JP5057402B2 - 内在性の抗分析物抗体を含有する試料中の分析物の免疫アッセイ - Google Patents

内在性の抗分析物抗体を含有する試料中の分析物の免疫アッセイ Download PDF

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Description

本発明は、全般的に、標的分析物と反応性がある抗体(例えば干渉する自己抗体)を含有し得る試料中の分析物の免疫アッセイの領域に関する。特に、本発明は、中でも、自己抗体の存在下において分析物をアッセイすることを容易にする方法及び組成物、及びこれら組成物が使用され得るキット及びキット成分に関する。
多くの患者が、臨床的に関心のある分析物に対する循環抗体を有する。2以上の分析物特異的抗体を含む従来のサンドイッチ免疫アッセイは、分析物反応性の内在性抗体(例えば自己抗体)からの干渉を受ける。例えば、アッセイ抗体及び内在性抗体が分析物の同じ又は重複する領域に結合する場合、内在性抗体は内在性抗体との結合について競合し、その結果、誤った低い結果が出る。内在性抗体によるこの干渉により結果が偽陰性となり得、特定の疾患のリスクがある又はそれに罹患している患者を診断できない。
臨床的に関心のある分析物の正確な検出の重要性の観点において、内在性抗体による干渉を回避する、最小限に抑える又は解決する、アッセイ、方法及びキット及びその成分が依然として必要とされていることは明らかである。
この背景情報は、出願者が本発明に関連性があり得ると考える既知情報を形成する目的で提供される。先の情報の何れも、本発明に対する先行技術を構成するものではなく、そのように解釈してはならない。
本発明は、とりわけ、内在性抗分析物抗体(例えば自己抗体)の存在下で分析物に対してアッセイすることを容易にするための、方法、アッセイ組成物、キット及びキット成分を提供する。
発明の要旨
本発明は、実施形態として、免疫アッセイ方法を提供し、この方法は、関心のある分析物について試験される生体試料を、(i)検出剤/分析物複合体を形成させるための、試料中に存在する関心のある分析物のいずれかへの検出剤の結合に十分な条件下において分析物に結合する検出剤(例えば抗体)および(ii)種特異的抗体(この種特異的抗体は、生体試料が得られた種に特異的であり、試料中に存在し、検出剤/分析物複合体に結合する内在性抗分析物抗体のいずれかへの種特異的抗体の特異的結合に十分な条件下において、内在性抗分析物抗体に特異的に結合して、種特異的抗体/内在性抗分析物抗体/分析物/検出剤複合体を形成する。)に接触させることを必要とする。分析物に結合している1つまたはそれ以上の複合体[この複合体は、検出剤(検出剤/分析物複合体)及び/又は内在性抗分析物抗体に結合している種特異的抗体(種特異的抗体/抗分析物抗体複合体)を含む。]の検出が行われる。1つまたはそれ以上の複合体の量は試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある。ある種の実施形態において、この内在性抗分析物抗体は抗分析物自己抗体である。
さらに、本アッセイは、アッセイ前又はアッセイ中のいずれかにてこの検出剤及びこの種特異的抗体が場合により標識されて行われ得る。このような標識化により、検出段階は、検出剤/分析物及び/又は種特異的抗体/抗分析物抗体を含む1つまたはそれ以上の複合体の標識からのシグナルを場合により検出することを含む。このシグナルは試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある。
特定の実施形態において、本方法は、さらに、固相に固定されている捕捉剤に生体試料を接触させることを含み(捕捉剤は分析物に結合する。)、この検出には、内在性抗分析物抗体に結合している種特異的抗体からのシグナルを検出することが必要である(これらは固相に固定されている。)。
ある種の実施形態において、検出剤及び種特異的抗体は標識されている。標識化検出剤及び標識化種特異的抗体は、同じ標識又は異なる標識の何れかで標識される。
生体試料は検出剤及び種特異的抗体に同時に又は連続的に接触させることができる。捕捉剤を使用する場合、この捕捉剤は、その分析物の、検出剤とは異なる部位に場合によって結合する。生体試料を捕捉剤に接触させるのと同時に、検出剤及び/又は種特異的抗体を生体試料に接触させることができる。あるいは、生体試料を捕捉剤と接触させるのと連続的に(あらゆる順序で)、生体試料との検出剤及び/又は種特異的抗体の接触を行うことができる。
典型的な実施形態において、本免疫アッセイ方法は、固相に固定された複合体を形成させるための分析物への捕捉剤の結合に十分な条件下において、固相に固定された捕捉剤(この捕捉剤は分析物に結合する。)と生体試料を接触させることを必要とする。この生体試料をまた、(i)固相に固定された検出剤/分析物/捕捉剤複合体を形成させるための、捕捉剤/分析物複合体中に存在する分析物のいずれかへの検出剤の結合に十分な条件下において分析物に結合する検出剤および(ii)種特異的抗体(この種特異的抗体は、生体試料が得られた種に特異的であり、捕捉剤/分析物複合体に結合する抗分析物自己抗体のいずれかへの種特異的抗体の特異的結合に十分な条件下において内在性抗分析物抗体に特異的に結合して、固相に固定された種特異的抗体/抗分析物自己抗体/分析物/捕捉剤複合体を形成する。)と接触させられる。1つまたはそれ以上の固相に固定された複合体(例えば固相に固定された検出剤/分析物/捕捉剤複合体及び固相に固定された種特異的抗体/抗分析物自己抗体/分析物/捕捉剤複合体)を検出する。これらの複合体の量は試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある。
本アッセイは、アッセイ前又はアッセイ中のいずれかにてこの検出剤及びこの種特異的抗体が場合により標識されて行われ得る。このような標識化により、検出段階は、固相に固定された1つまたはそれ以上の複合体の標識からのシグナルを場合により検出することを含む。このシグナルは試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある。
別の典型的な実施形態において、本免疫アッセイ法は、生体試料が、固相に固定された捕捉抗体/分析物複合体(例えば固相に固定された免疫複合体)を形成させるための、分析物への捕捉抗体(この捕捉抗体は分析物と特異的に結合する。)の特異的結合に十分な条件下において、固相に固定された1つまたはそれ以上の抗分析物捕捉抗体と接触させられることを必要とする。この生物試料はまた、(i)固相に固定された1つまたはそれ以上の抗分析物抗体/分析物/捕捉抗体複合体を形成させるための、捕捉剤/分析物複合体中に存在する分析物のいずれかへの1つまたはそれ以上の抗分析物抗体の結合に十分な条件下において分析物に結合する1つまたはそれ以上の抗分析物抗体および(ii)種特異的抗体(この種特異的抗体は、生体試料が得られた種に特異的であり、試料中に存在し、捕捉抗体/分析物複合体に結合する抗分析物自己抗体のいずれかへの種特異的抗体の特異的結合に十分な条件下において内在性抗分析物抗体に特異的に結合して、固相に固定された種特異的抗体/抗分析物自己抗体/分析物/捕捉抗体複合体を形成する。)と接触させられる。1つまたはそれ以上の固相に固定された複合体(例えば固相に固定された抗分析物抗体/分析物/捕捉抗体複合体及び固相に固定された種特異的抗体/抗分析物自己抗体/分析物/捕捉抗体複合体)が検出される。これらの複合体の量は試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある。
ある種の実施形態において、この抗分析物抗体及びこの種特異的抗体は、同じ標識又は異なる標識のいずれかにて場合により標識される。このような標識化により、検出段階は、検出剤/分析物及び/又は種特異的抗体/抗分析物抗体を含む1以上の固相に固定された複合体の標識からのシグナルを場合により検出することを含む。このシグナルは試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある。
この抗分析物捕捉抗体及び標識化抗分析物抗体及び/又はこの種特異的抗体を同時に又は何れかの順序で順次、生体試料と接触させることができる。特定の実施形態において、この抗分析物抗体及びこの種特異的抗体を生体試料と同時に接触させる。他の実施形態において、この抗分析物抗体及びこの種特異的抗体を生体試料と連続的に何れかの順序で接触させる。
本発明の方法の特定の実施形態において、哺乳動物(例えば場合によってヒト)である対象から生体試料を得る。
本発明はまた、試験キットも提供する。ある種の実施形態において、この試験キットは、分析物に特異的な検出剤及び種特異的抗体を含み、この種特異的抗体は、生体試料を得るべき種に特異的であり、内在性抗分析物抗体に特異的に結合する。典型的な実施形態において、この種特異的抗体はヒト特異的抗体である。
