JP5448589B2 - パターン形成方法 - Google Patents
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Description
第一の技術としては、成型した形状(パターン)そのものが機能を持ち、様々なナノテクノロジーの要素部品、または、構造部材として応用できる場合である。例としては、各種のマイクロ・ナノ光学要素や高密度の記録媒体、光学フィルム、フラットパネルディスプレイにおける構造部材などが挙げられる。第二の技術は、マイクロ構造とナノ構造との同時一体成型や、簡単な層間位置合わせにより積層構造を構築し、これをμ−TAS(Micro - Total Analysis System)やバイオチップの作製に応用しようとするものである。第3の技術としては、形成されたパターンをマスクとし、エッチング等の方法により基板を加工する用途に利用されるものである。かかる技術では高精度な位置合わせと高集積化とにより、従来のリソグラフィ技術に代わって高密度半導体集積回路の作製や、液晶ディスプレイのトランジスタへの作製、パターンドメディアと呼ばれる次世代ハードディスクの磁性体加工等に応用できる。前記の技術を始め、これらの応用に関するナノインプリント法の実用化への取り組みが近年活発化している。
LCD基板やPDP基板の大型化や高精細化の動向に伴い、薄膜トランジスタ(TFT)や電極板の製造時に使用する従来のフォトリソグラフィ法に代わる安価なリソグラフィとして光ナノインプリントリ法が、近年注目されている。そのため、従来のフォトリソグラフィ法で用いられるエッチングフォトレジストに代わる光硬化性レジストの開発が必要になってきている。
さらにLCDなどの構造部材としては、下記特許文献4および特許文献5に記載される透明保護膜材料や、あるいは下記特許文献5に記載されるスペーサなどに対する光ナノインプリント法の応用も検討され始めている。このような構造部材用のレジストは、前記エッチングレジストとは異なり、最終的にディスプレイ内に残るため、“永久レジスト”、あるいは“永久膜”と称されることがある。
これら永久膜用途においては、形成されたパターンが最終的に製品に残るため、耐熱性、耐光性、耐溶剤性、耐擦傷性、外部圧力に対する高い機械的特性、硬度など主に膜の耐久性や強度に関する性能が要求される。
このように従来フォトリソグラフィ法で形成されていたパターンのほとんどがナノインプリントで形成可能であり、安価に微細パターンが形成できる技術として注目されている。
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、パターン形成性に優れ、残膜除去後の線幅が変動しないパターンを提供することを目的とする。
(1)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分とを
含有するナノインプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程と、
前記パターン形成層の表面にモールドを圧接する工程と、
前記パターン形成層に光を照射する工程と、
を含み、前記パターン形成層を形成する工程が加熱により(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有し、かつ、前記加熱温度が80℃以下であることを特徴とする、パターン形成方法。
(2)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の分子量が200以下である、(1)に記載のパターン形成方法。
(3)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が溶剤である、(1)または(2)に記載のパターン形成方法。
(4)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が重合性単量体である、(1)または(2)に記載のパターン形成方法。
(5)(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点が、80℃〜170℃の範囲内である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(6)前記加熱温度が35〜70℃である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(7)前記加熱温度が40〜60℃である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(8)前記(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点の差が50℃以上である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(9)前記(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分を除いたナノインプリント用硬化性組成物の粘度が50mPa・s以下である、(1)〜(8)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(10)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が、25℃における粘度が50mPa・s以下の重合性単量体である、(1)〜(9)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(11)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体が芳香族構造を有する重合性単量体を含有することを特徴とする、(1)〜(10)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(12)(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が芳香族構造を有する重合性単量体である、(1)〜(10)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(13)ナノインプリント用硬化性組成物を基材上に設置する方法がスピンコート法であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(14)前記ナノインプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程において、基材上に設置されたナノインプリント用硬化性組成物の加熱後の厚みが1μm以下である、(1)〜(13)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
