JP5013207B2 - 自動車用ガラスラン - Google Patents

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Description

本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する、直線部と、コーナー部を有する自動車用ガラスランに関するものである。
図4に示すように、自動車のドア1のドアフレーム2の内周にドアガラス5の昇降を案内するガラスラン110が取付けられている。その従来のガラスラン110の全体を図3に示し、ガラスラン110がドアフレーム2の直線部の縦辺に取付けた状態の断面図を図5に示し、同様に上辺に取付けた状態の断面図を図6に示す。
従来、ガラスラン110は、図5と図6に示すように、ドアフレーム2のチャンネル3内に取付けられて、ドアガラス5の昇降を案内するとともにドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。さらに、ガラスラン110は、図3に示すように、押出成形により成形された直線部111とコーナー部112からなる。直線部111は、ドアフレーム2の上辺に取付けられる上辺部113と、同じくフロント側の縦辺とリヤ側の縦辺に取付けられる縦辺部114からなる。コーナー部112は、型成形によってドアフレーム2のコーナー部2bの形状に合わせて形成される。コーナー部112により上辺部113と縦辺部114を接続している。
なお、ドア1と車体との間のシールは、ドアパネルおよびドアフレーム2の外周に取付けられたドアウエザストリップ(図示せず)および/または車体の開口部のフランジに取付けられたオープニングトリムウエザストリップ(図示せず)によりなされている。
ガラスラン110の本体の縦辺部114は、図5に示すように、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略コ字状をなしている。車外側側壁120の先端付近から車外側シールリップ121が本体の断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。また、車内側側壁130にもその先端付近から車内側シールリップ131が断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。
さらに、縦辺部114では、風切音の低減のために車外側補助シールリップ122がガラスラン110の本体開口部の方向に斜めに延設されている。これは、縦辺部114では、ドアガラス5の昇降により、ドアガラス5はガラスラン110の長手方向に移動するため、車外側補助シールリップ122をドアガラス5の昇降により巻き込むことがないためである。
ガラスラン110の本体の車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140はドアフレーム2に設けられたチャンネル3内に挿入され、各壁の外面の少なくとも一部がチャンネル3の内面に圧接され、ガラスラン110を保持している。なお、図5に示すように、チャンネル3は、ドアフレーム2を折り曲げて形成される場合や、別途形成されたチャンネル3をドアフレーム2に取付ける場合がある。
図6にしめすように、ガラスラン110の上辺部113も縦辺部と同様に、車外側側壁120と、車内側側壁130と、底壁140からなる断面略コ字状をなし、車外側側壁120と車内側側壁30の先端付近からそれぞれ車外側シールリップ121と車内側シールリップ131が本体の断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。しかし、車外側補助シールリップ122は設けられていない。
ドアガラス5は、上辺部113も縦辺部114もこのガラスラン110の本体の断面略コ字状の内側を摺動するとともに、上記車外側シールリップ121と車内側シールリップ131によってドアガラス5の端部の両側面がシールされて保持されている(例えば、特許文献1参照。)。
ガラスラン110の上辺部113においては、ドアガラス5の昇降により、ドアガラス5の先端がガラスラン110の本体内を出入りする。このため、図6で示すように、ドアガラス5の昇降により、ドアガラス5が車内側に寄ったときに、車外側シールリップ121が反転して、ガラスラン110の本体内から飛び出してしまう場合がある。この場合には、反転した車外側シールリップ121が戻るときに異音が発生したり、シール性が低下したりする場合がある。
特に、コーナー部112においては、ドアガラス5が下降するときに、ドアガラス5が最初に車外側シールリップ121を下方に引っ張る場合があり、コーナー部112で車外側シールリップ121が反転すると、上辺部113の車外側シールリップ121が次々に反転してしまうことになる。
