JP5543115B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のポリマーを含有する毛髪化粧料に関する。
毛髪化粧料において、ヘアスタイルのセット保持力を高めるためには、セット用ポリマーや油剤の配合量を増加させるのが一般的である。しかし、セット用ポリマーの配合量を単純に増やすと、整髪した頭髪が硬く、ごわつく原因となる。またセット用ポリマーを配合した毛髪化粧料では、整髪した後、ヘアスタイルが一度崩れると再整髪できないのが一般的である。一方、油剤を配合した毛髪化粧料の場合は、ヘアスタイルが崩れた後に再整髪することは可能であるが、セット保持力はセット用ポリマーに比べて極めて低く、セット保持力を上げるために油剤量を増やすと、整髪した頭髪がべたつく原因となる。
そこで、特定のセット用ポリマーを用いることにより、再整髪を可能にした毛髪化粧料が提案されている(例えば特許文献1)。しかし、このような再整髪可能なセット用ポリマーであっても、十分なセット保持力を有するものを用いるとべたつきの原因となる一方、べたつきの少ないものを用いると十分なセット保持力が得られず、両方の性能を両立させることは困難である。
また、自らのポリマー同士は粘着するが、他の物に対する粘着性は低い(以下、「自己選択粘着性」という)特定のポリマーを用いた、再整髪可能で、十分なセット保持力を有し、かつべたつきの少ない毛髪化粧料が提案されている(例えば特許文献2)。しかし、このポリマーは特定の溶媒でなければ溶解せず、水や低級アルコールといった汎用の溶媒に溶解させて毛髪化粧料を調製するには制限があり、また取り扱いの際に粘着剤が指などに付着した場合においても、洗い落とすことが困難であるという問題があった。
特表2001-507368号公報 特開2008-162945号公報
従って、十分なセット保持力を有し、再整髪可能で、しかも汎用の溶媒を用いることができる毛髪化粧料が求められていた。
本発明者らは、アルキレンオキシ鎖を有する特定のポリカーボネート構造を構成単位とするポリエーテルポリカーボネートと、アニオン性ポリマーとを併用することにより、上記要件を満たす毛髪化粧料が得られることを見出した。
本発明は、次の成分(A)及び(B)を含有する毛髪化粧料を提供するものである。
(A) 一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテルポリカーボネート
Figure 0005543115
〔式中、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは平均値で5〜1000の数を示し、pは平均値で5〜100の数を示し、(n×p)個のAOは同一でも異なってもよい。〕
(B) アニオン性ポリマー
本発明の毛髪化粧料は、ごわつかず、十分なセット保持力を有しながら、べたつきが少なく、しかも再整髪が可能である。また、取り扱いの際に指などに付着した場合においても、容易に洗い落とすことができる。
〔(A) ポリエーテルポリカーボネート〕
本発明で使用するポリエーテルポリカーボネートは、前記一般式(1)で表される構成単位を有する。一般式(1)において、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、(n×p)個のAOは同一でも異なってもよいが、少なくとも2種以上のアルキレンオキシ基からなることが好ましい。また、Aは炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、(n×p)個のAOがエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の組み合わせからなることが更に好ましい。また、(AO)nが異なるアルキレンオキシ基からなる場合、これらはブロック構造でも、ランダム構造でもよいが、ランダム構造であるのがより好ましい。
一般式(1)において、nは、アルキレンオキシ基の平均付加モル数を示す5〜1000の数であり、10〜500の数が好ましい。pは[(AO)nCOO]基の平均繰り返し数を示す5〜100の数であり、5〜50の数が好ましい。
ポリエーテルポリカーボネートは、下記(イ)又は(ロ)に示す方法により製造することができ、(イ)の方法が好ましい。
(イ)炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する工程を有する方法。
(ロ)ホスゲンとポリエーテルジオールを反応させる工程を有する方法。
(イ)の方法において、ポリエーテルポリカーボネートの製造に用いられる炭酸エステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられ、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニルが好ましい。
