JP5555669B2 - 原子力プラント及びその燃料プール水冷却方法 - Google Patents

原子力プラント及びその燃料プール水冷却方法 Download PDF

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Description

本発明は原子力プラント及びその燃料プール水冷却方法に係り、特に、冷却水供給源が不測の事態によって全電源を失い、使用済み燃料等が保管されている燃料貯蔵プールに冷却水が供給されない状態に陥った場合に対応した原子力プラント及びその燃料プール水冷却方法に関する。
沸騰水型軽水炉(以下、BWRという)の原子炉建屋には、原子炉圧力容器内で使用中の炉心燃料のみならず、既に数サイクル運転経過した使用済み燃料が保管されているのが一般的である。この使用済み燃料は、通常、原子炉建屋内に設置された燃料貯蔵プールの燃料プール水(冷却水)中に保管されている(例えば、特許文献1参照)。
この種のBWRにおいては、燃料プール水の水温を適正に維持するためのポンプ、冷却水タンク、配管等から成る循環水系が備わっており、この循環水系では、燃料貯蔵プール内の燃料の崩壊熱を除去するために、燃料プール水がポンプによって配管を介して冷却水タンク等との間で強制循環され、例えば、循環途中の配管に配置されている熱交換器で海水と熱交換が行われて冷却されることで、燃料貯蔵プールの燃料プール水の水温は、40℃程度に維持されている。
特開平9−329684号公報
ところで、BWRの安全性を向上させる観点から、異常事象発生時には、原子炉安全確保の三原則である「1.核分裂の停止」、「2.炉心燃料の冷却」、「3.放射性物質の閉じ込め」を確実に実行する必要がある。特に、「2.炉心燃料の冷却」に関しては、従来から緊急炉心冷却システム(ECCS)、残留熱除去系システム(RHR))、非常用復水器(IC)、静的格納容器冷却系設備(PCCS)等からなる多重安全保護系を設置して異常事象発生時に備えている。
しかし、不測の事態によって万一電源を失い上述した燃料貯蔵プールヘの燃料プール水(冷却水)の供給源である循環水系が停止するようなことがあれば、燃料貯蔵プール内の燃料プール水の冷却に支障をきたし、非常用電源が回復するまでの間、大気の飽和温度(100℃程度)まで水温が上昇してしまう懸念がある。燃料貯蔵プールの燃料プール水が、大気の飽和温度まで水温が上昇してしまうと、燃料貯蔵プールの燃料プール水が蒸発し燃料貯蔵プールの水位が低下してしまい、燃料が十分に冷却されない恐れがある。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、燃料貯蔵プールヘの冷却水供給源が不測の事態によって全電源を失い、燃料貯蔵プールに冷却水が供給されない状態に陥った場合であっても、燃料貯蔵プールヘの冷却水の供給が可能となり、燃料貯蔵プールの水位低下が抑制でき、燃料貯蔵プール水の冷却に支障をきたすことのない原子力プラント及びその燃料プール水冷却方法を提供することにある。
本発明の原子力プラントは、上記目的を達成するために、核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器が格納される格納容器と、使用済み燃料が燃料プール水中に保管される燃料貯蔵プールと、前記原子炉圧力容器、前記格納容器及び前記燃料貯蔵プールが収容される原子炉建屋とを備えた原子力プラントであって、前記原子炉建屋外に設置され、冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクと、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を前記凝縮器に搬送する蒸気系配管と、該蒸気系配管の途中に設置され、該蒸気系配管を搬送された蒸気で駆動される蒸気タービンと、前記蒸気系配管で搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水を前記燃料貯蔵プールに供給する復水系配管と、該復水系配管の途中に設置されると共に、前記蒸気タービンで起動されて前記復水系配管を通る水を前記燃料貯蔵プールに送る給水ポンプとを更に備えているか、
若しくは、前記原子炉建屋に設置され、既設の炉内機器が保管されていると共に、冷却水中に凝縮器が内蔵されている炉内機器保管用プールと、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を前記凝縮器に搬送する蒸気系配管と、該蒸気系配管で搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水を前記燃料貯蔵プールに供給する復水系配管と、前記蒸気系配管の途中に設置され、該蒸気系配管を搬送された蒸気で駆動される蒸気タービンと、前記復水系配管の途中に設置されると共に、前記蒸気タービンで起動されて前記復水系配管を通る水を前記燃料貯蔵プールに送る給水ポンプとを更に備えていることを特徴とする。
また、本発明の原子力プラントは、上記目的を達成するために、核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器が格納される格納容器と、使用済み燃料が燃料プール水中に保管される燃料貯蔵プールと、前記原子炉圧力容器、前記格納容器及び前記燃料貯蔵プールが収容される原子炉建屋と、前記燃料貯蔵プールと前記原子炉建屋外に設置されている冷却水タンクが配管で接続され、該燃料貯蔵プールの燃料プール水が、前記配管を介して前記燃料貯蔵プールと冷却水タンク間を循環する循環水系とを備えた原子力プラントであって、前記原子炉建屋外に設置され、冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクと、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を前記凝縮器に搬送する蒸気系配管と、該蒸気系配管の途中に設置され、該蒸気系配管を搬送された蒸気で駆動される蒸気タービンと、前記蒸気系配管で搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水を前記燃料貯蔵プールに供給する復水系配管と、該復水系配管の途中に設置されると共に、前記蒸気タービンで起動されて前記復水系配管を通る水を前記燃料貯蔵プールに送る給水ポンプとを更に備えていることを特徴とする。
また、本発明の原子力プラントの燃料プール水の冷却方法は、上記目的を達成するために、核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器、及び該原子炉圧力容器が格納される格納容器と共に原子炉建屋に収納され、使用済み燃料が保管される燃料貯蔵プール内の燃料プール水が、前記原子炉建屋外に設置されている冷却水タンクと配管を介して循環水系で循環されている該燃料プール水を冷却するに当たって、前記燃料プール水を循環させている前記循環水系のポンプが、全電源喪失により作動不良になった状態である場合に、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を、蒸気系配管を介して前記原子炉建屋外に設置されている冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクに搬送し、該搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水となり、該水を復水系配管を介して前記燃料貯蔵プール内に供給して前記燃料プール水を冷却するか、
若しくは、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を、蒸気系配管の途中に設置されている蒸気タービンに供給して当該蒸気タービンを駆動すると共に、前記蒸気系配管を介して前記原子炉建屋外に設置されている冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクに搬送し、該搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水となり、該水を復水系配管の途中に設置され、かつ、前記蒸気タービンで起動される給水ポンプで前記復水系配管を介して前記燃料貯蔵プール内に供給して前記燃料プール水を冷却することを特徴とする。
