(実施形態1)
以下、本実施形態のLEDユニット10について、図1〜図7を参照しながら説明する。
本実施形態のLEDユニット10は、一表面側(図1では、上面側)に突台部1fを備えた板状(例えば、円板状)のベース1と、突台部1fの先端面1faに設けられた電気絶縁性および熱伝導性を有する放熱シート9とを有する。また、LEDユニット10は、ベース1の一表面側となる放熱シート9の突台部1fと反対の側に配置されてなりLEDチップ(図示せず)を用いた発光装置3を有している。
さらに、LEDユニット10は、発光装置3をベース1との間に挟持する有底筒状(例えば、有底円筒状)のホルダ2と、発光装置3の前面側(図1では、上面側)に配置されてベース1の上記一表面に取り付けられてなり発光装置3から放射された光を透過させる機能を有する有底円筒状のカバー20とを備えている。
特に、このLEDユニット10は、ベース1とカバー20との間に、発光装置3の発光部3aを露出させる窓孔部40bを備えてベース1に取り付けられる内カバー40を有している。
上述のLEDユニット10に用いられるベース1は、アルミダイキャスト製のベース1であって突台部1fを一表面側に一体として備えている。なお、ベース1は、樹脂に比べて熱伝導性の高い材料として、アルミニウムだけに限らず、例えば、銅やステンレスなどの金属により形成してもよい。また、突台部1fは、ベース1と一体に形成されたものだけでなく、別途に形成されたものでもよい。
ベース1の周部には、LEDユニット10を照明器具12(図8参照)の器具本体11(図8参照)に着脱自在に取り付けるための、取付ねじ(図示せず)をベース1の上記一表面側から挿通する取付ねじ挿通孔1bが複数箇所(図示例では、2箇所)に貫設されている。
本実施形態のLEDユニット10では、ベース1の形状を円形状としているが、これに限らず、例えば、多角形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
また、LEDユニット10は、発光装置3に電気的に接続される給電用の一対の電線(リード線)4,4を備えている。
発光装置3は、複数個のLEDチップを具備する発光部3aと、この発光部3aが実装された実装基板3bとで構成されている。ここにおいて、複数個のLEDチップは、直列接続されているが、並列接続してもよいし、直並列接続してもよい。
発光部3aは、複数個のLEDチップ(図示せず)と、これら複数個のLEDチップを囲みLEDチップからの光を反射する周壁部3eと、周壁部3e内のLEDチップを覆う封止部3dとを有する。そして、発光部3aは、LEDチップが青色LEDチップで構成され、青色LEDチップから放射される青色光により励起されてブロードな黄色光を放射する黄色蛍光体からなる蛍光体が封止部3dの透光性封止材料(例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラスなど)に混合されており、白色光を得る白色LEDを構成している。なお、発光部3aの蛍光体は、黄色蛍光体に限らず、例えば、赤色蛍光体と緑色蛍光体とを用いてもよい。また、発光部3aは、紫〜近紫外LEDチップと、赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体とを組み合わせて白色光を得る白色LEDを構成してもよい。さらに、発光部3aは、赤色LEDチップと緑色LEDチップと青色LEDチップとを組み合わせて白色光を得る白色LEDを構成してもよい。
実装基板3bは、例えば、金属ベースプリント配線板を用いて形成されており、発光部3aに電気的に接続された一対の端子部3c,3cが形成されている。各端子部3c,3cは、導体パターンにより構成されている。実装基板3bは、金属ベースプリント配線板を用いているが、これに限らず、例えば、セラミック基板、ガラスエポキシ基板などを用いてもよい。また、各端子部3c,3cには、電線4,4が半田からなる接合部(図示せず)を介して電気的に接続されている。ここで、一方の電線4が発光部3aのプラス側に接続された端子部3c(図1における左側の端子部3c)に接続され、他方の電線4が発光部3aのマイナス側に接続された端子部3c(図1における右側の端子部3c)に接続されている。また、実装基板3bは、電線4の誤接続を防止するために、各端子部3c,3cの近傍に極性を示す“+”、“−”を表記してある。なお、実装基板3bの一表面側には、発光部3aおよび各端子部3c,3c以外の部位を覆う白色のレジスト層などからなる反射層(図示せず)が形成されており、これにより、発光部3aから放射された光が実装基板3bに吸収されるのを抑制することが可能となる。
