JP4962640B1 - 固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 固体酸化物形燃料電池の変形を防ぐ構成を提供する。
【解決手段】ガス透過可能な金属で形成された支持基板2と、支持基板2の一方面に配置された燃料極3と、支持基板2の他方面に配置された裏面層7と、燃料極3上に配置された電解質4と、電解質4上に配置された空気極6と、を備え、燃料極3及び裏面層7は、金属及びセラミックスを含有している固体酸化物形燃料電池1。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスと反応することにより発電する固体酸化物形燃料電池に関する。
燃料電池とは、外部からの燃料供給と燃焼生成物の排気とを連続的に行いながら、燃料が酸化する際に発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる電池である。燃料電池の種類は電解質により分類され、電解質にイオン伝導性を持つ固体酸化物を用いたものを固体酸化物形燃料電池と呼んでいる。この固体酸化物形燃料電池として、例えば、特許文献1に記載のものが従来から知られている。
この特許文献1に記載された固体酸化物形燃料電池は、金属基板と、当該金属基板上に配置された電池要素(燃料極、電解質及び空気極)とを備えており、このような構成によれば、基板が金属から形成されているので燃料電池の強度を向上させることができる。
また、特許文献1に記載の燃料電池を製造するときは、金属基板の上に電池要素の材料であるセラミックスを配置し、これを焼結することにより金属基板上に電池要素が配置された燃料電池が製造される。また、焼結後に酸化した金属基板を還元処理することもある。
特表2004−512651号公報
しかしながら、上記のような燃料電池では、金属基板上にセラミックスを配置したものを焼結する過程で、金属基板が熱膨張する一方、セラミックスが焼結により収縮し、両者の体積変化の相違により焼結後の燃料電池に反りが生じてしまうことがあり、反りが大きい場合には燃料電池が割れてしまうこともあった。また、酸化した金属基板を還元処理する過程で金属基板が収縮し、これにより燃料電池が変形してしまうこともあった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、変形を防いだ固体酸化物形燃料電池の提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための固体酸化物形燃料電池であり、ガス透過可能な金属で形成された支持基板と、前記支持基板の一方面に配置された燃料極と、前記支持基板の他方面に配置された裏面層と、前記燃料極上に配置された電解質と、前記電解質上に配置された空気極と、を備え、前記燃料極及び前記裏面層は、金属及びセラミックスを含有していることを特徴とする。
このような構成によれば、燃料極が支持基板の一方面に配置されているのに対し、他方面にも同様の裏面層を配置したので、焼結時における支持基板の表面側の体積変化と裏面側の体積変化とを均一にすることができる。これにより、支持基板の体積変化のバランスを保つことができ、固体酸化物形燃料電池の変形を防ぐことができる。
また、上記の固体酸化物形燃料電池において、前記裏面層の熱膨張率と、前記支持基板の熱膨張率との比率が20%以下であることが好ましい。
また、前記裏面層の熱膨張率と、前記燃料極の熱膨張率との比率が20%以下であることが好ましい。
また、前記支持基板の厚みは、前記裏面層の厚みより厚いことが好ましい。
また、前記燃料極及び前記裏面層は、同じセラミックスを含有していることが好ましい。
また、前記燃料極及び前記裏面層は、同じ材料から形成されていることが好ましい。
また、前記支持基板は、金属酸化物を含有していることが好ましい。
本発明によれば、固体酸化物形燃料電池の変形を防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の(a)断面図、及び、(b)平面図である。 他の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図である。 固体酸化物形燃料電池の製造方法を説明する図である。 更に他の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の(a)断面図、及び、(b)平面図である。図1に示すように、この固体酸化物形燃料電池1(以下、「燃料電池1」という)は、平面視円形に形成され、金属製の平板状の支持基板2と、支持基板2の一方面(表面)に配置された薄膜状の燃料極3と、当該燃料極3と対向するように支持基板2の他方面(裏面)に配置された薄膜状の裏面層7とを備えており、燃料極3及び裏面層7により支持基板2が挟まれている。また、この燃料電池1は、燃料極3の一方面(表面)に配置された薄膜状の電解質4と、電解質4の一方面(表面)に配置された薄膜状の中間層5と、中間層5の一方面(表面)に配置された薄膜状の空気極6とを備えている。また、空気極6の表面(上面)および裏面層7の裏面(下面)には、電流を集めるための集電体8を配置することができる。
