JP5217543B2 - キュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法及び連続焼鈍設備 - Google Patents
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Description
連続熱処理設備ラインの主な要素は、仕上冷間圧延加工された方向性珪素鋼のコイル状の鋼帯60を装荷して、そこから巻出していくためのペイオフリール1を有する。
基本的な構成の炉部12Aは、一般的に、ラジアントチューブ加熱方式による加熱領域31(31A、31B、31C)、電気ヒータ加熱による均熱領域32、電気ヒータ加熱による窒化領域33及び冷却領域34から構成され、加熱領域31には、加熱途中の板温を監視するための板温計36、37、38が設置されている。
すなわち、(1)鋼帯60の連続加熱設備に用いられているラジアントチューブ炉においては、ラジアントチューブと鋼帯60の間の輻射伝熱により鋼板が加熱されており、鋼板の昇温量を決める伝熱量はラジアントチューブ、鋼板の放射率と幾何学的位置関係によって決まるが、ラジアントチューブの放射率及び幾何学的位置関係は短期的には不変である。このことから、鋼帯60の温度は、鋼帯60の放射率の変動で変化することを解明した。ところで、鋼板の放射率が長手方向に変化する要因としては、不明な点も多いが、冷延鋼板の製造の前工程である熱間圧延が連続でなく、スラブ単位(鋼帯コイルに相当)に行われ、熱間圧延中の板温度の長手方向変動及び冷却過程の不均一により表面性状が変化すること等によると推察される。
図6は、冷間圧延された方向性珪素鋼を焼鈍するための連続熱処理設備ライン(図1)の炉部12の構成を模式的に示す図である。図2で説明した基本的な構成の熱処理ラインに比べ、本実施形態の炉部12Bにおいては加熱帯31の中央にソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置35が配設されている。また、ソレノイドコイル式高周波誘導装置35の前部に板温計36が配置され、後部に板温計37が設置されている。
ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置35の入側の板温計36の温度TAを監視し、
ラジアントチューブ方式による加熱領域31Aの状態監視を行う。
鋼帯60は、ラジアントチューブ方式による加熱領域(前半の加熱領域31A)で加熱され、板温が500℃以上で、キュリー点Tc(℃)から50℃を超えて低い所定の温度(Tc−50℃未満の温度)に到達する。
質量%で、C:0.05%、Si:3.2%、Mn:0.1%、P:0.03%、S:0.006%、酸可溶性Al:0.027%、N:0.008%、Cr:0.1%を含有する鋼スラブを1150℃の温度で加熱した後、板厚2.8mmに熱間圧延して鋼帯コイルとし、その後、焼鈍温度1120℃及び920℃の二段焼鈍を施した。さらに、板厚0.285mmまでリバース圧延機で冷間圧延した後、従来技術の脱炭焼鈍設備(図1、図2)、及び本実施形態の脱炭焼鈍設備(図1、図6)にて脱炭焼鈍した。また、本実施形態の脱炭焼鈍設備では、本実施形態の誘導加熱装置制御方案(図7で説明したα案)、及び基本的な制御方案(図4で説明したβ案)の両方で運転した。
本実施形態の昇温速度制御装置100は、加熱ガス出力部(第1の出力部)101a、電流出力部(第2の出力部)102、電力検出部103、演算部104、補正部105、第1の制御部106a、第2の制御部106b、出力加熱ガス値設定部(第1の設定部)107、出力電流値設定部(第2の設定部)108等を有している。
まず、ステップS1101において、鋼帯60を500℃以上、キュリー点Tc(℃)−50℃未満の温度領域まで加熱する、第1加熱工程を行う。本実施形態においては、前述したように、加熱ガスを用いて間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱を行う加熱装置311Aにより第1加熱工程の加熱を行う。なお、第1加熱工程で行う加熱は、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱のみでもよいが、電気ヒータによる輻射加熱を併用してもよい。また、電気ヒータによる輻射加熱のみでもよい。
まず、ステップS1201において、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置35に出力する出力電流値を目標出力電流値として設定する出力電流値設定処理を行う。
次に、ステップS1203において、前述した検出処理により検出した実績出力電力値を基に演算処理を行う。この演算処理は、前述したように、演算部104により目標加熱ガス出力値と出力加熱ガス値設定部107に設定されている設定加熱ガス出力値と差を演算する。
前述したステップS1201〜ステップS1205の処理が行われることにより、キュリー点近傍の鋼帯の昇温速度を一定にする昇温速度制御が実現される。
2 入側剪断機
3 溶接機
4 入側ストレージルーパー
5 出側ストレージルーパー
6 出側剪断機
7 テンションリール
11 入側洗浄装置
12 炉部
13 出側洗浄装置
14 焼鈍分離剤塗布装置
15 焼鈍分離剤乾燥装置
21〜26 ブライドルロール
31 ラジアントチューブ方式による加熱領域
31A ラジアントチューブ方式による加熱領域(前半の加熱領域)
31B ラジアントチューブ方式による加熱領域(中央の加熱領域)
31C ラジアントチューブ方式による加熱領域(後半の加熱領域)
32 均熱領域
33 窒化領域
34 冷却領域
35 ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置
36、37、38 板温計
41、42、43 テンションメータ
60 鋼帯
100 昇温速度制御装置
101a 加熱ガス出力部(第1の出力部)
102 電流出力部(第2の出力部)
103 電力検出部
104 演算部
105 補正部
106a 第1の制御部
106b 第2の制御部
107 出力加熱ガス値設定部(第1の設定部)
108 出力電流値設定部(第2の設定部)
311A 第1加熱装置
313A 第3加熱装置
TA ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置入側の鋼帯の板温
TB ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置出側の鋼帯の板温
Claims (8)
- 加熱帯、均熱帯及び冷却帯、または加熱帯、均熱帯、窒化帯及び冷却帯からなり、前記加熱帯が第1加熱帯、第2加熱帯及び第3加熱帯に区分されている連続焼鈍設備での、キュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法であって、
