JP5665504B2 - 垂直共振器型面発光レーザおよび垂直共振器型面発光レーザアレイ - Google Patents
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Description
この垂直共振器型面発光レーザは、低消費電力であることや高密度に2次元アレイ化が容易であるなどの利点を有しており、光通信や各種センサー、電子写真光源などへの応用が実用化されている。
一般に、半導体レーザは駆動するための電流を狭い範囲に集中させることで効率の上昇や閾値の低下を行っている。
GaAs基板上に製作する面発光レーザの場合、Al組成の大きなAlGaAs層をメサ構造内部に配置し、それを横方向から部分的に酸化することで、電流狭窄層を実現している例が多い。
具体的には、メサ構造を形成後、AlGaAs層を横方向から高温水蒸気により部分的に酸化し、メサ構造の中心部分のみを導電性のまま残すことで、電流をこの部分に狭窄し、閾値の低減や発光効率の向上を実現している。
このような酸化狭窄による電流狭窄構造の特長として、電気抵抗の大きく異なる酸化部分と非酸化部分を容易に製作でき、漏れ電流をほぼ無視できるレベルまで落とすことができるため、効率よく発光させることができる。
また、屈折率差も同時に実現できるため、光閉じ込めの効果もある。
例えば、非特許文献1では、AlGaAs系材料で構成されるp型DBRとn型DBRにはさまれたAlGaInP系活性層を有する赤色VCSELが開示されている。
図5に非特許文献1で開示されている赤色VCSELの構造について説明する。GaAs基板1001の上に、光学的厚さが1/4波長のAl0.95Ga0.05As層1010と、Al0.5Ga0.5As1011とが交互に積層されたn型の下部DBR1002が設けられている。
そして、その上に、n型クラッド層1020、4つのGaInP量子井戸による活性層1019、p型クラッド層1021が形成されている。
また、p型クラッド層1021の上には、Al0.5Ga0.5As層1015と、電流狭窄層(なお、酸化前の電流狭窄層を「選択酸化層」ともいう。)1016が形成されている。この選択酸化層1016はメサ構造形成後に横方向から部分的に酸化し、酸化部分1017と非酸化部分1018を形成することにより、電流狭窄構造を実現している。
この電流狭窄層の上には、光学的厚さが1/4波長のAl0.95Ga0.05As層1012と、Al0.5Ga0.5As1013とが交互に積層されたp型の上部DBR1005を構成する層が設けられている。
これらのp型の上部DBR1005を構成する層上には、電極と電気的なコンタクトを取るためのコンタクト層1014が配置されている。
なお、上記では、Al0.5Ga0.5As層1015は、上部DBR1005とは別部材であると表現しているが、Al0.5Ga0.5As層1015や電流狭窄層1016を含んだものをDBRとして考えても良い。
このようにして、AlGaAs系のDBRとAlGaInP系活性層を組み合わせることで、AlGaAs系材料特有の選択酸化層を用いた電流狭窄方法を用いた赤色で発光する面発光レーザを実現することができる。
しかしながら、図5に示した構成では、Al0.5Ga0.5As層1015において、電流狭窄層1016で中央部分に集中させた電流が再び横方向へ広がってしまう。
その結果、電流狭窄層1016で一度狭窄した電流が電流狭窄層1016から活性層1019に流れるに従って広がり、発光効率が低下するという課題が生じる。
これらについて、更に説明すると、レーザ発振している領域は、電流狭窄層1016のうち、非酸化部分1018とほぼ同一の幅であり、電流を活性層1019の中央部に集中させることで、発光効率を上げることができる。
ここで、p型クラッド層1021を構成するAlGaInP材料の正孔移動度は20cm2/V・s程度である。一方、Al0.5Ga0.5As層1015の正孔の電子移動度は80cm2/V・s程度である。
すなわち、p型クラッド層1021を構成する材料の移動度は、その上部に形成されているp型Al0.5Ga0.5As層1015の移動度に比較して非常に小さいという関係になっている。
したがって、電流を活性層1019の中央部に集めにくくなり、発光効率が低下する。
