JP5380693B2 - 荷電粒子線照射装置及び荷電粒子線装置の制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、荷電粒子線照射装置及び荷電粒子線装置の制御方法に関するものである。
例えばサイクロトロンなどの内部イオン源を備えた加速器では、イオン源のアーク放電をON/OFF制御することで、ビーム(荷電粒子線)の照射状態/非照射状態の切替を行っている。また、従来、サイクロトロンのビームを遮断する装置として、例えば特許文献1に記載された技術がある。特許文献1に記載されたビーム遮断装置では、内部イオン源型サイクロトロンにおいて、内部イオン源の近傍に配置されたシャッタをビーム軌道上に移動させることで、ビームを遮断する。
特開2002−25797号公報
図8は、内部イオン源でアーク放電を発生させて立ち上げた場合のビーム電流の一例を示すグラフである。アーク放電の立ち上がりは、図8に示すように、不安定であるので、加速器から出射されるビームも同様に不安定となり、その結果、不均一な照射野となるおそれがある。
また、上記特許文献1に記載の従来技術では、機械的にシャッタを開閉することで、ビームの照射状態/非照射状態の切替を行っているため、高速での切替が困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、荷電粒子線の照射状態/非照射状態の切替の高速化を図ると共に、出射される荷電粒子線の安定化を図ることが可能な荷電粒子線照射装置及び荷電粒子線照射装置の制御方法を提供することを目的としている。
本発明による荷電粒子線照射装置は、被照射体に荷電粒子線照射する荷電粒子線照射装置であって、荷電粒子を発生させるイオン源と、当該イオン源で発生した荷電粒子に加速電極により加速電圧を印加して荷電粒子を加速し、荷電粒子線を出射する加速器と、加速電圧を制御する制御手段を備え、制御手段は、荷電粒子線の照射状態の加速電圧を基準加速電圧とし、加速電圧を基準加速電圧より大きい又は小さい設定加速電圧に切り替えることで、荷電粒子線を非照射状態とする設定加速電圧制御手段を備えることを特徴としている。
また、本発明による荷電粒子線照射装置の制御方法は、イオン源で荷電粒子を発生させ、発生した荷電粒子を加速器で加速して荷電粒子線を出射し、被照射体に荷電粒子線を照射する荷電粒子線照射装置の制御方法であって、イオン源により荷電粒子を発生させる荷電粒子生成工程と、加速器の加速電極により荷電粒子に印加され荷電粒子を加速させる加速電圧を制御する制御工程を備え、制御工程は、荷電粒子線の照射状態の加速電圧を基準加速電圧とし、加速電圧を基準加速電圧より大きい又は小さい設定加速電圧に切り替えることで、荷電粒子線を非照射状態とする設定加速電圧制御工程を備えることを特徴としている。
この発明では、荷電粒子線の照射状態の加速電圧を基準加速電圧とし、加速電圧を、基準加速電圧より大きい又は小さい設定加速電圧に切り替えることで、荷電粒子線の軌道を変更して、加速器内の物体に荷電粒子線を衝突させて、荷電粒子線を非照射状態とすることができる。このように、加速電圧を大きく又は小さく切り替えるだけで、非照射状態とすることができるため、荷電粒子線の照射状態/非照射状態の切替の高速化を図ることができる。また、イオン源のアーク放電のON/OFF制御によらず、荷電粒子の照射/非照射を切り替えることができるため、アーク放電の立ち上がりにおける不安定さの影響を受けることがなく、荷電粒子線の安定化を図ることができる。
ここで、設定加速電圧制御手段は、加速器内に設けられた電極に、イオン源から出射された荷電粒子を衝突させるように、設定加速電圧を制御することが好ましい。このように、設定加速電圧を制御して、イオン源から出射された荷電粒子線を電極に衝突させることで非照射状態とする。これにより、従来から配置されている電極に、荷電粒子線を衝突させて、非照射状態とすることができる。
また、設定加速電圧への切替後に、イオン源でのアーク放電を発生させ、アーク放電の発生後に、加速電圧を基準加速電圧に切り替えることが好適である。これにより、加速電圧を設定加速電圧へ変更している時間を短くすることができる。そのため、加速電極の温度低下を抑制し、荷電粒子線の安定化を図ることができる。
本発明によれば、出射される荷電粒子線を安定化させつつ、荷電粒子線の照射状態/非照射状態の切替の高速化を図ることができる。
