JP5657337B2 - ウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物、それを含有する感光性樹脂組成物、及び、ウエハレベルレンズ - Google Patents

ウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物、それを含有する感光性樹脂組成物、及び、ウエハレベルレンズ Download PDF

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Description

本発明は、ウエハレベルレンズの遮光膜形成に有用なウエハレベルレンズ用分散物、該分散物を含有する感光性樹脂組成物、及びウエハレベルレンズに関する。
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、該固体撮像素子上に被写体像を結像するレンズとを備えている。
携帯端末の小型化・薄型化、そして携帯端末の普及により、それに搭載される撮像ユニットにも更なる小型化・薄型化が要請され、そして高い生産性が要請される。かかる要請に対して、複数のレンズが形成されたレンズ基板と、複数の固体撮像素子が形成されたセンサ基板とを一体に組み合わせ、その後に、切断片のそれぞれがレンズ及び固体撮像素子を含むようにレンズ基板及びセンサ基板を切断して撮像ユニットを量産する方法が知られている。また、他の製造方法の例としては、レンズのみをガラスウエハ上などで作製し、これを個々のセンサと組み合わせて用いるための適切なサイズに切断し、予め適切なサイズに切断されたセンサ基板上の撮像素子と組み合わせて撮像ユニットを作製する方法、樹脂のみを用いて金型で複数のレンズを形成し、形成されたレンズをセンサ基板上に組み合わせ、基板を切断する方法、レンズ基板を個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め適切なサイズに切断されたセンサ基板上の撮像素子と組み合わせ、撮像ユニットを作製する方法などが挙げられる。
従来のウエハレベルレンズアレイとしては、ガラス等の光透過性材料で形成された平行平板の基板の表面に硬化性樹脂材料を滴下し、この樹脂材料を金型にて所定の形状に整形した状態で硬化させ、複数のレンズを形成したものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。ウエハレベルレンズのレンズ部以外の領域、或いは、レンズの一部には、光の量を調整するため、黒色膜や金属膜などからなる遮光性の領域が形成されることがあり、一般には、硬化性の遮光性組成物を塗設したり、金属を蒸着したりすることで遮光性の領域が形成される。
公知のウエハレベルレンズアレイの例としては、ガラス等の光透過性材料で形成された平行平板の基板の表面に硬化性樹脂材料を滴下し、この樹脂材料を金型にて所定の形状に整形した状態で硬化させ、複数のレンズを形成したものが挙げられる(例えば、特許文献1、2参照)。ウエハレベルレンズのレンズ部以外の領域、或いはレンズの一部には、光の量を調整するため、黒色膜や金属膜などからなる遮光性の領域が形成されることがある。該遮光性の領域は、一般には、硬化性の遮光性組成物を塗設したり、金属を蒸着したりすることで形成される。
また、公知のウエハレベルレンズアレイの別の例としては、シリコン基板に複数の貫通孔を形成し、別途形成した球体状のレンズ素材を各貫通孔に配置し、半田によりレンズ素材を基板に接合し、さらにレンズ素材を研磨して、複数のレンズを形成したものが挙げられる(例えば、特許文献3参照)。この製造方法で得られたレンズにおいても、光の量を調整するため、上記と同様の黒色膜や金属膜などにより形成された遮光性の領域を設けることがある。
遮光性の領域を金属の蒸着により形成する場合、工程が煩雑であり、また蒸着後にレンズが反ったり金属遮光膜の反射に起因する光の散乱が起きるなどの問題点があり、生産性、性能の双方の観点から改善が求められている。
一方、遮光性を発現させる為に、LCDのブラックマトリックスなどに使用されるカーボンブラックを用いた感光性樹脂組成物(遮光性組成物)を塗布する場合もある。
特許第3926380号公報 国際公開2008/102648号パンフレット 米国特許第6426829号明細書
従来の遮光性組成物は、ウエハレベルレンズにおける遮光性の領域(遮光膜)の形成に用いた場合、遮光膜の形成時に発生した残渣物がレンズの上又はその近傍に残留してしまう傾向があった。当該残渣物は、レンズの光透過率の低下などを来し問題となっていたが、未だ改善されていないのが現状である。
本発明は、上記従来の状況に鑑みなされたおものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、ウエハレベルレンズが備える遮光膜の形成に用いられ、硬化性に優れ、遮光膜の形成領域外における感光性組成物由来の残渣物を低減しうるウエハレベルレンズ用感光性樹脂組成物、及び該感光性樹脂組成物に用いるウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物を提供することにある。
また、本発明の更なる目的は、遮光膜近傍における光の散乱又は透過率の低下を抑制しうるウエハレベルレンズ、及び該ウエハレベルレンズを備えた固体撮像素子を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> (A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を含有し、前記(A)チタンブラック粒子からなる被分散体の90%以上が30nm以下の粒径を有するウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物。
<2> 前記(B)分散剤は、下記式(1)〜(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である前記<1>に記載のウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物。

(式(1)〜式(5)において、X 、X 、X 、X 、X 、及びX は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Y 、Y 、Y 、Y 、及びY は、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。Z 、Z 、Z 、Z 、及びZ は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。n、m、p、q、及びrは、それぞれ1から500の整数である。j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。Rは水素原子又は1価の有機基を表す。)
<3> 前記グラフト共重合体には、グラフト部位以外に前記(A)チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基が導入されており、該官能基は酸基、塩基性基、配位性基及び反応性を有する官能基の少なくともいずれか一つである前記<2>に記載のウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物。
> 前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のチタンブラック分散物、(D)光重合性化合物、及び(E)光重合開始剤を含有するウエハレベルレンズ用感光性樹脂組成物。
> 基板上に存在するレンズの周縁部に、前記<4>に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られた遮光膜を有するウエハレベルレンズ。
> 前記<>に記載のウエハレベルレンズを備えた固体撮像素子。
本発明によれば、ウエハレベルレンズが備える遮光膜の形成に用いられ、硬化性に優れ、遮光膜の形成領域外における感光性組成物由来の残渣物を低減しうるウエハレベルレンズ用感光性樹脂組成物、及び該感光性樹脂組成物に用いるウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物を提供することができる。
また、本発明によれば、遮光膜近傍における光の散乱又は透過率の低下を抑制しうるウエハレベルレンズ、及び該ウエハレベルレンズを備えた固体撮像素子を提供することができる。
ウエハレベルレンズアレイの一例を示す平面図である。 図1に示すA−A線断面図である。 基板にレンズとなる成形材料を供給している状態を示す図である。 図4A〜図4Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す図である。 図5A〜図5Cは、レンズが成形された基板にパターン状の遮光膜を形成する工程を示す概略図である。 ウエハレベルレンズアレイの一例を示す断面図である。 図7A〜図7Cは、遮光膜形成工程の他の態様を示す概略図である。 図8A〜図8Cは、パターン状の遮光膜を有する基板にレンズを成形する工程を示す概略図である。
以下、本発明のウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物、それを含有する感光性樹脂組成物、及びウエハレベルレンズについて詳細に説明する。
本明細書において、「ウエハレベルレンズ」は、固体撮像素子に備えられるレンズであって、基板上に存在する個々のレンズと該レンズの周縁部に設けられた遮光膜とからなるものを意味する。また、該ウエハレベルレンズからなる群を「ウエハレベルレンズアレイ」と称する。
<ウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物、及びそれを含有する感光性樹脂組成物>
本発明のウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物(以下、単に「チタンブラック分散物」とも称する。)は、(A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を含有する分散物であり、前記(A)チタンブラック粒子からなる被分散体の90%以上が30nm以下の粒径を有することを特徴とする。
また、本発明のウエハレベルレンズ用感光性樹脂組成物(以下、単に「感光性樹脂組成物」とも称する。)は、本発明のチタンブラック分散物、(D)光重合性化合物、及び(E)光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物である。
本発明のチタンブラック分散物及び感光性樹脂組成物は、ウエハレベルレンズにおける遮光膜の形成に用いられる。
以下、本発明のチタンブラック分散物又は感光性樹脂組成物に含有される各成分について順次説明する。
(A)チタンブラック粒子
本発明のチタンブラック分散物は、チタンブラック粒子を含有する。該チタンブラック粒子は、分散物中において被分散体として含有されるものであり、本発明においてはチタンブラック粒子からなる被分散体の90%以上が30nm以下の粒径を有することを要する。
本発明における被分散体の粒径とは、被分散体の粒子直径を意味し、粒子直径とは、粒子の外表面の投影面積と等しい面積をもつ円の直径である。粒子の投影面積は、電子顕微鏡写真での撮影により得られた面積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
ここで、本発明における「チタンブラック粒子からなる被分散体」は、チタンブラック粒子が一次粒子の状態であるもの、凝集体(二次粒子)の状態であるものの双方を包含する。
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明のチタンブラック分散物に由来するチタンブラック粒子からなる被分散体を含有する。該感光性樹脂組成物及びこれを硬化して得られた硬化膜(遮光膜)中に含有されるチタンブラック粒子からなる被分散体についても、その90%以上が30nm以下の粒径を有するものである。
本発明においては、チタンブラック粒子からなる被分散体の90%以上が30nm以下の粒径を有することで、本発明の感光性樹脂組成物を用いて遮光膜を形成した際に、遮光膜の形成領域外における感光性組成物由来の残渣物が低減される。なお、残渣物は、チタンブラック粒子、樹脂成分等の感光性組成物に由来する成分を含むものである。
残渣物が低減される理由は未だ明確ではないが、粒径の小さい被分散体が、遮光膜の形成における未硬化の感光性樹脂組成物(特に、チタンブラック粒子)の除去性向上に寄与するためと推測している。