ポリエーテルポリカーボネートの製造に用いられるポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体が好ましく、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合により得られるランダム共重合体がより好ましい。ポリエーテルジオールとして市販品を用いることもでき、例えばアデカポリエーテルPR-3005、3007、PR-5007(株式会社ADEKA製)等が挙げられる。
本発明に用いられるポリエーテルジオールの数平均分子量は、水やアルコールへの良好な溶解性を得る観点から、200〜50,000が好ましく、400〜20,000がより好ましい。
ポリエーテルポリカーボネートの製造に際しては、ポリエーテルジオール以外に、他のポリオールを共存させてもよい。他のポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、テトラメチレングリコール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等の芳香族基含有ジオール等が挙げられる。
炭酸エステルとポリエーテルジオールとのエステル交換の際に、他のポリオールとして、上記のグリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物等を共存させた場合には、得られるポリエーテルポリカーボネート中にはこれら他のポリオールから導かれる構造部分が含まれることになる。この場合、そのような構造部分は、前述の(AO)nと同様に、ブロック構造でも、ランダム構造でもよい。
全ポリオールに対するポリエーテルジオールの割合は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する際の炭酸エステルとポリエーテルジオールとの反応モル比は、1/0.9〜1/1.1が好ましく、1/0.95〜1/1.05がより好ましい。
炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する際には、通常のエステル交換反応触媒が使用できる。このような触媒としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びそれらのアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等が挙げられる。また、亜鉛、アルミニウム、スズ、チタン、鉛、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、マンガン、ジルコニウム等の金属のアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等を用いることもできる。また、トリエチルアミン、イミダゾール等の有機塩基化合物を用いることもできる。これらの触媒の中では、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属のアルコキシド、水素化物、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等、スズ、チタン等の金属のアルコキシド、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等が好ましい。
炭酸エステルとポリエーテルジオールのエステル交換反応における反応温度は、100〜300℃が好ましく、120〜250℃がより好ましく、120〜200℃が更に好ましい。反応圧力は常圧でもよいが、減圧下が好ましい。
エステル交換反応は、炭酸エステルとポリエーテルジオールと触媒を仕込み、上記温度で攪拌し、炭酸エステルから脱離するアルコールを反応系外へ除去することが望ましい。常圧の場合、窒素などの不活性気体を流通させることで脱離アルコールを効果的に除去することができる。減圧の場合、揮発する脱離アルコールを容易に系外に除去することができる。
エステル交換により得られた生成物は、低分子量成分を除く精製工程に付することが好ましい。低分子量成分を除くことにより、他着力(他のものに対する粘着力)を低下させることができ、べたつき性の少ないより優れた毛髪化粧料を得ることができる。
低分子量成分の除去は、例えば溶媒精製により行うことができる。より具体的には、エステル交換反応により得られた生成物を水溶性溶媒に溶解し、疎水性溶媒を添加することで低分子量成分の少ないポリエーテルポリカーボネートを析出させることができる。
水溶性溶媒としては、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン等が例示され、エタノールが好ましい。疎水性溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒が例示され、ヘキサンが好ましい。水溶性溶媒に対する疎水性溶媒の添加量を調節することにより、求める分子量分布のポリエーテルポリカーボネートを得ることができる。水溶性溶媒に対する疎水性溶媒の添加量は、0.1〜50容量倍が好ましく、0.5〜10容量倍がより好ましい。