また、実装基板3bの他表面とベース1の上記一表面側に突設された突台部1fとの間には、上述の放熱シート9が配置されている。したがって、上述の発光装置3は、この発光装置3で発生した熱を、放熱シート9を通してベース1へ効率よく放熱させることが可能となる。また、本実施形態のLEDユニット10は、ベース1を樹脂に比べて熱伝導性の高いアルミニウムとしているので、上述の発光装置3で発生した熱を、放熱シート9およびベース1の突台部1fを通して器具本体11側へ放熱することが可能となる。
放熱シート9は、ゲル状で架橋密度が低く軟質で弾性を有するゲル状エラストマー材料からなるシリコーン樹脂を用いたシリコーンゲルシートを好適に使用している。放熱シート9は、シリコーンゲルシートを好適に使用しているが、電気絶縁性と熱伝導性に優れ窪部1qに一部が入る材料であればよい。したがって、放熱シート9は、放熱シート9の材料としてシリコーンゲルだけに限らず、電気絶縁性と熱伝導性を有し軟質なエラストマー材料(例えば、アクリル樹脂材料)であればよい。また、放熱シート9は、粘着性を備えさせ接着シートとして機能させてもよい。
ベース1の上記一表面側には、発光装置3に電気的に接続された各電線4,4の一部を収納配置するための円形状の凹所1eが形成されている。
凹所1eの内底面の中央部には、発光装置3側(図1では、上側)へ突出する上述の突台部1fが設けられている。この突台部1fは、平面視において矩形状(図示例では、長方形状)に形成されている。ここにおいて、発光装置3は、突台部1fの先端面1faとの間に放熱シート9が介在するように配置される。
また、突台部1fの高さ寸法は、この突台部1fの高さ寸法と放熱シート9の厚み寸法とを合わせた寸法が凹所1eの深さ寸法よりも大きくなるように設定されている。したがって、突台部1fは、発光装置3から放射された光が、ベース1の凹所1eの内面で反射されたり吸収されたりするのを抑制することが可能となる。
また、突台部1fの先端面1faには、軟質な放熱シート9の一部が入り込むことが可能な窪部1qが複数箇所(図1では、4箇所)に形成されている。これによって、LEDユニット10は、組立時において発光装置3および放熱シート9をベース1とホルダ2とで挟持する前に、突台部1fと発光装置3との間に介在された放熱シート9の横方向への位置ずれを防止することが可能となる。
より具体的には、突台部1fには、放熱シート9が設けられる領域における外周部に窪部1qを備えており、突台部1fの先端面1faを覆うように放熱シート9を載せ置くことで、放熱シート9の一部を窪部1qに入り込ませることが可能としている。放熱シート9は、窪部1qに入り込んだ放熱シート9の一部が放熱シート9の位置ずれを抑制するアンカー効果を生じさせることができる。そのため、図5ないし図7で後述するLEDユニット10の組立工程などにおいて、組立途中のLEDユニット10に振動などが加わっても、窪部1qに入り込んだ放熱シート9の一部により、放熱シート9が突台部1fから位置ずれすることを抑制することが可能となる。
突台部1fに備えた窪部1qは、放熱シート9の厚み、発光装置3の大きさや形状に合わせて窪部1qの形状、幅および深さを適宜に設定すればよい。窪部1qは、例えば、放熱シート9の厚みを1.0mmとし、窪部1qの幅および深さを0.3〜0.5mmの範囲内で形成することができる。放熱シート9は、窪部1qを覆う大きさとし、先端面1faの放熱シート9を設ける予定の領域に積載すればよい。すなわち、窪部1qは、放熱シート9が設けられる予定の領域の外周部に設けている。
また、窪部1qは、平面視矩形状の突台部1fの先端面1fa上における放熱シート9を設ける予定の領域の四辺に相当する外周部に窪部1qを設けることで、放熱シート9の位置ずれを比較的に容易に判断することが可能となる。LEDユニット10は、組立工程において、放熱シート9が所定の積載位置から位置ずれを生じている場合、外部に窪部1qが露出し放熱シート9の位置ずれを容易に確認されることが可能となる。
ホルダ2は、突台部1fとの間に発光装置3を保持する押え板部2eと、押え板部2eの周縁から後方(ベース1側)に延設された周壁部2fとを有している。このホルダ2は、押え板部2eが円板状に形成されており、押え板部2eの中央部に、発光装置3の発光部3aを露出させるための窓孔2aが形成されている。
ここにおいて、凹所1eの内底面には、突台部1fの短手方向の両側において、ボス部1rが突設されている。各ボス部1rには、ホルダ2をベース1に取り付けるための組立ねじ23dを螺合するねじ孔1dが形成されている。したがって、本実施形態のLEDユニット10は、突台部1fの長手方向の両側にボス部1rが配置される場合に比べて、ホルダ2の押え板部2eの形状を小さくすることが可能となる。
