JP5073470B2 - ポリウレタンエマルジョンとその硬化物 - Google Patents
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A化合物………有機ジイソシアネート(単位質量当たりの官能基数2.0)
B1化合物……単位質量当たりの官能基数2.0を有するポリオール混合物
B2化合物……1個の親水性中心と少なくとも2個の活性水素基とを有する化合物
(A) 被膜硬度
(B) 被膜強度
(C) 耐水性
(D) 耐温水性
(E) 耐アルコール性
本発明のポリウレタンエマルジョンは、有機ジイソシアネートであるA化合物と、ポリオール混合物からなるB1化合物と、ジメチロールプロピオン酸とジメチロールブタン酸とジアミノカルボン酸類のいずれかからなる1個の親水性中心と少なくとも2個の活性水素基とを有する化合物であるB2化合物とから生成される。とくに、本発明のポリウレタンエマルジョンは、B1化合物として、少なくとも2.05より大きい単位質量当たりの官能基数を有するポリオール混合物を用いた架橋性ポリウレタンエマルジョンにより、極めて良好な物性を実現することに成功したものである。また該ポリウレタンエマルジョンを硬化させた硬化物である被膜は、上記物性に極めて優れたものとなる。
(1) A化合物……有機ジイソシアネートからなるA化合物
(2) B1化合物……少なくとも2.05より大きい単位質量当たりの官能基数を有するポリオール混合物
(3) B2化合物……1個の親水性中心と少なくとも2個の活性水素基とを有する化合物
単位質量当たりの官能基数=(2x+3y)/(x+y)
となる。
(イ) ポリオキシポリアルキレンジオール
これは、短分子ジオールにアルキレンオキサイドの付加重合によって得ることができる。
(ロ) ポリエステル系ジオール
これは、ジカルボン酸とジオールの縮合重合によって得ることができる。
(ハ) ポリオキシテトラメチレンポリオール
これは、短分子ジオールとフランの開環重合よって得ることができる。
(ニ) カーボネート系ポリオール
これは、短分子ジオールとジアルキルカーボネートとの縮合重合によって得ることができる。
(ホ) ラクトン系ポリオール
これは、短分子ジオールにラクトンの開環重合によって得ることができる。
(ヘ) ひまし油系ポリオール
これは、ひまし油もしくはひまし油のエステル交換誘導物として得ることができる。
(ト) 液状ゴム系ポリオール
これは、ブタジエンゴムに過酸化水素の反応によって末端ヒドロキシル化によって得ることができる。
(チ) ラクトン系ポリオール
これは、短分子ポリオールにラクトンの開環付加重合によって得ることができる。
(リ) 及びラクトン系ポリオールとポリオキシポリアルキレンポリオールの混合物を挙げる。
中でも、(チ)が他成分との相溶性、易エマルジョン化性等より好ましい。
ポリオキシポリアルキレンポリオールは、短分子ポリオールにアルキレンオキサイドの付加重合によって得ることができる。
これらの2種以上の混合物も使用できる。
かくして、得られたポリウレタンエマルジョンは、機械コーティング、ディッピング等で塗布され、また刷毛、ローラー、スプレー等でも塗布される。
ただし、表1において、A化合物の有機ジイソシアネートであるIPDIと、B1化合物のポリオール混合物であるポリオール(1)、(2)、(3)、(4)、(5)と、B2化合物であるDMPA、DMBAは以下のものである。
ポリオール(1)は、分子量1000、官能基数2のポリオキシポリプロピレンポリオール、
ポリオール(2)は、分子量1000、官能基数2のポリオキシテトラメチレンポリオール、
ポリオール(3)は、トリメチロールプロパンのε−カプロラクトン開環重合から得られる分子量305、官能基数3のポリオール、
ポリオール(4)は、ブタンジオールとアジピン酸の縮合重合から得られる分子量1000、官能基数2のポリオール、
