JP5057074B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents

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Description

本発明は液晶配向剤および液晶表示素子に関する。さらに詳しくは、印刷性に優れた液晶配向剤およびそれから得られる液晶表示素子に関する。
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面に液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90°捻れるようにした、いわゆるTN型(Twisted Nematic)液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、TN型液晶表示素子に比して高いコントラスト比を実現できるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や視角依存性の少ないIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、VA(Vertical Allignment)型液晶表示素子、視角依存性が少ないと共に映像画面の高速応答性に優れた光学補償ベンド(OCB)型液晶表示素子などが開発されている(特許文献1〜5参照)。
これらの液晶表示素子における液晶配向膜の材料としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの樹脂材料が知られており、特にポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜は耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などに優れており、多くの液晶表示素子に使用されている(例えば特許文献6〜8参照。)。
このような液晶配向剤においては、形成される塗膜の膜厚均一性、特に基板の中央部における膜厚と端部における膜厚との均一性を向上する目的で、シランカップリング剤を添加する試みがなされている(特許文献9参照)。しかしながら、シランカップリング剤を添加した液晶配向剤は、形成される塗膜の膜厚均一性は向上するものの、液晶配向剤の塗布時に泡が発生しやすくなり、この泡が液晶配向膜のピンホールとなって、液晶の配向性などが損なわれるという問題があった。
耐熱性に優れる液晶配向膜を与えることができるとともに、塗布時に泡が発生せずに印刷性に優れ、且つ形成される塗膜の膜厚均一性が十分である液晶配向剤は従来知られていない。
特開2002−62537号公報 特開平7−261181号公報 特開2003−107486号公報 特開平11−258605号公報 特開2007−9031号公報 特開平9−197411号公報 特開2003−149648号公報 特開2003−107486号公報 特開昭62−243917号公報 特開平6−222366号公報 特開平6−281937号公報 特開平5−107544号公報
本発明の目的は、液晶配向性や電気特性に優れる液晶配向膜を与えることができるとともに、基板への塗布時に泡が発生せず、塗布性が良好であり且つ塗膜の膜厚均一性に優れる液晶配向剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、ピンホールのない、液晶配向性に優れた液晶配向膜を備えた液晶表示素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
(A)テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体100重量部、ならびに
(B)下記式(1)
Figure 0005057074
(式(1)中、aはであり、Rフェニレン基であるか、あるいは下記式(R −1)または(R −2)
Figure 0005057074
で表される基である。)
で表される化合物および下記式(2)
Figure 0005057074
(式(2)中、RIIはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基であり、複数存在するRIIはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「エポキシ化合物(B)」という。)0.01〜100重量部
を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明によれば、液晶配向性や電気特性に優れる液晶配向膜を与えることができるとともに、基板への塗布時に泡が発生せず、塗布性が良好であって塗膜にピンポールや印刷ムラが発生することがなく、且つ塗膜の膜厚均一性に優れる液晶配向剤が提供される。
かかる液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する本発明の液晶表示素子は、TN型およびSTN型液晶表示素子に好適に使用できる以外に、使用する液晶を選択することにより、SH型、IPS型、光学補償ベンド(OCB)型、強誘電性および反強誘電性の液晶表示素子などにも好適に使用することができる。本発明の液晶表示素子は、種々の装置に有効に使用でき、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビなどの表示装置に好適に用いられる。
本発明の液晶表示素子は、
(A)テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体(以下、「(A)重合体」という。)100重量部、ならびに
(B)上記式(1)で表される化合物および上記式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「エポキシ化合物(B)」という。)0.01〜100重量部
を含有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
<(A)重合体>
本発明の液晶配向剤に含有される(A)重合体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種である。
[ポリアミック酸]
上記ポリミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより合成することができる。
−テトラカルボン酸二無水物−
上記ポリアミック酸を合成するために使用されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、
1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(T−I)および(T−II)
Figure 0005057074
(式(T−I)および(T−II)中、RおよびRはそれぞれ芳香環を有する2価の有機基を示し、RおよびRはそれぞれ水素原子またはアルキル基を示し、複数存在するRおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
のそれぞれで表される化合物などの脂肪族および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(T−1)〜(T−4)
Figure 0005057074
のそれぞれで表される化合物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸を合成するために使用されるテトラカルボン酸二無水物は、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうち下記式(T−5)〜(T−7)
