<MFPの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置が設けられた画像形成装置の一例を示す斜視図である。この画像形成装置は、複写機、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの機能を有する複合機(MFP:Multiple Function Peripheral)であり、ネットワークを介して、端末装置等とのデータの送受信が可能になっている。
同図に示すように、このMFPは、記録用紙等の記録シート上にトナー画像を形成する画像形成装置本体Aと、画像形成装置本体A上に設けられた本発明の実施形態に係る画像読取装置Bとを備えている。画像読取装置Bは、原稿画像を読み取るスキャナユニット10と、スキャナユニット10上に設けられたADFユニット(自動原稿搬送ユニット)20とを備えている。
本実施形態の画像読取装置Bを構成するADFユニット20は、スキャナユニット10に対して、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられており、スキャナユニット10の上面を覆った閉状態で、画像を読み取るための原稿をスキャナユニット10に自動的に供給する。スキャナユニット10は、ADFユニット20によって供給される原稿の画像、または、操作者によって、ADFユニット20がスキャナユニット10の上面を開放した状態で、スキャナユニット10におけるプラテンガラス上の所定位置に手置きセットされた原稿の画像を光学的に読み取ることによって画像データを生成する。
画像形成装置本体Aには、プリンタ部61と、プリンタ部61の下側に設けられた給紙部62とが設けられており、給紙部62の記録シートがプリンタ部61に供給される。プリンタ部61では、スキャナユニット10にて生成された画像データ、あるいは、ネットワークを介して端末装置等から送られる画像データに基づいて、周知の電子写真方式によって、記録シート上にカラーのトナー画像をプリントする。プリンタ部61によってトナー画像がプリントされた記録シートは、スキャナユニット10の下側に設けられた画像形成装置本体Aの排紙トレイ63上に排出される。
スキャナユニット10の正面側部分には、各種情報の入力のために操作される操作パネル14が設けられている。操作パネル14には、文字、数字等の入力のための複数のキーが設けられたキー入力部と、指示メニュー、取得した画像に関する情報等が表示される表示部とが設けられている。表示部は、例えば液晶パネルによって構成されている。
ADFユニット20は、スキャナユニット10の上面を全体にわたって覆った閉状態から上方に回動されることによって開状態になるADFユニット本体21と、スキャナユニット10に搬送される原稿が載置されるようにADFユニット本体21に取り付けられた原稿給紙トレイ22と、操作者がADFユニット20を開閉操作する際に操作されるように、ADFユニット本体21の正面側の側面における左右方向のほぼ中央部に設けられた開閉操作部23とを有している。開閉操作部23は、ADFユニット20の正面側の側面から前方に水平状態で突出しており、背面側部分がADFユニット20の内部に挿入された状態で、ADFユニット20に対して上下方向に移動可能に支持されている。詳細な構成については後述する。
<画像読取装置におけるADFユニットの構成>
図2は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置Bの概略構成を示す正面側から見た模式図である。ADFユニット本体21の正面に向って左側(以下、単に「左側」とし、反対側を「右側」とする)の側部には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿が搬送される原稿搬送経路を内部に有する給紙本体部21aが設けられており、給紙本体部21aの下部には、内部に反転経路21pが形成された反転経路形成部21bが、給紙本体部21aから右側方に水平状態で延出するように設けられている。
ADFユニット本体21の給紙本体部21aおよび反転経路形成部21bは、スキャナユニット10の上面をほぼ全域にわたって覆うように一体に構成されている。原稿給紙トレイ22は、反転経路形成部21bの上方において、左側の側部が下側になるように傾斜した状態で、給紙本体部21aの上部に取り付けられている。ADFユニット20は、スキャナユニット10に原稿の片面だけを読み取らせる片面読取モードと、原稿を反転させて原稿の両面(表面と裏面)をスキャナユニット10に順番に読み取らせ両面読取モードとを選択的に実行する構成になっており、片面読取モードの場合には、原稿が、原稿給紙トレイ22上に、スキャナユニット10にて読み取られる原稿面を上方に向けた状態で載置される。
原稿給紙トレイ22上の原稿は、給紙本体部21a内に設けられたピックアップローラ21cによって、概略水平状態になった第1搬送経路21dに供給され、第1搬送経路21dを通って、給紙本体部21a内における左側上部に設けられた一対の第1レジストローラ21jへ供給される。第1レジストローラ21jは、第1搬送経路21dを通過した原稿を、半円状に湾曲した第2搬送経路21eを介して、給紙本体部21a内の左側の下部に設けられた一対の第1読取ローラ21fへ供給する。第1読取ローラ21fの右側の側方には、一対の第2読取ローラ21gが設けられており、第1読取ローラ21fと第2読取ローラ21gとの間に、搬送される原稿の原稿面を、スキャナユニット10の上面に設けられたスリットガラス16に対向させる開口部が設けられている。
第2読取ローラ21gの右側上方には、概略水平状態で配置された第1分岐ガイド21hが設けられている。第1分岐ガイド21hは、第2読取ローラ21g側に位置する先端部が上下方向に回動することによって、第2読取ローラ21gから搬送される原稿を、第1分岐ガイド21hの下方の第4搬送経路21sを通過させて反転経路形成部21内の反転経路21pへ、一対の反転ローラ21zを介して搬送する状態と、第1分岐ガイド21hの上方を通過させて第1分岐ガイド21hの右側上方に近接して配置された一対の第2レジストローラ21kに供給する状態とに切り替えるようになっている。
反転ローラ21zは正転および逆転可能になっており、反転ローラ21zの正転によって、原稿は反転経路21pへ搬送される。また、第2レジストローラ21kも、正転および逆転可能になっており、第2レジストローラ21kの正転により、原稿は、第2レジストローラ21kに近接して配置された第2分岐ガイド21mへ搬送される。第2分岐ガイド21mは、第2レジストローラ21kから搬送される原稿を、第2分岐ガイド21mの下側を通過させて一対の排紙ローラ21qへ搬送する状態と、第2分岐ガイド21mの上方および排紙ローラ21qの上方を通過させて原稿給紙トレイ22の下面に沿って配置された反転ガイド(図示せず)上に排出する状態とに切り替えられる。
ADFユニット20が片面読取モードの場合には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿は、ピックアップローラ21cによって、第1搬送経路21dに供給されて、第1レジストローラ21jおよび第2搬送経路21eを介して第1読取ローラ21fへと搬送され、第1読取ローラ21fによって傾き補正されて、スキャナユニット10の上面に設けられたスリットガラス16上を通過する。原稿がスリットガラス16上を通過する間に、スキャナユニット10によって、原稿のスリットガラス16に対向する面の画像が読み取られる。
その後、原稿は、第2レジストローラ21kによって、第1分岐ガイド21hへ搬送され、第1分岐ガイド21hの上方を通って、正転駆動されている第2レジストローラ21kによって、第2分岐ガイド21mへ搬送され、第2分岐ガイド21mの下方を通過することによって、排紙ローラ21qを介して、反転経路形成部21b上に設けられた原稿排出部上に排出される。
