JP5041200B2 - ステータコア及びその分割コア - Google Patents
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このような課題に鑑みて、それぞれが一つの突極を有するように環状のステータコアを分割した分割コア式ステータが実用化されている。分割コア式ステータでは、各分割コアごとに独立してコイルを巻くことができるので、多極の突極が内周面に形成された環状のステータと比べて巻回作業が容易である。
但し、ステータコアとして完成させるには、各分割コアを連結し、それぞれ同じ相に励磁されるコイルを結線しなくてはならない。
これによれば、円環状に配列させた分割コアにステータカバーを被せるだけで、分割コアが円環状に連結固定された状態を形成できるようにしている。ステータカバーの円環状板部分の外側端面には、各分割コアに巻かれたコイルに接続されるリード線を収めるための溝が形成されている。この外側端面の外側に分割コアのコイルの端部が引き出され、U、V、Wの各相ごとにスター結線される。駆動回路との接続用のリード線やコイルとリード線との接続部分は、上記溝に収められる。
しかし、分割コアからはコイルの末端が不定形に出ているために、分割コアを連結する際の作業性には改善の余地がある。また、分割コアを連結した後に、不定形に伸びているコイルを結線し、駆動回路と接続されるリード線やコイルを上記溝に収める必要がある。プリント配線基板の取り付け作業は、省略できているが配線作業はやはり煩雑である。
本発明に係る分割コアは、磁性体から成るコア本体と、前記コア本体のバックヨーク部とロータに対面する磁極部とを連結する歯部に前記コア本体との絶縁を保って巻回されたコイルと、前記コア本体と前記コイルとを絶縁するインシュレータとを備え、当該分割コアの複数個が環状に並べられてモータのステータコアを構成するものであって、以下の特徴構成を備えるものである。
即ち、本発明に係る分割コアの特徴構成は、前記バックヨーク部側と前記磁極部側との間に架け渡され、巻回された前記コイルの始端と終端とをそれぞれ固定する2つの固定部を有したブリッジ体を、前記ロータの回転軸方向の何れか一方側に備え、前記インシュレータは、前記バックヨーク部側と前記磁極部側とのそれぞれに、前記ロータの回転軸方向に延伸し、前記ブリッジ体が架け渡される壁部を有し、前記壁部は、前記コイルの始端又は終端を前記歯部から前記ステータコアの径方向に誘導するための切欠部を有し、前記切欠部は、内側の対向する面に、絶縁体からなる凸部が形成されている点にある。
また、分割コアを連結した後、各分割コアのコイル同士、及び駆動回路からのリード線と結線する必要があるが、コイルの末端が不定形に伸びていないため、配線作業の煩雑さが抑制される。また、配線作業の信頼性も向上する。
さらに、ロータの回転軸方向の何れか一方側に備えられるこのブリッジ体は、コア本体に巻回されたコイルを超えて、バックヨーク部側と磁極部側との間に架け渡される。従って、ステータコアの周方向にはみ出すことなく、また、ステータコアの径方向に膨らむことなく、コイルの末端処理が可能となる。このため、ステータコアの外形が大きくなることを抑制することができ、モータが大型化することもない。
また、コイルの始端及び終端はインシュレータの壁部に設けられた切欠部を通って、歯部から径方向に誘導される。分割コアの組み立て途上において、コイルの始端と終端とが、無秩序にばらつくことがなく、切欠部を経由して径方向に揃えられる。また、歯部へのコイルの巻回方向は切欠部によって誘導される径方向と直交する関係にあるので、コイルが仮止めされる効果が期待できる。その結果、コア本体に巻回されたコイルが緩むことなく、組み立て時の作業性や生産性が向上する。
また、バックヨーク部側と磁極部側とでは、バックヨーク部側の方がステータコアの外周側であるから、周方向の長さを確保でき、複数の切欠部を設け易い。
即ち、前記配線部材が、前記分割コアをそれぞれの前記2つの固定部の一方において、前記各位相ごとに接続すると共に互いに絶縁を保って前記ロータの回転軸方向に重ね合わされる複数の相別配線部材と、それぞれの前記2つの固定部の他方において、全ての前記分割コアを一括して接続する共通配線部材とであることを特徴とする。
また、これら余計な作業を伴わないことにも関連し、ステータコアの径方向、及び周方向にはコイルの末端処理に関わる余分な構成がない。従って、ステータコアの径を不必要に大きくすることもなく、小型なモータを構成することができる。
