JP5438591B2 - 感情強度測定装置、感情強度測定方法、及びプログラム - Google Patents
感情強度測定装置、感情強度測定方法、及びプログラムInfo
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Description
まず、本発明の実施形態の原理を説明する。
ただしΔV=VImage-Vneutralである。ここで、最初に一様なニュートラル画像を観察者に呈示し、その後にターゲット画像を観察者に呈示し、観察者の瞳孔径を計測する方法を考えてみる。すると、観察者の感情に基づく瞳孔径の変化に加え、ニュートラル画像からターゲット画像に突然切り替わったことによる輝度の変化によって非線形な瞳孔径の変化(対光反射)が生じる(式(1)のR)。このような輝度の変化量は対光反射による瞳孔径の変化は観察者が視線を向けている位置の輝度の変化量に依存し、また観察者がターゲット画像のどの部分に視線を向けるかを前もって正確に予測することはまず不可能である。そのため、このような単純な方法によって対光反射の成分を取り除くことは不可能であるといってよい。
ただし、Neutral Imageはニュートラル画像を表し、(1:Ix, 1:Iy)はターゲット画像の各ピクセルのx座標(1以上Ix以下)とy座標(1以上Iy以下)とを表し、Ixはx座標(水平方向)のピクセル数を表し、Iyはy座標(垂直方向)のピクセル数を表し、randomorder (1:Ix, 1:Iy)はターゲット画像の各ピクセルの座標をランダムに変更することを表す。
ただし、X, Y, Zは、画像をXYZ表色系で表現した場合における各ピクセルの三刺激値であり、そのうちのYは各ピクセルの輝度を表す。また、R, G, Bは、画像をRGB表色系で表現した場合における各ピクセルのRGB値(∈{0, 1})であり、TはRGB表色系をXYZ表色系に変換するための3行3列の変換行列である。変換行列Tは、画像測定結果に基づいて別途設定されてもよいし、NTSCなどの準拠した一般的な基準に基づいて設定されてもよい。
ただし、tは時間[0≦t≦∞]を表し、Y(t)は輝度変更後の各ピクセルの輝度[0≦Y(t) ≦1]を表し、Cは輝度変化量(コントラスト)[-0.5≦C≦0.5]を表す定数(例えば0.3)であり、φは輝度変化する時間の長さ[0≦φ≦∞]を表す定数であり、*は乗算を表し、/は除算を表す。
ただし、tcは一周期内の時間[0≦tc≦φ]を表し、Pi(tc)は時間区間Tiにおける平均の瞳孔径[1≦i≦3]を表し、Vi(tc+φ*(n-1)は各時間区間Tiにおける瞳孔径を表し、nは各周期に対応する整数[1≦n≦N]であり、Nは全周期数を表す。ここで、最初に変動ニュートラル画像が出力された時間区間T1における瞳孔径をP1(t)(図5の点線のグラフ5A)、変動ターゲット画像が出力された時間区間T2における瞳孔径をP2(t)(図5の一点鎖線のグラフ5B)、再び変動ニュートラル画像が出力された時間区間T3における瞳孔径をP3(t)(図5の二点鎖線のグラフ5C)とする。実線のグラフ5Dは輝度Yの変化に対応している。
・瞳孔径の変動量の平均値
M1=Mean{P2(tc)/P1(tc)} …(6)
ただし、Mean{・}は・の平均を表す。
・瞳孔径の残効量の平均値
M2=Mean{P3(tc)/P1(tc)} …(7)
・瞳孔径の振幅比
M3=(Max(P2(0:φ/2))-Min(P2(φ/2:φ)))
/(Max(P1(0:φ/2))-Min(P1(φ/2:φ))) …(8)
ただし、Max(P1(0:φ/2))はP1(α)(0≦α≦φ/2)の最大値を表し、Min(P1(φ/2:φ))はP1(β)(φ/2≦β≦φ)の最小値を表す。
・瞳孔径変動の位相差
M4=(tc(Max(P2(0:φ/2)))+tc(Min(P2(φ/2:φ)))-φ/2)
/(tc(Max(P1(0:φ/2)))+tc(Min(P1(φ/2:φ)))-φ/2) …(9)
ただし、tc(Max(・))は・が最大となった時間を表し、tc(Min(・))は・が最小となった時間を表す。
・瞳孔径の拡大・縮小のバランス比
M5=|{P2(0:φ/2)-P1(0:φ/2)}/{P2(φ/2:φ)-P1(φ/2:φ)}| …(10)
ただし、|・|は・の絶対値を表す。
なぜなら、時間区間T1と時間区間T2との間の変動ニュートラル画像から変動ターゲット画像に切り替わる時点、及び、時間区間T2と時間区間T3との間の変動ターゲット画像から変動ニュートラル画像に切り替わる時点で何らかの対光反射が生じる可能性があるからである。ターゲット画像のピクセル位置をランダムに配置したものをニュートラル画像とした場合、変動ニュートラル画像と変動ターゲット画像では、各時点においてその明るさの平均が完全に等しい。そのために変動ニュートラル画像から変動ターゲット画像へ切り替わるとき(或いはその逆のとき)に、大きい対光反射が起きるとは考えられないが、その大きさがゼロであるとは必ずしも保証されない。また、新しい刺激への非線形な応答である定位反応が生じる可能性もある。
ただし、W1〜W5は式(6)〜(10)で記した各測定値(M1〜M5)への重み付け係数である。感情研究においてよく用いられている画像データベース(IAPS)の各画像に対して、感情の強さを反映しているとされる精神性発汗量を測定したデータがある(例えば、「Bradley, M. & Lang, P. (2007) Emotion and motivation. In Handbook of Psychophysiology (Edited by J.Cacioppo, L.Tassinary, G.Berntson), Cambridge University Press」参照)。同じデータベースを用いて、瞳孔径から感情強度式(12)を測定し、精神性発汗量と最も高い相関を示す重み付け値W1〜W5を推定した。その結果、[W1, W2, W3, W4, W5]=[1, 0.5, 0.5, 1, 0.5]という値が得られた。便宜的にこの値をW1〜W5として使用することも可能であるし、実施の状況や目的に応じてW1〜W5を可変とすることもできる。また、各測定値(M1〜M5)の一部が用いられず、W1〜W5の一部が0であってもよい。