(15)前記加熱時間が、1〜1000秒である、(1)〜(14)のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本発明に用いる組成物は、重合性単量体を含む。本発明で用いる重合性単量体の種類は本発明の趣旨を逸脱しない限り特に定めるものではないが、例えば、エチレン性不飽和結合含有基を1〜6個有する重合性不飽和単量体;オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物);ビニルエーテル化合物;スチレン誘導体;フッ素原子を有する化合物;プロペニルエーテルまたはブテニルエーテル等を挙げることができる。
本発明で好ましく用いることのできるエチレン性不飽和結合含有基を2つ有する2官能重合性不飽和単量体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレンオキシド(以後「PO」という。)変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、o−,m−,p−キシリレンジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジアクリレートノルボルナンジメタノールジアクリレートが例示される。
本発明では、重合性成分として、常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体を用いる。
本発明における(A)重合性単量体は、常圧における沸点が270℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。
本発明に用いる組成物における(A)重合性単量体の具体例としては、上述した本発明において用いることができる重合性単量体の例で挙げた重合性単量体のうち、常圧における沸点が250℃以上の重合性単量体が例示される。もちろん、上記に例示した重合性単量体に限定されるものではないことは言うまでも無い。さらに、本発明に用いる組成物は、(A)重合性単量体を2種以上含んでいてもよい。
(A)重合性単量体成分としては芳香族構造を有する重合性単量体を含有していることがドライエッチング耐性、ドライエッチング後のライエッジラフネスの点で好ましく、芳香族構造を有する重合性単量体を(A)重合性単量体成分中50質量%以上含有していることがより好ましく、芳香族構造を有する重合性単量体を(A)重合性単量体成分中80質量%以上含有していることがさらに好ましい。芳香族構造を有する重合性単量体を用いることにより、ドライエッチング耐性が向上し、ドライエッチング後のライエッジラフネスが改良される。芳香族構造を有する重合性単量体としては芳香族構造を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。芳香族構造を有する(メタ)アクリレート化合物としては、ナフタレン構造を有する単官能(メタ)アクリレート化合物、例えば1−または2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−または2−ナフチルエチル(メタ)アクリレート、芳香環上に置換基を有するベンジルアクリレートなどの単官能アクリレート、カテコールジアクリレート、キシリレングリコールジアクリレートなどの2官能アクリレートが特に好ましい。
また、(A)重合性単量体として、(メタ)アクリレートを用いる場合、メタアクリレートよりも、アクリレートの方が好ましい。
本発明に用いる組成物は、(A)重合性単量体として、25℃における粘度が50mPa・s以下である重合性単量体を含むことが好ましく、40mPa・s以下であることがより好ましく、30mPa・s以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明に用いる組成物は、上記粘度範囲の(A)重合性単量体を(C)低沸点成分を除く全重合性単量体に対し50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。このような構成とすることにより、パターン形成性が向上するという効果が得られる。
尚、本願明細書における粘度は、特に述べない限り、東機産業(株)社製のRE−80L型回転粘度計を用い、25±0.2℃で測定した値をいう。
本発明に用いる組成物に含有される(C)低沸点成分を除いた組成物の25℃における粘度は5〜50mPa・sが好ましく、より好ましくは6〜40mPa・s、さらに好ましくは7〜30mPa・s、最も好ましくは8〜25mPa・sである。(C)低沸点成分を除いた組成物の粘度を5〜50mPa・sにすることでモールド充填性がより向上し、インプリント時のモールドの圧着圧力が低くても矩形なパターンプロファイルが得られやすくなる。本発明の方法は低粘度な重合性単量体を用いた際に特に効果が顕著である。
本発明に用いる組成物に含まれる(A)重合性単量体は、25℃において液体である重合性単量体が全重合性単量体中50質量%以上であることが経時安定性の観点で好ましい。
本発明に用いる組成物は、光重合開始剤を含む。本発明に用いられる光重合開始剤は、光照射により上述の(A)重合性単量体を重合する活性種を発生する化合物であればいずれのものでも用いることができる。光重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましい。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
