JP5566833B2 - パンツタイプ使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつに関する。
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されているものである。
パンツタイプ使い捨ておむつの使用者の多くは、使用後に両側部のサイドシール部を引き剥がし、おむつを廃棄する。そのため、サイドシール部は、着用時には充分な接合強度を奏し、かつ、使用後には容易に引き剥がされることが望まれる。
パンツタイプ使い捨ておむつにおけるサイドシール部は、溶着による小さな接合部が両側部の上下方向(縦方向)に沿って間欠的に多数設けられ、全体的には点線状に接合されているものが一般的である(例えば特許文献1〜3参照)。サイドシール部を点線状とすることで、より強く溶着しても、引き剥がし時には大きな力を要しない等の利点を有する。
特開2009−131539号公報 特開2009−160128号公報 特開2009−160129号公報
しかしながら、従来のパンツタイプ使い捨ておむつにおいては、サイドシール部をウエスト開口部又はレッグ開口部から引き剥がしていくと、途中でサイドシール部が剥がれずに前身頃又は後身頃の外装シートを引き裂いてしまい、サイドシール部を剥がし終えることができないことがあった。この場合、サイドシール部の引き剥がしを反対側からやり直す必要がある。
そこで本発明の主たる課題は、このようなサイドシール部の引き剥がしの失敗が発生し難いパンツタイプ使い捨ておむつを提供することにある。
上記課題について鋭意研究したところ、次のような知見を得た。すなわち、外装シートは、弾性伸縮部材を挟持する等のためにシート素材が複数枚張り合わされて形成されており、サイドシール部におけるシート素材の積層数は、ウエスト開口部から脚開口部までの途中で例えば8層から6層へ、さらに6層から4層へと変化するのが一般的である。このような形態では、サイドシール部をウエスト開口部又はレッグ開口部から引き剥がしていくと、シート素材の積層数が変化する部位で、引き剥がし力が縦方向に対して斜め内側に作用したときに、サイドシール部が剥がれずに前身頃又は後身頃の外装シートが引き裂さかれる事態が発生し易いのである。以下に述べる本発明は、このような知見に基づくものである。
なお、本発明において、「縦方向」とは、接合前のパンツ型使い捨ておむつの長手方向を指し、「横方向」とは、幅方向を指すものとする。
<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を形成する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記前身頃における外装シートの両側部と後身頃における外装シートの両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記外装シートは、少なくとも前記サイドシール部を有する縦方向範囲において複数枚のシート素材が張り合わされて形成されており、
前記サイドシール部は、その縦方向中間部に、接合されるシート素材の積層数が変化する積層数変化部を少なくとも一個所有しており、
前記サイドシール部は、少なくとも幅方向内側の側縁が波状をなすとともに、この波状の側縁における幅方向外側の頂点とそのウエスト側に隣接する幅方向内側の頂点との間に、前記積層数変化部が位置するように構成された、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、サイドシール部における少なくとも幅方向内側の側縁が波状をなすとともに、この波状の側縁における幅方向外側の頂点とウエスト側に隣接する幅方向内側の頂点との間に、積層数変化部が位置するように構成されていると、サイドシール部をウエスト開口部又はレッグ開口部から引き剥がす過程で、シート素材の積層数が変化する部位に到達して、そこから更に引き剥がし力が作用するとき、その引き剥がし力の方向が縦方向に対して斜め外側に作用するため、サイドシール部が剥がれずに前身頃又は後身頃の外装シートを引き裂くといった事態が発生し難くなる。
また、サイドシール部においてシート素材の接合部は、シートの柔軟性が損なわれるが、サイドシール部の幅方向内側の側縁を波状とすることで、サイドシール部の肌に当たる部分が減少するため、直線状に比して着用感が向上する。
なお、サイドシール部の側縁が波状であるとは、シート素材の接合部が縦方向に連続していてその側縁が波状である形態の他、シート素材の接合部が縦方向に間欠的に多数設けられていて、縦方向に関する接合部側端の幅方向位置の変化が波状である形態も含まれる。
<請求項2記載の発明>
前記サイドシール部は、シート素材の接合部が縦方向に間欠的に多数形成されてなり、かつ、ウエスト開口部側の端部に位置する接合部及びレッグ開口部側の端部に位置する接合部は、幅方向外側から幅方向内側に向かうにつれて縦方向長さが拡大する形状をなし、これらの間の縦方向中間部に位置する接合部は、幅方向外側から幅方向内側に向かうにつれて縦方向長さが減少する形状をなしている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、サイドシール部の接合部の縦方向長さを変化させることにより、着用の際、サイドシール部におけるウエスト開口側の端部及びレッグ開口部側の端部を誤って剥がしてしまう事態が発生し難くなるとともに、おむつ交換時にサイドシール部を引き剥がし始めた後の縦方向中間部においては、より弱い力で引き剥がすことができ、さらに、縦方向中間部における接合部の縦方向長さが短く、肌に当たる部分が減少するため着用感も向上する。