本発明によれば、燃料貯蔵プールヘの冷却水供給源が不測の事態によって全電源を失い、燃料貯蔵プールに冷却水が供給されない状態に陥った場合であっても、燃料貯蔵プールヘの冷却水の供給が可能となるので、燃料貯蔵プールの水位低下を抑制することができ、燃料貯蔵プール水の冷却に支障をきたすことはないという効果がある。
本発明の原子力プラントの参考例1を示すシステム系統図である。 本発明の原子力プラントの参考例1に係る燃料貯蔵プール内温度の経時変化を示す特性図である。 本発明の原子力プラントの実施例を示すシステム系統図である。 本発明の原子力プラントの実施例を示すシステム系統図である。 本発明の原子力プラントの実施例を示す燃料貯蔵プールの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例を示す復水タンクの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例を示す復水タンクの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例を示す復水タンクの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例を示す復水タンクの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例に係る復水タンクと燃料貯蔵プールの配置関係の一例を示す図である。 本発明の原子力プラントの参考例2に係る復水タンクと燃料貯蔵プールの配置関係の他の例を示す図である。 本発明の原子力プラントの実施例に係る復水タンクと燃料貯蔵プールの配置関係の更に他の例を示す図である。 本発明の原子力プラントの実施例10に係る水素濃度検出の例を示す燃料貯蔵プールの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例11に係る圧力検出の例を示す燃料貯蔵プールの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例12に係る温度検出の例を示す燃料貯蔵プールの概略構成図である。 本発明の原子力プラントの実施例13に係る全電源喪失時の例を示す燃料貯蔵プールの概略構成図である。
以下図面を用いて本発明の原子力プラントの実施例を説明する。
参考例1
図1は、本発明の原子力プラントの参考例1における使用済み核燃料を一次貯蔵する燃料貯蔵プールを有するBWRを示すものである。尚、以下の各実施例では、燃料貯蔵プールを有するBWRのシステムに本発明を適用した場合を例に挙げ説明する。
図1に示したBWR発電プラントにおいて、10は原子炉建屋であり、この原子炉建屋10には、内圧調整の機能を果たす圧力抑制プール4を含む格納容器3、使用済み燃料12を保管する燃料貯蔵プール11等が収容されている。格納容器3には、核燃料を含む炉心1を内包した原子炉圧力容器2が収納されている。
参考例でのBWRプラントでは、原子炉圧力容器2内の炉心1で水を沸騰させて発生させた蒸気を低圧タービン及び高圧タービンに供給し、これらタービンによって発電機を駆動して電気を発生させている。タービンを駆動した蒸気は復水器で復水した後、給水加熱器や給水ポンプ等を通って昇圧、加熱されて原子炉圧力容器2に戻される。但し、図1では、高圧タービン、低圧タービン等のタービンや発電機、復水器、給水加熱器、給水ポンプ等は、図示を省略している。
また、格納容器3の下部には、ドーナツ型の上記圧力抑制プール4が連結され、原子炉圧力容器2の上部には、導管が接続されている。上記原子炉圧力容器2の上部に接続された導管は、圧力抑制プール4内の液4a中まで延在しており、例えば、原子炉圧力容器2内の圧力が高くなった場合等は、この導管に設けられている主蒸気逃し安全弁を開放することによって、圧力抑制プール4内の液4a中へ蒸気を排出し凝縮させることができるようになっている。
更に、格納容器3内の圧力が高くなった場合には、格納容器3に接続されている格納容器(ドライウェル)ベント管又は格納容器(ウェットウェル)ベント管から格納容器3内の蒸気を排出し、ベント管の途中に設置されている放射性物質吸着フィルターを通して放射性物質を回収した上で、排気筒からプラント外部の大気中に放出している。但し、図1では、主蒸気逃し安全弁、格納容器(ドライウェル)ベント管、格納容器(ウェットウェル)ベント管、放射性物質吸着フィルター、排気筒等は図示省略してある。
上記した燃料貯蔵プール11は、原子炉建屋10内において、原子炉容器2内の使用済み燃料を燃料貯蔵プール11にアクセスし易いように、格納容器3の上部と同レベルの高さに設置されている。また、原子炉容器2内から燃料貯蔵プール11からアクセスされた使用済み燃料12は、燃料貯蔵プール11の下部に設置されており、通常は、燃料貯蔵プール11内には、使用済み燃料12の集合体の高さ(例えば4m程度)の2倍程度又はそれ以上の水位の燃料プール水14が貯留されている。
また、BWR発電プラントには、燃料貯蔵プール11の燃料プール水14を動的に冷却する冷却水タンク26、ポンプ22、給水路21a及び排水路21b等から成る循環水系21が設けられている。燃料貯蔵プール11は、循環水系21の給水路21a及び排水路21bを介して冷却水タンク26と接続されており、給水路21aの途中に設置されているポンプ22を駆動することによって、給水路21a及び排水路21bを介して燃料貯蔵プール11と冷却水タンク26との間で、燃料プール水14が強制循環されるようになっている。ここで、冷却水タンク26は大きなタンク形状でなく、配管のような形状で冷却系として閉ループを構成していれば燃料プール水14の冷却にはなんら影響はない。
即ち、燃料貯蔵プール11内で使用済み燃料12の崩壊熱を受け取った燃料プール水14は、循環水系21の排水路21bを介して燃料貯蔵プール11から排出されて冷却水タンク26に供給されると共に、水源である冷却水タンク26からの燃料プール水14が、循環水系21の給水路21aを介して燃料貯蔵プール11に流入することで、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14の温度が、所定温度(例えば、40℃程度)に維持されている。
また、燃料貯蔵プール11と水源である冷却水タンク26との間を循環する燃料プール水14は、配管を介して海水ポンプ25によって海から汲み上げられた海水24aと循環水系21の途中(本参考例では、排水路21b)に設けた冷却水熱交換器23で熱交換され、燃料プール水14の熱が海水に移動するようになっている。冷却水熱交換器23で熱を受け取った海水24bは、海に放出される。即ち、海水が、使用済み燃料12の崩壊熱の最終的なヒートシンクとなっている。
尚、燃料貯蔵プール11には、使用済み燃料12が保管される他、定期検査時に原子炉圧力容器2から取り出した使用中の燃料が一時保管される場合もある。
そして、本参考例では、多重安全系を構成するため、長期間の電源喪失時用に、燃料貯蔵プール11への循環水系21が不測の事態によって全電源を失い、燃料貯蔵プール11に冷却水が供給されない状態に陥った場合でも、燃料貯蔵プール11への冷却水の供給が可能となる静的な冷却システムを備えている。
即ち、この静的な冷却システムは、本参考例では、まず、燃料貯蔵プール11の上部に上蓋13を設置して燃料貯蔵プール11を密封すると共に、原子炉建屋10外に凝縮器32を内蔵した復水タンク31を燃料貯蔵プール11より上方に設置し、燃料貯蔵プール11と復水タンク31を蒸気系配管41と復水系配管42で連結して、燃料貯蔵プール11の燃料プール水14の熱を復水タンク31の伝熱管33に搬送するように構成したものである。