このため、車外側シールリップ121の摺動抵抗を減少させるために、車外側シールリップ121の表面にはウレタン系樹脂等の低摩擦部材を塗布するものがある(例えば、特許文献1参照。)。この低摩擦部材の塗布は、押出成形においては、押出成形のラインにおいて、容易に塗布することができる。
しかしながら、コーナー部112において、ウレタン系樹脂等の低摩擦部材を塗布するには、型成形後に別途塗布作業が必要であり、手間がかかっている。
特開2004−331048号公報
そこで、本発明は、コーナー部の製造が容易で、コーナー部及び直線部においてドアガラスの昇降時にシールリップが反転することのないガラスランを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランであって、ガラスランは、押出成形により成形されドアフレームの上辺部と縦辺部に装着される直線部と、型成形により成形され直線部を接続し、ドアフレームのコーナー部に装着されるコーナー部を有する自動車用ガラスランにおいて、
直線部とコーナー部のガラスランの本体は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略コ字形をなし、車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ本体の断面略コ字状の本体の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの車外側面及び車内側面をシールし、
直線部とコーナー部のそれぞれの車外側側壁、車内側側壁、底壁、車外側シールリップ及び車内側シールリップとはそれぞれ対応する部分が接続部で連続し、
コーナー部は、型成形で形成するとともに、コーナー部の車内側側壁に、ガラスランの本体の内部側に突出する車内側突出部を形成し、車内側突出部が形成された外面は、車内側側壁がガラスラン本体の内部側に突出するよう車内側凹部を形成し、車内側凹部には車内側リブを形成たことを特徴とする自動車用ガラスランである。
請求項1の本発明では、直線部とコーナー部のガラスランの本体は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略コ字形をなし、車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ断面略コ字状の本体の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアガラスの端部の車外側面及び車内側面をシールしている。
このため、ドア閉時に、ドアフレームの上辺部、縦辺部及びコーナー部において車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる本体の断面略コ字状のガラスランの内側に、ドアガラスの先端を収納することができ、ドアガラスを確実に保持することができる。また、直線部である上辺部、縦辺部及びコーナー部において、車外側シールリップと車内側シールリップにより、ドアガラスの昇降に応じて、両方のシールリップがドアガラスに当接し、車外側シールリップと車内側シールリップによりドアフレームとドアガラスとの間のシールをすることができる。
ガラスランの直線部とコーナー部のそれぞれの車外側側壁と、車内側側壁と、底壁と、車外側シールリップと、車内側シールリップとはそれぞれ対応する部分が接続部で連続している。このため、ガラスランの縦辺部と上辺部は、コーナー部のそれぞれの部分と連結して、コーナー部の接続部分のシール性と遮音性を確保することができるとともに、上辺部からコーナー部を経由して縦辺部まで連続して、シール性と遮音性を確保することができる。
コーナー部は、型成形で形成するとともに、コーナー部の車内側側壁に、ガラスランの本体の内部側に突出する突出部を形成した。このため、ドアガラスが上昇して、ドアガラスの先端がコーナー部のガラスランの本体内に進入するときに、ドアガラスの先端が車内側に寄って、車外側シールリップとの当接量が少なく、車外側シールリップを巻き込んで反転し易くなっていても、突出部がドアガラスの先端を車外側に寄せることができ、ドアガラスの先端が車外側シールリップに十分に当接して、車外側シールリップの反転を防止できる。
車内側突出部が形成された外面は、車内側側壁がガラスラン本体の内部側に突出するよう車内側凹部を形成したため、車内側凹部の分だけガラスランの重量を軽減することができ車輌の軽量化に貢献することができるとともに、車内側突出部の弾性を向上させて、ドアガラスの摺動抵抗を減少させることができる。
車内側凹部には車内側リブを形成したため、車内側突出部が所定の剛性を有して、ドアガラスの先端を車外側に確実に寄せることができる。
請求項2の本発明は、車内側突出部は、車内側シールリップがドアガラスに押されて撓んだときに、車内側シールリップの先端が当接する位置に形成された自動車用ガラスランである。
