JP5661385B2 - 印刷用紙の製造方法及びこの製造方法により得られる印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、再生粒子を填料として用いる印刷用紙の製造方法及びこの製造方法により得られる印刷用紙に関する。
紙の不透明度、白色度、印刷適性などを改善するために、紙には様々な填料が内填されている。填料の紙への内填は、パルプスラリーに填料を添加して、このパルプスラリーを抄紙することにより行うのが一般的である。この際、不透明度等の紙の品質向上のために填料添加量を増加させると、填料に対するパルプ繊維の相対量が低下するため、抄紙の際に填料が紙中に残留しにくくなり、填料の歩留まりが低下することとなる。この歩留まりの低下は、紙粉の発生や、操業効率の低下の原因となる。
そこで、抄紙の際に填料を紙中に留まらせる技術として、各種方法が提案されている。例えば、歩留向上剤として、パルプスラリーに高分子物質を添加する方法がある。この高分子物質としては、カチオン化澱粉等の天然高分子誘導体や、ポリエチレンイミン等の合成高分子物質が挙げられる。また、填料の水分散液(スラリー)中において、填料を凝集剤で予め凝集させ、この水分散液をパルプスラリーに添加し、抄紙する技術が提案されている。この填料の予備凝集の具体的方法としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドをモノマーとするカチオン性高分子化合物を用い、混合後の抄紙用填料の平均粒子径を混合前の1.0〜2.0倍とする方法が提案されている(特許第4324073号公報参照)。
一方、製紙工場の各種工程から排出される製紙スラッジ中の無機物を、いわゆる再生粒子として、製紙用填料等に再利用することは、製紙業界において環境問題に関わる重要な課題となっている。このような再生粒子を製造する方法としては、製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程をこの順に経るものが一般的である。このような工程を経る再生粒子の製造方法においては、熱処理工程における過燃焼等の影響により、酸化カルシウム等の水和硬化性物質が生じることとなる。この水和硬化性物質は、例えば酸化カルシウムが水中で水酸化カルシウムとなること等により硬化するための、再生粒子を填料として用いた際に、パルプスラリーの粘度が上昇し、作業性が低下するという不都合が生じる。
特に、上述のように填料を凝集剤で予め凝集する際、この填料として再生粒子を用いた場合、再生粒子の凝集と相まって、水分散液(スラリー)の粘度が上昇するため、作業性が低下したり、また、所望以上の再生粒子の凝集が生じたりする等の不都合が生じる。一方、逆に増粘を抑えるために添加する凝集剤の量を低下させると適度に凝集された再生粒子(填料)を得ることができず、填料の歩留まりが低下するという不都合がある。
特許第4324073号公報
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、再生粒子を填料として用いた場合において、スラリーの増粘を抑え、かつ優れた填料の歩留まりを有する印刷用紙の製造方法及びこの製造方法によって得られる印刷用紙の提供を図ることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られた再生粒子を凝集剤により凝集させて、凝集再生粒子含有スラリーを得る再生粒子凝集工程、
上記凝集再生粒子含有スラリーをパルプスラリーに添加する添加工程、及び
上記凝集再生粒子含有スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙する抄紙工程
を有し、
上記凝集剤が(メタ)アクリレート系カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合体を含み、
上記凝集再生粒子の体積平均粒子径が3.5μm以上15μm以下である印刷用紙の製造方法である。
当該製造方法によれば、凝集剤として上記特定の共重合体を含むことで、再生粒子の適度な凝集を容易とし、加えてスラリーの増粘を抑えることができる。この理由は定かではないが、例えば以下の理由が考えられる。この共重合体は(メタ)アクリレート系カチオン性単量体を一モノマーとして共重合して得られることで、この共重合体が側鎖に、かつ主鎖から一定距離をおいてカチオンを有する構造を有する。このため、この共重合体は、カチオン部分が柔軟に動くことができ、このため、再生粒子中の水和硬化性物質の反応を効果的に抑制したり、電荷分布にバラツキがある再生粒子に対しても効率的に凝集を生じさせることができると考えられる。また、当該製造方法によれば、さらに凝集再生粒子の体積平均粒子径を上記範囲とすることで、スラリーの増粘を抑え、かつ、再生粒子の紙中への歩留まりを向上させることができる。
上記(メタ)アクリレート系カチオン性単量体がジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩であり、非イオン性単量体がアクリルアミドであるとよい。凝集剤として上記モノマーから得られるカチオン性合成高分子を用いることで、カチオン部分の柔軟性が適度となり、スラリーの増粘抑制能及び再生粒子の凝集性をより高めることができる。
上記凝集剤の質量平均分子量が400万以上2,000万以下、カチオン電荷密度が10meq/g以下であるとよい。当該製造方法において、有する電荷にバラツキがある再生粒子に対する凝集剤として、上記範囲の質量平均分子量及び電荷密度を有する凝集剤を用いることで、スラリーの増粘をより効果的に抑え、所望する二次粒子径を備える凝集体へ凝集させることができる。
上記再生粒子が、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られ、上記熱処理工程が第1熱処理工程と、熱処理温度がこの第1熱処理工程の熱処理温度より高い第2熱処理工程とをこの順に有するとよい。このような工程を経て得られた再生粒子は、過燃焼が抑えられており、水和硬化性物質の発生が抑制されているため、その結果、凝集再生粒子スラリーの増粘をさらに効果的に抑えることができる。
従って、本発明の製造方法により得られる印刷用紙は、填料としての再生粒子の歩留まりが高く、その結果、灰分が多く、高い不透明度等を有することができる。
当該製造方法により得られる印刷用紙の灰分としては、4%以上20%以下が好ましい。当該紙によれば、灰分を上記範囲とすることで、高不透明度等の特性をより効果的に発揮することができる。
ここで、体積平均粒子径とは、レーザー回析散乱法により測定された粒度分布における体積中位粒径(D50)をいう。また、灰分は、JIS−P8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した値をいう。
以上説明したとおり、本発明の印刷用紙の製造方法によれば、再生粒子を填料として用いているにもかかわらず、スラリーの増粘を抑え、かつ優れた填料の歩留まりを有する紙を製造することができるため、紙の生産性を向上させ、灰分が多く、高い不透明度等を有する高品質な印刷用紙を得ることができる。
以下、本発明の印刷用紙の製造方法及びこの製造方法によって得られる印刷用紙について詳説する。
