以下、この発明の実施形態について図面を用いながら説明する。
[第1の実施形態]
図1〜図6は、第1の実施形態に係るトナーカートリッジ(現像剤収容供給装置)を示すものである。図1はその装着対象への非装着時(主に未使用の段階)の状態を示す斜視図、図2は図1の一部を異なる方向から見たときの斜視図、図3はその装着時の状態を示す斜視図、図4は一部を異なる方向から見たときの斜視図、図5は図1のV−V線に沿う断面図、図6は図1のVI−VI線に沿う断面図である。
このトナーカートリッジ1は、例えば、図26に示す現像装置120を有する画像形成装置(装着対象)100のカートリッジ装着部102に対して着脱自在に装着され、その装着された状態において現像装置120で消費される現像剤としてのトナーの量などに応じて新たなトナー(カートリッジ内に収容されているトナー)を必要な量だけ現像装置120に対して補給するために使用されるものである。カートリッジ装着部102は、装着されるトナーカートリッジ1が収容されて装着できる形状及び構造の空間スペースとして形成されている。
図26において符合101は装置本体、140はトナー像を形成するとともに、そのトナー像を図示しない給紙装置から搬送される記録媒体109に転写する電子写真方式等の作像装置、140は記録媒体109に転写されたトナー像を定着する定着装置を示す。作像装置130は、矢印方向に回転する感光体等の像保持体103と、像保持体103を帯電する帯電装置104と、その帯電された像保持体110に画像情報に応じた露光により静電潜像を形成する露光装置106と、その静電潜像をトナーで現像してトナー像とする現像装置120(120aは現像ロール)と、像保持体103上のトナー像を記録媒体109に転写する転写装置107と、転写後の像保持体103に残留するトナー等を除去して清掃する清掃装置108などで構成されている。
トナーカートリッジ1は、外観が四角柱状の形状からなる容器本体10を有している。容器本体10は、図5や図6に示すように、その内部に断面がほぼ四角形状のトナー収容空間(収容室)12が形成されており、その収容空間12内には装着して使用される前の段階から所定の量のトナーTが充填されて収容されている。容器本体10(実際にはトナー収容空間12)における後記の送出口(15)を含む角部の一部は、収容空間12の内壁が後述する回転軸(31)を中心とする円筒周面になるような曲面部11A,11Bとして形成されている。
容器本体10の装着及び使用時に底面側となる1つの角部には、図3、図6等に示すように、収容空間12内のトナーTを供給先に送り出すための送出口15が形成されている。この送出口15は、容器本体10の長手方向(後述する攪拌シートの回転軸31の軸方向)Jにおける一端部側に位置するように形成されている。また、この送出口15は、その送出口15を閉じる位置と開ける位置との間を変位するスライド式の開閉蓋20により開閉されるようになっている。
開閉蓋20は、平板状の本体21における2側辺部に内側方向に対してL字状に曲がるガイド取付け部22が形成されており、そのガイド取付け部22を送出口15の周囲に容器本体10の長手方向に沿って形成されたガイド枠部16に対し外側から嵌め入れて挟むような状態で取り付けられ、これにより長手方向Jに沿ってスライド可能になっている。
この例における開閉蓋20は、容器本体10の長手方向Jの一方の方向J1(ギヤ40が配置される容器本体10の端部10A側から反対側の端部10Bにむかう方向:送出口15を閉じる方向)にスライド移動することにより送出口15を閉じる位置(図1に示される状態)に変位し、その長手方向の他の方向J2(送出口15を開ける方向)にスライド移動することにより送出口15を開ける位置(図3に示される状態)に変位するようになっている。この開閉蓋20は、送出口15を閉じる位置に変位したときに、例えば、ガイド取付け部22に形成された突起(図示せず)がガイド枠部16に形成された凹部17に弾性的に入り込むように構成され(図3)、これにより開閉蓋20がスライドせず制止した状態に保持されるようになっている。
また、開閉蓋20の内面側には、送出口15を閉じる位置に変位した際に、その送出口25との間に不要な隙間ができてトナーが漏れ出るのを防止するためのシール部材24が取り付けられている(図4、図6)。さらに、開閉蓋20の本体21の外側面には突起部25が形成されている。この突起部25は、トナーカートリッジ1の装着時における装着動作により画像形成装置の装着部にある制止突起に接触して制止されることで、開閉蓋20が送出口15を開ける位置に変位させるために使用される。
容器本体10の収容空間12内には、図5や図6に示すように、その長手方向に沿って延びる回転軸31に取り付けられた攪拌シート30が配置されている。図6等に示す矢印方向X(この例では反時計回りの方向になる)は、使用時における回転軸31の回転方向(攪拌シート30の自由端の移動方向にもほぼ相当する)である。
回転軸31は、その一端部31aが回転力を受けるためのギヤ40の軸部41に固定されるとともにそのギヤの軸部41を介して容器本体10の一方の端部10Aに回転可能に軸受けされており、その他端部31bが容器本体10の他方の端部10Bの内側に配置された軸受け板14に回転可能に軸受けされている。ギヤ40は、容器本体10の一端部の側面の外側に露出した状態で取り付けられている。
また、回転軸31は、図6に示すように、その軸端部側から見た場合、収容空間12の断面における本来の中心点(図中に「+」を記して示す。)でなく送出口15に近寄って偏在した位置に存在する状態で配置されている。さらに、この回転軸31には、攪拌シート30を取り付けるための取付けピン33が複数個、軸方向とほぼ直交する方向に突出した状態で形成されているとともに、収容空間12の内壁にむけて突出して延びる複数の攪拌板34が形成されている。
