JP5448589B2 - パターン形成方法 - Google Patents

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本発明は、ナノインプリント用硬化性組成物を用いたパターン形成方法に関する。より詳しくは、半導体集積回路、フラットスクリーン、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、光ディスク、高密度メモリーディスク等の磁気記録媒体、回折格子ヤレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ製作のための光学フィルムや偏光素子、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、柱材、液晶配向用のリブ材、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック液晶、等の作製に用いられる光照射を利用した微細パターン形成のためのパターン形成方法に関する。
ナノインプリント法は、光ディスク製作ではよく知られているエンボス技術を発展させ、凹凸のパターンを形成した金型原器(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートと呼ばれる)を、レジストにプレスして力学的に変形させて微細パターンを精密に転写する技術である。モールドを一度作製すれば、ナノ構造等の微細構造が簡単に繰り返して成型できるため経済的であるとともに、有害な廃棄・排出物が少ないナノ加工技術であるため、近年、さまざまな分野への応用が期待されている。
ナノインプリント法には、被加工材料として熱可塑性樹脂を用いる熱インプリント法(例えば、非特許文献1参照)と、光硬化性組成物を用いる光インプリント法(例えば、非特許文献2参照)の2通りの技術が提案されている。熱ナノインプリント法の場合、ガラス転移温度以上に加熱した高分子樹脂にモールドをプレスし、冷却後にモールドを離型することで微細構造を基板上の樹脂に転写するものである。この方法は多様な樹脂材料やガラス材料にも応用可能であるため、様々な方面への応用が期待されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、熱可塑性樹脂を用いて、ナノパターンを安価に形成するナノインプリントの方法が開示されている。
一方、透明モールドや透明基材を通して光を照射し、光ナノインプリント用硬化性組成物を光硬化させる光ナノインプリント法では、モールドのプレス時に転写される材料を加熱する必要がなく室温でのインプリントが可能になる。最近では、この両者の長所を組み合わせたナノキャスティング法や3次元積層構造を作製するリバーサルインプリント法などの新しい展開も報告されている。
このようなナノインプリント法においては、以下のような応用技術が提案されている。
第一の技術としては、成型した形状(パターン)そのものが機能を持ち、様々なナノテクノロジーの要素部品、または、構造部材として応用できる場合である。例としては、各種のマイクロ・ナノ光学要素や高密度の記録媒体、光学フィルム、フラットパネルディスプレイにおける構造部材などが挙げられる。第二の技術は、マイクロ構造とナノ構造との同時一体成型や、簡単な層間位置合わせにより積層構造を構築し、これをμ−TAS(Micro - Total Analysis System)やバイオチップの作製に応用しようとするものである。第3の技術としては、形成されたパターンをマスクとし、エッチング等の方法により基板を加工する用途に利用されるものである。かかる技術では高精度な位置合わせと高集積化とにより、従来のリソグラフィ技術に代わって高密度半導体集積回路の作製や、液晶ディスプレイのトランジスタへの作製、パターンドメディアと呼ばれる次世代ハードディスクの磁性体加工等に応用できる。前記の技術を始め、これらの応用に関するナノインプリント法の実用化への取り組みが近年活発化している。
ナノインプリント法の適用例として、まず、高密度半導体集積回路作製への応用例を説明する。近年、半導体集積回路は微細化、集積化が進んでおり、その微細加工を実現するためのパターン転写技術としてフォトリソグラフィ装置の高精度化が進められてきた。しかし、さらなる微細化要求に対して、微細パターン解像性、装置コスト、スループットの3つを満たすのが困難となってきている。これに対し、微細なパターン形成を低コストで行うための技術としてナノインプリントリソグラフィ(光ナノインプリント法)が提案された。例えば、下記特許文献1および3にはシリコンウエハをスタンパとして用い、25nm以下の微細構造を転写により形成するナノインプリント技術が開示されている。本用途においては数十nmレベルのパターン形成性と基板加工時にマスクとして機能するための高いエッチング耐性とが要求される。
ナノインプリント法の次世代ハードディスクドライブ(HDD)作製への応用例を説明する。HDDは、ヘッドの高性能化とメディアの高性能化とを両輪とし、大容量化と小型化との歴史を歩んできた。HDDは、メディア高性能化という観点においては、面記録密度を高めることで大容量化を達成してきている。しかしながら記録密度を高める際には、磁気ヘッド側面からの、いわゆる磁界広がりが問題となる。磁界広がりはヘッドを小さくしてもある値以下には小さくならないため、結果としてサイドライトと呼ばれる現象が発生してしまう。サイドライトが発生すると、記録時に隣接トラックへの書き込み生じ、既に記録したデータを消してしまう。また、磁界広がりによって、再生時には隣接トラックからの余分な信号を読みこんでしまうなどの現象が発生する。このような問題に対し、トラック間を非磁性材料で充填し、物理的、磁気的に分離することで解決するディスクリートトラックメディアやビットパターンドメディアといった技術が提案されている。これらメディア作製において磁性体あるいは非磁性体パターンを形成する方法としてナノインプリントの応用が提案されている。本用途においても数十nmレベルのパターン形成性と基板加工時にマスクとして機能するための高いエッチング耐性とが要求される。
次に、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)などのフラットディスプレイへのナノインプリント法の応用例について説明する。
LCD基板やPDP基板の大型化や高精細化の動向に伴い、薄膜トランジスタ(TFT)や電極板の製造時に使用する従来のフォトリソグラフィ法に代わる安価なリソグラフィとして光ナノインプリントリ法が、近年注目されている。そのため、従来のフォトリソグラフィ法で用いられるエッチングフォトレジストに代わる光硬化性レジストの開発が必要になってきている。
さらにLCDなどの構造部材としては、下記特許文献4および特許文献5に記載される透明保護膜材料や、あるいは下記特許文献5に記載されるスペーサなどに対する光ナノインプリント法の応用も検討され始めている。このような構造部材用のレジストは、前記エッチングレジストとは異なり、最終的にディスプレイ内に残るため、“永久レジスト”、あるいは“永久膜”と称されることがある。
また、液晶ディスプレイにおけるセルギャップを規定するスペーサも永久膜の一種であり、従来のフォトリソグラフィにおいては、樹脂、光重合性モノマーおよび開始剤からなる光硬化性組成物が一般的に広く用いられてきた(例えば、特許文献6参照)。スペーサは、一般には、カラーフィルタ基板上に、カラーフィルタ形成後、もしくは、前記カラーフィルタ用保護膜形成後、光硬化性組成物を塗布し、フォオトリソグラフィにより10μm〜20μm程度の大きさのパターンを形成し、さらにポストベイクにより加熱硬化して形成される。
さらに、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、回折格子やレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、フラットパネルディスプレイ製作のための光学フィルムや偏光素子、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、柱材、液晶配向用のリブ材、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック液晶などの永久膜形成用途においてもナノインプリントリソグラフィは有用である。
これら永久膜用途においては、形成されたパターンが最終的に製品に残るため、耐熱性、耐光性、耐溶剤性、耐擦傷性、外部圧力に対する高い機械的特性、硬度など主に膜の耐久性や強度に関する性能が要求される。
このように従来フォトリソグラフィ法で形成されていたパターンのほとんどがナノインプリントで形成可能であり、安価に微細パターンが形成できる技術として注目されている。
米国特許第5,772,905号公報 米国特許第5,956,216号公報 米国特許第5,259,926号公報 特開2005−197699号公報 特開2005−301289号公報 特開2004−240241号公報 S.Chouet al.:Appl.Phys.Lett.Vol.67,3114(1995) M.Colbun et al,:Proc.SPIE,Vol. 3676,379 (1999)
フォトリソグラフィ法によるパターン形成においては、得られたパターンのスペース部は基板が露出するのに対し、ナノインプリント法によるパターン形成法においては原理的に、モールド凸部と基板の間に組成物が残存するため、得られたパターンスペース部に残膜が生じる。この残膜の厚みを薄くするために、低沸点成分で希釈した組成物を用い、組成物を基板へ塗布後、加熱して低沸点成分を除去することにより、パターン形成層の膜厚を薄くする手法が用いられるが、低沸点成分で希釈しない場合に比べ、パターン形成性が悪化してしまうという問題があった。また、得られたパターンから残膜を除去するためにエッチングやアッシング等を行うと、パターン線幅が変動してしまうといった問題もあった。