本発明の実施形態に係る荷電粒子線照射装置の一部を示す斜視図である。 図1の荷電粒子線照射装置の概略構成図である。 図2中のサイクロトロンの概略構成図である。 図3のサイクロトロンの中央付近の要部拡大図である。 加速電圧の切り替えのみを実施した場合の加速電圧、アーク電圧、ビーム電流の関係を示すグラフである。 アーク電圧のON/OFF制御を取り入れた場合の加速電圧、アーク電圧、ビーム電流の関係を示すグラフである。 図1の荷電粒子線照射装置の動作を説明するための図である。 アーク放電をON/OFF制御することで、荷電粒子線を照射状態とした場合のビーム電流を示すグラフである。 加速電圧とビーム電流との関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態に係る荷電粒子線照射装置について説明する。図1は本発明の実施形態に係る荷電粒子線照射装置の一部を示す斜視図であり、図2は図1の荷電粒子線照射装置の概略構成図である。図1に示す荷電粒子線照射装置1は、スキャニング法によるものであり、治療台11を取り囲むように設けられた回転ガントリ12に取り付けられ、該回転ガントリ12によって治療台11の回りに回転可能とされている。なお、図1には示されてはいないが、荷電粒子線照射装置1は、治療台11及び回転ガントリ12とは、離れた位置に加速器2を備えている。
この荷電粒子線照射装置1は、図2に示すように、患者13の体内の腫瘍(被照射物)14に向けて荷電粒子線Rを連続照射する。具体的には、荷電粒子線照射装置1は、腫瘍14を深さ方向(Z方向)に複数層に分け、各層に設定された照射野Fにおいて照射ラインL(図7参照)に沿って荷電粒子線Rを走査速度Vで走査しながら連続照射(いわゆる、ラスタースキャニングあるいはラインスキャニング)する。つまり、荷電粒子線照射装置1は、腫瘍14に合わせた3次元の照射野を形成するため、腫瘍14を複数の層に分割してこれらの各層のそれぞれに対して平面スキャニングを行う。これにより、腫瘍14の3次元形状に合わせて荷電粒子線Rが照射されることとなる。
荷電粒子線Rは、電荷をもった粒子を高速に加速したものであり、荷電粒子線Rとしては、例えば陽子線、重粒子(重イオン)線、電子線等が挙げられる。照射野Fは、例えば最大200mm×200mmの領域とされ、図7に示すように、ここでの照射野Fは、その外形が矩形状とされている。なお、照射野Fの形状は、種々の形状としてもよく、例えば腫瘍14の形状に沿った形状としても勿論よい。
照射ラインLは、荷電粒子線Rを照射する予定線(仮想線)である。ここでの照射ラインLは、ラインスキャニングを例にとると、矩形波状に延在しており、具体的には、所定間隔で並設された複数の第1照射ラインL1(L11〜L1n、nは整数)と、隣接する第1照射ラインL1の一端同士又は他端同士を接続する複数の第2照射ラインL2と、を含んで構成されている。
図2に戻り、荷電粒子線照射装置1は、サイクロトロン2、収束用電磁石3a,3b、モニタ4a,4b、走査電磁石5a,5b、ファインデグレーダ8及び制御部6を備えている。
サイクロトロン2は、荷電粒子線Rを連続的に発生させる発生源である。このサイクロトロン2で発生した荷電粒子線Rは、ビーム輸送系7によって後段の収束用電磁石3aへ輸送される。サイクロトロン2は、制御部6から出力された指令信号を受けて、荷電粒子線Rの照射状態(ON)/非照射状態(OFF)を切替可能な構成とされている。
収束用電磁石3a,3bは、荷電粒子線Rを絞って収束させるものである。収束用電磁石3a,3bは、荷電粒子線Rの照射軸(以下、単に「照射軸」という)においてサイクロトロン2の下流側に配置されている。
モニタ4aは、荷電粒子線Rのビーム位置を監視し、モニタ4bは、荷電粒子線Rの線量の絶対値と荷電粒子線Rの線量分布とを監視する。モニタ4aは、例えば照射軸において収束用電磁石3a,3b間に配置され、モニタ4bは、例えば照射軸において収束用電磁石3bの下流側に配置されている。
走査電磁石5a,5bは、荷電粒子線Rを走査するためのものである。具体的には、印加される電流に応じて磁場を変化させることで、通過する荷電粒子線Rの照射位置を照射野において移動させる。走査電磁石5aは、照射野FのX方向(照射軸に直交する方向)に荷電粒子線Rを走査し、走査電磁石5bは、照射野FのY方向(照射軸及びX方向に直交する方向)に荷電粒子線Rを走査する。これらの走査電磁石5a,5bは、照射軸において収束用電磁石3b及びモニタ4b間に配置されている。なお、走査電磁石5aがY方向に荷電粒子線Rを走査し、走査電磁石5bがX方向に荷電粒子線Rを走査する場合もある。
