JP5226928B2 - 細胞の分化転換方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞の分化転換方法に関する。より詳細には、本発明は、最終分化した成熟細胞の培養環境を変化させることによって細胞を分化転換させる方法に関する。本発明はさらに、上記方法により得られる分化細胞に関する。
再生医療や細胞医療の実現において、いかなる分野においても、その基盤となる目的とする細胞の供給源の確保は必要不可欠な命題であり、現在までに幹細胞、成熟細胞を利用した手法など、さまざまな手法が開発されている。
現在、この分野で主流に用いられている胚性幹細胞(ES細胞)、間葉系幹細胞(MSC)に代表される多能性幹細胞は、その多能性がメリットである反面、多能性ゆえに、制御が困難であるなどの問題点を多く含んでいる。
一方、近年、多能性肝細胞以外の、ある程度分化の方向が決定した細胞(組織幹細胞、未分化の組織細胞など)の分化転換技術が報告されている。
現在までに報告されている分化転換技術の代表的なものは、DNAのメチル化剤、または脱メチル化剤を利用した方法である。この技術は、DNAはメチル化・脱メチル化により核内転写因子のDNAへの結合能が変化することで、DNAの転写が調節される性質があることを利用した技術である。即ち、この技術は、細胞中のDNAにメチル化剤・脱メチル化剤を直接作用させ、DNAへの転写因子の結合能を人為的に変化させることで、細胞に対して強制的に分化誘導を引き起こす技術である。
福田らはこの技術を間葉系幹細胞に対して行い、脱メチル化剤の5−アザシチジンを間葉系細胞に添加し、間葉系幹細胞の分化誘導系から心筋細胞を得ることに成功している(実験医学、Vol.19, No.12, (8月号)2001)。さらにこの手法により、心筋細胞のほかにも、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞をはじめとする様々な細胞に分化することが報告されている。
しかし、現在のところ、この技術では、DNAのメチル化・脱メチル化を生じさせ、細胞を分化転換させること自体には成功しているが、分化の方向性を制御することはできず、これらの薬剤を用いて分化を起こさせた場合、何の細胞に分化するかはランダムに決定されるため、現時点では、ランダムに変化した多くの細胞の中から、必要な細胞を単離して使用しているのが実情である。このため、目的の細胞を得るのに手間がかかるだけでなく、細胞が予測外の変異を起こす危険性もはらんでおり、医学的な応用や、産業面で利用するにはリスクも大きい。
また、分化転換の例として、特開2003−304878号公報には、哺乳類胎児性肝細胞または肝前駆細胞を分化転換させ、インスリン産生細胞を誘導する技術が記載されている。この技術は、前述のような分化転換剤を用いずに、ニコチン酸アミド存在下で培養や遺伝子導入することで、インスリン産生細胞を誘導しているが、あくまで、胎児性細胞や前駆細胞など未分化な細胞を利用した技術である。
実験医学、Vol.19, No.12, (8月号)2001 特開2003−304878号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即ち、本発明は、DNAのメチル化剤・脱メチル化剤を使用することなく、成熟細胞を分化転換させる方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、第1の性質を有する最終分化した成熟細胞の培養条件を変化させることによって上記第1の性質とは異なる第2の性質を有する最終分化した成熟細胞へと分化転換できることを実証した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明によれば、第1の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養条件を変化させることによって上記第1の分化表現型とは異なる第2の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞へと分化転換させる方法において、培養条件を、上記第1の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養に適した培養条件から、上記第2の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養に適した培養条件に変化させることを特徴とする方法が提供される。
好ましくは、培養条件の変化は、培地の変化である。
好ましくは、DNAのメチル化剤及び脱メチル化剤を使用することなく分化転換を行う。
好ましくは、第1の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞は骨芽細胞であり、第2の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞は神経細胞である。この場合、好ましくは、培地をβ−Glycerophosphate、アスコルビン酸及びGlutamaxを含む培地から、bFGF、FGF−8、EGF及びBDNFを含む培地に交換することにより分化転換を行う。
本発明の別の側面によれば、上記の方法により得られる所定の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞が提供される。
