JP5073449B2 - 動力工具のハウジング - Google Patents

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Description

この発明は、例えば電動モータを駆動源として内蔵する電動工具等の動力工具のハウジングに関する。
例えば、電動モータを駆動源として内蔵する電動工具は、通常その回転出力をギヤの噛み合い(ギヤ列)を経て増幅(減速)して出力軸から出力する構成を備えている。減速ギヤ列は、電動モータと出力軸との間に介装され、通常ハウジングに区画形成したギヤ室内に収納され、当該ギヤ室内にはギヤ列の潤滑等を目的としてグリス(潤滑油)が封入される。一方、この種の動力工具のハウジングは、通常その組み付け性あるいはメンテナンス性等を考慮して機長方向(モータ軸方向)に沿って左右に二分割した二つ割り構造のものが用いられる。
この二つ割りハウジングでは、その合わせ面のわずかな隙間を経た毛細管現象により、ギヤ室のグリスの主として油分(以下、単にグリス油分ともいう)が長い時間を掛けて外部に洩れ出す問題があり、このグリス油分の洩れ(以下、単にグリス洩れともいう)を防止するための技術として、従来、例えば下記の特許文献に記載された技術が公知になっている。特許文献1には、二つ割り構造のハウジングの突き合わせ面の一方に凹溝を設け、他方にリブを設けて、両者間に弾性シール材を挟み込んで相互に凹凸係合させることによりギヤ室のグリス洩れを防止するシール技術が記載され、特許文献2には、ギヤ室の外側にグリス洩れ防止用の壁部を追加して二重構造とするシール技術が記載されている。
特開平5−23978号公報 実開平5−20879号公報
しかしながら、上記従来のシール構造によれば、二つ割りハウジングの突き合わせ面の一方にリブを設け、他方に凹部に設けることから当該ハウジングの型費用が嵩む等コスト高の原因となり、また突き合わせ面に挟み込むシール部材を別途必要とすることから部品点数の増大を招く問題があった。
本発明は、上記コスト高、部品点数の増大を招くことなく、ギヤ室のグリス洩れを防止若しくは抑制することができるようにすることを目的とする。
上記の課題は、以下の発明により解決される。
第1の発明は、駆動源の回転出力を減速して出力するための減速ギヤ列を内装し、機長方向に沿って二分割された左右の分割ハウジングを相互に突き合わせて形成される2つ割り構造のハウジングであって、左右の分割ハウジングの内面には、減速ギヤ列が収容されるギヤ室を区画形成するギヤ室壁部と、ギヤ室壁部と当該分割ハウジングの外壁部との間に連続して形成された補助壁部を備え、ギヤ室壁部と外枠部と補助壁部が左右相互に突き合わされて当該左右の分割ハウジングが相互に突き合わされた構成とされ、左右の分割ハウジングの一方または双方について補助壁部の突き合わせ面に、その幅方向に横切って設けられて断面形状が不連続的に変化することにより、突き合わせにより発生する毛細管現象を途切れさせる部位を設けた動力工具のハウジングである。
第1の発明によれば、左右の分割ハウジングが突き合わされて形成されるギヤ壁部の突き合わせ面間のわずかな隙間による毛細管現象が、リブの突き合わせ面に設けた当該毛細管現象を途切れさせるための部位(以下、毛細管現象途切れ部という)によって途切れることから、分割ハウジングの突き合わせ面間を経てグリスの油分が洩れ出すことが防止若しくは抑制される。
上記毛細管現象途切れ部は、リブの突き合わせ面(先端面)に当該リブの幅方向(壁厚さ方向)に例えば溝部を横切って設ける構成とすることができる。この溝部によってリブの突き合わせ面の断面形状が不連続的に変化することから毛細管現象が途切れる。リブにおいて毛細管現象が途切れることにより、ギヤ室壁部の毛細管現象により洩れ出した油分が引き続き毛細管現象によりリブ及び外壁部の突き合わせ面を当該ハウジングの外部に洩れ出すことが防止される。
また、従来とは異なってリブの突き合わせ面に沿って凹部及び凸部を設ける構成ではなく、かつ別途シール部材を必要とする構成ではないので、大きなコストアップを招くことなく、また部品点数の増大を招くこともない。
第2の発明は、第1の発明において、毛細管現象を途切れさせる部位として溝部を設けた動力工具のハウジングである。