電流狭窄層から活性層に流れるに従って再び広がることを抑え、発光効率の低下を抑制することが可能となる垂直共振器型面発光レーザおよび垂直共振器型面発光レーザアレイの提供を目的とする。
基板上に形成された下部DBR層と、
前記下部DBR層の上に形成された下部クラッド層と、
前記下部クラッド層の上に形成された活性層と、
前記活性層の上に形成された上部クラッド層と、
前記上部クラッド層の上に形成された電流狭窄層と、
前記電流狭窄層の上に形成された上部DBR層と、
前記上部クラッド層と前記電流狭窄層との間に配され、前記上部DBRを構成する半導体の伝導型とは異なる伝導型からなる半導体層である異種伝導型層と、を有することを特徴とする。
また、本発明の垂直共振器型面発光レーザアレイは、上記した垂直共振器型面発光レーザを、1次元または2次元にアレイ状に配列して構成されていることを特徴とする。
本実施形態の垂直共振器型面発光レーザは、基板上に、下部DBR層、下部クラッド層、活性層、上部クラッド層、電流狭窄層、上部DBR層を含む複数の半導体層が積層されて構成されている。
具体的には、図1(a)に示されるような層構成を備えている。
すなわち、図1(a)に示すように、GaAs基板501の上に、AlAsで構成された低屈折率層514と、Al0.5Ga0.5Asで構成された高屈折率層515とが交互に積層されたn型の下部DBR502が設けられている。この下部DBR502を構成する各層の厚さは、例えばλ/4の光学的厚さである。
そして、下部DBR502の上に、n型クラッド層511、活性層513、p型クラッド層512が形成されている。活性層513は、例えばGaInPを用いた量子井戸を備えている。n型クラッド層511と、p型クラッド層512は、AlGaInP系材料により構成されている。
p型クラッド層512の上には、電流狭窄層525が設けられている。電流狭窄層525は、酸化されてAlXOYの絶縁体となった部分(酸化部分)526と、酸化されずに残った部分(非酸化部分)527とを有する。電流狭窄層525の上には、Al0.9Ga0.1As層で構成された低屈折率層530と、Al0.5Ga0.5As層で構成された高屈折率層531とが交互に積層されたp型の上部DBR505が設けられている。
そして、電流狭窄層525と、p型クラッド層512との間には、異種伝導型層520が配置されている。
ここで、異種伝導型層520とは、上記DBR505の伝導型とは異なる伝導型の層であり、例えばDBR505がp型の半導体層で構成されていれば、異種伝導型層520はn型の半導体層である。また、異種伝導型層520は、i型の半導体層であってもよい。ここで、i型の半導体層とは、自由キャリアが所定値より少ない状態、例えば1×1017cm-3より少ない状態とされている半導体層のことである。なお、i型の半導体層とは、ドーパントを有さない半導体を含むことはもちろんのこと、pとnのドーパントを同量だけドーピングして実効的にキャリア濃度を低下させている半導体なども含まれる。
また、酸化部分526の下側をn型とすることによって、この部分を電流が流れようとするとn−pの逆方向へ電流が流れることになり、電流は非常に流れにくくなる。
この場合、拡散長は電流狭窄層525のドーピング濃度には依存しないため、拡散長との関係では制限はない。
しかし、キャリアが拡散した場合でも非酸化部分527の電気抵抗を大きく上昇させないために、拡散した状態でも通常VCSELで用いられるドーピング濃度、具体的には1×1018cm-3程度残っていることが望ましい。
このため、電流狭窄層525のドーピング濃度は異種伝導型層520と電流狭窄層525との体積比によって異なるが、3×1018cm-3以上とすることが好ましい。
なお、電流狭窄手法として上記では選択酸化による電流狭窄法であったが、同様に陽子注入のように、電流を抑止する部分(選択酸化では酸化された部分)の半導体結晶性を乱すような電流狭窄手法であっても、本実施形態の効果を奏することができる。
しかし、電流狭窄層のうち、横方向から酸化された部分(酸化部分526)は半導体ではなくなるため、直下の異種伝導層520にキャリアを供給できなくなる。この結果、キャリアを供給できるのは酸化されていない中央部分のみとなる。そのため、異種伝導層520における中央部分と周辺部分とで電流の通り易さが異なることとなり、この酸化部分526の下部に位置する周辺部分を通る電流の広がりを抑えることができる。
