御するドラム式洗濯機に関するものである。
従来、この種のドラム式洗濯機は、図1に示すような構成をしている(例えば、特許文献1参照)。
この洗濯機では、洗濯機本体9内に、図示しないサスペンション構造によって水槽3が宙吊り状態に支持されている。水槽3内には、有底円筒形に形成された回転ドラム1が、その軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させて支持されている。水槽3の正面側には回転ドラム1の開口端に通じる衣類出入口8が形成され、洗濯機本体9の正面側の上向き傾斜面に設けられた開口部を開閉可能に閉じる扉7を開くことにより、衣類出入口8を通じて回転ドラム1内に対して洗濯物を出し入れすることができる。
回転ドラム1には、その周面に水槽3内に通じる多数の通水孔2が形成され、内周面の複数位置に攪拌突起(図示せず)が設けられている。この回転ドラム1は、水槽3の背面側に取り付けられたドラムモータ5によって正転及び逆転方向に回転駆動される。また、水槽3には、給水経路13及び排水経路10が配管接続され、注水弁12及び排水弁11の制御によって水槽3内への注水及び排水がなされる。
扉7を開き回転ドラム3内に洗濯物及び洗剤を投入して、洗濯乾本体9の例えば前面上部に設けられた入力手段18での操作により運転を開始させると、水槽3内には給水経路13から所定量の注水がなされ、ドラムモータ5により回転ドラム1が回転駆動されて洗濯工程が開始される。回転ドラム1の回転により、回転ドラム1内に収容された洗濯物は回転ドラム1の内周壁に設けられた攪拌突起によって回転方向に持ち上げられ、持ち上げられた適当な高さ位置から落下する攪拌動作が繰り返されるので、洗濯物には叩き洗いの作用が及んで洗濯がなされる。
所要の洗濯時間の後、汚れた洗濯液は排水経路10から排出され、回転ドラム1を高速回転させる脱水動作により洗濯物に含まれた洗濯液を脱水し、その後、水槽3内に給水経路13から注水してすすぎ工程が実施される。このすすぎ工程においても、回転ドラム1内に収容された洗濯物は、回転ドラム1の回転により攪拌突起により持ち上げられて落下する攪拌動作が繰り返されてすすぎ洗いが実施される。
このドラム式洗濯機には、回転ドラム1内に収容した洗濯物を乾燥する機能が設けられ、図示しない循環送風経路により、水槽3内の空気を排気して除湿し、加熱して乾燥させた空気を再び水槽3内に送風する。循環送風経路の途中には図示しない蒸発器などの除湿手段、凝縮器などの加熱手段からなるヒートポンプ、及び送風手段である循環ファンが設けられている。蒸発器と凝縮器は、循環空気との熱交換部をなして循環送風経路の最低位部に配置されている。
この循環ファンを回転駆動することにより、循環送風経路に空気の流れが発生して洗濯物を収容した回転ドラム1内の空気は通水孔2を通じて水槽3から循環ファン側への循環空気導入管路に排気され、循環ファンの上流に位置する蒸発器に水分を結露させて除湿することと、凝縮器との熱交換により加熱することとで常に乾燥した高温の空気とされる。
この乾燥した高温の空気は循環ファンから水槽3への送風管路に送り出されて水槽3内に送風される。水槽3内に送風された高温の乾燥空気は通水孔2を通じて回転ドラム1内に入って衣類などの洗濯物に曝されながら水槽3へと抜け、再度循環空気導入管路へと導入され、以上の循環送風経路での空気の循環の繰り返しにより乾燥工程が実施される。
この循環送風経路を利用した乾燥工程では、循環送風経路を循環される空気中に主として衣類などの洗濯物から発生する糸くずなどの異物が混じって循環し、蒸発器や凝縮器の目詰まり、循環ファンの回転部への噛み込み、循環ファンの内面への堆積といった乾燥工程を実施するのに支障を来し易いので、循環送風経路の途中に、循環空気中の異物を除去するフィルタが設けられている。