支持基板2は、多孔質の金属から形成されており、ガス透過性および電気伝導性を有している。この支持基板2の厚みは、特に限定されないが、100〜3000μmが好ましく、裏面層7の厚みより厚いことが好ましい。また、支持基板2の熱膨張率は、特に限定されないが、10.0〜20.0(1/K)が好ましい。
燃料極3は、金属及びセラミックスを含む多孔質体から形成されており、その厚みは特に限定されないが、5〜100μmが好ましい。また、燃料極3の熱膨張率は、特に限定されないが、10.0〜20.0(1/K)が好ましい。
裏面層7は、金属及びセラミックスを含む多孔質体から形成されており、ガス透過性および電気伝導性を有している。この裏面層7の厚みは、特に限定されないが、5〜100μmが好ましい。また、裏面層7の熱膨張率は、特に限定されないが、10.0〜20.0(1/K)が好ましい。また、裏面層7の熱膨張率と、支持基板2の熱膨張率との比率(裏面層7の熱膨張率/支持基板2の熱膨張率×100)は、20%以下であることが好ましく、裏面層7の熱膨張率と、燃料極3の熱膨張率との比率(裏面層7の熱膨張率/燃料極3の熱膨張率×100)は、20%以下であることが好ましい。熱膨張率は、室温から1050℃までの空気雰囲気下における線熱膨張を測定し、この測定結果より熱膨張率を求める。なお、熱膨張率は一般に室温から1000℃の間の変位が使用される。熱膨張率の測定は、例えばブルカー・AX社の熱膨張計DIL(Dilatometer)を用い、緻密な焼結体のサンプルを用いて線熱膨張測定を行って算出する。
また、電解質4および空気極6の厚みは、5〜100μmが好ましく、中間層5の厚みは、5〜100μmが好ましい。
次に、上述した燃料電池1の各構成要素の材料について説明する。
支持基板2の材料としては、例えばFe,Ti,Cr、Cu、Ni、Agなどの金属を用いることができる。また、例えばNiO等、上記の金属の酸化物を用いることもできる。さらに、これらの材料の1種を単独で使用してもよく、また、2種以上の合金として用いてもよい。合金としては、例えばステンレス系耐熱材料などが使用でき、具体的には、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、インコネルやハステロイなどニッケル系合金などを用いることができる。また、支持基板2は、ガス透過性及びガス拡散性の観点から、気孔率を30〜60%とすることが好ましい。
燃料極3の材料としては、公知の金属及びセラミックスを含有する材料を使用することができ、例えば、金属触媒と、酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気において安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。
裏面層7の材料としては、公知の金属及びセラミックスを含有する材料を用いることができ、このとき用いられる金属としては、ニッケル、鉄、銅、金、銀、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気において安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、セラミックスとしては、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタンなどの金属酸化物を主成分とした酸素イオン伝導性を有する材料を用いることができる。また、裏面層7におけるセラミックスの含有量は、裏面層7全体の重量に対して20〜80w%であることが好ましい。
また、この裏面層7の材料としては、上述した燃料極3と同じ材料を用いることができる。このとき、材料の配合は適宜変更可能であり、燃料極3と全く同じ材料を用いてもよいし、材料の配合を変えて用いることもできる。例えば、燃料極3及び裏面層7に含まれるセラミックスを同じ種類にする一方、異なる種類の金属を用いてもよい。
電解質4の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物(GDC)、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物(YSZ)などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。
中間層5の材料としては、空気極6を構成する成分と反応しにくく、酸素イオンの伝導性が高いものを用いることが好ましい。このような材料としては、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物を用いることができる。