なお、本実施形態の上記構成は、電流狭窄層で狭窄されたキャリアが広がってしまうという本発明の課題を達成するための構成である。そのため、上記のAlGaInPを活性層材料として用いた赤色面発光レーザの例は一例であり、それ以外でも電流狭窄層と共振器の間で電流の広がりが生じる場合に、本発明の構成を適用することで、本発明の効果を奏することができる。
実施例1として、本発明を適用した垂直共振器型面発光レーザの構成例について、図1を用いて説明する。
図1(a)は本実施例に係る赤色面発光レーザ構造の断面模式図である。
本実施例における面発光レーザ構造は、n型GaAs基板501と、n型AlAs層514/Al0.5Ga0.5A層515で構成されるn型の下部DBR502とを有する。
また、このn型の下部DBR502の上には、n型クラッド層511、ドーピングされていない4つのGa0.45In0.55P/AlGaInP量子井戸を含む活性層513、p型クラッド層512を有する。そして、これら3つの層の光学的長さは2λ(λ:発振波長)となっている。
さらに、p型クラッド層512と、電流狭窄層525との間には、異種伝導型層520が配置されている。
異種伝導型層520は、1×1018cm-3のn型にドープされており、その上の電流狭窄層525は1×1018cm-3のp型にドープされている。また、異種伝導型層520と接するp型クラッド層512は1×1018cm-3にドーピングされている。
電流狭窄層525は、厚さ30nmのAl0.98Ga0.02Asをメサ構造の側壁から酸化することにより構成される。
また、電流狭窄層525の上には、p型Al0.9Ga0.1As層530とAl0.5Ga0.5As層531が30ペアで構成されるp型の上部DBR505が配置されている。
図2にp型層のドーピング濃度とn型層に形成される空乏層幅の計算結果を示す。また、p型クラッド層512、異種伝導型層520、非酸化部分527とそれらの界面に生じる空乏層550、551の関係を図1(b)に示す。
また、異種伝導型層520、p型クラッド層512、酸化部分526の関係については、同様に図1(c)に示す。
図1(b)に示すように、本実施例のドーピング濃度での異種伝導型層520(ドーピング濃度1×1018cm-3)と非酸化部分527(ドーピング濃度1×1018cm-3)のpn接合面には空乏層551ができる。異種伝導型層520内にある空乏層の幅は約36.4nmとなる(図2)。
また、異種伝導型層520とp型クラッド層512(1×1018cm-3)により生じる空乏層550のうち、異種伝導型層520内に生じる空乏層の幅は約36.4nmとなる。
一方、Al0.9GaAsの680nm付近で光学的厚さがλ/4となる物理的厚さは50nmであり、異種伝導型層520はこの厚さとなっている。
そのため、図1(b)においては、電流狭窄層525とp型クラッド層512から伸びる空乏層をあわせると異種伝導型層520内はすべて空乏層となっている。
これは、酸化部分526は単結晶の半導体ではなくなっており、正孔を供給できないためである。
そして、異種伝導型層520とp型クラッド層512の間で生じる空乏層550の幅は異種伝導型層520内では約36nmとなる。そのため、異種伝導型層520にはn型部分が残る。
また、空乏層内においては、結晶成長方向(基板表面と垂直な方向)には電界が生じているため、空乏層内に入った正孔は電界によりスムーズにp型クラッド層へ移動できる。
一方、面内方向(基板表面と同じ面内方向)には電界は生じていない。そのため、横に広がるよりも縦に進む方が早くなり、正孔の横方向への広がりを抑制できる。
この場合、空乏層内に注入されたキャリアは空乏層内に生じている電界により加速されp型クラッド層512へスムーズに抜けることが出来るためである。
このためには、図2より下記の条件の範囲内で適宜設定することで、実現可能であることが分かる。
異種伝導型層のドーピング濃度は0.5×1018cm-3から1×1018cm-3であって、周囲のp型層は0.5×1018cm-3から3×1018cm-3で適宜設定する。
これにより異種伝導型層の層厚は40nmから120nm程度までの範囲で非酸化部分527の直下は全て空乏層となっており、かつ酸化部分526の直下は一部にn型部分が残る状態を作ることが可能である。