攪拌シート30は、ポリエチレンテレフタレート等の可撓性の合成樹脂フィルム(シート)からなる全体がほぼ長方形状のシートである(図5)。この攪拌シート30は、その一端部側30Aが取付け孔を介して回転軸31の取付けピン33に差し込まれて固定されるように取り付けられており、一方、その一端部とは反対側の自由端部側30Bが回転軸31の回転により収容空間12の内壁に常に接触して湾曲変形した状態になりながら収容空間12内を移動するようになっている。
また、攪拌シート30は、図7や図8に示すように、その自由端部側30Bの長さ(回転軸31の中心からの長さ)Lは、収容空間12内に配置したときの回転軸31の中心31aと収容空間12の内壁(回転軸31の回転周方向における内壁部分)との離間距離Sのうちの最大値(Smax)よりも大きな値(L>Smax)に設定されている。
このため、この攪拌シート30は、回転軸31に取り付けられた後に容器本体10の収容空間12内に設置される前の段階では、ほぼ平板のような形態をなしているものであるが、その設置された後の段階では、その自由端部30Bとなる長辺部(領域)が収容空間12の内壁(回転周方向における内壁部分)に常に接触して湾曲するように変形した形態となる(図6〜図8、図11、図12などを参照)。図7において二点鎖線で示す円Qは、攪拌シート30が湾曲変形しないで回転した場合におけるその自由端部30Bの軌跡を示す。この場合における円Qの半径は自由端部30Bの長さLとなる。また、図中の二点鎖線で示す円Rは、回転軸31の中心31aを中心とする収容空間12の内壁と接する最小の内接円を表すものである。
さらに、攪拌シート30の自由端部30Bには、図5に示すように、複数の切り込み38,39が形成されている。
第一の切り込み38は、攪拌シート30が回転した際に、その自由端部の一部が送出口15を通過するときだけ一時的に送出口15内に入り込むように伸張した状態で通過するようにするため、送出口15の長手方向の幅よりも少し狭い幅でかつ自由端部とほぼ垂直の方向にそってほぼ平行した状態で形成されている。この切り込み38の存在により、その切り込み38で挟まれた自由端部部分30Baが送出口15を通過する際に上記したような伸張動作を繰り返すようになり、その結果、トナーTがその自由端部部分30Baの掻き出し作用を受けて送出口15から効率よく送り出される。
第二の切り込み39A,39Bは、攪拌シート30が回転した際に収容空間12内のトナーTを送出口15側にむけて搬送するような作用を自由端部側に付与するためのものであり、その送り方向に応じて所定の方向に傾斜した状態で形成されている。特にトナーの搬送作用を付与する第二の切り込み39は、本例のように送出口15が容器本体10の長手方向の一端部に片寄った状態で形成される場合に設けると有効であるが、必須のものではない。
このトナーカートリッジ1においては、図1〜図4等に示すように、その非装着時に所定の位置で回転軸31の回転を制止するとともに装着時にその回転の制止状態を解除する制止部材5Aを、容器本体10に取り付けられる前記開閉扉20に一体化した状態で設けている。上記所望の位置とは、例えば、その非装着時に攪拌シート30の湾曲変形が相対的に小さい状態となる位置に停止させておくことを実現できる回転軸31の位置である。
制止部材5Aは、送出口15を閉じる位置にあるときの開閉扉20の内面側に対し、回転軸31に固定されたギヤ40のギヤ歯42に噛み合ってギヤ40の回転運動を制止することができる突起51を設けることで構成されている。この突起50は、開閉扉20のギヤ40と近い側の端部を、開閉扉20が送出口15を閉じた位置にあるときにギヤ40のギヤ歯42と対向する位置に達するまで延長し、その延長した部位の内面側(ギヤ40と対向する面側)にギヤ40の複数のギヤ歯42と噛み合うギヤ歯状の形状からなる複数(例えば7個)の突起として形成されている(図4)。
このような制止部材5Aは、開閉扉20をスライド移動させて送出口15を閉じる位置に変位させると、その突起51がギヤ40に近づいて最終的に任意のギヤ歯42と噛み合った状態に保持され、これによりギヤ40の回転を制止する。この結果、ギヤ40に固定された回転軸31の回転が制止されるので、その回転軸31に取り付けられた搬送シート30も所定の位置に制止されて保持される。
攪拌シート30の湾曲変形が相対的に最小の状態となる位置は、図8に示すように、その攪拌シート30が取り付けられる回転軸31の中心31aと容器本体の収容空間12の内壁との離間距離S(S1,S2,・・・)のうちの最大値(Smax)となる部位に、攪拌シートの自由端30Bが存在するときの位置とする。この例では、断面がほぼ四角形状の収容空間12のうち送出口15から最も離れた位置に存在する1つの角部12aが、離間距離Sの最大値Smaxとなる。ちなみに、この容器本体12の収容空間12における離間距離Sのうち図8に示す離間距離S1〜S7の大小関係は、「S1>S2>S6>S7>S4>S5>S3」である。
制止部材5Aの制止すべきギヤ40(回転軸31)の部位(位置)の特定は、例えば、以下のように行われる。
まず、制止部材5Aが開閉蓋20と一体化されてギヤ40の回転方向Xに対しては固定された状態にあるため、例えば、図9に示すように、その突起51の所定の位置(ギヤ40に付すマーク(目印)との位置合わせをする際に視認することができる位置)に制止基準位置を示すためのマークM1(例えば三角形のマーク)を付す。一方、攪拌シート30が湾曲変形の相対的に小さい状態となる位置にあるときに上記制止基準位置用のマークM1と対向するギヤ歯42を示すギヤ40の部位(胴部)に、シート制止位置を示すマークM2を付しておく。
そして、制止部材5Aによりギヤ40の回転を制止させるときには、次の操作をする。はじめに、ギヤ40を攪拌シート30の回転方向Xに手で回し、そのギヤ40に付されたシート制止位置用のマークM2が制止部材5Aの突起51に付された制止基準位置用のマークM1と対峙する位置でギヤ40の回転を止めた状態に保持する。続いて、この状態において制止部材5Aと一体の開閉扉20を、送出口15を閉じる方向J1にスライド移動させて閉じる位置まで変位させることにより、制止部材5Aの突起51をギヤ40の所定のギヤ歯42に噛み合わせる(図9)。この結果、攪拌シート30は、その湾曲変形が相対的に小さい状態となる位置に保持されることになる(図6、図7)。