ADFユニット20が両面読取モードの場合には、原稿給紙トレイ22上に載置された原稿は、片面読取モードの場合と同様に、第1搬送経路21dおよび第2搬送経路21eを通って、第2レジストローラ21kにまで搬送される。原稿がスリットガラス16上を通過する際には、スリットガラス16に対向する原稿面(第1面)の画像がスキャナユニット10にて読み取られる。第2レジストローラ21kに搬送された原稿は、正転駆動されている第2レジストローラ21kによって、第2分岐ガイド21mへ搬送される。このとき、第2分岐ガイド21mの上方を原稿が通過するように、第2分岐ガイド21mは切り替えられており、原稿は、第2分岐ガイド21mの上面に案内されて、原稿給紙トレイ22の下面に沿って配置された反転ガイド上に排出される。
反転ガイド上に原稿を搬送する第2レジストローラ21kは、原稿の後端部が通過する直前に逆転駆動される。これにより原稿はスイッチバックして、第1搬送経路21dの下側に沿って設けられた第3搬送経路21nを通って、第1レジストローラ21jへと搬送される。その後、原稿は、表裏を反転した状態で、第2搬送経路21eを通過し、第1読取ローラ21fによってスリットガラス16の上方を搬送される。そして、スリットガラス16の上方を原稿が通過する間に、スリットガラス16に対向する原稿面(第2面)の画像がスキャナユニット10によって読み取られる。
第2面の画像が読み取られた原稿は、第1分岐ガイド21hへ搬送される。この場合、第1分岐ガイド21hは、原稿が下側を通過するように切り替えられており、原稿は、第1分岐ガイド21hの下面に案内されて、第4搬送経路21sを通って、反転ローラ21zへ搬送され、反転ローラ21zの正転によって、反転経路形成部21b内の反転経路21pへと搬送される。反転ローラ21zは、原稿の後端が通過する直前に逆転駆動され、これにより、原稿はスイッチバックされて排紙ローラ21qへと搬送され、排紙ローラ21qによって、反転経路形成部21b上の原稿排出部に排出される。
ピックアップローラ21cは給紙部モータ25aによって駆動され、第1レジストローラ21j及び第2レジストローラ21kはレジスト部モータ25bによって駆動され、第1読取ローラ21f及び第2読取ローラ21gは読取部モータ25cによって駆動され、排紙ローラ21qは排出部モータ25dによって駆動される。各モータ25a〜25dのそれぞれは、例えばステッピングモータによって構成されている。
給紙本体部21a内には、第1搬送経路21dまたは第3搬送経路21n内を通って第1レジストローラ21jに搬送される原稿を検出する第1通紙センサー27aが第1レジストローラ21jの近傍に設けられている。また、第2搬送経路21eを通って第1読取ローラ21fに供給されて、スリットガラス16上を通過する原稿を検出するために、第1読取ローラ21fの右側の側方に近接して第2通紙センサー27bが設けられている。さらには、反転経路21pから排紙ローラ21qへ搬送される原稿を検出する第3通紙センサー27cが、排紙ローラ21qの左側の側方に近接して設けられている。これら第1〜第3の通紙センサー27a〜27cは、紙詰まりした原稿に当接してオン状態を維持する。
ADFユニット本体21における給紙本体部21aの原稿給紙トレイ22が設けられた右側面21tは開閉可能になっており、右側面21tを開放状態とすることにより、第1および第3通紙センサー27aおよび27cによって検出される第1搬送経路21dおよび第3搬送経路21n内のそれぞれに残存する原稿を取り除くことができる。同様に、給紙本体部21aにおける左側の上部において傾斜状態で設けられた左側上面21xも開閉可能になっており、左側上面21xを開放することにより、第1および第2通紙センサー27aおよび27bによって検出される第1搬送経路21dおよび第3搬送経路21nのいずれかに残存する原稿を取り除くことができる。さらに、反転経路形成部21bの上面21wも開閉可能になっており、上面21wを開放することにより、第3通紙センサー27cによって検出される反転経路21pに残存する原稿を取り除くことができる。
給紙本体部21aにおける底面には、第2読取ローラ21gよりも左側部分を開閉する開閉扉21yが設けられており、スキャナユニット10の上面が大きく開放されるように、ADFユニット20の正面側部分を上方に回動した状態で、開閉扉21yを下方に回動させて開放することによって、第2通紙センサー27bによって検出される第2読取ローラ21gの近傍において残存する原稿を取り除くことができる。
なお、ADFユニット本体21の内部には、第2読取ローラ21gを通過した原稿における裏面(スキャナユニット10に対向する面とは反対側の第2面)の画像を読み取るための裏面画像読取ユニット28が、オプションとして取り付けられる場合がある。裏面画像読取ユニット28が取り付けられることにより、スリットガラス16上を通過する間にスリットガラス16に対向する第1面の画像が読み取られた原稿は、裏面画像読取ユニット28の下方を通過する間に、原稿における第2面(裏面)の画像が、裏面画像読取ユニット28によって読み取られる。
<画像読取装置におけるスキャナユニットの構成>
図2に示すように、スキャナユニット10は、扁平な長方体形状に形成されたハウジング11を備えており、このハウジング11の上面に、第1読取ローラ21fと第2読取ローラ21gとの間に対向するように前後方向に沿って配置されたスリットガラス(コンタクトガラス)16と、このスリットガラス16の左側の側方に配置された長方形状のプラテンガラス(コンタクトガラス)18とが設けられている。プラテンガラス18は、スリットガラス16の前後方向(主走査方向)長さと同程度の前後方向長さを有するとともに、スリットガラス16に近接した位置からハウジング11の右側の端部近傍にわたる左右方向(副走査方向)長さを有している。
ハウジング11の内部には、図2に矢印Xで示す副走査方向にスライド可能に構成された第1スライダー12が設けられており、この第1スライダー12に、線状光源12aが主走査方向に沿った状態で搭載されている。第1スライダー12は、通常は、スリットガラス16とプラテンガラス18との間のホームポジションに位置されており、ADFユニット20によって原稿が搬送される場合には、スキャナモータ43によって、スリットガラス16の下方のシートスルーポジションに移動されて停止される。これに対して、プラテンガラス18上の原稿を読み取る場合には、第1スライダー12は、スキャナモータ43によって、プラテンガラス18に沿って副走査方向に往復移動される。
第1スライダー12には、スリットガラス16上を通過する原稿またはプラテンガラス18上に載置された原稿からの反射光を、矢印Xで示す方向とは反対方向に略直角に反射する第1ミラー12bが設けられている。第1スライダー12よりも左側の側方には、第1ミラー12bにて反射された光を、矢印X方向に反転させるように対になった第2ミラー13aおよび第3ミラー13bが搭載された第2スライダー13が設けられている。
第2ミラー13aおよび第3ミラー13bによって矢印X方向に反転された光は、縮小レンズ(図示せず)を介して画像読取手段としてのCCD17に照射される。第2スライダー13は、プラテンガラス18上に載置された原稿の画像を読み取る場合には、スキャナモータ43によって、第1スライダー12の移動に同期して、第1スライダー12の速度の1/2の速度で第1スライダー12と同方向に移動される。
<画像読取装置におけるヒンジ機構の構成>
画像読取装置BにおけるADFユニット20は、その背面側部分が、スキャナユニット10の背面側部分に対して、ヒンジ機構によって連結されて、正面側部分がスキャナユニット10に対して上下方向に回動できるようになっている。図3(a)は、そのヒンジ機構30の構成を説明するための側面模式図である。このヒンジ機構30は、スキャナユニット10の背面側の側部に取り付けられた固定側ヒンジ体31と、ADFユニット20の背面側の側部に取り付けられた回動側ヒンジ体32と、固定側ヒンジ体31および回動側ヒンジ体32の背面側の端部同士を回動可能に支持するヒンジ支点軸33とを有している。ヒンジ支点軸33には、ADFユニット20を開閉するための開閉駆動モータ34の回転力が、一対のギア35および36を介して伝達されている。開閉駆動モータ34としては、例えばパルスモータが使用される。