まず、上記GaAs基板501、下部DBR502、n型クラッド層511、活性層513、p型クラッド層512、異種伝導型層520、上部DBR505、コンタクト層507の半導体層構成を有機金属気相成長法や分子線エピタキシーで成長する。
そのウエハにスパッタ法を用いて誘電体膜を形成する。
その後、半導体リソグラフィー法を用いてフォトレジストでメサ径を決める円形パターンを作る。
ここで、フォトレジストパターンを利用して、誘電体膜を部分的に除去し、その後ドライエッチングにより選択酸化層(電流狭窄層)が露出するように活性層部分まで半導体層を掘る。
ここでは、選択酸化層(電流狭窄層)として、AlXGa1-XAs(x>0.9)とその酸化物で構成されたものを用いることができる。
そして、この選択酸化層を酸化させ、非酸化部を作成する。具体的には、450℃程度の水蒸気雰囲気中でAl0.98Ga0.02As選択酸化層(電流狭窄層)525を横方向から酸化させるが、このとき酸化時間を制御することにより電流及び光閉じ込めする酸化部分526と非酸化部分527を作成する。
非酸化部分527の直径は6マイクロメートル程度となるように、酸化時間を制御する。
その後、レジストを剥離し、ウエハ全体にわたってプラズマCVD法を用いてパッシベーションのための誘電体膜を形成する。
コンタクト層を露出させるためのリング状に穴の開いたレジストパターンを形成し、それを用いて誘電体膜、GaAsコンタクト層507が露出した部分を形成する。
真空蒸着法およびリソグラフィー法を用いてp側電極510およびn側電極509を形成する。
p側電極510は取り出しのための円形窓が形成されている。良好な電気特性を得るため、高温窒素雰囲気中で電極と半導体を合金化し素子が完成する。
なお、本実施例では、電流狭窄手法として選択酸化層(電流狭窄層)525を部分的に酸化することによる電流狭窄法が用いられているが、このような方法に限定されるものではない。他の狭窄法においても同様に電流を抑止する部分(選択酸化では酸化された部分)の半導体の結晶性を乱すような電流狭窄手法であれば、例えば陽子注入であっても良い。
これは、以下の実施例でも同様である。
実施例2として、異種伝導型層がi層で構成された垂直共振器型面発光レーザについて、図3を用いて説明する。
本実施例の面発光レーザは実施例1と異種伝導型層620の伝導型と電流狭窄層625のドーピング濃度が異なる点を除いては、実施例1と同一である。
そのため、同一の部材については、実施例1と同じ符号を付している。
本実施例では、異種伝導型層620はi型のため、その層厚は正孔の拡散長以下にすることが電気抵抗の観点から望ましい。
本実施例では、異種伝導型層620はAlGaAs半導体で構成されている。具体的には、Al0.9Ga0.1Asで構成されているため、その正孔拡散長は約430nmとなる。
したがって、異種伝導型層の層厚は400nm以下とすることか望ましい。本実施例の異種伝導型層620の層厚は約50nmであるため、拡散長より十分小さく、より好ましい範囲である。
これは、異種伝導型層にキャリアが拡散しても電流狭窄層625にある程度のキャリア密度を保ち、電気伝導性を良好にするためである。
なお、図3の626および627はそれぞれ、電流狭窄層625のうち、酸化部分と非酸化部分である。
本実施例における素子の製作手順は、結晶成長時に異種伝導型層520の代わりに異種伝導型層620を成長させる以外は実施例1と同一であるため、省略する。
また、本実施例のi層とは、pまたはn型にするためのドーパントを入れない半導体に加え、pとnのドーパントを同量だけドーピングして実効的にキャリア濃度を低下させている場合も含む。
実施例3として、上記各実施例と異なる形態の垂直共振器型面発光レーザ構成例について、図4を用いて説明する。
本実施例における面発光レーザ構造は、n型GaAs基板701、GaAs基板701の上部に位置するn型AlAs層714とGaAs層715で構成されるn型の下部DBR702を有する。
下部DBR702の上には、Al0.5Ga0.5Asからなるn型クラッド層711、ドーピングされていない3つのIn0.18GaAs/GaAs量子井戸を含む活性層713、Al0.5GaAsからなるp型クラッド層712が形成されている。これら3つの層の光学的長さは発振波長λの1波長分となっている。また、p型クラッド層712は1×1018cm-3にドーピングされている。
さらに、p型クラッド層712の上には、異種伝導型層720が配置されている。