<印刷用紙の製造方法>
当該印刷用紙の製造方法は、
(1)製紙スラッジを主原料とする再生粒子を凝集剤により凝集させて、凝集再生粒子含有スラリーを得る再生粒子凝集工程、
(2)上記凝集再生粒子含有スラリーをパルプスラリーに添加する添加工程、及び
(3)上記凝集再生粒子含有スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙する抄紙工程
を有する。
<(1)再生粒子凝集工程>
(1)再生粒子凝集工程においては、填料としての再生粒子をパルプスラリーへ添加する前に予め凝集剤により凝集させて、凝集再生粒子を含有する凝集再生粒子含有スラリーを得る。当該製造方法においては、この再生粒子として製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られたものを用いることで、過燃焼が抑えられており、スラリー化の際の増粘を抑制することができる。なお、この再生粒子の好ましい製造方法については、後に詳述する。
この再生粒子凝集工程においては、例えば再生粒子を水中へ分散させた再生粒子スラリーへ、凝集剤を添加することによって行うことができる。再生粒子スラリーにおける再生粒子の固形分濃度としては、10質量%以上40%質量以下が好ましく、15質量%以上35質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上30質量%以下が特に好ましい。再生粒子スラリーの濃度を上記範囲とすることで、再生粒子の凝集性の効率化とスラリー粘度の上昇の抑制との両立を図ることができる。再生粒子スラリーの濃度が上記下限未満の場合は、凝集剤の添加によっても、再生粒子が好適なサイズにまで凝集しないおそれがある。一方、再生粒子スラリーの濃度が上記上限を超える場合は、粘度が高すぎて作業性が低下したり、また、凝集再生粒子の粒度分布が広がりすぎ、歩留まりが低下するおそれがある。
なお、凝集剤を添加する前(本工程の前)の再生粒子の体積平均粒子径としては、特に限定されないが、1.5μm以上3.5μm以下が好ましく、2μm以上3μm以下がさらに好ましい。
再生粒子スラリーへ添加する凝集剤は、(メタ)アクリレート系カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合体を含むものである。当該製造方法によれば、凝集剤として上記特定の共重合体を含むことで、スラリーの増粘を抑え、かつ適度な粒径の凝集再生粒子を得ることができ、その結果、再生粒子の紙中への歩留まりを向上させることができる。このような効果が生じる理由は定かではないが、例えば以下の理由が考えられる。この共重合体は(メタ)アクリレート系カチオン性単量体をモノマーとして得られることで、この共重合体が側鎖に、かつ、主鎖から一定距離をおいてカチオンを有する構造を有する。このため、この共重合体は、カチオン部分が柔軟に動くことができ、その結果、再生粒子中の水和硬化性物質の反応を効果的に抑制したり、電荷分布にバラツキがある再生粒子に対しても効率的に凝集を生じさせることができると考えられる。
(メタ)アクリレート系カチオン性単量体としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩(3つのアルキル基が窒素原子に結合した3級アミノ基と、水素イオンとから形成されるアンモニウム基を有する塩)、並びにジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩化メチル付加物等のハロゲン化アルキル付加物及び塩化ベンジル付加物等のハロゲン化アリール付加物等の4級塩(4つのアルキル基が窒素原子に結合した構造を有するアンモニウム基を有する塩)等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリレート系カチオン性単量体の中でも、得られる凝集体の再生粒子に対する凝集性及びスラリーの増粘抑制性の点からジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩が好ましく、ジメチルアミノエチルアクリレートの塩がさらに好ましく、ジメチルアミノエチルアクリレートの4級塩が特に好ましい。
なお、共重合の際の(メタ)アクリレート系カチオン性単量体の全単量体に占める割合としては、好ましいカチオン電荷密度を得るためには、5モル%以上30モル%以下が好ましく、10モル%以上20モル%以下がさらに好ましい。
(メタ)アクリレート系カチオン性単量体との共重合に用いられる非イオン性単量体としては、アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N、N−ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トのなどを挙げることができる。これらの中でもアクリルアミドを用いることが、所望の分子量及び電荷密度を有するカチオン性合成高分子を得られやすい点から好ましい。
なお、凝集剤としては、この(メタ)アクリレート系カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合体以外のものを含んでいてもよい。この凝集剤としては、その他のカチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等を挙げることができる。
この凝集剤の質量平均分子量の下限としては、400万が好ましく、600万がさらに好ましく、800万が特に好ましい。一方、この質量平均分子量の上限としては、2,000万が好ましく、1,600万がさらに好ましく、1200万が特に好ましい。凝集剤の分子量を上記範囲とすることで、再生粒子に対する好適な凝集性を発揮することができる。特に、上述のような体積平均粒子径を有する再生粒子に対しては、このような範囲の分子量を有する凝集剤を用いることで、所望する粒子径を有する凝集体を効率的に得ることができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)を用いて単分散ポリスチレンを標準として測定した数値である。
凝集剤の質量平均分子量が上記下限未満の場合は、十分な凝集能を発揮することができず、再生粒子の凝集が進まないため、歩留まりの向上が発揮されないおそれがある。逆に、この平均分子量が上記上限を超える場合は、凝集能が強すぎて、偏凝集の発生や、スラリーの粘度が上昇して抄紙の作業性が低下したり、得られる紙の紙力が低下したりするおそれがある。
また、凝集剤のカチオン電荷密度の上限としては、10meq/gが好ましく、5meq/gがより好ましく、3meq/gがさらに好ましく、2meq/gが特に好ましい。一方、このカチオン電荷密度の下限としては、0.1meq/gが好ましく、0.3meq/gがさらに好ましく、0.8meq/gが特に好ましい。凝集剤のカチオン電荷密度を上記範囲とすることで、再生粒子に対する好適な凝集性を発揮することができる。なお、凝集剤として複数の成分を用いる場合は、その凝集剤全体としてのカチオン電荷密度をいう。また、上記カチオン電荷密度は、pH4で測定されるケルダール法に従って定量することができる。