また、チタンブラック粒子は、紫外から赤外までの広範囲に亘る波長領域の光に対する遮光性に優れることから、本発明のチタンブラック分散物又は感光性樹脂組成物を用いて形成された遮光膜は優れた遮光性を発揮する。
本発明のチタンブラック分散物又は感光性樹脂組成物に含有される被分散体について、その90%が30nm以下の粒径を有するか否かを判断するには、下記に示す方法(1)を用いる。
また、本発明の感光性樹脂組成物を硬化して得られた硬化膜(遮光膜)に含有される被分散体について、その90%が30nm以下の粒径を有するか否かを判断するには、下記に示す方法(2)を用いる。
<方法(1)>
チタンブラック分散物又は感光性樹脂組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAとも略称する。)により500倍に希釈し、カーボン薄膜上に滴下、乾燥させて投下型電子顕微鏡を用いて形態観察写真を撮影する。得られた写真から、粒子400個について外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、度数分布を評価する。
<方法(2)>
製膜された基板の断面を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、S−3400N(商品名))及びエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製Genesis(商品名))により、形態観察写真及びTiとSiの元素マップを撮影する。得られた写真から、Ti元素が検出されている粒子400個について外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、度数分布を評価する。
以下、チタンブラック粒子について、更に詳細に説明する。
本発明においてチタンブラック粒子とは、チタン原子を有する黒色粒子であり、好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等の黒色粒子である。
チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、粒子表面を修飾することが可能である。粒子表面の修飾としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等で被覆処理が可能であり、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質での処理も可能である。
チタンブラック粒子の市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、13M−T(商品名:以上、三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
チタンブラック粒子の製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報に記載の方法)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報に記載の方法)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報に記載の方法)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報に記載の方法)などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に適用されるチタンブラック粒子としては、一次粒径の小さいものであることが好ましい。
本発明のチタンブラック分散物及び感光性樹脂組成物は、(A)チタンブラック粒子を1種のみを含有するものであってもよく、2種以上を含有してもよい。
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、チタンブラック粒子と共に、分散性、着色性等を調整する目的で、Cu、Fe、Mn、V、Ni等の複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、アニリンブラック等からなる黒色顔料を1種又は2種以上の組み合わせて、被分散体として併用してもよい。この場合、被分散体の50質量%以上をチタンブラック粒子からなる被分散体が占めることが好ましい。
また、後述するように、遮光性の調整等を目的として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、チタンブラック粒子と共に、他の着色剤(有機顔料や染料など)を所望により併用してもよい。
チタンブラック分散物中の(A)チタンブラック粒子の含有量は、分散物の全質量に対し、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。
また、感光性樹脂組成物中の(A)チタンブラック粒子の含有量は、分散物の全質量に対し、2.5質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがさらに好ましい
(B)分散剤
本発明のチタンブラック分散物及び感光性樹脂組成物は分散剤を含有する。
本発明における分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、及び顔料誘導体等を挙げることができる。
本発明における分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、及びブロック型高分子に分類することができる。
本発明における分散剤は、チタンブラック粒子及び所望により併用する顔料等の被分散体の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、本発明における分散剤は被分散体の表面を改質することで、分散樹脂の吸着を促進させる効果を有する。
本発明に用いうる分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(商品名、ポリアミドアミン燐酸塩)、107(商品名、カルボン酸エステル)、110(商品名、酸基を含む共重合物)、130(商品名、ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170、180(商品名、高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(商品名、高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(商品名、ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(商品名、ブロック共重合体)、4400、4402(商品名、変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(商品名、高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(商品名、脂肪酸ポリエステル)、6745(商品名、フタロシアニン誘導体)、6750(商品名、アゾ顔料誘導体)」、味の素ファインテクノ(株)製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学(株)製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(商品名、アクリル系共重合体)」、楠本化成(株)製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(商品名、脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王(株)製「デモールRN、N(商品名、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、デモールMS、C、SN−B(商品名、芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(商品名、高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(商品名、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(商品名、アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(商品名、末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(商品名、ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。また、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E(商品名)などの両性分散剤も挙げられる。
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
分散剤の酸価は、5.0mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲、更に好ましくは60mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲である。
分散剤の酸価が200mgKOH/g以下であれば、遮光膜を形成する際の現像時におけるパターン剥離がより効果的に抑えられる。また、分散剤の酸価が5.0mgKOH/g以上であればアルカリ現像性がより良好となる。また、分散剤の酸価が60mgKOH/g以上であれば、チタンブラック粒子の沈降をより抑制でき、粗大粒子数をより少なくすることができ、チタンブラック分散物又は感光性樹脂組成物の経時安定性をより向上できる。
本発明において、分散剤の酸価は、例えば、分散剤中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、分散剤の構成成分である酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
本発明における分散剤の重量平均分子量は、遮光膜を形成する際において、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、10,000以上300,000以下であることが好ましく、15,000以上200,000以下であることがより好ましく、20,000以上100,000以下であることが更に好ましく、25,000以上50,000以下であることが特に好ましい。なお、分散剤の重量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
(グラフト共重合体)
本発明においては、分散剤として、グラフト共重合体(以下、「特定樹脂」ともいう)を用いることも好ましい。分散剤としてグラフト共重合体を用いることで、分散性及び保存安定性をより向上させることができる。
グラフト共重合体としては、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するものが好ましい。この場合のグラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元から、主鎖から枝分かれしている基の末端までの部分を示す。
この特定樹脂は、チタンブラック粒子に分散性を付与しうる分散樹脂であり、優れた分散性と、グラフト鎖による溶媒との親和性を有するために、チタンブラック粒子の分散性、及び経時後の分散安定性に優れる。また、感光性樹脂組成物としたとき、グラフト鎖の存在により重合性化合物又はその他の併用可能な樹脂などとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
また、この特定樹脂に、さらに、カルボン酸基などのアルカリ可溶性の部分構造を導入することで、アルカリ現像によるパターン形成のために現像性を付与する樹脂としての機能をも付与することができる。
従って、前記グラフト共重合体に、アルカリ可溶性の部分構造を導入することで、本発明のチタンブラック分散物は、チタンブラック粒子の分散に不可欠の分散樹脂自体がアルカリ可溶性を有することになる。このようなチタンブラック分散物を含有する感光性樹脂組成物は、露光部の遮光性に優れたものとなり、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上される。
