JP5057467B2 - 成形装置とそのシュー及び成形方法 - Google Patents
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Description
(1)ロールへの巻き付きを代表とする3次元変形の特徴が強く、成形の目的である断面内の変形だけではなく、他の方向にも様々な付加的変形ひずみが発生する。その結果、トータル歪が大きく残留応力の形態も複雑で、製品の寸法精度と内在品質に悪影響を及ぼす、
(2)ロールと被成形素材との接触領域における周速差が大きく、両者の相対滑りによる製品表面品質が問題になることが多い、
(3)変形が激しい割にロールと被成形素材との接触領域が小さいので、両者間の面圧が高い。この高い面圧と上記周速差の総合効果として、ロールの磨耗が激しく、製品寸法精度を維持するためのコストが高い、
(4)被成形素材が受けるロールからの進入抵抗が大きく、推力不足の問題がしばしば発生し、必要な駆動エネルギーも大きい、という問題を生じる。
このサイジング装置の成形ロールスタンド段数を減らす目的で1段で高い絞り率を得る構成として、4方ロールのうち左右対向のロールの外径を上下対向のロールの外径より小さくし、かつ左右対向のロールを上下対向のロールの位置より上流側に配置する方法が提案されている。(特許文献1)
また、特許文献3、4のごとく、所要の孔型を有する多数のシューを連結してチェーン化し、これを小判型、長円形などの無限軌道を回るエンドレス成形シュー群となして用いることが想定できる。この装置は、帯材両端の突き合わせ面を溶接するために、前工程ですでに円筒状に成形された素管を正しく保持する目的には適しているが、ロール成形のように多種多様な成形や前述のサイジング工程には不向きであった。
その結果、発明者らは、旋回曲面の孔型を有するシューを多数個連結し、孔型を外向きに無限軌道上を連続移動可能にしたシューブロック列を用い、被成形素材と当接して同期移動する成形区間の無限軌道面に、想定される巨大成形ロールの直径を有する仮想円の所要円弧部分と同じ曲率半径と円弧長さを与えることで、成形区間の軌道面を通過するシューブロック列が仮想巨大成形ロールと同様の作用を被成形素材に与えることができ、ロールの諸問題を解消できる成形装置が得られることを知見した。
以下、巨大な成形ロールの使用と同等の作用効果が得られる成形装置を具現化する概念を説明する。図1Cに示すごとく、巨大な仮想成形ロールRと被成形素管Pと接触する領域に相当する巨大直径の仮想円のある長さの円弧部分のみを使用することが、本発明の基本コンセプトである。例えば、被成形素管Pの直径が50mmである場合、7000mmの半径を有する仮想成形ロールRを用いると、被成形素管Pに当接する仮想成形ロールの円弧部分の長さが100mm程度である。なお、図面では紙面の都合で想定半径よりもずっと小さな半径で作図している。
この無限軌道上をシュー1sが旋回移動する無端シューブロック列101からなる旋回ユニット100,100を上下一対に対向配置し、各シュー1sの成形孔型1a面に所要の旋回曲面を設定すると、サイジング工程に用いる成形装置を構成することができる。
surface)から構成する。そして、巨大な仮想成形ロールRの成形孔型を実現し、それと同等の成形作用効果を奏する。
図1Eに示すごとく成形区間の前半の弾塑性変形領域では、シューが被成形素材の表面を圧下し続けて変形させるので、その部分の無限軌道は成形区間の入側からシュー圧下の最下点に向かって傾斜しなければならない。一方、金属変形挙動の特徴として、負荷を除く過程では被成形素材の弾性回復に伴う形状変化が必ず発生するので、成形区間の後半の弾性回復領域では、被成形素材を弾性回復させながらシューと円滑に分離させるためには、シュー圧下の最下点から成形区間の出側に向かって無限軌道を前半と逆方向に傾斜させる必要がある。更に、上記成形区間の全域では連続した成形孔型面を形成しなければならない。従って、上記全ての条件を満足できる無限軌道の軌跡は直線ではなく円弧である。
図2A,Bに示す成形装置は、被成形素管2を四方から拘束してサイジングする構成になっている。垂直方向並びに水平方向に一対ずつ対向配置される無端シューブロック列102,103,104,105は、それぞれビーム11,11,12,12に支持される。ビーム11,11,12,12は、その支持位置を調整可能にするためのジャッキ13,14,15,16を介してハウジング10,10に支持される。
実施例1と同様構成の成形装置を目標口径100mm、肉厚7mmの製品のサイジング工程に適用した。材料は熱延鋼、絞り率は1%であった。
成形装置の無限軌道の成形区間に種々の仮想巨大ロールの曲率半径(2,500〜20,000mm)を与え、無端シューブロック列と被成形素材との接触状態と荷重分布を調査した。また、比較対象として、従来の4方ロール(半径200mm)によるサイジング装置と、本実施例と同じ構成で直線状の成形区間を持つ装置を用意した。