このトナーカートリッジ1では、その製造の過程や再利用の過程等において、送出口15を開ける方向J2に開閉扉20をスライド移動して変位させた状態にしておき、その開口した状態にある送出口15を通して所定量のトナーTを容器本体10の収容空間12内に充填して収容する作業を行う。次いで、前述したようにギヤ40をシート制止位置用のマークM2が制止基準位置用のマークM1と対峙する位置まで回転操作した後、開閉扉20を送出口15の閉じる方向J1にスライド移動させることで、制止部材5Aによりギヤ40の回転を所望の位置で制止させる作業を行う。
このトナーカートリッジ1を使用する際には、図26に示すように、そのトナーカートリッジ1を装着対象となる画像形成装置100のカートリッジ装着部102に装着する。
この実施形態のトナーカートリッジ1では、その装着部102に仮装着した後、図10に示すように、その容器本体10を矢印D方向(取り付け方向)に移動させることにより、正式に装着される。すなわち、仮装着の時点において開閉扉20の突起部25が画像形成装置の装着部102にある制止用突起に接触して制止された状態になり、この状態で容器本体10のみが矢印D方向に所定量(少なくとも開閉扉20が送出口15を開ける位置に達するために必要な距離)だけ移動させられる。矢印D方向は、容器本体10の長手方向(回転軸31の軸方向)Jとほぼ平行する方向である。
この容器本体10の矢印D方向への移動により、開閉扉20が容器本体10に対して相対的に矢印J2に変位することとなり、この過程で制止部材5Aの突起51がギヤ40のギヤ歯42との噛み合い状態から開放され、また最終的に送出口15が開口された状態になる(図3、図10)。またこの際、容器本体10にあるギヤ40が、画像形成装置の装着部に設置されている駆動(伝達)ギヤ45と噛み合う(図10)。
装着された後のトナーカートリッジ1は、次のように動作する。
まずトナーカートリッジ1からトナーTを送るべき時期が到来すると、トナーカートリッジ1では、画像形成装置本体側にある駆動(伝達)ギヤ45から回転動力が伝達されてギヤ40が矢印方向Xに回転し始める。これにより、回転軸31が回転して攪拌シート30も矢印方向Xに回転し始める。
この際、攪拌シート30は、前述したように自由端部30Bとなる側が収容空間12の回転周方向における内壁部分に常に接触して湾曲するように変形した形態で移動する(図7、図11、図12などを参照)。このときの攪拌シート30が湾曲変形する度合いは、主に、回転軸30の中心点30aと収容空間12の内壁との離間距離Sの大小に応じて変化する。一般に、その湾曲変形度合いは離間距離Sが大きいほど相対的に小さくなり、離間距離Sが小さいほど相対的に大きくなる。この攪拌シート30の回転により、収容空間15内にあるトナーTが攪拌されるとともに、前記した切り込み38,39によりトナーTが送出口15側にむけて搬送される。
そして、攪拌シート30が、図11に例示するように送出口15に到達する少し手前の位置を通過する頃から、図12に例示するように送出口15を通過し終わるまでの期間において、収容空間12にあるトナーTが攪拌シート30により送出口15から押し出されるようにして送り出され、所定の供給先に供給される。ちなみに、図11に示す攪拌シート30は、図8に示す離間距離S3となる収容空間12の内壁部分をほぼ通過するときの状態を示している。また、図12に示す攪拌シート30は、図8に示す離間距離S5となる収容空間12の内壁部分をほぼ通過するときの状態を示している。
このトナーカートリッジ1は、その非装着の段階では、制止部材5Aによりギヤ40の回転が制止されて回転軸31の回転も制止されているので、その回転軸31に取り付けられている攪拌シート30がその湾曲変形が相対的に小さい状態となる所望の位置に保持されている。このため、その湾曲変形が相対的に大きい状態となる位置に保持されている場合に比べて、非装着段階における攪拌シート30が予定外の状態で湾曲変形して永久歪みになることがほとんどない。
また、本実施形態のトナーカートリッジ1においては、その容器本体10の外部に露出している状態のギヤ40の回転が制止部材5Aにより制止されているので、そのトナーカートリッジ1の取扱い者が非装着時にギヤ40を回転させてしまうことがない。これにより、例えば、そのギヤ40が回転させられることによって、その回転軸31の取付けピン33に取付け孔を差し込むことで取り付けられている攪拌シート30の一部が回転軸31から外れた状態になることがない。この他にも、そのギヤ40が本来の回転方向Xと逆の方向に回転させられることによって、その回転軸31に取り付けられている攪拌シートの自由端部30Bが、本来の移動方向(X)の上流側に位置するように湾曲変形した状態に保持されず、その本来の移動方向(X)の下流側に位置するように湾曲変形した状態になってしまう。
この結果、トナーカートリッジ1を実際に装着して使用する段階においては、攪拌シート30の状態不良に起因した動作不良が発生しにくくなる。例えば、攪拌シート30が予定外の状態に湾曲変形して永久歪みになるという状態不良や、攪拌シート30の一部が回転軸31から外れるという状態不良や、攪拌シート30の自由端部が本来の回転方向の上流側でなく反対側の下流側に位置するように湾曲変形した状態になるという状態不良が原因で、その攪拌シート30によるトナーの攪拌作用や搬送作用が本来意図した条件で発揮されなくなる不具合(動作不良)が発生しにくくなる。
また、トナーカートリッジ1を装着して使用する段階においては、トナーカートリッジ1の装着操作に伴って開閉蓋20が送出口15を開ける位置へ変位するという動作に連動して制止部材5Aが一体となって変位するので、制止部材5Aによるギヤ40の回転を制止する状態が解除される。このため、その装着して使用する際に制止部材5Aの制止状態を解除し忘れることがない。
