JP5680616B2 - スリップリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸に軸線方向に並ぶように複数のリング部材を設けるスリップリング装置に関する。
回転軸に複数のリング部材が軸線方向に並ぶように設けられた回転電機が知られている。このような回転電機において、回転軸の周囲に絶縁部材を設け、その絶縁部材の外周にリング部材を固定し、一端がリング部材の内周面に接するようにして絶縁部材内にバスバーが設けられた回転電機が知られている(特許文献1参照)。
特許第3543500号公報
特許文献1の装置では、バスバーの一端をリング部材の内周面に接触させているだけであるため、リング部材とバスバーの接触面積が小さい。そのため、リング部材からバスバーに熱が移動し難く、リング部材が高温になるおそれがある。
そこで、本発明は、リング部材からバスバーへの熱の移動を促進させ、リング部材の温度を低下させることが可能なスリップリング装置を提供することを目的とする。
本発明のスリップリング装置は、回転軸に軸線方向に並ぶように設けられた複数のリング部材を備え、各リング部材にそれぞれブラシが接触するスリップリング装置において、前記リング部材毎に設けられ、前記回転軸に絶縁部材を介して支持されて前記軸線方向に延びる複数のバスバーを備え、前記複数のリング部材のうちの少なくともいずれか1つのリング部材の内周面には、前記軸線方向に延びるとともに径方向外側に凹むように形成され、かつ前記バスバーの一方の端部が嵌め込まれる溝部が設けられ、前記複数のリング部材のうち自リング部材以外の他のリング部材のバスバーが径方向内側を通過するリング部材の内周面に、前記軸線方向に延びるとともに径方向外側に凹むように形成され、かつ前記絶縁部材を介して前記他のリング部材のバスバーを収容可能な収容溝部が設けられている(請求項1)。
本発明のスリップリング装置によれば、バスバーの端部が溝部に嵌め込まれるので、その端部の外面のうち径方向外側を向いている面及び周方向を向いている面の計3面をリング部材と接触させることができる。これによりバスバーとリング部材との接触面積を増加させることができるので、リング部材からバスバーへの熱の移動を促進させることができる。そのため、リング部材の温度を低下させることができる。また、これによりリング部材と接触しているブラシの温度を低下させることもできる。周知のようにブラシの摩耗量は、ブラシの温度が高いほど増加する。そのため、ブラシの温度を低下させることにより、ブラシの摩耗量を低減できる。また、バスバーとリング部材との接触面積を増加させたことにより、これらの間の電気的な抵抗を低減できる。さらに、このようにリング部材の内周面に溝部を設けることにより、少なくともその溝部の深さ分リング部材を内周側に厚くすることができる。これによりリング部材の体積を大きくすることができるので、リング部材の熱容量を大きくすることができる。そのため、例えば回転軸の回転数が急に大きくなった場合やリング部材への電流量が急に増加した場合でも、リング部材の温度が急に上昇することを抑制できる。
ング部材の内周面のさらに内側をバスバーが通過する場合には、そのバスバーとリング部材とを絶縁するために、それらの間に絶縁部材を設ける必要がある。これに対して、本発明では、リング部材の径方向内側を通過するバスバーを収容溝部に収容できるので、リング部材の内周側に設ける絶縁部材の厚さ薄くすることができる。そのため、リング部材と回転軸との間の熱抵抗を低下させることができる。これによりリング部材の放熱性能を高めることができるので、リング部材の温度及びブラシの温度をさらに低下させることができる。
本発明のスリップリング装置の一形態において、前記回転軸は、三相交流式の回転電機に設けられ、前記回転軸に3個のリング部材が設けられ、前記回転軸には、前記バスバーが周方向に120°ずつずらして3つ設けられ、各リング部材の内周面に、前記溝部が1つ設けられるとともに前記収容溝部が2つ設けられ、2つの前記収容溝部のうちの一方の収容溝部が前記溝部から左回りに120°ずれた位置に配置され、他方の収容溝部が前記溝部から右回りに120°ずれた位置に配置されていてもよい(請求項2)。この形態によれば、3個のリング部材の形状を同じにすることができる。そのため、製造コストを低減できる。また、このようにリング部材の形状を同じにすることで、組み立て時に他の部分に取り付ける部品を誤って取り付ける取り付けミスが発生することを抑制できる。
以上に説明したように、本発明のスリップリング装置によれば、バスバーとリング部材との接触面積を増加させることができるので、リング部材からバスバーへの熱の移動を促進させることができる。そのため、リング部材の温度及びブラシの温度をそれぞれ低下させることができる。