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、パターン形成性に優れ、残膜除去後の線幅が変動しないパターンを提供することを目的とする。
上記課題のもと、発明者は、インプリント用硬化性組成物を低沸点成分で希釈しつつ、パターン形成性を保つことを試みた。そして、驚くべきことに、特定の温度以上の沸点を有する重合性単量体と、特定の沸点以下の低沸点成分を用い、かつ、低い温度で加熱することにより、パターン形成性に優れ、残膜除去後の線幅が変動しないパターンを形成しうることを見出し、完成するに至った。
(1)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分とを
含有するナノインプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程と、
前記パターン形成層の表面にモールドを圧接する工程と、
前記パターン形成層に光を照射する工程と、
を含み、前記パターン形成層を形成する工程が加熱により(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有し、かつ、前記加熱温度が80℃以下であることを特徴とする、パターン形成方法。
(2)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の分子量が200以下である、(1)に記載のパターン形成方法。
(3)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が溶剤である、(1)または(2)に記載のパターン形成方法。
(4)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が重合性単量体である、(1)または(2)に記載のパターン形成方法。
(5)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点が、80℃〜170℃の範囲内である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(6)前記加熱温度が35〜70℃である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(7)前記加熱温度が40〜60℃である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(8)前記(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点の差が50℃以上である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(9)前記(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分を除いたナノインプリント用硬化性組成物の粘度が50mPa・s以下である、(1)〜(8)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(10)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が、25℃における粘度が50mPa・s以下の重合性単量体である、(1)〜(9)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(11)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体が芳香族構造を有する重合性単量体を含有することを特徴とする、(1)〜(10)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(12)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が芳香族構造を有する重合性単量体である、(1)〜(10)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(13)ナノインプリント用硬化性組成物を基材上に設置する方法がスピンコート法であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(14)前記ナノインプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程において、基材上に設置されたナノインプリント用硬化性組成物の加熱後の厚みが1μm以下である、(1)〜(13)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(15)前記加熱時間が、1〜1000秒である、(1)〜(14)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
本発明に用いる組成物を用いれば、良好なパターンであって、かつ、残膜除去時にもパターン寸法変動の小さいパターンを形成することが可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が1,000以下の化合物をいう。なお、本発明でいう“インプリント”は、好ましくは、1nm〜10mmのサイズのパターン転写をいい、より好ましくは、およそ10nm〜100μmのサイズ(ナノインプリント)のパターン転写をいう。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明に用いるインプリント用硬化性組成物(以下、単に「本発明に用いる組成物」と称する場合もある)は、(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(B)光重合開始剤と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分とを含有する。そして、本発明に用いる組成物では、前記(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点の差が50℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは150℃以上である。
(本発明において用いることができる重合性単量体の例)
本発明に用いる組成物は、重合性単量体を含む。本発明で用いる重合性単量体の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えば、エチレン性不飽和結合含有基を1〜6個有する重合性不飽和単量体;オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物);ビニルエーテル化合物;スチレン誘導体;フッ素原子を有する化合物;プロペニルエーテルまたはブテニルエーテル等を挙げることができる。
前記エチレン性不飽和結合含有基を1〜6個有する重合性不飽和単量体(1〜6官能の重合性不飽和単量体)について説明する。
まず、エチレン性不飽和結合含有基を1つ有する重合性不飽和単量体としては具体的に、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリジノン、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシ2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性(以下「EO」という。)クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下「ECH」という)変性フェノキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、p−イソプロペニルフェノール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムが例示される。
前記エチレン性不飽和結合を含有する単官能の重合性単量体の中でも、本発明では単官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが、光硬化性の観点から好ましい。単官能(メタ)アクリレート化合物としては、前記エチレン性不飽和結合を含有する単官能の重合性単量体で例示した中における、単官能(メタ)アクリレート化合物類を例示することができる。
さらに前記単官能(メタ)アクリレート化合物の中でも、芳香族構造および/または脂環式炭化水素構造を有する単官能(メタ)アクリレートがドライエッチング耐性の観点で好ましく、芳香族構造を有する単官能(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
