JP4965217B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、電子写真方を用いた画像形成装置に関し、より詳細には、像坦持体に近接放電によって帯電する帯電部材を有する画像形成装置に関する。
電子写真プロセスを用いる画像形成装置は、像担持体として感光体を備え、感光体の表面に放電によって電荷を与え帯電させ、帯電した感光体表面を露光して静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを供給して可視像化し、形成された感光体表面の可視像を転写紙表面に転写した後、定着して排出する。可視像を転写した後の感光体表面には未転写のトナー等が残留するため、これらが次の画像形成に悪影響を与えないように、感光体表面はクリーニング装置によりクリーニングされて次の画像形成プロセスに備えられる。クリーニング装置としては、ゴム等の弾性体からなるクリーニングブレードや合成樹脂の繊維をブラシ状に形成したクリーニングブラシを感光体表面に摺擦させて、未転写トナー等の付着物を除去するものが一般的に知られている。
ところが、上記のようなクリーニングブレードやクリーニングブラシは、感光体との摺擦を続けると、経時で摩耗し、クリーニング性能が低下するという問題がある。また、感光体表面も摩耗で膜厚が減少し寿命に達する。そこで、感光体とこれらのクリーニング部材との間に働く摩擦抵抗を低減してクリーニング部材、感光体を長寿命化するために、感光体表面に潤滑剤を塗布するなどの手法がとられている。また、感光体表面に潤滑剤を塗布すると、感光体表面の摩擦係数が低下するため、トナーに外添される流動化剤や帯電制御剤等がクリーニング部材との当接圧で感光体表面に膜状に固着する、いわゆるフィルミングの発生を防止することができる。感光体上に現像されたトナーも感光体表面との付着力が低減することで、転写性が向上する。
一方、感光体と帯電ローラとの間に微小な隙間を形成して近接放電する帯電方式は、小型で均一な帯電を得る事ができるため一般的に使用されているが、像担持体表面を近接放電に直接さらすため像担持体表面を化学的に劣化させて像担持体の磨耗を促進することが明らかになってきている。この近接放電による化学的劣化を防止するためには、像担持体表面にステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を均一に塗布することが有効であることがわかってきた(例えば、特許文献1 参照。)。像担持体に潤滑剤を塗布するには特許文献1に記載されているように、潤滑剤を当接したファーブラシで像担持体に塗布した後にクリーニングブレードを当接するのが一般的である。
感光体上に均一な保護膜を形成することで、近接帯電による化学的劣化を軽減し感光体の寿命を延ばすことができる。ただし、潤滑剤の塗布量が多すぎたり、不均一に塗布されていた場合は、感光体表面と近接または接触する帯電ローラの表面を汚染したり、高温高湿の環境下で潤滑剤が吸湿することにより、感光体表面に形成する静電潜像が流れ、画像ボケを発生させてしまう。したがって、感光体表面に適切な量の潤滑剤を均一に塗布することが重要である。潤滑剤塗布装置においては、潤滑剤を塗布するブラシローラの繊維の密度を規定したり、固形潤滑剤をブラシローラ側に加圧する加圧部材を有し、その加圧力を規定したり、ブラシローラの感光体表面への食い込み量等を規定した提案がなされている(例えば、特許文献2 参照。)。
ところで、近年高画質化への要求が高まっており、特に高精細なカラー画像形成を実現させるため、トナーの小粒径化、球形化が進められている。小粒径化により、ドットの再現性が良好になり、球形化により現像性、転写性の向上を図ることができる。従来の混練粉砕法により、このような小粒径化、球形化したトナーを製造するのは非常に困難であることから、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等により製造された重合トナーが採用されつつある。
また、感光体としては、安価であることから有機感光体が用いられてきた。有機感光体を形成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等が実用化されている。ただ、これらの樹脂を表面層に用いた時に、繰り返し使用によって表面層が次第に摩耗していくため寿命は短い。そこで、感光体の高耐久化をはかるために、表面層に酸化チタン、アルミナなどのフィラーを含有させたものが検討されており(例えば、特許文献3 参照。)、さらなる高耐久化を図るために、表面層に連鎖重合性官能基を有する化合物を重合または架橋によって硬化させた樹脂を用いることが検討されている(例えば、特許文献4 参照。)。特に硬化性樹脂を用いた像担持体は、表面層を高硬度、高弾性でかつ均一に形成することにより磨耗に対する耐久性が優れているだけでなく、トナーやトナー添加剤などの異物が像担持体の表面に薄い膜状に付着して異常画像となるフィルミングと呼ばれる問題に対して大変余裕度が高く、信頼性が高い。
特開2004−341480号公報 特開平10−260614号公報 特開2002−341571号公報 特開2004−302450号公報
しかしながら、これらのトナーや感光体を用いた場合にいくつかの問題が生じている。
まず球形化。小粒径化されたトナーを用いた場合、画像形成後に行われる感光体上のクリーニングにいくつかの問題を生じている。小粒径化されたトナーのクリーニングが、一般的に用いられているブレードクリーニング方式では難しいということである。クリーニングブレードは感光体表面を摺擦しながらトナーを除去するが、感光体との摩擦抵抗によりクリーニングブレードのエッジの部分が変形するため、感光体とクリーニングブレードの間には微小な空間が生じる。この空間には小粒径のトナーであるほど侵入しやすい。そして、侵入したトナーが球形に近い形状であるほど転がり摩擦力が小さいため、感光体とクリーニングブレードとの空間で転がり始め、クリーニングブレードをすり抜け、クリーニング不良につながるというものである。このようなクリーニング不良を防ぐ対策として、感光体表面に均一に潤滑剤を塗布し、感光体表面の摩擦係数を低減することが一層重要になってきているが、潤滑剤の塗布量が多すぎると感光体表面と近接または接触する帯電ローラの表面を汚染してしまうため、適正な量の制御が難しい。
また、感光体の表面層に硬化性樹脂を用いた場合には、感光体の磨耗寿命は長くなるものの、ブレードとの滑り性が非常に悪いという問題がある。像坦持体表面の微小な凹凸がブレードとの滑り性に大きく寄与しており、表面凹凸が少なく平滑な硬化性樹脂に対してはブレードの滑り性が悪く、ブレードのエッジが像担持体の回転方向に引き込まれてしまう。潤滑剤を均一に塗布すると同時に感光体表面を適度に粗くしてブレードの滑り性を良くする必要がある。また感光体が硬いため感光体上の付着物をきちんと除去しないとフィルミングなどの不具合に発展する可能性もある。これらの目的のためにはブラシが細い繊維では十分に機能しない。
感光体上のトナーおよび付着物を除去する目的と、潤滑剤を適正に塗布する目的では、ブラシに求められる構成が異なるのである。
本発明は、上記問題点に鑑みて、感光体上への潤滑剤の適正な塗布と感光体表面のクリーニングとの両方が可能なブラシを備えたプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを課題とする。感光体表面のクリーニング性を向上させるとともに、適切な潤滑剤を均一に塗布することにより、帯電工程における電気的ストレスから感光体を保護して、感光体や帯電部材を長寿命化させて、高品質の画像を長期に亘って安定して出力する画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供する。
請求項1に記載の発明では、少なくとも、トナー像が担持搬送される像担持体と、該像担持体表面に近接または接触する位置に設けられ前記像担持体表面を近接放電によって帯電する帯電部材と、前記像坦持体上に当接するクリーニング部材と、前記像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備える画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は固形潤滑剤とブラシローラから構成され、該ブラシローラは毛足長さの異なる2種類の繊維から成り、前記ブラシローラの毛足の長い方の繊維は潤滑剤と像担持体の両方に接触するのに対して、毛足の短い方の繊維は潤滑剤と接触せず、像担持体のみに接触するように設定され、前記毛足の長い方の繊維の線径が前記短い方の繊維のそれよりも細いことを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、少なくとも、トナー像が担持搬送される像担持体と、該像担持体表面に近接または接触する位置に設けられ前記像担持体表面を近接放電によって帯電する帯電部材と、前記像坦持体上に当接するクリーニング部材と、前記像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備える画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は固形潤滑剤とブラシローラから構成され、該ブラシローラは毛足長さの異なる2種類の繊維から成り、前記ブラシローラの毛足の長い方の繊維は潤滑剤と像担持体の両方に接触するのに対して、毛足の短い方の繊維は潤滑剤と接触せず、像担持体のみに接触するように設定され、前記毛足の長い方の繊維の弾性係数が前記短い方の繊維のそれよりも小さいことを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記毛足の短い方の繊維は、ループ状に形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記毛足の長い方の繊維は、ローラ軸の長手方向に対して斜めに植毛されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記ブラシローラは繊維長さの異なる複数枚の短冊状シートを並べて螺旋状に芯金に巻いた構成であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記潤滑剤が金属石鹸であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記潤滑剤が疎水性有機化合物(A)、および両親媒性の有機化合物(B)を含むことを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は表層として架橋硬化型樹脂からなる保護層を有することを特徴とする。