上記凝縮器32は、多管式熱交換器から構成されており、凝縮器32の水室34を復水タンク31の外に、凝縮器32の伝熱管33を復水タンク31の内に設置している。水室34は、上下に最低2区分されており、上部室には蒸気が、下部室には凝縮水が溜まるようになっている。
そして、原子炉建屋10内にある密閉された燃料貯蔵プール11に貯蔵されている使用済み燃料12から燃料プール水14に移動した崩壊熱に伴う燃料貯蔵プール11から供給された蒸気系配管41からの蒸気は、水室34の上部室へ供給されて復水タンク31内に内蔵された凝縮器32、即ち伝熱管33の中を流れ、ここで伝熱管33の外にある復水タンク31内の冷却水35と熱交換して凝縮し、復水して水室34の下部室で水となり、復水系配管42から燃料貯蔵プール11へ戻るようになっている。
更に、復水タンク31は、別途設置されている海水循環系36と熱交換され、復水タンク31内へ伝わった熱は、海水に放出される。即ち、復水タンク31内の冷却水35は、配管を介して海水循環ポンプ37によって海から汲み上げられた海水36aと熱交換されて冷却され、復水タンク31内の冷却水35の熱を受け取った海水36bは、海に放出されるようになっている。つまり、海水が使用済み燃料12の崩壊熱の最終的なヒートシンクとなっている点は、上記の循環水系21と同様である。
尚、海水循環系36で海水循環ポンプ37が停止した場合、冷却水35がなくなるため、凝縮器32は空冷式となる。また、図1では、凝縮器32が1本の伝熱管33を設置した場合を例として図示しているが、要求される除熱量によっては、伝熱管33を、適宜複数本に増やして構成する必要がある。
更に、図1では、復水タンク31の容積をコンパクトにできるように、凝縮器32が横置式の例を示しているが、この凝縮器32は、縦置式であってもよい。凝縮器32は、横置式或いは縦置式のどちらであつても、伝熱管33での凝縮熱交換性能は変わらないが、後で述べる非凝縮性ガスを抜く方法が容易な方がよい。
また、本参考例では、燃料貯蔵プール11の上部に上蓋13を設置しているが、この上蓋13を設置することで、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14を密封でき、崩壊熱除去による放射性物質を含んだ発生蒸気を燃料貯蔵プール11内に閉じ込めることができる。燃料貯蔵プール11と復水タンク31を連結している蒸気系配管41及び復水系配管42は、上蓋13を貫通して設置されている。
また、上述した上蓋13は、少なくとも1枚が燃料貯蔵プール11の上部にあればよいし、更に、燃料貯蔵プール11の開口部の大きさに応じて上蓋13を2分割、4分割、6分割、8分割等に分けることで、上蓋13の設置及び取り外し作業を容易にすることができる。この時、燃料貯蔵プール11の密閉は、燃料貯蔵プール11の上部へ上蓋13を載せて、その上蓋13の荷重により金属パッキンのようなものでシールをすることで、より一層密封性が向上する。
尚、燃料を原子炉圧力容器2から燃料貯蔵プール11へ移送する際には、上述した上蓋13を燃料貯蔵プール11の上部から外し、クレーン等で燃料の移動作業を行えばよい。
このような本参考例の構成によれば、燃料貯蔵プール11から蒸気系配管41を介して凝縮器32の水室34の上部室に供給された蒸気、即ち、復水タンク31の冷却水35を使用した凝縮による蒸発潜熱を利用して、使用済み燃料12から燃料プール水14に移動した崩壊熱が、蒸気系配管41によって燃料貯蔵プール11外の凝縮器32の水室34の上部室に搬送されることになる。その後、水室34の上部室に搬送された崩壊熱、つまり蒸気は、復水タンク31内に内蔵された凝縮器32の伝熱管33の中を流れ、この伝熱管33の外にある復水タンク31内の冷却水35と熱交換して凝縮し、復水して水室34の下部室で水となり、復水系配管42から燃料貯蔵プール11へ戻るようになっている。この時、原子炉建屋10の系外にある復水タンク31内の冷却部39の冷却水35は、海水循環系36により海水側へ除熱されている。即ち、使用済み燃料12の崩壊熱が、最終的に海水を介して大気中に放出されることになる。
尚、原子炉建屋10外の復水タンク31の設置場所は必ずしも限定されないが、本参考例では、復水タンク31は、原子炉建屋10の外側の燃料貯蔵プール11よりも上方に設置した場合を例示してある。復水タンク31を、原子炉建屋10の外側の燃料貯蔵プール11よりも上方に設置すると、蒸気が凝縮して冷却水に復水したため、凝縮された水は、循環ポンプ無しの自然循環により、燃料貯蔵プール11内へ戻ることができる。
また、燃料貯蔵プール11と復水タンク31とを連結する蒸気系配管41内の非凝縮性ガスは、ベント配管41cの途中に設置されているベント弁41bを適宜開放して排気するか、図5に示す如く、開閉弁8を全開して真空引き配管7で真空引きすればよい。
ところで、全電源喪失によって循環水系21のポンプ22による燃料プール水14の強制循環が停止するようなことがあっても、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14が沸騰して水位が低下しないように、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14の水温が60℃程度まで上昇したら、復水タンク31内の凝縮器32による崩壊熱除去性能を急速に起動する必要がある。
そこで、凝縮器32内の飽和圧力Pについて、
P≦20kPa ・・・(式1)
という条件を満足するようにする。
通常、凝縮器32内の飽和圧力Pが20kPaの場合に、作動流体は約60℃で沸騰する。この時、燃料プール水14は蒸発潜熱が大きいため、他の冷媒を使用する場合に比べて、有効な作動媒体である。即ち、蒸気を凝縮して復水させることにより冷却能力を確保し、更に自然循環力をも利用できる。
燃料プール水14の水温を60℃で蒸気凝縮を作動させるのは、次の理由による。従来の燃料プール水は、開放のため、ほぼ大気圧であっても、飽和蒸気圧の関係から夏場には60〜70℃で水面上の蒸発現象が始まる。一方、通常運転時は、冷却用循環ポンプで強制的に冷却するため、夏場でも燃料プール水14の水温は、40〜50℃以下に制御される。
以上のことから、使用済み燃料12を保管する燃料貯蔵プール11の水位が低下せずに燃料を安定的に冷却するためには、燃料プール水14の水温を40〜60℃にすることが望ましい。そのため、本参考例における蒸気発生による凝縮現象の上限値を60℃とする。この時の飽和圧力は、20kPaである。
使用済み燃料12は、通常、運転中の熱出力の数%程度の崩壊熱を放出しており、燃料貯蔵プール11の燃料プール水14が、その崩壊熱によって加熱されることになる。燃料プール水14内では、燃料プール水14の水温が約60℃まで上昇すると液体が蒸発し、蒸気流が発生して蒸気系配管41での熱輸送が始まる。そして、その蒸気流が、原子炉建屋10の外部に設置した復水タンク31内の凝縮器32まで供給されると、復水タンク31内の冷却水35との熱交換によって、蒸気流は、例えば30℃程度に冷却される。所謂冷却強化温度Tcが60℃である場合、作動流体が、この冷却強化温度Tcに到達して始めて、凝縮器32の熱輸送能力が発揮される熱的ダイオードとして機能する。
尚、凝縮器32による冷却のスイッチング効果を発揮する上記冷却強化温度Tcは、上記した60℃より低い適当な値に設定しても何ら問題はない。
図2は、本参考例における燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14の水面温度の経時変化を示したものである。
図2において、時刻t=t0で電源が喪失したと仮定する。この時点では、燃料プール水14の水面温度は、まだTw(例えば、40℃程度)に維持されている。時刻t=t0で強制冷却用のポンプ22が停止した場合、凝縮器32を省略した比較例(破線)Aでは、使用済み燃料12の崩壊熱が燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14へ移動し、時刻t=t2で燃料プール水14の水温が、水の大気圧での飽和温度Tb(沸点:100℃)となり、燃料貯蔵プール11内において、燃料プール水14が沸騰して蒸発してしまう。