本発明の第1の形態に係るスリップリング装置が組み込まれた複合モータの一部を示す斜視図。 スリップリング装置周辺の断面を示す図。 図4のIII−III線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図3のIV−IV線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図6のV−V線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図5のVI−VI線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図8のVII−VII線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図7のVIII−VIII線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 本発明の第2の形態に係るスリップリング装置が組み込まれた複合モータの一部を示す図。 図9のX−X線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図12のXI−XI線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図11のXII−XII線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図14のXIII−XIII線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 図13のXIV−XIV線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 本発明の第3の形態に係るスリップリング装置が組み込まれた複合モータの一部を示す図。 図15のXVI−XVI線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。 本発明の実施形態に対する参考例に係るスリップリング装置が組み込まれた複合モータの一部を示す図。 図17のXVIII−XVIII線におけるスリップリング装置及び入力軸の断面を示す図。
(第1の形態)
図1〜図8を参照して本発明の第1の形態に係るスリップリング装置について説明する。図1及び図2は、回転電機としての複合モータ1の一部を示している。この複合モータ1は自動車等の車両の駆動装置(不図示)に組み込まれる。また、この複合モータ1は、三相交流式のモータである。図示を省略したが、複合モータ1は互いに相対回転可能な巻線ロータ及び磁石ロータを有している。そして、複合モータ1は駆動装置に設けられたエンジンと自動変速機との間に搭載され、巻線ロータに入力されたエンジンのトルクを増幅して自動変速機に伝達する機能を有する。図1及び図2に示されたスリップリング装置10Aは、三相交流式のスリップリング装置であり、巻線ロータと不図示のインバータとを通電させるために使用される。スリップリング装置10Aは巻線ロータと一体回転する回転軸としての入力軸2の外周に装着されている。
スリップリング装置10Aは、入力軸2の軸線Ax方向に関して3層に重ねられ、巻線ロータの3相に対応する3つのユニットU1〜U3を含んでいる。図2において左側に配置された第1層ユニットU1は、入力軸2の外周に装着されたリング部材11a、リング部材11aと接触するブラシ12a、ブラシ12aを保持するブラシホルダ13a、及びブラシホルダ13aに接続されたアウターバスバー14aを含んでいる。ブラシ12aは、一部が図面に現れていないが、一つのブラシホルダ13aに対して軸線Axを中心として60°毎に一つずつ合計6個設けられている。もっとも、ブラシ12aの個数は任意である。同様に、中央に配置された第2層ユニットU2は、リング部材11b、ブラシ12b、ブラシホルダ13b、及びアウターバスバー14bを含み、右側に配置された第3層ユニットU3はリング部材11c、ブラシ12c、ブラシホルダ13c、及びアウターバスバー14cを含む。
図2に示すように各リング部材11a〜11cは、入力軸2の外周面に同軸に設けられている。また、これらリング部材11a〜11cは、軸線Axの方向(軸線方向)に並ぶように設けられている。各ブラシホルダ13a〜13cに保持された各ブラシ12a〜12cは、これらの間に介在する図示のスプリングによって所定の押し付け力で各リング部材11a〜11cに押し付けられている。各アウターバスバー14a〜14cは、入力軸2の回転半径方向外側に引き出されるとともに、軸線Ax方向に延びている。
図2に示したように、各ユニットU1〜U3は樹脂製のカバー3にて覆われており互いに絶縁されている。各ユニットU1〜U3とカバー3との間には図の矢印方向に空気を導くことによって各ユニットU1〜U3のブラシ12a〜12cを冷却する冷却通路4が形成されている。なお、冷却通路4への空気の供給は入力軸2と一体に回転するファン等の構造物が外気を冷却通路4へ強制的に送り込むことによって実現される。