本発明によれば、像担持体上のクリーニング能力を維持するために適切な量と状態で潤滑剤を塗布しつつ、感光体上の付着物を除去することができる。これにより、像担持体表面を長時間に亘って良好な状態に保つことができる。潤滑剤の凝集体が感光体上に残存する事がなくなるため、潤滑剤自体が帯電ローラを汚したり感光体上に膜を形成して異常画像となることがなく、高品質の画像を安定して提供することが可能となる。
図1は本発明を適用する画像形成装置の概略構成を示す図である。
同図において符号1は感光体、9は露光装置、51は一次転写ローラ、52、53、54はローラ、56は中間転写ベルト、57は中間転写ベルトクリーニング装置、61は二次転写ローラ、71は定着ベルト、72は加熱ローラ、73は定着ローラ、74は加圧ローラをそれぞれ示す。また、Y、M、C、Kは色を示す添字である。
画像形成装置は、その内部の略中央に中間転写ベルト56を備えている。中間転写ベルト56は、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトで、4つのローラ52、53、54に掛け回して支持され、図中矢印A方向に回転駆動される。中間転写ベルト56の上方にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つの作像ユニットが中間転写ベルト56のベルト面に沿って並んでいる。
図2は4つの作像ユニットのうちの1つを拡大して示す図である。
同図において符号2は帯電装置、3は潤滑剤塗布装置、4は現像装置、8はクリーニング装置をそれぞれ示す。
いずれの作像ユニットでも同様の構成であるので、この図においては、色の区別を示すY、M、C、Kの表示を省略する。各作像ユニットは感光体1を有し、各感光体1の周りには、感光体1表面に電荷を与える帯電装置2、感光体1表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置4、感光体1表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置3、トナー像転写後の感光体1表面のクリーニングをするクリーニング装置8がそれぞれ配置されている。
また、図1を参照すると、4つの作像ユニットの上方には、帯電した各感光体の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置9が備えられている。
中間転写ベルト56を挟んで、各感光体1と対向する位置には、感光体1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト56上に一次転写する一次転写ローラ51がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ51は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。
中間転写ベルト56のローラ52で支持された部分の外側には、二次転写ローラ61が圧接されている。二次転写ローラ61は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。二次転写ローラ61と中間転写ベルト56との接触部が二次転写部であり、中間転写ベルト56上のトナー像が転写紙に転写される。
中間転写ベルト56のローラ53で支持された部分の外側には、二次転写後の中間転写ベルト56の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置57が設けられている。
二次転写部の下流には、転写紙上のトナー像を転写紙に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、内部にハロゲンヒータを有する加熱ローラ72 および定着ローラ73に巻き掛けられた無端の定着ベルト71と、定着ベルト71を介して定着ローラ73に対向、圧接して配置される加圧ローラ74とから構成されている。
以下に、本画像形成装置の特徴をより詳細に説明する。
感光体1は、有機感光体であり、ポリカーボネート系の樹脂で表面保護層が形成されている。
帯電装置2は、帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ2aを備える。帯電ローラ2aは、感光体1に対して微小な間隙をもって配設される。この微小な間隙は、例えば、帯電ローラ2aの両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体1表面に当接させることで、設定することができる。また、帯電ローラ2aには、帯電ローラ2a表面に接触してクリーニングする帯電クリーニング部材2bが設けられている。
本発明において用いる帯電ローラ2aは、感光体に対して接触、または非接触近接に配置して近接放電を起こすことにより感光体表面を帯電させる方式のものを用いる。
上記で、接触とは感光体に帯電ローラが直接接触していることであり、非接触近接とは感光体と帯電ローラの間に200μm以下の空隙が存在していることを言う。非接触近接方式は帯電部材の表面が感光体表面に残留したトナー等によって汚染されにくいというメリットがある。
帯電ローラは、例えばSUM−Niメッキ(鋼の表面をニッケルメッキ仕上げ)で形成した例えば外形φ8mmの金属軸である芯金の外周に、例えばエピクロルヒドリンゴムからなり、体積固有抵抗値を1×10〜1×10Ω・cmとした弾性ローラ部を例えば肉厚1.5mmの層として形成したものである。さらに弾性ローラ部は、例えばゴム自体のテストピース硬度が60度のものを使用する。また、表面が硬質な帯電ローラ2aの具体例としては、例えば、抵抗調整層を高分子型イオン導電剤が分散する熱可塑性樹脂組成物(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンおよびその共重合体等)により形成し、抵抗調整層の表面を硬化剤により硬化皮膜処理されたものが挙げられる。
また硬化皮膜処理は、例えば、イソシアネート含有化合物を含む処理溶液に抵抗調整層を浸漬させることにより行われるが、抵抗調整層の表面に改めて硬化処理皮膜層を形成することにより行われてもよい。また、帯電ローラ部の両端部に、それぞれ例えばポリエステル、またはポリエチレンテレフタレートからなる片面が粘着面に形成された粘着シートを貼ることによって、感光体と帯電ローラの間に空隙を作ることができ、非接触近接方式を実現できる。そして、帯電ローラ芯金に直流電圧または交流電圧と直流電圧を重畳した電圧を印加することによって、近接放電を起こして感光体の表面を帯電できる。これにより、放電ワイヤを用いた、いわゆるコロトロンやスコロトロンと言われるコロナ放電器と比して、帯電時に発生するオゾン量を大幅に抑制することが可能となる。
現像装置4は、感光体1と対向する位置に、内部に磁界発生手段を備える現像スリーブ4aが配置されている。現像スリーブ4aの下方には、図示しないトナーボトルから投入されるトナーを現像剤と混合し、攪拌しながら現像スリーブ4aへ汲み上げるための2つのスクリュー4bが備えられている。現像スリーブ4aによって汲み上げられるトナーと磁性キャリアからなる現像剤は、ドクターブレード4cによって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像スリーブ4aに担持される。現像スリーブ4aは、感光体1との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体1の潜像面に供給する。
なお、図1においては、二成分現像方式の現像装置4の構成を示したが、これに限るものではなく、一成分現像方式の現像装置であっても適用可能である。
潤滑剤塗布装置3は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤3bと、固形潤滑剤3bに接触して潤滑剤を削り取り、感光体1に塗布するブラシローラ3aとを備える。固形潤滑剤3bは、直方体状に形成されており、加圧部材3cによってブラシローラ3a側に付勢されている。加圧部材3cは、板バネ、圧縮バネ等のバネがよく、特に図に示すように圧縮バネを好適に用いることができる。固形潤滑剤3bはブラシローラ3aによって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧部材3cで加圧されているために常時ブラシローラ3aに当接している。ブラシローラ3aは、回転しながら削り取った潤滑剤を感光体1表面に塗布する。