次に、本発明の第1実施形態を説明する。
図1に例示するように、第1実施形態の感情強度測定装置110は、色特性入力部111と画像入力部112と画像作成部113と瞳孔情報入力部114と感情計測部115と制御部116とを有し、画像呈示装置120及び瞳孔計測装置130に接続される。画像作成部113は、ニュートラル画像生成部113aと変動ニュートラル画像生成部113bと変動ターゲット画像生成部113cと選択部113dとを有する。感情計測部115は、抽出部115aと感情強度演算部115bとを有する。
感情強度測定装置110は、以下の処理によってターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成する(図2)。
第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、時間区間T3において変動ニュートラル画像を出力することなく、感情強度Epを算出する形態である。以下では第1実施形態との相違点のみを説明する。
図1に例示するように、第2実施形態の感情強度測定装置210は、色特性入力部111と画像入力部112と画像作成部213と瞳孔情報入力部114と感情計測部215と制御部116とを有し、画像呈示装置120及び瞳孔計測装置130に接続される。画像作成部213は、ニュートラル画像生成部113aと変動ニュートラル画像生成部113bと変動ターゲット画像生成部113cと選択部213dとを有する。感情計測部315は、抽出部215aと感情強度演算部215bとを有する。なお、感情強度測定装置210は、例えば、第1実施形態と同様、CPU、RAM、ROMなどを含む公知又は専用のコンピュータと特別なプログラムとによって構成される特別な装置である。
感情強度測定装置210は、以下の処理によってターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成する(図2)。
第3実施形態は第1実施形態の変形例であり、時間区間T1において変動ニュートラル画像を出力することなく、感情強度Epを算出する形態である。以下では第1実施形態との相違点のみを説明する。なお、第3実施形態では、時間区間T3が「第1時間区間」に相当し、時間区間T2が「第2時間区間」に相当する。
図1に例示するように、第2実施形態の感情強度測定装置310は、色特性入力部111と画像入力部112と画像作成部313と瞳孔情報入力部114と感情計測部315と制御部116とを有し、画像呈示装置120及び瞳孔計測装置130に接続される。画像作成部313は、ニュートラル画像生成部113aと変動ニュートラル画像生成部113bと変動ターゲット画像生成部113cと選択部313dとを有する。感情計測部315は、抽出部315aと感情強度演算部315bとを有する。なお、感情強度測定装置310は、例えば、第1実施形態と同様、CPU、RAM、ROMなどを含む公知又は専用のコンピュータと特別なプログラムとによって構成される特別な装置である。
感情強度測定装置310は、以下の処理によってターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成する(図2)。
/(Max(P3(0:φ/2))-Min(P3(φ/2:φ)))…(13)
M4'=(tc(Max(P2(0:φ/2)))+tc(Min(P2(φ/2:φ)))-φ/2)
/(tc(Max(P3(0:φ/2)))+tc(Min(P3(φ/2:φ)))-φ/2)) …(14)
M5'=|{P2(0:φ/2)-P3(0:φ/2)}
/{P2(φ/2:φ)-P3(φ/2:φ)}| …(15)
Ep=W2*M2+W3*M3'+W4*M4'+W5*M5' …(16)
また、本形態でも、時間区間T3が先頭の所定時間区間と当該所定時間区間に続く第2利用時間区間とを含み、感情強度Epの算出に用いられる時間区間T3での瞳孔径情報が第2利用時間区間での観察者の瞳孔径に対応する情報であることが望ましく、「先頭の所定時間区間」が瞳孔の反応潜時以上であることが望ましい。より具体的には、例えば、式(5)の代わりに以下の式(11)に従って時間区間T3における平均の瞳孔径P3(tc)を求めることが望ましい。このように時間区間T3の先頭の所定時間区間の瞳孔径のデータを用いないことにより、不確定な対光反射や定位反応の成分を除去することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述の各実施形態では、ターゲット画像が含む各ピクセルの位置をランダムに変更して得られる画像をニュートラル画像とする例を示したが、ターゲット画像と無関係な任意に配置された複数のピクセルからなる画像をニュートラル画像としてもよい。
Claims (10)
- ターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成する感情強度測定装置であって、
前記ターゲット画像が入力される画像入力部と、
任意に配置された複数のピクセルからなるニュートラル画像の輝度を時間に応じて変動させた変動ニュートラル画像を第1時間区間において出力し、前記ターゲット画像の輝度を時間に応じて変動させた変動ターゲット画像を第2時間区間において出力する画像作成部と、
前記第1時間区間での前記観察者の瞳孔径に対応する第1瞳孔径情報と、前記第2時間区間での前記観察者の瞳孔径に対応する第2瞳孔径情報とが入力される瞳孔情報入力部と、
前記第2瞳孔径情報を前記第1瞳孔径情報で正規化することにより、前記ターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成する感情計算部と、
を有し、
前記観察者の感情の強さを推定するための情報は、前記第2瞳孔径情報を前記第1瞳孔径情報で正規化した値が大きいほど前記観察者の感情の強さが強いことに対応するものである、感情強度測定装置。 - 請求項1の感情強度測定装置であって、
前記第2時間区間は、前記第1時間区間に続く時間区間であり、
