JP5403134B2 - 蛍光体及びそれを使用した発光装置 - Google Patents
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Description
この場合、得られる蛍光体は、酸窒化物蛍光体のみであり、酸素を含まない窒化物蛍光体は得られていない。
即ち、本発明は以下の[1]〜[14]を要旨とするものである。
ただし、ピーク強度比Iは、2θが10゜以上60゜以下の範囲の粉末X線回折パターンにおいて、2θが34゜以上36.36°以下の範囲に存在する最強ピークの高さImaxに対する該当ピークの高さIpの比(Ip×100)/Imax(%)である。ここで、ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
(但しa’,b’,c’,d’,e’,f’,g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15、
0.7≦b’≦0.99999、
0≦c’<1、
0≦d’<1、
a’+b’+c’+d’=1、
0.5≦e’≦1.5、
0.5≦f’≦1.5、
2.5≦g’≦3.5
M1’はEu又はEuとCeよりなる付活元素を表し、M2’はMg及び/又はBaを表す。)
また、この蛍光体を含有する組成物を用いることによって、発光効率の高い発光装置を得ることができる。この発光装置は、画像表示装置や照明装置等の用途に好適に用いられる。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体の組成については特に制限はないが、以下に例を挙げて説明する。
なお、本明細書において、蛍光体の母体とは、付活元素を固溶し得る結晶又はガラス(アモルファス)を意味し、付活元素を含有せずに、結晶又はガラス(アモルファス)それ自体が発光するものも含むものとする。
本発明の蛍光体は、付活元素M1、2価の金属元素M2、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むことが好ましく、付活元素M1、2価の金属元素M2、3価の金属元素M3、及び少なくともSiを含む4価の金属元素M4を含むことがより好ましい。
M1 aM2 bM3 cM4 dNeOf [1]
(但し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5
0≦f≦0.5 )
尚、前記一般式[1]において、M1は前記付活元素M1を表し、M2は前記2価の金属元素M2を表し、M3は前記3価の金属元素M3を表し、M4は前記少なくともSiを含む4価の金属元素M4を表す。
1.84≦e≦4.17
となる。しかしながら、前記一般式[1]で表される蛍光体組成において、窒素の含有量を示すeが2.5未満であると蛍光体の収率が低下する傾向にある。また、eが3.5を超えても蛍光体の収率が低下する傾向にある。従って、eは通常2.5≦e≦3.5である。
M1’ a’Srb’Cac’M2’ d’Ale’Sif’Ng’ [2]
(但し、a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15
0.1≦b’≦0.99999
0≦c’<1
0≦d’<1
a’+b’+c’+d’=1
0.5≦e’≦1.5
0.5≦f’≦1.5
0.8×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’))
a’+b’+c’+d’=1
を満足する。
0.8(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’)であり、好ましくは0.9×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.1×(2/3+e’+4/3×f’)、より好ましくは、2.5≦g’≦3.5である。
酸素の含有量は蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
本発明の蛍光体を製造する方法としては、特に制限はないが、原料由来の不純物が少なく、製造工程においても不純物の混入が少ない製造方法が好ましい。また、原料を高圧下で窒化すると発光特性の高い蛍光体を得られる傾向にあり、より好ましい。具体的には、合金を原料とする製造方法(以下、「合金法」と称する場合がある。)や、金属化合物を原料として高圧下で窒化することにより蛍光体を得る製造方法が挙げられる。中でも、得られる蛍光体の発光特性がより優れたものであることから、合金法を用いることが好ましい。
以下、合金法による蛍光体の製造方法について詳述する。
合金法を用いて本発明の蛍光体を製造するには、例えば、前記一般式[1]で表される組成を有する蛍光体を製造する場合、下記一般式[3]の組成となるように、原料となる金属やその合金(以下、単に「原料金属」と言う場合がある。)を秤量する。次いで、これを融解させて合金化して蛍光体原料用合金を製造し、その後、この蛍光体原料用合金を粉砕して合金粉末を製造し、窒素含有雰囲気中で加熱することにより窒化を行う。
M1 aM2 bM3 cM4 d [3]
(但し、M1、M2、M3、M4、a、b、c、dはそれぞれ前記一般式[1]におけると同義である。)
