JP4918338B2 - 圧縮機及び空気調和装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮機及び空気調和装置に関し、特に、車載用空調装置などに使用されて好適な圧縮機及び空気調和装置に関するものである。
従来から空気調和装置、冷凍装置などでは、圧縮室で圧縮した流体をハウジングの内部にある吐出室を介して吐出口からハウジング外に吐出する圧縮機を用いて、冷凍サイクルを構成することが行われている。このような圧縮機、例えば、スクロール型圧縮機は、ハウジング内に、端板の一側面に渦巻状の壁体を立設した固定スクロールと、端板の一側面に固定スクロールの壁体と実質的に同一形状の渦巻状の壁体を立設した旋回スクロールとを組み合わせた圧縮機構と、駆動軸を介して旋回スクロールに連結され、この旋回スクロールを公転旋回運動させる駆動手段を備え、固定スクロールに対して旋回スクロールを公転旋回運動させることで、各壁体間に形成した圧縮室の容積を漸次減少させ、この圧縮室内の流体を圧縮するようにしている。
また、このような圧縮機では、圧縮機構で発生した流体の脈動を低減させるために、ハウジング内の上部、固定スクロールの端板の背面に容積部としての吐出室を形成し、圧縮機構で圧縮された流体を、まず、吐出室内に吐出し、この吐出室内で脈動を低減した後に、吐出口を介してハウジング外へ吐出するようにしている。
ところで、上記のような吐出室は、ハウジング内の空間をそのまま用いただけの構造であるこことから、吐出ガスの脈動を減衰する機能には限界がある。このため、吐出される流体の脈動は、吐出室において十分に減衰しきれず、脈動波が配管を介してこの圧縮機の上位装置、例えば、空気調和装置のコンデンサなどに伝播してしまうおそれがあり、さらに、この脈動波がコンデンサに伝播することで、コンデンサが起振され、この結果、振動によりコンデンサが破損してしまうなどの問題が生じるおそれがある。
そこで、このような圧力脈動の低減に関連した技術として、例えば、特許文献1に記載されている圧縮機では、圧縮機構から直接に流体が吐出される吐出室とは別に容積部としてのマフラ空間を設けることで、流体の脈動を低減している。
特許第3697782号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の圧縮機のマフラ構造では、吐出室とは別途、マフラ空間を設けることから、装置が大型化し構造も複雑化してしまう。この結果、コストも上昇してしまう。
そこで本発明は、簡単な構造で流体の圧力脈動を十分に減衰して上位装置の損傷を防止することができる圧縮機及び空気調和装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1の発明の圧縮機は、ハウジングと、ハウジング内に設けられ圧縮室で圧縮された流体を吐出する吐出ポートと、前記吐出ポートに連通し前記流体を膨張させる吐出室と、前記吐出室に連通し前記流体の流路面積を絞る絞り部と、前記流体をハウジング外に吐出する吐出口と前記絞り部とを連通する所定長さの管路状の流体通路と、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、前記ハウジングに固定して内設される固定スクロールと、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、該壁体を前記固定スクロールの壁体に噛み合わせた状態で自転が阻止されつつ公転旋回可能に前記ハウジング内に支持される旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達する駆動軸とを備え、前記圧縮室は、前記固定スクロールの端板と前記旋回スクロールの端板との間に設けられ、前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対して公転旋回することで前記流体を圧縮可能であり、前記吐出ポートは、前記固定スクロールの端板に形成され、前記吐出室は、前記固定スクロールの端板と前記ハウジングとによりに形成され、前記流体通路は、複数設けられ、前記駆動軸は、水平方向に沿って設けられ、前記複数の流体通路のうち鉛直方向下方の流体通路は、前記流体に含有される潤滑油を貯留することで前記流体の通過を抑制可能な潤滑油貯留部を有することを特徴とする。
請求項の発明の圧縮機では、前記固定スクロールの端板又は前記ハウジングにリブが立設されることで該リブの内方に前記吐出室が画成されると共に外方に前記流体通路が画成されることを特徴とする。
請求項の発明の圧縮機では、前記ハウジングは、円筒形状をなし、内側に湾曲状の前記リブが形成されることで前記吐出室の周囲に湾曲状の前記流体通路が設けられることを特徴とする。
請求項の発明の圧縮機では、前記流体通路は、複数設けられ、前記複数の流体通路は、長さが等しく設定されることを特徴とする。
請求項の発明の圧縮機では、前記流体通路は、複数設けられ、前記複数の流体通路は、長さが不等長に設定されることを特徴とする。