空気極6の材料としては、固体酸化物形燃料電池の空気極の材料として公知のものを使用することができ、例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMn等からなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO,(La,Sr)MnO,(La,Sr)CoO,(La,Sr)(Fe,Co)O,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)Oなどの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)(Fe,Co)Oである。上述した材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
集電体8の材料としては、Pt,Au,Ag,Ni,Cu,SUS等の導電性金属、または、La(Cr,Mg)O3,(La,Ca)CrO3,(La,Sr)CrO3などの導電性セラミックスを用いることができ、これらの1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を混合して使用してもよい。
次に、固体酸化物形燃料電池の製造方法について説明する。図3は、固体酸化物形燃料電池の製造方法を説明する図である。
図3に示すように、上記の燃料電池1は、基板用グリーンシート12、燃料極用グリーンシート13、裏面層用グリーンシート17、電解質用グリーンシート14および中間層ペースト15,空気極ペースト16を用いて製造することができる。これらの各グリーンシートは、固体酸化物形燃料電池を製造するための公知のグリーンシートであり、原料粉末、バインダー、分散剤、可塑剤および溶媒等を混合してスラリー作製し、このスラリーを薄膜状に延ばし、溶媒を除去した状態のシートのことである。
ここで、上記各グリーンシートを製造する方法の一例について説明する。例えばドクターブレード法により製造する場合、基板用グリーンシート12、燃料極用グリーンシート13および裏面層用グリーンシート17は、以下の方法で作製することができる。まず、上述した支持基板2、燃料極3または裏面層7の材料の粉末に、造孔剤を添加し、バインダー、分散剤および可塑剤を加え、エタノール、2−プロパノールといったアルコール系溶媒からなる分散媒体に分散されているスラリーを作製する。造孔剤の添加量は、5〜20w%が好ましい。添加されている造孔剤は、焼結の際に燃焼して気化するため、造孔剤が存在していた箇所には気孔が形成される。なお、造孔剤としては、カーボン系粉末や樹脂系粉末が挙げられるが、焼結の際に気化して気孔が形成可能な材料であれば、他の材料を用いるようにしてもよい。
また、上記スラリー組成物あるいは混練組成物を作製する際に用いられるバインダーの種類にも制限はなく、公知の有機質もしくは無機質のバインダーを使用することができる。有機質バインダーとしては、エチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系及びメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、マレイン酸系共重合体、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチルセルロース等のセルロース類、ワックス類等が例示される。
次に、作製したスラリーを公知のドクターブレード法により成形してポリエチレンテレフタレートなどのフィルム上にスラリーの層を形成し、このスラリーの層より分散媒体を除去することで乾燥させ、基板用グリーンシート12、燃料極用グリーンシート13または裏面層用グリーンシート17を形成する。分散媒体としては、アルコール系溶媒に限らず、トルエン,キシレン,及びケトン系などの他の有機溶媒を用いてもよい。また、有機溶媒に限らず、上記混合粉末が、水に分散されたスラリーを用いるようにしてもよい。例えば、所定の分散剤を用いることで、上記混合粉末が水に分散された状態とすることができる。
電解質用グリーンシート14は以下の方法で作製する。上述した電解質4の材料の粉末に、バインダー及び分散剤および可塑剤を加え、有機溶媒からなる分散媒体に分散されているスラリーを作製する。作製したスラリーは燃料極等と同様にドクターブレード法にてポリエチレンテレフタレートなどのフィルム上にスラリー層を形成する。このスラリーの層より分散媒体を除去することで乾燥させ、電解質用グリーンシート14が形成された状態とする。
また、中間層ペースト15及び空気極ペースト16は、固体酸化物形燃料電池を製造するための公知のペーストであり、上述した中間層5又は空気極6の材料の原料粉末に、バインダー、有機溶媒などを混練することにより作製できる。
続いて燃料電池1を製造する方法を説明する。