以上のとおり、本発明によれば、サイドシール部を引き剥がす際に途中でサイドシール部が剥がれずに前身頃又は後身頃の外装シートを引き裂いてしまうといった事態が発生し難くなる、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。 図1のC−C断面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 図3の他の例を示す断面図である。 図3の他の例を示す断面図である。 サイドシール部の形状を示す要部拡大図である。(A)サイドシール部接合後のパンツタイプ使い捨ておむつを腹側からみた図、(B)D−D断面図。 図8のE部分のサイドシール部接合パターンを示す拡大図である。 図8(A)の他の例を示す要部拡大図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図5は実施形態のパンツタイプ使い捨ておむつ1を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ1(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bを形成する外装シート20と、この外装シート20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装シート20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤Gなどの接合手段によって固定された後に、内装体10および外装シート20が前身頃F及び後身頃Bの境界である縦方向(前後方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着またはホットメルト接着剤などによって接合され、サイドシール部21,22が形成されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
(外装シートの構造例)
外装シート20は、図3〜図5にも示されるように、それぞれ上層不織布20A及び下層不織布20B(つまり、この形態では下層不織布が最外側不織布となる)からなる2層構造の不織布シートとされ、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間、及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布間に各種弾性部材が伸長状態で挟持固定され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するために形成された凹状の脚回りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。弾性部材としては、合成ゴムや天然ゴムを糸状、紐状、網状、シート状等の任意の形態に加工したものを用いることができる。
特に、図示形態の外装シート20においては、図1〜図3に示すように、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24,24…と、ウエスト部弾性部材よりも股間側に配置された、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材25,25…と、腰回り弾性部材群25,25…とは別に、前身頃Fと後身頃Bとを接合する両サイドシール部21,22から幅方向中央に向かうにつれて反対の身頃側へ向かうように湾曲しつつ、内装体10の両側部と重なる部位まで(又は両側部の近傍まで等、必ずしも重ならなくても良い)延在するとともに、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材26…,28…とを備えている。なお、本外装シート20では、湾曲弾性部材26…,28…により脚周りに対するフィット性が確保されるため、脚回りライン29に沿って前身頃Fから後身頃Bまで実質的に連続する脚回り弾性部材は設けられていないが、湾曲弾性部材26…,28…とともに又はこれに代えて設けることも可能である。
ウエスト部弾性部材24,24…は、サイドシール部21,22を有する縦方向範囲のうち、ウエスト開口縁近傍に縦方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることによりおむつのウエスト開口縁を身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24,24…は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
腰回り弾性部材25,25…は、サイドシール部21,22と対応する縦方向範囲、及びそれよりも股間側の範囲のうち、概ね上部から下部までの範囲に亘り、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配設された糸ゴム等の細長状弾性部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰回り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、おむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24,24…と腰回り弾性部材25,25…との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに縦方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。
後身頃Bにおいて、腰回り弾性部材25,25…とは別に配設された背側湾曲弾性部材26,26…は、その長手方向中間に縦方向との鋭角側交差角θ(以下、縦方向交差角ともいう)が最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つおむつを展開した状態で内装体10の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60°以下となる交差部分70を有する所定の曲線に沿って配置されているものである。背側湾曲弾性部材26は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸ゴム状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材26,26…は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群26,26…は、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように所定の間隔を空けて複数本以上配置される。