凝集剤のカチオン電荷密度が上記上限を超えると、再生粒子表面全体がカチオン電荷を帯び、電荷による反発で凝集が生じにくくなる場合がある。逆に、凝集剤のカチオン電荷密度が上記下限未満の場合は、負に帯電している再生粒子を電気的に凝集させることができる効果を十分に発揮することができず、ブロードな粒度分布となる場合がある。
なお、このように再生粒子の凝集においては、質量平均分子量とカチオン電荷密度との両方において上述の好ましい範囲を有する凝集剤を用いることが、再生粒子の凝集性とスラリーの増粘抑制の両方を好適に達成することができるため好ましい。この理由は定かではないが、例えば、凝集に係る理由としては、様々な無機物、無機酸化物等の混合体である再生粒子は表面の電荷分布にバラツキがあるため、所定範囲の分子量及びカチオン電荷密度を有するカチオン性合成高分子を用いることで電気的な凝集(凝結)作用と、高分子鎖による絡みつきによる作用とを共に発揮できるためであると考えられる。
また、過燃焼等の影響による酸化カルシウム等の水和硬化性物質の存在による再生粒子スラリーの増粘においても、適度な分子量を有する凝集剤が再生粒子表面を効率的に被覆し、酸化カルシウムが水酸化カルシウムに反応すること等を抑えることができると考えられる。この際、適度なカチオン電荷密度を有する凝集剤が酸化カルシウムの反応性を抑制し、その結果、スラリーの増粘を抑制することができると考えられる。
凝集剤は水溶液として再生粒子スラリーに添加することが好ましい。また、凝集剤の添加量としては、再生粒子固形分に対して固形分で200ppm以上3,000ppm以下が好ましく、400ppm以上1,800ppm以下がさらに好ましく、500ppm以上1,300ppm以下が特に好ましい。
凝集剤の添加量が上記下限未満の場合は、十分な凝集を発揮させることができず、歩留まりの向上効果が発揮されない場合がある。逆に、凝集剤の添加量が上記上限を超えると、スラリーの増粘が顕著に生じたり、三次、四次凝集が生じ、得られる紙の紙力が低下する場合がある。
本工程を経て得られる凝集再生粒子の体積平均粒子径の上限としては、15μmであり、10μmが好ましく、8μmが特に好ましい。一方、凝集再生粒子の体積平均粒子径の下限としては、3.5μmであり、4μmが好ましく、4.5μmがさらに好ましい。凝集再生粒子の体積平均粒子径を上記範囲とすることで、抄紙工程における再生粒子の歩留まりを効率的に向上させることができる。
凝集再生粒子の体積平均粒子径が上記上限を超えると、凝集再生粒子含有スラリーの粘度が高くなりすぎて作業性が低下したり、得られる紙の紙力が低下したりする。逆に、この体積平均粒子径が上記下限未満の場合は、抄紙の再生粒子の歩留まりが十分に向上しない。
<(2)添加工程>
(2)添加工程においては、上記工程で得られた凝集再生粒子含有スラリーをパルプスラリーに添加する。
このパルプスラリーに配合される原料パルプとしては、印刷用紙の製造の際に公知のものが用いられ、例えば、LBKPやNBKP等の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、セミケミカルパルプなどの機械パルプ、及びこれらのパルプを含む古紙を脱墨して得られる脱墨パルプ(DIP)等を単独あるいは任意の比率で混合したパルプを用いることができる。これらのパルプの中でも、コストや環境への影響等を考慮すると、DIP、機械パルプが好適である。
また、上記パルプスラリーには、助剤として、凝結剤、凝集剤、サイズ剤、紙力剤等を適宜配合することができる。
さらには、上記パルプスラリーには、再生粒子以外の他の填料を配合してもよい。この他の填料としては、例えば、軽質又は重質炭酸カルシウム、クレー、焼成カオリン、タルク、二酸化チタン、ホワイトカーボン等の公知のものを一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。なお、不透明性、白色度等の面から、ホワイトカーボン、炭酸カルシウムを併用することが好適である。
凝集再生粒子含有スラリーのパルプスラリーに対する添加量としては、パルプ1tに対して再生粒子として10kg以上100kg以下が好ましく、20kg以上50kg以下がさらに好ましい。(凝集)再生粒子の添加量が上記下限未満の場合は、好ましい灰分を有する不透明度等に優れた紙を得ることができないおそれがある。逆に、この添加量が上記上限を超える場合は、紙中に残らない再生粒子の割合が高まり、歩留まりが低下し、生産性が低下するおそれがある。
<(3)抄紙工程>
(3)抄紙工程においては、上記工程にて凝集再生粒子含有スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙することによって、紙を得ることができる。この抄紙方法としては、特に限定されず、公知の抄紙機によって抄紙することができる。また、必要に応じ、抄紙後に紙表裏面にサイズ剤を塗布したり、カレンダー装置に通紙し、加圧、平滑化処理等を施してもよい。
上記抄紙工程に用いるサイズ剤としては、一般的に用いられるサイズ剤を適宜用いれば良く、このようなサイズ剤としては、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/マレイン酸半エステル共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体等、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、ロジン、トール油とフタル酸等のアルキド樹脂ケン化物、石油樹脂とロジンのケン化物等のアニオン性低分子化合物、イソジアネート系ポリマー等のカチオン性ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、水溶性高分子が好ましく、澱粉がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウム等による酸化反応によって低分子量化され分子中へカルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基等が導入された加工澱粉が更に好ましい。上記サイズ剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。これらのサイズ剤を添加することにより、コールドセット型オフセットインキのビヒクル分が素早く吸収され、輪転機の高速化や両面カラー用タワープレス機の使用によって印刷インキ量が増加しても、充分な吸収乾燥性が発現され、また、填料が確実に繊維に固着されるため、填料の脱落を防止し、優れた印刷不透明度、印刷適性等を確保することができる。
<印刷用紙>
上記製造方法で得られた印刷用紙は、填料としての再生粒子の歩留まりが高く、高い灰分を有している。当該製造方法で得られる印刷用紙の灰分の下限としては、4%が好ましく、6%がさらに好ましく、8%がより好ましく、10%が特に好ましい。一方、この灰分の上限としては、20%が好ましく、16%がさらに好ましく、12%が特に好ましい。得られた紙が、灰分をこのような範囲とすることで、不透明度等の優れた特性を発揮することができる。