このような芳香族構造および/または脂環式炭化水素構造を有する単官能(メタ)アクリレートの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジル(メタ)アクリレート(好ましい置換基としては炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基)、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートが好ましく、ナフタレン構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物がより好ましく、1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明では、重合性単量体として、エチレン性不飽和結合含有基を2つ以上有する多官能重合性不飽和単量体を用いることも好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるエチレン性不飽和結合含有基を2つ有する2官能重合性不飽和単量体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレンオキシド(以後「PO」という。)変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、o−,m−,p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジアクリレートノルボルナンジメタノールジアクリレートが例示される。
これらの中で特に、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、o−,m−,p−ベンゼンジ(メタ)アクリレート、o−,m−,p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、等の2官能(メタ)アクリレートが本発明に好適に用いられる。
エチレン性不飽和結合含有基を3つ以上有する多官能重合性不飽和単量体の例としては、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中で特に、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の3官能以上の官能(メタ)アクリレートが本発明に好適に用いられる。
前記エチレン性不飽和結合を2つ以上有する多官能の重合性不飽和単量体の中でも、本発明では多官能(メタ)アクリレートを用いることが、光硬化性の観点から好ましい。なお、ここでいう多官能(メタ)アクリレートとは、前記2官能(メタ)アクリレートおよび前記3官能以上の官能(メタ)アクリレートを総称するもののことである。多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、前記エチレン性不飽和結合を2つ有する多官能重合性不飽和単量体で例示した中、および、前記エチレン性不飽和結合を3つ以上有する多官能重合性不飽和単量体で例示した中における、各種多官能(メタ)アクリレートを例示することができる。
前記オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物)としては、例えば、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物およびエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらの化合物は、その一種を単独で使用することもできるし、また、その二種以上を混合して使用することもできる。
本発明に好ましく使用することのできる前記オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物)としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などを例示することができる。
これらの中で特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
グリシジル基含有化合物として好適に使用できる市販品としては、UVR−6216(ユニオンカーバイド社製)、グリシドール、AOEX24、サイクロマーA200、(以上、ダイセル化学工業(株)製)、エピコート828、エピコート812、エピコート1031、エピコート872、エピコートCT508(以上、油化シェル(株)製)、KRM−2400、KRM−2410、KRM−2408、KRM−2490、KRM−2720、KRM−2750(以上、旭電化工業(株)製)などを挙げることができる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、これらのオキシラン環を有する化合物はその製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号公報、特許第2906245号公報、特許第2926262号公報などの文献を参考にして合成できる。
本発明で用いることができる重合性単量体として、ビニルエーテル化合物を併用してもよい。ビニルエーテル化合物は公知のものを適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,1,1−トリス〔4−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕エタン、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテル等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物は、例えば、Stephen.C.Lapin,Polymers Paint Colour Journal.179(4237)、321(1988)に記載されている方法、即ち多価アルコールもしくは多価フェノールとアセチレンとの反応、または多価アルコールもしくは多価フェノールとハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができ、これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明で用いることができる重合性単量体としては、スチレン誘導体も採用できる。スチレン誘導体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、等を挙げることができる。
また、モールドとの剥離性や塗布性を向上させる目的で、フッ素またはシリコン構造を有する重合性単量体を含有していることが好ましい。フッ素またはシリコン構造を有する重合性単量体としてはフッ素またはシリコン構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する化合物、ポリジメチルシロキサン構造を有する(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートなどのシリコン原子を有する(メタ)アクリレートも併用することができる。
本発明で用いることができる重合性単量体としては、プロペニルエーテルおよびブテニルエーテルを用いることもできる。前記プロペニルエーテルまたはブテニルエーテルとしては、例えば1−ドデシル−1−プロペニルエーテル、1−ドデシル−1−ブテニルエーテル、1−ブテノキシメチル−2−ノルボルネン、1−4−ジ(1−ブテノキシ)ブタン、1,10−ジ(1−ブテノキシ)デカン、1,4−ジ(1−ブテノキシメチル)シクロヘキサン、ジエチレングリコールジ(1−ブテニル)エーテル、1,2,3−トリ(1−ブテノキシ)プロパン、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が好適に適用できる。
(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体
本発明では、重合性成分として、常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体を用いる。
本発明における(A)重合性単量体は、常圧における沸点が270℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。
本発明に用いる組成物における(A)重合性単量体の具体例としては、上述した本発明において用いることができる重合性単量体の例で挙げた重合性単量体のうち、常圧における沸点が250℃以上の重合性単量体が例示される。もちろん、上記に例示した重合性単量体に限定されるものではないことは言うまでも無い。さらに、本発明に用いる組成物は、(A)重合性単量体を2種以上含んでいてもよい。
これらの重合性単量体の中でも、(A)重合性単量体としては、(メタ)アクリレート化合物が、組成物粘度、光硬化性の観点から好ましい。本発明では特に、単官能(メタ)アクリレート化合物と多官能(メタ)アクリレート化合物の配合比が、重量比で80/20〜0/100が好ましく、70/30〜0/100がより好ましく、40/60〜0/100であることが好ましい。適切な比率を選択することで、十分な硬化性を有し、且つ組成物が低粘度とすることができる。
前記多官能(メタ)アクリレート化合物において、前記2官能(メタ)アクリレートと前記3官能以上の(メタ)アクリレートの比率は、質量比で100/0〜20/80が好ましく、より好ましくは100/0〜50/50、さらに好ましくは100/0〜70/30である。前記3官能以上の(メタ)アクリレートは前記2官能(メタ)アクリレートよりも粘度が高いため、前記2官能(メタ)アクリレートが多い方が本発明に用いる組成物の粘度を下げられるため好ましい。