また、ホルダ2の押え板部2eの周部には、発光装置3の各端子部3c,3cの各々に電気的に接続された各電線4,4がホルダ2に干渉するのを防止する開口部2b,2bが、窓孔2aに連通するように形成されている。
また、ホルダ2の押え板部2eの周部には、ベース1の各ねじ孔1dに対応する部位に、組立ねじ23dをホルダ2の押え板部2eの前面側(図1では、上面側)から挿通するねじ挿通孔2dが貫設されている。ここで、ホルダ2をベース1に取り付ける場合は、まず、ホルダ2の窓孔2aから発光装置3の発光部3aを露出させるとともに、発光装置3をベース1とホルダ2とで挟持させる。そして、組立ねじ23dをホルダ2の押え板部2eの上記前面側からねじ挿通孔2dに挿通し、ベース1のねじ孔1dに螺合させることによって、ベース1にホルダ2が取り付けられる。なお、発光装置3とベース1との間には、放熱シート9が配置されている。
したがって、本実施形態のLEDユニット10は、組立ねじ23dをねじ孔1dに螺合させる際に発光装置3にかかる応力を放熱シート9により吸収して緩和することが可能となるので、発光装置3に不要な応力がかかるのを抑制することが可能となる。
ここにおいて、本実施形態のLEDユニット10では、ホルダ2の押え板部2eの形状を円形状としているが、これに限らず、例えば、多角形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
また、ベース1の周部には、発光装置3に電気的に接続された一対の電線4,4をLEDユニット10の外部へ導出するための導出部1cが設けられている。
導出部1cは、ベース1の周部に形成された切欠き部であって、一対の電線4,4をLEDユニット10の外部へ導出する方向を変更することが可能となっている。
具体的に説明すると、導出部1cは、ベース1の周部においてベース1の他表面(図2では、右側の面)、側面および上記一表面が開放されている。つまり、導出部1cは、一対の電線4,4をLEDユニット10の外部へ導出する方向を、ベース1の上記他表面側と、ベース1の上記他表面に沿った方向との間で変更することが可能となる(図2の円弧の矢印を参照)。また、導出部1cは、この導出部1cから導出した一対の電線4,4をベース1の上記他表面に直交する方向側へ導出した場合に、一対の電線4,4がベース1の外周線よりも内側に配置されるように形成されている。
したがって、本実施形態のLEDユニット10は、導出部1cから導出した一対の電線4,4をベース1の上記他表面側および側方へ導出することが可能となる。本実施形態のLEDユニット10では、導出部1cから一対の電線4,4をベース1の上記他表面に直交する方向側へ導出した場合に、一対の電線4,4がベース1の外周線よりも内側に配置されるように導出部1cを形成している。そのため、照明器具12は、例えば、器具本体11を円筒状に形成する場合、器具本体11の最小径をLEDユニット10のベース1の外形寸法と同程度の寸法に設定することが可能となり小型化を図ることが容易となる。
ここで、ベース1の凹所1eにおいて導出部1c側(図2では、下側)には、各電線4,4の各々を凹所1eの内周面との間に挟持するリブ1ha,1hbが内底面から突設されている(図5(a)参照)。具体的に説明すると、ベース1の凹所1eにおいて導出部1c側の内底面には、一方の電線4を凹所1eの内周面との間に挟持するリブ1haと、他方の電線4を凹所1eの内周面との間に挟持するリブ1hbとが突設されている。また、ベース1の凹所1eの内周面には、凹所1eの内周面における導出部1cの内側面1gと境界付近に突設された2つのリブ1hd,1hdの各々との間に電線4,4を保持するリブ1hcが突設されている(図6(a)参照)。なお、リブ1hcは、ボス部1rに連続して形成されている。また、リブ1haおよびリブ1hbは、ベース1の凹所1eの内底面に突設した連結片1heを介して連結されている。
したがって、本実施形態のLEDユニット10は、発光装置3に電気的に接続された各電線4,4を、ベース1において保持することによって、別部品を追加することなく、一対の電線4,4の張力止め機能を付与することが可能となる。言い換えれば、上述のLEDユニット10は、一対の電線4,4に作用する張力を低減するための別部品が不要であり、低コストで一対の電線4,4の張力止め機能を付与することが可能となる。また、このLEDユニット10は、一対の電線4,4に作用する張力を低減することができるので、各電線4,4と発光装置3の各端子部3c,3cとの接合部(図示せず)に応力が作用して断線するのを防止することが可能となる。