光重合開始剤の含有量が0.01質量%以上であると、感度(速硬化性)、解像性、ラインエッジラフネス性、塗膜強度が向上する傾向にあり好ましい。一方、光重合開始剤の含有量を15質量%以下とすると、光透過性、着色性、取り扱い性などが向上する傾向にあり、好ましい。染料および/または顔料を含む系では、これらがラジカルトラップ剤として働くことがあり、光重合性、感度に影響を及ぼす。その点を考慮して、これらの用途では、光重合開始剤の添加量が最適化される。一方で、本発明に用いられる組成物では、染料および/または顔料は必須成分でなく、光重合開始剤の最適範囲がインクジェット用組成物や液晶ディスプレイカラーフィルタ用組成物等の分野のものとは異なる場合がある。
本発明における組成物は、常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分を含む。(C)低沸点成分は低沸点の重合性単量体でもよいし、低沸点の非重合性化合物であってもよいが、好ましくは非重合性化合物である。本発明に用いる組成物を基板上に設置する工程において加熱工程により(C)低沸点成分を除去することにより薄膜塗布が可能となり、パターン形成後の残膜を薄くすることができる。(C)低沸点成分の沸点は、60℃〜2000℃が好ましく、70℃〜180℃がより好ましく、さらに好ましくは80℃〜170℃である。適切な沸点を選択することで、塗布性が良好で且つ(C)成分が基板上に残りにくくパターン強度が向上する。
(C)低沸点成分として用いられる非重合性化合物としては、溶剤を用いることができる。好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルから選ばれる単独あるいは混合溶剤であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する溶剤が塗布均一性の観点で最も好ましい。
(C)低沸点成分として用いられる重合性単量体としては上術の本発明において用いることができる重合性単量体の例のうち、常圧における沸点が250℃未満のものが好ましく用いることができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどの低級アルキルアクリレート、N−ビニルピロリジノンなどを挙げることができる。
本発明に用いる低沸点成分の分子量は、200以下であることが好ましく、70〜150であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、(C)成分が基板上に残りにくくパターン強度が向上するという効果が得られる。
なお、これらの低沸点成分は1種類のみ用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点の差は50℃以上であることが好ましく、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは150℃以上である。(A)成分、(C)成分がそれぞれ複数の成分を含む混合物の場合、(A)成分中の最も低沸点の成分と(C)成分中の最も高沸点の成分の沸点の差が上記範囲内であることが好ましい。
本発明に用いる組成物は、上述の成分の他に種々の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマー成分等その他の成分を含んでいてもよい。
本発明に用いる組成物には、界面活性剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる界面活性剤の含有量は、上記(C)低沸点成分を除く全組成物中、例えば、0.001〜5質量%であり、好ましくは0.002〜4質量%であり、さらに好ましくは、0.005〜3質量%である。2種類以上の界面活性剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。界面活性剤が組成物中0.001〜5質量%の範囲にあると、塗布の均一性の効果が良好であり、界面活性剤の過多によるモールド転写特性の悪化を招きにくい。
ここで、“フッ素・シリコーン系界面活性剤”とは、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の両方の要件を併せ持つものをいう。
このような界面活性剤を用いることによって、半導体素子製造用のシリコンウエハや、液晶素子製造用のガラス角基板、クロム膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜、タンタル膜、タンタル合金膜、窒化珪素膜、アモルファスシリコーン膜、酸化錫をドープした酸化インジウム(ITO)膜や酸化錫膜などの、各種の膜が形成される基板上に本発明に用いる組成物を塗布したときに起こるストリエーションや、鱗状の模様(レジスト膜の乾燥むら)などの塗布不良の問題を解決するが可能となる。また、モールド凹部のキャビティ内への本発明に用いる組成物の流動性の向上、モールドとレジストとの間の剥離性の向上、レジストと基板間との密着性の向上、組成物の粘度を下げる等が可能になる。特に、本発明に用いる組成物は、前記界面活性剤を添加することにより、塗布均一性を大幅に改良でき、スピンコーターやスリットスキャンコーターを用いた塗布において、基板サイズに依らず良好な塗布適性が得られる。
さらに、本発明に用いる組成物には、公知の酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化防止剤の含有量は、上記(C)低沸点成分を除く重合性単量体に対し、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.2〜5質量%である。2種類以上の酸化防止剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
前記酸化防止剤は、熱や光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOx(Xは整数)などの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。特に本発明では、酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色を防止や、分解による膜厚減少を低減できるという利点がある。このような酸化防止剤としては、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。この中でも、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が硬化膜の着色、膜厚減少の観点で好ましい。