Figure 0005057074
で表される化合物および上記式(T−II)で表される化合物のうち下記式(T−8)
Figure 0005057074
で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物(1)」という。)が含むものであることが、形成される液晶配向膜が良好な液晶配向性を発現する観点から好ましい。特定テトラカルボン酸二無水物(1)としては、特に1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(T−5)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸を合成するために使用されるテトラカルボン酸二無水物は、上記の如き特定テトラカルボン酸二無水物(1)を、使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上含む。特定テトラカルボン酸二無水物(1)を上記の範囲で上記のような範囲で含むテトラカルボン酸二無水物を使用することにより、後述する有機溶媒に対する溶解性により優れるポリアミック酸を合成することが可能となり、そのためこれを含有する液晶配向剤は、使用する有機溶媒の種類および組成を幅広い範囲で設定することが可能となり、製品設計の自由度が大きいという利点を有することとなり、好ましい。
−ジアミン−
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸を合成するために使用されるジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル-2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニルなどの芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、および下記式(D−I)
Figure 0005057074
(式(D−I)中、Rは、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基を示し、Xは2価の有機基を示す。)
で表される化合物、下記式(D−II)
Figure 0005057074
(式中、Rは、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基を示し、Xそれぞれは2価の有機基を示し、複数存在するXはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物などの、分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−III)
Figure 0005057074
(式(D−III)中、Rは、−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−および−CO−から選ばれる2価の有機基を示し、Rは、ステロイド骨格、トリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基およびフルオロフェニル基から選ばれる骨格もしくは基を有する1価の有機基または炭素数6〜30のアルキル基を示す。)
で表される化合物などのモノ置換フェニレンジアミン類;
下記式(D−IV)
Figure 0005057074
(式(D−IV)中、Rはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基を示し、複数存在するRはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、rは、それぞれ、1〜3の整数であり、sは1〜20の整数である。)
で表されるジアミノオルガノシロキサン;
下記式(D−1)〜(D−5)
Figure 0005057074
Figure 0005057074
(式(D−4)中のyは2〜12の整数であり、式(D−5)中のzは1〜5の整数である。)
で表される化合物などを挙げることができる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸を合成するために使用されるジアミンは、上記のうちのp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、上記式(D−1)〜(D−5)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、上記式(D−I)で表される化合物のうち下記式(D−6)
Figure 0005057074
で表される化合物、上記式(D−II)で表される化合物のうち下記式(D−7)
Figure 0005057074
で表される化合物、上記式(D−III)で表される化合物のうち、ドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、下記式(D−8)〜(D−16)
Figure 0005057074
Figure 0005057074
Figure 0005057074
で表される化合物および上記式(D−IV)で表される化合物のうち1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定ジアミン(1)」という。)を含むことが好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリアミック酸を合成するために使用されるジアミンは、上記の如き特定ジアミン(1)を、使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上含む。特定ジアミン(1)を上記の範囲で上記のような範囲で含むジアミンを使用することにより、後述する有機溶媒に対する溶解性により優れるポリアミック酸を合成することが可能となり、そのためこれを含有する液晶配向剤は、使用する有機溶媒の種類および組成を幅広い範囲で設定することが可能となり、製品設計の自由度が大きいという利点を有することとなり、好ましい。
−ポリアミック酸の合成−
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.5〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下、好ましくは1〜24時間、より好ましくは1〜16時間の反応時間で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。また、有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
前記有機溶媒には、ポリアミック酸の貧溶媒であるアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを、生成するポリアミック酸が析出しない範囲で併用することができる。かかる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。
有機溶媒と上記の如き貧溶媒とを併用する場合、貧溶媒の使用割合としては、溶媒の全量に対して好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、さらに5重量%以下であることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸の単離は、上記反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥する方法、あるいは、反応溶液をエバポレーターで減圧留去する方法により行うことができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる方法、あるいは、エバポレーターで減圧留去する工程を1回または数回行う方法により、ポリアミック酸を精製することができる。