必要に応じて、本試験キットは、固相及び捕捉剤、例えば固相に固定された抗分析物捕捉抗体なども含み得る。あるいは、又は、加えて、検出剤及び種特異的抗体を標識することができる。この標識化検出剤及びこの標識化種特異的抗体は、同じ標識で又は異なる標識で標識される得る。典型的な実施形態において、標識化検出剤は、標識化抗分析物抗体である。このような実施形態において、この標識化抗分析物抗体及びこの標識化種特異的抗体は同じ容器又は異なる容器中に存在し得る。
本発明で使用される何れの標識も、直接的標識(アクリジニウム−9−カルボキサミドなど)又は間接的標識であり得る。本発明のある種の実施形態において、検出可能なシグナルを生じさせるために、指標試薬に少なくとも1つの標識を接触させる。
本発明において使用される固相のいずれも微粒子を含み得る。適切な微粒子は、磁性又は常磁性であり得る。マイクロプレート及び/又は電極もまた固相として使用され得る。
複数の方式に有用である特定の実施形態において、本発明の方法又は試験キットにおいて使用される固相は、複数の異なる分析物に特異的である複数の抗分析物捕捉抗体を含み得る。これらの実施形態の変形物において、前記複数の異なる分析物に特異的である複数の異なる標識化抗分析物抗体に生体試料を接触させることができる(この場合、各異なる標識化抗分析物抗体は別個の標識で標識される。)。本発明による試験キット中にこのような抗体が含まれ得る。典型的な多重方式において、本発明の方法又は試験キットにおいて使用される固相は複数の電極を含み、各電極は異なる抗分析物捕捉抗体を有する。
図1Aは、サンドイッチ免疫アッセイを示す。図1A(記号を含む。)は、典型的なアッセイの構成を示し、干渉する内在性抗体(例えば自己抗体)がない場合、標識化抗分析物抗体からのシグナルは、試料中の分析物の濃度に比例する。 図1Bは、サンドイッチ免疫アッセイを示す。図1B(同じ記号を使用する。)は、干渉する内在性抗体(例えば自己抗体)の存在下で標識化抗分析物抗体からのシグナルが低下することを示す。 図2は、ヒト試料をアッセイすることにおける使用を目的とした本発明の典型的な実施形態を示す。記号は図1(A)で示されるとおりである。この図で示されるように、標識化抗ヒト(種特異的)抗体がアッセイ中に含まれると、干渉する内在性抗体(例えば自己抗体)の存在に起因するシグナル低下が無効になる。基本的に、検出抗体などの標識化抗ヒト(種特異的)検出剤が含まれることにより、干渉する内在性抗体(例えば自己抗体)により元は妨害されていた結合部位が利用可能になり、アッセイで使用できるようになる。 図3は、実施例で記載されるように、(相対光単位又は「RLU」で報告される)心臓トロポニンI(cTnI)濃度が化学発光シグナルに影響を与えることを示すグラフである。記号:黒菱型、高反応性試料(HR);黒三角、低反応性試料(LR)。
詳細な説明
本発明の実施形態は、生体試料中の関心のある分析物の測定を妨害し得る内在性抗体(例えば自己抗体)の存在を場合により相殺するアッセイ法を含む。この方法は、全般的に、2つの成分、検出剤及び種特異的抗体の使用を必要とし、この場合、種特異的抗体は生体試料が得られた種に特異的である。試料分析物には、検出剤及び試料中に存在する何らかの内在性抗分析物抗体が結合する。種特異的抗体を介して内在性抗体が結合する分析物が検出される。
定義
次のように別段の断りがない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語、科学用語及び他の用語は、本発明が属する技術分野の通常の技術者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。
本発明の方法を用いてアッセイされ得る「生体試料」には、全血、血清、血漿、滑液、脳脊髄液、気管支洗浄液、腹水、骨髄穿刺液、胸水、尿などの体液ならびに腫瘍組織又は何らかの他の身体構成成分又は関心のある分析物を含有し得る何らかの組織培養上清が含まれる。
「分析物」又は「関心のある分析物」は、本明細書中で使用される場合、生体試料中に存在し得る検出しようとする物質を指す。この分析物は、天然の特異的結合パートナーが存在する又は特異的結合パートナーが調製され得る何らかの物質であり得る。このようにして、分析物は、アッセイにおいて1以上の特異的結合パートナーに結合することができる物質である。この分析物は、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイド、ビタミン、治療目的で投与されるものならびに倫理的目的で投与されるものを含む薬物、細菌、ウイルス及び上記物質の何れかの代謝産物又はこれらに対する抗体を含み得る。特異的結合ペアのメンバーとして、ビタミンB12の決定のための捕捉及び/又は検出剤としての内因子タンパク質の使用又は糖質の決定のための捕捉及び/又は検出剤としてのレクチンの使用など、天然の特異的結合パートナーにより、分析物を検出することができる。
「結合パートナー」は、本明細書中で使用される場合、結合ペアのメンバー、即ち分子の1つが第二の分子に結合する分子のペアである。特異的に結合する結合パートナーは、「特異的結合パートナー」と呼ばれる。免疫アッセイにおいて一般に使用される抗原及び抗体結合パートナーに加えて、他の特異的結合パートナーには、ビオチン及びアビジン、炭水化物及びレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクター及び受容体分子、補因子及び酵素、酵素阻害剤及び酵素などが含まれ得る。さらに、特異的結合パートナーは、元の特異的結合パートナーの類似体、例えば分析物類似体、であるパートナーを含み得る。免疫反応性特異的結合パートナーには、抗原、抗原断片、抗体及び抗体断片、モノクローナル及びポリクローナル抗体両方及びそれらの複合体(組み換えDNA法により形成されるものを含む。)が含まれる。
「特異的結合」という用語は、当技術分野で公知の手段により決定される場合、特異的な部位での、結合パートナーの別のもの(例えば、2つのポリペプチド、ポリペプチド及び核酸分子又は2つの核酸分子)への選択的結合として本明細書中で定義される。「特異的に結合する」という用語は、標的分子/配列に対する結合選択性(例えば親和性)が、非特異的標的分子(例えば、特異的に認識される部位を欠く無作為に作製された分子)よりも、少なくとも2倍であり、より好ましくは少なくとも5倍であり、最も好ましくは少なくとも10又は20倍であることを示す。
「固相」は、本明細書中で使用される場合、不溶性である又は続く反応によって不溶性にすることができるあらゆる物質を指す。捕捉剤を引き付け、固定するその固有の能力について、その固相を選択することができる。あるいは、固相は、捕捉剤を引き付け固定する能力を有する連結剤をそれに固定しているものであり得る。連結剤は、例えば、捕捉剤それ自身に関して又は捕捉剤に結合されている帯電物質に関して逆に荷電している帯電物質を含み得る。一般に、連結剤は、固相に固定(連結)されており、結合反応を通じて捕捉剤を固定する能力がある、(好ましくは特異的な)何らかの結合パートナーであり得る。連結剤は、アッセイを行う前に又はアッセイを行っている間、固相物質への捕捉剤の間接的結合を可能にする。固相は、例えば、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁性又は非磁性金属、ガラス又はケイ素(例えば、試験管、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップを含む。)及び当業者にとって公知の他の形態であり得る。
本明細書中で使用される場合、「微粒子」という用語は、超遠心により回収可能である小粒子を指す。微粒子は、通常、約1ミクロン未満のオーダーの平均半径を有する。
「捕捉剤」という用語は、好ましくは特異的に分析物に結合する結合パートナーを指すために本明細書中で使用される。捕捉剤を固相に結合させることができる。本明細書中で使用される場合、固相に固定された捕捉剤の、分析物への結合は、「固相に固定された複合体」を形成する。
「標識化検出剤」という用語は、好ましくは特異的に分析物に結合し、検出可能な標識で標識される又はアッセイでの使用中に検出可能な標識で標識されるようになる結合パートナーを指すために本明細書中で使用される。
「検出可能な標識」は、検出可能である又は検出可能にされ得る部分を含む。
標識化検出剤に関連して使用される場合、「直接的標識」は、何らかの手段によって検出剤に連結される検出可能な標識である。
標識化検出剤に関連して使用される場合、「間接的標識」は、検出剤に特異的に結合する検出可能な標識である。このようにして、間接的標識は、検出剤の構成成分の特異的結合パートナーである部分を含む。ビオチン及びアビジンは、例えば間接的に標識される抗体を作製するために標識化アビジンにビオチン化抗体を接触させることにより使用されるこのような構成成分の例である。
本明細書中で使用される場合、「指標試薬」という用語は、検出可能なシグナルを生じさせるために標識と接触させられる何らかの物質を指す。このようにして、例えば、従来の酵素標識において、有色の反応産物など、検出可能なシグナルを生じさせるために酵素で標識される抗体を基質(指標試薬)に接触させることができる。