この潤滑剤塗布装置3の下流には、クリーニング装置8が設置されている。
クリーニング装置8は、クリーニングブレード8a、支持部材8b、トナー回収コイル8c、ブレード加圧スプリング8dを備える。クリーニングブレード8aは、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴムを板状に形成してなり、そのエッジが感光体1表面に当接するようにして設けられ、転写後に残留する感光体1上のトナーを除去する。クリーニングブレード8aは、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材8bに貼着されて支持され、感光体1表面に対し所定の角度で設置される。また、ブレード加圧スプリング8dによって所定の当接圧、食い込み量で感光体1表面に当接する。
クリーニングブレード8aは感光体1上のトナーを除去するとともに、潤滑剤塗布装置3で感光体上に塗布された潤滑剤を薄い膜状に延ばす塗布ブレードの役割も行う。
図3は潤滑剤塗布装置の他の実施形態を示す図である。
潤滑剤塗布装置3は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤3bと、固形潤滑剤3bに接触して潤滑剤を削り取り、感光体1に塗布するブラシローラ3aとを備える。固形潤滑剤3bは、直方体状に形成されており、加圧部材3cによってブラシローラ3a側に付勢されている。加圧部材3cは、板バネ、圧縮バネ等のバネがよく、特に図に示すように圧縮バネを好適に用いることができる。固形潤滑剤3bはブラシローラ3aによって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧部材3cで加圧されているために常時ブラシローラ3aに当接している。ブラシローラ3aは、回転しながら削り取った潤滑剤を感光体1表面に塗布する。 さらにブラシローラ3aの下流側に均しブレード3dと支持部材3eと加圧スプリング3fが設置されている。ブラシローラ3aで感光体上に塗布された粒状の潤滑剤は、均しブレード3dによって感光体上に均一な膜に形成される。
この潤滑剤塗布装置3の上流には、次に説明するクリーニング装置8が設置されている。
クリーニング装置で感光体1上の転写残トナーを除去した上で潤滑剤を塗布するため、トナー入力に左右されずに均一に感光体上に潤滑剤を塗布することができる。
クリーニング装置8は、クリーニングブレード8a、支持部材8b、トナー回収コイル8c、ブレード加圧スプリング8dを備える。クリーニングブレード8aは、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴムを板状に形成してなり、そのエッジが感光体1表面に当接するようにして設けられ、転写後に残留する感光体1上のトナーを除去する。クリーニングブレード8aは、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材8bに貼着されて支持され、感光体1表面に対し所定の角度で設置される。また、ブレード加圧スプリング8dによって所定の当接圧、食い込み量で感光体1表面に当接する。
潤滑剤塗布装置3についてより詳細に説明する。
固形潤滑剤3bは、脂肪酸金属塩(金属石鹸)、フッ素系樹脂等からなるものが使用できるが、特に脂肪酸金属塩が好ましい。脂肪酸金属塩としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の直鎖状炭化水素の脂肪酸金属塩が挙げられ、金属としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、セリウム、チタン、鉄などが挙げられる。これらの中で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉄などが好ましく、特に、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
また潤滑剤として以下のような構成のものも適している。
疎水性有機化合物(A)、および両親媒性の有機化合物(B)を必須の成分として含んでいるもの。
疎水性有機化合物(A)の例としては、前述のような、脂肪族飽和炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素、脂環式不飽和炭化水素や芳香族炭化水素に分類される炭化水素類の他に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリパーフルオロアルキルエーテル(PFA)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオリド(PVdF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂やフッ素系ワックス類、ポリメチルシリコーン、ポリメチルフェニルシリコーン等のシリコーン樹脂やシリコーン系ワックス類等が挙げられるが、これに限るものではない。
他方、両親媒性の有機化合物(B)としては、前述のように陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
陰イオン系界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキル塩、長鎖脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の、疎水性部位の末端に陰イオン(アニオン)を有し、これと、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、アルミニウム、亜鉛等の金属イオン、アンモニウムイオン等が結合した化合物が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤の例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の、疎水性部位の末端に陽イオン(カチオン)を有し、これと、塩素、フッ素、臭素等や、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン、水酸イオン等が結合した化合物が挙げられる。
両イオン系界面活性剤の例としては、ジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン、イミダゾリン誘導体、アルキルアミノ酸等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤の例としては、長鎖アルキルアルコール、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコキシド、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のアルコール化合物、エーテル化合物、アミド化合物等が挙げられる。また、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の長鎖アルキルカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ヘキシトール等の多価アルコールやこれらの部分無水物とのエステル化合物も好ましい形態として挙げられる。
エステル化合物のより具体的な例としては、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノパルチミン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、ジパルチミン酸グリセリル、トリパルチミン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、パルチミン酸ステアリン酸グリセリル、モノアラキジン酸グリセリル、ジアラキジン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ステアリン酸ベヘン酸グリセリル、セロチン酸ステアリン酸グリセリル、モノモンタン酸グリセリル、モノメリシン酸グリセリル等のアルキルカルボン酸グリセリルやこの置換物、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノパルチミン酸ソルビタン、ジパルチミン酸ソルビタン、トリパルチミン酸ソルビタン、ジミリスチン酸ソルビタン、トリミリスチン酸ソルビタン、パルチミン酸ステアリン酸ソルビタン、モノアラキジン酸ソルビタン、ジアラキジン酸ソルビタン、モノベヘン酸ソルビタン、ステアリン酸ベヘン酸ソルビタン、セロチン酸ステアリン酸ソルビタン、モノモンタン酸ソルビタン、モノメリシン酸ソルビタン等のアルキルカルボン酸ソルビタンやこの置換物等が挙げられるが、これに限るものではない。
また、これらの両親媒性有機化合物は複数種類を併用しても良い。
本発明の像担持体潤滑剤を、一定の形状、例えば角柱状や円柱状に成型するための方法としては、固体物質の成型方法として公知の方法を、用いることができる。
例としては、溶融成型方法、粉末成型法、熱プレス成型法、冷間等方圧プレス法(CIP)、熱間等方圧プレス法(HIP)などが挙げられるが、これに限られるものではない。