[イミド化重合体]
本発明に用いられるイミド化重合体は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られたポリアミック酸を脱水閉環することにより合成することができる。
−テトラカルボン酸二無水物−
イミド化重合体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上述したポリアミック酸の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物と同じ化合物を挙げることができる。
イミド化重合体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、脂環式テトラカルボン酸二無水物(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物(2)」という。)を含むものであることが好ましい。特定テトラカルボン酸二無水物(2)としては、特に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物および4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有されることのできるイミド化重合体を合成するために使用されるテトラカルボン酸二無水物は、上記の如き特定テトラカルボン酸二無水物(2)を、使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上含む。特定テトラカルボン酸二無水物(2)を上記の範囲で上記のような範囲で含むテトラカルボン酸二無水物を使用することにより、後述する有機溶媒に対する溶解性により優れるイミド化重合体を合成することが可能となり、そのためこれを含有する液晶配向剤は、使用する有機溶媒の種類および組成を幅広い範囲で設定することが可能となり、製品設計の自由度が大きいという利点を有することとなり、好ましい。
−ジアミン−
イミド化重合体を合成するために用いられるジアミンとしては、上述したポリアミック酸の合成に用いられるジアミンと同じジアミンを挙げることができる。
イミド化重合体を合成するために用いられるジアミンは、上記式(D−III)で表されるジアミン(以下、「特定ジアミン(2)」という。)をふくむものであることが好ましい。特定ジアミン(2)としては、特にドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼンおよび上記式(D−8)〜(D−16)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
イミド化重合体を合成するために用いられるジアミンとしては、上記特定ジアミン(2)を単独で使用してもよく、あるいは特定ジアミン(2)とその他のジアミンを併用してもよい。かかるその他のジアミンとしては、ポリアミック酸の合成に用いられるジアミンとして上述したもののうち、上記式(D−III)で表される化合物以外のものを挙げることができ、そのうちp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、上記式(D−1)〜(D−5)で表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、N,N‘−ジ(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチル−ベンジジン、上記式(D−I)で表される化合物のうち上記式(D−6)で表される化合物、上記式(D−II)で表される化合物のうち上記式(D−7)で表される化合物および上記式(D−IV)で表される化合物のうち1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体を合成するために使用されるジアミンは、上記の如き特定ジアミン(2)を、使用するジアミンの全量に対して好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上含む。特定ジアミン(2)を上記の範囲で上記のような範囲で含むジアミンを使用することにより、後述する有機溶媒に対する溶解性により優れるイミド化重合体を合成することが可能となり、そのためこれを含有する液晶配向剤は、使用する有機溶媒の種類および組成を幅広い範囲で設定することが可能となり、製品設計の自由度が大きいという利点を有することとなり、好ましい。
−イミド化重合体の合成−
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体は、前駆体たるポリアミック酸の有するアミック酸単位のすべてが脱水閉環されてなる完全イミド化体であってもよく、あるいはアミック酸単位と脱水閉環されたイミド環とが併存する部分イミド化物であってもよい。イミド化重合体のイミド化率としては、好ましくは40%以上であり、より好ましくは80%以上である。ここで、「イミド化率」とは、重合体におけるアミック酸構造の数とイミド環の数の合計に対する、イミド環の数の割合を百分率で表したものである。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であっても良い。イミド化率はポリイミドを適当な重水素化溶媒(例えば重水素化ジメチルスルホキシド)に溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH−NMRを測定した結果から、下記数式(i)により求めることができる。

イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (i)

(数式(i)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
本発明の液晶配向剤に含有されるイミド化重合体は、上記ポリアミック酸を脱水閉環することにより得られる。ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。反応時間は、好ましくは1〜12時間であり、より好ましくは1〜6時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。そして、脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃であり、反応時間は好ましくは1〜12時間であり、より好ましくは1〜6時間である。
上記方法(ii)においては、上記のようにして反応溶液が得られる。本発明の液晶配向剤を調製する際には、この反応溶液をそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤および脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換などの方法を適用することができる。ポリイミドの単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法と同様の操作を行うことにより行うことができる。
[末端修飾型の重合体]