それに対し、本参考例(実線)Bでは、ポンプ22による強制循環冷却機能が低下しても、時刻t=t1(<t2)で、凝縮器32内の作動流体(水)の沸騰・凝縮現象を生じさせる冷却強化温度Tc(=60℃程度)まで燃料プール水14の水温が上昇すると、凝縮器32による冷却機能が急速に作動し始め、それ以降、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14の水面温度がTc程度に維持される。この時、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14では、自然対流が生じている。
従って、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14の蒸発が抑制され、燃料プール水14の初期(時間t=t0)の水位が維持されるため、燃料貯蔵プール11の十分な水位を確保できると共に、燃料プール水14の温度もTc(=約60℃)程度に維持することができる。
以上のように、本参考例の原子力プラントにおける燃料貯蔵プール11の燃料プール水14は、使用済み燃料12の崩壊熱が、循環水系21を強制循環する冷却水との熱交換の他、燃料貯蔵プール11の外部に設置した復水タンク31内の凝縮器32による熱輸送でも冷却されるようになっている。しかも、この凝縮器32による熱輸送には動力が必要ない。また、作動流体の沸騰・凝縮といった相変化現象を用いているため、この流体の大きな蒸発潜熱による熱輸送能力の高さは、例えば作動流体が液体単相流の他の自然循環による放熱手段に比べても際立って良好である。
そのため、万一、全電源喪失により循環水系21のポンプ22が作動不能に陥っても、復水タンク31内の凝縮器32によって、燃料プール水14を自然循環で静的に放熱させることができ、燃料プール水14の蒸発により燃料貯蔵プール11の水位が低下して、使用済み燃料12が水面から露出することを抑制することができる。
これによって、使用済み燃料12の除熱を継続させることができ、燃料プール水14中に保管された使用済み燃料12の安全性及び健全性の向上を図ることができる。
図3は、本発明の原子力プラントの実施例における燃料貯蔵プールを有するBWRを示すものである。実施例における概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図3に示す実施例が、図1の参考例1と相違する点は、燃料貯蔵プール11と復水タンク31内の凝縮器32を連結する蒸気系配管41の間に蒸気タービン43を設置し、この蒸気タービン43に、該蒸気タービン43が駆動することにより起動され、主軸45を介して連結された給水ポンプ44等からなる蒸気駆動式燃料プール冷却ポンプを備えた点である。
即ち、本実施例は、燃料貯蔵プール11内の崩壊熱が蒸気となって蒸気系配管41を介して蒸気タービン43を駆動し主軸45を介して給水ポンプ44を起動するものであるから、燃料貯蔵プール11内の崩壊熱が蒸気となって発生する限り、この蒸気を蒸気系配管41を介して蒸気タービン43に取り込むことができるため、蒸気タービン43と連結された給水ポンプ44は起動し続けことができ、この給水ポンプ44により、凝縮器32で凝縮されて復水し水室34の下部室に溜まった水が、復水系配管42から燃料貯蔵プール11へ供給し続けることができるので、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14の水位が低下することがなくなり、燃料貯蔵プール11内の冷却能力が低下することはない。また、給水ポンプ44は、蒸気タービン43により起動されるので、別途、給水ポンプ44を起動するための電源も必要としない。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、参考例1に比べて、燃料貯蔵プール11と復水タンク31間の蒸気及び液の自然循環駆動能力をさらに高めることができ、長期的に安定した冷却性能を維持することができる。また、復水タンク31の設定値を自由に変えることができる。
図4は、本発明の原子力プラントの実施例における燃料貯蔵プールを有するBWRを示すものである。実施例における概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図4に示す実施例が、図1の参考例1と相違する点は、燃料貯蔵プール11と復水タンク31内の凝縮器32を連結する蒸気系配管41の間に蒸気タービン43を設置し、この蒸気タービン43に、該蒸気タービン43が駆動することにより起動され、主軸45を介して連結された給水ポンプ44及び海水循環ポンプ46からなる蒸気駆動式燃料プール冷却ポンプを備えた点である。
即ち、本実施例は、燃料貯蔵プール11内の崩壊熱が蒸気となって蒸気系配管41を介して蒸気タービン43を駆動し主軸45を介して給水ポンプ44及び海水循環ポンプ46を起動するものであるから、燃料貯蔵プール11内の崩壊熱が蒸気となって発生する限り、この蒸気を蒸気系配管41を介して蒸気タービン43に取り込むことができるため、蒸気タービン43と連結された給水ポンプ44及び海水循環ポンプ46は起動し続けことができ、この給水ポンプ44により、凝縮器32で凝縮されて復水し水室34の下部室に溜まった水が、復水系配管42から燃料貯蔵プール11へ供給し続けることができると共に、復水タンク31内の冷却水35は、海水循環ポンプ46で汲み上げられた海水によって冷却されているので、燃料貯蔵プール11内の燃料プール水14の水位が低下することがなくなり、燃料貯蔵プール11内の冷却能力が低下することはない。また、給水ポンプ44及び海水循環ポンプ46は、蒸気タービン43により起動されるので、別途、給水ポンプ44及び海水循環ポンプ46を起動するための電源も必要としない。
つまり、全電源喪失時に、通常運転時の燃料プール冷却系21が停止しても、電源なしの無動力で燃料貯蔵プール11からの崩壊熱を海水中へ放熱し続ける静的冷却システムを構成している。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、参考例1に比べて、燃料貯蔵プール11と最終的なヒートシンクである海水循環系36間の蒸気及び液の自然循環駆動能力をさらに高めることができ、長期的に安定した冷却性能を維持することができる。
図5は、本発明の原子力プラントの実施例における燃料貯蔵プール11の概略構成を示すものである。実施例における燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図5に示す実施例の燃料貯蔵プール11が参考例1の燃料貯蔵プール11と相違する点は、参考例1では、燃料貯蔵プール11内の使用済み燃料12が、燃料プール水14中に裸の状態で保管されるのに対し、実施例の燃料貯蔵プール11は、使用済み燃料12全体を覆うような収納容器5を備えている点である。
この収納容器5は、上下ともに適切な複数の開口部5aを有しており、使用済み燃料12を完全に密閉してしまうのではなく、地震や災害時に燃料を直接的な機械的損傷から防止するためのものである。
また、実施例では、使用済み燃料12の収納容器5の下部に、使用済み燃料12が万―溶融した場合に、溶融デブリを捕獲するためのコアキャッチャ6を設置している。このコアキャッチャ6は、キャッチャサポート6aにより燃料貯蔵プール11の下端部に固定されている。
これにより、使用済み燃料12全体を収納容器5で覆っているので、燃料貯蔵プール11から使用済み燃料12が露出することがなく、収納容器5の開口部5aで燃料プール水14の上下での自然循環による冷却能力を確保することが可能となる。
また、使用済み燃料12の収納容器5の下部に、コアキャッチャ6を設置しているので、万一、使用済み燃料12が溶融してもコンクリート製の燃料貯蔵プール11に落下することがなく、構造健全性が確保される。