本明細書中で使用される場合、「抗体」とは、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子の断片に実質的にコードされる1以上のポリペプチドからなるタンパク質を指す。この用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及びその断片ならびに、免疫グロブリン遺伝子配列から改変された分子を包含する。認められている免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミュー定常領域遺伝子ならびに、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖は、カッパ又はラムダの何れかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ又はイプシロンとして分類され、同様に、それぞれ免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを定義する。
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含むことが知られている。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一のペアから構成され、各ペアが1つの「軽」(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50−70kD)を有する。各鎖のN末端は、主として抗原認識に関与する約100から110以上のアミノ酸の可変領域を定義する。「可変軽鎖(VL)」及び「可変重鎖(VH)」という用語は、これらの軽又は重鎖をそれぞれ指す。
抗体は、無傷の免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼでの消化により作製される多くのよく特徴付けられた断片として存在する。このようにして、例えば、ペプシンは、F(ab’)2(そのものが、ジスルフィド結合によりVH−CH1に連結される軽鎖であるFabの二量体)を生成させるためのヒンジ領域でジスルフィド結合以下の抗体を消化する。F(ab’)2二量体をFab’単量体に変換する、ヒンジ領域のジスルフィド結合を破壊するための穏やかな条件下で、F(ab’)2は減少し得る。Fab’単量体は、基本的に、ヒンジ領域の部分があるFabである(他の抗体断片の詳細については、Fundamental Immunology、W.E.Paul編、Raven Press、N.Y.(1993)を参照のこと。)。無傷の抗体の消化という点から様々な抗体断片が定義される一方で、当業者にとって当然のことながら、このようなFab’断片は、化学的に又は組み換えDNA技術を用いることによっての何れかで、デノボ合成され得る。
従って、「抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、全抗体の修飾により作成されるか又は組み換えDNA法を用いてデノボ合成されるかの何れかの抗体断片も含む。好ましい抗体は、1本鎖抗体(1本鎖ポリペプチドとして存在する抗体)、より好ましくは1本鎖Fv抗体(sFv又はscFv)を含み、この場合、可変重鎖及び可変軽鎖が(直接又はペプチドリンカーを通じて)一緒に連結され、連続ポリペプチドを形成している。1本鎖Fv抗体は、直接連結されているか又はペプチドコードリンカーにより連結されているかの何れかのVH−及びVL−コード配列を含む核酸から発現され得る共有結合されているVH−VLへテロ二量体である。Hustonら(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA、85:5879−5883。VH及びVLがそれぞれに対して1本鎖ポリペプチドとして連結されている一方、VH及びCLドメインは、非共有結合で会合する。scFv抗体及び、天然に凝集しているが化学的に分離される抗体V領域からの軽及び重ポリペプチド鎖を、抗原結合部位の構造と実質的に同様である3次元構造へと折り畳まれる分子へと変換する多くの他の構造が、当業者にとって公知である(例えば、米国特許第5,091,513号、同第5,132,405号及び同第4,956,778号)。
本明細書中で使用される場合、「種特異的抗体」は、標的抗体の抗原結合特異性にかかわらず、特定の種からの標的抗体に特異的に結合する抗体を指す。
「ヒト特異的抗体」は、ヒト抗体、例えばヒト自己抗体に特異的に結合する抗体である。
本明細書中で使用される場合、「抗分析物抗体」は、分析物に結合する抗体を指す。ある種の実施形態において、抗分析物抗体は特異的に分析物に結合する。
「抗分析物捕捉抗体」は、分析物を捕捉する抗分析物抗体である。このような抗体は、都合よく固相に固定されており、その場合、抗体の分析物への結合により、「固相に固定された免疫複合体」が形成される。
「標識化抗分析物抗体」は、検出可能な標識で標識されているか又は免疫アッセイ中に検出可能な標識で標識される抗分析物抗体である。
「内在性抗分析物抗体」は、個体(即ち、分析される生体試料が採取された個体)中で天然に生じ、関心のある分析物に結合する抗体である。
「抗分析物自己抗体」は、抗体が産生される個体中で天然に生じる分析物に特異的に結合する抗体である。この抗体は、検出可能な標識で標識されているか又は標識されるようになる。
免疫アッセイ法
概略
多岐にわたる方式の何れかで本発明の免疫アッセイ法を行うことができる。免疫アッセイの全般的なまとめについては、Methods in Cell Biology、37巻「Antibodies in Cell Biology」Asai編、Academic Press Inc.New York(1993);Basic and Clinical Immunology 第7版、Stites及びTerr編(1991)(この全体が参照により組み込まれる。)を参照のこと。
特定の実施形態において、本方法は、試料中に存在する何らかの分析物への検出剤の結合に十分な条件下で検出剤に生体試料を接触させることを必要とする。生体試料はまた、存在する何らかの内在性抗分析物抗体への種特異的抗体の特異的結合に十分な条件下で、種特異的抗体(種特異的抗体は生体試料が得られた種に特異的である。)とも接触させられる。検出剤及び種特異的抗体と同時に又はあらゆる順序で連続的に試料を接触させ得る。
次に、試料中に存在する何らかの分析物に結合する検出剤及び/又は試料中に存在する何らかの内在性抗分析物抗体に結合する種特異的抗体を含む複合体からシグナルを検出する。シグナルは試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある。典型的な実施形態において、検出される内在性抗分析物抗体は抗分析物自己抗体である。
ある種の実施形態において、本方法はまた、固相に固定された複合体を形成させるために、分析物への捕捉剤の結合に十分な条件下で、固相に固定された捕捉剤に生体試料を接触させることも必要とする。このような実施形態において、固相に固定された複合体からシグナルを検出する。好ましい実施形態において、捕捉剤は抗体(即ち捕捉抗体)である。
具体的な実施形態において、検出剤及び種特異的抗体が標識される。このような実施形態は、固相に固定されている捕捉剤も使用し得るが、必ずしも必要ではない。
典型的な実施形態において、「サンドイッチ免疫アッセイ」方式で本方法を行う。特に、固相に固定された複合体を形成させるために、分析物への捕捉剤の結合に十分な条件下で、固相に固定された捕捉剤に生体試料を接触させる。このような実施形態において、固相に固定された複合体からシグナルを検出する。好ましい実施形態において、捕捉剤は抗体(即ち捕捉抗体)である。
生体試料はまた、分析物への標識化検出剤の結合に十分な条件下で標識化検出剤とも接触させられる。好ましい実施形態において、標識化検出剤は抗体(即ち検出抗体)である。さらに、生体試料は、存在する何らかの抗分析物自己抗体への標識化種特異的抗体の特異的結合に十分な条件下で、標識化種特異的抗体と接触させられる。
固相を使用する実施形態において、固相、検出剤及び種特異的抗体と、同時に又は何れかの順序で連続的に、試料を接触させ得る。さらに、これらの成分の何れか2つと同時に試料を接触させ、続いて、残りの成分に接触させ得る。接触の順序に関わらず、分析物が試料中に存在する場合、固相に固定された複合体は、捕捉剤と検出剤との間に「サンドイッチ」された分析物を含有する形態を形成する。内在性抗分析物抗体(例えば抗分析物自己抗体)も試料中に存在する場合、固相に固定された複合体は、種特異的抗体が結合される、捕捉剤と自己抗体との間にサンドイッチされた分析物も含有し得る。必要であれば、一般に洗浄により、遊離検出剤及び種特異的抗体から、結合物を分離し、結合物からのシグナルを検出する。
標識化検出剤及び標識化種特異的抗体を使用する実施形態において、これらの成分は同じ標識で標識される又は標識検出中には区別されない異なる標識で標識され得る(例えば、異なる構造のアクリジニウム−9−カルボキサミド標識)。この方式により、試料中に存在する分析物の量の測定が可能になる。他の方式において、標識化検出剤及び標識化種特異的抗体は異なる標識で標識される。このような方式において、標識化種特異的抗体に起因するシグナルは、試料中に存在する分析物に結合する内在性抗分析物抗体(例えば抗分析物自己抗体)の濃度と正の相関がある。2つの異なる標識に起因する合わせたシグナルによって、試料中に存在する分析物の量の測定が可能になる。