ADFユニット20に取り付けられた回動側ヒンジ体32は、開閉駆動モータ34が正転駆動されることによって、ヒンジ支点軸33を中心として、正面側の先端部が上方に向って回動される。これにより、ADFユニット20は、正面側の側縁部が上方に移動し、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面を開放する。ADFユニット20は、図3(b)に示すように、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面に対して略直角な状態にまで回動可能になっているが、通常、ストッパー38によって、スキャナユニット10の上面に対して70°程度の開閉角度で回動が規制されるように構成されている。開閉駆動モータ34が逆転駆動されると、ADFユニット20の正面側の側縁部は下方に回動される。ADFユニット20は、スキャナユニット10におけるハウジング11の上面に当接することによって回動が規制され、ハウジング11の上面に設けられたプラテンガラス18を覆った閉状態になる。
ヒンジ支点軸33には、ADFユニット20の回動角度(開閉角度)を検出する回動角検出器37が設けられている。回動角検出器37は、例えば、ロータリーボリュームが使用されており、ADFユニット20を回動させるヒンジ支点軸33の回動角度に応じた電圧、すなわちADFユニット20の開閉角度(スキャナユニット10におけるハウジング11の上面と、この上面に対向するADFユニット20における下面との角度)に対応した電圧を出力するように構成されている。
<ADFユニットにおける圧力検出機構の構成>
ADFユニット20には、開閉操作部23に対して上方および下方に加えられる押し上げ圧力および押し下げ圧力を検出するための圧力検出機構が設けられている。
図4は、開閉操作部23に加えられる圧力を検出する圧力検出機構の概略構成を示す模式的斜視図であり、一部を切り欠いて示している。また、同図の二点鎖線は、ADFユニット20の外装カバーを示している。開閉操作部23は、ADFユニット20内に背面側部分が挿入された状態で、正面側部分が前方に突出した状態になっており、ADFユニット20内に挿入された部分が、背面側の端部を支点に圧力検出機構26によって上下方向に揺動可能な状態で、ADFユニット20に支持されている。
圧力検出機構26は、ADFユニット20内に挿入された開閉操作部23の背面側部分の左側および右側のそれぞれの側方において、ADFユニット20内において固定的に取り付けられた第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bを備えている。第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれは、圧力検出面が下方に向けられており、それぞれの圧力検出面に、コイルスプリング26cおよび26dを介して、開閉操作部23に、中央部が埋設された支持体26eの左右の両側の端部がそれぞれ取り付けられている。従って、コイルスプリング26cおよび26dが、支持体26eの左右の両側の端部を第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bに取り付ける取り付け部材を構成している。
支持体26eの左右の各端部は、コイルスプリング26cおよび26dのそれぞれによって懸架された状態になっており、各コイルスプリング26cおよび26dの伸縮範囲内において、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれに対して上下方向に移動可能になっている。支持体26eと一体となった開閉操作部23は、ADFユニット本体21がスキャナユニット10の上面を覆った閉状態になっている場合には水平状態になり、このような状態で操作者の力が加わると、各コイルスプリング26cおよび26dによって、左右の各端部が上下方向に移動するようになっている。
開閉操作部23が水平状態であって、操作者に操作されない状態では、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれには等しい圧力が加わっている。このような状態の場合に、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bにて検出される圧力をそれぞれ基準圧力値Poとし、操作者が開閉操作部23を操作した場合に、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bによって検出される圧力を、図5(a)および(b)に基づいて説明する。
図5(a)は、操作者が開閉操作部23を介してADFユニット20を上方に開操作する場合において、操作者による開閉操作部23の左右方向における押し上げ圧力の操作位置と、第1圧力センサー26aにより検出される圧力PvLおよび第2圧力センサー26bにより検出される圧力PvRとの関係を示すグラフである。
開閉操作部23における左右方向の中央位置(以下、この位置を操作の「基準位置」とする。)に操作者が押し上げ圧力(2・Pu)を上方に向って加えることによって得られる第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bそれぞれにより検出される圧力PvLおよびPvRの平均値は、2・Pu/2=Puになる。この平均値Puを開側平均圧力値とすると、開側平均圧力値Puは、開閉操作部23に圧力が加えられていない場合の圧力基準値Poよりも大きくなる。
第1圧力センサー26aから出力される検出圧力PvLは、この開側平均圧力平均値Puを基準として、図5(a)に実線で示すように、操作位置が基準位置に対して第1圧力センサー26aに接近するにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して大きくなり、基準位置に対して第1圧力センサー26aから離れるにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して小さくなる。
同様に、第2圧力センサー26bから出力される検出圧力PvRは、図5(a)に一点鎖線で示すように、操作位置が基準位置に対して第2圧力センサー26bに接近するにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して大きくなり、基準位置に対して第2圧力センサー26bから離れるにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して小さくなる。しかし、操作位置が変化しても、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれにて検出される圧力の平均値である開側平均圧力値Puは一定である。
図5(b)は、操作者がADFユニット20を下方に回動させて閉操作する場合において、操作者による開閉操作部23の左右方向における操作位置と、第1圧力センサー26aにより検出される圧力PvLおよび第2圧力センサー26bにより検出されるPvRとの関係を示すグラフである。
開閉操作部23における基準位置に操作者が押し下げ圧力(2・Pd)を下方に向って加えることによって、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれにて検出される圧力PvLおよびPvRの平均値は、2・Pd/2=Pdになる。この平均値Pdを閉側圧力平均値とすると、閉側圧力平均値Pdは、開閉操作部23に圧力が加えられていない場合の圧力基準値Poよりも小さくなる。
第1圧力センサー26aから出力される検出圧力PvLは、図5(b)に実線で示すように、閉側圧力平均値Pdを基準として、操作位置が基準位置に対して第1圧力センサー26aに接近するにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して小さくなり、基準位置に対して第1圧力センサー26aから離れるにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して大きくなる。同様に、第2圧力センサー26bから出力される検出圧力PvRは、図5(b)に一点鎖線で示すように、操作位置が基準位置に対して第2圧力センサー26bに接近するにつれて(右側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して小さくなり、基準位置に対して第2圧力センサー26bから離れるにつれて(左側になるにつれて)、基準位置からの距離に比例して大きくなる。しかし、操作位置が変化しても、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれにて検出される圧力の平均値である閉側圧力平均値Pdは一定である。