さらに、洗濯物の布質によって、水が含みやすいもの(綿など)と、水を含みにくいもの(化学繊維など)があるため、水を含みやすいものに対しても、布に含まれる水分がある程度抜けるように、脱水回転数及び時間が決まっている。また、乾燥工程においても、水を含みやすいものに対しても、乾燥が十分行えるようなシーケンスとなっている。
特開2009−95528号公報
しかしながら、このような従来のドラム式洗濯機では、洗濯物の布質によって、水が含みやすいもの(綿など)と、水を含みにくいもの(化学繊維など)の判定はなく、高速脱水動作を行っていたが、洗濯物に水を含みにくいものが多い場合、必要な脱水時間より長く掛かってしまうことや、乾燥工程においては不必要に乾燥をしてしまうことにより、シワが多く発生してしまうなどの課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、第1の脱水動作のブレーキ時間と、第2の脱水動作時のブレーキ時間の差により、水が含みやすいものと、水を含みにくいものの布質の判定を行うことによって、水を含みにくい洗濯物が多い場合の脱水時間を短くすることにより、必要な脱水時間より長く掛かってしまうという課題や、乾燥工程においては不必要に乾燥をしてしまうことにより、シワが多く発生してしまうという課題を解決することができるドラム式洗濯機を提供することを目的としている。
本発明は上記目的を達成するために、水平方向または傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラムと、前記回転ドラムを回転可能に洗濯機本体内で保持している水槽と、前記回転ドラムを回転駆動するドラムモータと、1軸または直交する2軸あるいは3軸の加速度が検知でき、前記水槽または前記洗濯機本体に取り付けられた加速度検知手段と、前記加速度検知手段の検知に基づいて、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の洗濯運転を制御や回転ドラムの回転を制御する制御手段を備え、前記制御手段は脱水動作において、第1の脱水動作のブレーキ時間と、第2の脱水動作時のブレーキ時間の差により、布質の判定を実施するようにしたことを特徴とするものである。
これにより、水を含みにくい洗濯物が多い場合は第1の脱水動作のブレーキ時間と第2の脱水動作時のブレーキ時間の差が少なくなるため、その後の高速脱水動作の時間を長くする必要がなく、脱水にかかる時間を短縮できる。
本発明のドラム式洗濯機は、第1の脱水動作のブレーキ時間と、第2の脱水動作時のブレーキ時間の差により、布質の判定を実施することで、洗濯物に水を含みにくいものが多い場合は第1の脱水動作のブレーキ時間と第2の脱水動作時のブレーキ時間の差が少ないため、その後の高速脱水動作の時間を長くする必要がなく、脱水にかかる時間を短縮できる。
本発明の実施の形態におけるドラム式洗濯機の断面図 同ドラム式洗濯機の制御回路の一部をブロック化した回路図 同ドラム式洗濯機の脱水工程モータ回転数を説明するための図 同ドラム式洗濯機のすすぎ工程モータ回転数を説明するための図 同ドラム式洗濯機の布質判定時の脱水動作のフローチャート
第1の発明は、水平方向または傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラムと、前記回転ドラムを回転可能に洗濯機本体内で保持している水槽と、前記回転ドラムを回転駆動するドラムモータと、1軸または直交する2軸あるいは3軸の加速度が検知でき、前記水槽または前記洗濯機本体に取り付けられた加速度検知手段と、前記加速度検知手段の検知に基づいて、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の洗濯運転を制御や回転ドラムの回転を制御する制御手段を備え、前記制御手段は脱水動作において、第1の脱水動作のブレーキ時間と、第2の脱水動作時のブレーキ時間の差により、布質の判定を実施するようにしたことを特徴とするものである。