異種伝導型層720は1×1018cm-3のn型にドープされている。
また、異種伝導型層720の上には、厚さ30nmのAl0.98Ga0.02Asで構成される電流狭窄層725が形成されている。この電流狭窄層725は酸化部分726と非酸化部分727に分かれている。この電流狭窄層725は1×1018cm-3にドープされている。
電流狭窄層725は、p型Al0.9Ga0.1Asから構成される低屈折率層730と、GaAsで構成される高屈折率層731が22ペアで積層されたp型の上部DBR705が配置されている。
上部DBR705の上には厚さ10nmの高ドープのGaAsで構成されたコンタクト層707が接している。
コンタクト層707の上部には、上部電極710が設けられており、コンタクト層707と電気的にコンタクトしている。
また、GaAs基板701の下には、下部電極709が設けられている。
しかし、電流狭窄層725の下に縦方向と面内方向で導電率が一様な半導体があるため、狭窄された電流は横方向へ広がっている。
そのため、本実施例の様に、電流狭窄層を内部に有するDBR層を構成する材料と活性層材料の電気抵抗率が大きく異ならない場合においても、異種伝導型層を電流狭窄層とp型クラッド層の間に設けることにより、狭窄された電流が再び広がることを抑制できる。
そのため、効率的に面発光レーザの中心部分に電流を閉じ込めることができる。また、本実施例では980nm帯の面発光レーザであったが、他の波長帯の面発光レーザに用いても構わない。
実施例4として、垂直共振器型面発光レーザ構成例について、図6を用いて説明する。
本実施例の面発光レーザは実施例1と異種伝導型層の構成が異なる点を除いては、実施例1と同一である。そのため、同一の部材については、実施例1と同じ符号を付している。
本実施例では、異種伝導型層はn型にドープされた異種伝導型層820と電流狭窄層525との間にp型の半導体層821が設けられている点が実施例1と異なる。すなわち、異種伝導型層と電流狭窄層との間には、上部DBRの伝導型と同じ伝導型の半導体を設けてもよい。
ここで、異種伝導型層820の伝導型はn型で、ドーピング濃度は0.5×1018cm−3、厚さは110nmである。また、半導体層821の伝導型はp型で、ドーピング濃度は0.5×1018cm−3、厚さは30nmとなっている。
本実施例で半導体層821が設けられているのは、電流狭窄層525と活性層513との間の距離を大きく取るためである。
図2に示すように、pn接合面にできる空乏層の幅には制限がある。しかしながら、面発光レーザにおいては、酸化層狭窄層と下部クラッド層の距離を一般的な1/4λ(従来例も1/4λである)よりも大きくしたい場合も存在する。
例えば、電流狭窄層により何らかの原子の拡散や内部応力が素子の信頼性に悪影響を与える場合には、電流狭窄層を下部クラッド層から離すことが必要になる。このような場合に、電気抵抗や結晶成長の良好な再現性を維持するためにある程度のドーピング濃度(例:0.5×1018cm−3以上)を維持しつつ、実施例1のような単層の異種伝導型層を用いて空乏層幅を100nm以上を実現することは困難である。
そこで、本実施例の様に電流狭窄層と活性層間を複数層で構成し、かつそのうちの一つを上部DBRとは異なる伝導型の層とすることで、電流狭窄層と活性層間との距離を大きくすることができる。
また、異種伝導型層820と半導体層821の間に出来ている空乏層は、仮にそれぞれの層が十分に厚ければそれぞれの層内で均一で約55nmとなる。
ただし、半導体層821の実際の層厚は30nmと薄いため、半導体層821からの正孔の供給だけでは、異種伝導型層820の全てを空乏層にすることが出来ない。
しかし、非酸化部分527の下側部分に関しては、非酸化部分527から追加のキャリア供給があるために、本来の55nmの厚さの空乏層を形成でき異種伝導型層820内部をすべて空乏層とすることができる。
一方、酸化部分526の下側部分は、電流狭窄層525からの追加のキャリアの供給が出来ないため、異種伝導型層820の内部をすべて空乏層にすることが出来ず、一部にn型部分が残ってしまう。
その結果、非酸化部分527の直下のみ、活性層513と電流狭窄層525との間がすべて空乏層となり、実施例1で説明したように、電流の広がりを抑えることができる。