図6は、本発明の原子力プラントの実施例における復水タンク31の概略構成を示すものである。実施例における復水タンク31の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図6に示す実施例の復水タンク31が参考例1の復水タンク31と相違する点は、参考例1では、復水タンク31内の凝縮器32の伝熱管33は、外殻(シェル)に覆われていない裸の状態で冷却水35に接しているのに対し、実施例での凝縮器32は、多管式熱交換器であるのに加えて、凝縮器32の伝熱管33の外側にシェル51を設置すると共に、このシェル51の上下に、それぞれ少なくとも1つ以上の下部開口部52、上部開口部53を備えていることである。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、復水タンク31内の冷却水35は、シェル51の下部開口部52、上部開口部53を利用することで流入上昇流54、流出上昇流55が流れて自然循環され、しかも、複数本の伝熱管33外の流れが加速されて冷却能力が向上する効果を有する。
また、本実施例では、使用済み燃料12の崩壊熱は、積極的な除熱によって放熱されるため、参考例1と比べても更に静的な冷却能力を向上させることができる。
図7は、本発明の原子力プラントの実施例における復水タンク31の概略構成を示すものである。実施例における復水タンク31の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図7に示す実施例の復水タンク31が、参考例1の復水タンク31と相違する点は、復水タンク31にオーバーフローライン56を備えた点である。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、復水タンク31外から開閉弁82を全開して、異常事象発生時に給水配管81から冷却水を供給しても、オーバーフローライン56を介して一定の水位を確保することができるので、使用済み燃料12の崩壊熱を除去するために十分な冷却を続けることが可能になる。
また、本実施例では、使用済み燃料12の崩壊熱は、積極的な除熱によって放熱されるため、参考例1と比べても更に静的な冷却能力を向上させることができる。
図8は、本発明の原子力プラントの実施例における復水タンク31の概略構成を示すものである。実施例における復水タンク31の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図8に示す実施例の復水タンク31が参考例1の復水タンク31と相違する点は、参考例1では、復水タンク31内の凝縮器32の伝熱管33は、フラットな平滑管であるのに対し、実施例の凝縮器32は、伝熱管33の外表面に放熱用フィン57を備えている点である。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、復水タンク31内の冷却水35は、伝熱管33の外表面に放熱用フィン57を備えている分放熱面積を拡大することができ、伝熱管33外部の冷却性能を向上させることができる。
更に、伝熱管33内をコルゲート管やディンプル管のような非平滑管にすれば、凝縮液膜が剥がれ易く、管内での凝縮性能も向上する。
また、本実施例では、使用済み燃料12の崩壊熱は、積極的な除熱によって放熱されるため、参考例1と比べても更に冷却能力を向上させることができる。
図9は、本発明の原子力プラントの実施例における復水タンク31の概略構成を示すものである。実施例における復水タンク31の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図9に示す実施例の復水タンク31が参考例1の復水タンク31と相違する点は、参考例1では、復水タンク31内の凝縮器32の伝熱管33だけ内蔵するのに対し、実施例の凝縮器32は、伝熱管33の上部に送風する送風ファン63を備えている点である。
具体的には、復水タンク31内の水が蒸発して完全に無くなり、燃料貯蔵プール11からの蒸気を凝縮させる冷却方法を、水冷式から空冷式に切り替える状態を想定している。即ち、凝縮器32の伝熱管33の冷却方式を、自然放熱式から送風ファン63による強制空気冷却方式に切り換えた例である。
本実施例では、送風ファン63は、復水タンク31の上部に設置されていて、凝縮器32の伝熱管33に対して上から下に向けて空気を強制的に供給する方式である。送風ファン63は、主軸62を介して電動機61により回転される。この場合、送風ファン63による送風方向は、上向き、下向き、横向きのいずれの場合であっても可能である。
また、本実施例では、凝縮器32の伝熱管33には放熱面積を大きくするために多数の放熱フィン57を設置しているが、送風ファン63によって放熱フィン57を強制冷却することができれば、伝熱管33の伝熱面積を小さくすることができ、放熱フィン57を小型化し、ひいては凝縮器32をコンパクトに構成することができる。
勿論、本実施例は、放熱フィン57の強制冷却機構が付加されてはいるが、参考例1の構成を包含しているため、送風ファン63が駆動しなくても凝縮器32そのものは機能する。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、伝熱管33外部の冷却性能を向上させることができる。
また、本実施例では、送風ファン63を駆動した場合には、使用済み燃料12の崩壊熱は、凝縮器32の放熱効率が向上し、より冷却効果が高まるため、参考例1と比べても更に冷却能力を向上させることができる。
図10は、本発明の原子力プラントの実施例における復水タンク31と燃料貯蔵プール11の配置関係の一例を示すものである。実施例における復水タンク31及び燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図10に示す実施例参考例1と相違する点は、参考例1では、復水タンク31は燃料貯蔵プール11より上方に設置すれば良いが、実施例では、凝縮器32を内蔵した復水タンク31を、タービン建屋70と同一の地上面79に設置されている原子炉建屋10より高い高台72へ設置させた点である。ここで、原子炉建屋10外の高台72とは、原子炉建屋10の頂部より高い高台72である。
具体的には、地震や津波対策用として、非常時にも自然冷却機能が確保されるように、原子炉建屋10の頂部より高い高台72に復水タンク31を設置したものである。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、復水タンク31が原子炉建屋10内の燃料貯蔵プール11より高い場所に設置されているので、自然の重力落下を利用できるため、燃料貯蔵プール11と復水タンク31の自然循環能力がさらに高まる。
参考例2
図11は、本発明の原子力プラントの参考例2における復水タンク31と燃料貯蔵プール11の配置関係の一例を示すものである。参考例2における復水タンク31及び燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、参考例2に関連する構成のみの説明とする。
図11に示す参考例2参考例1と相違する点は、参考例1では、復水タンク31を原子炉建屋10の外に設置しているが、参考例2では、凝縮器32を内蔵した復水タンク31を原子炉建屋10の内で、かつ、燃料貯蔵プール11の上方に設置させた点である。
具体的には、地震や津波対策用として、非常時にも自然の重力落下により自然冷却機能が確保されるように、復水タンク31を原子炉建屋10の内の燃料貯蔵プール11の上方に設置したものである。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、復水タンク31を原子炉建屋10の内の燃料貯蔵プール11の上方に設置しているので、自然の自由落下を利用できるため、燃料貯蔵プール11と復水タンク31の自然循環能力がさらに高まる。