ポリオール(5)は、ヘキサンジオールとジエチルカーボネートから得られる、分子量1000、官能基数2のカーボネート系ポリオールである。
B2化合物であるDMPAは、ジメチロールプロピオン酸、
DMBAは、ジメチロールブタン酸である。
さらに、以下の実施例と比較例は、以下の触媒、中和剤、溶剤、鎖延長剤等を必要に応じて添加している。ただし、
触媒であるDBTLは、ジブチルチンジラウレート
中和剤であるTEAは、トリエチルアミン、
溶剤であるMEKは、メチルエチルケトン、
鎖延長剤であるIPDAは、イソホロンジアミンである。
撹拌機、温度計、窒素シール管、冷却機のついた4口フラスコに、溶剤であるMEXを150部、B1化合物のポリオール混合物としてポリオール(1)を126部、ポリオール(3)を8.3部仕込み、その後、A化合物の有機ジイソシアネートであるIPDIを100部、触媒であるDBTLを0.1部仕込み、80℃で3時間反応させ、あらかじめ溶剤であるMEKが50部、B2化合物であるDMPAが18部、中和剤であるTEAが18部からなるカルボン酸塩溶液を仕込んで、さらに80℃で2時間反応させて、液状生成物溶液を得る。
その後、ロータリーエバポレーターにて溶剤のMEKを除去して、中間生成物を水中に自己乳化して分散させてなるポリウレタンエマルジョンPE−1を得る。得られるPE−1の固形分は35.1%、25℃における粘度600cpsとなる。
撹拌機、温度計、窒素シール管、冷却機のついた4口フラスコに、B1化合物であるポリオール混合物としてポリオール(2)を113部、ポリオール(3)を16.5部仕込み、その後、A化合物の有機ジイソシアネートであるIPDIを100部、触媒であるDBTLを0.1部仕込み、80℃で3時間反応させ、あらかじめ溶剤であるMEKが36部、B2化合物であるDMPAが18部、中和剤であるTEAが13.5部からなるカルボン酸塩溶液を仕込んで、さらに80℃で2時間反応させて、液状生成物溶液を得る。
反応終了後、水を446部仕込んで転相させ、その状態のまま室温で12時間放置して、残存イソシアネート基とセル内に浸透する過剰量の水との反応により反応を終了させる。
その後、ロータリーエバポレーターにて溶剤であるMEKを除去して、ポリウレタンエマルジョンPE−3を得る。PE−3の固形分は35.6%、25℃における粘度300cpsとなる。
撹拌機、温度計、窒素シール管、冷却機のついた4口フラスコに、B1化合物のポリオール混合物としてポリオール(2)を94部、ポリオール(3)を25部仕込み、その後、A化合物の有機ジイソシアネートであるIPDIを100部、触媒であるDBTLを0.1部、B2化合物であるDMBAを9部仕込み、80℃で3時間反応させ、その後中和剤であるTEAを9部を混合して、液状生成物溶液を得る。
反応終了後、水を356部仕込んで転相させ、その状態のまま室温で12時間放置して、残存イソシアネート基とセル内に浸透する過剰量の水との反応により反応を終了させ、ポリウレタンエマルジョンPE−5を得る。PE−5の固形分は39.0%、25℃における粘度650cpsとなる。
表1において、鉛筆硬度は(JIS K5400)で測定し、引張試験特性は(JIS K6301 3号ダンベル)で測定し、引張試験器には島津製作所オートグラフS−500を使用し、引張速度は100mm/minで測定する。
測定結果は表1に示すようになる。
(2) アルミ板の破断強さは42.7kg/cm2となり、これもエポキシとアルミ板との界面で剥離する。
(3) ステンレス板の破断強さは47.2kg/cm2となり、これもエポキシとステンレス板との界面から剥離する。
(4) FRPの破断強さは355kg/cm2と極めて強く、エポキシ材自体が破壊する。
以上のように、極めて優れた破断強さを有するので、構造用の接着剤としての用途も使用可能である。