燃料電池1を製造するときは、まず図3(a)、(b)に示すように、基板用グリーンシート12を準備し、この基板用グリーンシート12の一方面(表面)に燃料極用グリーンシート13を積層すると共に、他方面(裏面)に裏面層用グリーンシート17を積層する。また、図3(c)に示すように、燃料極用グリーンシート13の一方面(表面)に電解質用グリーンシート14を積層する。これにより、各グリーンシート12,13,14、17が積層されたグリーンシート積層体18が形成される。
次に、各グリーンシート12,13,14、17を積層したグリーンシート積層体18を共焼結する。このときの焼結温度は、1100℃〜1500℃が好ましい。焼結により、図3(d)に示すように、基板用グリーンシート12、燃料極用グリーンシート13、裏面層用グリーンシート17、電解質用グリーンシート14はそれぞれ、支持基板2、燃料極3、裏面層7、電解質4になる。また、このとき、支持基板2が例えばフェライト系ステンレス鋼やNiなどの金属材料から作製される場合は、酸化を防止するために、NやArガスなどの不活性雰囲気下あるいは還元雰囲気下で焼結することが好ましい。一方、支持基板2が例えばNiOなどの金属酸化物材料から作製される場合は、酸化雰囲気下で焼結することもできる。また、焼結後に支持基板2を還元処理してもよい。
続いて、図3(e)に示すように、焼結により形成された電解質4の一方面(表面)に中間層ペースト15を塗布し、その上に空気極ペースト16を塗布する。中間層ペースト15及び空気極ペースト16の塗布は、例えば、公知のスクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、スパッタリング法等により行うことができる。
その後、中間層ペースト15及び空気極ペースト16を焼結することにより中間層5及び空気極6が形成され、これにより図1に示す燃料電池1が製造される。このときの焼結温度は、1100℃〜1500℃が好ましい。また、焼結はNやArガスなどの不活性雰囲気下あるいは還元雰囲気下で行うことが好ましいが、支持基板2の酸化を防止できる温度であれば酸化雰囲気下で焼結をすることもできる。また、焼結後に支持基板2を還元処理してもよい。
以上に説明したような燃料電池1によれば、燃料極3が支持基板2の一方面に配置されているのに対し、他方面にも同様の裏面層7を配置したので、焼結時における支持基板2の表面側の体積変化と裏面側の体積変化とを均一にすることができる。これにより、支持基板2の体積変化のバランスを保つことができ、燃料電池1の変形を防ぐことができる。
また、裏面層7の熱膨張率と、支持基板2の熱膨張率との比率が20%以下であると、裏面層7の体積変化と支持基板2の体積変化との差を少なくすることができるので、燃料電池1の変形の防止にとってより有効である。さらに、裏面層7の熱膨張率と、燃料極3の熱膨張率との比率が20%以下であると、支持基板2の表面側と裏面側における体積変化のバランスをより均一にすることができる。
また、支持基板2の厚みが裏面層7の厚みより厚いと、支持基板2の変形を防ぐのに効果的である。
また、燃料極3及び裏面層7が同じセラミックスを含有している場合や、同じ材料から形成されている場合には、よりバランスが良くなり、燃料電池1の変形を防ぐのにより効果的である。
また、支持基板2がNiO等の金属酸化物を含有していると支持基板2を還元処理するときに体積収縮が生じるので、このときに支持基板2の表裏両側でバランスよく体積収縮をさせるためには、上記の構成が特に有効である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、支持基板2の厚みが裏面層7の厚みより大きかったが、この構成に限定されるものではなく、各構成要素の厚みは適宜変更可能であり、支持基板2を裏面層7と同厚または薄くすることもできる。また、支持基板2に、厚み方向に貫通する複数の貫通孔を形成してもよい。
また、図2は、他の実施形態に係る固体酸化物形燃料電池の断面図であり、この図2に示すように、裏面層7に厚み方向に貫通する複数の貫通孔10が形成されている構成であってもよい。また、裏面層7を削るなどして除去することもでき、例えば、裏面層7の一部を除去することにより支持基板2の裏面の一部に外部に露出させ、この露出した部分に集電体8を配置することができる。
また、上記実施形態では、電解質4と空気極6との間に中間層5が配置されていたが、図4に示すように、この中間層5を省略することもできる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明が本実施例に限定されるものではない。
実施例1
基板用グリーンシート
実施例1として、図1に示すような燃料電池1を作製した。支持基板2には、Fe2O3(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)とNiO(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)の混合物(Fe2O3:NiO=1:9)に、カーボン粉末からなる造孔剤を総量の10wt%添加し、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール、および可塑剤としてジブチルフタレートを加え、2−プロパノールの有機溶剤に分散されたスラリーを作製した。このスラリーをドクターブレード法によってPETフィルム上に塗布し、110℃で乾燥させて分散溶剤を除去した。これにより膜厚1000μmの基板用グリーンシート12を作製した。