本発明は、成熟細胞を他の細胞に分化転換させる技術であり、再生医療、細胞療法等における細胞供給源として、成熟細胞を利用可能とする技術として有用である。本発明を用いることにより、医療の現場において、従来、幹細胞を用いていた場面において、必ずしも幹細胞を利用する必要がなくなり、例えば、骨髄、さい帯血、末梢血、胎盤、脂肪組織などから幹細胞を取り出したり、選別したり、それらを保存しておいて利用するといった操作が不要になり、幹細胞よりも採取が簡便な最終分化した成熟細胞から、必要な細胞を誘導することができるため、再生医療、細胞医療などの現場において非常に有用な技術になる。
また、本発明では脱メチル化剤などの分化転換剤を使用しないことより、本発明の方法は、癌化のリスクが少なく安全性が高い方法である。また、本発明の方法では、ランダムな分化が少ないため安定性が高く、作業工程が培地を変化させるのみであるという簡便性などの理由から、臨床面での利用や自動化などの産業面への導入が行いやすいという利点がある。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、第1の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養条件を変化させることによって上記第1の分化表現型とは異なる第2の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞へと分化転換させる方法において、培養条件を、上記第1の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養に適した培養条件から、上記第2の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養に適した培養条件に変化させることを特徴とする方法である。
本明細書における分化転換とは、ある分化表現型を有する分化した成熟細胞が、その分化表現型を失い、別の分化表現型を有する分化した成熟細胞へと変化することを言う。
分化転換に関する従来技術である、メチル化剤・脱メチル化法は、分化の方向が決定された細胞の転写調節系に直接作用することで、細胞の分化のプログラム化を促す因子で、1種類の薬剤から様々な細胞を誘導することができるメリットがある。一方、この手法では分化の方向性までは決定することができず、目的の細胞を得るためには、ランダムに分化した細胞の中から目的の細胞を選別・単離する作業が必要になってくる。
一方、本発明の方法は、哺乳類全般の細胞に対して、分化転換剤で強制的に再プログラム化を促すのではなく、細胞の培養環境を目的の細胞に合わせることで、分化転換させることを実現している。この作用は、細胞を適切な生育環境の培地へ移すことで、細胞が本来持っている遺伝子が、細胞の周辺環境によって惹起されるために生じるものと考えられる。従って、分化転換剤と用いて強制的に細胞を分化させる分化転換と異なり、細胞が本来持つ培養環境に対しての対応能力を利用しているため、この手法を用いれば、あらゆる哺乳類細胞を目的の細胞に分化させることが可能である。また、脱メチル化剤のようなランダムな分化が生じにくいことから、成熟細胞を再生医療や細胞医療などにおける安定した細胞供給源として利用することが可能になる。
また、分化させた細胞に対して細胞を分化前の条件に戻すことで、再度分化前の細胞を誘導することが可能であることから、目的に応じて自在に細胞の分化を制御することができる。
さらに、本発明は、目的の細胞へ正確に分化させることができることから、従来技術の分化転換剤の利用の際に生じる細胞の単離作業が不要であり、簡便な培地の交換作業のみで分化転換作業を実現できる。従って、本発明の方法は自動化も容易であり、産業的な面からも優れた手法である。
一方、前述した特開2003−304878号公報の方法では、分化転換剤は利用しないが、未分化肝細胞のみに限定された技術である。本発明は哺乳類細胞であれば、生物種、細胞種を選ばずに実施が可能である。さらには特開2003−304878号公報では遺伝子導入が用いられているが、本発明では遺伝子導入は不要である。
また、前述した従来技術については、分化転換に関する技術として報告されているが、これらの報告の多くは、細胞の供給源として、幹細胞や前駆細胞などの未分化の細胞を利用しており、この点においても、最終分化した成熟細胞を別の細胞に分化させる技術である本発明とは異なる。本発明は、未分化な細胞を用いなくても、別の細胞を誘導でき、臨床の現場において、本来、幹細胞などの未分化細胞を用いていた場面において、幹細胞のかわりに簡便に採取できる、最終分化した成熟細胞を利用することが可能になり、臨床における細胞選択の幅が広がる点においても、従来技術と比較して大きな利点である。
本明細書中の実施例で用いたMC3T3−E1は全世界中で認知・汎用されている代表的な骨芽細胞株である。この細胞に対して本発明の手法を適用したところ、形態が神経細胞様に変化し、神経細胞マーカーのNeurofilamentとGFAPを発現したことから、本発明の手法により、骨芽細胞が神経細胞に分化転換したことが証明された。
また、神経細胞培地を骨芽細胞培地へ変更したところ、神経細胞は骨芽細胞へと変化したことから、これらの分化転換は、培地の条件に応じて、逆方向へも自在に起こることが示された。