また、LEDユニット10におけるホルダ2の側部には、ベース1の導出部1cに対応する部位に、導出部1cから導出した一対の電線4,4をベース1とで挟持するための挟持部2cが形成されている。つまり、本実施形態のLEDユニット10は、発光装置3に電気的に接続された各電線4,4を、ベース1で保持するとともに、ベース1と挟持部2cとで挟持することが可能となる。
また、ベース1には、図2に示すように、ベース1の導出部1cの内側面1gとベース1の凹所1eの内底面との間に、面取り部1kが形成されている。したがって、本実施形態のLEDユニット10は、ベース1に面取り部1kが形成されているので、各電線4をベース1の上記他表面側に曲げた時に一対の各電線4にかかる応力を低減することが可能となる。また、LEDユニット10は、電線4をベース1の上記他表面側に曲げた時に各電線4にかかる応力を低減することができるので、各電線4を断線するのを防止することが可能となる。なお、面取り部1kは、C面取り部としてあるが、これに限らず、例えば、R面取り部などであってもよい。
また、導出部1cは、ベース1の周部においてベース1の他表面(図2の右側の面)だけでなく側面および一表面(図2の左側の面)を開放して形成させてもよい。すなわち、カバー押え部材21の周部において導出部1cに対応する部位は、カバー押え部材21の他表面、側面および一表面が開放させればよい(図示していない)。これにより、導出部1cは、一対の電線4,4をLEDユニット10の外部へ導出する方向を、ベース1の上記他表面側と、ベース1の上記一表面側との間で変更することも可能となる。要するに、LEDユニット10は、電源ユニット15との位置関係の自由度をより高めることができ、様々な形態の器具本体11に取り付け可能となる。
カバー20は、透光性材料(例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ガラスなど)により形成されている。また、カバー20は、全体として有底円筒状の形状をしており、ベース1側が開口されベース1の外周線よりも内側に配置され発光装置3を覆う有底円筒状の本体部20aと、この本体部20aの開口端部から外方へ延設されてなりカバー20をベース1に取り付けるための鍔部20bとを有する。なお、本体部20aは、本体部20a全体が透光性を備えており、ベース1から遠い一端側を塞ぐ円形状に形成され発光装置3からの光を外部へ出射させる光出射部20hと、光出射部20hと滑らかに連続するように形成された筒状部20jとで構成されている。本体部20aは、光出射部20hおよび筒状部20jの厚みを略同一として形成している。
また、カバー20のベース1側(図1では、下側)とホルダ2の押え板部2eの上記前面側との間には、ホルダ2の各ねじ挿通孔2d,2dの各々に挿通された組立ねじ23d,23dと、ホルダ2の各開口部2b,2bから露出された各電線4,4とを覆う環状(例えば、円環状)の内カバー40が配置されている。
内カバー40は、非透明材料(例えば、白色顔料を含有させた樹脂材料など)により形成されており、カバー20の本体部20aに収納配置される。内カバー40には、中央部に発光装置3の発光部3aを露出させるための窓孔部40bが形成されている。窓孔部40bの内周壁40cは、発光部3aから放射された光が有底円筒状のカバー20における筒状部20jに照射されることを抑制する機能を備えている。
内カバー40は、突起40aを3つ備えており、これら3つの突起40aが内カバー40の周方向において略等間隔で配置されている。また、カバー20の筒状部20jの内周面には、内カバー40の各突起40aの各々を筒状部20jにおいてベース1に近い開口端部側から案内して位置決めする凹部20gが形成されている。なお、筒状部20jは、上記開口端部側から上記一端部側にかけて内径が徐々に小さくなるテーパー円筒状に形成してあり、各凹部20gが上記開口端部から筒状部20jの途中まで形成されている(図2を参照)。内カバー40の中央部に設けられた円形状の窓孔部40bは、発光装置3の光軸方向において、発光装置3の近傍から離れるにつれ開口面積が徐々に大きくなる内周壁40cを構成している。また、内カバー40の外側の外周壁40dは、窓孔部40bのカバー20側の頂点からベース1側の底面に向かって外径を徐々に大きくしている。