請求項2の本発明では、車内側突出部は、車内側シールリップがドアガラスに押されて撓んだときに、車内側シールリップの先端が当接する位置に形成された。このため、ドアガラスが上昇して、ドアガラスの先端がコーナー部のガラスラン本体内に進入するときに、車内側シールリップを撓ませて進入しても、車内側シールリップの先端は、車内側突出部で保持されてドアガラスの先端を車外側に寄せることができ、ドアガラスの先端が車外側シールリップに十分に当接して、車外側シールリップの反転を防止できる。
請求項3の本発明は、車内側側壁と車外側側壁の外面に、それぞれドアフレームに形成されたチャンネルに係止される車内側保持リップと車外側保持リップを形成した自動車用ガラスランである。
請求項3の本発明では、車内側側壁と車外側側壁の外面に、それぞれドアフレームに形成されたチャンネルに係止される車内側保持リップと車外側保持リップを形成したため、ガラスランをチャンネル内に保持して、ドアガラスの昇降時にもガラスランが移動することを防止できる。
請求項4の本発明は、車外側シールリップ、車内側シールリップと底壁のドアガラスと当接する面に低摺動部材が設けられた自動車用ガラスランである。
請求項4の本発明では、車外側シールリップ、車内側シールリップと底壁のドアガラスと当接する面に低摺動部材が設けられたため、ドアガラスがガラスランの本体内に進入し、摺動しても、ガラスランとの摺動抵抗を減少させることができ、ドアガラスのスムースな昇降を維持することができる。また、ドアガラスの昇降による車外側シールリップの反転を防止できる。
請求項5の本発明は、ガラスランの直線部及びコーナー部は、EPDMゴムまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材で形成された自動車用ガラスランである。
請求項5の本発明では、ガラスランの直線部及びコーナー部は、EPDMゴムまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成されているため、同種の材料であり、型成形時にガラスランの直線部とコーナー部の接着性がよい。また、いずれもオレフィン系の材料であり、耐候性がよく、同時に粉砕処理ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。コーナー部をオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成する場合は、加硫が不要であり、成形が容易である。
本発明は、コーナー部は、コーナー部の車内側側壁に、ガラスラン本体の内部側に突出する車内側突出部を形成したため、ドアガラスが上昇して、ドアガラスの先端がコーナー部のガラスラン本体内に進入するときに、ドアガラスの先端が車内側に寄って、車外側シールリップを巻き込んで反転し易くなっていても、車内側突出部がドアガラスの先端を車外側に寄せることができ、ドアガラスの先端が車外側シールリップに十分に当接して、車外側シールリップの反転を防止できる。
車内側突出部が形成された外面は、車内側側壁がガラスラン本体の内部側に突出するよう車内側凹部を形成したため、車内側凹部の分だけガラスランの重量を軽減することができ車輌の軽量化に貢献することができるとともに、車内側突出部の弾性を向上させて、ドアガラスの摺動抵抗を減少させることができる。
車内側凹部には車内側リブを形成したため、車内側突出部が所定の剛性を有して、ドアガラスの先端を車外側に確実に寄せることができる。
本発明の実施の形態を、図1〜図4に基づき説明する。
図4は、自動車のフロントのドア1の正面図であり、図3は、ドア1のドアフレーム2に取付けるフロントドアのガラスラン10の正面図である。図4に示すように、ドア1の上部にはドアフレーム2が設けられ、ドアガラス5が昇降自在に取付けられる。すなわち、ドアフレーム2の内周には、ガラスラン10が取付けられ、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2との間をシールしている。
ガラスラン10は、図3に示すように、全体として押出成形で形成された直線部11と、ドアフレーム2のコーナー部2bに取付けられ、上記の直線部11を接続し、型成形で形成されるコーナー部12からなる。
直線部11は、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる上辺部13と、ドアフレーム2のリヤ側縦辺部に取付けられる縦辺部14と、ドアフレーム2のフロント側縦辺部をなすディビジョンサッシュに取付けられる縦辺部14とからなる。
これらの押出成形部分をドアフレーム2に対応した形状となるように、フロント側とリヤ側のそれぞれのコーナー部分において、型成形により成形して上辺部13と縦辺部14を接続してコーナー部12が形成されている。なお、ガラスラン10のコーナー部12は、ドアフレーム2のコーナー部2bの部分に装着される。
以下に、フロント側のドア1のリヤ側縦辺部と上辺部とでなすリヤ側のコーナー部2bに装着されるガラスラン10の上辺部13、縦辺部14とコーナー部12を例に取り説明する。