外装シート20の前身頃Fにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に配設された腹側湾曲弾性部材28,28…も、その長手方向中間に縦方向との縦方向交差角θが最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つおむつを展開した状態で内装体10の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60°以下となる交差部分70を有する所定の曲線に沿って配置されている。腹側湾曲弾性部材28,28…は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材28,28…は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群28,28…も、2、3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように所定の間隔を空けて複数本以上配置される。
湾曲弾性部材26…,28…は図示例のようにその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。また、湾曲弾性部材26…,28…を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材の群の一部又は全部と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26の群の一部又は全部とが股間部又はその前側若しくは後側近傍で交差する形態(図示せず)も採用できるが、図示例のように、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28の群と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材26の群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Fに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適であり、その縦方向離間範囲90における最小縦方向離間距離は10〜20mm程度とし、この部分に後述する広幅の固定領域を設けるのが好ましい。
他方、図示例では、前身頃F及び後身頃Bに配置された腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…,28…は、内装体10を横切る部分には設けられておらず、当該部分が非伸縮領域とされている。このように、弾性部材を有しない又は設けられていない形態には、弾性部材が存在しない形態の他、弾性部材は存在するが収縮力が作用しない程度に細かく切断させている形態も含まれる。図8は、後者の例を示しており、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…,28…を、一方側の側部接合縁22から内装体10を横切って他方(反対)側の側部接合縁22まで連続的に設けた後に、所定の切断パターンCPにより内装体10を横切る部分の一部又は全部を切断し、不連続とするものである。弾性部材25,26,28を内装体10と重なる部分で不連続とすることにより、内装体10(特に吸収体13)の幅方向の収縮を防止することができる。もちろん、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…,28…を、内装体10を横切って連続的に配置することもできる。
上述した外装シート20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26…,28…を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002−273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
(内装体の構造例)
内装体10は、図3〜図5に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができ、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。吸収体13の形状は、図示形態のように長方形状とする他、背側及び腹側に対して股間部の幅が狭い砂時計形状(括れ形状)とすることもできる。
なお、上述の屈曲フィット部40は、吸収体13における臀裂対向部に縦方向に沿う溝41やスリットを設ける等によってその形成を補助することもでき、その場合、適切な位置を折り目として屈曲フィット部40が形成され、またその形状も維持され易くなる。
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されているのが好ましい。この立体ギャザーBSはギャザー不織布15により形成される、ギャザー不織布としては、図5及び図6に示されるように、折返しによって二重シートとした不織布が好適に用いられ、液透過性表面シート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、ギャザー不織布15は、おむつ1の長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体13の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体13の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、立体ギャザーBSを形成する部分を吸収体13の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。