溶融成型方法を例に、具体的な像担持体潤滑剤の成型方法を説明する。
予め像担持体潤滑剤の溶融温度以上に加熱した、所定形状の型枠中に、加熱溶融したアルキルカルボン酸グリセリルの所定量を注ぎ込み、必要に応じて融点以上の温度で一定時間維持後、放冷もしくは徐冷により冷却し、成型体を得ることができる。また、成型体の内部歪みを除去するために、冷却の途中で、像担持体潤滑剤成分の相転移温度を下回る温度まで冷却が進んだ後に、再度、相転移温度以上の温度まで緩やかに再加熱しても良い。
室温近傍の温度まで冷却後、成型体を型枠から外し、像担持体潤滑剤の成型体を得る。
また、この後、更に切削加工などにより、像担持体潤滑剤の形状を整えても良い。
上述の型枠としては、熱伝導性のよさ、寸法精度の良さから鋼材、ステンレス、アルミニウムなどの金属製型枠が好ましい。また、型枠内壁面には、離型性を良くするために、フッ素樹脂、シリコーン樹脂などの離型剤をコーティングすることが好ましい。
上記のような脂肪酸金属塩を直方体状に成型した固形潤滑剤3bは、図示しない潤滑剤保持部材に固定されている。固形潤滑剤3bを収容するケースには、ブラシローラ3a側に付勢する複数の加圧部材3cが、長手方向に並んで設けられている。
固形潤滑剤3bのブラシローラ3aへの加圧力は、複数の加圧部材3cの加圧力の総圧で200〜1000mNの範囲になるようにする。総圧が200mN未満では、ブラシローラ3aで十分に固形潤滑剤3bの掻き取りが行われず、感光体1表面への潤滑剤塗布量が不足する。これにより、クリーニングブレード8aや感光体1表面の摩耗を促進し、転写残トナー等のクリーニング不良が発生しやすくなる。また、総圧が1000mNを超えると、感光体1表面への潤滑剤塗布量が過多となる。これは、固形潤滑剤3bの消耗が早まるばかりでなく、感光体1表面が、吸湿性の脂肪酸金属塩等からなる潤滑剤が過剰に塗布されることで湿度の影響を受けて、静電潜像が流れ、画像ボケを発生するという不具合の要因となる。したがって、固形潤滑剤3bは、ブラシローラ3aに対し総圧200〜1000mNで加圧されるのが好ましい。
ブラシローラはステンレス、鉄などからなる芯金に繊維からなるシートが接着されている。芯金の外径はφ6、ブラシローラの外径としてはφ14である。
ブラシ繊維の具体的な材料としては、一般的に公知の材料から1種ないし2種以上を選択して使用する事ができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);などの内、可撓性を持つ樹脂を使用することができる。
また、撓みの程度を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いても良い。
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けても良い。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、何ら限定されること無く使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル、ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
図4はブラシの構成を説明するための模式図である。同図(a)は毛足の長い繊維の比率を毛足の短い繊維よりも大きくした場合、同図(b)は両者の比率を等しくした場合をそれぞれ示す図である。
同図において符号3a2は毛足の長い繊維を有するシート、3a3は毛足の短い繊維を有するシートをそれぞれ示す。
ブラシローラは毛足長さの異なる2種類の繊維から構成されている。
ブラシローラの長い方の繊維は毛足長さが5mmで固形潤滑剤と像担持体の両方に接触するのに対して、ブラシローラの短い方の繊維は毛足長さが3mmである。短い方の繊維は固形潤滑剤とは接触せず像担持体のみに接触するよう、感光体に対するブラシの軸の位置、ブラシに対する固形潤滑剤の当接圧が調整されている。
長い方の繊維は0.5〜3デニール、ブラシ繊維の密度は10万〜60万本/inchであり、短い方の繊維はそれよりも太く、6〜20デニール、ブラシ繊維の密度が1万〜5万本/inchである。
ブラシローラは同図(a)、(b)に示すように、繊維長さの異なる二つのシート3a2、3a3を並べて螺旋状に芯金3a1に貼り付けることにより、毛足長さの異なるブラシローラを作製する。シートの幅の比率により、毛足の長い繊維3a2と短い繊維3a3の本数の比率を調整できる。
本発明者らが、潤滑剤の感光体上での存在状態を詳細に観察した結果、潤滑剤はブラシで掻き取られた直後は粉状に存在しており、これが各プロセス、特にブレード部を通過する際に膜状に引き延ばされ、潤滑性を発揮していることが判った。また、膜状に存在する潤滑剤は帯電部材には転移しないが、粉状の潤滑剤は、帯電部材に電界で転移し、汚れの原因となることが明らかとなった。ブラシ繊維が太い場合には潤滑剤の粒状の塊は大きくなり、ブラシ繊維が細い場合にはこの粒状の塊は小さく数も少なくなることがわかってきた。ブラシ繊維が太すぎると、ブラシで固形潤滑剤を掻き取った際に潤滑剤の粒状の塊が増え、感光体表面に粒状で付着する。粒状の潤滑剤の塊はブレードを擦り抜け、感光体表面に数ミクロンオーダーの粒状の潤滑剤が存在することになる。本発明では固形潤滑剤と接触するブラシ繊維の太さを0.5〜3デニールとすることで、潤滑剤塗布後の感光体表面で粒状となる潤滑剤を減らして、帯電ローラの汚れを抑えている。
一方の短い方の繊維は長い方の繊維に比べてブラシ繊維が太く、ブラシ繊維太さが6〜20デニール、ブラシ繊維密度が1万〜5万本/inchである。感光体上の残留トナーを散らすと同時に、感光体表面を適度に粗して研磨し潤滑剤が塗布しやすいようにしている。本実施例のように架橋硬化型樹脂を表面層としている感光体においては、硬度が高いため繊維が太くとも感光体の膜厚減少は少なく、逆に繊維が太い方が感光体表面を粗くすることで凹凸が形成されて潤滑剤の均一な膜が形成されやすい。同じ効果を得る方法として素材の弾性係数がより大きい繊維を用いる方法もある。この場合には、繊維の太さをそれほど太くしなくてもよくなる。繊維の太さと弾性係数を組み合わせれば、より適切な特性を得ることができる。
塗布ブラシローラ3aの下流に、クリーニング装置として、クリーニングブレード8a、支持部材8b、加圧スプリング8cが設置されている。クリーニングブレード8aで感光体上に残ったトナーを除去するとともに、塗布ブラシローラ3aで感光体上に塗布された潤滑剤を均一に伸ばして、薄い層を形成している。長さと太さの異なる二つの繊維からなるブラシを設置することで、感光体上のトナーの除去、感光体上の表面の研磨、潤滑剤の塗布を1本のブラシで行うことができる。
ブラシローラ3aの回転方向は、図2に示すように、感光体1移動方向に対し順方向であることが好ましい。ブラシローラ3aの回転方向を感光体1移動方向に対し逆方向にすると、ブラシローラ3aのブラシ繊維に付着した潤滑剤の粉体が、感光体1表面に当接した衝撃ではじき飛ばされてしまい、均一で効率的な塗布が行えない。したがって、ブラシローラ3aの回転方向は、感光体1移動方向と順方向であることがよい。
図5はブラシローラの他の実施形態を示すも式図である。同図(a)は植毛の角度を変えた例を示す図、同図(b)は植毛をループ状にした例を示す一部省略拡大図である。
同図(a)に示すように、毛足の長い、細い繊維3a2のみをブラシの軸長手方向に対して斜めに植毛されていても良い。毛倒れしていることで、固形潤滑剤の掻き取りがより柔らかくなり、感光体上に潤滑剤の粒状の塊の無い均一な塗布ができる。図4に示すように構成すると、1断面では長い毛足と短い毛足が狭い間隔を置いて交互に並ぶことになるが、回転した場合、潤滑剤や感光体には軸方向のすべての位置で長い毛足も短い毛足も共に接触するので、同図のように模式的に示した。
さらに別の実施例においては、同図(b)に示すように、毛足の短い繊維3a3のみをループ状に形成している。ループ形状を形成することにより剛性が高くなり、ブラシとして感光体を磨耗させる力が強く、感光体の表面を適度に磨耗して表面を粗く維持することが可能となる。なお、同図では見やすくするため、毛足の長い方のブラシを一部省略して示してある。
以上のような構成からなる潤滑剤塗布装置3を画像形成装置に備えることにより、感光体1表面に適切な量の潤滑剤が均一に塗布され、潤滑剤の均一な薄膜を形成することができる。これにより、クリーニングブレード8aおよび感光体1表面の摩耗を防ぐこととともに、潤滑剤による帯電ローラの汚れを低減して、長期に亘り安定した画像を得る事ができる。
上記の潤滑剤塗布装置3は、感光体1表面に潤滑剤を塗布するのみならず、例えば、図1の中間転写ベルト56表面に潤滑剤を塗布する装置としても使用することができる。この場合、中間転写ベルトクリーニング装置57に隣接して潤滑剤塗布装置3を設けるか、あるいは中間転写ベルトクリーニング装置57に含んで構成することができる。中間転写ベルトクリーニング装置57よりも中間転写ベルト56移動方向上流側に潤滑剤塗布装置3を設け、中間転写ベルト56表面に潤滑剤を塗布し、それを中間転写ベルトクリーニング装置57に備えられたクリーニングブレードにより引き延ばして、潤滑剤の薄層を形成する。これにより、二次転写ローラ61とのニップ部において二次転写されずに中間転写ベルト56表面に残存するトナー等の付着物を良好にクリーニングすることができる。