合金の製造に使用する金属の純度は、合成される蛍光体の発光特性の点から、付活元素M1の金属原料としては不純物が0.1モル%以下、好ましくは0.01モル%以下まで精製された金属を使用することが好ましい。付活元素M1としてEuを使用する場合には、Eu原料としてEu金属を使用することが好ましい。付活元素M1以外の元素の原料としては、2価、3価、4価の各種金属等を使用する。付活元素M1と同様の理由から、いずれも含有される不純物濃度は0.1モル%以下であることが好ましく、0.01モル%以下であることがより好ましい。例えば、不純物としてFe、Ni、及びCoからなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する場合、各々の元素の含有量は、通常500ppm以下、好ましくは100ppm以下である。
原料金属の形状に制限は無いが、通常、直径数mmから数十mmの粒状又は塊状のものが用いられる。
2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を用いる場合、その原料としては、粒状、塊状など形状は問わないが、原料の化学的性質に応じて適切な形状を選択するのが好ましい。例えば、Caは粒状、塊状のいずれでも大気中で安定であり、使用可能であるが、Srは化学的により活性であるため、塊状の原料を用いることが好ましい。
原料金属を、目的の組成となるように秤量し、これを融解する。原料金属を融解する方法に特に制限はないが、例えば、抵抗加熱法、電子ビーム法、アーク融解法、高周波誘導加熱法等を用いることができる。また、融解時に用いることのできるルツボの材質としては、アルミナ、カルシア、黒鉛、モリブデン等が挙げられる。
また、原料金属の融解にあたっては、特に、Siと2価の金属元素M2としてアルカリ土類金属元素を含む蛍光体原料用合金を製造する場合、以下の問題点があるため、高融点(高沸点)のSi金属及び/又はSiを含む合金を融解させた後、低融点(低沸点)のアルカリ土類金属を融解させることが好ましい。
さらに、このようにSi金属を融解した後にアルカリ土類金属の融解を行うことにより、得られる合金の純度が向上し、それを原料とする蛍光体の特性が著しく向上するという効果も奏される。
以下、(1)アーク融解法・電子ビーム法の場合、(2)高周波融解法の場合を例に更に詳しく説明する。
アーク融解・電子ビーム融解の場合は、以下の手順で融解を行う。
i)Si金属又はSiを含む合金を電子ビームあるいはアーク放電により融解する。
ii)次いで間接加熱によりアルカリ土類金属を融解し、Siとアルカリ土類金属とを含む合金を得る。
ここで、Siを含む溶湯にアルカリ土類金属が溶け込んだ後、電子ビームあるいはアーク放電により加熱・攪拌して混合を促進しても良い。
アルカリ土類金属元素を含む合金は酸素との反応性が高いため、大気中ではなく真空あるいは不活性ガス中で融解する必要がある。このような条件では通常、高周波融解法が好ましい。しかしながら、Siは半導体であり、高周波を用いた誘導加熱による融解が困難である。例えば、アルミニウムの20℃における比抵抗率は2.8×10−8Ω・mであるのに対し、半導体用多結晶Siの比抵抗率は105Ω・m以上である。このように比抵抗率が大きいものを直接高周波融解することは困難であるため、一般に導電性のサセプタを用い、熱伝導や放射によりSiに熱移動を行って融解する。サセプタとしては、ディスク状、管状なども可能であるが坩堝を用いることが好ましい。サセプタの材質としては、黒鉛、モリブデン、炭化珪素などが一般に用いられるが、これらは、非常に高価であり、また、アルカリ土類金属と反応しやすいという問題点がある。一方、アルカリ土類金属を融解可能な坩堝(アルミナ、カルシアなど)は絶縁体であり、サセプタとして使用することが難しい。従って、アルカリ土類金属とSi金属とを坩堝に仕込んで高周波融解するにあたり、公知の導電性の坩堝(黒鉛など)をサセプタとして使用して、間接的な加熱によりSi金属とアルカリ土類金属とを同時に融解することは困難である。そこで、次のような順序で融解することで、この問題点を解決する。
i)Si金属を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解する。
ii)次に、絶縁性の坩堝を使用して、アルカリ土類金属を融解することにより、Siとアルカリ土類金属元素とを含む合金を得る。
i)Si金属と金属M(例えばAl、Ga)を導電性の坩堝を使用して間接加熱により融解し、導電性の合金(母合金)を得る。
ii)次いで、アルカリ土類金属耐性坩堝を使用して、i)の母合金を融解させた後、アルカリ土類金属を高周波により融解させることにより、Siとアルカリ土類金属元素とを含む合金を得る。
Siと2価の金属元素M2以外の金属Mとの母合金を用いる場合、その組成には特に制限はないが、母合金が導電性を有していることが好ましい。この場合、Siと金属Mとの混合割合(モル比)は、Siのモル数を1とした場合に、金属Mが、通常0.01以上、5以下の範囲となるようにして、アルカリ土類金属元素の沸点よりも融点の低い母合金を製造することが好ましい。
なお、Siを含む母合金に、さらにSi金属を加えることもできる。
付活元素M1を均一に分散させるため、また、付活元素M1の添加量は少量であるため、Si金属を融解させた後に付活元素M1の原料金属を融解させることが好ましい。
(1) Siと3価の金属元素M3との母合金を製造する。この際、好ましくはSiと3価の金属元素M3とは、一般式[3]におけるSi:M3比で合金化する。
(2) (1)の母合金を融解させた後、Srを融解させる。
(3) その後、Sr以外の2価の金属元素、付活元素M1を融解させる。
原料金属の融解により製造された合金溶湯から直接窒素含有合金を製造することもできるが、原料金属の融解により製造された合金溶湯を金型に注入して成型する鋳造工程を経て、凝固体(合金塊)を得ることが好ましい。ただし、この鋳造工程において溶融金属の冷却速度によって偏析が生じ、溶融状態で均一組成であったものが組成分布に偏りが生じることもある。従って、冷却速度はできるだけ速いことが望ましい。また、金型は銅などの熱伝導性のよい材料を使用することが好ましく、熱が放散しやすい形状であることが好ましい。また、必要に応じて水冷などの手段により金型を冷却する工夫をすることも好ましい。