上記製造方法で得られた印刷用紙の用途としては特に限定されないが、新聞用紙等として好適に用いることができる。上記製造方法は填料の歩留性が高いため、印刷不透明度や白色度等の印刷特性に優れ、かつ、印刷の際の作業性にも優れた新聞用紙が得られる。その結果、当該製造方法で得られる新聞用紙は、高速のオフセット輪転印刷に好適に用いることができる。
<再生粒子の製造方法>
ここで、本発明の製造方法に好適な再生粒子の製造方法について、原料並びに脱水、熱処理及び粉砕の各工程の順に詳説する。なお、熱処理工程と粉砕工程との間に、配合・スラリー化工程を有することが好ましく、さらに必要に応じてその他の工程を設けることができる。
(原料)
再生粒子の原料としては、主原料として製紙スラッジが用いられ、製紙スラッジの中でも、脱墨フロスが好適に用いられる。脱墨フロスとは、古紙パルプを製造する古紙処理工程において、主に、古紙に付着したインクを取り除く脱墨工程でパルプ繊維から分離されるものをいう。製紙における古紙パルプ製造工程では、安定した品質の古紙パルプを連続的に生産する目的から、使用する古紙の選定、選別を行い、一定品質の古紙を使用する。そのため古紙パルプ製造工程に持ち込まれる無機物の種類やその比率、量が基本的に一定になる。しかも古紙中に未燃物の変動要因となるビニールやフィルムなどのプラスチック類が含まれていた場合も、これらの異物は脱墨フロスを得る脱墨工程に至る前段階で除去される。したがって、脱墨フロスは、工場排水工程や製紙原料調成工程等の、他の工程で発生する製紙スラッジと比べて、極めて安定した品質の再生粒子を製造するための原料となる。
(脱水工程)
脱水工程は、脱墨フロス等の原料の水分を所定割合まで除去する工程である。例えば、古紙パルプを製造する脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスは、種々の操作を経て、公知の脱水設備により脱水される。
脱水工程の一例としては、以下の工程が挙げられる。まず一の脱水手段であるスクリーンによって、脱墨フロスから水を分離して脱水する。このスクリーンにおいて水分率を65%〜90%に脱水した脱墨フロスは、別の脱水手段である例えばスクリュープレスに送り、更に所定の水分率まで脱水する。
脱水後の原料(脱墨フロス)は、スクリュープレスによって水分率30〜60%まで、好ましくは30〜50%まで、より好ましくは35〜45%まで脱水する。
脱水後の原料の水分率が60%を超えると、熱処理工程における処理温度の低下を招き、加熱のためのエネルギーロスが多大になるとともに、原料の燃焼ムラが生じやすくなり均一な燃焼を進め難くなる。また、排出される排ガス中の水分が多くなり、ダイオキシン対策における再燃焼処理効率の低下と、排ガス処理設備の負荷が大きくなる不都合を有する。他方、脱水後の原料の水分率が30%未満と低いと、脱墨フロスの過剰燃焼の原因となる。また、脱水処理エネルギーの削減にも反する。
上述のように、原料(脱墨フロス)の脱水を多段工程で行い急激な脱水を避けると、無機物の流出が抑制でき脱墨フロスのフロックが硬くなりすぎるおそれがない。脱水処理においては、脱墨フロスを凝集させる凝集剤等の脱水効率を向上させる助剤を添加しても良いが、凝集剤には、鉄分を含まないものを使用することが好ましい。鉄分が含有されると、鉄分の酸化により再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
脱水工程のための設備は、再生粒子の他の工程の設備に隣接することが生産効率の面で好ましいが、予め古紙パルプ製造工程に隣接して設備を設け、脱水を行った物を搬送することも可能であり、トラックやベルトコンベア等の搬送手段によって定量供給機まで搬送し、この定量供給機から熱処理工程に供給することもできる。
脱水後の原料は、熱処理工程に供給する前に、粉砕機(又は解砕機)等により、平均粒子径40mm以下、好ましくは平均粒子径3mm〜30mm、より好ましくは平均粒子径5mm〜20mmに粒子径を揃えると好適であり、また、粒子径50mm以下の割合が70質量%以上となるように粒子径を揃えると好適である。平均粒子径が3mm未満では過燃焼になるおそれがある。逆に、平均粒子径が40mmを超えると原料芯部まで均一に燃焼を図るのが困難になるおそれがある。
上記脱水工程における平均粒子径及び粒子径の割合、および後述する各熱処理工程における粒子径は、JIS−Z8801−2:2000に基づき、金属製の板ふるいにて測定した値である。
(熱処理工程)
熱処理工程は、脱水された原料の更なる水分除去のための乾燥と、比較的低温の第1の燃焼とを一連で行う第1熱処理工程、及び第1熱処理工程で得られた熱処理物を再度、第1熱処理工程より高温で熱処理(燃焼)する第2熱処理工程を含む。このように順に温度を上げていく2段階の熱処理工程を経ることで、原料の過燃焼を抑え、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。また、熱処理温度としては、比較的低温で行うことで、同様に原料の過燃焼を抑え、得られる再生粒子をスラリー化した際の増粘を抑制することができる。熱処理温度の上限としては、具体的には780℃が好ましく、750℃がさらに好ましい。
(第1熱処理工程)
脱水工程を経た原料は、第1熱処理工程として、例えば本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉を用いて、熱処理される。
この内熱キルン炉においては、熱風発生炉にて生成された熱風が、排出口側から原料の流れと向流するように送り込まれる。この内熱キルン炉の一方側には排ガスチャンバーが、他方側には排出チャンバーが設けられている。排出チャンバーを貫通して熱風が内熱キルン炉の他方側から吹き込まれ、上記一方側から装入され、内熱キルン炉の回転に伴って上記他方側へ順次移送される原料の乾燥及び燃焼を行うようになっている。
このように第1熱処理工程においては、原料を、本体が横置きで中心軸周りに回転する内熱キルン炉によって乾燥・燃焼することにより、供給口から排出口に至るまで、緩やかに乾燥と有機分の燃焼とを行うことができ、熱処理物の微粉化が抑制され、凝集体形成、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する原料の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。なお、乾燥を別工程に分割し、例えば吹上げ式の乾燥機によって乾燥させることもできる。
第1熱処理工程における熱処理温度(例えば、内熱キルン炉の炉内温度)は、300℃以上500℃未満、好ましくは400℃以上500℃未満、より好ましくは400℃以上450℃以下が好適である。第1熱処理工程においては、容易に燃焼可能な有機物を緩やかに燃焼させ、燃焼し難い残カーボンの生成を抑える目的から、上記範囲の温度で熱処理するのが好ましい。過度に温度が低いと、有機物の燃焼が不十分であり、他方、過度に温度が高いと過燃焼が生じ、炭酸カルシウムの分解によって酸化カルシウムが生成し易くなる。また、温度が500℃以上の場合は、硬い・柔らかい等さまざまな性質を有する脱水物の粒揃えが進行するよりも早くに乾燥・燃焼が局部的に進むため、粒子表面と粒子内部との未燃率の差を少なくし、均一にするのが困難になるおそれがある。