前記第1加熱帯において、前記鋼帯を500℃以上、キュリー点Tc(℃)−50℃未満まで、燃料ガス、及び/または電気ヒータにより第1加熱装置で加熱する第1加熱工程と、
前記第2加熱帯において、前記第1加熱帯で加熱された鋼帯をキュリー点Tc−30℃ないしキュリー点Tc−5℃の温度領域まで、ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置により加熱する第2加熱工程と、
前記第3加熱帯において、前記第2加熱帯で加熱された鋼帯をキュリー点を超える処理目標温度まで、第3加熱装置により加熱する第3加熱工程と、
前記第1加熱工程及び第2加熱工程における加熱動作を制御する昇温速度制御工程とを有し、
前記昇温速度制御工程は、前記燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を前記第1加熱装置に出力する第1の出力部と、前記ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置に電流を出力する第2の出力部とを制御し、
前記第2加熱帯のソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置での実績出力電力値に基いて、前記第1加熱装置に出力する燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を制御することを特徴とするキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。 - 前記昇温速度制御工程においては、前記第2の出力部から前記ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置に出力する目標出力電流値を第2の設定部に設定する第2の設定処理と、前記第1加熱装置に出力する目標燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を第1の設定部に設定する第1の設定処理と、前記ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置での実績出力電力値を検出する電力検出処理と、前記電力検出処理により検出した実績出力電力値を基に、前記第1の設定部に設定されている目標燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を補正する第1の補正処理とを行い、
前記キュリー点近傍の鋼帯の昇温速度を一定にすることを特徴とする請求項1に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。 - 前記第1加熱工程及び第3加熱工程においては、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱及び/または電気ヒータによる輻射加熱により前記鋼帯を加熱することを特徴とする請求項1または2に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。
- 前記キュリー点を有する鋼帯が、Si≦4.5質量%を含有する冷間圧延された方向性電磁鋼板であることを特徴とする請求項1または2に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍方法。
- 加熱帯、均熱帯及び冷却帯、または加熱帯、均熱帯、窒化帯及び冷却帯からなり、前記加熱帯が第1加熱帯、第2加熱帯及び第3加熱帯に区分されているキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍設備であって、
前記第1加熱帯において、前記鋼帯を500℃以上、キュリー点Tc(℃)−50℃未満まで、燃料ガス、及び/または電気ヒータにより加熱する第1加熱装置と、
前記第2加熱帯において、前記第1加熱帯で加熱された鋼帯をキュリー点Tc−30℃ないしキュリー点Tc−5℃の温度領域まで加熱するソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置と、
前記第3加熱帯において、前記第2加熱帯で加熱された鋼帯をキュリー点を超える処理目標温度まで加熱する第3加熱装置と、
前記第1加熱装置及び前記ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置の加熱動作を制御する昇温速度制御装置とを有し、
前記昇温速度制御装置は、前記燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を前記第1加熱装置に出力する第1の出力部と、前記ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置に電流を出力する第2の出力部とを有し、
前記第2加熱帯のソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置での実績出力電力値に基いて、前記第1加熱装置に出力する燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を制御することを特徴とするキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍設備。 - 前記昇温速度制御装置は、前記第2の出力部から前記ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置に出力する目標出力電流値を第2の設定部に設定する第2の設定手段と、前記第1加熱装置に出力する目標燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を第1の設定部に設定する第1の設定手段と、前記ソレノイドコイル式高周波誘導加熱装置での実績出力電力値を検出する電力検出手段と、前記電力検出手段により検出した実績出力電力値を基に、前記第1の設定部に設定されている目標燃料ガス出力値、及び/または電気ヒータの電力出力値を補正する第1の補正手段とを有し、
前記キュリー点近傍の鋼帯の昇温速度を一定にすることを特徴とする請求項5に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍設備。 - 前記第1加熱装置及び第3加熱装置は、間接ガス加熱もしくは直接ガス加熱による輻射加熱及び/または電気ヒータによる輻射加熱により前記鋼帯を加熱することを特徴とする請求項5または6に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍設備。
- 前記キュリー点を有する鋼帯が、Si≦4.5質量%を含有する冷間圧延された方向性電磁鋼板であることを特徴とする請求項5または6に記載のキュリー点を有する鋼帯の連続焼鈍設備。
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