これにより、水を含みにくい洗濯物が多い場合は第1の脱水動作のブレーキ時間と第2の脱水動作時のブレーキ時間の差が少ないため、その後の高速脱水動作の時間を長くする必要がなく、脱水にかかる時間を短縮できる。
第2の発明は、上記第1の発明において、第1の脱水動作時間と、第2の脱水動作時間を変化させ、第1、第2のブレーキ時間の差により、布質の判定を実施することを特徴とすることで、すすぎ前の間欠脱水時においても、布質判定をすることができる。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、加速度検知手段により検知された脱水動作時の振動値を補正係数とし、第1の脱水動作のブレーキ時間、または/および第2の脱水動作のブレーキ時間を補正することにより、布質の判定を正確に実施することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における洗濯機の断面図である。
図1に示すように、回転ドラム1は、有底円筒形に形成し、外周部に多数の通水孔2を全面に設け、水槽3内に回転自在に設置している。回転ドラム1の回転中心に略傾斜方向に回転軸4を設け、回転ドラム1の軸心方向を正面側から背面側に向けて下向きに傾斜させ、前方の扉7からの衣類の出し入れをしやすい、いわゆる、ななめドラム構成としている。
回転軸4に、水槽3の背面に取り付けたドラムモータ5を連結し、回転ドラム1を正転、逆転方向に回転駆動する。水槽3の正面側の上向き傾斜面に設けた開口部を扉7により開閉自在に覆い、この扉7を開いて、衣類出入口8より回転ドラム1内に洗濯物を出し入れする。
水槽3は、洗濯機本体9よりバネ体(図示せず)で揺動可能に垂下防振支持し、水槽3の下部に排水経路10の一端を接続し、排水経路10の他端を排水弁11に接続して水槽3内の洗濯水を排水するようにしている。洗濯機本体9上方の給水弁12は給水経路13を通して水槽3内に水を給水する。
制御装置16は内部に、ドラムモータ5、給水弁12、排水弁11等を駆動し、洗濯、すすぎ、脱水等の一連の洗濯行程を制御する制御手段17を有し、洗濯機本体9の上部に配設した運転コース等を設定する入力手段18および運転状況の報知を行う表示手段19と情報の信号伝達を行う。
高さ調節機能14は、略四角体形状の洗濯機本体9の前方下部両端に2つ取り付けられており、その軸部にねじ14aを構成し、回転することで洗濯機本体9を上下動させて高さの調節ができる構成である。
制御装置16等は、図2の制御回路の一部をブロック化した回路図に示すように、マイクロコンピュータからなる制御手段17を有し、制御手段17は、スイッチング手段駆動回路20を介してスイッチング手段21を制御し、排水弁11、給水弁12などの動作を制御し、洗濯運転などを制御する。
このとき、制御手段17は、ドラムモータ5のロータの位置を検出する位置検出手段22a、22b、22c、からの情報に基づいて、インバータ駆動回路23を介してドラムモータ5の回転数を可変制御する。
図3は縦軸をドラムモータ5の回転数[r/min]とし、脱水工程でのドラムモータ5の回転数の動きを、図5は布質判定時の脱水動作のフローチャートは示す。高速脱水動作である本脱水工程の前に、洗濯物の余分な水を飛ばし、高速脱水時の機体の振動を低減させるために、低速回転で動作する予備脱水1〜3の工程がある。予備脱水1〜3の低速脱水のブレーキ時間T1〜T3の差分を利用して布質判定を行う。ブレーキ時間の差分|T1−T2|または|T2−T3|等の時間を計測する。差が少ないほど、洗濯物に水を含みにくいものが多いと判定し、その後の本脱水の時間を設定より短くすることで、脱水にかかる時間を短縮できる。