さらに、上記の潤滑剤塗布装置3を、感光体1と、帯電装置2、現像装置4およびクリーニング装置8から選択される任意の手段とを含んで一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在に形成したプロセスカートリッジとすることができる。プロセスカートリッジ内における潤滑剤塗布装置3の設置位置は、クリーニング装置8と一体とする場合は、既に説明したように、クリーニング装置8よりも感光体1移動方向上流側とする。本プロセスカートリッジによって、感光体1表面のクリーニング性能を長期に亘って維持し、画質の劣化を生じさせることのないプロセスカートリッジとすることができる。
ここで、本発明において用いられる感光体について詳細に説明する。
本発明の画像形成装置に用いる感光体は、導電性支持体の上に感光層が設けられている。感光層の構成は電荷発生材と電荷輸送材を混在させた単層型、あるいは電荷発生層の上に電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。また、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、感光層の上に保護層を設けることもできる。感光層と導電性支持体の間には下引き層が設けられていてもよい。また各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
感光体の導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm 以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。ドラム状の支持体としては、直径が20〜150mm、好ましくは、24〜100mm、さらに好ましくは28〜70mmのものを用いることができる。ドラム状の支持体の直径が20mm以下では、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に難しく、ドラム状の支持体の直径が150mm以上では画像形成装置が大きくなってしまい好ましくない。特に、画像形成装置がタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下、好ましくは60mm以下であることが好ましい。また、公知のエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
本発明の画像形成装置に用いる感光体の下引層としては樹脂、あるいは白色顔料と樹脂を主成分としたもの、および導電性基体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が例示できるが、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、中でも導電性基体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが最も好ましい。下引層に用いる樹脂としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂、これらの中の一種あるいは多種の混合物を例示することができる。
本発明の画像形成装置に用いる感光体の電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ系顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機系顔料および染料や、セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料を使用することができ、電荷発生物質は一種あるいは多種混合して使用することができる。下引層は、一層であっても、複数の層で構成しても良い。
本発明の画像形成装置に用いる感光体の電荷輸送物質としては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等の一種あるいは多種を混合して使用することができる。
上記電荷発生層、電荷輸送層の感光層を形成するのに使用する結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、および光導電性樹脂等を使用することができ、適当な結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ−ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の光導電性樹脂など一種の結着樹脂あるいは多種の結着樹脂の混合物を挙げることができるが、特にこれらのものに限定されるものではない。
酸化防止剤としては、例えば以下のものが使用される。
・モノフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
・ビスフェノール系化合物
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
・高分子フェノール系化合物
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
・パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなど。
・ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
・有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
・有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適切である。
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適切である。
表面層は前述のように、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため設けられる。表面層としては、感光層よりも機械的強度の高い高分子、高分子に無機フィラーを分散させたものが例示できる。表面層に用いる高分子は、熱可塑性高分子、熱硬化性高分子、何れの高分子であっても良いが、熱硬化性高分子は機械的強度が高く、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を抑える能力が極めて高いためたいへん好ましい。表面層は薄い膜厚であれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前述の電荷輸送物質を含有させたり、保護層に用いる高分子に電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。
感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により保護層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は磨耗していってしまうため、表面層を設ける場合には、表面層は十分な膜厚とすることが重要であり、0.01〜12μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜8μmとすることが好ましい。表面層の膜厚が0.1μm以下では、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の磨耗が進んでしまうため好ましくない。表面層の膜厚が12μm以上では、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうため好ましくない。
表面層に用いる高分子としては、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れた物が望ましく、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの高分子は熱可塑性高分子であっても良いが、高分子の機械的強度を高めるため、多官能のアクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を持つ架橋剤により架橋し、熱硬化性高分子とすることで、表面層の機械的強度は増大し、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を大幅に減少させることができる。
前述のように、表面層には電荷輸送能力を有していることが好ましく、表面層に電荷輸送能力を持たせるためには、表面層に用いる高分子と前述の電荷輸送物質を混合して用いる方法、電荷輸送能力を有する高分子を表面層に用いる方法が考えられ、後者の方法が、高感度で露光後電位上昇、残留電位上昇が少ない感光体を得ることができ好ましい。
電荷輸送層能力を有する高分子としては、高分子中に電荷輸送能力を有する基;化学式(1);を例示することができる。
同式においてArは置換もしくは未置換のアリーレン基を表わす。Ar、Arは置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なっていてもよい。
この電荷輸送能力を有する基は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の機械的強度の高い高分子の側鎖に付加することが好ましく、モノマーの製造が容易で、塗工性、硬化性にも優れるアクリル樹脂を用いることが好ましい。
Figure 0004965217