鋳造工程で得られた合金塊は次いで粉砕することにより、所望の粒径、粒度分布を有する合金粉末を調製することができる。粉砕方法としては、乾式法や、エチレングリコール、ヘキサン、アセトン等の有機溶媒を用いる湿式法で行うことが可能である。以下、乾式法を例に詳しく説明する。
この粉砕工程は、必要に応じて、粗粉砕工程、中粉砕工程、微粉砕工程等の複数の工程に分けてもよい。この場合、全粉砕工程を同じ装置を用いて粉砕することもできるが、工程によって使用する装置を変えてもよい。
また、粉砕中に合金粉末の温度が上がらないように必要に応じて冷却してもよい。
粉砕工程で粉砕された合金粉末は、バイブレーティングスクリーン、シフターなどの網目を使用した篩い分け装置、エアセパレータ等の慣性分級装置、サイクロン等の遠心分離機を使用して、後述の所望の重量メジアン径D50及び粒度分布に調整される。
粒度分布の調整においては、粗粒子を分級し、粉砕機にリサイクルすることが好ましく、分級及び/又はリサイクルが連続的であることがさらに好ましい。
上記の合金粉末を用いて、蛍光体を製造する方法には特に制限はなく、窒化物、酸窒化物など蛍光体の種類に応じて反応条件が設定されるが、以下に窒化反応を例にとって説明する。
即ち、まず、窒化処理原料である合金粉末をるつぼ、或いはトレイに充填する。ここで使用するるつぼ或いはトレイの材質としては、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミニウム、モリブデン、タングステン等が挙げられるが、窒化ホウ素が耐食性に優れることから好ましい。
(結晶構造)
本発明の蛍光体の結晶構造に関して述べる。
本発明の蛍光体の結晶構造としては、WO2005/052087に記載のCASN構造と同一の斜方晶(Cmc21、#36)の結晶構造を有することが好ましい。格子定数は通常、9.7Å≦a≦9.93Å、5.6Å≦b≦5.8Å、5.0Å≦c≦5.2Å、270Å3≦V≦300Å3であり、さらに好ましくは、9.75Å≦a≦9.93Å、5.69Å≦b≦5.77Å、5.1Å≦c≦5.18Å、280Å3≦V≦298Å3、である。
本発明者らは、本発明の蛍光体についてCuKα線(1.54184Å)を用いた場合に測定される粉末X線回折パターンについて検討を行った。
〈表B〉から、Srの置換量によって、回折ピーク位置がずれることがわかる。CaよりもSrの方が、イオン半径が大きいため、Sr置換量が多いものほど格子定数が大きくなり、ピーク位置の2θの値が小さくなる。
例えば、本発明の蛍光体が、前記一般式[2]で表される化学組成を有し、かつ、付活元素M1としてEuを含有する場合、橙色ないし赤色蛍光体としての用途に鑑みて、ピーク波長465nmの光で励起した場合における発光スペクトルを測定した場合に、以下の特徴を有することが好ましい。
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径D50が、通常3μm以上、中でも5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径D50が小さすぎると、輝度が低下する場合や、蛍光体粒子が凝集してしまう場合がある。一方、重量メジアン径D50が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
なお、本発明における蛍光体の重量メジアン径D50は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
本発明の蛍光体は、温度特性にも優れるものである。具体的には、波長455nmにピークを有する光を照射した場合における25℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値に対する150℃での発光スペクトル図中の発光ピーク強度値の割合が、通常55%以上であり、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
また、通常の蛍光体は温度上昇と共に発光強度が低下するので、該割合が100%を越えることは考えられにくいが、何らかの理由により100%を超えることがあっても良い。ただし150%を超えるようであれば、温度変化により色ずれを起こす傾向となる。
本発明の蛍光体は、その内部量子効率が高いほど好ましい。その値は、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、更に好ましくは0.7以上である。内部量子効率が低いと発光効率が低下する傾向にあり、好ましくない。
本発明の蛍光体は、高輝度であり、演色性が高いという特性を生かして、各種の発光装置(後述する「本発明の発光装置」)に好適に用いることができる。例えば、本発明の蛍光体が橙色ないし赤色蛍光体である場合、緑色蛍光体、青色蛍光体等を組み合わせれば、高演色性の白色発光装置を実現することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。また、本発明の蛍光体を単独で使用することも可能であり、例えば、近紫外LEDと本発明の橙色蛍光体とを組み合わせれば、橙色発光装置を製造することができる。