図1に示すように、8極のロータ8に対応して、ステータコア9aは12極の突極を有する。8極のロータは4対のNS極対からなる。ロータ8に対して回転磁界を与えるステータコア9aは三相励磁されるため、磁極となる12(=4×3)個の突極を有する。一つの突極は一つの分割コア10に相当し、ステータコア9aは12個の分割コア10から構成される。
尚、当然、コイル3の始端3a及び終端3bは、便宜的な呼称であり、巻き始めと巻き終わりとが逆になってももちろん構わない。
分割コア10の組み立て途上において、コイル3の始端3aと終端3bとが、無秩序にばらつくことがなく、切欠部52を経由して径方向に揃えられる。また、歯部1cへのコイルの巻回方向は切欠部52によって誘導される径方向と直交する関係にあるので、コイル3が仮止めされる効果が期待できる。従って、コア本体1に巻回されたコイル3が緩むことなく、組み立て時の作業性や生産性が向上する。
分割コア10の組み立て途上において、コイル3の始端3aと終端3bとは、切欠部52によって仮止めされる。従って、コア本体1に巻回されたコイル3が緩むことなく、組み立て時の作業性や生産性が向上する。
また、凸部55は、対向する両面に形成されてもよいし、一方の面にのみ形成されてもよい。
固定部41は、コイル3の始端3a及び終端3bを案内する案内溝44を周壁部45に有すると共に、コア本体1と対向する側に底部(不図示)を有する穴状に形成されている。本例において、周壁部45は、開口端部が四角形状に形成されている。案内溝44は、ステータコア9aの径方向において対向する2つの辺に相当する周壁部45に設けられており、ステータコア9aの径方向にコイル3を誘導する。
上述したように、本発明では、コイル3の末端処理を各分割コア10において完結させる。この際、コイル3の末端処理の中核部品であるブリッジ体4と、コア本体1とが離間することを別の部材を用いることなく抑制することができる。
図8(a)に示すように、この対向する金属片の間に第一屈曲端子90aが挿入される。このとき、図8(b)に示すように、板バネ7bは、配線プレート90の第一屈曲端子90aとの接点71となる(詳細は、図18、19を参照して後述する。)。
しかし、固定端子7が接点機能を有してなくとも、各分割コア10において、コイル3の末端処理を完結させるという目的は充分に達成できるものである。つまり、分割コア10相互の配線に半田付けや溶接などを要しても、コイル3の末端が不定形に出ていることに起因する作業性の低下は、充分改善されている。従って、固定端子7は、固定機能のみを有していてもよい。
上述した実施形態では、ブリッジ体4の固定部41が、ステータコア9aの径方向及び周方向において互いに偏移した位置に形成される場合を例示した。このように、偏移した位置に形成されることにより、さらに優れた作用効果を奏するものであるが、本発明はもちろんそのような形態に限定されるものではない。つまり、固定部41が、ステータコア9aの径方向又は周方向に沿って整列して配置される場合も、本発明に含むものである。
以下、上記固定部41を偏移させる場合の作用効果についての説明に先立ち、図9〜12に基づいてブリッジ体4の別実施形態を説明する。
図3〜図7に示したブリッジ体4に備えられた2つの固定部41は、ステータコア9aの径方向及び周方向において互いに偏移した位置に形成されている。また、バックヨーク部1bの側のインシュレータ2(5)の壁部21には、第一の切欠部5dと、第二の切欠部5eとの2つが形成されている。
図3及び図5に基づいて上述したように、コイル3は、バックヨーク部1bの側から巻き始められ、磁極部1aの側で巻き終えられている。このため、バックヨーク部1bの側にコイル3の始端3aが出ており、磁極部1aの側にコイル3の終端3bが出ている。
この時、始端3aは、上記第一の切欠部5dに誘導され、終端3bは、磁極部1aの側の切欠部5cに誘導される。
この時、始端3aは、上記と同様に、第一の切欠部5dに誘導されるが、終端3bは、磁極部1aの側の切欠部5cではなくバックヨーク部1bの側の第二の切欠部5eに誘導される。
ここで、磁極部1aの側の切欠部5cと、バックヨーク1bの側の何れかの切欠部52(本例では第二の切欠部5e)とは、ステータコア9aの径方向の同じ線上に形成されている。従って、終端3bが何れの側になっても、終端3bは径方向の同じ線上に沿う。さらに、これと同一の線上にブリッジ体4の一方の固定部41(本例では第一固定部42)が形成されている。従って、磁極部1aの側及びバックヨーク部1bの側の何れの側からも終端3bが、固定部41(第一固定部42)へ良好に導かれる(図14参照)。