以上のことから、検出圧力PvLとPvRの平均値が圧力基準値Poに対して変化した場合には、開閉操作部23が操作されたものと判断される。具体的には、検出圧力PvLとPvRの平均値{(PvL+PvR)/2}が圧力基準値Poよりも大きくなっている場合には、開閉操作部23に押し上げ圧力が作用して開操作されたものと判断し、圧力基準値Poよりも小さくなっている場合には、開閉操作部23に押し下げ圧力が作用して閉操作されたものと判断することができる。また、検出圧力の合計値(PvL+PvR)が、開閉操作部23に加わる圧力検出値Pvとして求められる。
<画像読取装置における制御系の構成>
図6は、本実施形態の画像読取装置における制御系の主要部を示すブロック図である。
同図に示すように、スキャナユニット10には、スキャナユニット10を制御するスキャナCPU41が設けられている。スキャナCPU41は、画像読取時にモータ駆動IC42によってスキャナモータ43を制御して、第1スライダー12および第2スライダー13を所定方向に所定の速度で移動させる。また、スキャナCPU41は、CCD17にて読み取られた画像データを処理する画像処理部44を制御する。
ADFユニット20には、ADFユニット20を制御するADF−CPU51が設けられている。ADF−CPU51は、スキャナCPU41と相互に通信可能であり、また、開閉駆動モータ34を駆動するモータ駆動IC52を制御して、ADFユニット20が所定の開閉速度になるように開閉駆動モータ34を所定の回転数で正転駆動および逆転駆動させる。
ADF−CPU51には、開閉操作部23に加えられる圧力を検出する圧力検出機構26の第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれの圧力検出値PvLおよびPvRが与えられており、また、ADFユニット20の回動角度を検出する回動角検出器37の出力も与えられている。
さらに、ADF−CPU51には、裏面画像読取ユニット28等の各種装着ユニットがADFユニット20に装着された場合に、装着されたユニットに接続される信号線等によって、装着されたユニットに対応した信号であるユニット装着信号が入力されるようになっている。
さらに、ADF−CPU51には、操作パネル14に入力されるID情報等の各種情報、ADFユニット本体21に設けられた第1通紙センサー27a、第2通紙センサー27b、第3通紙センサー27cの出力がそれぞれ与えられている。
また、ADF−CPU51は、ADFユニット本体21に設けられた給紙部モータ25a、レジスト部モータ25b、読取部モータ25c、排出部モータ25dのそれぞれを駆動するための各モータ駆動IC53〜56を制御するようになっている。
<ADF−CPUによる制御の第1実施形態>
このような構成のMFPでは、ADFユニット20が、操作者による開閉操作部23の操作によって開閉操作される場合に、開閉駆動モータ34によって、操作方向への駆動力を付与して、操作者が開閉操作部23に加える操作力を軽減するように構成されている。これにより、操作者が開閉操作部23を手で持ってADFユニット20を上方に開操作しようとするとき、または下方に閉操作しようとするときの操作者の手に加わる負担が軽減される。この場合、開閉操作部23に加わる圧力に対応して設定された開閉速度になるように、ADF−CPU51によって、開閉駆動モータ34の駆動速度が制御される。
上述のように、ADF−CPU51は、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRの平均値に基づいて、上方に開操作されたか、下方に閉操作されたかを判断し、上方に開操作されたと判断した場合には、開閉駆動モータ34を正転駆動し、下方に閉操作されたと判断した場合には、開閉駆動モータ34を逆転駆動する。
ADF−CPU51には、上方に開操作される場合と、下方に閉操作される場合とのそれぞれにおいて、開閉操作部23に加わる目標圧力PuoおよびPdoが予め設定されている。開操作される場合には、実際の圧力検出値Pv(=PvL+PvR)と予め設定されている目標圧力Puoとの差に基づいて、開閉駆動モータ34の正転時の速度を制御する。また、閉操作される場合には、実際の圧力検出値Pvと予め設定されている目標圧力Pdoとの差に基づいて、開閉駆動モータ34の逆転時の速度を制御する。
すなわち、操作者が手で開閉する速度と、実際にADFが開閉する速度の差分が、圧力検出値Pvの大きさとなって現れてくるので、予め標準的な検出圧力を目標圧力Puo、Pdoとして、当該目標圧力と実際に検出された圧力検出値Pvとの差分が小さくなるように開閉駆動モータ34の速度を制御することにより、操作者の開閉動作に追随してADFが違和感なく開閉駆動され、操作者にストレスを生じさせないようにすることができるものである。
図7は、開閉操作部23が上方に開操作されてADF−CPU51の制御によって開閉駆動モータ34が正転駆動される場合における第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bによる圧力検出値Pvと、開閉駆動モータ34の駆動速度との関係を示すグラフである。
同グラフは、横軸が圧力検出値Pvの大きさを示し、縦軸が開閉駆動モータ34の正転時における制御速度の大きさを示している。
開閉操作部23が上方に開操作される場合には、圧力検出値Pv(=PvL+PvR)が目標圧力Puoよりも大きくなると、その差分に対する速度だけ、速い速度で開閉駆動モータ34が正転駆動され、逆に圧力検出値Pvが目標圧力Puoよりも小さくなると、その差分に対する速度だけ遅い速度で開閉駆動モータ34が正転駆動されることを示している。なお、図7は、開閉操作部23に加わる圧力と開閉駆動モータ34の速度との関係の一例を示しており、例えば、操作者毎に最適な圧力と速度の関係を任意に変更する、または設定しておくとしても良い。
開閉操作部23が下方に押し下げられて閉操作される場合には、開閉操作部23に加わる圧力と開閉駆動モータ34の速度との関係が上方への開操作の場合の関係と反対になる。すなわち、圧力検出値Pvが目標圧力Pdoよりも大きくなれば、その差分に対する速度だけ遅い速度で開閉駆動モータ34が逆転駆動される。また、圧力検出値Pvが目標圧力Pdoよりも小さくなると、その差分に対する速度だけ早い速度で駆動モータ34が逆転駆動される。
ADF−CPU51の内部のメモリには、例えば図8に示すように、開閉操作部23が開操作される場合における圧力検出値Pvと目標圧力値Puoとの圧力差(Pv−Puo)に応じた開閉駆動モータ34の正転時の駆動速度Vunが設定されたテーブルが予め記憶されている。なお、同図に示すテーブルは、図7において圧力差(Pv−Puo)が0以上の範囲における駆動速度の例を示しており、当該範囲において圧力差が値P1未満の場合には駆動速度Vu1が対応していることを示している。
同テーブルにおける圧力差P1、P2・・および駆動速度Vu1、Vu2・・は、それぞれがこの順に値が大きくなるように設定されており、図7に示すグラフの圧力検出値と駆動速度の関係と同じ関係になっている。なお、図示していないが、圧力差がマイナスの場合も同様に、図7に示すグラフと同じ関係になるように圧力差と駆動速度とが対応付けられたテーブルが格納されている。ADF−CPU51は、これらテーブルを参照することにより開閉駆動モータ34を正転させるときの駆動速度を決めることができる。
また、ADF−CPU51の内部のメモリには、ここでは図示していないが開閉操作部23が下方に閉操作される場合において開閉駆動モータ34が逆転されるときの駆動速度Vに関するテーブルが設けられている。このテーブルでは、上記のように圧力検出値Pvと逆転時の駆動速度Vの関係が、開操作の場合の反対の関係になるように圧力差と駆動速度が設定されている。