分析物
分析物についての捕捉剤及び検出剤が得られる又は産生され得る何らかの分析物を検出するために、本発明の免疫アッセイ法を使用することができる。本発明の方法は、検出されるべき分析物と反応する内在性抗体(例えば自己抗体)を含有し得る試料中の分析物を検出するのに特に有用である。例えば、分析物は、病原体と関連する抗原であり得、ここで、この抗原は感染性疾患を診断及び/又は監視することにおいて検出される。内在性抗体が存在すると、このような検出が妨害され得る。しかし、本発明は、試料中に存在する内在性抗体への結合にかかわらず分析物の量の検出を可能にすることにより、この問題を克服している。
典型的な実施形態において、抗分析物自己抗体を含有し得る試料中の内在性分析物を検出するために、本方法が使用される。多数の内在性抗原が様々な病態において診断で有用であるが、自己抗体があると結果が混乱し得る。このような抗体の存在下での抗原レベルの信頼できる測定を可能にするために本発明の免疫アッセイを使用し得る。従って、本発明の方法は、あらゆる内在性分析物、特に診断又は疾患評価の有用性を有するもの、とりわけ内在性分析物に対する自己抗体を含有し得る試料中でアッセイされるもの、に適用可能である。このような内在性分析物の例を表1で示す。
Figure 0005057402
試料回収及び処理
本発明の免疫アッセイ法は、一般に、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト由来の生体試料において行われる。
上記で説明されているように、本発明の方法は、関心のある分析物に反応性のある抗体を含有し得る試料にて、特定用途がある。従って、本発明の方法は、例えば、抗分析物自己抗体を含有し得る試料中の内在性分析物を測定する場合、特に有用である。このような抗体は、あらゆる様々な状況で、特に正常又は疾患組織からの血液への内在性タンパク質の放出を特徴とする病態(例えば、心血管系の病態又は癌)及び特に自己免疫疾患において存在し得る。表2は、多くの典型的自己免疫疾患を列挙する。このような疾患のリスクがあるか又はそのように診断された個体からの試料は、本発明の方法を用いた分析に適している。
Figure 0005057402
適切な緩衝液中での希釈により試料を前処理し得る又は必要に応じて濃縮し得る。生理的pHのリン酸、Trisなどの様々な緩衝液の何れかを用いて多くの標準的水性緩衝液の何れかを使用し得る。
捕捉剤
本発明の免疫アッセイ法において有用な捕捉剤には、好ましくは特異的に、関心のある分析物に結合するものが含まれ、この捕捉剤は固相に固定され得る。分析物がリガンドである場合、例えば、リガンドに対する受容体を捕捉剤として使用することができる(及びその逆)。しかし、1以上の抗体が通常は最も都合よく捕捉剤として使用される。
固相
捕捉剤に対する支持体として固相を使用する本発明の実施形態について、この固相は、捕捉剤を結合させるために十分な表面親和性のある何らかの適切な材料であり得る。有用な個体支持体には、天然ポリマー性炭化水素及びこれらの合成修飾、架橋又は置換誘導体、例えば寒天、アガロース、架橋アルギン酸、置換及び架橋グアーガム、セルロースエステル、特に硝酸及びカルボン酸を有するもの、混合セルロースエステル及びセルロースエーテルなど;窒素を含有する天然ポリマー、例えば、タンパク質及び誘導体など(架橋又は修飾ゼラチンを含む。);天然炭化水素ポリマー、例えばラテックス及びゴムなど;合成ポリマー、例えば、ビニルポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びその部分的加水分解誘導体を含む。)、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、上記のポリ縮合体のコポリマー及びターポリマー(例えばポリエステル、ポリアミド及び、ポリウレタン又はポリエポキシドなどのその他のポリマー);無機物質、例えば、アルカリ土類金属及びマグネシウムの硫酸塩又は炭酸塩(硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウムを含む。)、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、アルミニウム及びマグネシウムのケイ酸塩;及び酸化アルミニウムもしくは酸化ケイ素又はアルミニウム水和物もしくはケイ素水和物、例えば、クレイ、アルミナ、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカゲル又はガラス(これらの物質は、上記ポリマー性物質とともにフィルターとして使用され得る。);及び上記クラスの混合物又はコポリマー、例えば、前から存在する天然ポリマー上で合成ポリマーの重合を初期化することにより得られるグラフトコポリマーなどが含まれる。フィルム、シート、チューブ、微粒子又はプレートなどの適切な形態で、これらの物質全てを使用し得るか、又は、これらを、紙、ガラス、プラスチックフィルム、布などの適切な不活性担体に対して、被覆、接着又はラミネート加工し得る。
ニトロセルロースは、モノクローナル抗体を含む多岐にわたる試薬に対して優れた吸収及び吸着の性質がある。ナイロンもまた、同様の特徴を有し、これもまた適切である。
フロースルーアッセイ装置のための好ましい固相材料には、多孔性繊維ガラス材料又はその他の繊維マトリックス材料などのフィルターペーパーが含まれる。このような材料の厚さは重要ではなく、生体試料の流動性など、アッセイされる試料又は分析物の特性に大きく基づき、好みの問題となろう。
あるいは、固相は微粒子を構成し得る。本発明において有用な微粒子は、特定の材料の何らかの適切なタイプから、当業者により選択され得、これには、ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリプロピレン、ラテックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート又は同様の材料からなるものが含まれる。さらに、微粒子は、磁場内で微粒子の操作を促進するために、磁性又は常磁性微粒子であり得る。
微粒子は、可溶性試薬及び生体試料の混合物中で懸濁され得るか又は支持物質により保持及び固定され得る。後者の場合、支持物質上又は支持物質中の微粒子は支持物質内で他の場所に実質的に動くことができない。あるいは、沈殿又は遠心により、可溶性試薬及び生体試料の混合物中の懸濁液から微粒子を分離することができる。微粒子が磁性又は常磁性である場合、磁場により、可溶性試薬及び生体試料の混合物中の懸濁液から微粒子を分離することができる。
自動化及び半自動化系(この場合、固相は微粒子を含む。)を含む微粒子技術を使用する系での使用に本発明の方法を適応させることができる。このような系には、係属米国出願第425,651号及び米国特許第5,089,424号(これらは、それぞれ公開EPO出願第EP0 425 633及びEP0 424 634に対応する。)及び米国特許第5,006,309号に記載のものが含まれる。
特定の実施形態において、固相には1以上の電極が含まれる。直接又は間接的に、電極に捕捉剤を固定することができる。ある実施形態において、例えば、捕捉剤は磁性又は常磁性微粒子に固定され得、次いで、これらは磁石を使用して電極表面周辺に置かれる。検出が電気化学的相互作用に基づく場合、1以上の電極が固相となる系は有用である。このタイプの典型的な系は、例えば、米国特許第6,887,714号(2005年5月3日発行)に記載されている。基本的な方法はさらに、電気化学的検出に関して下記で説明する。
吸着によって(疎水性力により保持される。)、捕捉剤を固相に接着させることができる。あるいは、支持体への捕捉剤の共有結合を引き起こす化学的処理により、固相の表面を活性化することができる。
固相の生来の電荷を変化させるか強化するために、帯電物質で固相上を直接被覆することができる。高速液相免疫化学反応に影響を与えるために、本発明に従い、EP公開第0326100号に対応する米国出願第150,278号及び米国出願第375,029号(EP公開第0406473号)に記載されている、負電荷を有するポリマーにより固定可能な反応複合体を固定するためのイオン捕捉手段を使用することができる。これらの手段において、負電荷ポリアニオン/免疫複合体と、前もって処理した正電荷マトリックスとの間のイオン性相互作用により、反応混合物の残りの部分から固定可能な免疫複合体を分離し、例えば、EPO公開0 273,115に対応する米国出願第921,979号に記載のような化学発光系を含む多くのシグナル発生系の何れかを用いることにより検出する。