第2の発明によれば、ギヤ室のグリス油分が当該ハウジングの外部に洩れ出すまでに至る途中の段階で毛細管現象途切れ部としての溝部によってグリス油分の毛細管現象が途切れる。このことから、簡単な構成でグリス室のグリス洩れを防止することができる。分割ハウジングの突き合わせ面に溝部が設けられることによって、左右の突き合わせ面の間隔が大きくなって毛細管現象が途切れるとともに、表面張力によってグリス油分の流動が防止され、この点でも、グリス油分の当該ハウジング外部への洩れ出しが未然に防止され、若しくは低減される。
第3の発明は、駆動源の回転出力を減速して出力するための減速ギヤ列を内装し、機長方向に沿って二分割された左右の分割ハウジングを相互に突き合わせて形成される2つ割り構造のハウジングであって、左右の分割ハウジングの内面には、減速ギヤ列が収容されるギヤ室を区画形成するギヤ室壁部と、ギヤ室壁部と当該分割ハウジングの外壁部との間に連続して形成された補助壁部を備え、ギヤ室壁部と外枠部と補助壁部が左右相互に突き合わされて当該左右の分割ハウジングが相互に突き合わされた構成とされ、左右の分割ハウジングの一方について、ギヤ室壁部または外壁部または補助壁部の少なくとも1つの突き合わせ面に沿って凸部を設け、左右の分割ハウジングの他方について、凸部に対応してギヤ室壁部または外壁部または補助壁部の突き合わせ面に沿って凹部を設け、凸部の先端に沿ってシール片部を設けて、シール片部を凹部の底部に押し付けてその押圧力により変形させた状態で凸部が凹部に沿って嵌り込んで左右の分割ハウジングが相互に突き合わされた動力工具のハウジングである。
第3の発明によれば、左右の分割ハウジングを突き合わせる段階で、一方の突き合わせ面に設けた凸部が他方の突き合わせ面に設けた凹部に沿ってはめ込まれることにより当該左右の分割ハウジングが相互に突き合わされる。凸部の先端には、シール片部が設けられており、このシール片部を凹部の底部に押し付けてその押し付け力(押圧力)により変形させることによって当該底部に圧接させた状態で当該凸部が凹部にはめ込まれる。
このため、左右の分割ハウジングが突き合わされると、一方の分割ハウジングの凹部の底部に沿って他方の分割ハウジングのシール片部が押し付けられて圧接されることから、当該シール片部を装着するための特別の手間を掛けることなく、左右分割ハウジング間であって突き合わせ面のシールがなされ、これによりグリス室から当該ハウジングの外部へのグリス油分の洩れ出しを防止することができる。
また、第3の発明によれば、凸部に沿って一体にシール片部を設ける構成であり、このシール片部は、凹部に沿って凸部を嵌め込めばそのまま凹部の底部に押し付けられて圧接される構成となっている。このことから、請求項3記載のハウジングによれば、当該ハウジング製作用の成形型について大きな型費用の増大を招くことなく、かつ別途シール部材を用いる場合のような部品点数の増大を招くことなく、また特別の組み付けの手間を掛けることなくグリス油分の洩れ出しを防止することができる。
次に、本発明の実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るハウジング50を備えた手持ち式の動力工具1を示している。この動力工具1は、工具本体部2とハンドル部3を備えている。工具本体部2の後部寄り(図1において左側)に駆動源としての電動モータ4が内装されている。本実施形態では、この動力工具1の一例としてディスクサンダを例示する。
本実施形態に係る動力工具1は、ハウジング50に特徴を有しており、その他の構成については従来と同様で足り、本実施形態において特に変更を要しないが以下簡単に説明する。電動モータ4の出力軸4aは、軸受け5,6を介して軸回りに回転可能な状態で機長方向に沿って支持されている。前側(図1において右側)の軸受け5の左側には冷却ファン7が取り付けられている。また、出力軸4aの先端部であって軸受け5の右側には出力ギヤ部4bが形成されている。この出力ギヤ部4bには駆動ギヤ8が噛み合わされている。この駆動ギヤ8は、スピンドル9に固定されている。スピンドル9は、軸受け10,11を介してハウジング50に回転可能に支持されている。本実施形態では、前側(図1において右側)の軸受け10にボールベアリングが用いられ、後ろ側(図1において左側)の軸受け11にはメタルブッシュが用いられている。スピンドル9の先端部はハウジング50の前部から突き出されており、この突き出し部分に先端工具として円形の砥石12が取り付けられている。
