JP5144921B2 - 生分解性多層シート - Google Patents
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Description
生分解性樹脂のなかでも、ポリ乳酸(PLA)が最も汎用されているが、生分解機能と優れた透明性を備える一方、この樹脂は硬く、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性に劣るなど、プラスチック製品として扱うには問題となる部分もある。したがって、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性に優れたポリオレフィン樹脂と組み合わせることによってプラスチック製品としての特性を維持しようと様々な工夫がなされている。
例えば、特許文献1では、容器の内層をポリオレフィン樹脂で成形し、外層を生分解性樹脂で構成し、必要に応じて内層と外層の間に接着剤としての中間層を設けた技術が記載されている。
また、特許文献2では、内層と外層がポリオレフィン樹脂を50%以上含み、中間層が生分解性樹脂を50%以上含む多層シートが記載されている。
この発明によれば、接着層が第一の接着層と第二の接着層の2層で形成されており、第一の接着層は、熱可塑性樹脂層と接着性の良い材料で形成し、第二の接着層は、生分解性樹脂層と接着性の良い材料で形成した。
したがって、各層間の接着性が向上するので、熱成形するときや罫線を入れたときに層間剥離しない。
この発明によれば、熱可塑性樹脂層と生分解性樹脂層との接着強度が、「JIS 7113」の測定方法により、3N/25mm巾以上とされているため、十分な接着強度を有している。したがって、熱成形や罫線を入れたりしても熱可塑性樹脂層と生分解性樹脂層との間で層間剥離しない。
生分解性樹脂が25質量%という基準は、生分解プラスチック研究会(BPS)の「バイオマスプラ識別表示制度」に基づいて、認証を受けることができるための最低割合である。したがって、生分解性樹脂の割合が、生分解性多層シート全体のうち25質量%未満だと、この認証を受けることができない。
この発明によれば、生分解性樹脂が植物由来であるので、その植物を再生することにより持続的な原料の供給が可能となる。
この発明によれば、ポリ乳酸はトウモロコシやジャガイモなどのデンプンを原料としているので、燃焼時の発熱量が低いうえに、有害な物質も出ない。また、自然環境の中で生分解されるので、環境にやさしい製品を提供することができる。また、ポリ乳酸は透明性に優れているので、透明性を備えた製品を提供することもできる。
この発明によれば、生分解性多層シートを共押出により一工程で製造することができるので、手間も時間もかからず、経済的である。
この発明によれば、前述の作用効果を備えた生分解性多層シートを使用するので、熱成形したり、罫線を入れたりしても、各層間で剥離が起こらずに成形品を製造することができる。
図1では熱可塑性樹脂層1、第一の接着層21と第二の接着層22からなる接着層2、生分解性樹脂層3、第二の接着層42と第一の接着層41からなる接着層4、熱可塑性樹脂層5の順で積層されている。
このようにして成形された生分解性多層シートは、生分解性樹脂層3の両面が、接着層2および4を介して、熱可塑性樹脂層1および5で挟まれた形態となっている。
そして、この生分解性多層シートに、熱成形や罫線を入れるなどの加工を施すことにより、クリアホルダや包装袋などの成形品を作製することができる。
(1)熱可塑性樹脂層1および5と生分解性樹脂層3との間に、それぞれが接する層と接着性の良好な材料で形成された第一の接着層と第二の接着層との2層からなる接着層を設けたので、各層間の接着力が向上し、生分解性多層シートを成形する際に熱成形や罫線を入れたりしても、各層間で剥離が起こらずにクリアホルダなどの成形品を製造することができる。
したがって、製造工程において不良品等が発生する頻度を大幅に減少させることができ、効率が上がる上に、材料等の無駄も抑えられるので、コストを低減できる。
また、本実施形態では、外部に接する面を熱可塑性樹脂層1および5としているので、耐薬品性に優れた製品を提供することができる。さらに、従来の熱可塑性樹脂用の印刷技術をそのまま使用することができるので、経済的である。
また、植物由来であるポリ乳酸は、燃焼時の発熱量が低いうえに、有害な物質も出ないため、環境にやさしい。さらに、ポリ乳酸の原料であるトウモロコシなどは再生が可能な資源であるので、持続的な原料の供給が可能となる。
例えば、本発明では第一の接着層と第二の接着層の2層からなる接着層を設けたが、第一の接着層と第二の接着層の間に第三の接着層を設けることもできる。