一方、直線状の成形区間を持つ比較装置を用いた場合は、成形区間と回帰区間との繋ぎ部で接触傷の発生及び不連続な素管寸法変化が見られ、所定の成形が全くできなかった。
実施例2において、被成形素管の材料を普通鋼からステンレス鋼材に変えてサイジングを実施したところ、従来のロール成形の場合は、無潤滑では成形ロールとの相対滑りによる素管表面の焼き付きの発生が見られた。これに対して本実施例装置では無潤滑でも焼き付きは発生しなかった。
図7はブレークダウン成形に適用した成形装置の斜視説明図であり、従来の上下一対の成形ロールの代替となるもので、帯材40Pに縁曲げを行うものである。上下一対の無端シューブロック列111,112は図3に示したものと同様構成を有しており、各シュー1sの成形孔型1aは帯材40Pに準じた幅を有し、シュー1sが帯材40Pに当接して同期移動する成形区間に、ここでは従来成形ロールの100倍の直径を有する仮想円の曲率半径と所要長さを与えてある。
また、成形区間におけるシューの成形は従来の成形ロールの成形と比較するとあたかもプレス成形と同等であるため、従来は不可避であったロールへの巻き付きによる帯材40Pに大きな歪みが付与される現象がほぼ解消され、成形後の反りがすくないことを確認できた。
図8に示すブレークダウン成形は、前段にて帯材エッジ部の曲げを完了した後、帯材エッジ部の隣接箇所を曲げることを目的としている。上下成形ロールで成形する従来に比較して、下ロールの代りに無端シューブロック列113,114による旋回ユニットを採用することにより、前段で成形された帯材50Pの導入噛み込みが極めて円滑であるとともに、旋回ユニットにて成形方向に帯材50Pエッジ部を広範囲で支えることが可能であり、前段での成形箇所を保持しながら隣接する成形予定箇所に上ロール51,51からの入力があるために、正確かつ十分な成形が行われることが確認できた。
特に、従来ロールを使用して薄肉材料を成形する場合は、エッジ部が他の部位より長手方向の伸びが大きくなることでバックリング(縁波)現象が起こりやすいが、この実施例では、巻き付きやスプリングバックが抑制され、バックリング現象が起こり難くなり、高品質のブレークダウン成形が可能になることが確認できた。
図9はフィンパス成形に適用した4方の無端シューブロック列を示す。4方の無端シューブロック列121,122,123,124並びに図示しない他の部分からなる旋回ニュットなどは、基本的に図2A,Bに示したものと同様な構成である。
いずれのシューブロック列のシューの成形孔型も成形目標断面の表面形状の一部を含む母線が所要の巨大直径の仮想円の中心軸の周りに所要長さに相当する角度を旋回して形成した旋回曲面を採用してある。そのうち、両サイドと下側の無端シューブロック列122,123,124の各シューの成形孔型の母線は円弧状であり、上側の無端シューブロック列121のシューは、対向するエッジに当接する所謂フィン形状を有する。
図10に示す成形装置は、TIGやレーザー溶接装置と連動するスクイズロールの代替となるもので、両サイドの無端シューブロック列131,132からなる旋回ユニット並びに図示しない他の機構は、基本的に図1A,Bに示したものと同様な構成である。また、被成形素管70Pとシューブロック列が接触する区間及びシューの孔型は、他の実施例における成形区間及び成形孔型と同様構成のものを採用してある。
所要長さに切断された丸管80Pを、図11に示す2段構成の本発明の成形装置で角管に再成形した。無端シューブロック列141,142,143,144からなる4方の旋回ユニットによる第1段スタンド、無端シューブロック列145,146,147,148からなる4方の旋回ユニットによる第2段スタンドは、いずれも基本的に図2A,Bに示した実施例1と同様の構成である。
また、この発明による成形装置並びに成形方法は、従来の成形ロールと同等の生産性が維持でき、成形ロールによる成形の限界を拡大するとともに、生産方式を変革し、成形ラインの設備構成を簡素化することが可能となる。
P 被成形素管
R 仮想成形ロール
1s シュー
1a 成形孔型
2 シューホルダー
3 ローラーフォロワー
4 連結ピン
5 チェーンプレート
6 スプロケット
7 ビーム
10 ハウジング
11,12 ビーム
13〜16 ジャッキ
17 駆動軸ユニット
20 シュー組立体
21 シューホルダー
22s,53s シュー
22a 孔型
23 外レースピース
24 ピン孔
25 ホルダー連結部
26 ピン
33,34 スプロケット
35 回帰区間におけるボールの軌道面部
36 成形区間におけるボールの軌道面部
40P,50P 素板
60P,70P,80P 素管
51 上ロール