ハンドル部3は、使用者が片手で把持するもので、工具本体2の側部から側方へ突き出す状態に設けられている。このハンドル部3の突き出し基部にトリガ形式のスイッチレバー15が設けられている。使用者がハンドル部3を把持した手の指先でこのスイッチレバー15を引き操作すると、メインスイッチ16がオンしてそのオン信号に基づいて電動モータ4が起動する。電動モータ4の回転出力は、出力ギヤ部4bと駆動ギヤ8の噛み合いを経て減速された状態でスピンドル9に伝達され、これにより砥石12が回転する。
ハウジング50は、いわゆる二つ割り構造を有するもので、機長方向(電動モータ4の出力軸4a、図1において左右方向)に沿って左右に二分割(半割り)した分割ハウジング50L,50Rを相互に突き合わせて形成されている。図1では、二つの分割ハウジング50L,50Rのうち機長方向前側(図1において右側)に向かって左側の左分割ハウジング50Lの大部分が示され、右分割ハウジング50Rはその後部の一部のみが示されている。左右の分割ハウジング50L,50Rは、合計9カ所の固定ねじ52〜52で相互に突き合わせた状態に固定されている。左右の分割ハウジング50R,50Lには、それぞれ工具本体部2を構成する部分とハンドル部3を構成する部分が一体に設けられている。左右の分割ハウジング50L,50Rは、本実施形態の特徴部分を除いて相互に左右対称に構成されていることから、左分割ハウジング50Lについてのみ説明し、必要に応じて右分割ハウジング50Rについて説明する。
左右の分割ハウジング50L,50Rは、それぞれ外枠部51(ハウジング外面をなす部分)の内面に種々形態の壁部を一体に備えている。以下説明する各壁部は、当該ハウジング50に内装する各種の機構部品を支持するための支持部として機能し、また当該ハウジング50を内部から補強するリブとして機能する。
ハウジング50の先端寄り(図1において右寄りの位置)には、電動モータ4の出力ギヤ部4bと駆動ギヤ8を収容するギヤ室53が設けられている。このギヤ室53及びその周辺の構成が図2に拡大して示されている。このギヤ室53は、ギヤ室壁部54〜57によってその前後左右を区画形成されている。このギヤ室53内にはグリス(潤滑油)が封入されている。図1及び図2ではグリスそのものの図示は省略されている。このグリスによって出力ギヤ部4bと駆動ギヤ8の噛み合いの潤滑がなされることにより、効率のよい動力伝達がなされる結果その寿命を長くすることができ、またその静音化を図ることができる。
上記ギヤ室53の前側(図2において右側)を区画するギヤ室壁部54の中央には、挿通孔54bが設けられている。この挿通孔54bには、スピンドル9が挿通されている。この前側のギヤ室壁部54は、前側の軸受け10を収容する軸受け室70の後ろ側を区画する機能も有している。この軸受け室70は、後ろ側を上記ギヤ室壁部54で区画され、上下を軸受け室壁部71,72で区画され、前側を軸受け室壁部73で区画されている。
ギヤ室53の上下はギヤ室壁部56,57によって区画され、後ろ側(図2において左側)はギヤ室壁部55によって区画されている。このギヤ室壁部55には、スピンドル9の後端側を回転支持する軸受け11が取り付けられている。
このギヤ室壁部55には、ファン室60の前側を区画するファン室壁部61が一体に設けられている。このファン室壁部61に、電動モータ4の出力軸4aを回転支持する軸受け5が取り付けられている。このファン室60内に前記冷却ファン7が回転可能な状態で収容されている。ファン室60の上下はファン室壁部62,63によって区画され、後ろ側はファン室壁部64によって区画されている。
このように、ハウジング50の先端側内部には、冷却ファン7を収容するファン室60と、出力ギヤ部4bと駆動ギヤ8を収容し、グリスが封入されたギヤ室53と、軸受け10を収容する軸受け室70が順次機長方向前側に向かって並設されている。これらの各室60,53,70は、左右の分割ハウジング50L,50Rを突き合わせてそれぞれの壁部の突き合わせ面が左右相互に突き合わされることにより一定の空間部を形成する。この突き合わせ状態(当該ハウジング50の組み付け状態)において、各室60,53,70を区画形成する壁部61〜64,54〜57,71〜73の左右突き合わせ面間(図2において見えている面)にはわずかな隙間Vが発生する場合がある。図3に示すようにこのわずかな隙間Vを経て、ギヤ室53に封入したグリスの主として油分が毛細管現象により突き合わせ面を伝わって洩れ出すことが考えられる。図3では、ギヤ室53の下側を区画するギヤ室壁部57の突き合わせ面に符号57aが付されている。また、図2では、各壁部61〜64,54〜57,71〜73の突き合わせ面に、それぞれ符号61a〜64a,54a〜57a,71a〜73aが付されている。