さらに、本発明に用いる組成物には、重合禁止剤を含有することが好ましい。重合禁止剤の含有量としては、上記(C)低沸点成分を除く全重合性単量体に対し、0.001〜1質量%であり、より好ましくは0.005〜0.5質量%、さらに好ましくは0.008〜0.05質量%である、重合禁止剤を適切な量配合することで高い硬化感度を維持しつつ経時による粘度変化が抑制できる。
本発明に用いる組成物では、架橋密度をさらに高める目的で、前記多官能の重合性単量体よりもさらに分子量の大きい多官能オリゴマーを、本発明の目的を達成する範囲で配合することもできる。光ラジカル重合性を有する多官能オリゴマーとしてはポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート等の各種アクリレートオリゴマーが挙げられる。オリゴマー成分の添加量としては上記(C)低沸点成分を除く成分に対し、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。
本発明に用いる組成物はドライエッチング耐性、インプリント適性、硬化性等の改良を観点からも、さらにポリマー成分を含有していてもよい。前記ポリマー成分としては側鎖に重合性官能基を有するポリマーが好ましい。前記ポリマー成分の重量平均分子量としては、重合性単量体との相溶性の観点から、2000〜100000が好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。ポリマー成分の添加量としては組成物の溶剤を除く成分に対し、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは2質量%以下である。本発明に用いる組成物において溶剤を除く成分中、分子量2000以上のポリマー成分の含有量が30質量%以下であると、パターン形成性が向上する。また、パターン形成性の観点から樹脂成分はできる限り少ない方が好ましく、界面活性剤や微量の添加剤を除き、ポリマー成分を含まないことが好ましい。
本発明に用いる組成物は、上述の各成分を混合して調整することができる。また、前記各成分を混合した後、例えば、孔径0.003μm〜5.0μmのフィルターで濾過することが欠陥低減の観点から好ましい。組成物の混合・溶解は、通常、0℃〜100℃の範囲で行われる。濾過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、濾過した液を再濾過することもできる。濾過に使用するフィルターの材質は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッソ樹脂、ナイロン樹脂などのものが使用できるが特に限定されるものではない。
本発明に用いる組成物の(C)低沸点成分を含む、全体としての25℃における粘度は、薄膜を均一に形成する観点から、1〜10mPa・sであることが好ましい。より好ましくは1〜7mPa・s、さらに好ましくは1〜5mPa・sである。
本発明の具体的なパターン(特に、微細凹凸パターン)の形成方法について説明する。本発明のパターン形成方法では、本発明に用いる組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程と、前記パターン形成層の表面にモールドを圧接する工程と、前記パターン形成層に光を照射する工程とを含み、前記パターン形成層を形成する工程が加熱により(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有し、かつ、前記加熱温度が80℃以下である。
本発明のパターン形成方法においては、本発明に用いる組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する。
本発明に用いる組成物を基材上に塗布する際の塗布方法としては、一般によく知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法などのコート法;スリットスキャン法;インクジェット法などを挙げることができる。
本発明のパターン形成方法では、これらの塗布方法の中でも、塗布時に組成物一定体積当たりの表面積(比表面積)が顕著に増加する塗布方法を用いた際に本発明の効果がより顕著に現れ、好ましい。そのような好ましい塗布方法としては、スピンコート法、スリットスキャン法、インクジェット法を挙げることができる。特に、本発明のパターン形成方法では、インプリント用硬化性組成物を基材上に設置する方法がスピンコート法またはインクジェット法であることがより好ましく、スピンコート法であることがさらに好ましい。
本発明に用いる組成物を塗布するための基材(基板または支持体)は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、紙、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ガラスや透明プラスチック基板、ITOや金属などの導電性基材、絶縁性基材、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの半導体作製基板など特に制約されない。また、基材の形状も特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、後述のように前記基材としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、または、非光透過性のものを選択することができる。
本発明のパターン形成方法においては、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有する。この工程は、通常、塗布後に行われる。
低沸点成分の除去は、80℃以下で加熱することにより行われる。このように80℃以下で加熱することにより、パターン形成性が向上するという効果が得られる。好ましい加熱温度としては35℃〜70℃、さらに好ましくは40℃〜65℃、最も好ましくは40〜60℃である。