第1熱処理工程は、原料に含有される燃焼容易な有機物を緩慢に燃焼させ、残カーボンの生成を抑制するため、上記条件下で、30分〜90分の滞留(熱処理)時間で熱処理させるのが好ましい。熱処理時間が30分未満では、十分な燃焼が行われず残カーボンの割合が多くなる。他方、熱処理時間が90分を超えると、脱水物の過燃焼による炭酸カルシウムの熱分解が生じ、また、得られる再生粒子が極めて硬くなる。有機物の燃焼及び生産効率の面では、40分〜80分の滞留時間で熱処理させるのが好ましい。恒常的な品質を確保するためには、50分〜70分の滞留時間で熱処理燃焼させるのが好ましい。
(第2熱処理工程)
第1熱処理工程を経た原料は、第2熱処理工程として、例えば本体が横置きで中心軸周りに回転する外熱ジャケットを有する外熱キルン炉を用いて、熱処理される。このように、第1及び第2熱処理工程を経ることで、原料中の有機分が燃焼除去され、無機物が熱処理物として排出されることができる。
第2熱処理工程においては、第1熱処理工程で燃焼しきれなかった残留有機物、例えば残カーボンを燃焼させるため、第1熱処理工程において供給される原料の粒子径よりも小さい粒子径に調整された熱処理物を用いることが好ましい。第1熱処理工程後の熱処理物の粒揃えは、平均粒子径10mm以下となるように調整するのが好ましく、平均粒子径1〜8mmとなるように調整するのがより好ましく、平均粒子径1〜5mmとなるように調整するのが特に好ましい。第2熱処理工程における外熱キルン炉入口での平均粒子径が1mm未満では過燃焼の危惧があり、平均粒子径10mm超では、残カーボンの燃焼が困難であり、芯部まで燃焼が進まず得られる再生粒子の白色度が低下するおそれがある。
外熱キルン炉の外熱源としては、外熱キルン炉内の温度制御が容易で、かつ長手方向の温度制御が容易な電気加熱方式の熱源が好適であり、したがって、電気ヒーターによる外熱キルン炉が好ましい。外熱源に電気を使用することにより、炉内の温度を細かく、かつ均一にコントロールすることができ、凝集体の形成、硬い・柔らかい等のさまざまな性質を有する熱処理物の燃焼度合いの制御と、粒揃えとを、安定的に行うことができる。また、電気炉は、電気ヒーターを炉の流れ方向に複数設けることで、任意に温度勾配を設けることが可能であると共に、熱処理物の温度を一定時間、一定温度に保持することができ、第1熱処理工程を経た熱処理物中の残留有機分、特に残カーボンを第2熱処理工程で炭酸カルシウムの分解を来たすことなく限りなくゼロに近づけることができ、例えば重質炭酸カルシウムと比べて低いワイヤー摩耗度で、高白色度の再生粒子を得ることができる。
第2熱処理工程における熱処理温度は、好ましくは550℃〜780℃、より好ましくは600℃〜750℃である。第2熱処理工程では、先に述べたように、第1熱処理工程で燃焼しきれなかった残留有機物、特に残カーボンを燃焼させる必要があるため、第1熱処理工程よりも高温で熱処理するのが好ましく、熱処理温度が550℃未満では、十分に残留有機物の燃焼を図ることができないおそれがあり、熱処理温度が780℃を超えると、熱処理物中の炭酸カルシウムの脱炭酸が進行し、粒子が硬くなるおそれがある。
第2熱処理工程としての外熱キルン炉における滞留(熱処理)時間としては、好ましくは60分以上、より好ましくは60分〜240分、特に好ましくは90分〜150分、最適には120分〜150分が、残カーボンを完全に燃焼させるに望ましい。特に残カーボンの燃焼は炭酸カルシウムの分解をできる限り生じさせない高温で、緩慢に燃焼させる必要があり、滞留時間が60分未満では、残カーボンの燃焼には短時間で不十分であり、他方、滞留時間が240分を超えると、炭酸カルシウムが分解するおそれがある。また、熱処理物の安定生産を行うにおいては、滞留時間を60分以上、過燃焼防止、生産性確保のためには、滞留時間を240分以下とするのが好適である。
第2熱処理工程としての外熱キルン炉から排出される熱処理物の平均粒子径は、10mm以下、好ましくは1mm〜8mm、より好ましくは1mm〜4mmに調整すると好適である。この調整は、例えば、熱処理物を一定のクリアランスを持った回転する2本ロールの間を通過させること等により行うことができる。
第2熱処理工程を経た熱処理物は、好適には凝集体であり、例えば冷却機により冷却された後、振動篩機などの粒径選別機により選別され、燃焼品サイロに一時貯留される。この後、配合・スラリー化工程及び粉砕工程で目的の粒子径に調整された後、再生粒子として填料等の用途先に仕向けられる。
なお、以上では、脱墨フロスを原料として用いた場合を例示したが、脱墨フロスを主原料に、抄紙工程における製紙スラッジ等の他の製紙スラッジを適宜混入させたものを原料とすることなどもできる。
(配合・スラリー化工程)
配合・スラリー化工程は、上記第2熱処理工程から排出される熱処理物に酸及び/又は塩を配合し、その熱処理物を水中に懸濁させてスラリー化させる工程である。
この熱処理物は、後工程である粉砕工程において、効果的な粉砕を図るために、ミキサー等を使用して水中に懸濁させ、スラリーとした後に粉砕するのが好ましい。この際のスラリー濃度(スラリー全体に対する添加された熱処理物の質量比)の下限としては、15質量%が好ましく、20質量%がさらに好ましい。また、このスラリー化濃度の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がさらに好ましい。スラリー化濃度が上記下限未満であると最終的に得られた粒子を固形状とする際に、多大なエネルギーが生じるなど生産効率が低下する。逆に、スラリー化濃度が上記上限を超えると、のちの粉砕工程において効果的な粉砕が困難となる、また凝固、固化が生じやすくなるなどのおそれがある。
上記酸及び/又は塩は、カルシウムイオンの存在下でカルシウム塩を析出し得るものである。当該酸及び/又は塩によれば、過燃焼によって生じた酸化カルシウムやメタカオリンに起因しスラリー中に溶け出したカルシウムイオンと反応し、カルシウム塩を析出させることで、カルシウムイオンとスラリー中に共存する珪酸イオンやアルミン酸イオンとの反応を抑え、硬化物質の生成を抑制させることができる。この結果、この酸及び/又は塩を用いることで、スラリーの凝固、固化を抑えることができる。以下その理由について説明する。
製紙スラッジの構成成分である炭酸カルシウムとカオリンから、熱処理工程等における過燃焼により酸化カルシウム、メタカオリンなどが生じる。この酸化カルシウムは、水と混合すると(スラリー中では)水酸化カルシウムとなり、この水酸化カルシウムに起因するカルシウムイオンに誘引されて珪酸イオンやアルミン酸イオンがスラリーを凝固、固化させる要因となっている。この理由としては定かではないが、このカルシウムイオンがスラリー中に共存する珪酸イオンやアルミン酸イオンと反応し、この珪酸イオンやアルミン酸イオンなどの水和硬化反応(エトリンガイト等の水和物の生成)を促進させることなどが考えられる。なお、この珪酸イオンやアルミン酸イオンは過燃焼によって生じるメタカオリン等に由来するものである。
ここで上記酸及びその塩が、スラリー中に添加されていると、スラリー中のカルシウムイオンと反応してカルシウム塩となる。このカルシウム塩の水への溶解度が低いと固体として析出し、スラリー中のカルシウムイオンを減少させ、メタカオリン等による珪酸イオンやアルミナイオンの生成を抑える。この結果、スラリー中において、水和硬化性物質の生成を生じないためスラリーの凝固、固化を防ぐことができると考えられる。