上記の毛細管現象は、上記ギヤ室壁部57に限らず、ファン室60の各壁部61〜64、ギヤ室53の各壁部54〜56、軸受け室70の各壁部71〜73についても同様に発生することが考えられる。そこで、本実施形態に係るハウジング50には、この毛細管現象を洩れ出す経路の途中で途切れさせることによってギヤ室53に封入したグリスの油分が当該ハウジング50の外部にまで洩れ出さないようにするための工夫がなされている。本実施形態では、グリスの油分が洩れ出す経路の途中に、この毛細管現象を途切れさせるための部位(以下、毛細管現象途切れ部)が設けられている。
本実施形態の毛細管現象途切れ部80は、ファン室60の前側を区画するファン室壁部61の上下2カ所と、同じくファン室60の上下を区画するファン室壁部62,63の各1カ所と、軸受け室70の上下を区画する軸受け室壁部71,72の各1カ所と、ギヤ室53の前側を区画するギヤ室壁部54と下側を区画するギヤ室壁部57の外枠部51との接合部に沿った1カ所との合計7カ所に設けられている。本実施形態では毛細管現象途切れ部80として、溝部を備えている。図4には、ファン室60の前側を区画する前側壁部61の上側の毛細管現象途切れ部80の詳細が示されている。図示するように本実施形態に係る毛細管現象途切れ部80は、左右分割ハウジング50L,50Rの前側壁部61の各突き合わせ面61a,61aに半円形状の溝部を形成した構成を備えている。この毛細管現象途切れ部80は、突き合わせ面61aの幅方向(板厚方向)に横切って形成されている。突き合わせ面61a,61a間のわずかな隙間Vは、この毛細管現象途切れ部80において、不連続的に幅広になるため、当該毛細管現象途切れ部80に毛細管現象が途切れる。このため、突き合わせ面61a,61a間のわずかな隙間を経て毛細管現象により突き合わせ面61aを伝わってギヤ室53から洩れ出したグリスの油分はこの毛細管現象途切れ部80において途切れ、従ってハウジング50の外部まで洩れ出すことは防止される。
本実施形態では、図2に示すようにファン室60側の4カ所の毛細管途切れ部80〜80は、壁部が他の壁部にT字形に突き当たる部位に設けられている。また、軸受け室70側の2カ所の毛細管途切れ部80,80は、軸受け室壁部71,72の長手方向ほぼ中央に設けられている。さらに、ギヤ室壁部54,57間の接合角部と外枠部51との間に沿った毛細管現象途切れ部80は、当該外枠部51の湾曲形状に沿って形成されている。
以上のように構成した本実施形態のハウジング50によれば、左分割ハウジング50Lと右分割ハウジング50Rが相互に突き合わされて、それぞれの内部に設けた壁部61〜64,54〜57,71〜73が左右相互に突き合わされると、各壁部61〜64,54〜57,71〜73の突き合わせ面61a〜64a,54a〜57a,71a〜73aが左右相互に突き合わされる。各突き合わせ面61a〜64a,54a〜57a,71a〜73aの左右相互間には、わずかな隙間Vが発生する場合があり、この隙間Vを経てギヤ室53に封入したグリスの油分が毛細管現象によって洩れ出す場合がある。しかしながら、本実施形態のハウジングによれば、ギヤ室53を区画するギヤ室壁部54〜57を除いた壁部であって、ファン室60の前側を区画するファン室壁部61の上下2カ所と、上下を区画するファン室壁部62,63のそれぞれ1カ所と、軸受け室70の上下を区画する軸受け室壁部71,72のそれぞれ1カ所と、ギヤ室53の前側と下側を区画するギヤ室壁部54,57間の接合角部と外枠部51との間に沿った1カ所との合計7カ所に毛細管現象途切れ部80〜80が設けられている。このため、ギヤ室53の各壁部54〜57の突き合わせ面54a〜57a間のわずかな隙間Vを経て当該ギヤ室53内から洩れ出したグリスの油分が、その後ファン室60及び軸受け室70の各壁部61〜64,71〜73の突き合わせ面61a〜64a,71a〜73aを伝わって当該ハウジング50の外部に洩れ出す前に上記毛細管現象途切れ部80〜80によって毛細管現象が途切れることなり、従ってグリス油分のハウジング50外部への洩れ出しが従来の単に壁部を二重構造とした構成に比してより確実に防止される。