図3〜図8は、スリップリング装置10A及び入力軸2の断面図を示している。なお、図3は、図4のIII−III線におけるスリップリング装置10A及び入力軸2の断面を示し、図4は、図3のIV−IV線におけるスリップリング装置10A及び入力軸2の断面を示している。また、図5は、図6のV−V線におけるスリップリング装置10A及び入力軸2の断面を示し、図6は、図5のVI−VI線におけるスリップリング装置10A及び入力軸2の断面を示している。そして、図7は、図8のVII−VII線におけるスリップリング装置10A及び入力軸2の断面を示し、図8は、図7のVIII−VIII線におけるスリップリング装置10A及び入力軸2の断面を示している。なお、図4、図6、及び図8ではブラシ12a〜12cの図示を省略している。
これらの図に示したように入力軸2は、金属製のシャフト部2aと、シャフト部2aの外周に同軸に装着された円筒状のスリーブ部2bとを備えている。スリーブ部2bは、絶縁材料である絶縁樹脂で形成されている。各リング部材11a〜11cは、スリーブ部2bの外周に互いに離して固定されている。そのため、各リング部材11a〜11cは互いに絶縁されている。また、各リング部材11a〜11cは、シャフト部2aとも絶縁されている。図3〜図8に示すようにスリーブ部2bの内部には、インナーバスバー15a〜15cが設けられている。これらインナーバスバー15a〜15cは、リング部材11a〜11cに対応して設けられている。各インナーバスバー15a〜15cは、細長い板状をしており、スリーブ部2bに軸線方向に延びるように支持されている。各インナーバスバー15a〜15cの一方の端部16a〜16cは、対応するリング部材11a〜11cの内周面と接触し、電気的に接続されている。そして、各リング部材11a〜11cはインナーバスバー15a〜15cを介して巻線ロータの各相に電気的に接続されている。図4に示すように3つのインナーバスバー15a〜15cは、軸線Axの回りに120°毎に並ぶように配置されている。
図4、図6、及び図8に示すように各リング部材11a〜11cの内周面には、1つの接続溝部17と、2つの収容溝部18とが設けられている。各溝部17、18は、径方向外側に凹み、かつ軸線方向に延びるように形成されている。また、各溝部17、18は、リング部材11a〜11cの軸線方向の一方の側面から他方の側面まで貫通している。これらの図に示すように、2つの収容溝部18のうちの一方の収容溝部18は、接続溝部17から右回りに120°ずれた位置に形成されている。一方、2つの収容溝部18のうちの他方の収容溝部18は、接続溝部17から左回りに120°ずれた位置に形成されている。
これらの図に示したように接続溝部17は、各インナーバスバー15a〜15cの一方の端部16a〜16cが嵌り込むように形成されている。これにより各端部16a〜16cの外面のうち径方向外側を向いている面及び周方向を向いている面の計3面がリング部材11a〜11cと接触する。収容溝部18は、各インナーバスバー15a〜15cがスリーブ部2bの一部である絶縁樹脂2cを介して収容可能なように形成されている。これにより収容溝部18内に収容されたインナーバスバーとリング部材とを電気的に絶縁できる。図4に示すように第1層ユニットU1のリング部材11aの内周には、自ユニットU1のインナーバスバー15aの他に、第2層ユニットU2のインナーバスバー15b及び第3層ユニットU3のインナーバスバー15cが設けられる。そのため、このリング部材11aの2つの収容溝部18のうちの一方には第2層ユニットU2のインナーバスバー15bが収容され、他方には第3層ユニットU3のインナーバスバー15cが収容される。図6に示すように第2層ユニットU2のリング部材11bの内周には、自ユニットU1のインナーバスバー15bの他に、第3層ユニットU3のインナーバスバー15cが設けられる。そのため、このリング部材11bの2つの収容溝部18のうちの一方には第3層ユニットU3のインナーバスバー15cが収容される。そして、他方の収容溝部18には絶縁樹脂のみが収容される。図8に示すように第3層ユニットU3の内周には、自ユニットU3のインナーバスバー15cのみが設けられる。そのため、2つの収容溝部18には絶縁樹脂のみが収容される。