(A)重合性単量体成分としては芳香族構造を有する重合性単量体を含有していることがドライエッチング耐性、ドライエッチング後のライエッジラフネスの点で好ましく、芳香族構造を有する重合性単量体を(A)重合性単量体成分中50質量%以上含有していることがより好ましく、芳香族構造を有する重合性単量体を(A)重合性単量体成分中80質量%以上含有していることがさらに好ましい。芳香族構造を有する重合性単量体を用いることにより、ドライエッチング耐性が向上し、ドライエッチング後のライエッジラフネスが改良される。芳香族構造を有する重合性単量体としては芳香族構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。芳香族構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、ナフタレン構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、例えば1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルエチル(メタ)アクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジルアクリレートなどの単官能アクリレート、カテコールジアクリレート、キシリレングリコールジアクリレートなどの2官能アクリレートが特に好ましい。
また、(A)重合性単量体として、(メタ)アクリレートを用いる場合、メタアクリレートよりも、アクリレートの方が好ましい。
本発明に用いる組成物中における(A)重合性単量体の総含有量は、硬化性改善、本発明に用いる組成物の粘度改善の観点から、(C)低沸点成分を除いた全成分中、50〜98.5質量%が好ましく、70〜99質量%がさらに好ましく、90〜99質量%が特に好ましい。
(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の粘度
本発明に用いる組成物は、(A)重合性単量体として、25℃における粘度が50mPa・s以下である重合性単量体を含むことが好ましく、40mPa・s以下であることがより好ましく、30mPa・s以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明に用いる組成物は、上記粘度範囲の(A)重合性単量体を(C)低沸点成分を除く全重合性単量体に対し50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。このような構成とすることにより、パターン形成性が向上するという効果が得られる。
尚、本願明細書における粘度は、特に述べない限り、東機産業(株)社製のRE−80L型回転粘度計を用い、25±0.2℃で測定した値をいう。
本発明に用いる組成物は、(A)重合性単量体成分に関し、より好ましくは25℃における粘度が3〜100mPa・sである重合性単量体の含有量が(C)低沸点成分を除く全重合性単量体に対し80質量%以上であることが好ましく、3〜70mPa・sの重合性単量体が80質量%以上であることがより好ましく、7〜50mPa・sの重合性単量体が80質量%以上であることが特に好ましく、8〜30mPa・sの重合性単量体が80質量%以上であることが最も好ましい。
本発明に用いる組成物に含有される(C)低沸点成分を除いた組成物の25℃における粘度は5〜50mPa・sが好ましく、より好ましくは6〜40mPa・s、さらに好ましくは7〜30mPa・s、最も好ましくは8〜25mPa・sである。(C)低沸点成分を除いた組成物の粘度を5〜50mPa・sにすることでモールド充填性がより向上し、インプリント時のモールドの圧着圧力が低くても矩形なパターンプロファイルが得られやすくなる。本発明の方法は低粘度な重合性単量体を用いた際に特に効果が顕著である。
本発明に用いる組成物に含まれる(A)重合性単量体は、25℃において液体である重合性単量体が全重合性単量体中50質量%以上であることが経時安定性の観点で好ましい。
(B)光重合開始剤
本発明に用いる組成物は、光重合開始剤を含む。本発明に用いられる光重合開始剤は、光照射により上述の(A)重合性単量体を重合する活性種を発生する化合物であればいずれのものでも用いることができる。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
本発明に用いられる光重合開始剤の含有量は、(C)低沸点成分を除く全組成物中、例えば、0.01〜15質量%であり、好ましくは0.1〜12質量%であり、さらに好ましくは0.2〜7質量%である。2種類以上の光重合開始剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
光重合開始剤の含有量が0.01質量%以上であると、感度(速硬化性)、解像性、ラインエッジラフネス性、塗膜強度が向上する傾向にあり好ましい。一方、光重合開始剤の含有量を15質量%以下とすると、光透過性、着色性、取り扱い性などが向上する傾向にあり、好ましい。染料および/または顔料を含む系では、これらがラジカルトラップ剤として働くことがあり、光重合性、感度に影響を及ぼす。その点を考慮して、これらの用途では、光重合開始剤の添加量が最適化される。一方で、本発明に用いられる組成物では、染料および/または顔料は必須成分でなく、光重合開始剤の最適範囲がインクジェット用組成物や液晶ディスプレイカラーフィルタ用組成物等の分野のものとは異なる場合がある。
本発明で使用されるラジカル光重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド系化合物、オキシムエステル系化合物が硬化感度、吸収特性の観点から好ましい。光重合開始剤は例えば市販されている開始剤を用いることができる。これらの例としてはCiba社から入手可能なIrgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン)、Irgacure(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、Irgacure(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)、Irgacure(登録商標)907(2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、Irgacure(登録商標)OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、Darocur(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、Darocur(登録商標)1116、1398、1174および1020、CGI242(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、BASF社から入手可能なLucirin TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)、Lucirin TPO−L(2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド)、ESACUR日本シイベルヘグナー社から入手可能なESACURE 1001M(1−[4−ベンゾイルフェニルスルファニル]フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、N−1414旭電化社から入手可能なアデカオプトマー(登録商標)N−1414(カルバゾール・フェノン系)、アデカオプトマー(登録商標)N−1717(アクリジン系)、アデカオプトマー(登録商標)N−1606(トリアジン系)、三和ケミカル製のTFE−トリアジン(2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、三和ケミカル製のTME−トリアジン(2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、三和ケミカル製のMP−トリアジン(2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ミドリ化学製TAZ−113(2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ミドリ化学製TAZ−108(2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−フェニルベンゾフェノン、エチルミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾイン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1,1−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンおよびジベンゾスベロン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルジフェニルエーテル、1,4−ベンゾイルベンゼン、ベンジル、10−ブチル−2−クロロアクリドン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン)、2−エチルアントラキノン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4‘,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2‘−ビイミダゾール、2,2−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、等が挙げられる。