ファインデグレーダ8は、深さ方向に複数層に分割された腫瘍14の各層に荷電粒子線Rを照射するためのものである。具体的には、このファインデグレーダ8は、通過する荷電粒子線Rのエネルギー損失を変化させ、患者13の体内における荷電粒子線Rの到達深さを調整することで、分割された各層のうちの一の層に荷電粒子線Rの到達深さを合わせる。
制御装置(制御手段)6は、モニタ4b及び走査電磁石5a,5bに電気的に接続されており、モニタ4bにて監視した荷電粒子線Rの線量の絶対値と線量分布とに基づいて、走査電磁石5a,5bの動作を制御する。制御装置6は、サイクロトロン2に電気的に接続されており、サイクロトロン2の動作を制御する。制御装置6は、サイクロトロン3の加速電圧、アーク電圧を制御する。
図3は、図2中のサイクロトロンの概略構成図である。サイクロトロン2は、イオン化粒子(荷電粒子)を発生させるイオン源(荷電粒子発生源)21、高周波電源22に接続され荷電粒子を加速させる一対の加速電極23,24、加速電極23,24の両側に配置された複数の対抗電極25〜28、荷電粒子の周回軌道R1の両側に配置された位相スリット34を備えている。
加速電極23は、サイクロトロン2の中央部に配置され荷電粒子の周回軌道R1を規定する中央電極31,32を有している。加速電極24はサイクロトロン2の中央部に配置され、荷電粒子の周回軌道R1を規定する中央電極33を有している。
イオン源21で発生した荷電粒子は、加速電極23,24によって、加速電圧が印加され、通常の照射状態において、周回軌道R1上を周回しながら加速される。
制御装置6は、荷電粒子を加速させる加速電圧を制御する制御手段として機能するものである。制御装置6は、加速電圧を切り替えることで、荷電粒子線Rの照射状態/非照射状態の制御を行う。
制御装置6は、照射状態の加速電圧を基準加速電圧V(H)とし、加速電圧を基準加速電圧V(H)より小さい設定加速電圧V(L)に切り替えることで、荷電粒子線Rを非照射状態とする。設定加速電圧V(L)としては、基準加速電圧V(H)より10−30%程度低い電圧が好ましい。設定加速電圧V(L)の下限は、加速空洞のマルチパクタリング条件により制限される。
また、制御装置6は、イオン源21におけるアーク放電を発生させるためのアーク電圧を制御するアーク電圧制御手段として機能する。
図5は、加速電圧の切り替えのみを実施した場合の加速電圧、アーク電圧、ビーム電流の関係を示すグラフである。図5では、横軸に時間の経過を示し、「V1」は加速電圧、「V2」はアーク電圧、「I1」はビーム電流の変化を示している。
まず、時刻T1において、制御装置6は、加速電圧V1を設定加速電圧V(L)とする。続いて、時刻T2において、イオン源21でのアーク電圧V2を発生させる。このとき、イオン源21から引き出された荷電粒子は、図4において実線で示す軌道R0に沿って運動し、中心電極32に衝突する。荷電粒子は消滅して非照射状態となる。
次に、時刻T3において、加速電圧V1を基準加速電圧V(H)とする。このとき、イオン源21から引き出された荷電粒子は、図4において破線で示す軌道R1に沿って運動し加速され、照射状態となる。
続いて、時刻T4において、加速電圧V1を設定加速電圧V(L)とする。このとき、イオン源21から引き出された荷電粒子は、図4において実線で示す軌道R0に沿って運動し、中心電極32に衝突する。荷電粒子は消滅して非照射状態となる。
図6は、アーク電圧のON/OFF制御を取り入れた場合の加速電圧、アーク電圧、ビーム電流の関係を示すグラフである。図6では、横軸に時間の経過を示し、「V3」は加速電圧、「V4」はアーク電圧、「I2」はビーム電流の変化を示している。
まず、時刻T5において、加速電圧V3を基準加速電圧V(H)とする。続いて、時刻T6において、加速電圧V3を設定加速電圧V(L)とする。次に、時刻T7において、アーク電圧V4を発生させて非照射状態とし、時刻T8において、加速電圧V3を基準加速電圧V(H)とする。このとき、イオン源21から引き出された荷電粒子は、図4において破線で示す軌道R1に沿って運動し、加速され照射状態となる。
続いて、時刻T9において、加速電圧V3を設定加速電圧V(L)とする。このとき、イオン源21から引き出された荷電粒子は、図4において実線で示す軌道R0に沿って運動し、中心電極32に衝突する。荷電粒子は消滅して非照射状態となる。