上記実施例で説明した垂直共振器型面発光レーザを1次元または2次元にアレイ状に配列して垂直共振器型面発光レーザアレイを構成してもよい。
また、上記で示した各半導体層のドーピング量および厚さや、空乏層の厚さなどは、単なる一例であり、適宜設計変更することが可能である。
また、「Aの上に形成されたB」とは、AとBとが必ずしも接していなくてもよい。
502:下部DBR
505:上部DBR
507:コンタクト層
509:下部電極
510:上部電極
511:下部クラッド層
512:上部クラッド層
513:活性層
514:低屈折率層
515:高屈折率層
520:異種伝導型層
525:電流狭窄層(酸化選択層)
526:酸化部分
527:非酸化部分
530:低屈折率層
531:高屈折率層
550:512と520とのpn接合界面に生じる空乏層
551:520と527とのpn接合界面に生じる空乏層
Claims (8)
- 基板上に形成された下部DBR層と、
前記下部DBR層の上に形成された下部クラッド層と、
前記下部クラッド層の上に形成された活性層と、
前記活性層の上に形成された上部クラッド層と、
前記上部クラッド層の上に形成された電流狭窄層と、
前記電流狭窄層の上に形成された上部DBR層とを有する垂直共振器型面発光レーザであって、
前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層とがp型またはn型の半導体で構成され、
前記中心を含む部分および前記上部クラッド層を構成する半導体がp型である場合は、前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層との間に、n型の半導体層が設けられ、前記中心を含む部分および前記上部クラッド層を構成する半導体がn型である場合は、前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層との間に、p型の半導体層が設けられていることを特徴とする垂直共振器型面発光レーザ。 - 前記電流狭窄層は、AlXGa1−XAs(x>0.9)と、該AlXGa1−XAs(x>0.9)の酸化物で構成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直共振器型面発光レーザ。
- 前記上部DBR層を構成する半導体の伝導型がp型であり、前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層との間に、n型の半導体層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直共振器型面発光レーザ。
- 前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層との間に設けられた半導体層と、前記電流狭窄層との間に、前記上部DBR層を構成する半導体の伝導型と同じ伝導型からなる半導体層が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光レーザ。
- 前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層との間に設けられた半導体層は、AlGaAs半導体で構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光レーザ。
- 前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層との間に設けられた半導体層は、その層厚が40nmから120nmであることを特徴とする請求項3に記載の垂直共振器型面発光レーザ。
- 前記電流狭窄層の中心を含む部分と前記上部クラッド層との間に設けられた半導体層の層厚が、λ/4の光学的厚さ(λ:発振波長)であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光レーザ。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の垂直共振器型面発光レーザを、1次元または2次元にアレイ状に配列して構成されていることを特徴とする垂直共振器型面発光レーザアレイ。
Priority Applications (1)
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