本発明で用いる成分(A)のポリエーテルポリカーボネートは、成分(B)のアニオン性ポリマーとの併用によって、幅広い分子量範囲で良好な自己選択粘着性を発揮し、高いセット保持性、再整髪性を有する。ポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量は、良好な自己選択粘着性の観点から、5万以上が好ましく、7万以上がより好ましく、10万以上が更に好ましい。また、毛髪化粧料への配合のしやすさ、洗髪時の洗浄性等の観点から、100万以下が好ましく、70万以下がより好ましく、50万以下が更に好ましい。
なお、ポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量及び前述のポリエーテルジオールの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値をいうものとする。より具体的には、GPC装置として、商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社)を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPCの測定条件で求めるものとする。
<平均分子量の測定方法>
・サンプル濃度:0.25質量%(クロロホルム溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:クロロホルム
・流速:1.0mL/min
・測定温度:40℃
・カラム:商品名「K-G」(1本)+商品名「K-804L」(2本)(以上、Shodex社)
・検出器:示差屈折計(GPC装置 商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社)に付属)
・ポリスチレン標準サンプル:「TSKstandard POLYSTYRENE F-10」(分子量10.2万)、F-1(1.02万)、A-1000(870)(以上、東ソー社)、及び「POLYSTYRENE STANDARD」(分子量90万、3万;西尾工業社)
ポリエーテルポリカーボネートの自己選択粘着性を、以下に示す測定方法により求められる物性値として表した場合、同じ測定対象ポリマー同士の粘着性を示す物性値を「自着力」、測定対象ポリマーとこれ以外の他者との粘着性を示す物性値を「他着力」としたとき、他着力/自着力の相対比が0.7以下であることが望ましく、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.3以下である。また、自着力が200gf以上の範囲にあることが望ましい。更に好ましくは自着力が200gf以上であって、他着力が140gf以下、より好ましくは120gf以下、更に好ましくは100gf以下である。
<粘着性(他着力及び自着力)の測定方法>
測定対象ポリマーの20質量%トルエン溶液を調製し、PET製シート上に、バーコーターで溶液の厚さ500μmにキャストし、60℃12時間加熱後、25℃50%RHで1日放置する。タッキングテスター(レスカ社,TACIIUC-2006)を用い、上記シートと、タッキングテスターのプローブに取り付けた各種材料との粘着力を測定する。
測定条件は、プローブ降下速度600mm/sec、プローブ押し付け荷重200gf、押し付け時間0.5secとした。プローブ先端に、圧子面積8mm2のポリプロピレン製円板(エンジニアリングテストサービス社のテストピース:三菱化学ノーブレンNH-8)を取り付けて粘着力を測定し、得られた値を「他着力」とした。一方、測定対象ポリマーを前述と同様に、溶液に溶かし、キャストして乾燥したものを、圧子面積8mm2のPET製円板とし、これをプローブ先端に取り付けて粘着力を測定し、得られた値を「自着力」とした。
毛髪化粧料に用いるポリエーテルポリカーボネートが、上記の自己選択粘着性を備える場合、室温において、粘着力がほとんど無いか、又は低くありながら、粘着部位同士が接着すると非常に強い粘着及び再接着が可能な粘着剤組成物をヘアケア剤に応用することで従来のセット素材ではできなかった手へのべたつきのない強いセット保持を実現するセット剤の処方が可能となる。
また、より高いセット性や再セット性を得るためには、毛髪と粘着剤の間の接着性が高く保持される必要がある。例えば、ヘアスプレー製剤などでは、毛髪に塗布した際、ポリマーは溶剤によって可塑化された状態で毛髪上に付着し、被着体である毛髪表面に濡れ広がり、細かい凹凸にも入り込むことによって、その後の溶剤揮発による乾燥過程でポリマーが毛髪上に固定接着を促進させることができる。
本発明の毛髪化粧料における成分(A)のポリエーテルポリカーボネートの含有量(エアゾール式の場合は原液中の含有量。以下同じ)は、べたつかず、良好なセット保持力の観点から、0.5〜20質量%、更には1〜15質量%、特に1.5〜10質量%が好ましい。
〔(B):アニオン性ポリマー〕