実施例1〜5、および比較例1〜3の製作工程において、B1化合物であるポリオール混合物100重量部に対して、DOP(ジオクチルフタレート)で練った2重量部の顔料(カーボンブラック 御国色素製)を添加する以外、それぞれの実施例、比較例とまったく同じ方法でポリウレタンエマルジョンを合成する。
さらに、得られたポリウレタンエマルジョン100重量部に対して、チキソ材として超微粉合成シリカペースト(アエロジルA3)を16重量部を混合して、ポリウレタンエマルジョンのチキソ状液PT−1〜PT−8を得る。チキソ状液は、静止状態ではゲル状若しくは固体状の外観を示すが、振動等を与える応力下では液体状の外観を示すことが特徴である。
この試験において、密着性試験は、「JIS K5400」に基づく碁盤目テープ剥離試験とする。測定結果は、例えば56/100と表示する。この表示は、試験前100枡中の試験後56枡が保存して44枡が剥離されたことを示す。したがって、全く剥離しないものは100/100となり、全て剥離されるものは0/100となる。
Claims (13)
- 有機ジイソシアネートからなるA化合物と、少なくとも2.05より大きい単位質量当たりの官能基数を有するポリオール混合物からなるB1化合物と、ジメチロールプロピオン酸とジメチロールブタン酸とジアミノカルボン酸類のいずれかであるB2化合物から生成される中間生成物を水中に乳化して分散させて得られる反応生成物を含み、
かつ、B1化合物が、2官能基ポリオールと3官能基以上のポリオールのポリオール混合物で、なおかつ、3官能基以上のポリオールがε−カプロラクトン系ポリオールであるポリウレタンエマルジョン。 - 顔料が混合されてなる請求項1に記載されるポリウレタンエマルジョン。
- 顔料がB1化合物であるポリオール混合物に添加されてなる請求項2に記載されるポリウレタンエマルジョン。
- 顔料が有機顔料である請求項3に記載されるポリウレタンエマルジョン。
- 顔料がカーボンブラックである請求項3に記載されるポリウレタンエマルジョン。
- A化合物1当量に対する、B1化合物及びB2化合物の添加量が0.45〜1.02当量である請求項1に記載されるポリウレタンエマルジョン。
- 有機ジイソシアネートからなるA化合物と、少なくとも2.05より大きい単位質量当たりの官能基数を有するポリオール混合物からなるB1化合物と、ジメチロールプロピオン酸とジメチロールブタン酸とジアミノカルボン酸類のいずれかであるB2化合物から生成される中間生成物を水中に乳化して分散させて得られる反応生成物を含み、
かつ、B1化合物が、2官能基ポリオールと3官能基以上のポリオールのポリオール混合物で、なおかつ、3官能基以上のポリオールがε−カプロラクトン系ポリオールであるポリウレタンエマルジョンの乾燥によって硬化されてなるポリウレタンエマルジョンの硬化物。 - 硬化物がコーティング剤、塗料、接着剤のいずれかである請求項7に記載されるポリウレタンエマルジョンの硬化物。
- 硬化状態での引張破断強度が800kg/cm2以上であって、鉛筆硬度2H以上の被膜である請求項7に記載されるポリウレタンエマルジョンの硬化物。
- ポリウレタンエマルジョンがチキソ材を含有する請求項7に記載のポリウレタンエマルジョンの硬化物。
- チキソ材が超微粉合成シリカである請求項10に記載のポリウレタンエマルジョンの硬化物。
- ポリウレタンエマルジョンに含まれチキソ材の含有量が、ポリウレタンエマルジョンに含まれる水分を除く成分100重量部に対して、3〜20重量部である請求項10又は11に記載されるポリウレタンエマルジョンの硬化物。
- ポリウレタンエマルジョンがカーボンブラック顔料を含み、顔料を含むポリウレタンエマルジョンの塗布被膜にレーザー光が照射されてなる請求項7に記載されるポリウレタンエマルジョンの硬化物。
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