なお、トナーカートリッジ1をその交換作業等の必要な時期に取り外す際には、まず、その容器本体10を取付け方向Dとは反対の矢印E方向(取り外し方向)に移動させる作業を行い(図10)、その移動させた後のカートリッジ1を画像形成装置100の装着部102から取り外すことになる(図26の二点鎖線で示すカートリッジ1)。
この容器本体10の矢印E方向への移動により、ギヤ40が駆動ギヤ45との噛み合い状態から開放される。その一方で、開閉扉20が容器本体20に対して相対的に矢印方向J1に移動するため、制止部材5Aの突起51がギヤ40の任意のギヤ歯42と噛み合う状態になるとともに、送出口15が開閉蓋20により閉じられた状態になる。
この第1の実施形態では、制止部材5Aにおける突起51について、図13〜図15に示すように、少ない数(この例では2つ)の突起52で構成することもできる。
このような突起52を有する制止部材5Aとした場合は、ギヤ40の回転を制止する際に、その突起52が噛みあわせるギヤ歯42の数が少なくなる(図14、図15)。
また、上記攪拌シート30の湾曲変形が相対的に小さい状態となる位置については、離間距離Sの最大値Smaxとなる部位でなく、例えば、その最大値Smaxとなる部位(収容空間の角部12a)に位置するときの実際の攪拌シート30の湾曲変形の度合いから判断して、湾曲変形の度合いに大差がないときの攪拌シートの自由端30Bが存在するときの位置としても構わない。この例では、例えば、離間距離Sが2番目に大きい距離S2となる部位(収容空間の別の角部12b)に、攪拌シートの自由端30Bが存在するときの位置としても構わない(図8)。
[第2の実施形態]
図16は、第2の実施形態に係るトナーカートリッジを示すものである。
このトナーカートリッジ1は、制止部材5Aを制止部材5Bに変更した以外は第1の実施形態に係るトナーカートリッジとほぼ同じ構成からなるものである。このため、図面等においては第1の実施形態と同じ構成部分に同じ符合を付しており、必要な場合以外はその説明を省略する(以後の実施形態についても同様とする。)。
制止部材5Bは、ギヤ40の胴部の外側表面に形成する制止用凹部43に対し、開閉扉20と一体に設ける制止用突起53を差し込むことにより、ギヤ40(回転軸31)の回転を第1の実施形態の場合と同様の位置で制止させるものである。制止用突起53は、送出口15をスライド移動して開閉する開閉扉20のうちギヤ40と近い側の端部に、ギヤ40の制止用凹部43に届く任意の形状からなる支持部材の先端部に形成される。
ギヤ40に形成される制止用凹部43は、制止部材5B(の制止用突起53)が開閉蓋20に一体で形成されて位置がギヤ40の回転方向に対して固定された状態にあるため、攪拌シート30が湾曲変形の相対的に小さい状態となる位置にあるときに上記制止用突起53と対向することになるギヤ40の胴部位置に形成される。
このトナーカートリッジ1では、その非装着の段階において制止部材5Bによりギヤ40の回転を制止させるときには、次の操作をする。
はじめに、ギヤ40を攪拌シート30の回転方向Xに手で回し、そのギヤ40に設けられた制止用凹部43が制止部材5Bの制止用突起53と対峙する位置でギヤ40の回転を止めた状態に保持する。続いて、この状態において制止部材5Bと一体の開閉扉20を、送出口15を閉じる方向J1にスライド移動させて閉じる位置まで変位させることにより、制止部材5Bの制止用突起53がギヤ40の制止用凹部43に差し込まれる(図16a)。この結果、そのギヤ40が固定された回転軸31の回転も阻止され、これにより、その回転軸31に取り付けられている攪拌シート30は、第1の実施形態の場合と同様に、その湾曲変形が相対的に小さい状態となる所望の位置に保持されることになる(例えば図6、図7等を参照)。
このトナーカートリッジ1を使用する際には、装着対象となる画像形成装置のトナーカートリッジ装着部102にトナーカートリッジ1を装着する。
この実施形態のトナーカートリッジ1では、その装着部102に仮装着した後、図16(a)に示すように、その容器本体10を矢印D方向(取り付け方向)に移動させることにより、正式に装着される。すなわち、仮装着の時点においては第1の実施形態の場合と同様に開閉扉20が突起部25による制止作用を受けることにより制止された状態となり、その状態で容器本体10のみが矢印D方向に所定量だけ移動させられる。
この容器本体10の矢印D方向への移動により、開閉扉20が容器本体10に対して相対的に矢印J2に変位することとなる。この開閉扉20が変位する過程で、制止部材5Bの突起53がギヤ40の制止用凹部43から抜き出されて制止部材5Bによるギヤ40に対する制止状態が開放されることになり、また最終的に送出口15が開口された状態になる(図16aの二点鎖線で開閉扉20及び制止部材5Bの示す状態)。またこの際、ギヤ40が駆動ギヤ45と噛み合う。これにより、トナーカートリッジ1が使用(動作)可能になる。
この第2の実施形態では、図17に示すように、制止用凹部43をギヤ40の胴部の内側表面に形成するとともに、制止部材5Bに代えて制止用凹部43に差し込む制止用突起54を有する制止部材5Cを適用することもできる。
このような突起54を有する制止部材5Cとする場合は、例えば、ギヤ40の胴部の一部が開閉蓋20の存在する容器本体10の周面部分から外側に突出した状態に配置する必要がある(図17b)。また、制止部材5Cにおける突起54は、開閉扉20のうちギヤ40と近い側の端部に、ギヤ40の制止用凹部43にまで届くほぼ真っ直ぐな棒状の支持部材の先端部に形成すればよい。
この制止部材5Cを有するトナーカートリッジ1では、その非装着の段階において制止部材5Cによりギヤ40の回転を制止させるときには、次の操作をする。