成分(B)のアニオン性ポリマーとしては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ファーセラン、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガム、トラガントガム、カンテン末、カルボキシメチルセルロース等の天然アニオン性ポリマー;酸性ビニル単量体又はその塩を重合することにより得られるポリマー等の合成のアニオン性ポリマーが挙げられる。ここで、酸性ビニル単量体とは、1分子中に、カルボキシ基、リン酸基等の酸性基と、重合可能なビニル基とを有する化合物であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。合成のアニオン性ポリマーの具体例としては、アクリル酸/エチルアクリレート/N-t-ブチルアクリルアミドコポリマー(BASF社のウルトラホールド8,ウルトラホールド・ストロング等)、オクチルアクリルアミド/アクリル酸コポリマー(ナショナル・スターチ社のアンフォーマーV-42等)、アクリレート/メタクリレート/アクリル酸/メタクリル酸コポリマー(ユニオンカーバイド社のアマホールドDR25等)、アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミドコポリマー(互応化学工業社のプラスサイズL-9540B等)、メチルビニルエーテル/マレイン酸アルキルコポリマー(ISP社のガントレッツES-225,同ES-425,同SP-215等)、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー(ナショナル・スターチ社のレジン28-1310等)、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニルコポリマー(ナショナル・スターチ社のレジン28-2930等)、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニルコポリマー(BASF社のルビセットCAP等)、ビニルアルコール/イタコン酸コポリマー(クラレ社のKM-118等)などのカルボン酸系のアニオン性ポリマー;その他、リン酸基含有モノマーによるホモポリマー(DAP社のポリホスマーM-101、ポリホスマーPE-201、ポリホスマーMH-301等)、リン酸基含有モノマーとアクリル酸エステルとのコポリマー(DAP社のポリホスマーMHB-10等)などのリン酸系のアニオン性ポリマーが挙げられる。
これらのアニオン性ポリマーのうち、アニオン性セットポリマーが好ましく、更にはカルボン酸系のアニオン性セットポリマーが好ましく、なかでも非中和型のものが好ましい。
成分(B)のアニオン性ポリマーは、2種以上を併用することもでき、またその含有量は、他着力/自着力の相対比の値を一層小さくして、べたつきが無く、良好なセット保持性と再整髪性を有する観点から、本発明の毛髪化粧料中の0.5〜20質量%、更には1〜15質量%、特に1.5〜10質量%であるのが好ましい。
成分(A)のポリエーテルポリカーボネートと成分(B)のアニオン性ポリマーとの質量比は、他着力/自着力の相対比を一層小さくして、べたつきが無く、良好なセット保持性と再整髪性を有する観点から、20/80〜80/20が好ましく、更には30/70〜70/30、特に40/60〜60/40が好ましい。
〔媒体〕
溶媒(支持媒体)としては、水、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール等)、ラクトン類等を使用することができ、これらは単独で又は混合して用いることができる。これらのうち、汎用性の観点から、水、エタノールが好ましく、特にエタノールが好ましい。
〔任意成分〕
本発明の毛髪化粧料中には、上記成分のほかに、本発明の効果を妨げない限度内(0.1〜10質量%)で、化粧料用油剤を添加することができる。このような化粧料用油剤としては、ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油等のグリセライド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル酸のエステル類;流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル等のシリコーン誘導体;ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。更にこれらの化粧料用油剤を乳化安定化するために乳化剤を添加することができる。乳化剤としてはアニオン性、両性、カチオン性、非イオン性のいずれの界面活性剤も使用することができる。
更に、本発明の毛髪化粧料には、商品価値を高めるために香料や色素、毛髪化粧料の経日的変質防止のために防腐剤や酸化防止剤を添加することができ、また、更に必要に応じて、グリセリン、プロピレングリコール等の調湿剤、硬化剤、帯電防止剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、有色染料、染料定着剤、噴射剤等を添加することもできる。
〔剤型〕
本発明の毛髪化粧料の剤型としては、特に制限はなく、透明液状、ローション状、乳液状、スプレー状(エアゾール)、ムース(泡状エアゾール)などが可能である。