このような酸及び/又は塩としては、カルシウム塩の状態における20℃での水100gに対する溶解度が1g以下であるものが好ましい。このような水への低い溶解度を有する酸及び/又は塩によれば、通常の再生粒子の製造工程における配合・スラリー化工程中のスラリーにおいて、カルシウムイオンと反応し、その反応によって生じるカルシウム塩が、酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを含む粒子の表面に析出することでスラリーの凝固、固化を効果的に防ぐことができる。
また、この酸及び/又は塩によれば、得られる再生粒子の白色度を高めることができる。酸又はその塩から得られるカルシウム塩は白色度が高いものが多い。そのため、これらのカルシウム塩が酸化カルシウムを含む粒子を被覆することで得られる再生粒子の白色度を高めることができる。
この酸及び/塩としては、カルシウムイオンの存在下でカルシウム塩を析出し得るものであり、好ましくはカルシウム塩の状態における20℃での水100gに対する溶解度が1g以下であるものが好ましく、有機酸又はその塩であっても、無機酸又はその塩であってもよい。なお、このカルシウムイオンの存在下でカルシウム塩を析出するとは、一般的な再生粒子の製造工程におけるスラリー中で、カルシウム塩を析出し得ることをいう。
この酸としては、具体的には、硫酸(硫酸カルシウム二水和物の溶解度0.21g/100g)、フッ化水素酸(フッ化カルシウムの溶解度0.0016g/100g)、クエン酸(クエン酸カルシウムの溶解度0.025g/100g)、リン酸(リン酸三カルシウムの溶解度0.0025g/100g)、炭酸(炭酸カルシウムの溶解度0.0014g/100g)、ホスホン酸等を挙げることができる。また、その塩としては、上記各酸のカルシウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩等を挙げることができる。上記酸又はその塩の中でも、作業性、経済性及び得られる再生粒子の均質性の点から、製紙工場で一般的に利用されている、硫酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸、硫酸、硫酸バンド(Al(SO)及びホスホン酸が好ましく、リン酸又は希硫酸が特に好ましく、リン酸がさらに特に好ましい。
また、この酸及び/又は塩としては、酸又は加水分解した際に酸性を示す塩であることが、スラリーのpHの低減の点から好ましい。pHが高い再生粒子は、他の薬品と反応して品質低下を招くおそれがあるため、酸の添加によりpHを低減させることは効果的である。
この酸及び/又は塩の熱処理物への配合(配合工程)は、熱処理物のスラリー化(スラリー化工程)より前又は同時に行うことが好ましい。熱処理物をスラリー化した後に、酸及び/又は塩を添加すると、既に熱処理物中の酸化カルシウムが水酸化カルシウムに変化し、発生したカルシウムイオン等を原因とする水和硬化反応が既に開始されているため、凝固や固化の抑制効果を得られない、又はその効果が低下するおそれがある。
熱処理物のスラリー化より前の、酸及び/又は塩の熱処理物への配合方法としては、粉体状体の熱処理物に固体の上記酸の塩(硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム等)等を混合する方法などを挙げることができる。熱処理物のスラリー化と同時の、酸及び/又は塩の熱処理物への添加方法としては、(1)水に酸及び/又は塩を溶かし、その水溶液中に熱処理物を懸濁させ、懸濁させる方法、(2)水に酸及び/又は塩と、熱処理物とを同時に混合させる方法などを挙げることができる。熱処理物のスラリー化と同時の、酸及び/又は塩の熱処理物への添加方法によれば、酸及び/又は塩が水溶液中でしか存在しない場合(炭酸等)や、水溶液以外での扱いが困難な場合(硫酸等)においても、不都合なく配合することができる。
この酸及び/又は塩の配合量の下限としては、熱処理物100質量部に対して、0.01質量部が好ましく、0.1質量部がさらに好ましく、0.5質量部が特に好ましい。一方、この配合量の上限としては、10質量部が好ましく、7質量部が好ましい。酸及び/又は塩の配合量が0.01質量部未満の場合には、酸化カルシウム又は水酸化カルシウムを含む粒子及び/又はこの粒子から発生するカルシウムイオンとの接触確率が低く、硬化反応抑制効果が得られないおそれがある。逆に、10質量部を超えても、硬化反応抑制効果が頭打ちとなってしまうおそれがある。
(粉砕工程)
粉砕工程は、上記工程にて得られたスラリーを粉砕し、微粒子化することで再生粒子を得る工程である。この粉砕工程においては、公知の粉砕装置等を用いることができる。この粉砕工程を経て、スラリーを適宜必要な粒子径に微細粒化することで、得られる再生粒子を塗工用の顔料、内添用の填料として好適に使用することができる。
(その他の工程)
再生粒子の製造方法においては、原料の凝集工程、造粒工程や、各工程間における分級工程、シリカ析出(被覆)工程、スラリーを炭酸化する炭酸化工程等を設けてもよい。
(シリカ析出(被覆)工程)
再生粒子は、上記粉砕工程を経ることで、そのまま填料として使用することが可能であるが、更に再生粒子に対し、シリカを析出(定着)させることで、再生粒子としての機能をより高めることができる。再生粒子にシリカを析出させる方法について、以下に記載する。
シリカを析出させる好適な方策としては、再生粒子を珪酸アルカリ水溶液に添加・分散しスラリーを調製した後に加熱攪拌しながら、液温を70〜100℃、より好ましくは密閉容器内で所定の圧力に保持し酸を添加し、シリカゾルを生成させ、最終反応液のpHを8.0〜11.0の範囲に調整することにより、再生粒子表面にシリカを析出させることができる。再生粒子表面に析出されるシリカは、珪酸ナトリウム(水ガラス)を原料として、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸の希釈液と高温下で反応させ、加水分解反応と珪酸の重合化により得られる粒子径10〜20nmのシリカゾル粒子である。
珪酸ナトリウム溶液に希硫酸などの酸を添加することにより生成する数nm程度のシリカゾル微粒子を再生粒子の多孔性を有する表面全体を被覆するように付着させ、シリカゾルの結晶成長にともない、無機微粒子表面上のシリカゾル微粒子と再生粒子に包含されるケイ素やカルシウム、アルミニウム間で結合が生じ、再生粒子表面にシリカを析出させることができる。
この際、反応液のpHは中性〜弱アルカリ性の範囲が好ましく、より好ましいpHは8〜11の範囲である。pHが7未満の酸性条件になるまで硫酸を添加してしまうと、シリカゾルではなくホワイトカーボンが生成する。ここに使用する珪酸アルカリ溶液は特に限定されないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が入手性の点で望ましい。珪酸アルカリ溶液の濃度は水溶液中の珪酸分(SiO換算)で3〜10質量%が好適である。10質量%を超えると、再生粒子に析出されるシリカは、シリカゾルの形態からホワイトカーボンになり、再生粒子の多孔性を阻害し、不透明性、吸油性の向上効果が低くなる。また、3質量%未満では再生粒子中のシリカ成分が低下するため、再生粒子表面へのシリカ析出が生じにくくなってしまう。再生粒子表面にシリカを析出させ、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜62:29〜55:9〜35の質量割合とすることで、シリカ析出効果による吸油性、不透明性を向上させることができる。