52 下側中央ロール
100 旋回ユニット
101〜107,111〜114,121〜124,131〜132,141〜148 無端シューブロック列
Claims (17)
- 成形目標断面の表面形状の一部又は全部に沿う所要形状を有する成形孔型を外向きに設けた複数のシューを備えたシューブロック列が無限軌道上を移動する構成の旋回ユニットを単数又は複数有し、シューの成形孔型が被成形素材に当接して同期移動する間を成形区間とした成形装置であって、該無限軌道のうち成形区間の軌道面にはある仮想円の半径と所要円弧長さとを有する成形装置。
- シューブロック列が無端列を構成していることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 成形区間にある複数のシューは隣接面を相互に当接させて連続する成形孔型を形成したことを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- シューの成形孔型は成形目標断面の表面形状の一部又は全部を含む母線がある軸の周りに一定の角度を旋回して形成した旋回曲面を有することを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 成形孔型は成形目標断面の表面形状の一部又は全部を含む母線が前記仮想円の中心軸の周りに一定の角度を旋回して形成した旋回曲面を有することを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 複数の旋回ユニットは被成形素材に対して並列配置または該素材を介して対向配置されたことを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 成形装置の成形区間で当該シュー以外に成形ロールまたは他のシューあるいはその両方を組み合せて被成形素材に当接することを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 無限軌道の外周表面が内レース面を形成し、これに対向するシューブロック列の内表面が外レースを形成し、両者間に転動体を配置して少なくとも成形区間に転がり軸受構造を構成したことを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
- 請求項1に記載の成形装置に用いるシューであり、上記シューの成形孔型は成形目標断面の表面形状の一部又は全部を含む母線がある軸の周りに一定の角度を旋回して形成した旋回曲面を有する成形装置用シュー。
- 成形目標断面の表面形状の一部又は全部に沿う所要形状を有する成形孔型を外向きに設けた複数のシューを用いて形成したシューブロック列が無限軌道上を移動する構成の旋回ユニットを単数又は複数有し、シューの成形孔型が被成形素材に当接して同期移動する間を成形区間とした成形装置を用い、該無限軌道のうち成形区間の軌道面にある仮想円の半径と所要円弧長さとを与えて前記素材の成形を行う成形方法。
- シューブロック列が無端列を構成していることを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
- 成形区間にある複数のシューは隣接面を相互に当接させて連続する成形孔型を形成したことを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
- シューの成形孔型は成形目標断面の表面形状の一部又は全部を含む母線がある軸の周りに一定の角度を旋回して形成した旋回曲面を有することを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
- 成形孔型は成形目標断面の表面形状の一部又は全部を含む母線が前記仮想円の中心軸の周りに一定の角度を旋回して形成した旋回曲面を有することを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
- 複数の旋回ユニットは被成形素材に対して並列配置または該素材を介して対向配置されたことを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
- 成形装置の成形区間で当該シュー以外に成形ロールまたは他のシューあるいはその両方を組み合せて被成形素材に当接することを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
- 無限軌道の外周表面が内レース面を形成し、これに対向するシューブロック列の内表面が外レースを形成し、両者間に転動体を配置して少なくとも成形区間に転がり軸受構造を構成したことを特徴とする請求項10に記載の成形方法。
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