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方グラフト鎖が長すぎるとチタンブラックへの吸着力が低下して分散性は低下してしまう。このため、本発明で使用されるグラフト共重合体としては、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が40〜10000であることが好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が50〜2000であることがより好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が60〜500であることがさらに好ましい。
グラフト鎖のポリマー構造の例としては、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエーテルなどが挙げられる。グラフト鎖としては、グラフト部位と溶媒との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、又はポリエーテルを有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル又はポリエーテルを有するグラフト鎖であることがより好ましい。
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、ポリマー主鎖部と反応可能な置換基を有し、且つ本発明の要件を満たしていれば、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
特定樹脂の合成に好適に用いられる市販のマクロモノマーとしては、AA−6(商品名、(商品名、東亜合成(株))、AA−10(商品名、東亜合成(株)製)、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、AW−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−714(商品名、東亜合成(株)製)、AY−707(商品名、東亜合成(株)製)、AY−714(商品名、東亜合成(株)製)、AK−5(商品名、東亜合成(株)製)、AK−30(商品名、東亜合成(株)製)、AK−32(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPP−100(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−500(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−1000(商品名、日油(株)製)、ブレンマー55−PET−800(日油(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−400(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−1300(商品名、日油(株)製)、ブレンマー43PAPE−600B(商品名、日油(株)製)、などが用いられる。このなかでも、好ましくは、AA−6(東亜合成(株)製)、AA−10(商品名、東亜合成(株))、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6商品名、東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)などが用いられる。
特定樹脂におけるグラフト部位としては、少なくとも下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、少なくとも、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3)、下記式(4)、及び下記(5)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(5)において、X、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。X、X、X、X、X、及びXとしては、合成上の制約の観点からは、好ましくはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1から12のアルキル基であり、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(5)において、Y、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、該連結基は特に構造上制約されない。Y、Y、Y、Y、又はYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)から(Y−20)の連結基などが例として挙げられる。下記に示した構造において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(5)における左末端基及び右末端基との結合部位を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2) 又は(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(5)において、Z、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。該有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、Z、Z、Z、Z、及びZで表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、各々独立に炭素数5から24のアルキル基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐アルキル基或いは炭素数5から24の環状アルキル基が好ましい。
式(1)〜式(5)において、n、m、p、q、及びrは、それぞれ1から500の整数である。
また、式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
特定樹脂において、式(1)〜式(5)で表される構造単位は、質量換算で、特定樹脂の総質量に対し10%〜90%の範囲で含まれることが好ましく、30%〜70%の範囲で含まれることがより好ましい。式(1)〜式(5)で表される構造単位が、この範囲内で含まれるとチタンブラック粒子の分散性が高く、遮光膜を形成する際の現像性が良好である。
また、特定樹脂においては、2種以上の構造が異なるグラフト共重合体を含有することができる。
式(5)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。該Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。また、Rとしては、特定樹脂中に構造の異なるRを2種以上混合して用いてもよい。
前記式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、前記式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、前記式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2A)中、X、Y、Z及びmは、前記式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
特定樹脂には、グラフト部位以外にチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。
チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基の例としては、酸基、塩基性基、配位性基、反応性を有する官能基等が挙げられ、これらの官能基は特定樹脂に、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、反応性を有する構造単位を用いて導入できる。
酸基を有する構造単位における酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などがあり、特に好ましいものは、チタンブラックへの吸着力が良好で、且つ分散性が高いカルボン酸基である。特定樹脂は、これらの酸基を1種あるいは2種以上有してもよい。
このような酸基を導入することで、特定樹脂のアルカリ現像性を向上させるという利点をも有する。
特定樹脂に共重合成分として導入される場合、酸基を有する構造単位の好適な含有量は、特定樹脂における全構造単位に対し、0.1モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
塩基性基を有する構造単位における塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で且つ分散性が高い第3級アミノ基である。特定樹脂には、これらの塩基性基を1種あるいは1種以上導入することができる。
特定樹脂に共重合成分として導入される場合、塩基性基を有する構造単位の好適な含有量は、特定樹脂における全構造単位に対し、0.01モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01モル%以上30モル%以下である。
チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基である配位性基、及び反応性を有する構造単位における反応性を有する基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、酸塩化物などが挙げられる。特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で分散性が高いアセチルアセトキシ基である。特定樹脂には、これらの基を1種あるいは1種以上有してもよい。
特定樹脂共重合成分として導入されうる塩基性基を有する構造単位又は反応性を有する構造単位の好適な含有量は、特定樹脂の全構造単位に対し、0.5モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
グラフト部位以外にチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基の構造としては、上記のグラフト部位以外にチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、特に限定はされないが、下記一般式(i)〜(iii)のいずれかで表される単量体から得られる繰り返し単位の少なくとも1種を有することが好ましい。
式(i)〜(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又はは炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R及びRは、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
式(i)〜(ii)中のLは、単結合又は2価の連結基を表す。該2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、及び置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、及び置換アリーレン基)、2価の複素環基及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル基(−CO−)のうちの一つ以上との組合せ等が挙げられる。
前記2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lはオキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としてはポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
式(i)〜(iii)中、Zは、グラフト部位と別にチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸であることがより好ましい。また、Yは、メチン基又は窒素原子を表す。