図12は、本発明の原子力プラントの実施例における復水タンク31と燃料貯蔵プール11の配置関係の一例を示すものである。実施例における燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例に関連する構成のみの説明とする。
図12に示す実施例参考例1と相違する点は、凝縮器32を内蔵した復水タンク31として、原子炉建屋10内に設置されている炉内機器保管用プール90を用い、かつ、燃料貯蔵プール11と炉内機器保管用プール90を、ほぼ水平に配置した点である。
即ち、本実施例の炉内機器保管用プール90は、上部に炉内機器(気水分離器、蒸気乾燥器等)を、下部に凝縮器32をそれぞれ設置し、これら両者を区分するための仕切り板91を、両者の間に設置している。更に、本実施例では、燃料貯蔵プール11と炉内機器保管用プール90内の凝縮器32を連結する蒸気系配管41の間に蒸気タービン43を設置し、この蒸気タービン43に、該蒸気タービン43が駆動することにより起動され、主軸45を介して連結された給水ポンプ44等からなる蒸気駆動式燃料プール冷却ポンプを備え、凝縮器32で凝縮された水は、給水ポンプ44により復水系配管42を介して燃料貯蔵プール11へ供給するようになっている。
本実施例は、地震や津波対策用として、非常時用に新たなプールやタンクを設置しないで、既設の炉内機器保管用プール90を有用したものである。
これにより、参考例1と同様な効果が得られることは勿論、燃料貯蔵プール11と復水タンク31の冷却能力がさらに高まる。
図13は、本発明の原子力プラントの実施例10における燃料貯蔵プール11の概略構成を示すものである。実施例10における燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例10に関連する構成のみの説明とする。
図13に示す実施例10参考例1と相違する点は、燃料貯蔵プール11内の気相空間内の水素濃度を検出し、その水素濃度が水素可燃限界濃度を超えない範囲で、燃料貯蔵プール11内の水素ガスを大気中に放出するようにした点である。
即ち、本実施例では、燃料貯蔵プール11内の気相空間内の水素濃度を検出する水素濃度検出器71と、燃料貯蔵プール11の気相空間と原子炉建屋10の外部空間とを接続する水素排出管路74と、この水素排出管路74の流路を開閉する制御弁73とを備え、更に、燃料貯蔵プール11には、該燃料貯蔵プール11の気相空間と接続する検出口72が設けられており、この検出口72が水素濃度検出器71に接続されている。
そして、検出口72を介して水素濃度検出器71により検出される燃料貯蔵プール11内の気相空間の水素濃度を見て、燃料貯蔵プール11内の気相空間の水素濃度が空気中の酸素と反応するための水素可燃限界の濃度以下の範囲であることを条件として、制御弁73に水素濃度検出器71から指令信号を出力することによって制御弁73を開放し、水素排出管路74を介して水素75を排出するものである。
特に図示していないが、水素濃度検出器71の検出信号を基に制御弁73を開閉制御する制御装置を設置してもよい。
このような本実施例によれば、参考例1と同様の効果が得られることは勿論、燃料貯蔵プール11内における水素燃焼の発生を抑制することができ、地震や津波対策用として、非常時にも水素爆発を防止することができる。
図14は、本発明の原子力プラントの実施例11における燃料貯蔵プール11の概略構成を示すものである。実施例11における燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例11に関連する構成のみの説明とする。
図14に示す実施例11参考例1と相違する点は、燃料貯蔵プール11と復水タンク31内の凝縮器32を連結する蒸気系配管41aの間に制御弁73を設置して、燃料貯蔵プール11内の圧力が制限値以上になったら制御弁73を全開放し、凝縮器32内へ蒸気を排出するようにした点である。
即ち、本実施例では、燃料貯蔵プール11内の気相空間の圧力を検出する圧力検出器76と、燃料貯蔵プール11と原子炉建屋10の外部空間とを接続する蒸気系配管41aと、この蒸気系配管41aの流路を開閉する制御弁73とを備え、更に、燃料貯蔵プール11には、該燃料貯蔵プール11内の気相空間と接続する検出口72が設けられており、この検出口72が圧力検出器76に接続されている。
そして、検出口72を介して圧力検出器76により検出される燃料貯蔵プール11内の気相空間の圧力を見て、燃料貯蔵プール11内の気相空間の圧力が20kPa以下の範囲であることを条件として、制御弁73に圧力検出器76から指令信号を出力することによって制御弁73を開放し、蒸気系配管41aを介して蒸気を排出するものである。
特に図示していないが、圧力検出器76の検出信号を基に制御弁73を開閉制御する制御装置を設置してもよい。
このような本実施例によれば、参考例1と同様の効果が得られることは勿論、燃料貯蔵プール11内における水位低下を抑制することができる。
図15は、本発明の原子力プラントの実施例12における燃料貯蔵プール11の概略構成を示すものである。実施例12における燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例12に関連する構成のみの説明とする。
図15に示す実施例12参考例1と相違する点は、燃料貯蔵プール11と復水タンク31内の凝縮器32を連結する蒸気系配管41aの間に制御弁73を設置して、燃料貯蔵プール11内の温度が制限値以上になったら制御弁73を全開放し、凝縮器32内へ蒸気を排出するようにした点である。
即ち、本実施例では、燃料貯蔵プール11内の気相空間の温度を検出する温度検出器77と、燃料貯蔵プール11と原子炉建屋10の外部空間とを接続する蒸気系配管41aと、この蒸気系配管41aの流路を開閉する制御弁73とを備え、更に、燃料貯蔵プール11には、該燃料貯蔵プール11内の気相空間と接続する検出口72が設けられており、この検出口72が温度検出器77に接続されている。
そして、検出口72を介して温度検出器77により検出される燃料貯蔵プール11内の気相空間の温度を見て、燃料貯蔵プール11内の気相空間の温度が60℃以下の範囲であることを条件として、制御弁73に温度検出器77から指令信号を出力することによって制御弁73を開放し、蒸気系配管41aを介して蒸気を排出するものである。
特に図示していないが、温度検出器77の検出信号を基に制御弁73を開閉制御する制御装置を設置してもよい。
このような本実施例によれば、参考例1と同様の効果が得られることは勿論、燃料貯蔵プール11内における水位低下を抑制することができる。
図16は、本発明の原子力プラントの実施例13における燃料貯蔵プール11の概略構成を示すものである。実施例13における燃料貯蔵プール11の概略構成は、参考例1と略同一であり、ここでの詳細説明は省略し、実施例13に関連する構成のみの説明とする。
図16に示す実施例13参考例1と相違する点は、燃料貯蔵プール11と復水タンク31内の凝縮器32を連結する蒸気系配管41aの間に制御弁73を設置して、停電による全電源喪失状態の場合に、燃料貯蔵プール11の燃料プール水14を強制循環冷却するポンプ22が停止したら制御弁73を全開放、凝縮器32内へ蒸気を排出するようにした点である。
即ち、本実施例では、燃料貯蔵プール11内の水位を見て全電源喪失を検出する水位検出器78と、燃料貯蔵プール11と原子炉建屋10の外部空間とを接続する蒸気系配管41aと、この蒸気系配管41aの流路を開閉する制御弁73とを備え、更に、燃料貯蔵プール11には、該燃料貯蔵プール11内の水位の下限値に接続される検出口72が設けられており、この検出口72が水位検出器78に接続されている。
そして、検出口72を介して水位検出器78により検出される燃料貯蔵プール11内の水位が下限値に達しているか否かを見て、該水位検出器78の指示により必要と判断された場合に、全電源喪失状態であることを条件として、制御弁73に水位検出器78から指令信号を出力することによって制御弁73を開放し、蒸気系配管41aを介して蒸気を排出するものである。