なお、本発明において「光」には、紫外、近紫外、遠紫外、極紫外、可視、赤外等の領域の波長の光や、電磁波だけでなく、放射線も含まれる。前記放射線には、例えばマイクロ波、電子線、EUV、X線が含まれる。また248nmエキシマレーザー、193nmエキシマレーザー、172nmエキシマレーザーなどのレーザー光も用いることができる。これらの光は、モノクロ光(単一波長光)を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(複合光)でもよい。露光は、多重露光も可能であり、膜強度、エッチング耐性を高めるなどの目的でパターン形成した後、全面露光することも可能である。
本発明で使用される光重合開始剤は、使用する光源の波長に対して適時に選択する必要があるが、モールド加圧・露光中にガスを発生させないものが好ましい。ガスが発生すると、モールドが汚染されるため、頻繁にモールドを洗浄しなければならなくなったり、光硬化性組成物がモールド内で変形し、転写パターン精度を劣化させるなどの問題を生じる。
本発明に用いる組成物は、(A)重合性単量体がラジカル重合性単量体であり、(B)光重合開始剤が光照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤であるラジカル重合性組成物であることが好ましい。
(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分
本発明における組成物は、常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分を含む。(C)低沸点成分は低沸点の重合性単量体でもよいし、低沸点の非重合性化合物であってもよいが、好ましくは非重合性化合物である。本発明に用いる組成物を基板上に設置する工程において加熱工程により(C)低沸点成分を除去することにより薄膜塗布が可能となり、パターン形成後の残膜を薄くすることができる。(C)低沸点成分の沸点は、60℃〜2000℃が好ましく、70℃〜180℃がより好ましく、さらに好ましくは80℃〜170℃である。適切な沸点を選択することで、塗布性が良好で且つ(C)成分が基板上に残りにくくパターン強度が向上する。
本発明に用いる組成物に用いることができる前記(C)低沸点成分の種類としては、本発明に用いる組成物を溶解可能なものであれば他に制限なく用いることができるが、組成物の溶解性、塗布均一性の観点から、エステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造のいずれか1つ以上を有する溶剤であることが好ましい。
(C)低沸点成分として用いられる非重合性化合物としては、溶剤を用いることができる。好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルから選ばれる単独あるいは混合溶剤であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する溶剤が塗布均一性の観点で最も好ましい。
(C)低沸点成分として用いられる重合性単量体としては上術の本発明において用いることができる重合性単量体の例のうち、常圧における沸点が250℃未満のものが好ましく用いることができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどの低級アルキルアクリレート、N−ビニルピロリジノンなどを挙げることができる。
本発明に用いる低沸点成分の分子量は、200以下であることが好ましく、70〜150であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、(C)成分が基板上に残りにくくパターン強度が向上するという効果が得られる。
なお、これらの低沸点成分は1種類のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点の差は50℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上である。(A)成分、(C)成分がそれぞれ複数の成分を含む混合物の場合、(A)成分中の最も低沸点の成分と(C)成分中の最も高沸点の成分の沸点の差が上記範囲内であることが好ましい。
本発明に用いる組成物中における前記(C)低沸点成分の含有量は、粘度の制御、塗布性の改善、目的とする膜厚にあわせて最適に調整される。塗布性の改善をする観点からは、全組成物中、1〜99質量%が好ましく、30〜99質量%がさらに好ましい。さらに、膜厚500nm以下のパターンを形成する際には10〜99質量%が好ましく、50〜98質量%がさらに好ましく、80〜98質量%が特に好ましい。
本発明において(A)重合性単量体、および(C)低沸点成分の沸点としては常圧(1気圧)における沸点で定義されるが、常圧における沸点測定が困難な場合、減圧状態における沸点を測定し、減圧度とその時の沸点から常圧の沸点に換算した値を用いることができる。
(その他成分)
本発明に用いる組成物は、上述の成分の他に種々の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマー成分等その他の成分を含んでいてもよい。
−界面活性剤−
本発明に用いる組成物には、界面活性剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる界面活性剤の含有量は、上記(C)低沸点成分を除く全組成物中、例えば、0.001〜5質量%であり、好ましくは0.002〜4質量%であり、さらに好ましくは、0.005〜3質量%である。2種類以上の界面活性剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。界面活性剤が組成物中0.001〜5質量%の範囲にあると、塗布の均一性の効果が良好であり、界面活性剤の過多によるモールド転写特性の悪化を招きにくい。
前記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびフッ素・シリコーン系界面活性剤の少なくとも1種を含むことが好ましく、フッ素系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤との両方または、フッ素・シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましく、フッ素・シリコーン系界面活性剤を含むことが最も好ましい。尚、前記フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤としては、ノニオン性の界面活性剤が好ましい。
ここで、“フッ素・シリコーン系界面活性剤”とは、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の両方の要件を併せ持つものをいう。
このような界面活性剤を用いることによって、半導体素子製造用のシリコンウエハや、液晶素子製造用のガラス角基板、クロム膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜、タンタル膜、タンタル合金膜、窒化珪素膜、アモルファスシリコーン膜、酸化錫をドープした酸化インジウム(ITO)膜や酸化錫膜などの、各種の膜が形成される基板上に本発明に用いる組成物を塗布したときに起こるストリエーションや、鱗状の模様(レジスト膜の乾燥むら)などの塗布不良の問題を解決するが可能となる。また、モールド凹部のキャビティ内への本発明に用いる組成物の流動性の向上、モールドとレジストとの間の剥離性の向上、レジストと基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる等が可能になる。特に、本発明に用いる組成物は、前記界面活性剤を添加することにより、塗布均一性を大幅に改良でき、スピンコーターやスリットスキャンコーターを用いた塗布において、基板サイズに依らず良好な塗布適性が得られる。
本発明で用いることのできる、ノニオン性のフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびフッ素・シリコーン系界面活性剤の例としては、特開2008-105414号公報の段落番号0097に記載の界面活性剤が挙げられる。
−酸化防止剤−
さらに、本発明に用いる組成物には、公知の酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化防止剤の含有量は、上記(C)低沸点成分を除く重合性単量体に対し、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.2〜5質量%である。2種類以上の酸化防止剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
前記酸化防止剤は、熱や光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NO、SO(Xは整数)などの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。特に本発明では、酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色を防止や、分解による膜厚減少を低減できるという利点がある。このような酸化防止剤としては、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。この中でも、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が硬化膜の着色、膜厚減少の観点で好ましい。
前記酸化防止剤の市販品としては、商品名 Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバガイギー(株)製)、商品名 Antigene P、3C、FR、スミライザーS、スミライザーGA80(住友化学工業(株)製)、商品名アデカスタブAO70、AO80、AO503((株)ADEKA製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