次に、時刻T10において、アーク電圧V4をOFFとして、時刻T11において、加速電圧V3を基準加速電圧V(H)とする。
次に、説明した荷電粒子線照射装置1の動作について説明する。
荷電粒子線照射装置1では、腫瘍14を深さ方向に複数層に分割し、その一の層に設定された照射野Fに向けて荷電粒子線Rを照射する。そして、これを各層に繰り返し実施することで、腫瘍14の3次元形状に沿って荷電粒子線Rが照射されることとなる。
荷電粒子線Rを照射する際には、制御装置6で走査電磁石5a,5bを制御することにより、照射野Fの照射ラインLに沿って荷電粒子線Rを平行に走査する。
ここで、荷電粒子線Rを照射状態とする場合、制御装置6は、イオン源21でアーク放電を発生させると共に、加速電圧を基準加速電圧V(H)に制御して、荷電粒子を加速させる(制御工程)。これにより、加速された荷電粒子がサイクロトロン2から照射される。
一方、荷電粒子線Rを照射状態から非照射状態へ切り替える際には、制御装置6は、加速電圧を基準加速電圧V(H)から設定加速電圧V(L)に変更する(設定加速電圧制御工程)。これにより、イオン源21から引き出された荷電粒子は、図4に示すように、軌道R0に沿って進み、中心電極32に衝突し、加速されなくなる。そのため、荷電粒子がサイクロトロン2から照射されない。
荷電粒子線Rを非照射状態から照射状態へ切り替える際には、制御装置6は、加速電圧を設定加速電圧V(L)から基準加速電圧V(H)に変更する。
このように本実施形態の荷電粒子線照射装置1によれば、荷電粒子線の照射状態の加速電圧を基準加速電圧とし、加速電圧を、基準加速電圧より小さい設定加速電圧に切り替えることで、非照射状態とする。すなわち、加速電圧を小さくして、荷電粒子線の軌道を変更し、荷電粒子線を中心電極32に衝突させて消滅させる。このように、加速電圧を小さく切り替えるだけで、非照射状態とすることができるため、荷電粒子線の照射状態/非照射状態の切替の高速化を図ることができる。なお、本実施形態の荷電粒子線照射装置1では、例えば1ms以下でビーム電流のON/OFF制御を実行することができる。
本発明の荷電粒子線照射制御装置を備えた荷電粒子線装置は、荷電粒子線の照射状態/非照射状態の切り替え(ON/OFF制御)を高速で行うことができるため、スキャニング照射を行う治療装置において特に有効である。スキャニング照射を行う場合、例えば1ms以下でビームを安定させることが重要であり、1ms以下でビームを切り替えて安定させることで、ビームの均一性を好適に維持することができる。例えば、図7中の第1照射ラインL1に沿った照射では、1ライン当たり、10ms以下の連続照射が行われる。
また、イオン源21のアーク放電のON/OFF制御によらず、荷電粒子の照射/非照射を切り替えることができるため、この切り替え時において、アーク放電の立ち上がりにおける不安定さの影響を受けることがない。これにより、荷電粒子線の照射状態への切り替え後における荷電粒子線の安定化を図ることができる。
また、中心電極32に荷電粒子線を衝突させて消滅させる構成であるため、従来から設定されている中心電極32を利用することで、荷電粒子線を非照射状態とすることができる。
また、加速電圧をOFFすることなく、非照射状態とすることができるため、加速電極の温度が大幅に低下することがない。
ここで、加速電極の温度低下をさらに抑制する場合には、荷電粒子線を照射状態にする直前までイオン源アークをOFFすると共に、加速電圧を基準加速電圧V(H)の状態にしておく。次に、加速電圧を基準加速電圧V(H)から設定加速電圧V(L)に切り替え後、イオン源21でのアーク放電を発生させる。次いで、アーク放電の安定後に、加速電圧を、設定加速電圧V(L)から基準加速電圧V(H)へ切り替える。これにより、加速電圧を設定加速電圧V(L)に制御する時間を短縮することで、加速電極の温度低下を最小限に抑えることができ、荷電粒子線の安定化を図ることができる。