また、本実施形態の毛細管現象途切れ部80によれば、左右突き合わせ面間のわずかな隙間Vが不連続的に大きな隙間に変更されることから、ギヤ室53から洩れ出したグリスの油分が当該毛細管途切れ部80において表面張力により堰き止められた状態となり、この点でもハウジング50の外部への洩れ出しを阻止することができる。
さらに、従来のように別途用意したシールゴムを用いる構成ではないので、部品点数の増大及びコストアップを招くことがない。
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、毛細管現象途切れ部80〜80としての溝部の配置部位あるいは配置数については、任意であり、例示した壁部に合計7カ所設ける構成に限定されるものではない。要は、ギヤ室53を区画する壁部以外の壁部であって、左右突き合わせ面間のわずかな隙間Vを経てグリス油分が毛細管現象により洩れ出すおそれのある経路(突き合わせ面)の途中に当該隙間の大きさを不連続的に大きくする部位を設けて当該毛細管現象を途切れさせる構成とすればよい。
また、毛細管現象途切れ部80として断面半円形の溝部を例示したが、この溝部は断面矩形あるいは断面V字形であってもよい。また、相互に対向する二つの突き合わせ面の双方に断面半円形状の溝部80,80を設ける構成を例示したが、一方の突き合わせ面にのみ断面半円形状等の溝部を設ける構成としてもよい。
さらに、毛細管現象途切れ部80〜80として溝部を例示したが、これに代えて例えばスポンジ等多孔質材を洩れ出す経路の途中に配置して毛細管現象途切れ部としてもよい。
また、図5には、前記例示した毛細管途切れ部80(第1実施形態)とは異なる構成によって同様の作用効果(グリス油分洩れ出し防止機能)を得ることができる第2実施形態が示されている
この第2実施形態のハウジング90も機長方向左右に二分割された分割ハウジング91,92を相互に突き合わせた二つ割り構造を備えている。左右の分割ハウジング91,92のそれぞれの外枠部91a,92aの突き合わせ面91b,92bの一方(本例では突き合わせ面92b)に凸部93が当該突き合わせ面92bに沿って一体に設けられ、他方(本例では突き合わせ面91b)にこの凸部93が嵌め込まれる凹部94が当該突き合わせ面91bに沿って設けられている。左右の分割ハウジング91,92が相互に突き合わされてハウジング90が形成される段階で、一方の凸部93が他方の凹部94に沿って嵌め込まれる。
凸部93の先端面には、シール片部95が当該凸部93に沿って一体に設けられている。このシール片95は、図示するように先端側が尖った変形可能な断面形状に形成されている。このため、図5中右側に示すように左右の分割ハウジング91,92を相互に突き合わせた段階で、凸部93が凹部94に沿って嵌め込まれ、その結果シール片95が凹部94の底部に押し付けられてその押し付け力により変形して例えば湾曲状態で当該底部に圧接された状態となる。
この第2実施形態に係るハウジング90によれば、毛細管現象により突き合わせ面91b,92b間のわずかな隙間Vをグリス油分が伝わってギヤ室53から洩れ出した場合であっても、圧接されたシール片部95がシール部材として機能することにより、当該洩れ出したグリス油分がハウジング90の外部(図5において凸部93に対して左側から右側)に洩れ出すことが防止される。このことから、従来のように別途用意したシールゴムを必要としないので、部品点数の増大及びコストアップを招くことがない。
また、凸部93の先端に沿って部95を追加すれば足りるので、その成形型について大きな型費の増大を招くことがない。