以上に説明したように、第1の形態のスリップリング装置10Aによれば、インナーバスバー15a〜15cの一方の端部16a〜16cを、リング部材11a〜11cに設けた接続溝部17に嵌め込むので、インナーバスバー15a〜15cとリング部材11a〜11cとの接触面積を増加させることができる。これによりリング部材11a〜11cからインナーバスバー15a〜15cへの熱の移動を促進させることができる。このスリップリング装置10Aでは、入力軸2が回転すると各リング部材11a〜11cと各ブラシ12a〜12cとの摩擦により発熱する。この形態では、この熱をリング部材11a〜11cからインナーバスバー15a〜15cに速やかに移動させることができる。そのため、リング部材11a〜11cの温度を低下させることができる。また、これによりリング部材11a〜11cと接触しているブラシ12a〜12cの温度も低下させることができる。周知のようにブラシ12a〜12cの摩耗量は、ブラシ12a〜12cの温度が高いほど増加する。そのため、各ブラシ12a〜12cの温度を低下させることにより、ブラシ12a〜12cの摩耗量を低減できる。
また、インナーバスバー15a〜15cとリング部材11a〜11cとの接触面積を増加させたことにより、これらの間の電気的な抵抗を低減できる。そのため、複合モータ1の効率を向上させることができる。
さらに、このようにインナーバスバー15a〜15cの端部16a〜16cを接続溝部17に嵌め込むことにより、リング部材11a〜11cの厚さを図4に示した厚さt分厚くすることができる。なお、この図に示すように厚さtは、接触溝部17の深さに相当する。これによりリング部材11a〜11cの体積を大きくすることができるので、リング部材11a〜11cの熱容量を大きくすることができる。そのため、入力軸2の回転数が急に大きくなった場合やリング部材11a〜11cへの電流量が急に増加した場合でも、リング部材11a〜11cの温度が急に上昇することを抑制できる。
この形態では、図4及び図6に示したように、リング部材11a〜11cに収容溝部18を設け、自ユニット以外の他のユニットのインナーバスバー15b、15cをその収容溝部18に収容する。これに対して、収容溝部18が設けられていない場合には、リング部材の内周面よりも内側をインナーバスバーが通過するので、リング部材の内周側に設ける絶縁樹脂の厚さを厚くする必要が生じる。従って、この形態によれば、リング部材の内周側に設ける絶縁樹脂の厚さ薄くすることができる。これにより、リング部材11a〜11cとシャフト部2aとの間の熱抵抗を低下させることができるので、リング部材11a〜11cの放熱性能を高めることができる。そのため、リング部材11a〜11cの温度及びブラシ12a〜12cの温度をそれぞれ低下させることができる。
この形態では、図4に示すようにインナーバスバー15a〜15cを120°毎に配置したので、図4、図6、及び図8に示したように各ユニットU1〜U3のリング部材11a〜11cの形状を同じにすることができる。そのため、製造コストを低減できる。また、このように各ユニットU1〜U3のリング部材11a〜11cの形状を同じにすることで、組み立て時に他の部分に取り付ける部品を誤って取り付ける取り付けミスが発生することを抑制できる。
なお、接続溝部17が本発明の溝部に相当し、インナーバスバー15a〜15cが本発明のバスバーに相当する。そして、スリーブ部2b及び絶縁樹脂2cが本発明の絶縁部材に相当する。
(第2の形態)
次に図9〜図14を参照して本発明の第2の形態に係るスリップリング装置について説明する。なお、この形態において第1の形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。これらの図は、この形態のスリップリング装置10B及び入力軸2の断面図を示している。なお、図9は、図10のIX−IX線におけるスリップリング装置10B及び入力軸2の断面を示し、図10は、図9のX−X線におけるスリップリング装置10B及び入力軸2の断面を示している。また、図11は、図12のXI−XI線におけるスリップリング装置10B及び入力軸2の断面を示し、図12は、図11のXII−XII線におけるスリップリング装置10B及び入力軸2の断面を示している。そして、図13は、図14のXIII−XIII線におけるスリップリング装置10B及び入力軸2の断面を示し、図14は、図13のXIV−XIV線におけるスリップリング装置10B及び入力軸2の断面を示している。なお、図10、図12、及び図14ではブラシ12a〜12cの図示を省略している。これらの図に示したように、この形態では第2層ユニットU2のリング部材11bの形状及び第3層ユニットU3のリング部材11cの形状が第1の形態と異なり、それ以外は第1の形態と同じである。そのため、この形態でも複合モータ1については図1及び図2が参照される。
図14に示したように、この形態では第3層ユニットU3のリング部材11cに接続溝部17のみが設けられる。また、図12に示したように、第2層ユニットU2のリング部材11bには、1つの接続溝部17と、1つの収容溝部18が設けられる。なお、この収容溝部18には、第3層ユニットU3のインナーバスバー15cが収容される。