本発明の蛍光体は、液体媒体と混合して用いることもできる。特に、本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液体媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液体媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体の種類に制限は無く、上述したものから任意に選択することができる。また、本発明の蛍光体含有組成物に含有させる本発明の蛍光体は、1種のみであってもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に、本発明の蛍光体含有組成物には、必要に応じて本発明の蛍光体以外の蛍光体を含有させてもよい。
本発明の蛍光体含有組成物に使用される液体媒体としては、該蛍光体の性能を目的の範囲で損なわない限りにおいて特に限定されない。例えば、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させるとともに、好ましくない反応を生じないものであれば、任意の無機系材料及び/又は有機系材料が使用できる。
また、上記式(i)において、M、D、T及びQは、各々0以上1未満の数であり、且つ、M+D+T+Q=1を満足する数である。
具体的には、下記一般式(ii)及び/又は(iii)で表される化合物、及び/又はそ
のオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
(式(ii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは、加水分解性基を表し、Y1は、1価の有機基を表し、mは、Mの価数を表す1以上の整数を表し、nは、X基の数を表す1以上の整数を表す。但し、m≧nである。)
(式(iii)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表し、Xは、加水分解性基を表し、Y1は、1価の有機基を表し、Y2は、u価の有機基を表し、sは、Mの価数を表す1以上の整数を表し、tは、1以上、s−1以下の整数を表し、uは、2以上の整数を表す。)
シリコーン系材料は、一般に半導体発光素子や素子を配置する基板、パッケージ等との接着性が弱いことが課題とされるが、密着性が高いシリコーン系材料として、特に、以下の特徴〔1〕〜〔3〕のうち1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料が好ましい。
〔2〕後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
〔3〕シラノール含有率が0.1重量%以上、10重量%以下である。
以下、上記の特徴〔1〕〜〔3〕について説明する。
従来のシリコーン系材料の基本骨格は炭素−炭素及び炭素−酸素結合を基本骨格としたエポキシ樹脂等の有機樹脂であるが、これに対し本発明のシリコーン系材料の基本骨格はガラス(ケイ酸塩ガラス)などと同じ無機質のシロキサン結合である。このシロキサン結合は、下記表5の化学結合の比較表からも明らかなように、シリコーン系材料として優れた以下の特徴がある。
(II)電気的に若干分極している。
(III)鎖状構造の自由度は大きく、フレキシブル性に富む構造が可能であり、シロキサ
ン鎖中心に自由回転可能である。
(IV)酸化度が大きく、これ以上酸化されない。
(V)電気絶縁性に富む。
7重量%以下の範囲である。
シリコーン系材料を白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
本発明に好適なシリコーン系材料の固体Si−NMRスペクトルを測定すると、有機基の炭素原子が直接結合したケイ素原子に由来する前記(a)及び/又は(b)のピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
一方、(b)に記載のピークの半値幅は、通常5.0ppm以下、好ましくは4.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上の範囲である。
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なう。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求める。また、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することによりシラノール含有率を求める。
装置:Chemagnetics社InfinityCMX-400核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
1Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
繰り返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
基準試料:テトラメトキシシラン
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについてローレンツ波形及びガウス波形或いは両者の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメータとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なう。
なお、ピークの同定は、AIChE Journal,44(5),p.1141,1998年等を参考にする。
本発明に好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿・透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
