JP5751530B2 - 長尺導電性基板の電解めっき方法および銅張積層板の製造方法 - Google Patents
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そして、銅張積層板はフレキシブル配線基板に加工され、携帯電話など小型電子機器は勿論、液晶ディスプレイ等のドライバ回路のCOF(Chip on Film)実装で使用されている。
このような状況で金属化ポリイミド基板の外観品質に対しての要求も厳しくなってきている。その金属化ポリイミド基板の外観品質に対する要求としては、銅メッキ層のピンホールに対する対策が先ず希求され、さらに配線の微細化が進むにつれて金属化ポリイミド基板の銅メッキ層の表面凹凸などの表面欠陥の削減が求められている。
即ち、銅張積層板の品質を維持する端部処理方法は、銅張積層板の製造技術ではもちろん、長尺の銅箔等の表面処理技術においても開示されず解決するべき問題である。
さらに、本発明の長尺導電性基板の電解めっき方法をメタライジング法による銅張積層基板の製造方法に用いた場合、銅電解めっき膜の表面が平滑なために微細細線の配線工に適した銅張積層板を得ることができる。
以下、この電解めっき装置1を用いて、長尺導電性基板に長尺ポリイミドフィルムの表面に接着剤を介することなくスパッタリング法で金属薄膜を形成した金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムを用いたメタライジング法による銅張積層板の製造方法を例に、本発明の長尺導電性基板の電解めっき方法を説明する。
図1に示すように、本発明方法を実施するためのロールツーロール方式の電解めっき装置1は、めっき槽11、巻出ロール12、搬送用ガイドロール13、不溶解性陽極(以下、説明の便宜上「陽極」と略称する)14a〜14h、巻取ロール15、給電ロール16a〜16eとから構成されている。なお、Fは金属薄膜付長尺ポリイミドフィルム(長尺導電性基板)、Sは銅被覆長尺ポリイミドフィルム(銅張積層板)である。
各陽極は、可溶性の陽極を用いても不溶性の陽極を用いてもよい。
すなわち、陽極14aは、この陽極14aに接続した制御用電源と、給電ロール16aと、金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムFとにより電解めっき回路を構成するものである。陽極14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hについても同様に電解めっき回路を構成している。
金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムFは、巻出ロール12より幅方向を略水平にして巻き出されて搬送され、給電ロール16aによりめっき槽11のめっき液中に浸漬するように搬送方向を変えられ、めっき槽11内の搬送用ガイドロール13により反転されてめっき槽11のめっき液面方向へ搬送方向を変えられる。さらに、隣接する給電ロール16b、搬送用ガイドロール13、給電ロール16c、搬送用ガイドロール13、給電ロール16d、搬送用ガイドロール13、給電ロール16eの順に搬送されることによりめっき液への浸漬が繰り返される。
最終的には、銅被覆長尺ポリイミドフィルムS(この状態では電解めっきが完了しているので銅張積層板となる)は巻取ロール15により巻き取られる。
長尺導電性基板は、電解めっき装置1内を搬送されて、銅薄膜層の表面に所望する膜厚の銅めっき被膜層が形成されるが、そのため、長尺導電性基板は、電解めっき装置1に備えられた全ての陽極で電解めっきを行う必要がある。
通常、電解めっき装置1の運転前に、予め長尺導電性基板を搬送経路に仕掛けておき運転を開始すると、予め掛けられた陽極14a(搬送経路で一番上流(搬入側:巻出ロール12側)にある陽極)より下流に配されている長尺導電性基板は、所望する膜厚に銅めっきを成膜することができず、製品ロスとなり、その収率および経済性が損なわれる問題が生じる。
通常、用いる長尺導電性基板の導電層(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムの銅薄膜層)の膜厚は、50nm〜1000nmであり、その単位面積あたりの抵抗値は10−1Ωである。
電解めっき装置1は、下流(搬出側:巻取ロール15側)に進むにつれて電流が上昇するように各陽極および各給電ロールでの制御が行われる為、長尺導電性基板を予め電解めっき装置1に仕掛けて運転を開始すると、給電ロール等の位置によっては銅薄膜層には大過剰な電流が流れることなり、銅電解めっき層の変色が発生する可能性があり、最悪の事態としては給電ロール等と長尺導電性基板との焼き付き不具合を発生させることになってしてしまう。