生物の細胞は本来、どの細胞においても、全ての遺伝情報を保有していることから、本実施例については、通常は発現を停止している骨芽細胞のもつ神経細胞関連の遺伝子が、神経細胞培地に含まれる因子の影響で発現し、骨芽細胞から神経細胞への分化が進行したと考えられる。また、神経細胞に分化した細胞の培養条件を神経細胞培地から骨芽細胞培地に変更した際に生じた骨芽細胞への分化も同様の理由で生じたものであると言える。
本発明は、上記の通り、全ての細胞が本来もっている遺伝情報を利用し、細胞の生育環境を目的の細胞に応じた環境にすることで分化転換を実現する技術である。
即ち、全ての細胞は全ての遺伝情報を保有していることから、本発明の分化転換技術は骨芽細胞、神経細胞に限定されるものではなく、全ての哺乳類細胞に対して適用可能である。
本発明で用いる細胞の種類は特に限定されないが、好ましくは、ヒト及び非ヒト哺乳類動物を含む任意の哺乳類動物の細胞を使用することができる。非ヒト哺乳類動物としては、例えばマウスその他のげっ歯類、ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコなどが挙げられるがこれらに限定されない。本発明で用いる細胞は、特に好ましくはヒト由来細胞である。本発明においては、分化転換される細胞は、外胚葉、中胚葉、内胚葉、神経堤または外胚膜由来の組織から取得することができる。
本発明の方法においては、細胞の培養条件を、第1の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養に適した培養条件から、上記第2の分化表現型を有する最終分化した成熟細胞の培養に適した培養条件に変化させることによって分化転換を行う。細胞の培養に適した培養条件とは、例えば、培地の組成が当該細胞の培養に適していることを言う。
本発明において出発材料として用いるか又は作製することができる細胞の種類と、その培養に用いる培地組成の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)骨芽細胞は、一般的には、デキサメタゾン、アスコルビン酸塩、Mesenchymal Stem Cell Supplement (MCGS)、L−グルタミン、β−グリセロフォスフェートなどを含む培地中で分化転換させることができる。骨芽細胞の培地の組成例としては、FBS(終濃度10%)、5〜10mMのβ−Glycerophosphate、50μg/mlのアスコルビン酸、1×Glutamaxを加えたαMEM培地などが挙げられる。
(2)神経細胞は、一般的には、レチノイン酸またはビタミンAのようなレチノイド化合物、および所望により脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、血小板由来成長因子(PDGF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン(NT)−3、ニューロトロフィン(NT)−4、またはソニックヘッジホッグ(sonic hedgehog)(Shh)のような神経成長因子またはニューロトロフィンなどを含む培地中で分化転換させることができる。神経細胞の培地の組成例としては、FBS(終濃度10%)、100ng/mlのbFGF、10ng/mlのFGF−8、10ng/mlのEGF、10ng/mlのBDNFを加えたαMEM培地などが挙げられる。
(3)軟骨細胞は、一般的には、デキサメタゾン、アスコルビン酸、ピルビン酸ナトリウム、プロリン、L-グルタミン、トランスフェリン、インスリン、TGF-βなどを含む培地中で分化転換させることができる。
(4)脂肪細胞は、一般的には、インスリン、L−グルタミン、デキサメタゾン、インドメタシンなどを含む培地中で分化転換させることができる。
(5)肝細胞は一般的には、インスリン、デキサメタゾン、アスコルビン酸、FGF-4、FGF、HGFなどを含む培地で分化転換させることができる。
本発明において細胞の培養は、上記した好適な培地を用いて、通常の哺乳類細胞の培養条件(例えば、室温から37℃の温度;5%CO2インキュベーター内など)の下で行なうことができる。培養の形態は特に限定されないが、例えば、静置培養で行なうことができる。
本発明の方法により分化転換が行われたかどうかは、目的の細胞に特異的なマーカーの発現の有無を指標として判断することができる。マーカーの発現は、当業者に知られた生化学的または免疫化学的手法により検出することができる。例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫蛍光測定法(IFA)、免疫電気泳動、免疫クロマトグラフィー測定法または免疫組織化学的染色法などの免疫化学的手法を使用することができるが、これらに限定されるものではない。これらの方法では、種々の目的細胞の抗原に選択的に結合するマーカー特異的なポリクローナルまたはモノクローナル抗体またはその断片を使用する。各種の特異的マーカーに対する抗体は市販されており、当業者であれば適宜入手可能である。
あるいは、目的の細胞に特異的なマーカーの発現は、RT−PCR、転写介在性増幅(TMA)、逆転写酵素リガーゼ連鎖反応(RT−LCR)、またはハイブリダイゼーション分析などの分子生物学的方法により検出することもできる。
あるいは、分化した細胞の代謝産物、または細胞の薬剤代謝、色素に対する染色性などの性質を利用して、アリザリンレッド染色、アルシアンブルー染色、Oil-Red-O染色、Von Kossa染色、インドシアニングリーン染色などの組織染色手法により特異的に検出することもできる。