さらに、2つの固定部41が径方向においても互いに偏移した位置に形成されると、2つの固定部41は互いに異なる円周上に配置される。この場合には、図18及び図19に基づいて後述するように、分割コア10を複数個、環状に並べてコイル3の末端を電気的に接続する場合の作業性が向上する。
従って、固定部41が周方向で偏移していない場合には、三相分に中性点を加えた4つが、同一円周上で電気的に絶縁されるべきものとなる。つまり、絶縁が必要な配線間が1つ増化する。これは、多少ではあっても、配線の作業性を低下させる可能性がある。しかし、本例の構成によれば、三相の配線間を絶縁すれば足り、配線の作業性が低下しない。
図15及び図16は、固定端子7の別実施形態を示す断面図である。
両別実施形態は、固定端子7が、U字型に折り曲げられた金属片の屈曲部側において、コイル3の線径よりも狭幅の狭持溝7aが形成されている点では、図4及び図8に示すものと同様である。また、金属片の側部に、屈曲部側に斜辺、開口部側に対辺を有する略直角三角形状の抜け止め突起7cが形成されている点も同様である。両別実施形態は、金属片の開口部側における形状が相違する。
図16に示す固定端子4Bは、金属片の開口部側において、対向する当該金属片の双方が当該開口部の内側に突起7eを形成されている。
これら板バネ7dや突起7eにより、対向する金属片同士が当接する、又は後述する配線プレート(符号90)の端子(符号90a:第一屈曲端子)の厚みよりも短い距離で対向する。板バネ7dや突起7eは、第一屈曲端子90aとの接点71となる(図18、19参照)。
以下、本発明の分割コア10を複数個、環状に並べて、複数の異なる位相に励磁されるステータコア9aを組み立て、各分割コア10を相互に配線する手順を、図17〜19に基づいて説明する。
図1に基づいて上述したように、本例のモータは、8極のロータ8に対応して、ステータコア9aは12極の突極を有する。8極のロータ8は4対のNS極対からなる。つまり、ロータ8に対して回転磁界を与えるステータコア9aのコイル3が励磁される電気角360度に対して、ロータ8は機械角で90度(=360/4)回転する。ロータ8を一回転させるためには、4対のNS極対に対応する励磁が必要である。U相、V相、W相に三相励磁されるコイル3は一つの相について4回線が必要となる。また、この4回線は、上記機械角より、それぞれ90度ずつ離れた位置に配置された凸極に巻かれたコイル3が対応する。
図に示すように、並列接続された4回線のコイル3からなる並列回路が3つ形成され、これら3つの並列回路がY(スター)結線される。本例では、上述したコイル3の終端3bを中性点として、Y結線される。コイル3の始端3aは、三相励磁の各相(U相、V相、W相)に対応して、駆動回路と接続される。
本例では、円筒状のホルダ9bの内部に分割コア10が環状に並べられてステータコア9aが構成され、全体としてステータ9を構成する。尚、この円筒状のホルダ9bは、本例では説明を容易にするために簡略化しており、単一の部材に限定されるものではない。
三相励磁の各相は、上述したように90度ずつ回転した位置に配置された分割コア10のコイル3を相互に接続して、並列回路を構成する。各相は、全て第二固定部43において接続されるので、同一円周上において各相別配線プレート90p(90u、90v、90w)は競合関係となる。従って、各相別配線プレート90pは、互いに絶縁を保ってロータ8の回転軸8aの方向に重ね合わされる。この絶縁は、後述する絶縁プレート91によって行われる。
従って、配線作業は、各配線プレート90を固定端子7の接点71に嵌め込んでいくだけの容易なものである。
配線プレート90の内、相別配線プレート90pは、上記第一屈曲端子90aとは180度異なった方向へ屈曲した第二屈曲端子90bを、1つずつ有している。この第二屈曲端子90bは、駆動回路と接続される端子である。第二屈曲端子90bには、例えば、駆動回路とハーネスなどで結ばれたコネクタが嵌合される(不図示)。勿論、半田付け、溶接など他の手段で駆動回路と接続されるものでもよい。
図18に示すように、環状に分割コア10が並べられたステータコア9aに、環状の中性点プレート9nが取り付けられる。中性点プレート90nには、12個の配線端子90an(第一屈曲端子90a)が、30度刻みで形成されている。各配線端子90anは、磁極部1aの側の第一固定部42において、固定端子7の接点71と嵌合し、電気的に接続される。
駆動回路と接続される駆動端子90bu(第二屈曲端子90b)は、この状態において、ステータコア9aとは反対方向に形成されている。