二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布15の内部には、起立先端側部分に複数本の糸状弾性伸縮部材16、16…が配設されている。糸状弾性伸縮部材16、16…は、製品状態において図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
液不透過性裏面側シート12は、二重シート状のギャザー不織布15の内部まで進入し、図5に示されるように、立体ギャザーBSの下端側において防漏壁を構成するようになっている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
糸状弾性伸縮部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
(前後押えシート)
図1及び図3にも示されるように、外装シート20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60を設けることが好ましい。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート50,60の股下側縁部に幅方向の全体にわたり若干の非接着部分を設けると、接着剤がはみ出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
図1及び3に示す形態のように、前後押えシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、図6に示すように、外装シート20をおむつ1内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、吸収パッド200と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
また、押さえシート50,60は、図7に示すように、ウエスト側端部の折返し部分20Cの外側に、つまり、上層不織布20Aと折返し部分20Cの間に配してもよい。
(外装シートを構成する不織布ついて)
外装シート20を構成する不織布のうち、少なくとも最も外側に位置する不織布20Bとして、捻れ度が3.8gf・cm/cm以下のものが好適である。ここに、「捻れ度」とは、例えばKES-YN1(カトーテック(株)製)を用いて測定することができるものであり、値が小さいほど捻れに対してしなやかであることを意味する。また、外装シートが不織布一枚からなる場合、それ自体が最も外側に位置する不織布を意味する。外装シート20を構成する不織布全て、つまり最も外側に位置しない他の不織布20A、50,60についても最外側不織布20Bと同様の不織布を採用するのが望ましい(以下同じ。)。このように、捻れ度が十分に低い不織布を用いると、おむつ全体としてのしなやかさが顕著に増加し、その結果、ゴワゴワした装着感や、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが軽減し、脱ぎ着し易くなる等の利点がもたらされる。捻れ度が十分に低くないとしなやかさの改善効果は発現しない。このような捻れ度は、例えば原料繊維の種類の選択、繊度を細くする、繊維長を短くする、目付けや厚みを減らす等により達成することができる。
また、最外側不織布20Bにおける平均表面摩擦係数と平均偏差との比MIU/MMDが20以上であるのが好ましく、特に25以上であるのがより好ましい。MIU/MMD比を十分に大きくすることにより、外装シート表面の触感が良好となることにより、しなやかさが補われ、例えば肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルがより一層軽減されるようになる。このようなMIU/MMD比は、例えば、繊度を細くする、表面加工を施す等により達成することができる。
また、外装シート20としての基本機能(隠蔽機能、強度等)を損ねないよう、最外側不織布20Bは、目付けが10〜30g/m2であり、且つ圧力0.5g/cm2のときの厚みT0が0.1〜1.0mmであるのが好ましい。より好ましい目付けは13〜22g/m2、厚みT0は0.1〜0.5mmである。
さらにしなやかさを補うため、最外側不織布20BのJIS−L−1096(45度カンチレバー法)による剛軟度は45mm以下であるのが好ましく、35mm以下であるのがより好ましい。これにより、特にゴワゴワ感の軽減及び脱ぎ着のし易さがより一層好ましいものとなる。このような剛軟度は、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、エンボス圧を下げる、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
しなやかさを向上させると強度が低下し易いため、最外側不織布20Bは、JIS−P−8113に規定される引張強度が幅方向において40〜120kgf/m、特に60〜100kgf/m、前後方向において10〜80kgf/m、特に25〜60kgf/mであり、JIS−P−8116に規定される引裂強度が前後方向において4〜30kgf/m、特に8〜25kgf/mであるのが好ましい。このような引張強度及び引裂強度は、例えば、繊維同士の絡まり度合いを増す等により達成することができる。
最外側不織布20Bの圧縮特性もしなやかさと密接に関連するものである。よって、最外側不織布20Bの圧縮特性は、圧縮硬さLCが0.3〜1.0、特に0.5〜0.9であり、且つ圧縮仕事量WCが0.01〜0.10、特に0.01〜0.07であり、圧縮レジリエンスRCが20〜90%、特に25〜70%であるのが好ましい。このような圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮レジリエンスRCは、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