本発明の蛍光体含有組成物の液体媒体の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の蛍光体含有組成物全体に対して、通常50重量%以上、好ましくは75重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。液体媒体の量が多い場合には特段の問題は起こらないが、発光装置とした場合に所望の色度座標、演色指数、発光効率等を得るには、通常、上記のような配合比率で液体媒体を用いることが望ましい。一方、液体媒体が少な過ぎると流動性がなく取り扱い難くなる可能性がある。
なお、本発明の蛍光体含有組成物には、本発明の効果を著しく損なわない限り、蛍光体及び液体媒体以外に、その他の成分を含有させてもよい。また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
次に、本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置(以下、適宜「発光装置」という)は、第1の発光体(励起光源)と、当該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを有する発光装置であって、該第2の発光体が、前述の本発明の蛍光体の1種又は2種以上を第1の蛍光体として含有するものである。
(第1の発光体)
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。
なお、第1の発光体は、1個のみを用いてもよく、2個以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体として前述の本発明の蛍光体(例えば、橙色ないし赤色蛍光体)を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、後述する第2の蛍光体(例えば、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等)を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
本発明の発光装置における第2の発光体は、第1の蛍光体として、少なくとも上述の本発明の蛍光体を含有する。本発明の蛍光体は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いてもよい。例えば、本発明の蛍光体が、前記一般式[2]で表され、かつ、付活元素M1としてEuを含有する場合において、通常、本発明の蛍光体は橙色ないし赤色蛍光体であるので、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の橙色ないし赤色蛍光体を併用することができる。
この際、同色併用蛍光体である橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
以上例示した橙色ないし赤色蛍光体は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光ピーク波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。上記のように、第1の蛍光体として橙色ないし赤色蛍光体を使用する場合、第2の蛍光体としては、例えば緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体等の第1の蛍光体とは異なる色を発する蛍光体を用いる。
第2の蛍光体として青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Euで表されるユーロピウム賦活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Mg,Ca,Sr,Ba)5(PO4)3(Cl,F):Euで表されるユウロピウム賦活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行なう(Ca,Sr,Ba)2B5O9Cl:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行なう(Sr,Ca,Ba)Al2O4:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al14O25:Euで表されるユウロピウム賦活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
第2の蛍光体として黄色蛍光体を使用する場合、当該黄色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE3M5O12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)やMa 3Mb 2Mc 3O12:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表す。)等で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2MdO4:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mdは、Si、及び/又はGeを表す。)等で表されるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN3:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体が挙げられる。