上記ポリアミック酸およびイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。このような末端修飾型のものは、ポリアミック酸を合成する際に、分子量調節剤を反応系に添加することにより合成することができる。上記分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルこはく酸無水物、n−ドデシルこはく酸無水物、n−テトラデシルこはく酸無水物、n−ヘキサデシルこはく酸無水物などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えば、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
分子量調節剤は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下の範囲で用いられる。
[溶液粘度]
以上のようにして得られるポリアミック酸またはポリイミドは、濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用い、10重量%の濃度とした重合体溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した値である。
<エポキシ化合物(B)>
本発明の液晶配向剤に含有されるエポキシ化合物(B)は、上記式(1)で表される化合物および上記式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
上記式(1)におけるaは2である。
上記式(1)における基R は、フェニレン基であるかあるいは上記式(R−1)または(R−2)
で表される基である。上記式(1)で表される化合物の例としては、例えば下記式(1−)〜(1−3)
Figure 0005057074
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
上記式(2)におけるRIIとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基またはフェニル基が好ましい。pとしては3であることが好ましく、qは1〜10の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、さらに1であることが好ましい。上記式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(2−1)
Figure 0005057074
で表される化合物を挙げることができる。
本発明の液晶配向剤において、上記式(1)で表される化合物および上記式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物の使用割合は、上記ポリアミック酸およびそのイミド化重合体の合計100重量部に対して0.01〜100重量部である。この値は好ましくは0.01〜40重量部であり、より好ましくは0.01〜30重量部であり、特に0.1〜20重量部であることが好ましい。このような割合でエポキシ化合物(B)を使用することにより、本発明の液晶配向剤は、塗布性が良好であり且つ形成される塗膜の膜厚均一性に優れるという利点を最大限に発揮することができることとなり、好ましい。
本発明の液晶配向剤においては、エポキシ化合物(B)の一部をエポキシ化合物(B)以外の分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「他のエポキシ化合物」という。)で置き換えて使用してもよい。かかる他のエポキシ化合物の例としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサンなどを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤において、エポキシ化合物(B)の一部を他のエポキシ化合物で置き換えて使用する場合、他のエポキシ化合物の使用割合としては、エポキシ化合物(B)および他のエポキシ化合物の合計に対して、好ましくは40重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下であり、さらに20重量%以下であることが好ましい。
かかる割合でエポキシ化合物(B)および場合により他のエポキシ化合物を使用することにより、本発明の液晶配向剤の塗布性の改良効果が期待できるとともに、本発明の液晶配向剤を基板へ塗布する際に泡が発生する不具合を生じることがない。
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、上記の如き(A)重合体およびエポキシ化合物(B)を含有する。
本発明の液晶配向剤は、上記の如き(A)重合体およびエポキシ化合物(B)のほかに、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば官能性シラン化合物などを挙げることができる。
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
官能性シラン化合物の配合割合は、(A)重合体100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.2重量部である。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記の如き(A)重合体およびエポキシ化合物(B)ならびに必要に応じて任意的に配合されるその他の成分が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは20〜60℃である。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備するものである。
本発明の液晶表示素子は、例えば次の工程(1)〜(3)により製造することができる。
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を、例えばオフセット印刷法、スピンコート法、インクジェット印刷法などの適宜の塗布方法により塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィンなどのプラスチックからなる透明基板などを用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、例えば酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や、透明導電膜を形成する際に予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布しておいてもよい。液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは先ず予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃であるプレベーク時間は好ましくは0.1〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。そして溶剤を完全に除去した後、さらに加熱(ポストベーク)工程が実施されることが好ましい。このポストベーク温度は好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃である。ポストベーク時間は好ましくは1〜90分であり、より好ましくは5〜60分である。本発明の液晶配向剤は上記の如くして塗布後に有機溶媒を除去することによって配向膜となる塗膜を形成するが、本発明の液晶配向剤に含有される(A)重合体にアミック酸構造が残存している場合には、塗膜形成後にさらに加熱することによって脱水閉環反応を進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