(炭酸化工程)
得られた再生粒子のスラリーは、そのままではpHが12以上とアルカリ性を呈し、例えば、塗工用顔料用途における塗工液調整工程で他の薬品と反応して品質低下をまねくおそれがある。従って、熱処理物又は再生粒子中の酸化カルシウムを炭酸カルシウムに戻してpHを低減させるために、第1熱処理燃焼工程や第2熱処理工程において排出された排ガス中の二酸化炭素を利用して、例えば7〜9にpH調整すると好適である。
なお、この炭酸化工程は、配合・スラリー化工程と粉砕工程との間、粉砕工程と同時、又は粉砕工程の後に行ってもよい。なお、この二酸化炭素の吹き込みは、他の酸及び/又は塩の配合に替えて、又は加えて、炭酸の配合として、配合・スラリー化工程とすることもできる。
炭酸化に際しては、反応槽の底部にガス吹き込み口を設けるとともに、槽内のpHを測定するpH計を設け、バッチ処理で、スラリーのpHが所定の値以下になるまで槽中のスラリーに対してガスを吹き込むことで実施することが出来る。また、VFポンプのような歯車が噛み合う部分にガス吹き込み口を設け、スラリーに対して粉砕とガスの吹き込みを同時に実施することが出来る。
炭酸化のための二酸化炭素としては、CO分離工程として、例えばPSA型分離装置等の二酸化炭素分離装置を用いて排ガスから二酸化炭素を分離して用いることができる。また、排ガスを直接利用したり、市販の二酸化炭素ガスを利用、併用したりすることもできる。
二酸化炭素の吹き込み速度は、一定とすることも、また可変とすることも可能であり、可変とする場合、pHの推移に応じて適宜調整すること等ができる。
pH調整を完了させたスラリーは、脱水機等に送り、濃度を50〜70%に高める。50〜70%濃度の再生粒子は、固形状(ケーキ状)となる。脱水機としては、例えば、フィルタープレス、遠心脱水機、ベルトプレスなどから、適宜選択して使用することができる。
固形状となった再生粒子は、分散工程に送られ、高濃度スラリー化される。分散装置としては、例えば、ミキサー、コーレス分散機、ボールミルなどから、適宜選択して使用することができる。この際の再生粒子の濃度は、50〜70質量%、好ましくは55〜70質量%、より好ましくは60〜65質量%である。スラリー濃度が50質量%未満であると、例えば、塗工顔料用途における塗工液の低濃度化、凝集抑制剤の効果低減や、再生粒子スラリー中の粒子分の沈殿等が生じ、再生粒子スラリーの品質安定性が低下するおそれがある。他法、スラリー濃度が70質量%を超えると、スラリーが増粘・固化するおそれがあり、また、脱水に要するエネルギーの増加が問題となる。
本形態において、再生粒子のいっそうの品質安定化を図るためには、被処理物の粒子径を、各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大や微小粒子を前工程にフィードバックすることで、より品質の安定化を図ることができる。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロス(脱水物)を造粒することが好ましく、更には造粒物の粒子径を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。造粒においては、公知の造粒設備を使用できるが、回転式、攪拌式、押し出し式等の設備が好適である。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定値は以下の方法にて測定した値である。
(ア)再生粒子凝集体の体積平均粒子径(単位:μm)
再生粒子凝集体サンプル10mgを超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた。この溶液をレーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)にて測定、(株)島津製作所製)により、平均粒子径を測定した。
(イ)粘度(単位:cps)
デジタル式B型粘度計(東機産業社製、型番:TVB−10M)No.2のローターを使用し60rpm、25℃にて測定した。
(ウ)灰分歩留(単位:%)
填料(凝集再生粒子、ホワイトカーボン等)をパルプスラリーに添加せずに抄紙した印刷用紙の灰分(質量%)と填料(凝集再生粒子、ホワイトカーボン等)をパルプスラリーに添加して抄紙した印刷用紙の灰分(質量%)及び填料(凝集再生粒子・ホワイトカーボン等)のパルプ固形分に対する固形分での添加量(質量%)から灰分歩留を下記の式で算出した。なお、灰分は、JIS−P8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法」に準拠して測定した。
灰分歩留(%)
=〔填料を添加した印刷用紙の灰分(質量%)−填料を添加しない印刷用紙の灰分(質量
%)〕÷填料の添加量(質量%)
(エ)米坪(単位:g/m
米坪(坪量)はJIS−P8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定した。
(オ)白色度(単位:%)
JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。
(カ)印刷後不透明度(単位:%)
オフセット輪転印刷機で、オフセット輪転印刷用インキ(墨)のインキ量を変えて印刷し、印刷面反射率が9%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率(%)を求めた。なお、反射率の測定には分光白色度測色機(スガ試験機社製)によって測定した値である。
(キ)灰分(単位:%)
JIS−P8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法」に準拠して測定した。
(ク)作業性
オフセット輪転印刷機(型番:LITHOPIA BTO−4、三菱重工業(株)製)を使用して50連巻きの印刷用紙にて印刷を行い、ブランケット非画像部における紙粉の発生・堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:紙粉の発生が全く認められない。
○:紙粉の発生がわずかに認められるがブランケット上での堆積は全く認められない。
△:紙粉の発生が認められ、ブランケット上に堆積している。
×:ブランケット上での紙粉の堆積が著しい。
〔再生粒子の製造〕
原料として脱墨フロスを用い、水分率が55質量%、平均粒径が10mm、また、50mm以下の粒子の割合が90質量%となるように脱水工程を行った。第1熱処理工程、その後、第2熱処理工程を以下の条件で行い熱処理物を得た。
第1熱処理工程条件
燃焼形式:内熱キルン
燃焼温度:420℃
酸素濃度:12%
滞留時間:50分
第1熱処理工程後の未燃率:3%
第2熱処理工程条件
燃焼形式:外熱キルンと内熱キルンの併用
入口の平均粒子径:5mm
燃焼温度:700℃
酸素濃度:8%