燃料極用グリーンシート
続いて、燃料極用グリーンシート13を以下の方法で作製した。燃料極3の材料としてNiO(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)、ならびに酸素イオン伝導性材料としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)にカーボン粉末からなる造孔剤を総量の10wt%添加し、バインダー樹脂として、ポリビニルブチラール、および可塑剤としてジブチルフタレートを加え、2−プロパノールの有機溶剤に分散されたスラリーを作製した。これをドクターブレード法によってPETフイルム上に塗布し、110℃で乾燥させて分散溶剤を除去した。これにより膜厚80μmの燃料極用グリーンシート13を形成した。
電解質用グリーンシート
続いて、電解質用グリーンシート14を以下の方法で作製した。電解質4の材料としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)に、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール、および可塑剤としてジブチルフタレートを加え、2−プロパノールの有機溶剤に分散されたスラリーを作製した。このスラリーをドクターブレード法によってPETフィルム上に塗布し、110℃で乾燥させて分散溶剤を除去した。これにより膜厚10μmの電解質用グリーンシート14を形成した。
裏面層用グリーンシート
裏面層用グリーンシート17として、上述の燃料極用グリーンシート13と同じグリーンシートを作製した。
グリーンシート積層体
次いで、裏面層用グリーンシート17上に、上述した基板用グリーンシート12、燃料極用グリーンシート13、電解質用グリーンシート14をこの順に積層させてグリーンシート積層体18を準備し、熱プレス機により2kN/m、70℃の条件でプレス処理を施し、1500℃で10時間加熱して焼結させ、ハーフセルを作製した。このときのハーフセルの厚みは1150μmであった。
(中間層ペースト)
次に、中間層ペーストを以下の方法で作製した。材料には、ガドリニウムをドープしたセリア系酸化物(GDC(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm))を用い、さらにバインダー樹脂としてエチルセルロース、溶剤としてエチルカルピトールを加えた後、これを振練してペーストを作製した。このペーストを上述したハーフセルの電解質4上にスクリーン印刷によりパターニング形成し、130℃で乾燥させた後、1300℃で1時間加熱して焼結させ、厚み約3μmの中間層5を形成した。
空気極ペースト
次に、空気極ペースト16を以下の方法で作製した。材料には、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)を用い、さらにバインダー樹脂としてエチルセルロース、溶剤としてエチルカルピトールを加えた後、これを振練してペーストを作製した。このペーストを上述したハーフセルの中間層5上にスクリーン印刷によりパターニング形成し、130℃で乾燥させた後、1200℃で1時間加熱して焼結させ、厚み約20μmの空気極6を形成した。こうして、固体酸化物形燃料電池1を得た。
(実施例2)
基板用グリーンシート
実施例2として、図4に示すような燃料電池1を作製した。支持基板2には、Fe2O3(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)とNiO(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)の混合物(Fe2O3:NiO=1:9)に、カーボン粉末からなる造孔剤を総量の10wt%添加し、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール、および可塑剤としてジブチルフタレートを加え、2−プロパノールの有機溶剤に分散されたスラリーを作製した。このスラリーをドクターブレード法によってPETフィルム上に塗布し、110℃で乾燥させて分散溶剤を除去した。これにより膜厚1000μmの基板用グリーンシート12を作製した。
燃料極用グリーンシート