第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する場合、当該緑色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する場合がある。
上記第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体を単独で使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。従って、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率等は、発光装置の用途等に応じて任意に設定すればよい。
但し、以下の表d)、表h)、及び後掲の表5)で深赤色蛍光体として例示している(Ca,Sr)AlSiNi3:Euとは、CaとSrの合計量に対するCaの量が40モル%以上であり、波長630nm以上700nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する蛍光体であり、本発明の蛍光体であってもよい。
本発明の発光装置において、上記第1及び/又は第2の蛍光体は、通常、封止材料である液体媒体に分散させて用いられる。
該液体媒体としては、前述の[蛍光体含有組成物]の項で記載したのと同様のものが挙げられる。
また、上記液体媒体としては、更に、拡散剤、フィラー、粘度調整剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤を含有していてもよい。
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能であるが、色再現範囲が広く、且つ、演色性も高いことから、中でも照明装置や画像表示装置の光源として、とりわけ好適に用いられる。
本発明の発光装置を照明装置に適用する場合には、前述のような発光装置を公知の照明装置に適宜組み込んで用いればよい。例えば、図3に示されるような、前述の発光装置(4)を組み込んだ面発光照明装置(11)を挙げることができる。
本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、その画像表示装置の具体的構成に制限は無いが、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。例えば、画像表示装置として、カラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置とする場合は、上記発光装置をバックライトとし、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターとを組み合わせることにより画像表示装置を形成することができる。
後述の各実施例及び各比較例において、各種の評価は以下の手法で行った。
発光スペクトルは、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置としてマルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)用いて測定した。励起光源からの光を焦点距離が10cmである回折格子分光器に通し、波長450nm〜475nmの励起光のみを光ファイバーを通じて蛍光体に照射した。励起光の照射により蛍光体から発生した光を焦点距離が25cmである回折格子分光器により分光し、300nm以上800nm以下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、パーソナルコンピュータによる感度補正等の信号処理を経て発光スペクトルを得た。なお、測定時には、受光側分光器のスリット幅を1nmに設定して測定を行なった。
また、JIS Z8724に準拠して算出したXYZ表色系における刺激値Yから、後述する参考例1における蛍光体の刺激値Yの値を100%とした相対輝度を算出した。なお、輝度は、励起青色光をカットして測定した。
発光スペクトルの480nm〜800nm(励起波長455nmの場合)の波長領域のデータから、JIS Z8724に準じた方法で、JIS Z8701で規定されるXYZ表色系における色度座標CIExとCIEyを算出した。
ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry;以下「ICP法」と称する場合がある。)により、ジョバイボン社製ICP化学分析装置「JY 38S」を使用して分析した。
粉末X線回折測定条件の詳細は以下の通りである。
測定装置:PANalytical社製 PW1700型
粉末X線回折測定条件:
X線源:Cu−Kα線(λ=1.54184Å)、
出力設定:40kV・30mA
測定時光学条件:発散スリット=1°
散乱スリット=1°
受光スリット=0.2mm
回折ピークの位置 2θ(回折角)
測定範囲:2θ=10°〜89.95°
スキャン速度:0.05度(2θ)/sec,連続スキャン
試料調製:めのう乳鉢を用いて人力で粉砕し、試料成形治具(旧Philips社製
PW1001/00型)を使って成形した。
サンプルホルダー:PANalytical社製 PW1781/00型
試料部寸法
外径:53mm
内径:27mm
深さ:2.6mm
発光スペクトル測定装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、ペルチエ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ、及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を使用して測定した。