はじめに、ギヤ40を攪拌シート30の回転方向Xに回し、そのギヤ40に設けられた制止用凹部43が制止部材5Cの制止用突起54と対峙する位置でギヤ40の回転を止めた状態に保持する。続いて、この状態において制止部材5Cと一体の開閉扉20を、送出口15を閉じる方向J2にスライド移動させて閉じる位置まで変位させることにより、制止部材5Cの制止用突起54がギヤ40の制止用凹部43に差し込まれる(図17の実線で示す状態)。この結果、そのギヤ40が固定された回転軸31の回転も阻止され、これにより、その回転軸31に取り付けられている攪拌シート30は、第1の実施形態の場合と同様に、その湾曲変形が相対的に小さい状態となる所望の位置に保持される。
また、このトナーカートリッジ1を使用する際には、装着対象となる画像形成装置のカートリッジ装着部102にトナーカートリッジ1を装着する。
この実施形態のトナーカートリッジ1は、その装着部102に装着する際に最終的に、その容器本体10を矢印D方向(取り付け方向:この例では軸方向J2と同じ方向となる)に移動させることにより装着される。すなわち、その装着作業においては、第1の実施形態の場合と同様に開閉扉20が突起部25による制止作用を受けることにより制止された状態となり、その状態で容器本体10のみが矢印D方向に所定量だけ移動させられる。
この容器本体10の矢印D方向への移動により、開閉扉20が容器本体10に対して相対的に矢印J1に変位することとなる。この過程で制止部材5Cの突起54がギヤ40の制止用凹部43から抜き出されて制止部材5Cによる制止状態が開放された状態になり、また最終的に送出口15が開口された状態になる(図17の二点鎖線で開閉扉20及び制止部材5Cの示す状態)。またこの際、ギヤ40が駆動ギヤ45と噛み合う。これにより、トナーカートリッジ1は使用(動作)可能になる。
[第3の実施形態]
図18は、第3の実施形態に係るトナーカートリッジを示すものである。
このトナーカートリッジ1は、制止部材5Aを制止部材5Dに変更した以外は第1の実施形態に係るトナーカートリッジとほぼ同じ構成からなるものである。なお、容器本体10の送出口15及び開閉蓋20については、制止部材5Dの適用場所が開閉蓋20の設置位置などに支配されないため便宜上、その図示を省略している。
この制止部材5Dは、回転軸31のギヤ40とこれと対向する容器本体10の間に存在する隙間Hに対し、その制止部材5Dの一部又は全部を楔のようにその隙間H内に差し込んで保持させるように取り付けることにより、ギヤ40(回転軸31)の回転を第1の実施形態の場合と同様の位置で強制的に制止させるものである。制止部材5Dは、差し込むべき隙間Hに差し込んで容易に外れないように保持できる形状であればよい。
このような楔状の制止部材5Dを適用する場合は、その制止部材5Dを差し込むときのギヤ40の回転の制止位置を特定するため、以下のようなマークMを付す。
まず、容器本体10の位置がギヤ40の回転方向に対して固定された状態にあるため、例えば、図18bに示すように、その容器本体10の視認できる適当な位置(ギヤ40と対向する端面部)に、制止基準位置を示すためのマークM3(例えば三角形のマーク)を付す。一方、攪拌シート30が湾曲変形の相対的に小さい状態となる位置にあるときに上記制止基準位置用のマークM3と対向するギヤ40の部位(胴部)に、シート制止位置を示すマークM4を付しておく。
この制止部材5Dを有するトナーカートリッジ1では、その非装着の段階において制止部材5Dによりギヤ40の回転を制止させるときには、次の操作をする。
はじめに、ギヤ40を攪拌シート30の回転方向Xに手で回し、そのギヤ40に付されたシート制止位置用のマークM4が容器本体10に付された制止基準位置用のマークM3と対峙する位置でギヤ40の回転を止めた状態に保持する。続いて、この状態において制止部材5Dを、そのときのギヤ40と容器本体10との間の隙間H部分(差し込む隙間部分は任意に設定される)に差し込んで保持させるように取り付けることにより、ギヤ40の回転を制止させる(図18の実線で示す制止部材5Dの状態を参照)。この結果、そのギヤ40が固定された回転軸31の回転も阻止され、これにより、その回転軸31に取り付けられている攪拌シート30は、第1の実施形態の場合と同様に、その湾曲変形が相対的に小さい状態となる所望の位置に保持される。
このトナーカートリッジ1を使用する際には、制止部材5Dを上記隙間H部分から引き抜いて取り外した後に、その状態のトナーカートリッジ1を装着対象となる画像形成装置のカートリッジ装着部102に装着する。
この際、制止部材5Dが取り外されることにより、ギヤ40が制止部材5Dによる制止状態から開放されて回転可能な状態になる。また、その状態のトナーカートリッジ1を画像形成装置の装着部102に装着することにより、ギヤ40が装着部102にある駆動ギヤ45と噛み合う。これにより、トナーカートリッジ1が使用(動作)可能になる。
なお、制止部材5Dについては、使用時に取り付けたままでは現像剤供給装置の装着対象の画像形成装置への装着時に障害となって当該装着を阻止する部材(所謂メカルニカルキー)として構成してもよい。
このようなメカニカルキーとして機能する部材として構成した場合は、トナーカートリッジ1の使用時に画像形成装置の装着部に装着する際、その制止部材5Dを引き抜いて取り外さなければ、制止部材5Dが装着時の障害物となり、トナーカートリッジ1を画像形成装置に装着できないようにすることができる。これにより、トナーカートリッジ1の使用(装着)時に制止部材5Dの外し忘れを防止することができる。
また、この第3の実施形態では、図19に示すように、ギヤ40の胴部に制止用貫通孔44を形成するとともに、容器本体10にも制止用凹部14を形成し、制止部材5Dに代えて、その制止用貫通孔44を貫いて制止用凹部14に差し込む制止部材5Eを適用することもできる。
このような制止部材5Eを適用する場合は、ギヤ40の胴部の一部が開閉蓋20の存在する容器本体10の周面部分から外側に突出した状態(図17b)に配置する必要がない。また、制止用貫通孔44と制止用凹部14は、例えば、容器本体10のギヤ40がある側の端部(10A)に制止用凹部14を形成しておき、攪拌シート30が湾曲変形の相対的に小さい状態となる位置にあるときに上記制止用凹部14と対向するギヤ40の制止用凹部14と対向する部位(胴部)に制止用貫通孔44を形成する。