図1は、ガラスラン10のリヤ側のコーナー部12の図2と図4のA−A線に沿った断面図であり、図2は、ガラスラン10のコーナー部12の車内側からみた正面図である。
まず、直線部11である上辺部13と縦辺部14について簡単に説明し、その後、コーナー部12について説明する。
ガラスラン10の縦辺部14は、図2の下部の断面図に示すように、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40からなる断面略コ字状をなしている。車外側側壁20の先端付近から車外側シールリップ21が本体の断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。また、車内側側壁30にもその先端付近から車内側シールリップ31が断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。車内側側壁30は、車外側側壁20よりも肉厚で大きく形成されている。
ガラスラン10の本体の縦辺部14には、車内側側壁30の内面の車内側シールリップ31の裏面側には、車内側補助シールリップ38が形成されている。車内側補助シールリップ38は、ドアガラス5がガラスラン10の本体内部に侵入したときに、車内側シールリップ31の内面に当接して、車内側シールリップ31が車内側側壁30の内面に密着することを防止している。
また、車内側シールリップ31と車内側補助シールリップ38とが密着しないように車内側補助シールリップ38の先端部は、低摺動部材で形成するか、塗布することが好ましい。
車外側側壁20においては、車外側補助シールリップ22が車外側シールリップ21の付根部から車内側かつ底壁40から遠ざかる方向に斜め上方に延設されている。このため、ドアガラス5がガラスラン10内に進入したときに、ドアガラス5の車外側面は、車外側補助シールリップ22と車外側シールリップ21により2重にシールすることができる。
図1に示すように、車外側カバーリップ23が車外側側壁20の先端から車外方向に延設されている。車外側カバーリップ23は、ドアアウターパネル2cに取付けられたL字フレーム3aの先端をカバーしている。
L字フレーム3aとドアフレーム2のドアアウターパネル2cの先端により断面略コ字状のチャンネルを形成し、その内にガラスラン10の本体の車外側側壁20、車内側側壁30と底壁40を保持している。
なお、チャンネル3は、ドアフレーム2を折り曲げて形成される場合や、別途形成されたチャンネル3をドアフレーム2に取付ける場合がある。
ガラスラン10の上辺部13も、図2の右側の断面図に示すように、縦辺部14と同様に、車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40からなる断面略コ字状をなし、車外側側壁20と車内側側壁30の先端付近からそれぞれ車外側シールリップ21と車内側シールリップ31が本体の断面略コ字状の内側に向けて延出するように設けられている。しかし、車外側補助シールリップ22は設けられていない。
ドアフレーム2のコーナー部に取付けられるガラスラン10のコーナー部12においては、ガラスラン10の直線部11とコーナー部12のそれぞれの車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40と、車外側シールリップ21と、車内側シールリップ31とはそれぞれ対応する部分がコーナー部12との接続部で連続している。このため、ガラスラン10の縦辺部14と上辺部13は、コーナー部12のそれぞれの部分と連結して、コーナー部12の接続部分のシール性と遮音性を確保することができる。さらに、上辺部13からコーナー部12を経由して縦辺部14まで連続して、シール性と遮音性を確保することができる。
コーナー部12の縦辺部14に近い部分の断面形状は、図1に示すように、本体が車外側側壁20と、車内側側壁30と、底壁40とから断面略コ字状に形成されている。車内側側壁30が車外側側壁20よりも大きく、厚肉に形成され、断面略コ字形は、車内側が大きな非対称形に形成されている。
上述のように、車内側側壁30は、車外側側壁20よりも肉厚で大きく形成されている。このため、ガラスラン10をドアフレーム2に保持することができるとともに、L字フレーム3aと併せてガラスラン10を強固に保持できる。
車内側側壁30の先端から、車内側カバーリップ32が斜め上方に延設されている。この車内側カバーリップ32は、ドアフレーム2のドアアウターパネル2cの車内側の屈曲部と、ドアフレーム2の車内側に取付けられたガーニッシュ51の先端を覆うように形成されている。これによって、ドアアウターパネル2cとガラスラン10との間の見栄えをよくすることができる。
車内側側壁30の先端からガラスラン10の本体の内部方向に斜めに車内側シールリップ31が延設されている。車内側シールリップ31は、車外側シールリップ21よりも長く、厚肉に形成されているため、ドアガラス5がガラスラン10内に侵入したときに、ドアガラス5を車外側にスライドさせて位置させることができ、ドアフレーム2とドアガラス5の段差を少なくすることができる。このため、空気抵抗や風切音が減少し、デザイン的にも好ましい。