固相がケイ素又はガラスである場合、通常、特異的結合パートナーを接着させる前に表面を活性化しなければならない。それぞれアミノ、ビニル及びチオールなどの反応基を導入するために、トリエトキシアミノプロピルシラン(Sigma Chemical Co.、St.Louis、MOから入手可能)、トリエトキシビニルシラン(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、Wis)及び(3−メルカプト−プロピル)−トリメトキシシラン(Sigma Chemical Co.、St. Louis、MO)などの活性化シラン化合物を使用することができる。直接捕捉物に連結するためにこのような活性化された面を使用することができる(アミノ又はチオールの場合)、又は、捕捉剤を表面から分離するために、グルタルアルデヒド、スベリン酸ビス(スクシンイミジル)、SPPD9スクシンイミジル3−[2−ピリジルジチオ]プロピオネート)、SMCC(スクシンイミジル−4−[Nマレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート)、SIAB(スクシンイミジル[4ヨードアセチル]アミノベンゾエート)及びSMPB(スクシンイミジル4−[1マレイミドフェニル]ブチレート)などのリンカーと活性化面をさらに反応させることができる。共有結合に対する手段を提供するために、ビニル基を酸化することができる。ポリアクリル酸(これは、特異的捕捉剤に対する複数の接着点を与え得る。)などの様々なポリマーの重合化に対するアンカーとしてビニル基を使用することもできる。様々なサイズ及び能力の親水性リンカーを提供するために、様々な分子量の酸化デキストランとアミノ基を反応させることができる。酸化可能なデキストランの例には、DextranT−40(分子量40,000ダルトン)、DextranT−110(分子量110,000ダルトン)、DextranT−500(分子量500,000ダルトン)、DextranT−2M(分子量2,000,000ダルトン)(これらは全て、Pharmacia、Piscataway、N.J.から入手可能)又はFicoll(分子量70,000ダルトン;Sigma Chemical Co.、St. Louis、MOから入手可能)が含まれる。さらに、米国出願第150,278号、1988年1月29日出願及び米国出願第375,029号、1989年7月7日出願(このそれぞれは、参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載の技術及び化学を用いて、特異的捕捉剤を固相上に固定するために、高分子電解質相互作用を使用することができる。
固相の選択に影響を与えるその他の検討事項には、標識化物の非特異的結合を最小にする能力及び使用される標識系との適合性が含まれる。例えば、蛍光標識とともに使用される固相は、シグナル検出を可能にするために、バックグランド蛍光が十分に低くなければならない。
特異的捕捉剤の接着後、非特異的結合を最小限に抑えるために、血清、タンパク質又は他のブロッキング剤などの物質で固体支持体の表面をさらに処理し得る。
抗体
本発明の免疫アッセイ法で有用な抗体には、ポリクローナル及びモノクローナル抗体が含まれる。当技術分野で公知の何らかの手段により、このようなポリクローナル及びモノクローナル抗体を調製することができる。免疫原を適切な非ヒト哺乳動物(例えばマウス又はウサギ)に注射(例えば、皮下又は筋肉内注射)することによって、ポリクローナル抗体が得られる。一般に、免疫原は、標的抗原に対して比較的親和性が高い抗体の高タイターの産生を誘導するはずである。
必要に応じて、当技術分野で周知の結合技術により、担体タンパク質に抗原を結合させ得る。一般に使用される担体には、キーホールリンペットへモシアニン(KLH)、サイログロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)及び破傷風トキソイドが含まれる。次に、動物に免疫付与するために、結合物を使用する。
次に、動物から採取した血液試料から抗体を得る。ポリクローナル抗体を産生するために使用される技術は、文献に詳しく記載されている(例えば、Methods of Enzymology、「Production of Antisera With Small Doses of Immunogen:Multiple Intradermal Injections」、Langoneら編(Acad.Press、1981)参照)。例えば、標的抗原が結合されるマトリックスへの結合及びそこからの溶出によって、動物により産生されるポリクローナル抗体をさらに精製することができる。当業者は、ポリクローナルならびにモノクローナル抗体の精製及び/又は濃縮のための、免疫技術分野において一般的な様々な技術を知っている(例えば、Coliganら(1991)Unit9、Current Protocols in Immunology、Wiley Interscienceを参照。)。
多くの用途に対して、モノクローナル抗体(mAbs)が好ましい。mAbsを分泌するハイブリドーマの産生のために使用される一般的方法は周知である(Kohler及びMilstein(1975)Nature、256:495)。簡潔に述べると、Kohler及びMilsteinに記載のように、この技術は、メラノーマ、奇形癌、頸癌、グリオーマ又は肺癌の何れかの5名の個別の癌患者(試料は外科標本から得た。)の局所的排出リンパ節からリンパ球を単離すること、細胞をプールすること及びSHFP−1と細胞を融合させることを必要とする。癌細胞株に結合させられた抗体の産生についてハイブリドーマをスクリーニングした。関心のあるmAbの基本的な反応パターンを調べるために、通常のスクリーニング技術を用いて(酵素結合免疫吸着アッセイ又は「ELISA」など)mAbs中の特異性の確認を完遂することができる。
本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原結合抗体断片、例えば1本鎖抗体(scFv又はその他)を包含するが、これは、ファージディスプレイ技術を用いて作製/選択することができる。細菌に感染しているウイルス(バクテリオファージ又はファージ)の表面上で抗体断片を発現させる能力により、例えば1010個の非結合クローンを超えるライブラリから、1つの結合抗体断片を単離することが可能になる。ファージ表面上で抗体断片を発現させるために(ファージディスプレイ)、ファージ表面タンパク質(例えばpIII)をコードする遺伝子に抗体断片遺伝子を挿入し、抗体断片−pIII融合タンパク質をファージ表面上で表示させる(McCaffertyら(1990)Nature、348:552−554;Hoogenboomら(1991)Nucleic Acid Res.19:4133−4137)。
ファージ表面上の抗体断片は機能的なので、抗原アフィニティークロマトグラフィーにより、非結合ファージから、抗原結合抗体断片を有するファージを分離することができる(McCaffertyら(1990)Nature 348:552−554)。抗体断片の親和性に依存して、親和性選択の1ラウンドに対して、20倍−1,000,000倍の濃縮係数が得られる。しかし、溶出されたファージで細菌を感染させることにより、より多くのファージを増殖させ、選択の別のラウンドに供することができる。このようにして、1ラウンドでの1000倍の濃縮は、2ラウンドの選択で1,000,000倍になり得る(McCaffertyら(1990)Nature、348:552−554)。このようにして、濃縮度が低い場合でも、複数回の親和性選択により、稀少なファージを単離し得る(Marksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597)。抗原におけるファージ抗体ライブラリの選択の結果、濃縮されるので、3回から4回という少ない選択ラウンド後、クローンの大部分が抗原に結合するようになる。このようにして、抗原への結合について分析する必要があるのは、比較的少数のクローン(数百)のみである。
多数及び多岐にわたるV遺伝子レパートリーをファージ上で表示することによって、前もって免疫付与することなく、ヒト抗体を作製することができる(Marksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597)。ある実施形態において、PCRにより非免疫付与ドナーからヒト末梢血リンパ球に存在する天然VH及びVLレパートリーを単離する。3千万個のファージ抗体(Id)ライブラリを作製するためにファージベクターにクローニングすることができるscFv遺伝子レパートリーを作製するために、PCRを用いて、無作為にV−遺伝子レパートリーを継ぎ合わせることができる。1つの「ナイーブ」ファージ抗体ライブラリから、ハプテン、多糖類及びタンパク質を含め、17を超える様々な抗原に対して、結合抗体断片が単離された(Marksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597;Marksら(1993)Bio/Technology.10:779−783;Griffithsら(1993)EMBO J.12:725−734;Clacksonら(1991)Nature.352:624−628)。ヒトサイログロブリン、免疫グロブリン、腫瘍壊死因子及びCEAを含む自己タンパク質に対して、抗体が作製された(Griffithsら(1993)EMBO J.12:725−734)。インタクトな細胞上で直接選択することによって、細胞表面抗原に対する抗体を単離することも可能である。抗体断片は、選択に使用された抗原に対して非常に特異性が高く、1nMから100nM範囲の親和性がある(Marksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597;Griffithsら(1993)EMBO J.12:725−734)。より大きいファージ抗体ライブラリから、より高い割合の抗原に対してより高い結合親和性のあるより多くの抗体が単離される。