すなわち、開閉操作部23に加わる下方への圧力が大きくなるほど圧力検出値Pvが小さくなることから、圧力差を(目標圧力Pdo−Pv)とすると、Pv<Pdoの範囲では、圧力検出値Pvが小さくなるほど(圧力差が大きくなるほど)、開閉駆動モータ34は駆動速度が速くなるように逆転駆動される。逆に、圧力検出値Pvが大きくなるほど(圧力差が小さくなるほど)、遅くなるように逆転駆動される。
Pv≧Pdoの範囲では、圧力差を「Pv−Pdo(目標圧力)」とすると、圧力検出値Pvが大きくなるほど(圧力差が大きくなるほど)、開閉駆動モータ34は駆動速度が遅くなり、圧力検出値Pvが小さくなるほど(圧力差が小さくなるほど)、速くなるように逆転駆動される。
図9(a)は、開閉操作部23が上方に開操作される際において、開閉駆動モータ34が正転駆動される場合における圧力検出値Pvの変化を示すグラフ、図9(b)は、その場合におけるADFユニット20の実際の開動作速度の変化を示すグラフである。
図9(a)に示すように、操作者が開閉操作部23の上方への回動操作(ADFユニット20を開けるために開閉操作部23を手で持って持ち上げようとする操作)を開始して、圧力検出値Pvが目標圧力Puo以上になると、若干の応答遅れの後、開閉駆動モータ34の正転駆動が開始される。駆動速度は、図8に示すテーブルが参照され、圧力検出値Pvと目標圧力Puoの圧力差の大きさによって決められる。圧力差が小さければ、例えばVu1やVu2などの速度に決められ、大きければVu10やVu11などの速度に決められる。
操作者が開操作を急ぐような場合には開閉操作部23を勢い持ち上げる(強い圧力がかかる)ことが想定され、その場合、圧力差が大きくなるので駆動速度が速い速度に決められて、開閉駆動モータ34も高速駆動によりADFユニット20を開動作速度の立ち上がりが早くなる。逆に、操作者がゆっくりとした開動作を望む場合には開閉操作部23への圧力が弱くなることが想定され、その場合、圧力差が小さくなるので、開閉駆動モータ34が低速駆動されてADFユニット20の開動作速度の立ち上がりが遅くなる。
ADFユニット20の開動作が開始されると、停止時に比べて操作者の手が開閉操作部23から受ける力が減るため、時点A以降では圧力検出値Pvの上昇率が下がっていき、この上昇率の低下は、ADFユニット20の開動作の速度が上昇して来るに連れて顕著になる。時点Bで圧力検出値Pvがピークになると、それ以降、圧力検出値Pは小さくなっていく。圧力検出値Pが小さくなると、目標圧力Puoとの差が小さくなるので、圧力検出値Pvのピーク以前よりも開閉駆動モータ34の速度を減じる方向への制御が開始される(時点B以降)。時点C付近になると、圧力検出値Pが目標圧力Puoに近くなり、さらに圧力差が小さくなって目標圧力Puoに近付くように開閉駆動モータ34が制御される。時点Dでは、圧力検出値Pが目標圧力Puoに略等しくなるような速度でADFユニット20が開動作されるようになる。
圧力検出値Pvは、操作者が手でADFユニット20を持ち上げようとするときにその手に感じる圧力に相当するので、圧力検出値Pvと目標圧力Puoが略等しいということは、操作者が手に感じる圧力が目標圧力Puoに略一致していることを意味する。
従って、目標圧力Puoを、操作者がADFユニット20を持ち上げるときに操作者にとって好適と感じる適当な圧力に設定すると共に、目標圧力Puoと検出圧力値Pvとの差分に対応して増減させる速度の大きさ(図7における直線の傾き。図8のテーブル参照)を、予め実験などで求めて設定しておけば、操作者が開操作する際のADFユニット20の開動作速度を操作者の好適と感じる速度に合わせることができるようになる。
時点D以降では、ADFユニット20は、操作者の操作により目標圧力Puoと略同じ圧力で持ち上げられつつ、操作者の手の動きにほぼ追随するような速度で開動作するので、操作者にとっては自己の手に、ある程度の圧力(目標圧力Puo)を感じつつ、ADFユニット20に手を添えながら開操作を行えることになり、操作者にとって自己の希望する開動作速度と実際の速度とのギャップが大きすぎることによるストレスの低減を図れる。
なお、上記では、操作者により開操作が開始される際の微小な期間における駆動制御の例を説明したが、例えば時点D以降において圧力検出値Pvが目標圧力Puoを下回った場合には、その圧力差の大きさに応じて開動作速度を遅くする(ゆっくりと開動作を行わせる)制御が行われる。
また、操作者が開操作を途中で中止するために手を開閉操作部23から離した場合には、圧力検出値Pvがゼロになる。この場合には、開閉駆動モータ34の速度がゼロ(停止)になるように制御される。再度、操作者が手で開閉操作部23を持って開操作を開始しようとすると、図9に示す制御が開始される。
また、閉操作の場合に、開閉操作部23に対して下方への圧力が操作者により加えられて、圧力検出値Pvが圧力基準値Po以下になると、開閉駆動モータ34の逆転駆動が開始され、その開始時からある時間だけ遅れてADFユニット20の下方への閉動作が開始される。逆転駆動の速度は、開動作の場合と同様に圧力検出値Pvと目標圧力Pdoとの差の大きさに応じた速度がテーブル(不図示)を参照して決められる。
開動作開始時の場合は、図9に示すように最初、圧力検出値Pvの上昇率が大きく、その後、圧力検出値Pvは、ピーク(最大値)になり、ピークを過ぎると下降して、時間経過に連れて目標圧力Puoに収束するようになっていたが、閉動作開始時の場合は、圧力検出値Pvと目標圧力Pdoのグラフは、図9(a)のグラフとほぼ上下対称の関係となる。
すなわち、最初は、圧力検出値Pvの下降率が大きく、その後、圧力検出値Pvは、ピーク(最小値)になり、ピークを過ぎると上昇して、時間経過に連れて目標圧力Pdoに収束するようになり、目標圧力Pdoに対応する閉動作速度で閉動作が行われることになる。従って、閉操作する場合も開操作の場合と同様に、操作者の負担が軽減され、しかも、操作者のストレス低減を図ることができる。
<ADF−CPUによる制御の第2実施形態>
前記第1実施形態では、目標圧力値PuoおよびPdoが、どの操作者でも同じ値に設定されるとしたが、例えばADF−CPU51に入力される操作者ID情報によって変更されるようにしてもよい。操作者ID情報は、ログイン時において操作者が操作パネル14の操作によって入力するログイン情報によって取得することができる。また、操作パネル14にRFID受信器を設けて、このRFID受信器によって、操作者のネームプレート等に付加された無線ICチップから送信されるユーザID情報から操作者を識別するための操作者ID情報を取得するようにしてもよい。
ADF−CPU51の内部のメモリには、操作者ID情報から識別される操作者毎にその操作者に応じた目標圧力PuoおよびPdoが設定されたテーブルが予め設けられている。ADF−CPU51は、操作者ID情報を取得した場合には、取得した情報から操作者を識別し、識別した操作者に対応して設けられたテーブルを参照して、予め設定された目標圧力PuoおよびPdoを、識別された操作者に応じた目標圧力PuoおよびPdoに変更する。
例えば、操作者が老人、女性、身体障害者等である場合の、開操作の目標圧力Puo´を、基準値Puoよりも小さい値に設定することができる。目標圧力Puo´を基準値よりも小さい値に設定すれば、目標圧力Puo´に対応する駆動速度も遅い速度に制御されるので(図7)、操作者が比較的小さな力で開操作を行ってもADFユニット20を開動作させることができ、その遅い速度で開動作が行われるようになる。
老人等は、成人男性に比べて開操作において開閉操作部23に加える力が弱く、かつゆっくりとした開動作を好む傾向があると想定されるので、Puo´<Puoとすることで、そのゆっくりとした開動作を実現することが可能になる。閉動作の場合は、目標圧力Pdo´を基準値Pdoよりも大きい値に設定することで、開動作の場合と同様の動作を行わせることができる。
一方で、操作者が男性、若者等の場合には、反対に開操作の目標圧力Puo´を、基準値Puoよりも大きい値に設定することができる。若者等は、開操作のときの力が強く、より速い開動作を好む傾向があると想定されるので、Puo´>Puoとすることで、当該操作者の体力に応じた開速度で、ADFユニット20の開動作がなされる。