−重合禁止剤−
さらに、本発明に用いる組成物には、重合禁止剤を含有することが好ましい。重合禁止剤の含有量としては、上記(C)低沸点成分を除く全重合性単量体に対し、0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.005〜0.5質量%、さらに好ましくは0.008〜0.05質量%である、重合禁止剤を適切な量配合することで高い硬化感度を維持しつつ経時による粘度変化が抑制できる。
−ポリマー成分−
本発明に用いる組成物では、架橋密度をさらに高める目的で、前記多官能の重合性単量体よりもさらに分子量の大きい多官能オリゴマーを、本発明の目的を達成する範囲で配合することもできる。光ラジカル重合性を有する多官能オリゴマーとしてはポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート等の各種アクリレートオリゴマーが挙げられる。オリゴマー成分の添加量としては上記(C)低沸点成分を除く成分に対し、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。
本発明に用いる組成物はドライエッチング耐性、インプリント適性、硬化性等の改良を観点からも、さらにポリマー成分を含有していてもよい。前記ポリマー成分としては側鎖に重合性官能基を有するポリマーが好ましい。前記ポリマー成分の重量平均分子量としては、重合性単量体との相溶性の観点から、2000〜100000が好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。ポリマー成分の添加量としては組成物の溶剤を除く成分に対し、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは2質量%以下である。本発明に用いる組成物において溶剤を除く成分中、分子量2000以上のポリマー成分の含有量が30質量%以下であると、パターン形成性が向上する。また、パターン形成性の観点から樹脂成分はできる限り少ない方が好ましく、界面活性剤や微量の添加剤を除き、ポリマー成分を含まないことが好ましい。
本発明に用いる組成物には前記成分の他に必要に応じて離型剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、密着促進剤、熱重合開始剤、着色剤、エラストマー粒子、光酸増殖剤、光塩基発生剤、塩基性化合物、流動調整剤、消泡剤、分散剤等を添加してもよい。
[インプリント用硬化性組成物の製造方法]
本発明に用いる組成物は、上述の各成分を混合して調整することができる。また、前記各成分を混合した後、例えば、孔径0.003μm〜5.0μmのフィルターで濾過することが欠陥低減の観点から好ましい。組成物の混合・溶解は、通常、0℃〜100℃の範囲で行われる。濾過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、濾過した液を再濾過することもできる。濾過に使用するフィルターの材質は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッソ樹脂、ナイロン樹脂などのものが使用できるが特に限定されるものではない。
[インプリント用硬化性組成物]
本発明に用いる組成物の(C)低沸点成分を含む、全体としての25℃における粘度は、薄膜を均一に形成する観点から、1〜10mPa・sであることが好ましい。より好ましくは1〜7mPa・s、さらに好ましくは1〜5mPa・sである。
本発明に用いる組成物は、光インプリント法により微細なパターンを低コスト、かつ、高い精度で形成するがこと可能である。このため、従来のフォトリソグラフィ技術を用いて形成されていたものをさらに高い精度、かつ、低コストで形成することができる。例えば、基板または支持体上に本発明に用いる組成物を塗布し、該組成物からなる層を露光、硬化、必要に応じて乾燥(ベーク)させることによって、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる、オーバーコート層や絶縁膜などの永久膜や、半導体集積回路、記録材料、あるいはフラットパネルディスプレイなどのエッチングレジストとして適用することも可能である。特に本発明に用いる組成物を用いて形成されたパターンは、エッチング性にも優れ、フッ化炭素等を用いるドライエッチングのエッチングレジストとしても好ましく用いることができる。
[パターン形成方法]
本発明の具体的なパターン(特に、微細凹凸パターン)の形成方法について説明する。本発明のパターン形成方法では、本発明に用いる組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程と、前記パターン形成層の表面にモールドを圧接する工程と、前記パターン形成層に光を照射する工程とを含み、前記パターン形成層を形成する工程が加熱により(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有し、かつ、前記加熱温度が80℃以下である。
以下において、本発明のパターン形成方法(パターン転写方法)について具体的に述べる。
(本発明に用いる組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程)
本発明のパターン形成方法においては、本発明に用いる組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する。
本発明に用いる組成物を基材上に塗布する際の塗布方法としては、一般によく知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法などのコート法;スリットスキャン法;インクジェット法などを挙げることができる。
本発明のパターン形成方法では、これらの塗布方法の中でも、塗布時に組成物一定体積当たりの表面積(比表面積)が顕著に増加する塗布方法を用いた際に本発明の効果がより顕著に現れ、好ましい。そのような好ましい塗布方法としては、スピンコート法、スリットスキャン法、インクジェット法を挙げることができる。特に、本発明のパターン形成方法では、インプリント用硬化性組成物を基材上に設置する方法がスピンコート法またはインクジェット法であることがより好ましく、スピンコート法であることがさらに好ましい。
基材と本発明に用いる組成物からなるパターン形成層との間には、例えば平坦化層等の他の有機層などを形成してもよい。これにより、パターン形成層と基板とが直接接しないことから、基板に対するごみの付着や基板の損傷等を防止することができる。尚、本発明に用いる組成物によって形成されるパターンは、基材上に有機層を設けた場合であっても、有機層との密着性に優れる。
−基材−
本発明に用いる組成物を塗布するための基材(基板または支持体)は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、紙、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ガラスや透明プラスチック基板、ITOや金属などの導電性基材、絶縁性基材、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの半導体作製基板など特に制約されない。また、基材の形状も特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、後述のように前記基材としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、または、非光透過性のものを選択することができる。
((C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程)
本発明のパターン形成方法においては、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有する。この工程は、通常、塗布後に行われる。
低沸点成分の除去は、80℃以下で加熱することにより行われる。このように80℃以下で加熱することにより、パターン形成性が向上するという効果が得られる。好ましい加熱温度としては35℃〜70℃、さらに好ましくは40℃〜65℃、最も好ましくは40〜60℃である。
加熱時間としては1〜1000秒が好ましく、より好ましくは5〜300秒であり、さらに好ましくは10〜120秒であり、最も好ましくは15〜60秒である。適切な加熱温度、加熱時間を選択することにより、パターン形成性が向上する。
前記加熱工程を加えることにより(C)低沸点成分の一部または全てが除去された薄膜パターン形成層が設置される。加熱後のパターン形成層中の(C)成分の残存量は加熱前の量に対し、50質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。(C)成分の残存量を少なくすることでパターン強度が向上する。
前記インプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程において、残膜低減の観点から、基材上に設置されたインプリント用硬化性組成物の加熱後の厚みが1μm以下であることが好ましい。加熱後の厚みが1μm以下である際に本発明の効果がより顕著に現れ、好ましい。前記加熱後の厚みは、1〜300nmであることがより好ましく、1〜100nmであることが特に好ましい。