当業者にとって当然のことながら、多くの商業サービスの何れかによって、抗体を調製することができる(例えば、Berkeley Antibody Laboratories、Bethy Laboratories、Anawa、Eurogenetecなど)。
標識系
本発明の検出剤での使用に適切な検出可能標識には、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気的、光学的又は化学的手段により検出可能なあらゆる組成物が含まれる。本発明における有用な標識には、磁気ビーズ(例えばDynabeadsTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など、例えば、Molecular Probes、Eugene、Oregon、USA参照)、化学発光化合物、例えばアクリジニウム(例えばアクリジニウム−9−カルボキサミド)、フェナンスリジニウム、ジオキセタン、ルミノールなど、放射性標識(例えばH、125I、35S、14C又は32P)、酵素などの触媒(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシシダーゼ及びその他のELISAにおいて一般的に使用されるもの)及び金コロイドなどの比色標識(例えば、40−80nm半径サイズ範囲の金粒子、高性能の散乱緑色光)又は着色ガラス又はプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズが含まれる。このような標識の使用を教示する特許には、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;及び同第4,366,241号が含まれる。
生体試料との接触前、接触中又は接触後に、標識を検出剤に連結することができる。いわゆる「直接的標識」は、アッセイでの使用前に検出剤に直接連結される又は組み込まれる検出可能な標識である。当業者にとって周知の多くの手法の何れかによって、直接的標識を検出剤に連結する又は組み込むことができる。
一方で、いわゆる「間接的標識」は、通常、アッセイ中のある時点で検出剤に結合する。しばしば、間接的標識は、使用前に検出剤に連結される又は組み込まれる部分に結合する。従って、例えば、アッセイでの使用前に、検出剤として使用される抗体(「検出抗体」)をビオチン化することができる。アッセイ中、アビジン結合フルオロフォアは、容易に検出される標識を提供するために、ビオチンを有する検出剤に結合することができる。
間接的標識の別の例において、ポリペプチドA又はポリペプチドGなどの免疫グロブリン定常領域に特異的に結合することができるポリペプチドを、検出抗体に対する標識として使用することもできる。これらのポリペプチドは、連鎖球菌細菌の細胞壁の正常な構成成分である。これらは、様々な種由来の免疫グロブリン定常領域と強い非免疫原性の反応性を示す(全般的に、Kronvalら(1973)J.Immunol.、111:1401−1406及びAkerstrom(1985)J.Immunol.、135:2589−2542を参照のこと。)。従って、このようなポリペプチドが検出抗体ならびに種特異的抗体に結合するならば(検出抗体及び種特異的抗体の両方を標識し、試料中に存在する分析物及び自己抗体に起因する合成シグナルを提供する。)、このようなポリペプチドを標識し、アッセイ混合液に添加することができる。
本発明において有用なある標識は、検出可能なシグナルを生じさせるために指標試薬の使用を必要とし得る。ELISAにおいて、例えば、酵素標識(例えばβ−ガラクトシダーゼ)は、検出可能なシグナルを生じさせるために基質(例えばX−gal)の添加を必要とする。
典型的な方式
化学発光微粒子免疫アッセイ(CMIA)
典型的な実施形態において、本発明による発光微粒子アッセイ(CMIA)において化学発光標識を使用する。一般的に、化学発光微粒子アッセイ技術は、化学発光標識が、トリガー試薬を介して処理される場合、特徴的な波長で光を発するという原理に基づく(即ち化学発光)。
CMIAに必要な反応物には、測定される分析物に特異的な捕捉剤で被覆された微粒子、化学発光検出剤及びトリガー試薬(例えば化学的又は電気化学的)が含まれ得る。CMIAを行うための反応の順序には、免疫複合体を形成させるために、反応容器中で分析物に特異的な捕捉剤で被覆された微粒子を試料と混合することと;未結合物質を除去するために捕捉された免疫複合体を洗浄することと;捕捉された免疫複合体を化学発光検出剤と混合することと;捕捉された免疫複合体−化学発光検出剤を洗浄することと;発光を開始させるために捕捉された免疫複合体−化学発光検出剤をトリガー剤と混合することと、が含まれる。
CMIAに有用なケミルミノフォアには、アクリジニウム(例えばアクリジニウム−9−カルボキサミド)、ルミノール、ジオキセタン、ルテニウム複合体及び同様の化学発光誘導体が含まれる。CMIAにおいて有用な微粒子には、反磁性、磁性及び常磁性微粒子が含まれる。化学発光微粒子アッセイを行うことができる市販の自動機器の例には、Architect i−Systems及びAbbott Prism(全て、Abbott Laboratories、Abbott Park、Illから入手可能。)が含まれる。
電気化学的検出系
他の実施形態において、電気化学的検出を用いて本発明による免疫アッセイを行う。電気化学的検出のための基本的手順は、Heinemanらにより記載されている。これは、一次抗体(Ab、ラット抗マウスIgG)の固定とそれに続く抗原(Ag、マウスIgG)を含有する一連の溶液への曝露、酵素標識(AP−Ab、ラット抗マウスIgG及びアルカリホスファターゼ)へ結合された二次抗体及びp−アミノフェニルホスフェート(PAPP)を必要とした。APはPAPPをp−アミノフェノール(PAP、この「R」は、還元型を酸化型のPAP、キノンイミンから区別するものである。)へ変換するが、これは、pH9での酸素及び水の還元を妨害しない電位において(この場合、APは最適活性を示す。)、電気化学的に可逆的である。PAPは、フェノール(その前駆体、フェニルホスフェートが酵素基質として使用されることが多い。)とは異なり、電極汚染を引き起こさない。PAPが空気及び光酸化を被るにもかかわらず、小スケール及び短時間の枠でこれらは容易に防がれる。20μLから360μLの範囲のPAPP体積を用いたマイクロ電気化学的免疫アッセイにおいて達成されるPAPに対するピコモル検出限界及びIgGに対するフェントグラム検出限界が既に報告されている。このようにして、電気化学的検出を用いたキャピラリー免疫アッセイにおいて、報告されている限りの最低検出限界は、70μLの体積及び30分又は25分間のアッセイ時間を用いて、マウスIgGの3000分子である。
電気化学的検出を使用する典型的な実施形態において、電極(「固相」)の表面に本発明による捕捉剤を固定することができる。次に、例えばヒト由来の生体試料と電極を接触させる。試料中の分析物は捕捉剤に結合し、固相に固定された複合体を形成する。APで標識されている抗分析物抗体は、例えば、複合体中の分析物に結合し、それにより、電極の表面上に固定されるようになる。試料中に存在する何らかのヒト抗分析物抗体もまた複合体中の分析物に結合する。またAPでも標識されている抗ヒト抗体は、存在する何らかのヒト自己抗体に結合し、それにより、また、電極の表面上に固定されるようになる。PAPPの添加によって、結果としてAPによりそのPAPへの変換が起こり、PAPを検出する。
様々な電気化学的検出系が、米国特許第7,045,364号(2006年5月16日発行;参照により本明細書中に組み込まれる。)、同第7,045,310号(2006年5月16日発行;参照により本明細書中に組み込まれる。)、同第6,887,714号(2005年5月3日発行;参照により本明細書中に組み込まれる。)、同第6,682,648号(2004年1月27日発行;参照により本明細書中に組み込まれる。);同第6,670,115号(2003年12月30日発行;参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
本発明は、例えば、TnI、CKMB及びBNPを含むいくつかの心臓マーカーに対するサンドイッチ免疫アッセイを行うAbbott Laboratoriesから市販されているPoint of Care(i−STATTM)電気化学的免疫アッセイ系を含むポイントオブケアアッセイ系に適用可能である。免疫センサー及び使い捨て試験装置でのそれらの製造及び操作の方法が、例えば、米国特許第5,063,081号及び公開米国特許出願US20030170881、US20040018577、US20050054078及びUS20060160164(同一事項に関するそれらの教示について、それぞれ参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