この制止部材5Eを有するトナーカートリッジ1では、その非装着の段階において制止部材5Eによりギヤ40の回転を制止させるときには、次の操作をする。
はじめに、ギヤ40を攪拌シート30の回転方向Xに回し、そのギヤ40に設けられた制止用貫通孔44がカートリッジ1の容器本体10に形成された制止用凹部14と対峙する位置でギヤ40の回転を止めた状態に保持する。続いて、この状態において制止部材5Eを、制止用貫通孔44に差し込んで貫通させた後、制止用凹部14まで差し込んで止める(図19の実線で示す状態)。この結果、そのギヤ40が固定された回転軸31の回転も阻止され、これにより、その回転軸31に取り付けられている攪拌シート30は、第1の実施形態の場合と同様に、その湾曲変形が相対的に小さい状態となる所望の位置に保持されることになる。
また、このトナーカートリッジ1を使用する際には、制止部材5Eを上記制止用凹部14及び制止用貫通孔44から引き抜いて取り外した後に、その状態のトナーカートリッジ1を装着対象となる画像形成装置のカートリッジ装着部102に装着する。
この際、制止部材5Eが取り外されることにより、ギヤ40が制止部材5Eによる制止状態から開放されて回転可能な状態になる。また、その状態のトナーカートリッジ1を画像形成装置の装着部102に装着することにより、ギヤ40が装着部にある駆動ギヤ45と噛み合う。これにより、トナーカートリッジ1が使用(動作)可能になる。
なお、この制止部材5Eについても、前記した制止部材5Dの場合と同様に、メカニカルキーとして機能する部材として構成することができる。
[第1〜第3の実施形態の変形例]
第1〜第3の実施形態では、トナーカートリッジ1の容器本体10として断面がほぼ四角形状のトナー収容空間12を形成したものを使用する場合を示したが(図6)、これに限らず、例えば、図20〜図22に示すような断面形状からなるトナー収容空間12を形成した容器本体10を使用することができる。
図20に示す容器本体10は、断面がほぼ円形状のトナー収容空間12Aを形成したものである。この場合、攪拌シート30の回転軸31は、収容空間12Aの断面円形の中心点(+)よりも送出口15のある側に近寄って偏在した位置に存在するよう配置される。また、この回転軸31に固定される攪拌シート30は、その自由端部30B側が回転軸31の回転により収容空間12Aの内壁に常に接触して湾曲変形した状態で回転するような長さのものが使用される。そして、この容器本体10を適用するトナーカートリッジ1の未使用時には、攪拌シート30が、回転軸31の中心31aと収容空間12Aの内壁との離間距離Sのうちの最大値Smaxとなる位置(例えば、回転軸の中心31aから収容空間12Aの中心点+を通過した直線が接触する内壁の位置)にあるときに回転軸31の回転が制止される(図20b)。
図21に示す容器本体10は、断面がほぼ楕円形状のトナー収容空間12Bを形成したものである。この場合、攪拌シート30の回転軸31は、収容空間12Bの断面楕円形の中心点(+)よりも送出口15のある側に近寄って偏在した位置に存在するよう配置される。また、この回転軸31に固定される攪拌シート30は、その自由端部30B側が回転軸31の回転により収容空間12Bの内壁に常に接触して湾曲変形した状態で回転するような長さのものが使用される。そして、この容器本体10を適用するトナーカートリッジ1の未使用時には、攪拌シート30が、回転軸31の中心31aと収容空間12Bの内壁との離間距離Sのうちの最大値Smaxとなる位置(例えば、回転軸の中心31aから収容空間12Bの中心点+を通過した直線が接触する内壁の位置)にあるときに回転軸31の回転が制止される(図21b)。
図22に示す容器本体10は、断面がほぼ卵形状のトナー収容空間12Cを形成したものである。この場合、攪拌シート30の回転軸31は、収容空間12Cの断面卵形のほぼ中心点(+)よりも送出口15のある側に近寄って偏在した位置に存在するよう配置される。また、この回転軸31に固定される攪拌シート30は、その自由端部30B側が回転軸31の回転により収容空間12Cの内壁に常に接触した状態で回転するような長さのものが使用される。そして、この容器本体10を適用するトナーカートリッジ1の未使用時には、攪拌シート30が、回転軸31の中心31aと収容空間12Bの内壁との離間距離Sのうちの最大値Smaxとなる位置(例えば、回転軸の中心31aから収容空間12Cの中心点+を通過した直線が接触する内壁の位置)にあるときに回転軸31の回転が制止される(図22b)。
[第5の実施形態]
図23〜図25は、第5の実施形態に係る現像装置(現像剤収容供給装置)を示すものである。図23はその使用時の状態を示す概略断面図、図24はその未使用時の状態を示す斜視図、図25は図23及び図24の一部を示す概略断面図である。
この現像装置2は、図23や図26に示すように、現像装置を使用する画像形成装置100における装着部位に対して着脱自在に装着され、その装着された状態において感光体等の像保持体3(図26では符合103)に形成される静電潜像に現像剤(トナー)を供給して現像を行うために使用されるものである。図23において符合4は帯電装置(帯電ロールなど)、6は静電潜像を書き込むための露光装置から照射される照射光である。図23等に示す現像装置2は、図26に示す現像装置120に代えて使用するものである。
現像装置2は、図23に示すように、トナーとキャリアを所定の割合で含む現像剤Gを収容する現像剤収容室61と、現像剤収容室61に隣接してその収容室61に供給するためのトナーを収容するトナー補給室65とが形成された筐体(ハウジング)60を有している。