特に図示していないが、例えば水位下限値のような水位検出器78の指示を基に制御弁73を開閉制御する制御装置を設置してもよい。
このような本実施例によれば、参考例1と同様の効果が得られることは勿論、燃料貯蔵プール11内における水位低下を抑制することができる。
以上説明した各実施例においては、BWRに本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、BWRに限らず、改良型沸騰水型軽水炉を含めて、核燃料一次貯蔵プールを有するプラントであれば本発明は適用可能である。例えば、加圧水型原子力プラントや高速増殖炉型原子力プラント等の他方式の原子力プラントに本発明を適用した場合においても、BWRに本発明を適用した場合と同様の効果が得られる。
また、各実施の形態は適宜組み合わせ可能であり、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能である。例えば、本実施例では、燃料貯蔵プール11には、循環水系21と凝縮器32を備えた復水タンク31の両方が接続されているが、必ずしも両方燃料貯蔵プール11に接続されている必要はなく、凝縮器32を備えた復水タンク31が接続されていれば、本発明の目的は達成される。
1…炉心、2…原子炉圧力容器、3…格納容器、4…圧力抑制プール、41a…液、5…収納容器、5a…開口部、6…コアキャッチャ、6a…キャッチャサポート、7…真空引き配管、8…開閉弁、10…原子炉建屋、11…燃料貯蔵プール、12…使用済み燃料、13…上蓋、14…燃料プール水、21…循環水系、21a…給水路、21b…排水路、22…ポンプ、23…冷却水熱交換器、24a、24b…海水、25…海水ポンプ、26…冷却水タンク、31…復水タンク、32…凝縮器、33…伝熱管、34…水室、35…冷却水、36…海水循環系、36a、36b…海水、37…海水ポンプ、39…冷却部、41、41a…蒸気系配管、41b…ベント用弁、41c…ベント配管、42…復水系配管、43…蒸気タービン、44、46…給水ポンプ、45、47…主軸、51…シェル、52…下部開口部、53…上部開口部、54…流入上昇流、55…流出上昇流、56…オーバーフローライン、57…放熱用フィン、61…電動機、62… 主軸、63…送風ファン、70… タービン建屋、71…水素濃度検出器、72…検出口、73…制御弁、74…水素排出管路、75…水素排出、76…圧力検出器、77… 温度検出器、78…水位検出器、79…地上面、81…非常時給水配管、82…開閉弁、90…炉内機器保管用プール、91…仕切り板。

Claims (24)

  1. 核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器が格納される格納容器と、使用済み燃料が燃料プール水中に保管される燃料貯蔵プールと、前記原子炉圧力容器、前記格納容器及び前記燃料貯蔵プールが収容される原子炉建屋とを備えた原子力プラントであって、
    前記原子炉建屋外に設置され、冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクと、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を前記凝縮器に搬送する蒸気系配管と、該蒸気系配管の途中に設置され、該蒸気系配管を搬送された蒸気で駆動される蒸気タービンと、前記蒸気系配管で搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水を前記燃料貯蔵プールに供給する復水系配管と、該復水系配管の途中に設置されると共に、前記蒸気タービンで起動されて前記復水系配管を通る水を前記燃料貯蔵プールに送る給水ポンプとを更に備えていることを特徴とする原子力プラント。
  2. 核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器が格納される格納容器と、使用済み燃料が燃料プール水中に保管される燃料貯蔵プールと、前記原子炉圧力容器、前記格納容器及び前記燃料貯蔵プールが収容される原子炉建屋と、前記燃料貯蔵プールと前記原子炉建屋外に設置されている冷却水タンクが配管で接続され、該燃料貯蔵プールの燃料プール水が、前記配管を介して前記燃料貯蔵プールと冷却水タンク間を循環する循環水系とを備えた原子力プラントであって、
    前記原子炉建屋外に設置され、冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクと、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を前記凝縮器に搬送する蒸気系配管と、該蒸気系配管の途中に設置され、該蒸気系配管を搬送された蒸気で駆動される蒸気タービンと、前記蒸気系配管で搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水を前記燃料貯蔵プールに供給する復水系配管と、該復水系配管の途中に設置されると共に、前記蒸気タービンで起動されて前記復水系配管を通る水を前記燃料貯蔵プールに送る給水ポンプとを更に備えていることを特徴とする原子力プラント。
  3. 請求項又はに記載の原子力プラントにおいて、
    前記復水タンクは、その内部の前記冷却水が海水ポンプで汲み上られた海水と熱交換して熱を海水に放出する海水循環系を備え、前記海水ポンプは、前記蒸気タービンで起動されることを特徴とする原子力プラント。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記燃料貯蔵プールの上部に上蓋を設け、該燃料貯蔵プール内の燃料プール水を密閉すると共に、前記蒸気系配管及び復水系配管は前記上蓋を貫通していることを特徴とする原子力プラント。
  5. 請求項に記載の原子力プラントにおいて、
    前記上蓋は複数に分割されていることを特徴とする原子力プラント。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記燃料貯蔵プール室内の飽和圧力を20kPa以下としたことを特徴とする原子力プラント。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記凝縮器は、水室と伝熱管を備えた多管式熱交換器で構成され、前記水室が前記復水タンクの外に、前記伝熱管が複水タンクの内にそれぞれ設置されていることを特徴とする原子力プラント。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記燃料貯蔵プール内に、前記使用済み燃料を覆う容器を設け、該容器は、その上下に少なくとも1つ以上の開口部を有することを特徴とする原子力プラント。
  9. 請求項に記載の原子力プラントにおいて、
    前記容器の下部に、溶融デブリを捕獲するためのコアキャッチャが設置されていることを特徴とする原子力プラント。
  10. 請求項に記載の原子力プラントにおいて、
    前記凝縮器の伝熱管の外側にシェルを設け、該シェルの上下にそれぞれ少なくとも1つ以上の開口部を備えていることを特徴とする原子力プラント。
  11. 請求項1乃至のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記復水タンクにオーバーフローラインが設置され、前記復水タンク外から該復水タンクに冷却水が供給されることを特徴とする原子力プラント。
  12. 請求項1乃至のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記凝縮器の伝熱管の外部に、放熱面積を拡大するための放熱用フィンが設置されていることを特徴とする原子力プラント。
  13. 請求項に記載の原子力プラントにおいて、
    前記上蓋に真空引きラインを備えていることを特徴とする原子力プラント。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記復水タンクは、前記原子炉建屋の頂部より高い位置の高台に設置されていることを特徴とする原子力プラント。