式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例
えば、フッ素、塩素、臭素等)、または炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。
また、一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。また、一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子
又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。
以下に、式(i)〜(iii)で表される単量体(化合物)の代表的な例を示す。
該単量体の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物の反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
特定樹脂中における酸性基を有する単量体などのチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基の含有量は、チタンブラックとの相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、特定樹脂に対して0.05から90質量%が好ましく、1.0から80質量%がより好ましく、10から70質量%が更に好ましい。
さらに、本発明に係るチタンブラックの分散組成物に含まれる特定樹脂は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記グラフト部位を有する構造単位及びチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基に加えて、さらに種々の機能を有する他の構造単位、例えば、分散物に用いられる分散媒との親和性を有する官能基、などを有する構造単位を共重合成分として含むことができる。
特定樹脂に共重合可能な共重合成分の例としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
これらを1種あるいは2種以上用いることができ、特定樹脂中、これら共重合成分の好適に使用される含有量は、0モル%以上90モル%以下であり、特に好ましくは、0モル%以上60モル%以下である。含有量が前記の範囲において十分なパターン形成が得られる。
特定樹脂を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
このような特定樹脂の具体例としては、以下の例示化合物1〜53が挙げられる。なお、各構成単位(主鎖部分)の添数字は質量%である。


本発明のチタンブラック分散物における分散剤の含有量としては、被分散体(チタンブラック粒子からなる被分散体及び他の着色剤を含む)の全固形分質量に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物における分散剤の含有量としては、被分散体(チタンブラック粒子からなる被分散体及び他の着色剤を含む)の全固形分質量に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
(C)有機溶媒
本発明のチタンブラック分散物及び感光性樹脂組成物は、有機溶媒を含有する。
有機溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒を2種以上を組み合わせて用いる場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
チタンブラック分散物に含まれる有機溶媒の量としては、該分散物の全量に対し、10質量%〜80質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましく、30質量%〜65質量%であることが更に好ましい。
また、感光性樹脂組成物に含まれる有機溶媒の量としては、該組成物の全量に対し、10質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜75質量%であることが更に好ましい。
(D)光重合性化合物
本発明の感光性樹脂組成物は、光重合性化合物を含有する。
光重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物であることが好ましい。
少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物の例としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー
及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらのアクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介してジペンタエリスリトールに連結している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、及び特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、及び特公昭62−39418号の各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、及び特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(商品名、日本製紙ケミカル(株)製)、UA−7200」(新中村化学工業(株)製、DPHA−40H(商品名、日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(商品名、共栄社化学(株)製)などが挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
光重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の光重合性化合物を組み合わせて用いる場合、その組み合わせ態様は、感光性組成物に要求される物性等に応じて適宜設定することができる。光重合性化合物の好適な組み合わせ態様の一つとしては、例えば、前掲した多官能のアクリレート化合物から選択した2種以上の重合性化合物を組み合わせる態様が挙げられ、その一例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートの組み合わせが挙げられる。
光重合性化合物の感光性樹脂成物中における含有量としては、質量換算で、全固形分100部に対して、3部〜55部が好ましく、より好ましくは10部〜50部である。
(E)光重合開始剤
本発明の感光性樹脂性組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤は、光や熱により分解し、前述した光重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域の光に対して吸収を有するものであることが好ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
より具体的な例としては、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0081]〜[0100]、[0101]〜[0139]等に記載される重合開始剤が挙げられる。
上記の光重合開始剤の中でも、オキシムエステル化合物がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分中、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜25質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
(F)その他の添加剤
本発明の感光性樹脂組成物には、本発明のチタンブラック分散物、光重合性化合物、及び光重合開始剤に加え、目的に応じて種々の添加剤を含むことができる。
(F−1)バインダーポリマー
感光性樹脂組成物においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを含むことができる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーの例としては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーの例としては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も例として挙げられる。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、特開2001−318463号等の各公報に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。更に、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
特に、これらの中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
本発明の感光性樹脂組成物に使用されるバインダーポリマーの重量平均分子量は、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、1,500〜250,000であることがより好ましく、2,000〜200,000であることが更に好ましく、2,500〜100,000であることが特に好ましい。バインダーポリマーの数平均分子量については、好ましくは1000以上であり、更に好ましくは1500〜25万の範囲である。バインダーポリマーの多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲内である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
本発明で用いうるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
また、バインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤の例としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
種々のバインダーポリマーの中でも、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を含有することで、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができる。
側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーは、その構造中に、樹脂がアルカリ可溶となるための酸基と、少なくとも1つの不飽和二重結合を有することで、非画像部除去性などの諸性能を向上させる。このような部分構造を有するバインダー樹脂は、特開2003−262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本発明にも使用することができる。
なお、バインダーポリマーの重量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
本発明の感光性樹脂組成物におけるバインダーポリマーの含有量は、組成物の全固形分中に対して、0.1質量%〜7.0質量%であることが好ましく、遮光膜の剥がれ抑制と現像残渣抑制の両立の観点からは、0.3質量%〜6.0質量%であることがより好ましく、1.0〜5.0質量%であることがさらに好ましい。
(F−2)着色剤
本発明の感光性樹脂組成物には、所望の遮光性を発現させるべく、公知の有機顔料や染料などの無機顔料以外の着色剤を併用することが可能である。
併用することができる着色剤としては、有機顔料では、例えば、特開2008−224982号公報段落番号〔0030〕〜〔0044〕に記載の顔料や、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Blue 79のCl置換基をOHに変更したものなどが挙げられ、これらのなかでも、好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明に適用しうる着色剤は、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.Pigment Orange 36,38,62,64,