電荷輸送能力を有するアクリル樹脂は、化学式(1)の基を有する不飽和カルボン酸を重合させることにより機械的強度が高く、透明性にも優れ、電荷輸送能力も高い表面層を形成することができ、単官能の化学式(1)の基を有する不飽和カルボン酸に多官能の不飽和カルボン酸、好ましくは3官能以上の不飽和カルボン酸を混合することで、アクリル樹脂は架橋構造を形成し、熱硬化性高分子となり、表面層の機械的強度は極めて高いものとなる。多官能の不飽和カルボン酸に、化学式(1)の基を付加しても良いが、モノマーの製造コストが高くなってしまうため、多官能の不飽和カルボン酸には、化学式(1)の基を付加せず、通常光硬化性多官能モノマーを用いることが好ましい。
化学式(1)の基を有する単官能不飽和カルボン酸としては、化学式(2)、化学式(3)を例示することができる。
両式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、−COOR (R は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基)、ハロゲン化カルボニル基若しくはCONR (R およびR は水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい)を表わし、Ar、Ar は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。Ar 、Ar は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なっていてもよい。Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。Zは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基、アルキレンオキシカルボニル2価基を表わす。m、nは0〜3の整数を表わす。
Figure 0004965217
Figure 0004965217
多官能の不飽和カルボン酸の割合は表面層全体の、5〜75重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは、20〜60重量%である。多官能不飽和カルボン酸の割合が5重量%以下では、表面層の機械的強度が不十分であり、75%以上では、表面層に強い力が加わったときにクラックが発生しやすく、感度劣化も生じやすいため好ましくない。
表面層にアクリル樹脂を用いる場合には、上記不飽和カルボン酸を感光体に塗工後、電子線照射あるいは、紫外線等の活性光線を照射してラジカル重合を生じさせ、表面層を形成することができる。活性光線によるラジカル重合を行う場合には、不飽和カルボン酸に光重合開始剤を溶解したものを用いる。光重合開始剤は通常、光硬化性塗料に用いられる材料を用いることができる。
表面層中には表面層の機械的強度を高めるために金属、または金属酸化物の微粒子を分散させることができる。金属酸化物としては酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。その他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、およびこれらの樹脂に無機材料を分散したもの等を添加することができる。
本発明の画像形成装置において、現像装置4で使用するトナーは、体積平均粒径3〜6μmであり、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。
小粒径のトナーを用いることで、潜像に対して緻密にトナーを付着させることができる。しかしながら、上記の範囲よりも体積平均粒径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌において磁性キャリアの表面にトナーが融着し、磁性キャリアの帯電能力を低下させ、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。逆に、トナーの体積平均粒径が上記の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなる場合が多い。
粒径分布を狭くすることで、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。しかしながら、Dv/Dnが1.40を超えると、帯電量分布が広くなり、解像力も低下するため好ましくない。
なお、トナーの平均粒径、および粒度分布は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)を用いて測定することができる。具体的にはコールターカウンターTA−II型を用い個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)、およびパーソナルコンピュータ(PC9801:NEC社製)に接続し、測定した。
上記のようなトナーは、トナーに内添、あるいは外添されている離型性を向上させるためのワックスや、流動性を向上させるための無機微粒子等がトナー中に占める割合が、小粒径化されたことで従来のトナーに比べ高くなっている。そして、これらの添加剤が感光体1上に発生する付着物質の要因となっている。そこで、本発明の潤滑剤塗布装置3を搭載することにより、感光体1表面全域にわたって均一な潤滑剤の薄膜を形成させ、これらの付着物質の感光体1表面への付着力を低減させることができる。また、感光体1表面とクリーニング装置8のクリーニングブレード8aとの間に働く摩擦力を低減させてクリーニングを良好に行うことができる。
図6は形状係数を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
現像装置4で使用するトナーは、形状係数SF−1が100〜150の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜150の範囲にあることが好ましい。
ここで、形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長Lmaxの二乗を図形面積Aで除して、100π/4を乗じた値である。これは、面積Aを有する真円に対するLmaxを直径とする円の面積の比を表している。
SF−1={(Lmax)/A}×(100π/4) ・・・式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長Lperの二乗を図形面積Aで除して、100/4πを乗じた値である。これは、面積Aを有する真円の面積に対する図形周長Lperに等しい円周を有する円の面積の比を表している。
SF−2={(Lper)/A}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナー、あるいはトナーと感光体1との接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり、したがって流動性が高くなり、また、トナーと感光体1との吸着力も弱くなって、転写率は高くなる。一方、球形トナーはクリーニングブレード8aと感光体1との間隙に入り込みやすいため、トナーの形状係数SF−1またはSF−2はある程度大きい方がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると、画像上にトナーが散ってしまい画像品位が低下する。このために、SF−1とSF−2は150を越えない方が好ましい。
なお、形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
本発明の画像形成装置に好適に用いられるトナーは、例えば、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系溶媒中で架橋および/または伸長反応(架橋と伸張の少なくとも一方の反応)をさせて得られるトナーである。以下に、トナーの構成材料および製造方法の例を挙げて説明する。
・変性ポリエステル
本発明に係るトナーはバインダ樹脂として変性ポリエステル(i)を含む。変性ポリエステル(i)としては、ポリエステル樹脂中にエステル結合以外の結合基が存在したり、またポリエステル樹脂中に構成の異なる樹脂成分が共有結合、イオン結合などで結合した状態をさす。具体的には、ポリエステル末端に、カルボン酸基、水酸基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入し、さらに活性水素含有化合物と反応させ、ポリエステル末端を変性したものを指す。
変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応により得られるウレア変性ポリエステルなどが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合物で、かつ活性水素基を有するポリエステルを、さらに多価イソシアネート化合物(PIC)と反応させたものなどが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ウレア変性ポリエステルは、以下のようにして生成される。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