加熱時間としては1〜1000秒が好ましく、より好ましくは5〜300秒であり、さらに好ましくは10〜120秒であり、最も好ましくは15〜60秒である。適切な加熱温度、加熱時間を選択することにより、パターン形成性が向上する。
前記加熱工程を加えることにより(C)低沸点成分の一部または全てが除去された薄膜パターン形成層が設置される。加熱後のパターン形成層中の(C)成分の残存量は加熱前の量に対し、50質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。(C)成分の残存量を少なくすることでパターン強度が向上する。
本発明のパターン形成方法は、パターン形成層にパターンを転写するために、パターン形成層表面にモールドを圧接する工程を含む。これにより、モールドの押圧表面にあらかじめ形成された微細なパターンをパターン形成層に転写することができる。
本発明のパターン形成方法においては、前記インプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程から、前記パターン形成層に光を照射する工程の間に、減圧工程を含んでいてもよい。減圧工程を含むことにより、酸素による重合阻害が抑制でき、気泡によるパターン欠陥が抑制できる。好ましくはモールド圧接前および/または圧接中に減圧工程を含むことが好ましく、圧接中および/または圧接後に窒素などの不活性ガスにより常圧または加圧状態とすることが、好ましい。
本発明のパターン形成方法では、通常、モールドを圧接する際の圧力を10気圧以下で行うのが好ましい。モールド圧力を10気圧以下とすることにより、モールドや基板が変形しにくくパターン精度が向上する傾向にある。また、加圧が低いため装置を縮小できる傾向にある点からも好ましい。モールド圧力は、モールド凸部の光インプリント用硬化性組成物の残膜が少なくなる範囲で、モールド転写の均一性が確保できる領域を選択することが好ましい。
本発明で用いることのできるモールドは、転写されるべきパターンを有するモールドが使われる。前記モールド上のパターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じてパターンが形成できるが、本発明では、モールドパターン形成方法は特に制限されない。
本発明で用いることのできるモールド材について説明する。
本発明において用いられる光透過性モールド材は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
本発明のパターン形成方法は、パターン形成層に光を照射する工程を含む。そのため、本発明に用いる組成物を用いた光インプリントリソグラフィにおいては、モールド材および/または基材の少なくとも一方に、光透過性の材料を選択する。
本発明に適用される光インプリントリソグラフィでは、基材の上に本発明に用いる組成物を塗布してパターン形成層を形成し、この表面に光透過性のモールドを押接し、モールドの裏面から光を照射し、前記パターン形成層を硬化させる。また、光透過性基材上に光インプリント用硬化性組成物を塗布し、モールドを押し当て、基材の裏面から光を照射し、光インプリント用硬化性組成物を硬化させることもできる。
前記光照射は、モールドを付着させた状態で行ってもよいし、モールド剥離後に行ってもよいが、本発明では、本発明のパターン形成方法では、モールドを密着させた状態で行うのが好ましい。
さらに、露光に際しては、酸素によるラジカル重合の阻害を防ぐため、チッソやアルゴンなどの不活性ガスを流して、酸素濃度を100mg/L未満に制御してもよい。
上述のように本発明のパターン形成方法によって形成されたパターンは、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる永久膜(構造部材用のレジスト)やエッチングレジストとして使用することができる。また、前記永久膜は、製造後にガロン瓶やコート瓶などの容器にボトリングし、輸送、保管されるが、この場合に、劣化を防ぐ目的で、容器内を不活性なチッソ、またはアルゴンなどで置換しておいてもよい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、より永久膜の変質を防ぐため、−20℃から0℃の範囲に温度制御してもよい。勿論、反応が進行しないレベルで遮光することが好ましい。
但し、ここでいう基材面とは、基材面の最も低い部分を表す。
実施例1および12は参考例である。
(インプリント用硬化性組成物の調製)
上記表1に記載の重合性単量体を表2に記載の割合で混合し、さらに、下記光重合開始剤P−1(2質量%)、下記界面活性剤W−1(0.1質量%)、下記界面活性剤W−2(0.04質量%)を加えて低沸点成分を含まない組成物を調製した。光重合開始剤、界面活性剤の添加量は、該低沸点成分を含まない組成物全体を100質量%としたときの添加量である。得られた低沸点成分を含まない組成物の25℃における粘度を測定し、表2に記載した。
上記低沸点成分を含まない組成物に、下記表3に記載の(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分(表においては、「(C)成分」と略記した)を加えて、4%溶液を作成し、これをインプリント用硬化性組成物とした。得られたインプリント用硬化性組成物の25℃における粘度を測定し、表4に示した。
P−1:2,4,6−トリメチルベンゾイル−エトキシフェニル−ホスフィンオキシド(BASF社製:Lucirin TPO−L)
W−1:フッ素系界面活性剤(トーケムプロダクツ(株)製:フッ素系界面活性剤)
W−2:シリコーン系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガファックペインタッド31)
(条件1)
上記インプリント用硬化性組成物を0.1ミクロンのテトラフロロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコン基板上にスピンコート法にて塗布した後、下記表3に記載の加熱温度で加熱したホットプレート上で表中の時間ベークを行い、膜厚50nmのパターン形成層を形成した。比較例の加熱なしは室温25℃にて30秒放置した。