これら配線端子90avは、U相プレート90uの配線端子90auと比べて、U相プレート90uと絶縁プレート91との厚み分長く形成されている。各配線端子90avは、バックヨーク部1bの側の固定部43において、固定端子7の接点71と嵌合し、電気的に接続される。
これら配線端子90awは、V相プレート90vの配線端子90avと比べて、V相プレート90vと絶縁プレート91との厚み分長く形成されている。U相プレート90uの配線端子90auと比べると、U相プレート90uと、V相プレート90vと、2枚の絶縁プレート91との厚み分長く形成されている。
各配線端子90awは、バックヨーク部1bの側の第二固定部43において、固定端子7の接点71と嵌合し、電気的に接続される。
この駆動端子90bwは、V相プレート90vの駆動端子90bvと比べて、V相プレート90vと絶縁プレート91との厚み分短く形成されている。U相プレート90uの駆動端子90buと比べると、U相プレート90u、V相プレート90vと、2枚の絶縁プレート91との厚み分短く形成されている。
従って、U、V、W相の各駆動端子90bu、90bv、90bwは、同じ高さで等間隔に並ぶ。
本発明は、ステータコイルを有し、種々の用途に利用されるモータに適用することができる。
1:コア本体
1a:磁極部、1b:バックヨーク部、1c:歯部
2:インシュレータ
5:上側インシュレータ(インシュレータ)
6:下側インシュレータ(インシュレータ)
21、51、61:壁部
5a:磁極部側壁部(壁部)、5b:バックヨーク部側壁部(壁部)
6a:磁極部側壁部(壁部)、6b:バックヨーク部側壁部(壁部)
52:切欠部
5c:磁極部側切欠部(切欠部)
5d:バックヨーク部側第一の切欠部(切欠部)
5e:バックヨーク部側第二の切欠部(切欠部)
3:コイル
3a:始端、3b:終端
4:ブリッジ体
41:固定部
42:磁極部側の固定部、第一固定部(固定部)
43:バックヨーク側の固定部、第二固定部(固定部)
7:固定端子
8:ロータ
8a:回転軸
9a:ステータコア
90:配線プレート(配線部材)
90n:中性点プレート、共通配線プレート(共通配線部材)
90u(90p):U相プレート、相別配線プレート(相別配線部材)
90v(90p):V相プレート、相別配線プレート(相別配線部材)
90w(90p):W相プレート、相別配線プレート(相別配線部材)
Claims (6)
- 複数個が環状に並べられてモータのステータコアを構成する分割コアであって、
磁性体から成るコア本体と、前記コア本体のバックヨーク部とロータに対面する磁極部とを連結する歯部に前記コア本体との絶縁を保って巻回されたコイルと、前記コア本体と前記コイルとを絶縁するインシュレータとを備える分割コアにおいて、
前記バックヨーク部側と前記磁極部側との間に架け渡され、巻回された前記コイルの始端と終端とをそれぞれ固定する2つの固定部を有したブリッジ体を、前記ロータの回転軸方向の何れか一方側に備え、
前記インシュレータは、前記バックヨーク部側と前記磁極部側とのそれぞれに、前記ロータの回転軸方向に延伸し、前記ブリッジ体が架け渡される壁部を有し、
前記壁部は、前記コイルの始端又は終端を前記歯部から前記ステータコアの径方向に誘導するための切欠部を有し、
前記切欠部は、内側の対向する面に、絶縁体からなる凸部が形成されている分割コア。 - 前記コイルの始端及び終端は、前記ブリッジ体が前記コア本体と対向する側である前記ブリッジ体の下方から前記ブリッジ体の上方へ巻回されて固定される請求項1に記載の分割コア。
- 前記磁極部側の前記壁部は1つの前記切欠部を有し、前記バックヨーク部側の前記壁部は2つの前記切欠部を有する請求項1又は2に記載の分割コア。
- 前記2つの固定部は、前記ステータコアの径方向及び周方向において互いに偏移した位置に形成される請求項1〜3の何れか一項に記載の分割コア。
- 前記固定部において前記コイルの始端又は終端と前記ブリッジ体とを固定すると共に各分割コアを電気的に接続する配線部材との接点となる固定端子を備える請求項1〜4の何れか一項に記載の分割コア。
- 請求項5に記載の分割コアを複数個、環状に並べて構成され、複数の異なる位相に励磁
されるステータコアであって、
前記配線部材は、
前記分割コアをそれぞれの前記2つの固定部の一方において、前記各位相ごとに接続すると共に、互いに絶縁を保って前記ロータの回転軸方向に重ね合わされる複数の相別配線部材と、
それぞれの前記2つの固定部の他方において、全ての前記分割コアを一括して接続する共通配線部材とであるステータコア。
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