滞留時間:140分
出口の平均粒子径:5mm
得られた熱処理物100質量部に対して、配合・スラリー化工程として、硫酸カルシウム二水和物0.4質量部を添加し、この添加物を水中に懸濁させて、濃度(スラリーの全質量に対する熱処理物の質量比)30質量%のスラリーを得て、粉砕装置にて粉砕した。なお未燃率とは、電気マッフル炉を予め600℃に昇温後、ルツボに試料を入れ約3時間で完全燃焼させ、燃焼前後の質量変化から未燃分を算出することによって求めた値である。得られた再生粒子の体積平均粒子径は、2.3μmであった。
〔再生粒子の凝集〕
上記方法にて得られた再生粒子を水に分散させ、固形分濃度20質量%の再生粒子スラリーを得た。この再生粒子スラリーに再生粒子の固形分に対し、固形分濃度を1質量%に希釈したPercol8150(BASF社製)を固形分で800ppm添加し、実施例1に用いる凝集再生粒子を得た。得られた凝集再生粒子の体積平均粒子径及びスラリー粘度を測定し表1に示す。Percol8150(BASF社製)のかわりに表1に示す各凝集剤又は凝結剤を添加量(再生粒子に対する割合、単位:ppm)で添加したこと以外は上記と同様に、実施例2〜6及び比較例1〜6に用いる凝集再生粒子を得た。得られた凝集再生粒子の体積平均粒子径及びスラリー粘度を測定した結果を表1に示す。なお、用いた各凝集剤及び凝結剤は以下の通りである。なお、凝集剤と凝結剤(一般的には電荷の作用により粒子等を凝結させる剤)との区別は、商品の記載に従ったものである。
・凝集剤A:BASF社製「Percol8150」
ジメチルアミノエチルアクリレート4級塩とアクリルアミドとの共重合体
質量平均分子量:1,000万
カチオン電荷密度:1.6meq/g
・凝集剤B:ハイモ社製「ハイモロックFR−740」
アクリルアミドとアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドとの共重合体及びポリアルキレンポリアミン混合物
質量平均分子量:850万
カチオン電荷密度:8.0meq/g
・凝集剤a:ピラースターチ社製「P−2A」
カチオン化澱粉
・凝集剤b:エカケミカルス社製「PL2615H」
ポリアミン
質量平均分子量:1,200万
カチオン電荷密度:1.5meq/g
・凝集剤c:ハイモ社製「ハイモロックFA230」
アクリル酸ナトリウムとアクリルアミドとの共重合体
質量平均分子量:1,400万
カチオン電荷密度:−4meq/g
・凝集剤d:BASF社製「ポリミンSK」
ポリエチレンイミン
質量平均分子量:90万
カチオン電荷密度:6meq/g
・凝結剤A:ハイモ社製「ハイマックスSC−924」
ポリエチレンイミン変性体
質量平均分子量:50万
カチオン電荷密度:18.0meq/g
・凝結剤B:BASF社製「カチオファストVCB」
N−ビニルホルムアミド・ビニルアミン共重合体
質量平均分子量:40万
カチオン電荷密度:4.5meq/g
[実施例1]
原料パルプとして、DIP80質量%及びTMP20質量%で配合したものを用いた。この原料パルプのスラリーに、硫酸バンドを添加しpHを6〜7になるように調整後、カチオン性有機高分子系凝結剤(ハイモ(株)製ハイマックスSC924)を固形分で0.5Kg/パルプトン添加した。このパルプに、パルプ固形分に対してアルキルケテンダイマーサイズ剤(品名:AD−1624、日本PMC(株)製)を固形分で0.3kg/パルプトン添加した後、上記の通り調整した実施例1の凝集再生粒子をパルプ固形分1トンに対し固形分で45kg/トン、ホワイトカーボン(エリエールペーパーケミカル(株)製)をパルプ固形分1トンに対し固形分で15kg/トン添加した。また、次いで、絶乾パルプに対し固形分で200ppmの凝集剤(ハイモ(株)製ハイモロックND270)を添加した。
上記原料スラリーを、ツインワイヤー抄紙機で抄紙し、更に、サイズ剤として酸化澱粉及びスチレン系ポリマー(星光PMC株式会社製「SS2712」)を、固形分換算で酸化澱粉100部に対しスチレン系ポリマーが15部となるように混合して水を加えて濃度を調整した後、乾燥質量で片面あたり0.5g/m(両面で1.0g/m)となるように両面に塗工して実施例1の印刷用紙を得た。得られた紙の米坪、白色度、印刷不透明度及び灰分を測定し、又、作業性の評価を行った。測定結果を表1に示す。
[実施例2〜6、比較例1〜7]
表1に示す各凝集剤又は凝結剤を表1に示す添加量で再生粒子に対する添加量で添加して得られた凝集再生粒子を添加した他は実施例1と同様にして、実施例2〜6、比較例1〜6の印刷用紙を得た。また、再生粒子に凝集剤、凝結剤を添加しなかった他は、実施例1と同様にして比較例7の印刷用紙を得た。
Figure 0005661385
表1に示すように、実施例1及び実施例6と比較例1〜7との比較から、同量の凝集剤を添加した場合も、本発明の製造方法によれば、再生粒子の凝集度合いが高く、灰分歩留まりに優れ、一方、スラリーの粘度の上昇が抑えられていることがわかる。また、本発明の製造方法によれば、灰分が高く、優れた印刷不透明度を備える印刷用紙を得ることができる。
本発明の印刷用紙の製造方法によれば、再生粒子を填料として効率的に使用することができるため、製紙工場等において好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 製紙スラッジを主原料とし、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られた再生粒子を凝集剤により凝集させて、凝集再生粒子含有スラリーを得る再生粒子凝集工程、
    上記凝集再生粒子含有スラリーをパルプスラリーに添加する添加工程、及び
    上記凝集再生粒子含有スラリーが添加されたパルプスラリーを抄紙する抄紙工程
    を有し、
    上記凝集剤が(メタ)アクリレート系カチオン性単量体と非イオン性単量体との共重合体を含み、
    上記凝集剤を添加する前の上記再生粒子の体積平均粒子径が1.5μm以上3.5μm以下であり、凝集後の上記凝集再生粒子の体積平均粒子径が3.5μm以上15μm以下である印刷用紙の製造方法。
  2. 上記(メタ)アクリレート系カチオン性単量体がジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩であり、非イオン性単量体がアクリルアミドである請求項1に記載の印刷用紙の製造方法。
  3. 上記凝集剤の質量平均分子量が400万以上2,000万以下、カチオン電荷密度が10meq/g以下である請求項1又は請求項2に記載の印刷用紙の製造方法。
  4. 上記再生粒子が、脱水、熱処理及び粉砕工程を経て得られ、
    上記熱処理工程が第1熱処理工程と、熱処理温度がこの第1熱処理工程の熱処理温度より高い第2熱処理工程とをこの順に有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の印刷用紙の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の紙の製造方法により得られる印刷用紙。
  6. 灰分が4%以上20%以下である請求項5に記載の印刷用紙。
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