エアゾール式毛髪化粧料は、以上の毛髪化粧料を噴射剤と共に耐圧容器に充填することにより製造される。噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、炭酸ガス、窒素ガス、これらの混合物等が挙げられる。また、HFC-152a等の代替フロンを使用することもできる。噴射剤の量は、良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るために、原液と噴射剤の質量比で、原液/噴射剤=5/95〜99/1、特に20/80〜95/5の範囲が好ましい。また、耐圧容器内の圧力が良好な噴射特性と良好な粘着特性を得るためには、25℃の温度で0.12〜0.45MPaになるように調整するのが好ましい。
以下の例において、ポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量及び粘着性(他着力及び自着力)は、前述の方法で測定した。なお、実施例20及び21は参考例である。
合成例1
攪拌機、分留コンデンサー及び温度計を取り付けた反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー(数平均分子量5000、水酸基価22.0mgKOH/g、株式会社ADEKA製、商品名アデカポリエーテルPR-5007)500.9g(0.099モル)、炭酸ジフェニル21.25g(0.099モル)及びtert-ブトキシカリウム22mg(0.2ミリモル)を入れた。
反応容器内を攪拌しながら120℃まで昇温し、真空ポンプを用いて減圧吸引を開始した。更に150℃まで昇温し、反応により生成するフェノールを系外へ排出した。そのまま3時間加熱し続けて、ポリエーテルポリカーボネートを得た(以下ポリエーテルポリカーボネート1という)。このポリエーテルポリカーボネート1の重量平均分子量は、50,000であった。
また、得られたポリーテルポリカーボネート1は、自己選択粘着性に優れたものであった。
合成例2
攪拌機、分留コンデンサー及び温度計を取り付けた反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー(数平均分子量5000、水酸基価22.0mgKOH/g、株式会社ADEKA製、商品名アデカポリエーテルPR-5007)500.2g(0.099モル)、炭酸ジフェニル21.22g(0.099モル)及び炭酸カリウム51mg(0.4ミリモル)を入れた。
反応容器内を攪拌しながら120℃まで昇温し、真空ポンプを用いて減圧吸引を開始した。更に150℃まで昇温し、反応により生成するフェノールを系外へ排出した。そのまま26時間加熱し続けて、ポリエーテルポリカーボネートを得た(以下ポリエーテルポリカーボネート2という)。このポリエーテルポリカーボネート2の重量平均分子量は、130,000であった。
また、得られたポリーテルポリカーボネート2は、自己選択粘着性に優れたものであった。
合成例3
攪拌機、分留コンデンサー及び温度計を取り付けた反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー(数平均分子量5000、水酸基価22.0mgKOH/g、株式会社ADEKA製、商品名アデカポリエーテルPR-5007)27.1g(0.005モル)、炭酸ジフェニル1.15g(0.005モル)及び炭酸セシウム4mg(0.01ミリモル)を入れた。
反応容器内を攪拌しながら160℃まで昇温し、そのまま2時間加熱し続けて、反応により生成するフェノールを系外へ排出した。更に真空ポンプを用いて減圧吸引を開始し、180℃まで徐々に温度を上げながら約4時間反応を行って、ポリエーテルポリカーボネートを得た(以下ポリエーテルポリカーボネート3という)。このポリエーテルポリカーボネート3の重量平均分子量は、180,000であった。
また、他着力は106gf、自着力は233gfであり、他着力/自着力は0.45であった。
合成例4
合成例3で得られたポリマー3の10gをエタノール100mLに溶解し、2倍量のヘキサンを添加して振り混ぜ、生じた沈殿物を回収した。この回収したポリマー(以下ポリエーテルポリカーボネート4という)の重量平均分子量は、257,000であった。
また、他着力は25gf、自着力は381gfであり、他着力/自着力は0.07であった。
合成例5
攪拌機、分留コンデンサー及び温度計を取り付けた反応容器に、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー(数平均分子量5000、水酸基価22.0mgKOH/g、株式会社ADEKA製、商品名アデカポリエーテルPR-5007)560.1g(0.11モル)、炭酸ジフェニル23.77g(0.11モル)及びtert-ブトキシカリウムの1M tert-ブタノール溶液(Aldrich社製)0.10mL(tert-ブトキシカリウムとして0.1ミリモル)を入れた。
反応容器内を攪拌しながら120℃まで昇温し、真空ポンプを用いて減圧吸引を開始した。更に160℃まで昇温し、反応により生成するフェノールを系外へ排出した。そのまま3時間加熱し続けて、ポリエーテルポリカーボネートを得た(以下ポリエーテルポリカーボネート5という)。このポリエーテルポリカーボネート5の重量平均分子量は、20,000であった。