さらに、言うまでもないが、本明細書中の典型的な方式の何れも及び本発明による何れのアッセイ又はキットも、例えば米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号に記載のような、及び、以下に限定されないがAbbottoのARCHITECT(R)、AxSYM、IMX、PRISM及びQuantum IIプラットフォームならびにその他のプラットフォームを含め、Abbott Laboratories(Abbott Park、IL)により市販されているような、自動又は半自動系(微粒子を含む固相があるものを含む。)での使用に適応させるまたは最適化することができる。
多重方式
例えばある生体試料において複数の分析物を同時にアッセイするのに有用な特定の実施形態において、固相には複数の異なる捕捉剤が含まれ得る。従って、例えば、固相に複数の抗分析物捕捉抗体が固定され得、各抗体は異なる分析物に特異的である。典型的な実施形態において、固相は、表面上の複数の異なる領域からなり得、ここで、各領域には特定の特異性の抗体が固定される。
必要ではないが、多重方式は、複数の標識を使用することができ、ここで、各標識は、その分析物に特異的な特定の分析物及び/又は自己抗体の検出のために使用される。例えば、特異性に基づいて、抗分析物捕捉抗体などの捕捉剤の複数が異なる既知の場所で固相に固定されている複数の標識を使用せずに複数の分析物を検出することができる。各位置での捕捉剤の特異性が分かっているので、特定の位置でのシグナルの検出は、その位置で結合される分析物及び/又は抗分析物自己抗体の存在と関連し得る。この方式の例には、それぞれチャンネル又はアレイに沿って異なる位置で異なる捕捉剤を含有する、マイクロ流体装置及びキャピラリーアレイ及び、通常は異なる捕捉剤が固体支持体の表面上に縦横のスポット(「標的エレメント」)において並んでいるマイクロアレイが含まれる。特定の実施形態において、例えば、マイクロ流体装置のチャンネルにおいて又はキャピラリーにおいて、固体支持体の表面上に形成させられ得る異なる電極に各異なる捕捉剤を固定することができる。
試験キット
本発明はまた、試験キットも提供する。本発明による試験キットには、本発明による1以上の免疫アッセイを実施するのに有用な1以上の試薬が含まれる。試験キットは、一般に、1以上の個別の組成物として、又は、場合によって、試薬の適合性が許す混合物として、試薬を保持する1以上の容器を伴うパッケージを含む。この試験キットはまた、試料処理、洗浄又はアッセイの何らかのその他の段階を行うことにおいて有用な、緩衝液、希釈液、標準物質及び/又は何らかの他の物質などの使用者の観点から必要とされ得る他の物質も含み得る。
ある実施形態において、試験キットは、(a)分析物に特異的な標識化検出剤;及び(b)標識化種特異的抗体(標識化種特異的抗体は生体試料が得られた種に特異的である。)を含む。特定の実施形態において、標識化検出剤は標識化抗分析物抗体を含む。標識化抗分析物抗体は、標識化種特異的抗体と同じ標識で標識され得る又は異なる標識で標識され得る。同じ容器又は異なる容器中にて、標識化抗分析物抗体及び標識化種特異的抗体を包装することができる。好ましい実施形態において、種特異的抗体はヒト特異的抗体である。
特定の実施形態において、この試験キットは、アクリジニウム−9−カルボキサミドなどの少なくとも1つの直接的標識を含む。本発明による試験キットは、少なくとも1つの間接的標識も含み得る。通常使用される標識が検出可能なシグナルを生じさせるための指標試薬を必要とする場合、試験キットは好ましくは1以上の適切な指標試薬を含む。
本発明による試験キットは、さらに、固相及び捕捉剤、例えば固相に固定された抗分析物捕捉抗体を含み得る。典型的な実施形態において、固相には、1以上の微粒子(例えば磁性又は常磁性微粒子)、電極及び/又はマイクロプレートが含まれる。多重アッセイに対して設計されている試験キットは、都合よく、複数の異なる分析物に特異的である複数の抗分析物捕捉抗体を含む1以上の固相を含有する。このようにして、例えば、多重電気化学的免疫アッセイに対して設計されている試験キットは、複数の電極を含み、各電極が異なる抗分析物捕捉抗体を有する固相を含有し得る。あるいは、多重「サンドイッチ」免疫アッセイを対象とした試験キットは、複数の異なる分析物に特異的な複数の異なる標識化抗分析物抗体を含み得、ここで、各異なる標識化抗分析物抗体は別個の標識で標識されている。
本発明による試験キットは、好ましくは、本発明の免疫アッセイの1以上を行うための説明書を含む。包装材料に、本発明のキットに含まれる説明書を固定する又は添付文書として含めることができる。説明書は一般に文書又は印刷物であるが、これらはそのように限定されない。このような説明書を保存し、エンドユーザーにそれらを伝達することができる何らかの媒体が本発明によりもくろまれる。このような媒体には、以下に限定されないが、電子記憶媒体(例えば磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学メディア(例えばCD ROM)などが含まれる。本明細書中で使用される場合、「説明書」という用語は、説明書を提供するインターネットサイドのアドレスを含み得る。
その使用及び効果を例示する実施例を通じて、本発明がより詳細に理解されよう。次の実施例は、主張される本発明を説明するために与えられるが、これに限定されない。
実施例
抗心臓トロポニン自己抗体あり/なしでの心臓トロポニン−I検出での抗ヒト結合物添加の効果
米国特許出願11/588,073(同一事項に関するその教示について、この全体において本明細書中に組み込まれる。)に記載のようなcTnI−被覆マイクロプレート及びARCHITECT(R)STAT−Troponin−Iキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL、カタログ番号2K41−30)からの試薬を用いて、抗心臓トロポニン−I−自己抗体についてスクリーニングされた正常な血液ドナーの集団から、2つの試料を選択した。アッセイにおいてある試料が低反応性(LR)であり、他方が高反応性(HR)であることが分かった。0.25及び1.5ng/mLの最終cTnI濃度を与えるために、2種類の濃度の心臓トロポニン−I(BioPacific、Emeryville、CA、カタログ番号J34170359)を各試料のアリコートに添加した。通常キットともに供給されるマウス抗トロポニンアクリジニウム−9−カルボキサミド化学発光検出結合物に抗ヒトIgGアクリジニウム−9−カルボキサミド結合物(25ng/mL)(米国特許出願第11/588073号に記載のような)を添加して、ARCHITECT(R)i2000SR機器(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において、ARCHITECT(R)STAT−Troponin−Iキットを用いて、各試料を分析した。
図3は、化学発光抗ヒトIgG結合物の添加によって、心臓トロポニン−I自己抗体を含有する試料中のトロポニンに対する用量反応が上昇することを示す。向上の程度は少なくとも2倍である。
当業者にとって当然のことながら、本発明は、目的を実行し、言及される結果及び長所ならびにそこで固有であるものを得るためによく適合する。本明細書中で記載される、分子複合体及び方法、手段、処理、分子、具体的化合物は、現在、好ましい実施形態の代表的なものであり、典型であって、本発明の範囲における限定ではない。当業者にとって当然のことながら、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書中で開示される本発明への様々な置換及び修飾がなされ得る。明細書中で言及される全ての特許及び刊行物は、本発明が属する当業者のレベルの指標である。
米国特許出願11/588,073は、とりわけ心臓トロポニン自己抗体に対するアッセイを記載し、これは、同一事項に関するその教示について、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。
本明細書中に例示的に記載される本発明は、適切に、本明細書中に具体的に開示されていない何らかの要素なしでまたは制限なしで実施され得る。従って、例えば、各例において、本明細書中で、「含む」、「基本的にから構成される」及び「からなる」という用語の何れも、その他の用語の何れかで置換され得る。使用されている用語及び表現は、説明の用語であって、制限のためでなく使用され、示され、記載される特性及びその一部の何らかの同等物を排除するかかる用語及び表現の使用におけるものではなく、様々な変更が、主張される本発明の範囲内で可能であることが認識される。このようにして、本発明は、好ましい実施形態及び最適な特性により具体的に開示されているが、本明細書中で具体的に開示されている概念の変更及び変化が当業者によって訴えられ得ること及びかかる変更及び変化が添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内で考慮されることを理解されたい。