(パターン形成層表面にモールドを圧接する工程)
本発明のパターン形成方法は、パターン形成層にパターンを転写するために、パターン形成層表面にモールドを圧接する工程を含む。これにより、モールドの押圧表面にあらかじめ形成された微細なパターンをパターン形成層に転写することができる。
(減圧工程)
本発明のパターン形成方法においては、前記インプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程から、前記パターン形成層に光を照射する工程の間に、減圧工程を含んでいてもよい。減圧工程を含むことにより、酸素による重合阻害が抑制でき、気泡によるパターン欠陥が抑制できる。好ましくはモールド圧接前および/または圧接中に減圧工程を含むことが好ましく、圧接中および/または圧接後に窒素などの不活性ガスにより常圧または加圧状態とすることが、好ましい。
本発明のパターン形成方法では、通常、モールドを圧接する際の圧力を10気圧以下で行うのが好ましい。モールド圧力を10気圧以下とすることにより、モールドや基板が変形しにくくパターン精度が向上する傾向にある。また、加圧が低いため装置を縮小できる傾向にある点からも好ましい。モールド圧力は、モールド凸部の光インプリント用硬化性組成物の残膜が少なくなる範囲で、モールド転写の均一性が確保できる領域を選択することが好ましい。
−モールド−
本発明で用いることのできるモールドは、転写されるべきパターンを有するモールドが使われる。前記モールド上のパターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じてパターンが形成できるが、本発明では、モールドパターン形成方法は特に制限されない。
−モールド材−
本発明で用いることのできるモールド材について説明する。
本発明において用いられる光透過性モールド材は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
本発明において光透過性の基材を用いた場合に使われる非光透過型モールド材としては、特に限定されないが、所定の強度を有するものであればよい。具体的には、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、SiC、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの基板などが例示され、特に制約されない。また、モールドの形状も特に制約されるものではなく、板状モールド、ロール状モールドのどちらでもよい。ロール状モールドは、特に転写の連続生産性が必要な場合に適用される。
本発明のパターン形成方法で用いられるモールドは、光インプリント用硬化性組成物とモールド表面との剥離性を向上させるために離型処理を行ったものを用いてもよい。このようなモールドとしては、シリコーン系やフッソ系などのシランカップリング剤による処理を行ったもの、例えば、ダイキン工業(株)製のオプツールDSXや、住友スリーエム(株)製のNovec EGC−1720等、市販の離型剤も好適に用いることができる。
(パターン形成層に光を照射する工程)
本発明のパターン形成方法は、パターン形成層に光を照射する工程を含む。そのため、本発明に用いる組成物を用いた光インプリントリソグラフィにおいては、モールド材および/または基材の少なくとも一方に、光透過性の材料を選択する。
本発明に適用される光インプリントリソグラフィでは、基材の上に本発明に用いる組成物を塗布してパターン形成層を形成し、この表面に光透過性のモールドを押接し、モールドの裏面から光を照射し、前記パターン形成層を硬化させる。また、光透過性基材上に光インプリント用硬化性組成物を塗布し、モールドを押し当て、基材の裏面から光を照射し、光インプリント用硬化性組成物を硬化させることもできる。
前記光照射は、モールドを付着させた状態で行ってもよいし、モールド剥離後に行ってもよいが、本発明では、本発明のパターン形成方法では、モールドを密着させた状態で行うのが好ましい。
本発明のパターン形成方法中、前記パターン形成層に光を照射する工程における光照射の照射量は、硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、光インプリント用硬化性組成物の不飽和結合の消費量や硬化膜のタッキネスを調べて適宜決定される。
本発明に用いる組成物を硬化させるために用いられる光は特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUVが含まれる。また、LED、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
露光に際しては、露光照度を1mW/cm〜200mW/cmの範囲にすることが望ましい。1mW/cm以上とすることにより、露光時間を短縮することができるため生産性が向上し、200mW/cm以下とすることにより、副反応が生じることによる永久膜の特性の劣化を抑止できる傾向にあり好ましい。露光量は5mJ/cm〜1000mJ/cmの範囲にすることが望ましい。5mJ/cm未満では、露光マージンが狭くなり、光硬化が不十分となりモールドへの未反応物の付着などの問題が発生しやすくなる。一方、1000mJ/cmを超えると組成物の分解による永久膜の劣化の恐れが生じる。
さらに、露光に際しては、酸素によるラジカル重合の阻害を防ぐため、チッソやアルゴンなどの不活性ガスを流して、酸素濃度を100mg/L未満に制御してもよい。
本発明のパターン形成方法においては、光照射の際の基板温度は、通常、室温で行われるが、反応性を高めるために加熱をしながら光照射してもよい。光照射の前段階として、真空状態にしておくと、気泡混入防止、酸素混入による反応性低下の抑制、モールドと光インプリント用硬化性組成物との密着性向上に効果があるため、真空状態で光照射してもよい。また、本発明のパターン形成方法中、光照射時における好ましい真空度は、10−1Paから常圧の範囲である。
本発明のパターン形成方法においては、光照射によりパターン形成層を硬化させた後、必要におうじて硬化させたパターンに熱を加えてさらに硬化させる工程を含んでいてもよい。光照射後に本発明に用いる組成物を加熱硬化させる熱としては、150〜280℃が好ましく、200〜250℃がより好ましい。また、熱を付与する時間としては、5〜60分間が好ましく、15〜45分間がさらに好ましい。
[パターン]
上述のように本発明のパターン形成方法によって形成されたパターンは、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる永久膜(構造部材用のレジスト)やエッチングレジストとして使用することができる。また、前記永久膜は、製造後にガロン瓶やコート瓶などの容器にボトリングし、輸送、保管されるが、この場合に、劣化を防ぐ目的で、容器内を不活性なチッソ、またはアルゴンなどで置換しておいてもよい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、より永久膜の変質を防ぐため、−20℃から0℃の範囲に温度制御してもよい。勿論、反応が進行しないレベルで遮光することが好ましい。
液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる永久膜(構造部材用のレジスト)や電子材料の基板加工に用いられるレジストにおいては、製品の動作を阻害しないようにするため、レジスト中の金属あるいは有機物のイオン性不純物の混入を極力避けることが望ましい。このため、本発明に用いる組成物中における金属または有機物のイオン性不純物の濃度としては、1000ppm以下、望ましくは10ppm以下、さらに好ましくは100ppb以下にすることが好ましい。
本発明のパターン形成方法によって形成された本発明のパターンは、エッチングレジストとしても有用である。本発明のパターンをエッチングレジストとして利用する場合には、まず、基材として例えばSiO等の薄膜が形成されたシリコンウエハ等を用い、基材上に本発明のパターン形成方法によってナノオーダーの微細なパターンを形成する。その後、ウェットエッチングの場合にはフッ化水素等、ドライエッチングの場合にはCF等のエッチングガスを用いてエッチングすることにより、基材上に所望のパターンを形成することができる。
前記パターンは、基材上に設置されたインプリント用硬化性組成物の加熱後の厚みが1μm以下であることが、本発明の効果がより顕著に現れ、好ましい。前記基材上に設置されたインプリント用硬化性組成物の加熱後の厚みは、1〜200nmであることがより好ましく、10〜100nmであることが特に好ましい。
但し、ここでいう基材面とは、基材面の最も低い部分を表す。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1および12は参考例である。
本実施例で用いた重合性単量体の25℃における粘度および常圧における沸点を下記表1に示した。粘度の測定は、東機産業(株)社製のRE−80L型回転粘度計を用い、25±0.2℃で測定した。また、沸点は、東京化成工業株式会社総合カタログ2008−2009(No.39)p.2173(出典:Science and Petroleum,Vol.II.p.1281(1938))に記載の沸点換算表より、参考文献Science and Petroleum,Vol.II.p.1281(1938))を用い、減圧蒸留を行った際の減圧度と沸点から算出した。0.27kPaの減圧度において120℃以上に加熱しても沸点が観測されないものについて沸点250℃以上と判断した。0.27kPaの減圧度において150℃以上に加熱しても沸点が観測されず、それ以上の加熱で重合反応が進行してしまう重合性単量体については>300℃と記載した。