また、得られたポリーテルポリカーボネート5は、自己選択粘着性に優れたものであった。
合成例1〜5で得られたポリエーテルポリカーボネート1〜5のそれぞれ7.5gを、密閉可能なガラス容器(透明広口規格瓶、No.13、口内径31.9mm×胴径58.0mm×高さ115.0mm)に取り、エタノールを加え全量を100gとし、室温(25℃)においてマグネットスターラー(長さ30mm×直径8mm)で24時間撹拌(800r/m)した。その後、24時間静置し、溶液中の固形分の有無を評価基準としてエタノールへの溶解性を評価した。その結果、ポリエーテルポリカーボネート1〜5はすべてエタノールに溶解した。
合成例6
滴下ロート、攪拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管のついた反応器に、アクリル酸67g、ステアリルアクリレート33g及び重合溶媒イソプロピルアルコール67gからなる混合液の1/10量を仕込み、該混合液の残りと、開始剤V-65(和光純薬社製)0.5gを、それぞれ滴下ロートを用いて75℃にて2.5時間で滴下した。滴下終了後1時間熟成した後、開始剤V-65 0.2gを30分毎に3回添加した。その後、反応温度を80℃に昇温し、1時間経た後、反応を終了した。細孔径500Åのアルミナ製のセラミック膜精製器を用いて、反応物から未反応モノマー及び開始剤残渣を除去し、乾燥して、アニオン性両親媒性高分子を得た(以下アニオン性ポリマー3という)。得られたアニオン性ポリマー3の重量平均分子量は3.5万であった。得られたアニオン性ポリマー3中のアクリル酸構成単位の含有率は67質量%であり、ステアリルアクリレート構成単位の含有率は33質量%であった。
実施例1〜21及び比較例1
合成例1〜5で得られたポリエーテルポリカーボネート1〜5、及びアニオン性ポリマー1〜4を用いて、表1及び2に示す処方のポンプミストを調製した。これらのポンプミストを、以下の評価方法に従い評価した。
得られたポリエーテルポリカーボネート1〜5を含有する実施例1〜21の処方は、自己選択粘着性に優れたものであった。
〔評価方法〕
・指へのべたつき感の評価
長さ10cm、幅2cmの毛束を水で濡らして、タオルドライ後、直径4cmのロッドに巻いて25℃、65%RHの環境下で24時間放置させた。この毛束に各処方の毛髪化粧料をポンプミストにより2g量適用し、25℃、65%RHの環境下で2時間放置して乾燥させ、その後ロッドを外して評価サンプルとした。専門パネラーが、これら評価サンプルの感触について、以下の基準に従い評価した。
◎:べたつき感なし
○:ほとんどべたつき感なし
△:ややべたつき感あり
×:べたつき感あり
・ごわつき感の評価
前述と同様に作製した評価サンプルの感触について、専門パネラーが、以下の基準に従い評価した。
◎:ごわつき感なし
○:ほとんどごわつき感なし
△:ややごわつき感あり
×:ごわつき感あり
・セット力の評価
前述と同様に作製した評価サンプルのセット力について、専門パネラーが以下の基準に従い評価した。
◎:セット力が強い
○:セット力がやや強い
△:セット力がやや弱い
×:セット力が弱い又は無い
・再セット力の評価
前述と同様に作製した評価サンプルに対し、5回クシ通し(デルリンスムーズコーム#802(ストレート);滝川株式会社)をした後、再度、直径4cmのロッドに巻いて25℃、65%RHの環境下で1時間セット固定をさせた。専門パネラーが、この再セットした評価サンプルのセット力について、以下の基準に従い評価した。
◎:再セット力が強い
○:再セット力がやや強い
△:再セット力がやや弱い
×:再セット力が弱い又は無い
・セット保持力の評価
前述と同様に作製した評価サンプルを、25℃、65%RHの環境下で8時間吊り下げておき、カールのセット保持力について、専門パネラーが、以下の基準に従い評価した。
◎:セット保持力が強い
○:セット保持力がやや強い
△:セット保持力がやや弱い
×:セット保持力が弱い又は無い
Figure 0005543115
Figure 0005543115
実施例22
以下に示す組成のヘアクリームを常法により製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例3) 1.0(質量%)
アニオン性ポリマー1 1.0
ポリオキシエチレン(E.O.6)ステアリルエーテル 1.5
ミツロウ 1.0
香料 適量
防腐剤 適量
水 バランス
計 100.0
実施例23
以下に示す組成のヘアリキツドを常法により製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例2) 1.5(質量%)
アニオン性ポリマー2 1.5
プロピレングリコール 2.0
エタノール 45.0
香料 適量
着色料 適量
水 バランス
計 100.0
実施例24
以下に示す組成のヘアコンデイシヨナーを常法により製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例2) 2.0(質量%)
アニオン性ポリマー2 2.0
セチルトリメチルアンモニウムクロライド 0.75
セトステアリルアルコール 1.0