現像剤収容室61には、静電潜像が形成される感光体等の像保持体3と対向する部位が開口した開口部62が形成されているとともに、その開口部62から一部が露出した状態で現像ロール70がその側壁部に回転可能に支持されている。また、現像剤収容室61における現像ロール70の下方となる部位には、現像ロール70の軸方向とほぼ平行する状態で第1攪拌搬送回転体75と第2攪拌回転体76がその側壁部に回転可能に支持されている。第1攪拌搬送回転体75と第2攪拌回転体76は、回転軸の回りに螺旋状に延びる羽根を形成したものである。
現像ロール70は、その一端部に固定された図示しないギヤに図示しないモータからの回転動力が伝達され、そのギヤを介してY方向(この例では時計回りの方向)に回転するようになっている。また、現像ロール70は、その表面にキャリアを磁力で吸着して現像剤Gの磁気ブラシを形成し、そのキャリアに吸着したトナーを像保持体3と対向する現像領域へ搬送する。そして、その現像領域において、現像ロール70上の磁気ブラシのトナーにより、像保持体3に形成される静電潜像を現像して顕像化する。
また、現像剤収容室61は、第1攪拌搬送回転体75と第2攪拌回転体76の間に第1仕切壁63が形成されているととともに、この第1仕切壁63を境にして第1攪拌搬送回転体75が収容される第1攪拌路64Aと第2攪拌回転体76が収容される第2攪拌路64Bとが形成されている。第1攪拌路64Aと第2攪拌路64Bとは、第1仕切壁63の長手方向の両端部が現像収容室61の側壁部に達するまで形成されておらず、両端部において互いにつながった(連続した)状態になっている。これにより、現像剤収容室61内の現像剤Gは、第1攪拌搬送回転体75と第2攪拌回転体76の回転によって、第1攪拌路64Aと第2攪拌路64Bとでそれぞれ攪拌されながら搬送され、2つ攪拌路64A、64Bとの間を一定の方向に循環するように移動させられる。
トナー補給室65は、断面がほぼ四角形状のトナー収容空間として形成されており、この収容空間内には使用前の段階から所定量のトナーTが充填されて収容されている。トナーTの充填は、トナー補給室65の任意の位置に形成する図示しない充填口から行われる。また、トナー補給室65には、その現像ロール70の軸方向とほぼ平行する状態の回転軸81に取り付けられた攪拌シート80が配置されている。回転軸81の一端部には、トナー補給室65の側面の外部においてギヤ85が固定されており、このギヤ85を介して図示しないモータからの回転動力が伝達されて回転軸81が回転するようになっている。
このトナー補給室65と現像剤収容室61との間には、第2仕切壁66と、トナー補給路室67が形成されている。
トナー補給路室67は、第2仕切壁66が下部においてトナー収容室65側に向けて湾曲するように延びて形成された湾曲壁68Aと現像剤収容室61側に向けて湾曲するように延びて形成された湾曲壁68Bと筐体底部とで囲まれて、現像ロール70の回転軸とほぼ平行する方向に延びるトンネル状の空間からなるものである。トナー補給路室67内には、攪拌搬送回転体75,76とほぼ同じ構成の攪拌搬送回転体77が配置されている。
湾曲壁68Aの回転軸81の軸方向に沿う長手方向の一方の端部側には、トナー補給室65とトナー補給路室67とを開通させるトナー送出口69Aが形成されている。また、湾曲壁68Bの回転軸81の軸方向に沿う長手方向の他方の端部側には、トナー補給路室67と現像剤収容室61とを開通させるトナー補給口69Bが形成されている。これにより、トナー補給室65に収容されているトナーTは、攪拌シート80の回転移動により攪拌されながら搬送されてその一部がトナー送出口69Aを通してトナー補給路室67に送り出された後、トナー補給路室67において攪拌搬送回転体77で攪拌されながら搬送されてトナー補給口69Bを通して現像剤収容室61に送りこまれる。
攪拌シート80は、第1の実施形態における攪拌シート30とほぼ同じ構成のものである。この攪拌シート80は、その一端部側80Aが回転軸81の四角柱状の支持部81bの一面に接着手段等により固定されており、その自由端部側80Bが回転軸81の回転によりトナー補給室65の内壁の一部に接触して湾曲変形しながらその収容空間内を移動するようになっている(図23)。
攪拌シート80が湾曲変形しないで回転した場合を想定したときの軌跡の円Qを、図24に二点鎖線で示す。攪拌シート80は、図24に示すように、その自由端部80B(湾曲変形しない回転の軌跡円Q)がトナー補給室65の内壁に接触しないときには、トナーTですべて覆われていない限り、その自由端部80Bもほとんど湾曲変形しない形態に保持される。
また、この攪拌シート80の自由端部80Bには、図25に示すように、第1の実施形態における攪拌シート30の場合(図5)と同様に、攪拌シートにトナーの搬送性能を付与するための複数の切り込み88,89が形成されている。
この現像装置2においては、図24及び図25に示すように、その非装着時に回転軸81の回転を所望の位置で制止するとともに装着時にその回転の制止状態を解除する制止部材5Fを取り付けている。この現像装置における所望の位置については、例えば、回転軸81に取り付けられた攪拌シート80をその湾曲変形が相対的に小さい状態となる位置に存在させることが実現できる位置としている。
攪拌シート80の湾曲変形が相対的に小さい状態となる位置は、図24に示すように、その攪拌シート80の自由端部80bがトナー補給室65の内壁に接触せずかつシート全体がトナーTで埋まっていない位置に存在するときの位置とする。この例では、断面がほぼ四角形状のトナー補給室65の収容空間のうちトナー送出口69Aから最も離れた位置に存在する第1の角部65aが該当することになる。この位置にあるとき、攪拌シート80はほとんど湾曲変形しないほぼ平板状の状態に保持される(図24)。
ちなみに、この例におけるトナー補給室65では、トナー送出口69Aと近く第2仕切壁66と交わる第2の角部65bの位置を、攪拌シート80の湾曲変形が相対的に小さい状態となる位置にすることも可能である。この他、トナー補給室65には、トナーTが存在しないときには理論的に、攪拌シート80の自由端部80bが接触しない第3の角部65が存在するが、この位置は非装着時に攪拌シート80の全体がトナーTで埋まった(覆われた)状態にあり、実際に湾曲変形していないか否かがの確認ができないため、採用しないことが無難である。