(2)上記のようにして形成された塗膜は、これをそのまま垂直配向型液晶配向膜として用いることができるが、任意的に塗膜面に対して例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの適当な繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行ったうえで液晶配向膜として用いてもよい。さらに、ラビング処理後の塗膜に対し、例えば特許文献10(特開平6−222366号公報)や特許文献11(特開平6−281937号公報)に示されているような液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、特許文献12(特開平5−107544号公報)に示されているような液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることによって、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、ラビングを行った場合には、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の外側に、偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を製造することができる。
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶;商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶を添加して使用してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
上記実施例および比較例において、イミド化重合体のイミド化率は、イミド化重合体を室温にて減圧下で十分に乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温にて測定したH−NMRスペクトルから上記数式(i)に従って計算した。
重合体溶液の溶液粘度は、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
合成例1
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物109g(0.50モル)および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98g(0.50モル)ならびにジアミン化合物として4,4−ジアミノジフェニルエーテル200g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン244gおよびγ―ブチロラクトン2,200gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応させた後、γ―ブチロラクトン1,220gを追加することにより、ポリアミック酸(A−1)を10重量%含有する溶液約4,070gを得た。この溶液の溶液粘度は200mPa・sであった。
合成例2
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98g(0.50モル)およびピロメリット酸二無水物109g(0.50モル)ならびにジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルメタン198g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン243gおよびγ―ブチロラクトン2,190gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応させた後、γ―ブチロラクトン1,210gを追加することにより、ポリアミック酸(A−2)を10重量%含有する溶液約4,050gを得た。この溶液の溶液粘度は125mPa・sであった。
合成例3
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル)およびジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル200g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン238gおよびγ―ブチロラクトン2,130gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で4時間反応させた後、γ―ブチロラクトン1,190gを追加することにより、ポリアミック酸(A−3)を10重量%含有する溶液約3,960gを得た。この溶液の溶液粘度は210mPa・sであった。
合成例4
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル)およびジアミン化合物として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン367gおよびγ―ブチロラクトン3,300gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応させることにより、ポリアミック酸(A−4)を10重量%含有する溶液約4,080gを得た。この溶液の溶液粘度は160mPa・sであった。
合成例5
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.0モル)およびジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル200g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン254gおよびγ―ブチロラクトン2,290gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で4時間反応させることにより、ポリアミック酸(A−5)を15重量%含有する溶液約2,970gを得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は38mPa・sであった。
合成例6
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物20g(0.10モル)およびピロメリット酸二無水物196g(0.90モル)ならびにジアミン化合物として4,4’−ジアミノジフェニルエーテル160g(0.8モル)およびp−フェニレンジアミン22g(0.2モル)をN−メチル−2−ピロリドン3,250gに溶解し、40℃で4時間反応させることにより、ポリアミック酸(A−6)を11重量%含有する溶液約3,580gを得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は200mPa・sであった。
合成例7
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物40g(0.20モル)およびピロメリット酸二無水物174g(0.80モル)ならびにジアミン化合物として2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル170g(0.8モル)およびp−フェニレンジアミン22g(0.2モル)をN−メチル−2−ピロリドン3,310gに溶解し、40℃で4時間反応させることにより、ポリアミック酸(A−7)を11重量%含有する溶液約3,720gを得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は160mPa・sであった。
合成例8