このような配置では長尺導電性基板は、長尺絶縁性基板に先導されて電解めっき装置1内を搬送されるので、最初の給電ロール16aから定常状態における電解めっきが可能となり、徐々に銅めっき層の膜厚が増し、大過剰な電流が印可されることは無くなり、これら不具合を発生させることがなくなる。
図2(a)、(b)は長尺導電性基板と長尺絶縁性基板の重ね合わせ方が異なるもので、(a)は長尺導電性基板の給電ロール接触面側に長尺絶縁性基板が重なっている場合を示し、(b)は長尺導電性基板の基材側面に長尺絶縁性基板が重なっている場合を示すものである。
接続部20では長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF)と長尺絶縁性基板(PETフィルム)が、両面粘着テープ25で貼り合わせられていても良い(図2(a)参照)、また図2(b)のように接続部の機械的強度が維持できるならば、両面粘着テープは不要である。
特に導電層(銅薄膜層)は、給電ロールに接触し電流が通電されているため、接続部20に導電性粘着テープを用いると通電をより安定させ異常放電を抑制する効果が期待できる。
導電層(銅薄膜層)の表面に略鉛直で差が100μmを越える段差は、給電ロールで異常放電が発生することがあり、電解銅めっき層の表面の変色が発生することがある。また、段差が100μmを越えるとまき取られた銅張積層板に転写することがあり、銅張積層板が変形することも懸念される。一方、裏面の樹脂基材(ポリイミド)側は電流が流れることは無いので段差による異常放電の心配は無い。
即ち、接続部が給電ロールに接触する瞬間、基板は通電した状態であるため、接続部はこれから接触しようとする給電ロールに対し正の電位である。そのため、長尺導電性基板の銅薄膜膜が溶け出し、給電ロールを汚染していると考えられる。
被覆部26としては、段差部(図2(a)では23b、(b)では23a)の被覆に使用した粘着テープを連続して用いても良く、別途被覆しても良い。このように接続部では、長尺導電性基板の導電層(銅薄膜層)は、長尺絶縁性基板が形成する段差部23b、又は長尺導電性基板が形成する段差部23aから逆搬送方向(図2白抜き矢印で示す方向)に長さ50mm以上の範囲が、被覆部で覆われていることになり、段差部23a、23bを被覆する粘着テープ24Aにより生じる段差をなだらかにして、銅薄膜層の銅の溶解を緩和することを可能とする。なお、上記効果を得るには被覆部の長さは50mm以上必要とするが、電解めっき時の電解めっき層の損失量も考慮して適時決めると良い。
なお、各給電ロールの通電開始の時期は、給電ロールを接続部が通過した直後に長尺導電性基板が電解めっき液に浸漬され始めた時からとすればよい。すなわち、長尺導電性基板が陽極に対向して浸漬され始めた時から、前記陽極との間で通電か開始されるようにすればよいのである。当然に、長尺導電性基板の終端が対向する陽極を通過すれば、通電を終了させればよい。
また、長尺絶縁性基板の厚みは、長尺導電性基板の厚みとロールツーロール方式で搬送できる柔軟性を備える厚みで良く、長尺導電性基板の厚みの0.3倍〜5倍の範囲で適宜選択可能である。
図3に本発明による銅張積層板の断面図を示す。
ポリイミドフィルム2の表面にニッケル−クロム系合金等の下地金属層3、銅薄膜層4、銅めっき被膜層5の順に積層した構成になっている。なお、下地金属層3と銅薄膜層4の積層体を金属薄膜層6と称している。さらに銅めっき被膜層5は、電解めっき法、或いは無電解めっき法と併用して形成してもよい。
この工程によって形成される銅薄膜層4の厚みは、50〜1000nmであり、生産性から50nm〜500nmが一般的である。
この銅めっき被膜層5からなる銅層は、湿式めっき法の一種である電解めっき法、又は、湿式めっき法の一種の無電解めっき法と電解めっき法の併用により、所望の膜厚とする。
この銅めっき被膜層5の形成に用いる電解めっき法に本発明に係る電解めっき法を用いることで、表面性状に優れる長尺の銅張積層板を得ることが可能となる。
なお、無電解めっき法と電解めっき法を併用して銅めっき被膜層5を形成する場合には、金属薄膜層6の表面に銅を無電解めっきで成膜し、次にその無電解めっきによる成膜の表面に電解めっきを行う。
引き続き、このポリイミドフィルム上にスパッタリング法によってクロムを20重量%含有する下地金属層を厚み20nm形成し、さらに銅薄膜層を厚み100nm形成して金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムF(長尺導電性基板)を得た。
スパッタリングにはロールツーロール方式のスパッタリング装置を用いた。
そのPETフィルムを先端に備えた金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムを、電解めっき装置1へ導き、搬送するともに給電ロールに電流を流し、銅張積層板を製造した。