したがって、本実施形態のLEDユニット10は、ホルダ2の押え板部2eの上記前面側に、窓孔部40bの内周壁40cと、その外側の外周壁40dとを備えた非透明材料からなる内カバー40を設けているので、カバー20を通して各組立ねじ23d,23dおよび各電線4,4が見えるのを防止することが可能となり、外観の意匠性を高める化粧カバーとして機能させることが可能となる。なお、内カバー40は、ホルダ2と兼用して発光装置3をベース1側に押える機能を持たせることもできる。これにより、LEDユニット10は、内カバー40とホルダ2とを別々に備えて設ける必要もなく、部品数をより少なくすることが可能となる。
以下、本実施形態のLEDユニット10における内カバー40について、より詳細に説明する。
本実施形態のLEDユニット10は、たとえば、図8ないし図13に示すような種々の照明器具12に光源として装着可能なことなどを想定して、薄型化や小型化が比較的容易な有底円筒状の透光性のカバー20としている。
ここで、本発明者らは、単に、透光性を備え有底円筒状のカバー20で発光装置3を覆っただけのLEDユニットでは、LEDユニットの側面側から放射される光に輝度むらが生ずる場合があるという知見を得た。
すなわち、本実施形態と比較のために示す図4のLEDユニットでは、LEDユニットの近傍に壁などがある場合、発光装置3からカバー20を介して放射された光(図4の破線の矢印を参照)により、たとえば、領域C,D,Eで示す輝度の異なる領域が壁面に現れる。壁面の領域Cには、主として、発光装置3からカバー20の光出射部20hを介して放射された光が照射される。同様に、壁面の領域Dには、主として、発光装置3からカバー20の筒状部20jを介して放射された光が照射される。また、壁面の領域Eには、発光装置3からカバー20を介して放射されカバー押え部材21などにより回折などした光が照射される。ここで、透光性を有する有底円筒状のカバー20では、発光装置3からカバー20の内面側へ出射する光の出射角α,β,γが各々異なることにより、カバー20における光の光路長がカバー20の部位によって異なる。また、カバー20は、透光性を有していても光の吸収や散乱などが生じている。
そのため、発光装置3からカバー20を介して放射された光は、境界I2と境界I3との間で示される領域Dが、領域D側の領域Cや領域Eよりも輝度が高くなる傾向にある。このような、LEDユニット10の側面側から放射される光の輝度の違いは、LEDユニット10の側面側における輝度むらを生じさせ均斉度が低下する原因となる。
これに対し、本実施形態のLEDユニット10は、図3に示すように、図4に示したLEDユニットにおいて、ベース1とカバー20との間に、発光装置3の発光部3aを露出させる窓孔部40bを備えた非透光性の内カバー40を設けた極めて簡単な構成としている。
本実施形態のLEDユニット10は、LEDユニット10の側方側において、LEDユニット10の前方(図3の左側)側の領域Aが、たとえば、境界I1を境として、LEDユニット10の後方(図3の右側)側の領域Bよりも輝度が高く徐々に明るい状態とすることが可能となる。
すなわち、内カバー40は、発光部3aから放射された光がカバー20の筒状部20jに照射されることを抑制する機能を有する。これにより、LEDユニット10は、LEDユニット10の側面側から放射される光の輝度むらを、少なくすることが可能となる。
このような、内カバー40は、LEDユニット10の側方に照射される光を遮光ないしは反射する機能を備えていればよい。内カバー40は、光を反射する機能を備えることにより、発光装置3からの光を有効利用することが可能となる。さらに、LEDユニット10は、カバー20の透光性を高めても、内カバー40が光を反射する或いは光を遮光する機能を備えていることにより、発光装置3をベース1側に押えるホルダ2やホルダ2をベース1に固定する各組立ねじ23d,23dおよび各電線4,4がLEDユニット10の外部から見えるのを防止することが可能となる。
次に、上述のカバー20には、カバー20の鍔部20bの周部に円環状の突出部20e(図2参照)がベース1側に突設されている。ここにおいて、ベース1の上記一表面側には、カバー20の突出部20eに対応する部位に、突出部20eを収納可能な溝部1tが形成されている。この溝部1tには、気密封止用の封止材5となる封止材料(例えば、シリコーン樹脂など)が充填されている(図6(c)参照)。したがって、本実施形態のLEDユニット10は、カバー20の突出部20eがベース1の溝部1tに挿入されて、封止材5によりベース1とカバー20とを封止することによって、LEDユニット10内への水分や不純物などの侵入を抑制することが可能となる。