神経細胞に特異的なマーカーの具体例としては、Neurofilament、GFAP(Glial fibrillary acidic protein)、ネスティン(nestin)、神経特異的チューブリン、神経特異的エノラーゼなどが挙げられる。
骨芽細胞に特異的なマーカーとしては、Collagen type I(コラーゲンタイプI)、
オステオポンチン(osteopontin)、オステオカルシン(osteocalcin)、MGP(matrix Gla protein)、ALP(Alkaline phosphatase)、Cbfa1(Core binding factor alpha 1)などが挙げられる。また特異的な染色法として、アリザリンレッド染色、Von Kossa染色などが挙げられる。
軟骨細胞に特異的なマーカーとしては、Collagen typeII(コラーゲンタイプII)、Chondroitin sulfate-proteoglycan、COMP (cartilage oligomeric matrix protein)、Aggrecan、SOX9(SRY-related HMG box 9)などが挙げられる。また、特異的な染色法として、アルシアンブルー染色などが挙げられる。
脂肪細胞に特異的なマーカーとしては、PPARγ(Peroxisome Proliferator Activated Receptor- gamma)などが挙げられる。また特異的な染色法として、Oil-Red-O染色が挙げられる。
肝細胞に特異的なマーカーとしては、アルブミン、チトクロームP450などが挙げられる。また、特異的な染色法として、インドシアニングリーン染色などが挙げられる。
さらに、目的の細胞への分化転換は、形態学的基準を使用して確認することもできる。例えば、ニューロンまたはニューロン様細胞などの神経細胞は、細胞直径の3倍以上の軸索突起または軸索突起様突起の発現により確認することができる。
本発明による分化転換方法は、in vitroで行い、それにより得られた成熟細胞又はそれから生成した組織又は器官を身体に移植することによって組織又は器官を再生させることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(1)方法
マウス骨芽細胞樹立株(MC3T3/E1)を、FBS(終濃度10%)、5〜10mMのβ−Glycerophosphate、50μg/mlのアスコルビン酸、1×Glutamaxを加えたαMEM培地(以下、骨芽細胞培地)でサブコンフルエントになるまで培養した。
骨芽細胞培地で培養した細胞を、DMEM培地で洗浄した後、培養したMC3T3/E1の培養条件を、骨芽細胞培地による培養から、FBS(終濃度10%)、100ng/mlのbFGF、10ng/mlのFGF−8、10ng/mlのEGF、10ng/mlのBDNFを加えたαMEM培地(以下、神経細胞培地)へ変更し、培地を変化させることによって生じる細胞の変化を、鏡検による形態観察、免疫染色によるタンパク質の発現解析により経時的に調べた。
(2)結果
骨芽細胞培地で培養したMC3T3/E1細胞を神経細胞培地に移したところ、6〜12時間後に骨芽細胞特有の敷石様の形態から、細胞突起の長い神経細胞様の形態に変化した(図1)。神経細胞様に変化した細胞に対して、神経細胞に特異的なマーカータンパク質である、Neurofilament、GFAP(Glial fibrillary acidic protein)に対する抗体を用いて免疫染色を行った結果、神経細胞様の細胞が染色された(図2)。以上の結果から、この細胞が神経細胞であることが示された。
さらに、骨芽細胞由来の神経細胞を、骨芽細胞培地に移したところ、神経細胞は敷石状の骨芽細胞へと分化した(図3)。
図1は、本発明の方法により骨芽細胞から神経細胞に分化転換した細胞の様子を示す。 図2は、本発明の方法により分化転換した神経細胞の免疫染色の結果を示す。 図3は、本発明の方法により骨芽細胞由来の神経細胞を再度骨芽細胞に分化転換させた細胞の様子を示す。

Claims (5)

  1. 骨芽細胞用の培地から、bFGF、FGF−8、EGF及びBDNFを含む培地に交換することを含む、最終分化した成熟骨芽細胞を神経細胞に分化転換させる方法。
  2. 成熟骨芽細胞が、コラーゲンタイプI、オステオポンチン、オステオカルシン、マトリックスGla プロテイン、アルカリホスファターゼ、及びコア・バインディング・ファクターα1(Cbfa1)から選ばれる少なくとも1つのマーカーを発現する細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 成熟骨芽細胞が、アリザリンレッド染色、又はVon Kossa染色で染色できる細胞である、請求項1に記載の方法。
  4. 骨芽細胞用の培地が、β−Glycerophosphate、アスコルビン酸及びGlutamax(登録商標名)を含む培地である、請求項1に記載の方法。
  5. 成熟骨芽細胞が、β−Glycerophosphate、アスコルビン酸及びGlutamax(登録商標名)を含む培地で培養したMC3T3−E1細胞である、請求項1に記載の方法。
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