車内側側壁30の内面から縦辺部14では車内側補助シールリップ38が形成されていた場所に、車内側シールリップ31の内面方向に、即ち、ガラスラン10の本体の内部側に突出する車内側突出部35が形成されている。車内側突出部35は、車内側シールリップ31がドアガラス5に押されて撓んだときに、車内側シールリップ31の先端が当接する位置に形成することが好ましい。
この場合は、ドアガラス5が上昇して、ドアガラス5の先端がコーナー部12のガラスラン10の本体内に進入するときに、ドアガラス5が車内側に寄り、車内側シールリップ31を撓ませて進入しても、車内側シールリップ31の先端は、車内側突出部35と当接して、車内側突出部35で保持されて、ドアガラス5の先端を車外側に寄せることができる。
縦辺部14の車内側補助シールリップ38は、リップ形状であるため、ドアガラス5を寄せる力は十分ではないが、コーナー部12の車内側突出部35は断面が中空形状であるため、ドアガラス5を寄せる力は十分である。また、車内側突出部35は、コーナー部12に形成されているため、ドアガラス5の上昇する最後の部分で当接するため、ドアガラス5の昇降途中の摺動抵抗を増大させることがない。
車内側突出部35により、ドアガラス5が上昇して、ドアガラス5の先端がコーナー部12のガラスラン10の本体内に進入するときに、ドアガラス5の先端が車外側に寄って、車外側シールリップ21との当接量を多くすることができる。そのため、車外側シールリップ21が確実にドアガラス5に当接して、車外側シールリップ21の先端のみがドアガラス5に当接することがなく、ドアガラス5の昇降による車外側シールリップ21の反転を防止できる。コーナー部12で車外側シールリップ21の反転を防止できるため、連続して成形された上辺部13の車外側シールリップ21の反転も防止できる。
車内側側壁30の車内側突出部35が形成された外面は、車内側側壁30が凹んでガラスラン10の本体の内部側に突出するよう車内側凹部37が形成されている。このため、車内側凹部37に材料が詰まっている場合と比べて、ガラスラン10の重量を軽減することができ車輌の軽量化に貢献することができる。さらに、車内側突出部35が撓みやすくなり、弾性を向上させて、ドアガラス5がガラスラン10内を昇降するときに、車内側シールリップ31が撓んで、余分な摺動抵抗を増加させることがない。
図2に示すように、車内側凹部37には複数の車内側リブ36が形成されている。このため、車内側突出部35が所定の剛性を有して、潰れることがなく、ドアガラス5がガラスラン10の本体内に進入したときに、車内側シールリップ31を保持して、ドアガラス5の先端を車外側に確実に寄せることができる。
車内側側壁30の外面には、先端側に第1車内側保持リップ33が形成され、底壁40との連続部分の付近に第2車内側保持リップ34が形成されている。ドアフレーム2のドアアウターパネル2cには、凹部が2箇所屈曲して形成され、この凹部にそれぞれ第1車内側保持リップ33と第2車内側保持リップ34が係止される。このため、L字フレーム3aと、凹部によりガラスラン10をドアフレーム2に保持することができる。
車内側側壁30の先端から上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設された車内側シールリップ31と連続して、車内側カバーリップ32は上記本体の断面略コ字形の外側に向けて斜めに延設されている。この車内側カバーリップ32は、ドアフレーム2の車内側の側部と車内側に取付けられたガーニッシュ51を覆うように形成されて、直線部11と同様に、ドアフレーム2のコーナー部2bとガラスラン10のコーナー部12のギャップの部分を覆っている。
コーナー部12のガラスラン10の車外側側壁20は、断面略板状に形成される。
車外側側壁20の先端付近から車外側シールリップ21が、上記本体の断面略コ字状の内側に向けて延設されている。
また、車外側補助シールリップ22が車外側シールリップ21の付根部から車内側かつ底壁40から遠ざかる方向に延設されている。
ドアガラス5が上昇して、ドアガラス5の上端がガラスラン10の本体の上辺部の内部に侵入したときに、ドアガラス5の上端の車内側と車外側の両面に、この車外側シールリップ21及び車外側補助シールリップ22と、後述する車内側シールリップ31が弾力的に当接して、ドアガラス5の先端とドアフレーム2の間をシールする。
車外側側壁20の先端付近から車外側補助シールリップ22が車外側シールリップ21の付根部から車内側かつ底壁40から遠ざかる方向に延設されている。また、車外側カバーリップ23が車外側側壁20の先端で車外方向に延設されている。車外側シールリップ21と車外側補助シールリップ22によりドアガラス5の車外側面を2重にシールすることができ、コーナー部12におけるシール性を向上させている。