より具体的には、本実施形態のLEDユニット10は、発光装置3から放射された光を透過するアクリル製のカバー20を、カバー押え部材21によってベース1に取り付ける構造としている。カバー20の突出部20eは、溝部1tに嵌め合わせる構造としている。ここで、本実施形態のLEDユニット10に用いられるベース1は、図6(c)に示すように、上記一表面側に封止材5の封止材料を充填する円環状の溝部1tを備えている。溝部1tは、溝部1tの一部を円環状の内側に突出させる内突部1tbを備えることにより、溝部1tの幅方向において突出部20eと溝部1tとの距離を他よりも近づけた構成としている。なお、内突部1tbは、上記円環状の内側に円弧状に突出させているが、この形状だけに限られず溝部1tの円環状の形状に対して異形状とすればよい。
これにより、LEDユニット10は、封止材5全体としての封止材料の硬化時間を短縮させ、封止材5の硬化途中における意図しない振動などによりカバー20の位置ずれが生ずる恐れをより低減することが可能となる。
LEDユニット10は、LEDユニット10の組立工程において、溝部1tに予め封止材5の封止材料を充填し、カバー20の突出部20eが溝部1tに挿入されて、封止材5によりベース1とカバー20とを封止させることでLEDユニット10の内部に水分や不純物などが侵入することを抑制することができる。また、LEDユニット10は、溝部1tの幅方向において突出部20eと溝部1tとの距離を溝部1tの一部において他よりも近づけていることで、封止材料の硬化時間を短縮し、硬化後もカバー20の回転方向の外力に対してカバー20とベース1との封止材5による密着性を高めることが可能となる。
封止材5は、封止材5の材料としてシリコーン樹脂を好適に用いているが、他の樹脂材料(たとえば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂など)を使用しても良い。
カバー押え部材21は、非透光性材料(例えば、アルミニウムなどの金属や、白色不透明の樹脂など)により形成されており、発光装置3から放射されてカバー20の本体部20aの外周面から出射される光をできるだけ妨げないように扁平な環状(図示例では、円環状)に形成されている。また、カバー押え部材21は、カバー20の鍔部20bをベース1との間に挟持する。
また、カバー押え部材21の周部には、カバー押え部材21のベース1側において、図2に示すように、ベース1の導出部1cに対応する部位に、LEDユニット10の組立時にベース1の溝部1tに充填された封止材5の封止材料が溢れた場合、溢れた封止材5を溜めることが可能な凹所21aが形成されている。ここにおいて、カバー20の鍔部20bの外周部には、カバー20のベース1側において、カバー押え部材21の凹所21aに対応する部位に、溢れた封止材5をカバー押え部材21の凹所21aに導くための切欠き部20fが形成されている。
また、カバー押え部材21の一表面(図1では、下面)には、ベース1側へ突出する複数個(図1では、4個のうち2個だけが見えている)の円柱状のボス部21cが設けられている。ここにおいて、カバー20の鍔部20bの外周部には、カバー押え部材21の各ボス部21cの各々に対応する部位に、各ボス部21cを挿通する半円状の切欠き部20dが各々形成されている。また、ベース1の周部には、カバー押え部材21の各ボス部21cの各々に対応する部位に、ボス部21cを貫通させる貫通孔1aが形成されている。ここで、上述のカバー20をベース1に取り付ける場合は、カバー押え部材21の各ボス部21cをベース1の各貫通孔1aに挿通させてから、ベース1の上記他表面側(図1では、下面側)から各ボス部21cの先端部をレーザ光などの照射により塑性変形させてベース1の貫通孔1aよりも広げることによって、ベース1にカバー20が取り付けられる。要するに、ボス部21cは、最終的にはマッシュルーム状の形状となる。ここにおいて、ベース1の上記他表面側には、各貫通孔1aの各々に対応する部位に、マッシュルーム状のボス部21cの頭部(先端部)が収納配置される収納部1jにより、貫通孔1aに連通して形成されている。ここで、各収納部1jの深さ寸法は、ベース1の上記他表面を含む平面からマッシュルーム状のボス部21cの頭部が突出しないように設定されている。
本実施形態のLEDユニット10は、カバー20の鍔部20bをベース1とカバー押え部材21とで挟持することによって、カバー20に過剰な応力が加わるのを防止することが可能となる。また、LEDユニット10は、カバー押え部材21をベース1に対してねじを用いることなく取り付けているので、ねじの緩みなどの懸念がなくなる。また、LEDユニット10は、カバー押え部材21を扁平な環状に形成しているので、このLEDユニット10を器具本体11に取り付けてLEDユニット10を点灯させた場合に、カバー20の本体部20aの外周面から出射される光の所望の配光および均斉度を阻害する要素が少なくなる。なお、カバー20をベース1に取り付ける方法は、特に限定するものではなく、例えば、組立ねじなどを用いてカバー20をベース1に取り付けてもよい。