ステージに蛍光体サンプルを入れたセルを載せ、温度を20℃から175℃の範囲で変化させた。すなわち、蛍光体の表面温度が20℃から175℃の範囲の測定温度で一定となったことを確認してから、各温度において、光源から回折格子で分光して取り出したピーク波長455nmの光で蛍光体を励起して発光スペクトルを測定した。測定された発光スペクトルから発光ピーク強度を求め、各温度における該ピーク強度値を25℃におけるピーク強度値を100とした場合の割合で計算した。
なお、蛍光体の表面温度の測定値は、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いた。
上記装置に輝度測定装置として色彩輝度計BM5Aを加えたものを用いて、測定を行った。具体的には、輝度測定装置により測定された輝度値の、25℃における輝度値に対する相対値を輝度維持率とした。
日立製作所製蛍光分光光度計F−4500を使用して、25℃における各蛍光体の橙色発光ピーク強度をモニターして300nm〜530nmの波長範囲内の励起スペクトルを得た。モニターするピーク波長は、各蛍光体の励起波長465nmにおける橙色発光ピーク波長とした。
金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)となるように各金属を秤量し、黒鉛ルツボを用い、アルゴン雰囲気で高周波誘導式溶融炉を用いて原料金属を溶融した後、ルツボから金型へ注湯して凝固させ、金属元素組成比がAl:Si=1:1(モル比)である合金(母合金)を得た。
板の中心部 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.782:0.212:1:0.986、
板の端面 Eu:Sr:Ca:Al:Si=0.009:0.756:0.21:1:0.962
であり、分析精度の範囲において実質的に同一組成であった。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
また、この蛍光体について、発光特性の測定結果を〈表C−1〉に、ICP化学分析結果を〈表C−2〉に示した。
〈表C−1〉において、輝度は、後述の参考例1で得られた蛍光体の輝度を100%としている。
また、得られた蛍光体について、上述の方法により励起スペクトルを測定した。測定された励起スペクトルを図7に示す。
実施例1における蛍光体原料用合金の製造において、金属元素組成比がEu:Sr:Al:Si=0.008:0.992:1:1(モル比)となるように各金属及び母合金を秤量したこと以外は実施例1と同様に板状合金を製造した。
得られた合金についてICP法で組成分析を行ったところ、仕込み組成と分析の精度の範囲内で一致した。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
得られた板状合金を、実施例1と同様の条件で、粉砕し、焼成した。得られた複合窒化物から、非発光部分を除去し、水洗、及び乾燥して、仕込み組成がSr0.992AlSiN3:Eu0.008である蛍光体を得た。
また、この蛍光体について、発光特性の計測結果を〈表C−1〉に、ICP法により蛍光体の組成を分析した結果を〈表C−2〉に示した。
また、得られた蛍光体について、上述の方法により励起スペクトルを測定した。測定された励起スペクトルを図7に示す。
実施例1において、金属元素組成比がEu:Sr:Ca:Al:Si=0.006:0.494:0.5:1:1(モル比)となるように各金属及び母合金を秤量したこと以外は実施例1と同様の条件で重量約5kgの板状合金を製造した。
得られた合金について、ICP法により組成分析を行ったところ、仕込み組成と分析の精度の範囲内で一致した。従って、Euを始め、各々の元素が均一に分布していると考えられた。
この板状合金を、実施例1と同様の条件で、粉砕し、焼成し、仕込み組成がSr0.494Ca0.5AlSiN3:Eu0.006である蛍光体を得た。
また、ピーク位置(2θ)は〈表C−3〉に示す通りであり、この蛍光体の各領域のピーク強度比Iは〈表C−1〉に示す通りであった。
さらに、得られた蛍光体について、温度特性、及び輝度維持率を実施例1と同様の方法により測定した。その結果を、温度特性については図5に、輝度維持率については図6に示す。
金属元素組成比がEu:Sr:Ca:Al:Si=0.008:0.792:0.2:1:1(モル比)となるように、EuN、Sr3N2、Ca2N3(CERAC社製200mesh pass)、AlN(トクヤマ社製グレードF)、Si3N4(宇部興産社製SN−E10)の粉末をアルゴン雰囲気中で秤量し、乳鉢中で混合した。得られた原料混合物を実施例1と同様の条件で窒化して、仕込み組成がSr0.792Ca0.2AlSiN3:Eu0.008である蛍光体を得た。
なお、EuN、Sr3N2は原料金属(それぞれレアメタリック社製、アルドリッチ社製)を4%水素含有窒素雰囲気下、800℃で12時間窒化して得たものである。
また、この蛍光体について、発光特性の計測結果を〈表C−1〉に示した。
金属元素組成比がEu:Sr:Ca:Al:Si=0.008:0.792:0.2:1:1(モル比)となるように、EuN、Sr3N2、Ca2N3(CERAC社製200mesh pass)、AlN(トクヤマ社製グレードF)、Si3N4(宇部興産社製SN−E10)をアルゴン雰囲気で秤量し、乳鉢中で混合した。得られた原料混合物を窒素雰囲気中、0.92MPa加圧下で、1600℃で2時間、次いで、1800℃で2時間加熱することにより窒化して複合窒化物蛍光体を得た。なお、EuN、及びSr3N2は原料金属(それぞれレアメタリック社製、アルドリッチ社製)を4%水素含有窒素雰囲気下、800℃で12時間窒化することにより製造したものである。