なお、上記目標圧力値Puo、Pdoに加えて、もしくは、これに代えて図7に示す速度の変化率(勾配)を操作者に応じて変更するようにしても構わない。この場合、老人など体力のない操作者ほど、当該速度の変化率を小さくすればよいであろう。
<ADF−CPUによる制御の第3実施形態>
上記第1実施形態のように、操作者が開閉操作部23に加える圧力に基づいてADFユニット20の開閉速度を制御する場合、実際には、ADFユニット20がスキャナユニット10に対して上方に回動されることによって、ADFユニット20自体の水平方向における重心位置が背面側の回動中心であるヒンジ支点軸33に近接するため、重力によってヒンジ支点軸33回りに生じる回転モーメントは小さくなる。そのため、ADFユニット20の回動角度θが大きくなるほど、操作者にとって開操作に必要とする力が小さくて済む。
操作に必要な力が小さくて済むということは、圧力検出値Pvが小さくなるはずなので、それに合わせて目標圧力Puoの値を下げれば、回動角度θが小さいときと同じように目標圧力に対する駆動速度に収束するように開動作を制御することができる。
従って、操作者がADFユニット20を開操作する際に開閉操作部23を持ち上げようとするときのその手の速度と、開閉駆動モータ34による開動作速度とが、開放開始から開放終了に至るまでほぼ一定の関係となるように制御するためには、目標圧力Puoの値を、ADFユニット20の回動(開閉)角度θの増加に応じて小さくすることが望ましい。
本実施の形態では、目標圧力Puoを変化させずに、開閉角度θの増加に伴って大きくなる一定の係数を検出圧力Pvに乗算して検出圧力Pvが大きくなるように補正することにしている。具体的には、回動角検出器37の出力に基づいてADFユニット20の回動角度θを検出し、検出された回動角度θに対して予め設定された回動角度補正値μθmを取得して、取得された回動角度補正値μθmによって第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bにて検出されるそれぞれ圧力PvLおよびPvRを補正する。
ADF−CPU51の内部のメモリには、例えば、図10に示すように、回動角検出器37にて検出された回動角度に応じた回動角度補正値μθmがそれぞれ設定されたテーブルが予め記憶されており、ADF−CPU51は、そのテーブルに基づいて、回動角検出器37にて検出された回動角度に対応する回動角度補正値μθmを選択する。そして、選択された回動角度補正値μmを圧力検出値Pvに対して乗算することによって圧力検出値Pvを補正し、得られる補正圧力検出値Pv’(=Pv×μθm)に基づいて開閉駆動モータ34の駆動速度が制御される。図10のテーブルにおける回動角度補正値μmが設定される回動角度の範囲は、例えば5°に設定されている。
なお、ADF−CPU51の内部のメモリには、ADFユニット20を開動作する場合と、ADFユニット20を閉動作する場合のそれぞれにおいて、異なる回動角度補正値μθmが設定された2つのテーブルが設けられている。
閉動作では、開閉角度が大から小になるに連れて重力によるヒンジ支点軸33回りに生じる回転モーメントが小さくなることから、開動作の場合の補正値とは大小関係が逆になる。従って、閉操作の場合に用いられるテーブルでは、開閉角度θに対する補正値μθmは、角度θが最大から小さくなるに連れて大きくなるように設定される。このように補正値を設定すれば、閉動作時において開閉角度θが大きいときと小さいときで操作者の閉操作の速度に対してほぼ同じ相対的関係を維持しつつ閉駆動を行うことができ、操作者にとって、閉操作を違和感なく行うことができる。
<ADF−CPUによる制御の第4実施形態>
前述した第1実施形態において、裏面画像読取ユニット28等の各種ユニットがADFユニット20に装着される場合には、ADFユニット20全体の重さおよびその重心位置が変化するために、操作者による開閉操作部23における操作位置と、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの出力にて得られる圧力検出値Pvとの関係が変化する。
例えば、裏面画像読取ユニット28等の各種ユニットが装着されていない図11(a)に示す場合におけるADFユニット20の荷重バランスは、図11(b)のグラフに示すように、左右方向にほぼ均一になっているとすると、図11(c)に示すように、例えば、裏面画像読取ユニット28が、ADFユニット20における左側に位置する給紙本体部21aに取り付けられることにより、全体の重量が増加するとともにその重心が左方に移動し、ADFユニット20の荷重バランスは、図11(d)のグラフに示すように、裏面画像読取ユニット28が取り付けられた左側が重く、左側に片寄った状態になる
図11(d)のグラフに示すような荷重バランスになったADFユニット20を、操作者が上方に開操作する場合には、操作者による操作位置が、開閉操作部23における左側の第1圧力センサー26aに近接していると、図11(b)のグラフに示すような均一の荷重バランスの場合よりも、上方への大きな力を加える必要があり、左側の第1圧力センサー26aの圧力検出値PvLと、右側の第2圧力センサー26bの圧力検出値PvRが左右方向の中心位置に対して対称な関係ではなくなる。
このことから、裏面画像読取ユニット28が装着された場合には、裏面画像読取ユニット28が装着されていない場合と同様の方法によって開閉駆動モータ34の速度制御を行うためには、増加する重さおよび重心位置に基づいて、第1圧力センサー26aの圧力検出値PvLと第2圧力センサー26bの圧力検出値PvRに、左右方向における荷重バランスの大小関係と逆の関係になる補正値をかけるようにすれば良い。但し、補正する場合には、ユニットの装着によって増加する重量を考量する必要がある。
上述のように、ADF−CPU51には、各種ユニットが装着された場合に、装着されたユニットに応じたユニット装着信号の入力によりそのユニットを識別できるようになっており、また、ADF−CPU51の内部のメモリには、例えば、図11(e)に示すように、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bのそれぞれの圧力検出値PvLおよびPvRを補正するために、装着ユニットの種類に応じた第1ユニット補正係数μLkおよび第2ユニット補正係数μRk(但し、k(=1、2・・・)は、装着ユニットの種類を示す)が設定されたテーブルが記憶されている。なお、第1ユニット補正係数μLkおよび第2ユニット補正係数μRkは、操作者が開閉操作部23を開操作する場合と閉操作する場合とで異なることから、開操作する場合と閉操作する場合の2つのテーブルが記憶されている。
ADF−CPU51は、上記テーブルを参照し、ユニット装着信号の入力により識別した装着ユニットの種類に応じた第1ユニット補正係数μLkおよび第2ユニット補正係数μRkをそれぞれ取得して、第1圧力センサー26aの圧力検出値PvLおよび第2圧力センサー26bの検出値PvRを、取得された第1ユニット補正係数μLkおよび第2ユニット補正係数μRkによって補正する。
図11(e)に示すテーブルに示されるユニット1は、例えば裏面画像読取ユニット28に対応しており、裏面画像読取ユニット28が装着された場合には、第1圧力センサー26aの圧力検出値PvLおよび第2圧力センサー26bの検出値PvRが補正前では異なる値になるが補正後には同じ値になるように、例えば第1ユニット補正係数μL1(例えば、0<μL1<1)がPvLに乗算され、第2ユニット補正係数μR1(例えば、μL1<μR1<1)がPvRに乗算されることによって補正される。
なお、各種ユニットがADFユニット20に装着されていない状態で、ADFユニット20の荷重バランスが左右に均一でない場合にも、上記と同様に、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bに対する第1ユニット補正係数μL0および第2ユニット補正係数μR0を予め設定しておけば、第1ユニット補正係数μL0および第2ユニット補正係数μR0に基づいて、第1圧力センサー26aの圧力検出値PvLおよび第2圧力センサー26bの圧力検出値PvRを補正することができる。このようにすれば、荷重バランスが左右対称ではない構成において、操作者が開閉操作部23の左右方向どの位置を(持って)操作しても同じ圧力をかけるのであれば同速度でADFユニット20を開動作と閉動作を制御できることになる。