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254、255
C.I.Pigment Violet 19,23,29、32,
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.Pigment Green 7,36,37、58
C.I.Pigment Black 1
着色剤として使用可能な染料の例としては、特に制限はなく、公知の染料を適宜選択して使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素が挙げられる。
染料が有する化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の化学構造が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における着色剤としては、該組成物が必須に含有するチタンブラック粒子と組み合わせた場合に、硬化性と遮光性を両立しうるという観点から、オレンジ顔料、赤色顔料、及び、バイオレット顔料からなる群より選択される1種以上の有機顔料が好ましく、最も好ましくは赤色顔料との組み合わせである。
本発明におけるチタンブラック粒子と組み合わせて用いられるオレンジ顔料、赤色顔料、及びバイオレット顔料としては、例えば、前記で例示した「C.I.Pigment Orange」、「C.I.Pigment Red」、「C.I.Pigment Violet」に属する各種顔料から、目的とする遮光性に応じて適宜選択すればよい。遮光性向上の観点からは、C.I.Pigment Violet 29、C.I.Pigment Orange 36,38,62,64、C.I.Pigment Red 177,254、255などが好ましい。
(F−3)増感剤
本発明の感光性樹脂組成物には、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
増感剤としては、用いられる重合開始剤を、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
増感剤の好ましい例としては、特開2008−214395号公報の段落番号〔0085〕〜〔0098〕に記載された化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、感度と保存安定性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、1〜20質量%の範囲内であることがより好ましく、2〜15質量%の範囲内であることが更に好ましい。
(F−4)重合禁止剤
本発明の感光性樹脂組成物には、該組成物の製造中或いは保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の重合禁止剤を含有することが望ましい。重合禁止剤としては、公知の熱重合防止剤を用いることができ、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、約0.01〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5〜約10質量%が好ましい。
(F−5)密着向上剤
本発明の感光性樹脂組成物には、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を含有することができる。密着向上剤の例としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤の例としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
密着向上剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分中0.5質量%30質量%であることが好ましく、0.7質量%〜20質量%であることがより好ましい。
なお、本発明の感光性樹脂組成物を適用して遮光膜を有するウエハレベルレンズに、ガラス基板を適用する場合には、感度向上の観点から密着向上剤を添加することが好ましい。
(F−6)界面活性剤
本発明の感光性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の感光性樹脂組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する感光性樹脂組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、感光性樹脂組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株))、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
(F−7)その他の添加剤
更に、感光性樹脂組成物は、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の目的で共増感剤を含有してもよい。また、硬化皮膜の物性を改良するために、希釈剤、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
−チタンブラック分散物の調製−
本発明のチタンブラック分散物の調製態様は、特に制限されないが、例えばチタンブラック粒子、分散剤、及び有機溶剤を、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、湿式分散機、等を用いて分散処理を行なうことにより調製することができるが、その方法はこれらに限定されない。
分散処理は、2回以上の分散処理(多段分散)により行ってもよい。
−感光性樹脂組成物の調製−
本発明の感光性樹脂組成物の調製態様についても特に特に制限されないが、例えば、本発明のチタンブラック分散物、重合開始剤、重合性化合物、及び、所望により併用される各種添加剤を混合し調製することができる。
<ウエハレベルレンズ>
本発明のウエハレベルレンズは、基板上に存在するレンズの周縁部に、本発明の感光性樹脂組成物を硬化して得られた遮光膜を有することを特徴とする。
以下、本発明のウエハレベルレンズについて説明する。
図1は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。図1中、10は基板であり、該基板10上にレンズ12が設けられている。複数のレンズ12は、基板10に対して1次元又は2次元に配列されている。
図2は、図1に示すA−A線断面図である。
図2に示すように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列された複数のレンズ12とを備えている。複数のレンズ12の間には、レンズ以外の箇所からの光透過を防止する遮光膜14が設けられている。本発明のウエハレベルレンズは、基板10上に存在する一つのレンズ12とその周縁部に設けられた遮光膜14により構成される。本発明の感光性樹脂組成物は、この遮光膜14の形成に用いられる。
以下、図1のように、複数のレンズ12が、基板10に対して2次元に配列されているウエハレベルレンズアレイの構成を例に説明する。
レンズ12は、一般的には、基板10と同じ材料から構成され、該基板10上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズは、この態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
レンズ12を形成する材料の他の例としては、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
レンズ12を形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等を用いてレンズ面を簡易且つ安価に形成するのに適している。
ウエハレベルレンズの形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、あるいは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
以下、レンズ材料として好適な樹脂について説明する。
紫外線硬化性樹脂の例としては、紫外線硬化性シリコン樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を例示することができる。エポキシ樹脂は、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のエポキシ樹脂であってもよい。
熱硬化性樹脂の例としては、熱硬化性シリコン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等を例示できる。例えば、シリコン樹脂は、線膨張係数が30〜160[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.55のシリコン樹脂であってもよい。エポキシ樹脂は線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のエポキシ樹脂であってもよい。
フェノール樹脂は、線膨張係数が30〜70[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70のフェノール樹脂であってもよい。アクリル樹脂は、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.60、好ましくは1.50〜1.60のアクリル樹脂であってもよい。
これらの熱硬化性樹脂としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、富士高分子工業株式会社製SMX−7852・SMX−7877(商品名)、株式会社東芝製IVSM−4500(商品名)、東レ・ダウコーニング社製SR−7010(商品名)、等を例示することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等を例示することができる。ポリカーボネートは、線膨張係数が60〜70[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。ポリサルフォン樹脂は、線膨張係数が15〜60[10−6/K]で、屈折率が1.63のものを用いることができる。ポリエーテルサルフォン樹脂は、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.65のものを用いることができる。
なお、一般に、光学ガラスの線膨張係数は20℃で4.9〜14.3[10−6/K]であり、屈折率は波長589.3nmで1.4〜2.1である。また、石英ガラスの線膨張係数は0.1〜0.5[10−6/K]であり、屈折率は約1.45である。
レンズの形成に適用される硬化性の樹脂組成物は、モールド形状の転写適性等、成形性の観点から、硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には、常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度の硬化性樹脂組成物が好ましい。
一方、レンズの形成に適用される硬化性の樹脂組成物は、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。かかる観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段の例としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で耐熱性を調整することが好ましい。
形状転写精度の観点からは、硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。樹脂組成物の硬化収縮率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
硬化収縮率の低い樹脂組成物の例としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
本発明のウエハレベルレンズの形成には、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物の使用が望ましい。
高アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂組成物に含有される樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
低アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
また、ウエハレベルレンズの形成に使用される樹脂として、屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させてなる有機無機複合材料を含有することも好ましい態様である。無機微粒子の例としては、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的な例としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
特に上記のごとき高アッべ数の樹脂中には、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂中には、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。
無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)または有機酸基を持つ分散剤などで無機微粒子の表面を修飾してもよい。
無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると物質の特性が変化する場合がある。また、樹脂マトリックスと無機微粒子の屈折率差が大きい場合には、無機微粒子の数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となる。このため、無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。
ここで、上述の数平均1次粒子サイズは、例えば、XRD(X線回折)、X線小角散乱 Small angle X-ray scattering (SAXS)、X線散漫散乱 X-ray diffuse scattering (XDS)、斜入射X線散乱 Grazing incidence small angle X-ray scattering (GI-SAXS)、走査型電子顕微鏡(SEM)、或いは、透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
無機微粒子の屈折率としては、22℃、589.3nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。
無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましく、30質量%〜60質量%が特に好ましい。
有機無機複合材料に用いられる、マトリックスとなる樹脂としては、ウエハレベルレンズの材料として前記した紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂がいずれも使用できる。また、特開2007−93893号に記載された屈折率1.60より大きい樹脂、特開2007−211164号に記載された疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体、特開2007−238929号、特願2008−12645号、同2008−208427号、同2008−229629号、同2008−219952号に記載された高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂、特願2008−197054号、同2008−198878号に記載された熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
有機無機複合材料には、必要に応じて、可塑剤、分散剤等の添加剤を加えることができる。
ここで、マトリックスである樹脂と無機微粒子との好ましい組み合わせとしては以下のようなものがある。
即ち、上記のごとき高アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
また、ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物は、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を含有することができる。その具体例としては、特開2005−92099号公報段落番号〔0065〕〜〔0066〕等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合或いはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、或いは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度であることが好ましく、0.5〜5質量%程度であることがより好ましい。
本発明のウエハレベルレンズの作製に用いる樹脂組成物は、上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより樹脂組成物を製造することができる。該樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、その具体例としては、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。樹脂組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
基板10は、レンズ12の成形材料と同じものを用いることができる。また、基板10が可視光に対して透明なガラスなどの材料からなるものであれば、レンズ12の成形材料とは異なる材料により形成されていてもよい。この場合には、基板10を形成する材料としては、レンズ12を形成する材料と線膨張係数が同じが極めて近い材料であることが好ましい。レンズ12を形成する材料と基板10を形成する材料との線膨張係数が互いに同じか近似するな合いには、撮像ユニットへのウエハレベルレンズのリフロー実装において、線膨張率が異なることで生じる加熱時のレンズ12の歪みや割れを抑制しうる。
なお、図1及び2中に図示してはいないが、基板10の光入射側の面には、赤外線フィルタ(IRフィルタ)が形成されていてよい。
〔ウエハレベルレンズの形成〕
以下、ウエハレベルレンズの形成について、ウエハレベルレンズアレイの形成例により具体的に説明する。
−レンズの形成−
図3は、基板10に成形材料である樹脂(図3中にMと記載)を供給している状態を示す図である。図3に示すように、基板10のレンズを成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12に相当する量の成形材料Mが供給される。
基板10に成形材料Mを供給した後、図4Aに示すように、レンズを成形するための型60を配置する。型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
図4Bに示すように、型60を基板1上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型60を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
成形材料Mを硬化させた後、図4Cに示すように、型60から基板1及びレンズ12を離型する。
図5Aから図5Cは、レンズが成形された基板に遮光膜を設ける工程を示す概略断面図である。
−遮光膜の形成方法−
次に、レンズ12の周縁部に遮光膜14を形成する方法について説明する。
遮光膜14の形成方法は、基板10上に、本発明の感光性樹脂組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程と、該遮光性塗布層14Aを、マスク16を介してパターン露光する露光工程と、露光後の遮光性塗布層14Aを現像して未硬化部を除去し、パターン状の遮光膜14を形成する現像工程とを含む。
遮光膜の形成は、レンズ12を作製する前でも、レンズ12を作製した後でも任意に行うことができる。
以下、遮光膜の形成方法における各工程について説明する。
<遮光性塗布層形成工程>
遮光性塗布層形成工程では、図5Aに示すように、基板10上に、感光性樹脂組成物を塗布して該感光性樹脂組成物からなる光反射率の低い遮光性塗布層14Aを形成する。このとき、遮光性塗布層14Aは、基板10の表面、及び、レンズ12のレンズ面12aとレンズ縁部12bの表面を全て覆うように形成される。
本工程に用いうる基板10としては、特に制限はない。例えば、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス及び透明樹脂等が挙げられる。
なお、ここで言う基板10とは、レンズ12と基板10を一体形成する態様においては、レンズ12と基板10の両方を含む形態を言う。
また、これらの基板1上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板10表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
基板10及びレンズ12に感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、スリット塗布、スプレー塗布法、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
感光性樹脂組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさの観点から、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.2μm〜5μmであることがより好ましく、0.2μm〜3μmであることがさらに好ましい。
基板10上に塗布された遮光性塗布層14Aの乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
感光性樹脂組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
<露光工程>
露光工程では、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aをパターン状に露光する。パターン露光は走査露光でもよいが、図5Bに示すように、所定のマスクパターンを有するマスク70を介して露光する態様が好ましい。
本工程における露光においては、遮光性塗布層14Aのパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、この露光により遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、レンズ縁部12bの表面とレンズ12間の基板10の表面に光を照射するマスクパターンを用いる。こうすることで、レンズ面12aを除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化し、この硬化領域が遮光膜14を形成する。露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。この放射線は単一波長の光源であってもよいし、高圧水銀灯のように全ての波長を含んだ光源を用いてもよい。
<現像工程>
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光における光未照射部分、即ち、遮光性塗布層14Aの未硬化領域をアルカリ水溶液に溶出させ、光照射により硬化した領域だけを残す。この例では、レンズ面12aに形成された遮光性塗布層14Aのみが除去され、それ以外の領域に硬化された遮光膜14が形成される(図5C参照)。
現像工程で用いられる現像液に含まれるアルカリ剤としては、有機又は無機のアルカリ剤、及びそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。本発明における遮光膜形成においては周囲の回路などに損傷を与えがたいという観点からは有機アルカリ現像液が望ましい。