以下の実施例1および比較例1〜2の多層シートを共押出により製造し、罫線を入れてクリアボックスを作成した。なお、文章中の「AD」は、接着層である。
多層シートの層構成を以下に示す。
PP(ポリプロピレン)/AD1/AD2/PLA(ポリ乳酸)/AD2/AD1/PP
各層に使用した原料は以下の通りである。
PP :プライムポリマー製 プライムポリプロ233GV
AD1:三井化学製 アドマーSF730
AD2:(233GV:SF730:3032DK=35%:30%:35%)の混合物
PLA:ユニチカ製 テラマック4032DK
多層シートの層構成を以下に示す。
PP/AD1/AD2/PLA/AD2/AD1/PP
各層に使用した原料は以下の通りである。
PP :プライムポリマー製 プライムポリプロ233GV
AD1:三井化学製 アドマーSF730
AD2:(233GV:SF730:3032DK=20%:50%:30%)の混合物
PLA:ユニチカ製 テラマック4032DK
多層シートの層構成を以下に示す。
PET/AD1/AD2/PLA/AD2/AD1/PET
各層に使用した原料は以下の通りである。
PET :Easter CopolyEster PET-G 6763
AD1:三菱化学製 モディック F534A
AD2:(PETG 6763:F534A:4032DK=35%:30%:35%)の混合物
PLA:ユニチカ製 テラマック4032DK
多層シートの層構成を以下に示す。
PP/AD/PLA/AD/PP
各層に使用した原料は以下の通りである。
PP :プライムポリマー製 プライムポリプロ233GV
AD :三井化学製 アドマーSF730
PLA:ユニチカ製 テラマック4032DK
多層シートの層構成を以下に示す。
PP/AD/PLA/AD/PP
各層に使用した原料は以下の通りである。
PP :プライムポリマー製 プライムポリプロ233GV
AD :(233GV:SF730:4032DK=35%:30%:35%)の混合物
PLA:ユニチカ製 テラマック4032DK
実施例1から実施例3、比較例1および比較例2で製造した多層シートの接着強度および罫線を入れたときの接着状態を評価し、表1に示した。
(接着強度の測定方法)
「JIS 7113」に準拠して測定し、多層シートの接着力が一番弱い部分で剥離した強度を表1に示した。
(罫線を入れたときの評価方法)
坂本造機株式会社 PW-865を用いて、シートに0.15mmの深さに罫線を入れ、断面をマイクロスコープ(KEYENCE VH-Z100)で観察し、剥離しているか確認した。
比較例1では、AD層に接着性のポリオレフィン(アドマーSF730)を使用しているので、PP層との接着性は良いが、PLA層との接着性が悪く、罫線を入れたときにAD層とPLA層との間で層間剥離した。
比較例2では、AD層をアロイ層としたので、PLA層との接着性は良いが、PP層との接着性が悪く、罫線を入れたときにAD層とPP層との間で層間剥離した。
2、4…接着層
3…生分解性樹脂層
Claims (5)
- 少なくとも熱可塑性樹脂層と接着層と生分解性樹脂層とを含む生分解性多層シートにおいて、
前記接着層は、熱可塑性樹脂層と生分解性樹脂層との間に設けられるとともに、
前記熱可塑性樹脂層に隣接する第一の接着層と、
前記第一の接着層と前記生分解性樹脂層とに隣接する第二の接着層とを含む複数層で形成され、
前記第一の接着層は、前記熱可塑性樹脂層と接着性を有する層であって、酸変性ポリオレフィンを含み、
前記第二の接着層は、前記生分解性樹脂層と接着性を有する層であって、熱可塑性樹脂と生分解性樹脂と分散剤とを含むアロイ層であり、
前記分散剤は、酸変性ポリオレフィンを含み、
前記アロイ層における前記分散剤の配合割合が、アロイ層全体に対して30〜90%の範囲である
ことを特徴とする生分解性多層シート。 - 請求項1に記載の生分解性多層シートにおいて、
前記熱可塑性樹脂層と前記生分解性樹脂層との接着強度が、3N/25mm巾以上であることを特徴とする生分解性多層シート。 - 請求項1または請求項2に記載の生分解性多層シートにおいて、
前記生分解性樹脂が25質量%以上含まれていることを特徴とする生分解性多層シート。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の生分解性多層シートにおいて、
前記生分解性樹脂層に使用されている生分解性樹脂は、植物由来樹脂であることを特徴とする生分解性多層シート。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の生分解性多層シートにおいて、
前記生分解性樹脂は、ポリ乳酸であることを特徴とする生分解性多層シート。
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