続いて、燃料極用グリーンシート13を以下の方法で作製した。燃料極3の材料としてNiO(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)、ならびに酸素イオン伝導性材料としてガドリニウムをドープしたセリア系酸化物(GDC(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm))にカーボン粉末からなる造孔剤を総量の10wt%添加し、バインダー樹脂として、ポリビニルブチラール、および可塑剤としてジブチルフタレートを加え、2−プロパノールの有機溶剤に分散されたスラリーを作製した。これをドクターブレード法によってPETフィルム上に塗布し、110℃で乾燥させて分散溶剤を除去した。これにより膜厚80μmの燃料極用グリーンシート13を形成した。
電解質用グリーンシート
続いて、電解質用グリーンシート14を以下の方法で作製した。電解質4の材料としてガドリニウムをドープしたセリア系酸化物(GDC(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm))に、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール、および可塑剤としてジブチルフタレートを加え、2−プロパノールの有機溶剤に分散されたスラリーを作製した。このスラリーをドクターブレード法によってPETフィルム上に塗布し、110℃で乾燥させて分散溶剤を除去した。これにより膜厚10μmの電解質用グリーンシート14を形成した。
裏面層用グリーンシート
裏面層用グリーンシート17として、上述の燃料極用グリーンシート13と同じグリーンシートを作製した。
グリーンシート積層体
次いで、裏面層用グリーンシート17上に、上述した基板用グリーンシート12、燃料極用グリーンシート13、電解質用グリーンシート14をこの順に積層させてグリーンシート積層体を準備し、熱プレス機により2kN/m、70℃の条件でプレス処理を施し、1500℃で10時間加熱して焼結させ、ハーフセルを作製した。このときのハーフセルの厚みは1150μmであった。
空気極ペースト
次に、空気極ペースト16を以下の方法で作製した。材料には、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3(粒径範囲:0.1〜3μm、平均粒子径1μm)を用い、さらにバインダー樹脂としてエチルセルロース、溶剤としてエチルカルピトールを加えた後、これを振練してペーストを作製した。このペーストを上述したハーフセルの電解質4の上にスクリーン印刷によりパターニング形成し、130℃で乾燥させた後、1200℃で1時間加熱して焼結させ、厚み約20μmの空気極6を形成した。こうして、固体酸化物形燃料電池1を得た。
比較例
比較例として、裏面層7及び中間層5を省略した状態で、図1に示すような燃料電池1を作製した。このとき、裏面層用グリーンシートを使用しない点以外は、実施例1と同じ方法で作製した。
その結果、作製後の燃料電池1の外観を目視で確認したところ、比較例では支持基板2が凸形状に湾曲し、その形状変化に追随できない支持基板2より上の構成層に割れが生じたが、実施例1、2では燃料電池の変形は見られなかった。
1 固体酸化物形燃料電池
2 支持基板
3 燃料極
4 電解質
5 中間層
6 空気極
7 裏面層
10 貫通孔

Claims (7)

  1. ガス透過可能な金属で形成された支持基板と、
    前記支持基板の一方面に配置された燃料極と、
    前記支持基板の他方面に配置された裏面層と、
    前記燃料極上に配置された電解質と、
    前記電解質上に配置された空気極と、を備え、
    前記燃料極及び前記裏面層は、金属及びセラミックスを含有している固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記裏面層の熱膨張率と、前記支持基板の熱膨張率との比率が20%以下である請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記裏面層の熱膨張率と、前記燃料極の熱膨張率との比率が20%以下である請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記支持基板の厚みは、前記裏面層の厚みより厚い請求項1〜3のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記燃料極及び前記裏面層は、同じセラミックスを含有している請求項1〜4のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
  6. 前記燃料極及び前記裏面層は、同じ材料から形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
  7. 前記支持基板は、金属酸化物を含有している請求項1〜6のいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池。
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