現像液に用いるアルカリ剤の例としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物等が挙げられる。これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒〜90秒の範囲である。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像液により塗布膜の未露光部を除去した後、純水で洗浄(リンス)する。即ち、現像処理後には、余剰の現像液を純水により十分に洗浄することで除去し、さらに、乾燥工程を行う。
なお、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要に応じて、形成された遮光膜(遮光パターン)を、加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を行ってもよい。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜250℃の熱硬化処理である。ポストベークの温度、及び時間などの条件は、基板又はレンズの素材により、適宜設定することが出来る。例えば基板がガラスである場合は上記温度範囲の中でも180℃〜240℃が好ましく用いられる。
このポストベーク処理は、現像後に形成された遮光膜14を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で熱硬化させることで行うことができる。
なお、以上の手順では、レンズ12の形状が凹状である場合を例に説明したが、レンズの形状は特に限定されず、凸状や非球面の形状であってもよい。また、上記手順では、基板1の一方の面に複数のレンズ12が成形されたウエハレベルレンズを例に説明したが、両方の面に複数のレンズ12が成形された構成としてもよく、その場合には、両方の面に、レンズ面を除く領域にパターン状の遮光膜14が形成される。
図6は、ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す図である。図6のウエハレベルレンズは、基板10とレンズ12とを同一の成形材料で同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。成形材料としては上述したものと同じものを用いることができる。この例では、基板10の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ12が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ20が複数形成されている。基板1のレンズ面12aを除く領域、つまり、基板10の表面及びレンズ縁部12bの表面にパターン状の遮光膜14が形成されている。遮光膜14を形成する際のパターニング方法としては、上述した手順を適用することができる。
次に、遮光膜形成のためのパターニングの他の手順を説明する。上述の例では、レンズが設けられた基板10にパターン状の遮光膜14を形成するものであったが、以下に説明する手順では、まず、基板10にパターン状の遮光膜14を形成した後、基板にレンズを成形する手順である。
図7A〜図7Cは、パターン状の遮光膜14を形成する他の工程を示す概略図である。
図8A〜図8Cは、まず、パターン状の遮光膜14を形成した後、レンズ12を成形する工程を示す概略図である。
先ず、図7Aに示すように、基板10上に感光性樹脂組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程を行う。
その後、基板10上に塗布された遮光性塗布層14Aの乾燥をホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行う。感光性樹脂組成物の乾燥膜厚は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
次に、図7Bに示すように、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aを、マスク70を介してパターン状に露光する露光工程を行う。マスク70は、所定のマスクパターンを有する。本工程における露光においては、遮光性塗布層14をパターン露光することで、遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、後工程でレンズ12を成形した際にレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aにのみ光を照射するマスクパターンを用いる。この方法によりレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化する。なお、露光に際して用いることができる放射線としては、先に説明した手順と同様に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記パターン露光における遮光性塗布層14Aの未硬化領域であるレンズ12のレンズ開口14aに相当する領域の遮光性塗布層14Aのみがアルカリ水溶液に溶出される。また、レンズ12のレンズ開口14aの領域を除く領域の光硬化した遮光性塗布層14Aが基板10上に残存して、遮光膜14を形成する(図7C参照)。アルカリ剤としては、先に説明した手順と同じものを用いることができる。その後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
本実施形態においても、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された遮光膜を上述のポストベーク及び/又は露光により硬化する硬化工程を施してもよい。
次に、まず、遮光膜14を形成し、その後、レンズ12を形成するウエハレベルレンズの製造工程について説明する。
図8Aに示すように、パターン状の遮光膜14が形成された基板10の上に、レンズ12を構成する成形材料Mがディスペンサ50により滴下される。成形材料Mは、レンズ12のレンズ開口14aに相当する領域を覆うように、該開口に隣接する遮光膜14の端部を一部含むように供給される。
基板10に成形材料Mを供給した後、図8Bに示すように、レンズを成形するための型80を配置する。型80には、レンズ12の形状を転写するための凹部82が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
型80を基板10上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型80を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
成形材料Mを硬化させた後、型80から基板10及びレンズ12を離型し、図8Cに示すように、基板10にパターン状の遮光膜14を備えるウエハレベルレンズを得る。
上述のように、ウエハレベルレンズに備えられるパターン状の遮光膜14は、図5Cに示すようにレンズ12のレンズ面12aを除く領域に設けた構成だけでなく、図8Cに示すように、遮光膜14をレンズ12のレンズ開口14aを除く領域に設けた構成としてもよい。
ウエハレベルレンズは、基板10の少なくとも一方の表面にパターン上に形成された、光反射率が低い遮光膜14によって、レンズ12のレンズ面12a又はレンズ開口14a以外の領域で遮光を十分にしつつ、反射光の発生を抑制できる。このため、撮像素子を備えた撮像モジュールに適用した場合に、撮像時に反射光に伴うゴーストやフレアといった不具合の発生を防止できる。
また、遮光膜14は基板の表面に設けられるため、ウエハレベルレンズに別の遮光部材などを取り付ける必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
なお、前述した特許文献2に示される構成のように、レンズの周囲に表面が凹凸の構造物を設ける構成の場合には、該構造物に入射した光が反射又は発散することで、ゴースト等の不具合が生じやすいことが懸念される。そこで、図5Cに示すようにレンズ12のレンズ面12aを除く領域にパターニングされた遮光膜14を設けた構成とすれば、レンズ面12a以外では光を遮光することができ、光学性能を改善できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。また、室温は25℃を指す。
(分散剤1の合成)
500mL三口フラスコに、ε−カプロラクトン600.0g、及び2−エチル−1−ヘキサノール22.8gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。前記フラスコにモノブチル錫オキシド0.1gを加え、フラスコの内容物を100℃に加熱した。8時間後、ガスクロマトグラフィーにて原料が消失したのを確認し、その後フラスコの内容物を80℃まで冷却した。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート27.2gを添加した。5時間後、H−NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、固体状の前駆体M1〔下記構造〕を200g得た。得られた物質がM1であることは、H−NMR、IR、質量分析により確認した。
前記前駆体M1を30.0gと、NKエステル CB−1を70.0gと、ドデシルメ
ルカプタン2.3gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート233.3gとを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬(株)製の「V−601」)0.2gを加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行なった。2時間後、さらにV−601を0.2g加えて、3時間加熱攪拌し、下記分散剤1の30%溶液を得た。
分散剤1の組成比、酸価、及び重量平均分子量(Mw)は、以下の通りである。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で算出した値である。GPCによる測定は、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製)を用いて行った。
・組成比: x=35(質量%)、y=65(質量%)
・酸価 : 80mgKOH/g
・Mw : 30,000
[実施例1、比較例1]
<チタンブラックの作製>
平均粒径15nmの酸化チタンMT−150A(商品名:テイカ(株)製)を100g、BET表面積300m/gのシリカ粒子AEROPERL(登録商標)300/30(エボニック製)を25g、及び、Disperbyk190(商品名:ビックケミー社製)を100g秤量し、イオン電気交換水71gを加えてKURABO製MAZERSTAR KK−400Wを使用して、公転回転数1360rpm、自転回転数1047rpmにて20分間処理することにより均一な混合物水溶液を得た。この水溶液を石英容器に充填し、小型ロータリーキルン(株式会社モトヤマ製)を用いて酸素雰囲気中で920℃に加熱した後、窒素で雰囲気を置換し、同温度でアンモニアガスを100mL/minで5時間流すことにより窒化還元処理を実施した。終了後回収した粉末を乳鉢で粉砕し、粉末状の平均粒径30nm以下のチタンブラックを得た。
<チタンブラック分散物A及びBの調製>
下記組成1に示す成分を、攪拌機(IKA社製EUROSTAR
)を使用して、15分間混合し、分散物aを得た。
(組成1)
・前記にて作製したチタンブラック
(平均粒径30nm以下のチタンブラック) ・・・25部
・分散剤1の30%溶液 ・・・25部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(溶剤) ・・・50部
得られた分散物aに対し、寿工業(株)製のウルトラアペックスミルUAM015(商品名)を使用して下記条件にて分散処理を行った。
<分散条件>
・ビーズ径:直径0.05mm
・ビーズ充填率:75体積%
・ミル周速:8m/sec
・分散処理する混合液量:500g
・循環流量(ポンプ供給量):13kg/hour
・処理液温度:25〜30℃
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:0.15L
・パス回数:90パス
以上により、実施例1の分散物Aを得た。
また、実施例1において用いたチタンブラックを、三菱マテリアル(株)製「13M−T」(商品名)に変更した以外は、実施例1における分散液aと同じ組成の分散物bを用意し、実施例1と同じ分散処理を施すことにより、比較例1の分散液Bを得た.