  15. 核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器と、該原子炉圧力容器が格納される格納容器と、使用済み燃料が燃料プール水中に保管される燃料貯蔵プールと、前記原子炉圧力容器、前記格納容器及び前記燃料貯蔵プールが収容される原子炉建屋とを備えた原子力プラントであって、
    前記原子炉建屋内に設置され、既設の炉内機器が保管されていると共に、冷却水中に凝縮器が内蔵されている炉内機器保管用プールと、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を前記凝縮器に搬送する蒸気系配管と、該蒸気系配管で搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水を前記燃料貯蔵プールに供給する復水系配管と、前記蒸気系配管の途中に設置され、該蒸気系配管を搬送された蒸気で駆動される蒸気タービンと、前記復水系配管の途中に設置されると共に、前記蒸気タービンで起動されて前記復水系配管を通る水を前記燃料貯蔵プールに送る給水ポンプとを更に備えていることを特徴とする原子力プラント。
  16. 請求項1乃至15のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記燃料貯蔵プール内の気相空間内の水素濃度を検出する水素濃度検出器と、前記燃料貯蔵プールと前記原子炉建屋外の空間とを接続する水素排出管路と、該水素排出管路の流路を開閉する制御弁とを備え、
    前記水素濃度検出器で検出した前記燃料貯蔵プール内の気相空間の水素濃度が、空気中の酸素と反応するための水素可燃限界の濃度以下の範囲であることを条件として、前記制御弁を開放し、前記水素排出管路を介して前記燃料貯蔵プール内の水素を排出することを特徴とする原子力プラント。
  17. 請求項1乃至15のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記燃料貯蔵プール内の気相空間の圧力を検出する圧力検出器と、前記燃料貯蔵プールと前記原子炉建屋の外部空間とを接続する蒸気系配管と、該蒸気系配管の流路を開閉する制御弁とを備え、
    前記圧力検出器で検出した前記燃料貯蔵プール内の気相空間の圧力が、20kPa以下の範囲であることを条件として、前記制御弁を開放し、前記蒸気系配管を介して前記燃料貯蔵プール内の蒸気を排出することを特徴とする原子力プラント。
  18. 請求項1乃至15のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記燃料貯蔵プール内の気相空間の温度を検出する温度検出器と、前記燃料貯蔵プールと前記原子炉建屋の外部空間とを接続する蒸気系配管と、該蒸気系配管の流路を開閉する制御弁とを備え、
    前記温度検出器で検出した前記燃料貯蔵プール内の気相空間の温度が、60℃以下の範囲であることを条件として、前記制御弁を開放し、前記蒸気系配管を介して前記燃料貯蔵プール内の蒸気を排出することを特徴とする原子力プラント。
  19. 請求項1乃至15のいずれかに記載の原子力プラントにおいて、
    前記燃料貯蔵プール内の水位を検出する水位検出器と、前記燃料貯蔵プールと前記原子炉建屋の外部空間とを接続する蒸気系配管と、該蒸気系配管の流路を開閉する制御弁とを備え、
    前記水位検出器で検出した前記燃料貯蔵プール内の水位が水位下限値以下の範囲であることを条件として、前記制御弁を開放し、前記蒸気系配管を介して前記燃料貯蔵プール内の蒸気を排出することを特徴とする原子力プラント。
  20. 核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器、及び該原子炉圧力容器が格納される格納容器と共に原子炉建屋に収納され、使用済み燃料が保管される燃料貯蔵プール内の燃料プール水が、前記原子炉建屋外に設置されている冷却水タンクと配管を介して循環水系で循環されている該燃料プール水を冷却するに当たって、
    前記燃料プール水を循環させている前記循環水系のポンプが、全電源喪失により作動不良になった状態である場合に、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を、蒸気系配管を介して前記原子炉建屋外に設置されている冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクに搬送し、該搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水となり、該水を復水系配管を介して前記燃料貯蔵プール内に供給して前記燃料プール水を冷却することを特徴とする原子力プラントの燃料プール水冷却方法。
  21. 核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器、及び該原子炉圧力容器が格納される格納容器と共に原子炉建屋に収納され、使用済み燃料が保管される燃料貯蔵プール内の燃料プール水を冷却するに当たって、
    前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を、蒸気系配管の途中に設置されている蒸気タービンに供給して当該蒸気タービンを駆動すると共に、前記蒸気系配管を介して前記原子炉建屋外に設置されている冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクに搬送し、該搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水となり、該水を復水系配管の途中に設置され、かつ、前記蒸気タービンで起動される給水ポンプで前記復水系配管を介して前記燃料貯蔵プール内に供給して前記燃料プール水を冷却することを特徴とする原子力プラントの燃料プール水冷却方法。
  22. 核燃料を含む炉心が内包される原子炉圧力容器、及び該原子炉圧力容器が格納される格納容器と共に原子炉建屋に収納され、使用済み燃料が保管される燃料貯蔵プール内の燃料プール水が、前記原子炉建屋外に設置されている冷却水タンクと配管を介して循環水系で循環されている該燃料プール水を冷却するに当たって、
    前記循環水系が作動不良に陥った場合に、前記燃料貯蔵プールで蒸発した蒸気を、蒸気系配管の途中に設置されている蒸気タービンに供給して当該蒸気タービンを駆動すると共に、前記蒸気系配管を介して前記原子炉建屋外に設置されている冷却水中に凝縮器が内蔵されている復水タンクに搬送し、該搬送された蒸気が前記凝縮器で凝縮されて復水した水となり、該水を復水系配管の途中に設置され、かつ、前記蒸気タービンで起動される給水ポンプで前記復水系配管を介して前記燃料貯蔵プール内に供給して前記燃料プール水を冷却することを特徴とする原子力プラントの燃料プール水冷却方法。
  23. 請求項21又は22に記載の原子力プラントの燃料プール水冷却方法において、
    前記復水タンクは、その内部の前記冷却水が海水ポンプで汲み上がられた海水と熱交換して熱を海水に放出する海水循環系を備え、前記海水循環系の海水ポンプは、該海水循環系が作動不良に陥った場合に、前記蒸気タービンで起動されることを特徴とする原子力プラントの燃料プール水冷却方法。
  24. 請求項22又は23に記載の原子力プラントの燃料プール水冷却方法において、
    前記循環水系が作動不良に陥った場合とは、前記燃料プール水を循環させている前記循環水系のポンプが、全電源喪失により作動不良になった状態であり、かつ、前記海水循環系が作動不良に陥った場合とは、前記海水ポンプが全電源喪失により作動不良になった状態であることを特徴とする原子力プラントの燃料プール水冷却方法。
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