<ADF−CPUによる制御の第5実施形態>
ADFユニット20は、通常、図12に示すように、水平状態になったスキャナユニット10の上面に対して、70°程度にわたって上方にまで回動されることにより、ストッパー38(図3参照)によって上方への開動作が規制される。このことから、ADFユニット20の開閉角度が、ストッパー38によって規制される70°よりも小さな角度(65°程度)まで開けられたときに、開閉駆動モータ34による回動速度を高速でADFユニット20を上方に開動作させると、ADFユニット20がストッパー38に衝突して大きな衝撃が加わるおそれがある。
また、ADFユニット20は、従来のADFユニットと同様に、スキャナユニット10の上面に対する回動角度が、例えば25°よりも小さくなると、図示しない引張バネによる付勢力および自重によって、スキャナユニット10の上面を覆った閉状態になるまで、自動的に下方に回動するように構成してもよい。また、ADFユニット20は、スキャナユニット10の上面に対して25°以上の開閉角度になると、操作者によって開閉操作部材23が開閉操作されない限り、開閉操作された位置において停止するように、ヒンジ支点軸33の回動が規制されるように構成してもよい。
以上のような場合には、開閉角度が0〜θa1(=25°)の範囲(図12にα1で示す範囲)においては、ADFユニット20を上方に開動作させるために、操作者は開閉操作部23に対して引張バネの付勢力に抗した大きな圧力を加える必要がある。このことから、本実施形態では、スキャナユニット10の上面に対するADFユニット20の開閉角度を回動角度検出器37にて検出し、この範囲α1において、開閉操作部23に対する圧力検出値Pvに基づいて設定される開閉駆動モータ34の正転速度Vunが増加するように、たとえば1より所定量小さな開閉初期補正値μuを、圧力検出値Pvに乗算した後の値を用いる構成としている。このために、ADF−CPU51の内部のメモリには、開閉初期補正値μuが予め設定されたテーブルが記憶されている。
また、ADFユニット20を閉動作させる場合には、スキャナユニット10の上面に対するADFユニット20の開閉角度が0〜25°の範囲α1になると、引張バネおよび自重によって自動的に下方に回動することから、本実施形態では、スキャナユニット10の上面に対するADFユニット20の開閉角度を回動角度検出器37にて検出し、この範囲α1において、ADF−CPU51は、開閉駆動モータ34の逆転駆動を停止するように構成されている。
さらに、ADFユニット20を開動作させる場合において、スキャナユニット10の上面に対する開閉角度がθa2〜θa3(=60°〜70°)の範囲(図12にα3で示す範囲)では、ストッパー38による回動規制時にストッパー38に加わる衝撃を防止するために、本実施形態では、スキャナユニット10の上面に対するADFユニット20の回動角度を回動角度検出器37にて検出し、この範囲α3において、電力の供給を遮断して開閉駆動モータ34の正転駆動を停止するようになっている。なお、スキャナユニット10の上面に対する開閉角度が25°〜60°の範囲(図12にα2で示す範囲)では、前述したように、開閉操作部23に対する圧力検出値Pvに基づいて設定される回転速度VunおよびVdnによって開閉駆動モータ34が駆動される。
<ADF−CPUによる制御の第6実施形態>
図13は、第1〜第5の全ての実施形態の態様を含む場合に、ADF−CPU51によって実行される開閉駆動モータ34の駆動制御における開閉速度の設定処理を説明するためのフローチャートである。当該処理は、図示しないメインルーチンにより一定間隔毎にコールされることにより繰り返し実行される。
同図に示すように、ADF−CPU51は、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bから取得した圧力検出値PvLおよびPvRが初期値である圧力基準値Poから変化したか否かを判断する(ステップS1)。ここで、変化したことを判断すると(ステップS1で「YES」)、取得した圧力検出値PvLとPvRに基づいて、操作者によってADFユニット20の開操作が実行されたかを判断する(ステップS2)。
ステップS2において、ADFユニット20の開操作が実行されていると判断される場合(ステップS2において「YES」)には、回動角度検出器37の出力に基づいて、ADFユニット20の開閉角度が、図12に示す範囲α3になっているかを判断し(ステップS3)、範囲α3になっていると判断される場合(ステップS3において「YES」)には、開閉駆動モータ34によるADFユニット20の開閉動作が必要でないと判断して、開閉駆動モータ34を停止状態とする(ステップS15)。
また、ステップS2において、操作者によるADFユニット20の開操作が実行されていない場合(ステップS2において「NO」)には、閉操作が実行されているものと判断して、ADFユニット20の開閉角度が、図12に示す範囲α1になっているかを判断し(ステップS4)、範囲α1になっている場合(ステップS4において「YES」)には、開閉駆動モータ34のADFユニット20の開閉動作が必要でないと判断して、開閉駆動モータ34を停止状態とする(ステップS16)。
ステップS3およびS4においてそれぞれ「NO」の場合には、開閉駆動モータ34の駆動速度の制御が必要であるとして、ステップS5に進み、ユニット装着信号の入力の有無に基づいて、ADFユニット20における装着ユニットの有無を判断する(ステップS5)。ユニット装着信号が入力されている場合(ステップS5において「YES」)には、装着ユニットが装着されているものとして、ユニット装着信号に基づいて、装着ユニットの種類を判断し、図11(e)に示すテーブルから、第1ユニット補正係数μLkおよび第2ユニット補正係数μRkを取得する(ステップS6)。また、回動角度検出器37の出力に基づいて、回動角度補正値μθmも取得する(ステップS7)。
その後、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRを、取得された第1ユニット補正係数μLkおよび第2ユニット補正係数μRkで補正し(ステップS8)、補正後の圧力検出値PvLおよびPvRの総和である圧力検出値Pvを算出する(ステップS9)。次いで、算出された圧力検出値Pvを回動角度補正値μθmで補正する(ステップS10)。
圧力検出値Pvが補正されると、ログイン情報等によって操作者ID情報が入力されている場合には、操作者ID情報にて特定される操作者IDに対応した目標圧力値PuoおよびPdoが設定されているかを判断する(ステップS11)。操作者IDに対応する登録目標圧力値PuoおよびPdoが存在する場合(ステップS11において「YES」)には、登録目標圧力値PuoおよびPdoを目標圧力値PuoおよびPdoとして設定し(ステップS12)、ステップS13に進む。操作者IDに対応した登録目標圧力値PuoおよびPdoが存在しない場合(ステップS11において「NO」)には、予め設定された目標圧力値PuoおよびPdoを更新することなく、ステップS13に進む。
ステップS13では、圧力検出値Pvと、設定された目標圧力値PuoおよびPdoとの差分に基づいて、開閉駆動モータ34の駆動速度VunまたはVdnを設定する(ステップS13)。その後、ステップS14に進んで、前回の圧力検出値Pvに基づく開閉速度の設定から所定時間が経過しているかを判断し、所定時間が経過しない場合には、開閉速度を設定するサンプリングタイミングでないと判断し(ステップS14において「NO」)、所定時間が経過するのを待つ。サンプリングタイミングの所定時間は、50ms程度の短時間である。
このようにして、開閉駆動モータ34の駆動速度VunまたはVdnが設定されると、ADF−CPU51は、開閉駆動手段の一例であるモータ駆動IC52に対して、次の駆動速度が設定されるまでの間、設定された駆動速度Vunで正転(開方向)またはVdnで逆転(閉方向)するように指示を出す。モータ駆動IC52は、ADF−CPU51からの指示に従い、開閉駆動モータ34を回転制御する。