Figure 0005448589
[実施例1]
(インプリント用硬化性組成物の調製)
上記表1に記載の重合性単量体を表2に記載の割合で混合し、さらに、下記光重合開始剤P−1(2質量%)、下記界面活性剤W−1(0.1質量%)、下記界面活性剤W−2(0.04質量%)を加えて低沸点成分を含まない組成物を調製した。光重合開始剤、界面活性剤の添加量は、該低沸点成分を含まない組成物全体を100質量%としたときの添加量である。得られた低沸点成分を含まない組成物の25℃における粘度を測定し、表2に記載した。
上記低沸点成分を含まない組成物に、下記表3に記載の(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分(表においては、「(C)成分」と略記した)を加えて、4%溶液を作成し、これをインプリント用硬化性組成物とした。得られたインプリント用硬化性組成物の25℃における粘度を測定し、表4に示した。
<光重合開始剤>
P−1:2,4,6−トリメチルベンゾイル−エトキシフェニル−ホスフィンオキシド(BASF社製:Lucirin TPO−L)
<界面活性剤>
W−1:フッ素系界面活性剤(トーケムプロダクツ(株)製:フッ素系界面活性剤)
W−2:シリコーン系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガファックペインタッド31)
Figure 0005448589
<パターン形成層を形成する工程(パターン形成条件)>
(条件1)
上記インプリント用硬化性組成物を0.1ミクロンのテトラフロロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコン基板上にスピンコート法にて塗布した後、下記表3に記載の加熱温度で加熱したホットプレート上で表中の時間ベークを行い、膜厚50nmのパターン形成層を形成した。比較例の加熱なしは室温25℃にて30秒放置した。
(比較条件1)
上記低沸点成分を含まない組成物を0.1ミクロンのテトラフロロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコン基板上にスピンコート法にて塗布した後、膜厚1.2μmのパターン形成層を形成した。
<パターン形成性評価(パターン形成性)>
上記条件1または比較条件1で作成したパターン形成層のそれぞれに、100nmのライン/スペース1/1を有し、溝深さが200nmのパターンを有し、表面がパーフロロポリエーテル構造を有するシランカップリング剤(ダイキン社製、オプツールHD1100)で離型処理されたモールドを乗せ、窒素気流下1MPaの圧力でモールドを組成物に押し付けながら365nmの光を含有する水銀ランプ光にて、露光照度10mW/cm、露光量200mJ/cmで硬化させ、硬化後、ゆっくりモールドを剥がした。得られたパターンを走査型顕微鏡にて観察し、以下のように評価した。
◎:モールドに忠実な矩形パターンが得られ、パターン高さはモールド溝深さの90%以上
○:モールドに忠実な矩形パターンが得られ、パターン高さはモールド溝深さの80%以上90%未満
△:パターントップが丸く、パターン高さはモールド溝深さの50%以上80%未満
×:パターントップが丸く、パターン高さはモールド溝深さの50%未満
<残膜除去後の線幅細り(線幅細り)>
パターン形成性評価にて得られたパターンを酸素プラズマ条件で残膜を除去し、得られたパターンを走査型顕微鏡にて観察し、以下のように評価した。
◎:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の90%以上
○:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の70%以上90%未満
△:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の50%以上70%未満
×:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の50%未満
Figure 0005448589
上記表における(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分は以下のとおりである。PA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点145℃、分子量132.16)
CH:シクロヘキサノン(沸点155℃、分子量98.14)
NVP:N−ビニルピロリジノン(沸点230℃、分子量111.14)
BA:アクリル酸ブチル(沸点145℃、分子量128.17)
Figure 0005448589
上記表から明らかなとおり、本発明の方法を用いた場合、パターン形成性に優れ、線幅細りが少ないものが得られた。

Claims (15)

  1. (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、
    (B)光重合開始剤と、
    (C)常圧における沸点が80℃〜170℃の範囲内である低沸点成分とを
    含有するインプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程と、
    前記パターン形成層の表面にモールドを圧接する工程と、
    前記パターン形成層に光を照射する工程と、
    を含み、前記パターン形成層を形成する工程が加熱により(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有し、かつ、前記加熱温度が35〜70℃であることを特徴とする、パターン形成方法。
  2. (C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の分子量が200以下である、請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. (C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が溶剤である、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
  4. (C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が重合性単量体である、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
  5. 前記加熱温度が40〜60℃である、請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  6. 前記(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点の差が50℃以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  7. 前記(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分を除いたインプリント用硬化性組成物の粘度が50mPa・s以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  8. (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が、25℃における粘度が50mPa・s以下の重合性単量体である、請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  9. (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体が芳香族構造を有する重合性単量体を含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  10. (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が芳香族構造を有する重合性単量体である、請求項1〜のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  11. インプリント用硬化性組成物を基材上に設置する方法がスピンコート法であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  12. 前記インプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程において、基材上に設置されたインプリント用硬化性組成物の加熱後の厚みが1μm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  13. 前記加熱時間が、1〜1000秒である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  14. 前記加熱時間が、15〜60秒である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  15. 前記(C)低沸点成分は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよびN−ビニルピロリジノンから選択される請求項1〜13のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
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