図2に示すように各ユニットU1〜U3の周辺環境は均一ではない。そのため、入力軸2が回転してリング部材11a〜11cとブラシ12a〜12cとの摩擦で発熱した場合に、各ユニットU1〜U3間で温度差が生じる。第2層ユニットU2は第1層ユニットU1及び第3層ユニットU3の間に挟まれて熱がこもりやすい。特に、図2に示したように、冷却通路4に導かれる空気が第1層ユニットU2から第3層ユニットU3に向かう方向に流れるため、第1層ユニットU1と熱交換が行われた後の暖かい空気が第2層ユニットU2に導かれる。そして、第3層ユニット2には、第2層ユニットU2と熱交換した後の空気が導かれる。そのため、スリップリング装置10Bでは、入力軸2の回転時すなわち複合モータ1の運転時に、第1層ユニットU1、第2層ユニットU2、第3層ユニットU3の順番で温度が高くなると予想される。
この形態でも、上述した第1の形態と同様の作用効果を得ることができる。これに加えて、この形態では、第3層ユニットU3のリング部材11cには収容溝部18が設けられていない。また、第2層ユニットU2のリング部材11bには、収容溝部18が1つしか設けられていない。そのため、これらリング部材11b、11cの内周側に設けるべき絶縁樹脂の体積を減少させることができる。そのため、これらリング部材11b、11cからシャフト部2aへの熱の移動をさらに促進させることができる。従って、第2層ユニットU2及び第3層ユニットU3のリング部材11b、11c及びブラシ12b、12cの温度をさらに低下させることができる。
上述したように複合モータ1の運転時には、第1層ユニットU1、第2層ユニットU2、第3層ユニットU3の順番で温度が高くなると予想される。しかしながら、リング部材11a〜11cの内周側に設けるべき絶縁樹脂の体積は第1層ユニットU1、第2層ユニットU2、第3層ユニットU3の順番で少なくなる。そのため、第2層ユニットU2のリング部材11bとシャフト部2aとの間の熱抵抗は、第1層ユニットU1のリング部材11aとシャフト部2aとの間の熱抵抗より小さくなる。また、第3層ユニットU3のリング部材11cとシャフト部2aとの間の熱抵抗は、第2層ユニットU2のリング部材11bとシャフト部2bとの間の熱抵抗より小さくなる。そのため、この形態によれば、リング部材11a〜11c間の温度差を小さくすることができる。また、これによりブラシ12a〜12c間の温度差を小さくできるので、ブラシ12a〜12c間の摩耗量のばらつきを抑えることができる。
(第3の形態)
次に図15及び図16を参照して本発明の第3の形態に係るスリップリング装置について説明する。なお、この形態において第1の形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図15は、この形態のスリップリング装置10C及び入力軸2の軸線方向の断面図を示している。また、図16は、図15のXVI−XVI線におけるスリップリング装置10C及び入力軸2の断面を示している。なお、図16ではブラシ12bの図示を省略している。
図16に示したようにこの形態では、第2層ユニットU2のインナーバスバー15bが、第3層ユニットU3のインナーバスバー15cと軸線Axを挟んで対向するように配置されている。なお、図示は省略したが、第1層ユニットU1のインナーバスバー15aは、第2層ユニットU2のインナーバスバー15bから右回りに90°ずれた位置に配置される。そして、各リング部材11a〜11cには、これらのインナーバスバー15a〜15cが配置される位置に接続溝部17及び収容溝部18が設けられている。それ以外は、第1の形態と同じである。
この第3の形態によれば、各リング部材11a〜11cに接続溝部17を設け、その接続溝部17にインナーバスバー15a〜15cの一方の端部16a〜16cを嵌め込むので、リング部材11a〜11cからインナーバスバー15a〜15cへの熱の移動を促進させることができる。そのため、リング部材11a〜11c及びブラシ12a〜12cの温度も低下させることができる。従って、ブラシ12a〜12cの摩耗量を低減できる。また、インナーバスバー15a〜15cとリング部材11a〜11cとの接触面積を増加させ、これらの間の電気的な抵抗を低減できるので、複合モータ1の効率を向上させることができる。
また、この形態でも各リング部材11a〜11cに収容溝部18を設けるので、リング部材の内周側に設ける絶縁樹脂の厚さ薄くすることができる。そのため、リング部材11a〜11cの放熱性能を高めることができる。従って、リング部材11a〜11cの温度及びブラシ12a〜12cの温度をそれぞれ低下させることができる。
参考例