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン157g(0.50モル)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン95g(0.88モル)、2,2−ジトリフルオロメチルー4,4−ジアミノビフェニル32g(0.10モル)、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン(上記式(D−1)で表される化合物、以下同じ。)6.4g(0.010モル)およびオクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン4.0g(0.015モル)をN−メチル−2−ピロリドン960gに溶解し、60℃で9時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は58mPa・sであった。
得られたポリアミック酸溶液に、N−メチル−2−ピロリドン2,740g、ピリジン396gおよび無水酢酸409gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約95%のイミド化重合体(B−1)を15重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてイミド化重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は69mPa・sであった。
合成例9
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン157g(0.50モル)、ジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン96g(0.89モル)、ビスアミノプロピルテトラメチルジシロキサン25g(0.10モル)および3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン13g(0.020モル)ならびにモノアミンとしてN−オクタデシルアミン8.1g(0.030モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,165gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,165gを追加し、ピリジン396gおよび無水酢酸409gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約95%のイミド化重合体(B−2)を15重量%含有する溶液約2,710gを得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてイミド化重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は70mPa・sであった。
合成例10
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.0モル)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン107g(0.99モル)および3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン6.43g(0.010モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,024gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、溶液粘度約260mPa・sのポリアミック酸溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,012gを追加し、ピリジン396gおよび無水酢酸306gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約89%のイミド化重合体(B−3)を10重量%含有する溶液約3,350gを得た。この溶液の溶液粘度は300mPa・sであった。
合成例11
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン157g(0.50モル)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン89g(0.82モル)、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル32g(0.10モル)、1−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)−4−(4−トリフルオロメチルベンゾイルオキシ)−シクロヘキサン(上記式(D−12)で表される化合物、以下同じ)25g(0.059モル)およびオクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン4.0g(0.011モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,175gに溶解し、60℃で6時間反応させることにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は110mPa・sであった。
得られたポリアミック酸溶液のうち1,500gをとり、これにN−メチル−2−ピロリドン3,000gを追加し、ピリジン221gおよび無水酢酸228gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約92%のイミド化重合体(B−4)を10重量%含有する溶液約4,460gを得た。この溶液の溶液粘度は130mPa・sであった。
合成例12
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.0モル)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン86g(0.8モル)、上記式(D−10)で表される化合物104g(0.20モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,860gに溶解し、60℃で4時間反応させることにより、溶液粘度約400mPa・sのポリアミック酸溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,860gを追加し、ピリジン78gおよび無水酢酸101gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(B−5)を10重量%含有する溶液約4,120gを得た。この溶液の溶液粘度は50mPa・sであった。
合成例13
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.0モル)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン97g(0.9モル)および上記式(D−12)で表される化合物53g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,690gに溶解し、60℃で4時間反応させることにより、溶液粘度約450mPa・sのポリアミック酸溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,690gを追加し、ピリジン78gおよび無水酢酸101gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(B−6)を10重量%含有する溶液約3,720gを得た。この溶液の溶液粘度は70mPa・sであった。