Claims (45)

  1. (a)分析物について試験される生体試料を、固相に固定され及び分析物に結合する捕捉剤と、上記捕捉剤が分析物へ結合して固相に固定された捕捉剤/分析物複合体を形成するために十分な条件下において接触させ;及び
    (i)上記分析物に結合する検出剤と、上記検出剤が捕捉剤/分析物複合体中に存在する分析物のいずれかへ結合して固相に固定された検出剤/分析物/捕捉剤複合体を形成するために十分な条件下において接触させ、及び
    (ii)生体試料が得られた種に特異的であり及び内在性抗分析物抗体に特異的に結合する種特異的抗体と、上記種特異的抗体が試料中に存在し及び捕捉剤/分析物複合体に結合している内在性抗分析物抗体のいずれかへ特異的に結合して固相に固定された種特異的抗体/内在性抗分析物抗体/分析物/捕捉剤複合体を形成するために十分な条件下において接触させること;並びに
    (b)(a)で述べられた固相に固定された複合体からのシグナルを検出することにより分析物を検出することを含み、
    上記シグナルは、試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある、内在性抗分析物抗体を含有し得る生体試料中の関心のある分析物に対する免疫アッセイ法。
  2. 検出剤及び捕捉剤が分析物の異なる部位に結合する、請求項1に記載の免疫アッセイ法。
  3. 検出剤及び種特異的抗体が同じ標識で標識されている、請求項1に記載の免疫アッセイ法。
  4. 生体試料が検出剤及び種特異的抗体と同時に接触させられる、請求項1に記載の免疫アッセイ法。
  5. 生体試料が検出剤及び種特異的抗体と順次接触させられる、請求項1に記載の免疫アッセイ法。
  6. (a)(i)及び/又は(a)(ii)の接触が、生体試料の捕捉剤との接触と同時に行われる、請求項に記載の免疫アッセイ法。
  7. (a)(i)及び/又は(a)(ii)の接触が、生体試料の捕捉剤との接触と順次行われる、請求項に記載の免疫アッセイ法。
  8. (a)分析物について試験される生体試料を、固相に固定され及び分析物に結合する捕捉剤と、上記捕捉剤が分析物へ結合して固相に固定された捕捉剤/分析物複合体を形成するために十分な条件下において接触させること;
    (b)上記生体試料を、
    (i)上記分析物に結合する検出剤と、上記検出剤が捕捉剤/分析物複合体中に存在する分析物のいずれかへ結合して固相に固定された検出剤/分析物/捕捉剤複合体を形成するために十分な条件下において接触させ、及び
    (ii)生体試料が得られた種に特異的であり及び抗分析物自己抗体に特異的に結合する種特異的抗体と、上記種特異的抗体が捕捉剤/分析物複合体に結合している抗分析物自己抗体のいずれかへ特異的に結合して固相に固定された種特異的抗体/抗分析物自己抗体/分析物/捕捉剤複合体を形成するために十分な条件下において接触させること;並びに
    (c)(b)で述べられた固相に固定された複合体からのシグナルを検出することにより分析物を検出することを含み、
    上記シグナルは、試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある、抗分析物自己抗体を含有し得る生体試料中の関心のある分析物に対する免疫アッセイ法。
  9. (a)分析物について試験される生体試料を、固相に固定され及び分析物に特異的に結合する抗分析物捕捉抗体と、上記捕捉抗体が分析物へ特異的に結合して固相に固定された捕捉抗体/分析物複合体を形成するために十分な条件下において接触させること;
    (b)上記生体試料を、
    (i)上記分析物に結合する抗分析物抗体と、上記抗分析物抗体が捕捉抗体/分析物複合体中に存在する分析物のいずれかへ特異的に結合して固相に固定された抗分析物抗体/分析物/捕捉抗体複合体を形成するために十分な条件下において接触させ、及び
    (ii)生体試料が得られた種に特異的であり及び抗分析物自己抗体に特異的に結合する種特異的抗体と、上記種特異的抗体が捕捉抗体/分析物複合体に結合している抗分析物自己抗体のいずれかへ特異的に結合して固相に固定された種特異的抗体/抗分析物自己抗体/分析物/捕捉抗体複合体を形成するために十分な条件下において接触させること;並びに
    (c)(b)で述べられた固相に固定された複合体からのシグナルを検出することにより分析物を検出することを含み、
    上記シグナルは、試料中に存在する分析物の濃度と正の相関がある、抗分析物自己抗体を含有し得る生体試料中の関心のある分析物に対する免疫アッセイ法。
  10. 抗分析物抗体及び種特異的抗体が同じ標識で標識される、請求項に記載の免疫アッセイ法。
  11. (a)の接触及び(b)(i)及び/又は(b)(ii)の接触が同時に行われる、請求項8又は9に記載の免疫アッセイ法。
  12. (a)の接触及び(b)(i)及び/又は(b)(ii)の接触が連続的に行われる、請求項8又は9に記載の免疫アッセイ法。
  13. 生体試料が抗分析物抗体及び種特異的抗体と同時に接触させられる、請求項に記載の免疫アッセイ法。
  14. 生体試料が抗分析物抗体及び種特異的抗体と順次接触させられる、請求項に記載の免疫アッセイ法。
  15. 生体試料がヒトから得られる、請求項1、8又は9の何れかに記載の免疫アッセイ法。
  16. 識が直接的標識を含む、請求項3又は10に記載の免疫アッセイ法。
  17. 直接的標識がアクリジニウム−9−カルボキサミドを含む、請求項16に記載の免疫アッセイ法。
  18. 識が間接的標識を含む、請求項3又は10に記載の免疫アッセイ法。
  19. (c)の検出が、標試薬を使用することを含む、請求項1、8又は9の何れかに記載の免疫アッセイ法。
  20. 固相が微粒子を含む、請求項1、8又は9の何れかに記載の免疫アッセイ法。
  21. 微粒子が磁性又は常磁性である、請求項20に記載の免疫アッセイ法。
  22. 固相がマイクロプレートを含む、請求項1、8又は9の何れかに記載の免疫アッセイ法。
  23. 固相が電極を含む、請求項1、8又は9の何れかに記載の免疫アッセイ法。
  24. 固相が、複数の異なる分析物に特異的である複数の抗分析物捕捉抗体を含む、請求項に記載の免疫アッセイ法。
  25. 生体試料が、前記複数の異なる分析物に特異的である複数の異なる抗分析物抗体と接触させられ、各異なる抗分析物抗体は別個の標識で標識されている、請求項24に記載の免疫アッセイ法。
  26. 固相が複数の電極を含み、各電極は異なる抗分析物捕捉抗体を有する、請求項24に記載の免疫アッセイ法。
  27. (a)分析物に特異的な検出剤
    (b)生体試料が得られるべき種に特異的であり、内在性抗分析物抗体に特異的に結合する種特異的抗体、並びに
    (c)固相、及び固相に固定され及び分析物に結合する捕捉剤
    を含む試験キット。
  28. 捕捉剤が抗分析物捕捉抗体を含む、請求項27に記載の試験キット。
  29. 検出剤及び種特異的抗体が標識されている、請求項27に記載の試験キット。
  30. 検出剤及び種特異的抗体が同じ標識で標識されている、請求項29に記載の試験キット。
  31. 検出剤が抗分析物抗体を含む、請求項29に記載の試験キット。
  32. 抗分析物抗体及び種特異的抗体が同じ容器中に存在する、請求項31に記載の試験キット。
  33. 抗分析物抗体及び種特異的抗体が異なる容器中に存在する、請求項31に記載の試験キット。
  34. 種特異的抗体がヒト特異的抗体を含む、請求項31に記載の試験キット。
  35. 少なくとも1つの標識が直接的標識を含む、請求項31に記載の試験キット。
  36. 直接的標識がアクリジニウム−9−カルボキサミドを含む、請求項35に記載の試験キット。
  37. 少なくとも1つの標識が間接的標識を含む、請求項31に記載の試験キット。
  38. 検出可能なシグナルを生じさせるために少なくとも1つの標識と相互作用する指標試薬をさらに含む、請求項31に記載の試験キット。
  39. 固相が微粒子を含む、請求項27に記載の試験キット。
  40. 微粒子が磁性又は常磁性である、請求項39に記載の試験キット。
  41. 固相がマイクロプレートを含む、請求項27に記載の試験キット。
  42. 固相が電極を含む、請求項27に記載の試験キット。
  43. 固相が、複数の異なる分析物に特異的である複数の抗分析物捕捉抗体を含む、請求項27に記載の試験キット。
  44. 試験キットが、前記複数の異なる分析物に特異的である複数の異なる抗分析物抗体を含み、各異なる抗分析物抗体が別個の標識で標識されている、請求項43に記載の試験キット。
  45. 固相が複数の電極を含み、各電極が異なる抗分析物捕捉抗体を有する、請求項43に記載の試験キット。
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