図17及び図18を参照して本発明の実施形態と共通の部分を有する参考例に係るスリップリング装置について説明する。なお、この参考例において本発明の第1の形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図17は、この参考例のスリップリング装置10D及び入力軸2の軸線方向の断面図を示している。また、図18は、図17のXVIII−XVIII線におけるスリップリング装置10D及び入力軸2の断面を示している。なお、図18ではブラシ12cの図示を省略している。
図17に示したように、この参考例では、各インナーバスバー15a〜15bの一方の端部16a〜16cが、リング部材11a〜11cの内周面よりも外周側に位置するように折れ曲がっている。各リング部材11a〜11cには、接続溝部17がそれぞれ設けられている。また、各リング部材11a〜11cは同じ形状を有している。この参考例でも、インナーバスバー15a〜15cの端部16a〜16cがリング部材11a〜11cの接続溝部17に嵌め込まれている。
この参考例によれば、上述した本発明の各形態と同様に、リング部材11a〜11cの接続溝部17にインナーバスバー15a〜15cの端部16a〜16cを嵌め込むので、リング部材11a〜11cからインナーバスバー15a〜15cへの熱の移動を促進させることができる。そのため、リング部材11a〜11c及びブラシ12a〜12cの温度も低下させることができる。従って、ブラシ12a〜12cの摩耗量を低減できる。また、インナーバスバー15a〜15cとリング部材11a〜11cとの接触面積を増加させてこれらの間の電気的な抵抗を低減できるので、複合モータ1の効率を向上させることができる。
また、このようにインナーバスバー15a〜15cの端部16a〜16cを接続溝部17に嵌め込むことにより、リング部材11a〜11cの厚さを図18に示した厚さt分厚くすることができる。これによりリング部材11a〜11cの熱容量を大きくすることができるため、リング部材11a〜11cの温度が急に上昇することを抑制できる。
さらに、この参考例では、各リング部材11a〜11cの形状を共通にすることができるので、製造コストを低減できる。また、組み立て時に取り付けミスが発生することを抑制できる。
本発明は、上述した各形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本発明が適用されるスリップリング装置は、リング部材が3個のものに限定されない。本発明は、リング部材が2個以上設けられているスリップリング装置に適用できる。また、本発明のスリップリング装置におけるブラシの数は、1個のリング部材に対して6個に限定されない。1個のリング部材に対して設けるブラシの数は1個〜5個であってもよい。また、1個のリング部材に対して7個以上のブラシを設けてもよい。
本発明のスリップリング装置が組み込まれる装置は、三相交流式の回転電機に限定されない。本発明のスリップリング装置は、直流モータ等の直流回転電機に組み込んでもよい。この他、本発明のスリップリング装置は、回転軸を有する種々の装置に組み込んでよい。
1 複合モータ(回転電機)
2 入力軸
2b スリーブ部(絶縁部材)
2c 絶縁樹脂(絶縁部材)
10A、10B、10C、10D スリップリング装置
11a〜11c リング部材
12a〜12c ブラシ
15a〜15c インナーバスバー
16a〜16c インナーバスバーの一方の端部
17 接続溝部
18 収容溝部
Ax 軸線

Claims (2)

  1. 回転軸に軸線方向に並ぶように設けられた複数のリング部材を備え、各リング部材にそれぞれブラシが接触するスリップリング装置において、
    前記リング部材毎に設けられ、前記回転軸に絶縁部材を介して支持されて前記軸線方向に延びる複数のバスバーを備え、
    前記複数のリング部材のうちの少なくともいずれか1つのリング部材の内周面には、前記軸線方向に延びるとともに径方向外側に凹むように形成され、かつ前記バスバーの一方の端部が嵌め込まれる溝部が設けられ
    前記複数のリング部材のうち自リング部材以外の他のリング部材のバスバーが径方向内側を通過するリング部材の内周面に、前記軸線方向に延びるとともに径方向外側に凹むように形成され、かつ前記絶縁部材を介して前記他のリング部材のバスバーを収容可能な収容溝部が設けられているスリップリング装置。
  2. 前記回転軸は、三相交流式の回転電機に設けられ、
    前記回転軸に3個のリング部材が設けられ、
    前記回転軸には、前記バスバーが周方向に120°ずつずらして3つ設けられ、
    各リング部材の内周面に、前記溝部が1つ設けられるとともに前記収容溝部が2つ設けられ、
    2つの前記収容溝部のうちの一方の収容溝部が前記溝部から左回りに120°ずれた位置に配置され、他方の収容溝部が前記溝部から右回りに120°ずれた位置に配置されている請求項1に記載のスリップリング装置。
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