上記低沸点成分を含まない組成物を0.1ミクロンのテトラフロロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコン基板上にスピンコート法にて塗布した後、膜厚1.2μmのパターン形成層を形成した。
上記条件1または比較条件1で作成したパターン形成層のそれぞれに、100nmのライン/スペース1/1を有し、溝深さが200nmのパターンを有し、表面がパーフロロポリエーテル構造を有するシランカップリング剤(ダイキン社製、オプツールHD1100)で離型処理されたモールドを乗せ、窒素気流下1MPaの圧力でモールドを組成物に押し付けながら365nmの光を含有する水銀ランプ光にて、露光照度10mW/cm2、露光量200mJ/cm2で硬化させ、硬化後、ゆっくりモールドを剥がした。得られたパターンを走査型顕微鏡にて観察し、以下のように評価した。
○:モールドに忠実な矩形パターンが得られ、パターン高さはモールド溝深さの80%以上90%未満
△:パターントップが丸く、パターン高さはモールド溝深さの50%以上80%未満
×:パターントップが丸く、パターン高さはモールド溝深さの50%未満
パターン形成性評価にて得られたパターンを酸素プラズマ条件で残膜を除去し、得られたパターンを走査型顕微鏡にて観察し、以下のように評価した。
◎:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の90%以上
○:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の70%以上90%未満
△:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の50%以上70%未満
×:残膜除去後のパターン線幅がモールド溝幅の50%未満
CH:シクロヘキサノン(沸点155℃、分子量98.14)
NVP:N−ビニルピロリジノン(沸点230℃、分子量111.14)
BA:アクリル酸ブチル(沸点145℃、分子量128.17)
Claims (15)
- (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、
(B)光重合開始剤と、
(C)常圧における沸点が80℃〜170℃の範囲内である低沸点成分とを
含有するインプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程と、
前記パターン形成層の表面にモールドを圧接する工程と、
前記パターン形成層に光を照射する工程と、
を含み、前記パターン形成層を形成する工程が加熱により(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が除去される工程を含有し、かつ、前記加熱温度が35〜70℃であることを特徴とする、パターン形成方法。 - (C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の分子量が200以下である、請求項1に記載のパターン形成方法。
- (C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が溶剤である、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
- (C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分が重合性単量体である、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
- 前記加熱温度が40〜60℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記(A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体と、(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分の沸点の差が50℃以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記(C)常圧における沸点が250℃未満である低沸点成分を除いたインプリント用硬化性組成物の粘度が50mPa・s以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が、25℃における粘度が50mPa・s以下の重合性単量体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体が芳香族構造を有する重合性単量体を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- (A)常圧における沸点が250℃以上である重合性単量体の50質量%以上が芳香族構造を有する重合性単量体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- インプリント用硬化性組成物を基材上に設置する方法がスピンコート法であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記インプリント用硬化性組成物を基材上に設置してパターン形成層を形成する工程において、基材上に設置されたインプリント用硬化性組成物の加熱後の厚みが1μm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記加熱時間が、1〜1000秒である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記加熱時間が、15〜60秒である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
- 前記(C)低沸点成分は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよびN−ビニルピロリジノンから選択される請求項1〜13のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
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