得られた基板の接続部近傍には、光学実体顕微鏡による観察で、凹凸の集合体は無く、外観検査をクリアする良好な結果が得られた。
導電性粘着テープに層厚50μmの銅粘着性テープを用いた以外は、実施例1と同様にして銅張積層板を製造した。得られた銅張積層板の接続部近傍には凹凸の集合体が観察され、外観検査をクリアすることはできなかった。
導電性粘着テープに銅粘着性テープを用い、金属薄膜付長尺ポリイミドフィルムFの銅薄膜層表面を28mm(L)覆った以外は、比較例1と同様にして銅張積層板を製造した。得られた銅張積層板の接続部近傍には凹凸の集合体が観察され、外観検査をクリアすることはできなかった。
2 ポリイミドフィルム
3 下地金属層
4 銅薄膜層
5 銅めっき被膜層
6 金属薄膜層
11 めっき槽
12 巻出ロール
13 搬送用ガイドロール
14a〜14h (不溶解性)陽極
15 巻取ロール
16a〜16e 給電ロール
20 接続部
21 長尺導電性基板(金属薄膜付長尺ポリイミドフィルム)の端部
22 長尺絶縁性基板(PETフィルム)の端部
23a 長尺導電性基板が形成する段差部
23b 長尺絶縁性基板が形成する段差部
24A 給電ロール接触面側を覆う被覆部
24B 給電ロール接触面の反対面側を覆う被覆部
25 両面粘着テープ
26 長尺導電性基板の給電ロール接触面側を覆う被覆部
L 被覆部26の長さ[mm]
F 金属薄膜付長尺ポリイミドフィルム(長尺導電性基板)
S 銅被覆長尺ポリイミドフィルム(銅張積層基板)
h 長尺導電性基板の導電層面との段差高さ[μm]
Claims (8)
- 長尺導電性基板を、ロールツーロール方式により搬送し、給電ロールとの接触を経て電解めっき槽に満たされた電解めっき液に浸漬を繰り返して、前記長尺導電性基板の表面に電解めっきを施す長尺導電性基板の電解めっき方法において、
前記長尺導電性基板は、搬送方向側の先端部に接続部を介して長尺絶縁性基板を備え、先導する前記長尺絶縁性基板により前記電解めっき槽へと搬送され、
前記接続部が、前記長尺導電性基板と前記長尺絶縁性基板とが重なり形成した段差部を有する接続部で、
前記接続部の長尺導電性基板の給電ロール接触面側に長尺絶縁性基板の端部が露出するように形成される段差部を、基材の片面に粘着層を備える層厚40μm以下の粘着テープを用いた被覆部により被覆することを特徴とする長尺導電性基板の電解めっき方法。 - 長尺導電性基板を、ロールツーロール方式により搬送し、給電ロールを経て電解めっき液が満たされた電解めっき槽に繰り返し浸漬して、前記長尺導電性基板の表面に電解めっきを施す長尺導電性基板の電解めっき方法において、
前記長尺導電性基板は、搬送方向側の先端部に接続部を介して長尺絶縁性基板を備え、先導する前記長尺絶縁性基板により前記電解めっき槽へと搬送され、
前記接続部が、前記長尺導電性基板と前記長尺絶縁性基板とが重なり形成した段差部を有する接続部で、
前記接続部の長尺導電性基板の端部が形成する段差部を、基材の片面に粘着層を備える層厚40μm以下の粘着テープを用いた被覆部により被覆することを特徴とする長尺導電性基板の電解めっき方法。 - 前記被覆部が、前記段差部より搬送方向と逆方向に50mm以上の範囲で前記長尺導電性基板を被覆していることを特徴とする請求項1又は2に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。
- 前記被覆部を形成する粘着テープが、金属箔を基材とし、導電性粘着層を積層した導電性粘着テープであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。
- 前記金属箔が、銅箔であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。
- 前記長尺導電性基板が、長尺樹脂フィルムの表面に接着剤を介さずに金属薄膜を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。
- 前記電解めっきに用いる電解めっき液が、銅電解めっき液であること特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の長尺導電性基板の電解めっき方法。
- 長尺樹脂フィルム表面に接着剤を介さずに金属薄膜を備え、前記金属薄膜面上に銅被覆層を設けた銅張積層板の製造方法であって、
前記金属薄膜が、前記長尺樹脂フィルム側からニッケル合金薄膜、銅薄膜の順に設けられた積層膜で、
前記銅被覆層が、請求項7に記載の電解めっき方法を用いて形成された銅めっき層であることを特徴とする銅張積層板の製造方法。
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