窒化を雰囲気加熱炉中(1600℃、常圧)で行ったこと以外は、実施例1と同様の条件で複合窒化物蛍光体を得た。
得られた蛍光体の粉末X線回折の評価結果及び発光特性の計測結果を〈表C−1〉に、ICP法により蛍光体の組成を分析した結果を〈表C−2〉に示した。〈表C−1〉から、CaAlSiN3と同型の斜方晶の結晶相の他に、前述の領域1〜6にピークとして現れる不純物が生成していることがわかる。
金属元素組成比がEu:Ca:Al:Si=0.008:0.992:1:1(モル比)となるように、Ca3N2(CERAC社製200mesh pass)、AlN(トクヤマ社製グレードF)、Si3N4(宇部興産社製SN−E10)、及びEu2O3(信越化学社製)をアルゴン雰囲気中で秤量し、混合機を用いて混合した。得られた原料混合物を窒化ホウ素製ルツボへ充填し、雰囲気加熱炉中にセットした。装置内を1×10−2Paまで真空排気した後、排気を中止し、装置内へ窒素を0.1MPaまで充填した後、1600℃まで昇温し、1600℃で5時間保持して目的の複合窒化物蛍光体を得た。励起波長465nmにおける、この蛍光体の発光ピーク波長は648nmであった。〈表C−3〉にこの蛍光体の粉末X線回折パターンのピーク位置(2θ)を示す。
2 励起光源(第1の発光体)(LD)
3 基板
4 発光装置
5 マウントリード
6 インナーリード
7 励起光源(第1の発光体)
8 蛍光体含有樹脂部
9 導電性ワイヤ
10 モールド部材
11 面発光照明装置
12 保持ケース
13 発光装置
14 拡散板
Claims (12)
- 下記一般式[2]で表される蛍光体であって、CuKα線(1.54184Å)を用いて測定された粉末X線回折パターンにおいて、
2θが34°以上36.36゜以下の範囲に最強ピークを有し、
下記<表A>に示す領域1〜領域6の範囲に当該蛍光体の結晶相の他に現れる不純物のピークは、2θが下記<表A>に示す領域1(10°以上17°以下)の範囲に存在するピークのピーク強度比Iが0.2%未満であり、更に、領域2〜領域6におけるピーク強度比Iが8%以下である
ことを特徴とする蛍光体。
ただし、ピーク強度比Iは、2θが10゜以上60゜以下の範囲の粉末X線回折パターンにおいて、2θが34゜以上36.36゜以下の範囲に存在する最強ピークの高さImaxに対する該当ピークの高さIpの比(Ip×100)/Imax(%)である。ここで、ピーク強度はバックグラウンド補正を行って得た値である。
[2]
(但しa’,b’,c’,d’,e’,f’,g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15、
0.7≦b’≦0.99999、
0≦c’<1、
0≦d’<1、
a’+b’+c’+d’=1、
0.5≦e’≦1.5、
0.5≦f’≦1.5、
2.5≦g’≦3.5
M1’はEu又はEuとCeよりなる付活元素を表し、M2’はMg及び/又はBaを表す。) - 発光ピーク波長が600nm以上、640nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体。
- 酸素の含有量が5重量%以下である、請求項1又は2に記載の蛍光体。
- 結晶構造が斜方晶であり、格子定数が9.75Å≦a≦9.93Å、5.69Å≦b≦
5.77Å、5.1Å≦c≦5.18Å、280Å3≦V≦298Å3である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の蛍光体。 - 内部量子効率が0.6以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の蛍光体と、液状媒体とを含有することを特徴とする蛍光体含有組成物。
- 第1の発光体と、該第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを備え、
該第2の発光体が、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の蛍光体の少なくとも1種を、第1の蛍光体として含有することを特徴とする発光装置。 - 前記第2の発光体が、前記第1の蛍光体とは発光ピーク波長の異なる少なくとも1種の蛍光体を、第2の蛍光体として含有することを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
- 前記第1の発光体が、420nm以上500nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体を含有することを特徴とする請求項8に記載の発光装置。 - 前記第1の発光体が、300nm以上420nm以下の波長範囲に発光ピークを有し、
前記第2の発光体が、前記第2の蛍光体として、420nm以上490nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体と、500nm以上550nm以下の波長範囲に発光ピークを有する少なくとも1種の蛍光体とを含有することを特徴とする請求項8に記載の発光装置。 - 請求項7ないし10のいずれか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする画像表示装置。
- 請求項7ないし10のいずれか1項に記載の発光装置を有することを特徴とする照明装置。
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