また、制止部材5Fは、回転軸81のギヤ85とこれと対向するトナー補給室65(筐体60)の間に存在する隙間Hに対し、その制止部材5Fの一部又は全部を楔のようにその隙間H内に差し込んで保持させ、これによりギヤ85(回転軸81)の回転を第3の実施形態の場合(制止部材5D)と同様の位置で強制的に制止させるものである。制止部材5Fは、差し込むべき隙間Hに差し込んで容易に外れないように保持できる形状であればよい。
このような楔状の制止部材5Fを適用する場合は、その制止部材5Fを差し込むときのギヤ85の回転の制止位置を特定するため、第3の実施形態の場合と同様のマークMを付す(図18bを参照)。
まず、トナー補給室65の視認できる適当な位置(ギヤ85と対向する端面部)に、制止基準位置を示すためのマークM3を付す。一方、攪拌シート80が湾曲変形の相対的に小さい状態となる位置にあるときに上記制止基準位置用のマークM3と対向するギヤ85の部位(胴部)に、シート制止位置を示すマークM4を付しておく。
この制止部材5Fを有する現像装置2では、その非装着の段階において制止部材5Fによりギヤ85の回転を制止させるときには、次の操作をする。
はじめに、ギヤ85を攪拌シート80の回転方向Xに手で回し、そのギヤ85に付されたシート制止位置用のマークM4がトナー補給室65に付された制止基準位置用のマークM3と対峙する位置でギヤ85の回転を止めた状態に保持する。続いて、この状態において制止部材5Fを、そのときのギヤ85とトナー補給室65との間の隙間H部分(差し込む隙間部分は任意に設定される)に差し込んで保持させるように取り付けることにより、ギヤ85の回転を制止させる(図25の二点鎖線で示す制止部材5Fの状態を参照)。この結果、そのギヤ40が固定された回転軸81の回転も阻止され、これにより、その回転軸81に取り付けられている攪拌シート80は、第1(第3)の実施形態の場合と同様に、その湾曲変形が相対的に小さい状態となる所望の位置に保持されることになる(図24)。
この現像装置2を使用する際には、制止部材5Fを上記隙間H部分から引き抜いて取り外した後に、その状態の現像装置2を装着使用対象となる画像形成装置100の装着部に装着する。
この際、制止部材5Fが取り外されることにより、ギヤ85が制止部材5Fによる制止状態から開放されて回転可能な状態になる。また、その状態の現像装置2を画像形成装置の装着部に装着することにより、ギヤ85が装着部にある図示しない駆動ギヤと噛み合う。これにより、現像装置2が使用(動作)可能になる。
この第5の実施形態では、制止部材5Fに代えて、第1の実施形態における制止部材5A(図1、図4など)、第2の実施形態における制止部材5B(図16)や制止部材5C(図17)、第3の実施形態における制止部材5E(図19)などを適用することも可能である。この際、制止部材5A,5B,5Cを適用する場合には、それらの制止部材5を第1の実施形態や第2の実施形態で例示したような開閉扉(20)に一体に設けることに代えて、その制止部材5そのものを開閉扉20と同じように筐体60に対してスライド移動するように取り付けるように構成すればよい。この制止部材の取りつけ構成については、第1〜第3の実施形態における制止部材5A〜5Cにおいても同様に適用可能である。
[他の実施形態]
第1〜第5の実施形態では、制止部材5(5A〜5F)として、攪拌シート30又は80を固定する回転軸31又は81に固定されたギヤ40又は85の回転を制止する場合について例示したが、その回転軸31又は81の回転を直接制止する構造のものを使用することも可能である。
第1〜第5の実施形態では、攪拌シート30又は80を固定するように取り付ける回転軸31又は81として、直線状のものを使用する場合について説明したが、それらに限定されない。その回転軸としては、例えば、回転軸全体がクランク形状に曲げ加工をしてあり、そのクランクの先端部(直線部)に攪拌シートを固定するものを使用してもよい。また、直線状の回転軸に攪拌シートを支持する任意形状の支持部材を一体に設け、その支持部材に攪拌シートを固定するものを使用してもよい。
第5の実施形態では、着脱式の現像装置2について説明したが、その現像装置2に加えて像保持体3や帯電装置6なども一体に設けた着脱式の画像形成ユニット(いわゆるプロセスカートリッジ)として構成して適用することも可能である。
第1〜第5の実施形態に係るトナーカートリッジ1及び現像装置2などは、補給用のトナーTが消費されてほぼ無くなった後に、画像形成装置の装着部から取り外して再生した後に再利用することが可能である。その再生をするに際しては、トナーカートリッジ1の容器本体10又は現像装置2のトナー補給室65にトナーTを再充填する作業工程と、制止部材5(5A〜5F)により攪拌シート30(80)を取り付けた回転軸31(81)の回転やギヤ40(85)の回転を制止させる作業工程を実行する。このトナーの再充填工程と制止部材による制止工程は、通常、この順で行われるが、可能であれば、その逆の順番で行ってもよい。
第1〜第5の実施形態で示す画像形成装置100(図26)は、1色のトナーで構成される単色画像を形成するものに限らず、色の異なる複数のトナーを組み合わせて構成されるカラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。このため、例えば、作像装置130として複数のものを使用するとともに、公知の中間転写方式等を採用する画像形成装置として構成することもできる。
1…トナーカートリッジ(現像剤供給装置)、2…現像装置(現像剤供給装置)、3…5A〜5F…制止部材、10…容器本体(容器部)、15,69A…トナー送出口(送出口)、20…開閉扉(開閉部材)、30,80…攪拌シート、30B,80B…攪拌シートの自由端部、31,81…回転軸(支持材)、T…トナー(現像剤)。