また、カバー押え部材21の外周部には、ベース1の各取付ねじ挿通孔1bの各々に対応する部位に、取付ねじ(図示せず)をカバー押え部材21の他表面側(図1では、上面側)から挿通する半円状の切欠き部21bが形成されている。また、カバー20の鍔部20bの外周部には、ベース1の各取付ねじ挿通孔1b、カバー押え部材21の各切欠き部21bの各々に対応する部位に、上記取付ねじをカバー押え部材21側から挿通する半円状の切欠き部20cが形成されている。したがって、本実施形態のLEDユニット10は、カバー押え部材21の外周部に各切欠き部21bが形成されるとともに、カバー20の鍔部20bの外周部に各切欠き部20cが形成されているので、ベース1をカバー20側から照明器具12の器具本体11に着脱自在に取り付けることが可能となる。
ところで、一対の電線4,4においてベース1の導出部1cから導出した部位の先端部には、コネクタ4aが設けられている。このコネクタ4aは、図8に示すように、電源ユニット15に電気的に接続されている電源線13の先端部に設けられた電源ユニット15側のコネクタ14と着脱自在に接続することが可能である。
したがって、本実施形態のLEDユニット10は、一対の電線4,4の先端部に、電源ユニット15側のコネクタ14と着脱自在に接続可能なコネクタ4aが設けられているので、LEDユニット10の着脱時の接続作業を容易に行うことができる。また、このLEDユニット10は、一対の電線4,4の先端部にコネクタ4aが設けられるとともに、ベース1をカバー20側から照明器具12の器具本体11に着脱自在に取り付けることができるので、ユーザによってLEDユニット10を容易に交換することが可能となる。
以下に、上述のLEDユニット10の組立工程について、図5〜図7を参照しながら説明する。
まず、図5(a)のベース1の一表面側に備えられた矩形状の突台部1fの先端面1fa上に先端面1faよりも大きい矩形状の放熱シート9を載せおく(図5(b)参照)。放熱シート9を先端面1faに載せ置くことで、先端面1faの窪部1qに放熱シート9の一部が入り込む。本実施形態のLEDユニット10では、放熱シート9を突台部1fの先端面1faよりもやや大きな長方形状に形成しており、放熱シート9の位置が突台部1fの先端面1faの長手方向や短手方向へ各方向の公差よりもずれている場合に窪部1qが露出するように窪部1qを先端面1faの四辺のそれぞれ近傍に形成している。したがって、LEDユニット10の組立工程において、放熱シート9を先端面1faに載せ置いた後、たとえば、撮像装置(CCDカメラなど)と画像処理装置とを備えた外観検査装置や目視などにより、外観検査を行うことで良否判定を行うことが可能としている。
次に、発光装置3を放熱シート9に積載する(図5(c)参照)。
引き続き、各電線4,4をベース1の凹所1eの内周面と各リブ1ha,1hbとで挟持するとともに、電線4,4と実装基板3bの端子部3cとを電気的に接続させる(図6(a)参照)。
続いて、ホルダ2を発光装置3に被せ、組立ねじ23d,23dによってベース1側にホルダ2を固定させる(図6(b)参照)
ホルダ2上には、発光装置3の発光部3aを囲むように、内カバー40が配置される(図6(c)参照)。
次に、ベース1の溝部1tに封止材5となる未硬化の封止材料をディスペンサーにより充填する(図6(c)参照)。その後、内カバー40の周部から突出した突起40aと、カバー20の内周面に設けた凹部20gとの位置を合わせて、溝部1tとカバー20の突出部20eとを嵌め合わせることによりカバー20をベース1側に配置する(図7(a)を参照)。なお、カバー20は、図6(c)に示すように、発光装置3の発光部3aを囲むように内カバー40をベース1側に配置させた後、カバー20をベース1側に配置させる構成だけに限られない。カバー20は、たとえば、予めカバー20の凹部20gに内カバー40の突起40aを嵌め込みカバー20側に内カバー40を仮保持させた後、ベース1側に配置してもよい。その後、上記封止材料を硬化させて封止材5を形成する。
最後に、カバー押え部材21のボス部21cをベース1の貫通孔1aに挿通し、ベース1の他表面側でボス部21cの先端部をレーザ光などの照射により塑性変形させてLEDユニット10を組み立てることができる(図7(b)参照)。