図9は、加速電圧とビーム電流との関係を示すグラフである。図9では、横軸に加速電圧を示し、縦軸にビーム電流を示している。図中、「Vpmax」は、加速空洞のマルチパクタリング条件の最高電圧を示し、「V(L)」は、設定加速電圧V(L)であり、「V(H)」は、基準加速電圧V(H)である。また、「V(H)min」は、ビーム電流が生じ始める加速電圧V(H)minである。ビーム電流が生じ始める加速電圧V(H)minは、個々のサイクロトロンで異なるものであり、簡単な規則性はないものである。設定加速電圧V(L)は、加速電圧V(H)minより低く設定されていればよい。また、基準加速電圧(H)は、図9に示すように、所定の範囲を有し、1点の値ではない。
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、荷電粒子線の照射状態の加速電圧を基準加速電圧とし、加速電圧を基準加速電圧より小さい設定加速電圧に切り替えることで、荷電粒子線を非照射状態としているが、加速電圧を基準加速電圧より大きい設定加速電圧に切り替えることで、荷電粒子線を非照射状態としてもよい。
図4では、加速電圧を基準加速電圧より大きい設定加速電圧に切り替えた場合の荷電粒子の軌道R2が図示されている。この場合の軌道R2は、通常の照射状態の周回軌道R1より、径方向の外側へ進み、荷電粒子は、中央電極31に衝突する。これにより、荷電粒子線を非照射状態とすることができる。
また、上記実施形態では、中心電極32に、イオン源から出射された荷電粒子を衝突させるように、設定加速電圧を決定しているが、例えば、他の中心電極、加速電極、対抗電極、位相スリット、壁体などに、荷電粒子を衝突させて、非照射状態としてもよい。
また、上記実施形態では、本発明の荷電粒子線照射装置(方法)の医療分野への適用について説明しているが、例えば、半導体ウエハ照射などの産業用の放射線照射装置など、その他の分野の荷電粒子線照射装置に本発明を適用してもよい。
1…荷電粒子線照射装置、2…サイクロトロン(加速器)、6…制御装置(制御手段、設定加速電圧制御手段、アーク電圧制御手段)、21…イオン源、23,24…加速電極、31〜33…中心電極。

Claims (6)

  1. 被照射体に荷電粒子線照射する荷電粒子線照射装置であって、
    荷電粒子を発生させるイオン源と、
    前記イオン源で発生した前記荷電粒子に加速電極により加速電圧を印加して前記荷電粒子を加速し、前記荷電粒子線を出射する加速器と、
    前記加速電圧を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記荷電粒子線の照射状態の前記加速電圧を基準加速電圧とし、前記加速電圧を前記基準加速電圧より大きい又は小さい設定加速電圧に切り替えることで、前記荷電粒子線を非照射状態とする設定加速電圧制御手段を備える
    ことを特徴とする荷電粒子線照射装置
  2. 前記設定加速電圧制御手段は、前記加速器内に設けられた電極に、前記イオン源から出射された前記荷電粒子を衝突させるように、前記設定加速電圧を制御する請求項1記載の荷電粒子線照射装置
  3. 前記設定加速電圧への切替後に、前記イオン源でのアーク放電を発生させるアーク電圧制御手段と、
    アーク放電発生後に、前記加速電圧を前記基準加速電圧に切り替える前記制御手段とを更に備える請求項1又は2記載の荷電粒子線照射装置
  4. イオン源で荷電粒子を発生させ、発生した前記荷電粒子を加速器で加速して荷電粒子線を出射し、被照射体に前記荷電粒子線を照射する荷電粒子線照射装置の制御方法であって、
    前記イオン源により前記荷電粒子を発生させる荷電粒子生成工程と、
    前記加速器の加速電極により前記荷電粒子に印加され前記荷電粒子を加速させる加速電圧を制御する制御工程と、を備え、
    前記制御工程は、前記荷電粒子線の照射状態の前記加速電圧を基準加速電圧とし、前記加速電圧を前記基準加速電圧より大きい又は小さい設定加速電圧に切り替えることで、前記荷電粒子線を非照射状態とする設定加速電圧制御工程を備える
    ことを特徴とする荷電粒子線照射装置の制御方法。
  5. 前記設定加速電圧制御工程は、前記加速器内に設けられた電極に、前記イオン源から出射された前記荷電粒子を衝突させるように、前記設定加速電圧を制御する請求項4記載の荷電粒子線照射装置の制御方法。
  6. 前記設定加速電圧への切替後に、前記イオン源でのアーク放電を発生させるアーク電圧制御工程と、
    アーク放電発生後に、前記加速電圧を前記基準加速電圧に切り替える前記制御工程とを更に備える請求項4又は5記載の荷電粒子線照射装置の制御方法。
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