ガラスラン10のコーナー部12の上辺部13側においては、縦辺部14側と略同様であるが、車外側側壁20において車外側補助シールリップ22がなく、車内側側壁30において車内側突出部35がなく、車内側側壁30は略板状に形成されている。
また、車外側カバーリップ23が車外側側壁20の先端から車外方向に延設されている。車外側カバーリップ23は、ドアアウターパネル2cに取付けられたL字フレーム3aの先端をカバーしている。L字フレーム3aとドアフレーム2のドアアウターパネル2cの先端により断面略コ字状のチャンネル3を形成し、その内にガラスラン10を保持している。
車外側側壁20の外側面には、一方の先端部の側面がドアフレーム2に固着されたL字フレーム3aの他方の先端部が内側にヘヤピン状に折れ曲った側面が当接する車外側保持リップ24が車外側側壁20の外側面の底壁40側に形成されている。
本発明の実施の形態では、ドアフレーム2は、縦辺部において従来のようなガラスラン10を保持する断面略コ字形のチャンネルを有しなく、上記したようにガラスラン10はドアフレーム2のドアアウターパネル2cの先端とドアフレーム2に固着されたL字フレーム3aにより形成された断面略コ字形の部分に保持される。
車外側シールリップ21と車内側シールリップ31の表面には低摺動部材が塗布又は貼付されている。このため、ドアガラス5が昇降して、縦辺部のガラスラン10を摺動するときにドアガラス5と、ガラスラン10との摺動抵抗を減少させることができ、異音の発生を防止し、スムースな昇降を確保することができる。さらに、ドアガラス5が昇降時にドアガラス5の湾曲や、走行時の負圧により車外側に移動したり、撓んで、強く車外側シールリップ21に押付けられたりしても、ドアガラス5の摺動抵抗を増加させることなく、スムースな昇降を確保することができる。
車外側補助シールリップ22と、車内側シールリップ31のドアガラス5が当接する表面には、低摺動部材が設けられている。これらの低摺動部材は、熱可塑性エラストマーのオレフィン部分の比率が多い摺動抵抗の少ない材料を、車外側補助シールリップ22、車外側シールリップ21と車内側シールリップ31の表面に0.1mm程度の厚さで同時押出して形成する場合や、ウレタン樹脂等の低摺動部材を塗布して形成されている。このため、ドアガラス5がガラスラン10内を摺動するときに、その摺動抵抗を減少させることができ、異音の発生防止と、ガラスラン10のずれを防止することができる。
ドアフレーム2の車外側には、ガーニッシュ50が取付けられている。このガーニッシュ50は、上記のL字フレーム3aとドアインナーパネル2dを覆うのみならず、ガラスラン10の車外側側壁20の先端と車外側カバーリップ23を覆っている。
上記のように、車外側補助シールリップ22を形成したため、ドアガラス5の車外側面を2重にシールすることができ、シール性を向上させることができるともに、ドアガラス5あるいは車外側に取付けられたガーニッシュ50とガラスラン10との間の隙間をカバーすることができ、見栄えを向上させることができるとともに、風切音を抑制することができる。
さらに、車外側側壁20の内面と車外側シールリップ21の裏面に突条を形成したり、上記の低摺動部材を押出成形したり、塗布または貼付したりしてもよい。この場合、ドアガラス5に押されて、車外側シールリップ21が車外側側壁20と密着しても、車外側シールリップ21と車外側側壁20との貼着を防止できる。
底壁40は、略板状に形成され、車内側側壁30および車外側側壁20との連続部分では屈曲が容易にできるように溝部42が形成されている。
底壁40のガラスラン10の本体の断面略コ字形の内面には、車外側シールリップ21と車内側シールリップ31と同様に低摺動部材を押出成形したり、ウレタン樹脂等の低摺動部材が塗布されたりしている。このため、ドアガラス5との摺動抵抗を減少させることができる。
底壁40の外面には、図1と図2に示すように、底壁40の外面の車外側側端には底壁シールリップ41が形成され、L字フレーム3aの底面に当接して、ドアフレーム2とガラスラン10の間をシールしている。底壁シールリップ41は、直線部11の底壁シールリップ41と連続して形成されている。このため、底壁40とドアフレーム2との間から雨水や騒音が浸入することを防止できるとともに、直線部11とコーナー部12との間を切れ目なくシールすることができ、コーナー部12において雨水等の浸入を確実に防止することができる。
ガラスラン10の直線部11の成形においては、成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマーが使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、ポリオレフィン系エラストマー等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマーの場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