こうして組み立てられたLEDユニット10を備える照明器具12について、図8〜図13を参照しながら説明する。
照明器具12は、上述のLEDユニット10と、LEDユニット10が着脱自在に取り付けられた金属製の器具本体11とを備えている。この照明器具12は、器具本体11を金属製としてあるので、樹脂製の場合に比べて、LEDユニット10の発光装置3で発生した熱を、放熱シート9、ベース1および器具本体11を通して効率よく放熱させることが可能となる。なお、器具本体11の材料としては、アルミニウムを採用しているが、アルミニウム以外の金属(たとえば、銅など)を採用してもよい。また、器具本体11の材料は、金属以外の材料(たとえば、セラミックスなど)でもよい。
器具本体11は、LEDユニット10を着脱自在に取り付けることができるように構成されている。具体的に説明すると、器具本体11には、ベース1の各取付ねじ挿通孔1bの各々に対応する部位に、上記取付ねじを螺合する取付ねじ孔(図示せず)が形成されている。
図8に示した構成の照明器具12は、例えば、天井材17に埋め込み配置されるダウンライトである。この照明器具12の器具本体11は、LEDユニット10が収納配置される有底円筒状の本体部11aと、この本体部11aの開口部から外方へ延設された外鍔部11bとを有する。また、器具本体11は、天井材17に貫設された埋込穴17aに埋め込まれ、外鍔部11bが天井材17の下面における埋込穴17aの周部に当接する形で天井材17に取り付けられる。なお、照明器具12は、外鍔部11bとの間に天井材17における埋込穴17aの周部を挟持する取付ばね(図示していない)を器具本体11に設けてもよい。
器具本体11の底部11cの上側には、電源ユニット15を収納配置する収納部11eが設けられており、電源ユニット15が器具本体11から離して配置されている。したがって、本実施形態の照明器具12は、電源ユニット15で発生した熱が器具本体11を通してLEDユニット10側に熱伝導するのを抑制することが可能となる。
また、器具本体11の底部11cには、LEDユニット10から導出した一対の電線4,4およびコネクタ4aを収納部11e内へ引き出す引出孔(図示せず)が貫設されている。
また、図9に示した構成の照明器具12は、例えば、天井材17に固定され器具本体11を保持する保持具19に器具本体11が保持されるスポットライトである。この照明器具12の器具本体11は、箱状であって、器具本体11内に電源ユニット15が器具本体11から離して配置されている。
器具本体11の底部11cには、LEDユニット10から導出した一対の電線4,4およびコネクタ4aを器具本体11内へ引き出す引出孔(図示せず)が貫設されている。また、器具本体11の底部11cには、LEDユニット10のカバー20から出射される光を拡散透過させる拡散板22がLEDユニット10を覆う形で取り付けられている。
また、図10に示した構成の照明器具12は、例えば、器具本体11が壁面18に固定されるブラケットである。この照明器具12の器具本体11は、箱状であって、器具本体11内に電源ユニット15が器具本体11から離して配置されている。なお、器具本体11には、LEDユニット10のカバー20から出射される光を拡散透過させる拡散板22がLEDユニット10を覆う形で取り付けられている。
上述の図8〜図11に示した構成の照明器具12におけるLEDユニット10は、図2に示すように、一対の電線4,4をベース1の導出部1cからベース1の上記他表面側(図2では、下側)へ導出する。
また、図11に示した構成の照明器具12は、例えば、電源ユニット15がLEDユニット10の側方に配置されたものであり、器具本体11が天井材17に固定されるシーリングライトである。また、図13に示した構成の照明器具12は、例えば、天井材17に固定され器具本体11を吊り下げる吊り具16に器具本体11が吊り下げられたペンダントライトである。また、図13に示した構成の照明器具12は、例えば、電源ユニット15がLEDユニット10の下方に配置されたものであり、器具本体11が壁面18に固定される縦長のポーチライトである。なお、図12〜図13に示した構成の照明器具12は、LEDユニット10のカバー20から出射される光を拡散透過させる拡散板22を有する。
上述の図12〜図13に示した構成の照明器具12におけるLEDユニット10は、図2に示すように、一対の電線4,4をベース1の導出部1cからベース1の側方(図2では、下側)へ導出する。本実施形態の照明器具12は、様々な形態の器具本体11に取り付け可能なLEDユニット10を備えた照明器具とすることができる。