また脱水工程だけでなく、すすぎ工程においては、間欠脱水の1回目の脱水時間T6と間欠脱水の2回目の脱水時間T7の時間を違う時間を設定し、洗濯物の脱水率を変化させる。図4は縦軸をドラムモータ5の回転数[r/min]とし、すすぎ工程でのドラムモータ5の回転数の動きを示す。間欠脱水時間を変化させた場合の間欠脱水のブレーキ時間T4、T5の差分を利用して布質判定を行う。ブレーキ時間の差分|T4−T5|の時間を計測する。差が少ないほど、洗濯物に水を含みにくいものが多いと判定し、その後の予備脱水の回数や時間、また本脱水の時間を設定より短くすることで、脱水にかかる時間を短縮できる。
加速度検知手段15は、水槽3の前後方向(X軸)、左右方向(Y軸)、垂直方向(Z軸)の3軸方向の加速度を検知できる構成とし、水槽3の上部に固着し、主に、脱水工程時の水槽3ないしは洗濯機本体9の振動を検知するようにしている。
洗濯運転の脱水工程において、ドラムモータ5により回転ドラム1を高速回転させるため、回転ドラム1内の洗濯物の偏りにより、アンバランス状態になると、水槽3ないしは洗濯機本体9の振動が大きくなる。この振動を加速度検知手段15の加速度を検知し出力する。この出力の値が許容範囲外になると、回転ドラム1の高速回転を停止させるようにしている。
上記脱水ブレーキ時間T1〜T5の値を算出する際に、脱水動作終了前の加速度を加速度検知手段15で検知し、加速度すなわち振動値によって決まる補正係数kを各脱水ブレーキ時間T1〜T5に掛けた値T1a〜T5a(T1a=k×T1)を使用し、ブレーキ時間の差分(例えば|T1a−T2a|)の時間を計測する。洗濯物のアンバランスが大きく水槽3の振動が大きくなった場合、ブレーキ時間が長くなるため、アンバランス状態によるブレーキ時間の増加を見込んでT1〜T5のいずれかまたは全てのブレーキ時間を補正することで、精度よくブレーキ時間の差分を検知し、布質判定の精度を高めることができる。
以上のように、本発明にかかるドラム式洗濯機は、脱水工程やすすぎ工程の脱水ブレーキ時間を利用し、第1の脱水動作のブレーキ時間と、第2の脱水動作時のブレーキ時間の差により、布質の判定を実施することができるので、洗濯機全般に有用である。
1 回転ドラム
2 通水孔
3 水槽
4 回転軸
5 ドラムモータ
6 バッフル
7 扉
8 衣類出入口
9 洗濯機本体
10 排水経路
11 排水弁
12 給水弁
13 給水経路
14 高さ調節機能
15 加速度検知手段
16 制御装置
17 制御手段
18 入力手段
19 表示手段
20 スイッチング手段駆動回路
21 スイッチング手段
22a、22b、22c 位置検出手段
23 インバータ駆動回路
24 インバータ回路
25 交流電源
26 全波整流回路
27 リアクタ
28 平滑コンデンサ
29 整流部

Claims (3)

  1. 水平方向または傾斜方向に回転中心軸を有する回転ドラムと、
    前記回転ドラムを回転可能に洗濯機本体内で保持している水槽と、
    前記回転ドラムを回転駆動するドラムモータと、
    1軸または直交する2軸あるいは3軸の加速度が検知でき、前記水槽または前記洗濯機本体に取り付けられた加速度検知手段と、
    前記加速度検知手段の検知に基づいて、洗い、すすぎ、脱水、及び乾燥の洗濯運転や回転ドラムの回転を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は脱水動作において、第1の脱水動作のブレーキ時間と、第2の脱水動作時のブレーキ時間の差により、布質の判定を実施するようにしたことを特徴とするドラム式洗濯機。
  2. 制御手段は第1の脱水動作時間と、第2の脱水動作時間を変化させるようにした請求項1記載のドラム式洗濯機。
  3. 前記加速度検知手段により検知された脱水動作時の振動値を補正係数とし、第1の脱水動作のブレーキ時間、または/および第2の脱水動作のブレーキ時間を補正することにより、布質の判定を実施するようにした請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
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