上記で用いられる変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。この時のピーク分子量は1000〜10000が好ましく、1000未満では伸長反応しにくくトナーの弾性が少なく、その結果耐ホットオフセット性が悪化する。また、10000を超えると定着性の低下や粒子化や粉砕において製造上の課題が高くなる。変性ポリエステル(i)の数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
変性ポリエステル(i)を得るためのポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋および/または伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
なお、生成するポリマーの分子量は、THFを溶媒としゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
・未変性ポリエステル
本トナーにおいては、前記変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、未変性ポリエステル(ii)をバインダ樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様な多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。したがって、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(ii)のピーク分子量は、通常1000〜10000、好ましくは2000〜8000、さらに好ましくは2000〜5000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(ii)の酸価は1〜5が好ましく、より好ましくは2〜4である。ワックスに高酸価ワックスを使用するため、バインダは低酸価バインダが帯電や高体積抵抗につながるので二成分系現像剤に用いるトナーにはマッチしやすい。
バインダ樹脂のガラス転移点(Tg)は通常35〜70℃、好ましくは55〜65℃である。35℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、本トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
なお、ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
・着色剤
着色剤としては、公知の染料および顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンおよびそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダ樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレンおよびその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
・荷電制御剤
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能 基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
荷電制御剤の使用量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダ樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電気的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
・離型剤
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダ樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類およびワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、およびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミドおよび、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダ樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
・外添剤
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子および疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られる。すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
・トナーの製造方法
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸および金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)およびその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸およびその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、および3μm、ポリスチレン微粒子0.5μmおよび2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋および/または伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、および無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
図7は本発明に用いるトナーの形状を模式的に示す図である。
本発明に用いるトナーの形状は略球形状であり、以下の形状規定によって表すことができる。
同図において、略球形状のトナーを長軸r1、短軸r2、厚さr3(但し、r1≧r2≧r3とする。)で規定するとき、本発明に用いるトナーは、長軸と短軸との比(r2/r1)(同図(b)参照)が0.5〜1.0で、厚さと短軸との比(r3/r2)(同図(c)参照)が0.7〜1.0の範囲にあることが好ましい。長軸と短軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにドット再現性および転写効率が劣り、高品位な画質が得られなくなる。また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近くなり、球形トナーのような高転写率は得られなくなる。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となり、トナーの流動性を向上させることができる。
なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
以上によって製造されたトナーは、磁性キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
また、2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、磁性キャリアとしては、鉄、マグネタイト、Mn、Zn、Cu等の2価の金属を含むフェライトであって、体積平均粒径20〜100μmが好ましい。平均粒径が20μm未満では、現像時に感光体1にキャリア付着が生じやすく、100μmを越えると、トナーとの混合性が低く、トナーの帯電量が不十分で連続使用時の帯電不良等を生じやすい。また、Znを含むCuフェライトが飽和磁化が高いことから好ましいが、画像形成装置のプロセスにあわせて適宜選択することができる。磁性キャリアを被覆する樹脂としては、特に限定されないが、例えばシリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、含フッ素樹脂、オレフィン樹脂等がある。その製造方法は、コーティング樹脂を溶媒中に溶解し、流動層中にスプレーしコア上にコーティングしても良く、また、樹脂粒子を静電気的に核粒子に付着させた後に熱溶融させて被覆するものであってもよい。被覆される樹脂の厚さは、0.05〜10μm、好ましくは0.3〜4μmがよい。以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、下記文中の量を表す「部」は重量部を意味する。
・感光体の作製
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、18μmの電荷輸送層を形成し、感光体を作製した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
・メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
・酸化チタン 40部
・メチルエチルケトン 50部
〔電荷発生層用塗工液〕
・下記構造式(1)のビスアゾ顔料 2.5部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
・シクロヘキサノン 200部
・メチルエチルケトン 80部
Figure 0004965217
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造式(2)の低分子電荷輸送物質(D−1) 7部