最外側不織布20Bは、原料繊維の物質、構造、製法、繊度、繊維長(短繊維、フィラメント)等については、特に限定されない。例えば、原料繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等から適宜選択でき、また繊維構造としては並列型、芯鞘型等の2層型複合繊維、多層型複合繊維、非複合繊維、混合繊維、分割繊維等から適宜選択することができる。さらに、製法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等、公知の方法から適宜選択して用いることができる。繊維の繊度や繊維長についても公知の仕様を採用することができるが、繊度は0.7〜3dtex、特に1〜2.5dtexが好ましい。
(サイドシール部)
おむつ側端部のサイドシール部21,22は、熱溶着、ホットメルト接着剤、超音波接着等により形成される。サイドシール部の詳細な形態を図8,9に示す。
サイドシール部21,22は、おむつの幅方向内側及び外側に頂点を有する波状に形成される。波型の波長31は、40〜150mm、特に50〜100mmとし、波型の波高32は、2.0〜12mm、特に4.0〜10mmとすることが好ましい。また、サイドシール部自体の幅33は、3.0〜15mm、特に5.0〜12mmとすることが好ましい。
図8(A)及び図8(B)は、縦方向に対応している。図8(B)のa,b,c,dの部分におけるシート素材の積層数は、それぞれ6枚、8枚、6枚、4枚と切り替わる。サイドシール部22は、その波型の幅方向外側の頂点とその隣接するウエスト側の幅方向内側の頂点の間に、上記のシート積層数が切り替わる部分(積層数変化部)が位置するように配される。さらに、シートの予想外の破れを防止するため、積層変化部及びその近傍には、弾性部材を配しない構成とすることが好ましい。なお、シート積層数及び積層数変化部の数は、上記の数値に限定されるものでなく、おむつの機能にあわせて適宜変更可能である。
図9にサイドシール部の拡大図を示す。サイドシール部の接合部30のパターンは特に限定されないが、縦方向に連続的であるより、図9(A)(B)に示すように断続的とすると、接合を強くしつつ、引き剥がしやすさも保持することができるため好ましい。また、外装シート、押さえ部を構成する不織布は、通常は接合部分においてその柔軟性が損なわれるが、接合部分を断続的とすることで、接合部分の着用感への影響を小さくすることができる。図9(A)に示す接合パターンは、幅方向に平行な断続部分を有するが、幅方向に対して斜めに断続部分を配するパターンとしてもよい(図示せず)。さらに、接合部30は、図9(B)に示すように、幅方向内側が小さく、外側が大きい形状とすることが好ましい。このような形状とすることで、より肌に触れやすい幅方向内側の接合部分が小さくなり、着用感の悪化をより減じることが可能となる。
接合部30は、縦方向に連続する形状としてもよい。この場合、図9(C)に示すように、サイドシール部22全体を波型とし、サイドシール部22内部に接合部30を微小な波型として配する構成とすると、サイドシール部22の引き剥がしやすさが損なわれないため、好ましい。
図10にサイドシール部21,22の他の例を示す。サイドシール部21,22は、少なくとも幅方向内側が波状であれば、本発明の目的を達する。そのため、幅方向外側を図示例のように縦方向に直線状にすることができる。この場合、製造工程において、サイドシール部付与時におむつの幅方向の微細な位置合わせを要さず、サイドシール部付与後に側端部を切断することによって、当該形状とすることができる。
なお、サイドシール部21の形状については、すべてサイドシール部22と同一、もしくはおむつの幅方向中央線に対して略線対称の形状とすることが好ましい。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつにおいて利用できるものである。
1…パンツタイプ使い捨ておむつ、10…内装体、11…液透過性表面シート、12…液不透過性裏面側シート、13…吸収体、14…包装シート、15…ギャザー不織布、16…糸状弾性伸縮部材、20…外装シート、21,22…サイドシール部、24…ウエスト部弾性部材、25…腰回り弾性部材、26…背側湾曲弾性部材、28…腹側湾曲弾性部材、29…脚回りライン、20C…外装シート折り返し部、30…接合部、F…前身頃、B…後身頃。

Claims (2)

  1. 前身頃及び後身頃を形成する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記前身頃における外装シートの両側部と後身頃における外装シートの両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
    前記外装シートは、少なくとも前記サイドシール部を有する縦方向範囲において複数枚のシート素材が張り合わされて形成されており、
    前記サイドシール部は、その縦方向中間部に、接合されるシート素材の積層数が変化する積層数変化部を少なくとも一個所有しており、
    前記サイドシール部は、少なくとも幅方向内側の側縁が波状をなすとともに、この波状の側縁における幅方向外側の頂点とそのウエスト側に隣接する幅方向内側の頂点との間に、前記積層数変化部が位置するように構成された、
    ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
  2. 前記サイドシール部は、シート素材の接合部が縦方向に間欠的に多数形成されてなり、かつ、ウエスト開口部側の端部に位置する接合部及びレッグ開口部側の端部に位置する接合部は、幅方向外側から幅方向内側に向かうにつれて縦方向長さが拡大する形状をなし、これらの間の縦方向中間部に位置する接合部は、幅方向外側から幅方向内側に向かうにつれて縦方向長さが減少する形状をなしている、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
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