これにより、操作者がADFユニット20の開閉操作部23を開閉操作している場合に、開閉操作部23に圧力を加える方向と同方向にADFユニット20が開閉駆動モータ34によって回動されるので、操作者にとっては、ADFユニット20を開閉するのに要する力が軽減されて、開閉操作の負担が少なくなる。
しかも、その圧力に応じた開閉速度でADFユニット20が開閉駆動されるので、操作者はADFユニット20に対してほぼ一定の圧力を加えればよく、ストレスを感じることが軽減されることになる。さらには、操作者が開閉操作部23を開閉操作する場合に、操作者の意図に反してADFユニット20が回動するおそれがなく、ADFユニット20が操作者に衝突することを未然に防止することができる。
なお、図13では、全ての実施形態を含む場合の処理フローの例を説明したが、そのうちの一つまたは複数の実施形態だけを含む構成では、その実施形態に係るステップだけが実行される処理フローになる。
<変形例1>
なお、上記の実施形態では、圧力検出機構26が、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bによって開閉操作部23に加えられる圧力を検出する構成としたが、このような構成に限らず、例えば、図14(a)に模式的に示すように、開閉操作部23と一体に構成される支持板26rの上方に、支持板26rとは適当な間隔をあけた状態で配置された上部弾性板26mと、支持板26rの下方に当該支持板26rとは適当な間隔をあけた状態で配置された下部弾性板26nと、上部弾性板26mに加わる押し下げ圧力を検出するために支持板26rの上面に略均一な分布状態で配置された複数の上部圧力センサー26sと、下部弾性板26nに加わる押し上げ圧力を検出するために支持板26rの下面に略均一な分布状態で配置された複数の下部圧力センサー26tとによって、圧力検出機構26を構成してもよい。
上部弾性板26mは、操作者の押し下げ圧力が作用することによって撓むような可撓性を有するゴム板等の弾性板によって構成されており、下部弾性板26nも、操作者の押し上げ方向の圧力が作用することによって撓むような可撓性を有するゴム板等の弾性板によって構成されている。なお、支持板26rを、開閉操作板23によって兼用するようにしてもよい。
このような構成の圧力検出機構26では、全ての上部圧力センサー26sおよび下部圧力センサー26tによって、開閉操作部23における左右方向および奥行方向(前後方向)の圧力分布を検出することができ、図14(b)に示すように、操作者が操作した位置において高い圧力が検出され、その位置からの距離に比例するように、圧力が減少することになる。このことから、全ての上部圧力センサー26sおよび下部圧力センサー26tにおける最大の圧力が検出されたセンサーに基づいて、操作者により押し下げ圧力と押し上げ圧力のいずれが加えられたか(閉操作と開操作のいずれであるか)を判断することができるとともに、その操作位置を求めることができる。
すなわち、最大の圧力が検出されたセンサーが上部圧力センサー26sの場合には、その配置位置に、操作者が押し下げ圧力を加えたものと判断し、最大の圧力が検出されたセンサーが下部圧力センサー26tの場合には、その配置位置に、操作者が押し上げ圧力を加えたものと判断する。また、全ての上部圧力センサー26sにて検出される圧力値の総和と、全ての下部圧力センサー26tにて検出される圧力値の総和との差分に基づいて、前述した圧力検出値Pvが求められる。
このような構成の圧力検出機構26は、前述の全ての実施形態1〜6において適用することができる。また、操作者によって開閉操作のために圧力が加えられる操作位置が左右方向のみならず、前後方向についても検出することができるために、この前後方向の操作位置に基づいて、圧力検出値Pvを補正してもよい。この場合には、前後方向の操作位置が前側になるほど、ADFユニット20を上方に回動させるための押上げ圧力が小さくてすむために、操作者が開操作するときの補正係数は、圧力検出値Pvが増加するように設定されることになる。操作者が閉操作するときの補正係数は、圧力検出値Pvが減少するように設定されることになる。
<変形例2>
上記の実施形態1において説明した圧力検出機構26は、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bによって開閉操作部23に加えられる圧力を検出する構成になっており、また、図5(a)および(b)に示すグラフから、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRに基づいて、操作者が開閉操作部23を操作する位置を求めることができる。このことから、ADFユニット20の重心位置が開閉操作部23に対して左右方向にずれている場合に、操作者による開閉操作部23に対する操作圧力が操作位置にかかわらず一定になるように、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRを、開閉操作部23の操作位置に基づいて補正するようにしてもよい。
すなわち、図5(a)のグラフに示すように、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRが等しい場合には、開閉操作部23における左右方向の中央部の基準位置が操作者によって開操作されており、第1圧力センサー26aの検出圧力PvLが第2圧力センサー26bの検出圧力PvRよりも大きい場合には、操作者による開操作位置は、基準位置よりも左側であって、両者の差が大きくなるほど基準位置よりも遠くなっている。第1圧力センサー26aの検出圧力PvLが第2圧力センサー26bの検出圧力PvRよりも小さい場合には、操作者による開閉操作部23の操作位置は、基準位置よりも右側であって、両者の差が大きくなるほど基準位置よりも遠くなっている。
これらのことから、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRに基づいて、操作者が開閉操作部23を開操作する位置を検出することができる。操作者が開閉操作部23を閉操作する位置も、同様に、図5(b)のグラフから、第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRに基づいて求めることができる。
ADFユニット20の重心位置が、例えば開閉操作部23に対して左方向にずれている場合における第1圧力センサー26aおよび第2圧力センサー26bの検出圧力PvLおよびPvRの補正については、以下の通りである。
すなわち、操作者による操作位置が基準位置よりも左側である場合には、ADFユニット20の重心位置に近いことから、基準位置に対する距離が大きくなる(ADFユニット20の重心位置に近くなる)につれて、第1圧力センサー26aの検出圧力PvLと第2圧力センサー26bの検出圧力PvRの平均値である圧力検出値Pvが大きくなるように補正する。これにより、圧力検出値Pvと目標圧力との差分が大きくなり、開閉駆動モータ34による正転駆動速度が速くなるので、操作者は、基準位置に加える圧力とほぼ同程度の圧力を加えることで、ADFユニット20を開動作させることができる。
操作者が基準位置よりも右側において開操作する場合には、圧力検出値Pvが小さくなるように補正する。これにより、圧力検出値Pvと目標圧力との差分が小さくなり、開閉駆動モータ34による正転駆動速度が遅くなるので、操作者は、基準位置に加える圧力とほぼ同程度の圧力を加えることによって、ADFユニット20を上方に開動作させることができる。
閉操作の場合、例えばADFユニット20の重心位置が開閉操作部23に対して左方向にずれている場合には、操作者が開閉操作部23を閉操作するときの位置が基準位置よりも左側であれば、開閉駆動モータ34による逆転駆動速度が速くなるように、また、基準位置よりも右側であれば、開閉駆動モータ34による逆転駆動速度が遅くなるように、圧力検出値Pvがそれぞれ補正される。これにより、操作者は、基準位置に加える圧力とほぼ同程度の圧力を加えることで、ADFユニット20を閉動作させることができる。
なお、本発明に係る画像読取装置は、MFP(Multiple Function Peripheral)に限らず、複写機、FAX、画像読取専用機等にも適用できる。