グリセリルモノステアレート 0.5
香料 適量
水 バランス
計 100.0
実施例25
以下に示す組成の泡状整髪剤(ムース)を常法により製造した。
実施例24のヘアコンディショナー 90(質量%)
噴射剤(LPG60質量%、DME40質量%) 10
計 100
実施例26
以下に示す組成のヘアリキツドを常法により製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例3) 2.5(質量%)
アニオン性ポリマー1 2.5
プロピレングリコール 3.0
エタノール 40.0
香料 適量
水 バランス
計 100.0
実施例27
以下に示す組成の原液を噴射剤(LPG40%、DME60%)と原液/噴射剤=50/50の割合で耐圧容器に充填し、霧状整髪剤(スプレー)を製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例3) 3.75(質量%)
アニオン性ポリマー1 3.75
香料 適量
エタノール バランス
計 100.0
実施例28
以下に示す組成の原液を噴射剤(LPG60%、DME40%)と原液/噴射剤=50/50の割合で耐圧容器に充填し、霧状整髪剤(スプレー)を製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例3) 3.75(質量%)
アニオン性ポリマー2 3.75
香料 適量
エタノール バランス
計 100.0
実施例29
以下に示す組成の原液を噴射剤(LPG40%、DME60%)と原液/噴射剤=50/50の割合で耐圧容器に充填し、霧状整髪剤(スプレー)を製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例3) 3.75(質量%)
アニオン性ポリマー1 1.88
香料 適量
エタノール バランス
計 100.0
実施例30
以下に示す組成のヘアジェルを常法により製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例3) 5.0(質量%)
アニオン性ポリマー1 5.0
カルボキシビニルポリマー(*1) 1.0
濃グリセリン 5.0
トリエタノールアミン液(89質量%) 1.3
エタノール 10.0
香料 適量
水 バランス
計 100.0
*1:カーボポール940
実施例31
以下に示す組成のヘアワックスを常法により製造した。
自己選択粘着性ポリマー(合成例3) 5.0(質量%)
アニオン性ポリマー1 5.0
グリセリン 5.0
カルボマー(*2) 0.1
セタノール 5.0
ステアリン酸グリセリル 5.0
ポリソルベート60 1.0
マイクロクリスタリンワックス 0.5
ミツロウ 0.5
ワセリン 0.5
ジメチコン 2.0
ミリスチン酸オクチルドデシル 0.5
エタノール 5.0
香料 0.05
pH調整剤(水酸化ナトリウム) pH6.5に調整
水 残量
*2:ルーブリゾール社製,カーボポール981
以上の実施例で得られた毛髪化粧料は、選択自着性に優れ毛髪に常用量を適用した場合に、優れた整髪性及び再整髪性を示し、かつ整髪時の髪のごわつき、手へのベタつき等の不快な感触を与えなかった。

Claims (7)

  1. 次の成分(A)及び(B)を含有し、成分(A)と成分(B)との質量比(A)/(B)が20/80〜80/20である整髪用毛髪化粧料。
    (A) 一般式(1)で表される構成単位を有するポリエーテルポリカーボネート
    Figure 0005543115
    〔式中、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは平均値で5〜1000の数を示し、pは平均値で5〜100の数を示し、(n×p)個のAOは同一でも異なってもよい。〕
    (B) アニオン性ポリマー
  2. 成分(A)のポリエーテルポリカーボネートの重量平均分子量が5万〜100万である請求項1記載の毛髪化粧料。
  3. 一般式(1)中の(n×p)個のAOが、少なくとも2種以上のアルキレンオキシ基からなるものである請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
  4. ポリエーテルポリカーボネートが、数平均分子量が200〜50,000のポリエーテルジオールを用いて製造されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
  5. ポリエーテルポリカーボネートが、炭酸エステルとポリエーテルジオールをエステル交換する工程を有する製造方法により製造されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料。
  6. 成分(B)のアニオン性ポリマーの重量平均分子量が1万〜100万である請求項1〜のいずれかに記載の毛髪化粧料。
  7. 成分(B)のアニオン性ポリマーが、非中和型の酸性基を有するものである請求項1〜のいずれかに記載の毛髪化粧料。
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