<チタンブラック分散物A及びBの評価>
得られたチタンブラック分散液A及びBの各々を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて500倍希釈し、カーボン薄膜上に滴下、乾燥させて、TEM((株)日立ハイテクノロジーズ製)により、各分散物中に含まれるチタンブラック粒子(被分散体)の形態観察写真を撮影した。得られた写真から、粒子400個について外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、度数分布を評価した。
また、各分散液に含有されるチタンブラック粒子(被分散体)の平均粒径については、TEM写真より粒子像を400個サンプリングして、外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、その平均値として求めた。
その結果、実施例1のチタンブラック分散物Aでは、含有されるチタンブラック粒子の平均粒径は22nmであり、全チタンブラック粒子中、30nm以下の粒径を有する粒子の割合は、93%であった。
また、比較例1の分散物Bでは、含有されるチタンブラック粒子の平均粒径は50nmであり、全チタンブラック粒子中、30nm以下の粒径を有する粒子の割合は、4.2%であった。
[実施例2、比較例2]
1A.黒色硬化性組成物(感光性樹脂組成物)の調製
下記組成2の成分を攪拌機で混合して、実施例2の黒色硬化性組成物Aを調製した。
(組成2)
・ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/15/5/30〔モル比〕)〔バインダーポリマー〕 ・・・1.6部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔重合性化合物〕 ・・・2.0部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート〔重合性化合物〕 ・・・1.0部
・下記構造の重合開始剤〔光重合開始剤〕 ・・・0.3部


・チタンブラック分散物A ・・・24部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) ・・・10部
・エチル−3−エトキシプロピオネート(「EEP」) ・・・8部
また、上記組成2の成分のうち、チタンブラック分散物Aを、チタンブラック分散物Bに変更した以外は、黒色硬化性組成物Aと同様にして、比較例2の黒色硬化性組成物Bを調製した。
2A.ウエハレベルレンズ用遮光膜の形成
上記で得られた黒色硬化性組成物A又はBを、基板であるガラスウエハ(Corning 1737、Corning社製)にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で120℃で2分加熱して黒色硬化性組成物塗布層を得た。
次いで、得られた塗布層を、i線ステッパーを用い、50μmのホールパターンを有するフォトマスクを介して露光量100mJ/cmから100mJ/cmずつ変更し露光した。
露光後の塗布層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃60秒間パドル現像を行った。その後、現像後の塗布層に対して、スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、実施例2及び比較例2の黒色硬化性組成物により形成されたパターン状の遮光膜を得た。
[実施例3、比較例3]
実施例2及び比較例2において、基板として用いたガラスウエハに代えて、熱硬化性樹脂である東レ・ダウコーニング社製「SR−7010(商品名)」に、210℃、1時間の熱処理を行って硬化させることで得られた厚さ1mmの平板を基板として用いた以外は、実施例2及び比較例2同様にして、パターン状の遮光膜を形成した。
なお、本実施例にて用いた熱硬化性樹脂は、レンズ形成用材料としても用いることができる。
<評価>
実施例2、3、及び比較例2、3にて得られたパターン状の各遮光膜の形成において、光学顕微鏡を用いて剥れを発生しなくなる露光量を求めた。露光量が少ない程、遮光膜と基板との密着性がより有効であることを示す。
実施例2、3、及び比較例2、3にて得られたパターン状の各遮光膜(硬化膜)中における被分散体の粒径(nm)を、以下のように測定した。
製膜された基板の断面を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製S−3400N(商品名))及びエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製Genesis(商品名))で観察することで、形態観察写真及びTiとSiの元素マップを得た。得られた写真から、Ti元素が検出されている粒子400個について外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、度数分布を評価した。
その結果、実施例2及び3で形成した遮光膜の各々において、遮光膜含まれる被分散体のうち、30nm以下の粒径を有するものの割合は、90%であった。
また、比較例2及び3で形成した遮光膜の各々において、遮光膜に含まれる被分散体のうち、30nm以下の粒径を有するものの割合は、6%であった。
また、実施例2、3、及び比較例2、3にて得られたパターン状の各遮光膜(露光量を表1及び2に記載する)の現像部について、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製S−4800)により観察し、基板上における現像残渣の有無を評価した。
ガラス基板上に10nm以上の残渣物が観察されないことが、ウエハーレベルレンズ用遮光膜として良好であることを示す。
以上の結果を、表1及び表2に示す。
表1及び表2に示されるように、実施例の黒色硬化性組成物Aは、比較例の黒色硬化性組成物Bとの対比において、いずれの露光量においても硬化性に優れており、且つ、これを用いた遮光膜の形成においては、ガラス基板及び樹脂基板のいずれを用いた場合についても現像残渣が観察されなかった。
[実施例4]
実施例3と同様にしてパターン状の遮光膜形成した基板の上に、下記組成3の硬化性樹脂組成物を用いて硬化性樹脂層を形成し、レンズ形状を持つ石英モールドで形状を該硬化性樹脂層に転写して、高圧水銀ランプにより400mJ/cmの露光量で該硬化性樹脂層を硬化させることにより、ウエハレベルレンズを複数有するウエハレベルレンズアレイを作製した。
(組成3)
・N−ビニルピロリドン ・・・35部
・エポキシアクリレート
(エポキシエステル80MF、共栄社化学(株)製) ・・・40部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート ・・・20部
・イルガキュア907(BASFジャパン製) ・・・5部
作製されたウエハレベルレンズアレイを切断し、これにレンズモジュールを作製した後に、撮像素子及びセンサ基板を取り付け、撮像ユニットを作製した。
実施例4で得られたウエハレベルレンズは、レンズ開口部に残渣物が無く良好な透過性を有し、かつ遮光層の部分の塗布面の均一性が高く、遮光性が高いものであった。
また、このウエハレベルレンズを備えた撮像ユニットを用いて画像を得たところ、その画質は良好であった。
[実施例5]
実施例2で調製した黒色硬化性組成物Aをレンズを設けたシリコンウエハ上に塗布した以外は、実施例4と同様にしてパターン状の遮光層を形成して、遮光層が設けられたウエハレベルレンズアレイを作製した。
作製されたウエハレベルレンズアレイを切断し、これにレンズモジュールを作製した後に撮像素子及びセンサ基板を取り付け、撮像ユニットを作製した。
実施例5で得られたウエハレベルレンズは、レンズ開口部に残渣物が無く良好な透過性を有し、かつ遮光層の部分の塗布面の均一性が高く、遮光性が高いものであった。
また、このウエハレベルレンズを備えた撮像ユニットを用いて画像を得たところ、その画質は良好であった。
10 基板
12 レンズ
14 遮光膜

Claims (6)

  1. (A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を含有し、前記(A)チタンブラック粒子からなる被分散体の90%以上が30nm以下の粒径を有するウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物。
  2. 前記(B)分散剤は、下記式(1)〜(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である請求項1に記載のウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物。

    (式(1)〜式(5)において、X 、X 、X 、X 、X 、及びX は、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Y 、Y 、Y 、Y 、及びY は、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。Z 、Z 、Z 、Z 、及びZ は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。n、m、p、q、及びrは、それぞれ1から500の整数である。j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。Rは水素原子又は1価の有機基を表す。)
  3. 前記グラフト共重合体には、グラフト部位以外に前記(A)チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基が導入されており、該官能基は酸基、塩基性基、配位性基及び反応性を有する官能基の少なくともいずれか一つである請求項2に記載のウエハレベルレンズ用チタンブラック分散物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のチタンブラック分散物、(D)光重合性化合物、及び(E)光重合開始剤を含有するウエハレベルレンズ用感光性樹脂組成物。
  5. 基板上に存在するレンズの周縁部に、請求項に記載の感光性樹脂組成物を硬化して得られた遮光膜を有するウエハレベルレンズ。
  6. 請求項に記載のウエハレベルレンズを備えた固体撮像素子。
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