以上説明した第1及び第2実施形態では、動力工具の一例として手持ち式の電動工具(ディスクサンダ)を例示したが、圧縮エアを動力源として作動するエアモータを駆動源とするエアツールのハウジングに適用することにより同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係るハウジングを備えた動力工具の全体側面図である。本図では、機長方向右側の分割ハウジングが省略されて内部構造が示されている。 ギヤ室及びその周辺の側面図である。 図2の(X)-(X)線断面矢視図である。 図2の(Y)-(Y)線断面矢視図である。 第2実施形態に係る左右分割ハウジングの突き合わせ面付近の縦断面図である。
符号の説明
1…動力工具(ディスクサンダ)
2…工具本体部
3…ハンドル部
4…電動モータ、4a…出力軸、4b…出力ギヤ部
5,6…軸受け
7…冷却ファン
8…駆動ギヤ
9…スピンドル
10,11…軸受け
12…砥石
15…スイッチレバー
16…メインスイッチ
50…ハウジング
50L…左分割ハウジング
50R…右分割ハウジング
51…外枠部
52…固定ねじ
53…ギヤ室
54…ギヤ室壁部(前側)、54a…突き合わせ面、54b…挿通孔
55…ギヤ室壁部(後ろ側)、55a…突き合わせ面
56…ギヤ室壁部(上側)、56a…突き合わせ面
57…ギヤ室壁部(下側)、57a…突き合わせ面
60…ファン室
61…ファン室壁部(前側)、61a…突き合わせ面
62…ファン室壁部(上側)、62a…突き合わせ面
63…ファン室壁部(下側)、63a…突き合わせ面
64…ファン室壁部(後ろ側)、64a…突き合わせ面
70…軸受け室
71…軸受け室壁部(上側)、71a…突き合わせ面
72…軸受け室壁部(下側)、72a…突き合わせ面
73…軸受け室壁部(前側)、73a…突き合わせ面
80…毛細管現象途切れ部(溝部)
90…ハウジング(第2実施形態)
91…右側分割ハウジング、91a…外枠部、91b…突き合わせ面
92…左側分割ハウジング、92a…外枠部、92b…突き合わせ面
93…凸部
94…凹部
95…シール片部
V…突き合わせ面間の隙間

Claims (4)

  1. 駆動源の回転出力を減速して出力するための減速ギヤ列を内装し、機長方向に沿って二分割された左右の分割ハウジングを相互に突き合わせて形成される2つ割り構造のハウジングであって、
    前記左右の分割ハウジングの内面には、前記減速ギヤ列が収容されるギヤ室を区画形成するギヤ室壁部と、該ギヤ室壁部と当該分割ハウジングの外枠部との間に連続して形成された補助壁部を備え、前記ギヤ室壁部と前記外枠部と前記補助壁部が左右相互に突き合わされて当該左右の分割ハウジングが相互に突き合わされた構成とされ、
    前記左右の分割ハウジングの一方または双方について前記の補助壁部の突き合わせ面に、その幅方向に横切って設けられて断面形状が不連続的に変化することにより、前記突き合わせにより発生する毛細管現象を前記ギヤ室壁部から前記外枠部に至る経路の途中で途切れさせる部位を設けた動力工具のハウジング。
  2. 請求項1記載のハウジングであって、前記毛細管現象を途切れさせる部位として溝部を設けた動力工具のハウジング。
  3. 駆動源の回転出力を減速して出力するための減速ギヤ列を内装し、機長方向に沿って二分割された左右の分割ハウジングを相互に突き合わせて形成される2つ割り構造のハウジングであって、
    前記左右の分割ハウジングの内面には、前記減速ギヤ列が収容されるギヤ室を区画形成するギヤ室壁部と、該ギヤ室壁部と当該分割ハウジングの外壁部との間に連続して形成された補助壁部を備え、前記ギヤ室壁部と前記外枠部と前記補助壁部が左右相互に突き合わされて当該左右の分割ハウジングが相互に突き合わされた構成とされ、
    前記左右の分割ハウジングの一方について、前記ギヤ室壁部または前記外壁部または前記補助壁部の少なくとも1つの突き合わせ面に沿って凸部を設け、前記左右の分割ハウジングの他方について、前記凸部に対応して前記ギヤ室壁部または前記外壁部または前記補助壁部の突き合わせ面に沿って凹部を設け、前記凸部の先端に沿ってシール片部を設けて、該シール片部を前記凹部の底部に押し付けてその押圧力により変形させた状態で前記凸部が前記凹部に沿って嵌り込んで前記左右の分割ハウジングが相互に突き合わされた動力工具のハウジング。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載したハウジングを備えた動力工具。
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