前記第2時間区間は、先頭の所定時間区間と当該所定時間区間に続く第1利用時間区間とを含み、
前記第2瞳孔径情報は、前記第1利用時間区間での前記観察者の瞳孔径に対応する情報である、
ことを特徴とする感情強度測定装置。 - 請求項2の感情強度測定装置であって、
前記画像作成部は、さらに、前記第2時間区間に続く第3時間区間において前記変動ニュートラル画像を出力し、
前記瞳孔情報入力部には、さらに、前記第3時間区間での前記観察者の瞳孔径に対応する第3瞳孔径情報が入力され、
前記感情計算部は、さらに前記第3瞳孔径情報を前記第1瞳孔径情報で正規化した値を用い、前記ターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成し、
前記観察者の感情の強さを推定するための情報は、前記第2瞳孔径情報を前記第1瞳孔径情報で正規化した値が大きいほど、かつ、前記第3瞳孔径情報を前記第1瞳孔径情報で正規化した値が大きいほど前記観察者の感情の強さが強いことに対応するものである
ことを特徴とする感情強度測定装置。 - 請求項3の感情強度測定装置であって、
前記第3時間区間は、先頭の所定時間区間と当該所定時間区間に続く第2利用時間区間とを含み、
前記第3瞳孔径情報は、前記第2利用時間区間での前記観察者の瞳孔径に対応する情報である、
ことを特徴とする感情強度測定装置。 - 請求項1から4の何れかの感情強度測定装置であって、
前記ターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報は、
前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径と前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径との間の変動量、前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさと前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさとの間の相対値、前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の位相と前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の位相との間の相対値、及び、前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさと前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさとの間の相対値の変動値、の少なくとも一部の線形和である、
ことを特徴とする感情強度測定装置。 - 請求項3又は4の感情強度測定装置であって、
前記ターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報は、前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径と前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径との間の変動量、前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径と前記第3瞳孔径情報によって特定される瞳孔径との間の変動量、前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさと前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさとの間の相対値、前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の位相と前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の位相との間の相対値、及び、前記第1瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさと前記第2瞳孔径情報によって特定される瞳孔径の大きさとの間の相対値の変動値、の少なくとも一部の線形和である、
ことを特徴とする感情強度測定装置。 - 請求項1から6の何れかの感情強度測定装置であって、
前記ニュートラル画像は、前記ターゲット画像が含む各ピクセルの位置を任意に変更して得られる画像である、
ことを特徴とする感情強度測定装置。 - 請求項1から7の何れかの感情強度測定装置であって、
前記変動ニュートラル画像の輝度及び前記変動ターゲット画像の輝度は、それぞれ、時間を変数とする正弦波で表現される、
ことを特徴とする感情強度測定装置。 - ターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成する感情強度測定方法であって、
前記ターゲット画像が入力されるステップと、
任意に配置された複数のピクセルからなるニュートラル画像の輝度を時間に応じて変動させた変動ニュートラル画像を第1時間区間において出力し、前記ターゲット画像の輝度を時間に応じて変動させた変動ターゲット画像を第2時間区間において出力するステップと、
前記第1時間区間での前記観察者の瞳孔径に対応する第1瞳孔径情報と、前記第2時間区間での前記観察者の瞳孔径に対応する第2瞳孔径情報とが入力されるステップと、
前記第2瞳孔径情報を前記第1瞳孔径情報で正規化することにより、前記ターゲット画像を観察した観察者の感情の強さを推定するための情報を生成するステップと、
を有し、
前記観察者の感情の強さを推定するための情報は、前記第2瞳孔径情報を前記第1瞳孔径情報で正規化した値が大きいほど前記観察者の感情の強さが強いことに対応するものである、感情強度測定方法。 - 請求項1から8の何れかの感情強度測定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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