次に、ガラスラン10のコーナー部12の型成形部分の成形は、上記により製造された押出成形部材を所定寸法に長手方向とは略直角に切断して、その切断した押出部分の端部を、型成形部分を成形する金型に挟持して、その金型のキャビティーに型成形部分を形成するソリッド材を注入する。型成形部分の断面形状は押出成形部分の断面形状と略同じである。成形材料は、押出成形部分に使用した材料と同じ種類のものを使用することが好ましい。熱可塑性エラストマーの場合は、金型に注入されたときに注入材料は溶融されているため、その熱と圧力とで押出成形部分と型成形部分は一体的に融着される。
ガラスラン10の直線部11がEPDMゴムで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部12は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することが好ましい。ガラスラン10の直線部11がオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成される場合は、ガラスラン10のコーナー部12は、オレフィン系熱可塑性エラストマーで形成する。この場合は、同種の材料であり、ガラスラン10の直線部11とコーナー部12の接着性がよい。また、いずれもオレフィン系の材料であり、耐候性がよく、同時に粉砕処理ができ、リサイクル容易な製品を得ることができる。オレフィン系熱可塑性エラストマーの場合は、加硫が不要のため、製造が容易である。
合成ゴムの場合は、金型に注入した後に金型を加熱して加硫する。このとき、押出成形部分と型成形部分は同じ材料あるいは同種類の材料を使用しているため、加硫接着をすることができ、一体的に固着することができる。
本発明の実施の形態であるガラスランをコーナー部に装着した状態の断面図であり、図4におけるA−Aに沿った断面図である。 本発明の実施の形態であるガラスランのコーナー部の側面図である。 本発明の実施の形態であるガラスランの正面図である。 自動車ドアの正面図である。 従来のガラスランの縦辺部をドアフレームに装着した状態の断面図である。 従来のガラスランの上辺部をドアフレームに装着した状態の断面図である。
符号の説明
2 ドアフレーム
10 ガラスラン
11 直線部
12 コーナー部
20 車外側側壁
21 車外側シールリップ
30 車内側側壁
31 車内側シールリップ
35 車内側突出部
36 車内側リブ
37 車内側凹部
40 底壁

Claims (5)

  1. 自動車ドアのドアフレームの内周に取付け、ドアガラスの昇降を案内する自動車用ガラスランであって、上記ガラスランは、押出成形により成形され上記ドアフレームの上辺部と縦辺部に装着される直線部と、型成形により成形され該直線部を接続し、上記ドアフレームのコーナー部に装着されるコーナー部を有する自動車用ガラスランにおいて、
    上記直線部とコーナー部の上記ガラスランの本体は、車外側側壁と、車内側側壁と、底壁とからなる断面略コ字形をなし、上記車外側側壁と車内側側壁には、それぞれ上記本体の断面略コ字状の本体の内側に向かって延出する車外側シールリップと車内側シールリップを設け、該車外側シールリップと車内側シールリップにより上記ドアガラスの車外側面及び車内側面をシールし、
    上記直線部とコーナー部のそれぞれの上記車外側側壁、車内側側壁、底壁、車外側シールリップ及び車内側シールリップとはそれぞれ対応する部分が接続部で連続し、
    上記コーナー部は、型成形で形成するとともに、上記コーナー部の車内側側壁に、上記ガラスランの本体の内部側に突出する車内側突出部を形成し、該車内側突出部が形成された外面は、上記車内側側壁が上記ガラスラン本体の内部側に突出するよう車内側凹部を形成し、該車内側凹部には車内側リブを形成したことを特徴とする自動車用ガラスラン。
  2. 上記車内側突出部は、上記車内側シールリップが上記ドアガラスに押されて撓んだときに、上記車内側シールリップの先端が当接する位置に形成された請求項1に記載の自動車用ガラスラン。
  3. 上記車内側側壁と車外側側壁の外面に、それぞれ上記ドアフレームに形成されたチャンネルに係止される車内側保持リップと車外側保持リップを形成した請求項1又は請求項2に記載の自動車用ガラスラン。
  4. 上記車外側シールリップ、車内側シールリップ及び底壁の上記ドアガラスと当接する面に低摺動部材が設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
  5. 上記ガラスランの直線部及びコーナー部は、EPDMゴムまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーのソリッド材で形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ガラスラン。
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