合成例14
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物224g(1.00モル)ならびにジアミン化合物としてp−フェニレンジアミン86g(0.80モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン20g(0.10モル)および2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル32g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,170gに溶解し、60℃で6時間反応させさせることにより、溶液粘度約50mPa・sのポリアミック酸溶液を得た。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン1,090gを追加し、ピリジン158gおよび無水酢酸204gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行なった。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約75%のイミド化重合体(B−7)を10重量%含有する溶液約3,590gを得た。この溶液の溶液粘度は60mPa・sであった。
実施例1
合成例8で得られたイミド化重合体(B−1)を含有する溶液を、イミド化重合体に換算して100重量部に相当する量をとり、これにエポキシ化合物(B)として、上記式(1−)で表される化合物5重量部を加え、さらにγ−ブチロラクトン(BL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加えて、溶媒組成がBL:NMP:BC=71:17:12(重量比)、固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤につき、以下の方法により評価を行なった。評価結果は第1表に示した。
(1)印刷性の評価
上記で調製した液晶配向剤をITO膜からなる透明電極付きガラス基板上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて以下の条件の印刷法により塗布した。
配向剤吐出量:3.0mL/分
塗工速度:30m/分
ニップ圧:0.20mm
次いで塗布後の基板を80℃にて1分プレベークし、次いで200℃にて60分ポストベークすることにより、基板上に塗膜を形成した。この塗膜を目視で観察し、ハジキおよび塗布ムラの双方が見られないものを印刷性「良好」、ハジキおよび塗布ムラのうちの少なくとも片方が見られたものを印刷性「不良」として評価した。
(2)塗膜の膜厚均一性の評価
上記で形成した塗膜につき、蝕針式膜厚計(KLAテンコール社製)を用いて基板の中央部における膜厚と基板の外側端から15mm中央に寄った位置における膜厚とをそれぞれ測定した。両者の膜厚差が20Å以下のものを膜厚均一性「良好」、膜厚差20Åを超えたものを膜厚均一性「不良」として評価したところ、塗膜均一性は良好であった。
(3)液晶セルの製造
上記で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷機(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。
この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行ない、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。
(4)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶セルにつき、印加電圧をAC0〜8Vまで徐々に変化していったときに、液晶セルに対して垂直方向および斜め45°方向からそれぞれ目視で観察した場合の双方において全面で表示不良なく均一に表示されていた場合を液晶配向性「良好」、上記観察方向の一方または双方において表示ムラが見られた場合を液晶配向性「不良」として評価した。
(5)耐熱安定性の評価
上記で製造した液晶セルにつき、交流6.0V(ピーク−ピーク)を重畳した30Hz、3.0Vの矩形波を、70℃の環境温度で500時間印加した。500時間経過後のセルを目視で観察したときに、表示不良は見られなかった場合を耐熱安定性「良好」、表示不良は見られた場合を耐熱安定性「不良」として評価した。
実施例2〜22および比較例1〜4
上記実施例1において、液晶配向剤の調製に使用した重合体を含有する溶液およびエポキシ化合物(B)の種類および量ならびに溶媒組成を第1表に記載のとおりとしたほかは実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、液晶セルを製造して評価した。なお、実施例および比較例2においては、液晶としてメルク社製のネマチック型液晶「MLC−6608」を使用し、液晶配向膜の形成においてラビング処理を行わなかった。また、比較例1〜4においては、エポキシ化合物(B)を使用しなかった。
評価結果は第1表に示した。
Figure 0005057074
Figure 0005057074
第1表における重合体の名称は、それぞれ上記合成例1〜14で合成したポリアミック酸またはイミド化重合体に対応する。これらの重合体は、いずれも重合体溶液として液晶配向剤の調製に供し、第1表において重合体に付したカッコ内の数値は、各実施例、比較例で使用した重合体溶液に含まれる重合体の量(重量部)である。実施例1222ならびに比較例3および4では、重合体は各2種類ずつ使用した。
また、エポキシ化合物(B)の名称のうち、(1−)ないし(1−3)および(2−1)は、それぞれ上記式(1−)ないし(1−3)および(2−1)で表される化合物に対応する。エポキシ化合物(B)の名称に付したカッコ内の数値は、各実施例で使用したエポキシ化合物(B)の量(重量部)である。
溶媒組成の欄の略称は、それぞれ以下の意味であり、溶媒組成は重量比である。
BL:γ−ブチロラクトン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
BC:ブチルセロソルブ

Claims (2)

  1. (A)テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体100重量部、ならびに
    (B)下記式(1)
    Figure 0005057074
    (式(1)中、aはであり、Rフェニレン基であるか、あるいは下記式(R −1)または(R −2)
    Figure 0005057074
    で表される基である。)
    で表される化合物および下記式(2)
    Figure 0005057074
    (式(2)中、RIIはそれぞれ炭素数1〜12の炭化水素基であり、複数存在するRIIはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、pは1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
    で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物0.01〜100重量部
    を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
  2. 請求項1に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
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