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 1部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
Figure 0004965217
・評価
評価装置は(株)リコー製MFP imagio Neo C600の黒ステーションを改造したものを用いた。プロセスカートリッジは図2に示した構成とし、帯電部材としては直径11mmの硬質樹脂ローラを用い、感光体とのギャップを50μmに調整した。帯電条件としては−600VのDC成分に、AC成分としてVpp=2kV、周波数=2.1kHzの正弦波を重畳した交番電界を印加した。また、潤滑剤3bとして直方体に成型したステアリン酸亜鉛をブラシローラ3aに押圧800mNで当接し、感光体上にブラシを介してステアリン酸亜鉛を供給する構成とした。ブラシローラの繊維は毛足の長い繊維の方が毛足長さ5mmで繊維太さが2デニール、繊維密度15万本/inch。短い繊維の方が毛足長さ3mmで繊維太さが15デニール、繊維密度2万本/inch。材質はポリエステルである。毛足長さの長い繊維と短い繊維の面積比率は1:1である。
毛足の長い繊維は潤滑剤と感光体の両方に接触しているが、毛足の短い繊維は感光体のみにしか接触していない。この改造評価機を用い、上記のように作製した感光体を搭載して100000枚のランニングを行った。ランニング途中に画像上黒スジが発生した場合は発生するまでの枚数をカウントし、100000枚まで黒スジが未発生だったものについては評価終了後の感光体摩耗量、および潤滑剤消費量を測定することとした。結果を表1に示す。
Figure 0004965217
実施例1と同様にして下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を塗布した。
この電荷輸送層上に、下記組成の表面層用塗工液をスプレー塗工し、メタルハライドランプ:160W、照射距離:120mm、照射強度:200mW/cm、照射時間:20秒の条件で光照射を行い、更に130℃で20分乾燥を加え4μmの保護層を設けて、感光体を作製し、実施例1と同じ構成のプロセスカートリッジに装着して同様の評価をした。
〔保護層用塗工液〕
・電荷輸送性構造を有さないラジカル重合性モノマー 10部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325
・電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
(例示化合物No.54)
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・テトラヒドロフラン 100部
実施例2の感光体を用いて、図3に示した構成にて同様の評価を行った。クリーニングブラシローラ8eは実施例1、2と同じ構成とした。
実施例2の感光体を用いて、図3に示した構成にて同様の評価を行った。ただし、クリーニングブラシローラの繊維はともに3デニール、繊維密度10万本/inchで、毛足の長い繊維の方が毛足長さ5mmの直毛で、短い繊維の方が毛足長さ3mmでループ形状となったブラシローラを使用した。材質はポリエステルである。毛足長さの長い繊維と短い繊維の面積比率は1:1である。
実施例2の感光体を用いて、図3の構成にて同様の評価を行った。ただし、クリーニングブラシローラの繊維は実施例1と同じで、毛足長さ5mmの繊維のみ図5aのように斜め方向に毛倒れしたブラシローラを使用した。
潤滑剤として以下に示す化合物を使用した以外は実施例2と同じ構成で同様の評価を行った。
疎水性有機化合物(A)としてノルマルパラフィン(重量平均分子量Mw640)が60%、トリステアリン酸ソルビタン(HLB=1.5)が40%からなる組成物を、120℃にて溶融して型に流し込み、直方体の潤滑剤を作製した。
HLB値は、式(3)のいわゆる川上式により算出した。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo) 式(3)
ここで、Mwは親水性部分の分子量、Moは親油基の分子量、logは常用対数を示す。
<比較例1>
実施例2において、ブラシローラ3aに毛足長さが3mmで繊維太さが全て15デニール、繊維密度2万本/inchのポリエステル製ブラシローラを使用した以外は同じ構成で同様の評価を行った。
<比較例2>
実施例2において、ブラシローラ3aに毛足長さが3mmで繊維太さが全て2デニール、繊維密度15万本/inchのポリエステル製ブラシローラを使用した以外は同じ構成で同様の評価を行った。
<比較例3>
実施例2において、ブラシローラ3aに毛足長さが2種類で、毛足長さ3mmで太さ2デニール、繊維密度15万本/inchの繊維と毛足長さ5mmで太さ15デニール、繊維密度2万本/inchのポリエステル繊維を1:1の面積比で貼り付けたブラシローラを使用した以外は同じ構成で同様の評価を行った。
実施例2〜6および比較例1〜3の結果を表2に示す。
Figure 0004965217
以上のように、実施例1〜6においては、毛足が長く細い繊維と、毛足が短く太い繊維を組み合わせることにより、感光体上に均一に潤滑剤を塗布することで、帯電部材の汚れがなく、感光体上をブラシで適度に研磨して良い状態を保っているため、長期に亘って帯電汚れによる黒スジやフィルミングによる画像ボケのない良好な画像を維持することができた。
これに対して比較例では帯電部材の汚れによる黒スジや、フィルミングによる画像ボケが早期に発生している。
実施例2では、感光体表面層中に架橋性樹脂を含有させたので、感光体磨耗に対してより一層優れた効果が得られている。
実施例4では、実施例1〜3と同様に異常画像の発生もなく耐久性を満足している。
実施例5では、感光体磨耗量および潤滑剤消費量が実施例1〜4と比べて少なくなっている。
実施例6では、実施例1〜5と同様に異常画像の発生もなく耐久性を満足している。
本発明を適用する画像形成装置の概略構成を示す図である。 4つの作像ユニットのうちの1つを拡大して示す図である。 潤滑剤塗布装置の他の実施形態を示す図である。 ブラシの構成を説明するための図である。 ブラシローラの他の実施形態を示す図である。 形状係数を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。 本発明に用いるトナーの形状を模式的に示す図である。
符号の説明
1 感光体(像担持体)
2 帯電装置
3 潤滑剤塗布装置
4 現像装置
7 定着装置
8 クリーニング装置
9 露光装置

Claims (8)

  1. 少なくとも、トナー像が担持搬送される像担持体と、該像担持体表面に近接または接触する位置に設けられ前記像担持体表面を近接放電によって帯電する帯電部材と、前記像坦持体上に当接するクリーニング部材と、前記像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備える画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は固形潤滑剤とブラシローラから構成され、該ブラシローラは毛足長さの異なる2種類の繊維から成り、前記ブラシローラの毛足の長い方の繊維は潤滑剤と像担持体の両方に接触するのに対して、毛足の短い方の繊維は潤滑剤と接触せず、像担持体のみに接触するように設定され、前記毛足の長い方の繊維の線径が前記短い方の繊維のそれよりも細いことを特徴とする画像形成装置。
  2. 少なくとも、トナー像が担持搬送される像担持体と、該像担持体表面に近接または接触する位置に設けられ前記像担持体表面を近接放電によって帯電する帯電部材と、前記像坦持体上に当接するクリーニング部材と、前記像担持体表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段とを備える画像形成装置において、前記潤滑剤塗布手段は固形潤滑剤とブラシローラから構成され、該ブラシローラは毛足長さの異なる2種類の繊維から成り、前記ブラシローラの毛足の長い方の繊維は潤滑剤と像担持体の両方に接触するのに対して、毛足の短い方の繊維は潤滑剤と接触せず、像担持体のみに接触するように設定され、前記毛足の長い方の繊維の弾性係数が前記短い方の繊維のそれよりも小さいことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記毛足の短い方の繊維は、ループ状に形成されていることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記毛足の長い方の繊維は、ローラ軸の長手方向に対して斜めに植毛されていることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記ブラシローラは繊維長さの異なる複数枚の短冊状シートを並べて螺旋状に芯金に巻いた構成であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記潤滑剤が金属石鹸であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記潤滑剤が疎水性有機化合物(A)、および両親媒性の有機化合物(B)を含むことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は表層として架橋硬化型樹脂からなる保護層を有することを特徴とする画像形成装置。
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