上記の目的を達成するための請求項の発明の空気調和装置は、ハウジングと、ハウジング内に設けられ圧縮室で圧縮された冷媒を吐出する吐出ポートと、前記吐出ポートに連通し、前記冷媒を膨張させる吐出室と、前記吐出室に連通し、前記冷媒の流路面積を絞る絞り部と、前記冷媒をハウジング外に吐出する吐出口と前記絞り部と連通する所定長さの管路状の流体通路と、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、前記ハウジングに固定して内設される固定スクロールと、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、該壁体を前記固定スクロールの壁体に噛み合わせた状態で自転が阻止されつつ公転旋回可能に前記ハウジング内に支持される旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達する駆動軸とを有する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮液化させるコンデンサと、前記コンデンサで液化された冷媒を減圧及び膨張させて低温低圧の液冷媒とする膨張弁と、前記膨張弁を通過した低温低圧の液冷媒と空気とを熱交換させるエバポレータとを備え、前記圧縮室は、前記固定スクロールの端板と前記旋回スクロールの端板との間に設けられ、前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対して公転旋回することで前記冷媒を圧縮可能であり、前記吐出ポートは、前記固定スクロールの端板に形成され、前記吐出室は、前記固定スクロールの端板と前記ハウジングとによりに形成され、前記流体通路は、複数設けられ、前記駆動軸は、水平方向に沿って設けられ、前記複数の流体通路のうち鉛直方向下方の流体通路は、前記冷媒に含有される潤滑油を貯留することで前記冷媒の通過を抑制可能な潤滑油貯留部を有することを特徴とする。
請求項1の発明の圧縮機によれば、圧縮室で圧縮され吐出ポートを介して吐出室に吐出された流体は、この吐出室で一旦膨張し、圧力脈動成分が反射・干渉することにより減衰される。そして、この吐出室に連通して流路面積を絞る絞り部を設けたことで、この絞り部において圧力脈動が低減される。さらに、この絞り部と吐出口とを連通する流体通路を設けその長さを所定長さに設定したことで、流体がこの流体通路を通過する際に、その圧力脈動がさらに低減される。この結果、簡単な構造で流体の圧力脈動を十分に減衰することができ、上位装置の損傷を防止することができる。また、流体通路の長さを適宜変更することで、簡単に種々の脈動周波数特性に対応することができる。
請求項の発明の圧縮機によれば、旋回スクロールが固定スクロールに対して公転旋回することで流体を圧縮可能な圧縮室を設けたことで、旋回スクロールの公転旋回運動に伴って圧縮され吐出ポートを介して吐出室内に吐出される流体は、この旋回スクロールの公転旋回運動に応じて吐出室内で脈動するが、このとき、この吐出室に連通して絞り部及び流体通路を設けたので、特定の周波数の圧力脈動を低減することができる。
請求項の発明の圧縮機によれば、固定スクロールの端板又はハウジングに立設されて吐出室を画成するリブの外方に流体通路を形成するので、固定スクロールの端板又はハウジングにリブを設けるという簡単な構成で、吐出室を形成すると共にこの吐出室の外方に絞り部及び流体通路を形成することができる。この結果、製造コストの抑制を図ることができる。
請求項の発明の圧縮機によれば、吐出室の周囲に湾曲状に流体通路を設けたので、よりコンパクトな構成としながら、流体通路の長さを適正な長さに設定することができる。
請求項の発明の圧縮機によれば、複数の流体通路を設け、この複数の流体通路の長さを等しく設定したことで、複数系統の流路で圧力脈動を低減することができ、このため、絞り部における流路面積を小さくしすぎることなく、流体の圧力脈動を十分に低減することができ、また、流路面積を小さくしすぎることがないことから圧縮効率の低下や圧力損失の増大を抑制することができる。
請求項の発明の圧縮機によれば、複数の流体通路を設け、この複数の流体通路の長さを不等長に設定したことで、各流路を流動してきた流体が吐出口の上流側で干渉し、互いの脈動を打ち消し合うため、吐出口から外部に導出される流体の圧力脈動を効果的に減衰することができる。また、これにより広範囲の周波数帯域の圧力脈動を低減することができる。
請求項の発明の圧縮機によれば、鉛直方向下方の流体通路に潤滑油貯留部を設けたことで、運転状態に応じてこの潤滑油貯留部に潤滑油が貯留されこの鉛直方向下方の流体通路が閉塞され、流体の流路を変更することができるので、圧縮機の運転状態に応じて適正な圧力脈動低減特性を得ることができる。
請求項の発明の空気調和装置によれば、圧縮機から吐出された冷媒をコンデンサにより凝縮液化し、この液化された冷媒を膨張弁により減圧及び膨張させて低温低圧の液冷媒とし、エバポレータによりこの低温低圧の液冷媒と空気とを熱交換させることができる。この間、圧縮室で圧縮され吐出ポートを介して吐出室に吐出された冷媒は、この吐出室で一旦膨張し、圧力脈動成分が反射・干渉することにより減衰される。そして、この吐出室に連通して流路面積を絞る絞り部を設けたことで、この絞り部において圧力脈動が低減される。さらに、この絞り部と吐出口とを連通する流体通路を設けその長さを所定長さに設定したことで、冷媒がこの流体通路を通過する際に、その圧力脈動がさらに低減される。この結果、簡単な構造で冷媒の圧力脈動を十分に減衰することができ、上位装置の損傷を防止することができる。また、流体通路の長さを適宜変更することで、簡単に種々の脈動周波数特性に対応することができる。
以下に、本発明に係るスクロール圧縮機及び空気調和装置の参考例及び実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この参考例及び実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記参考例及び実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[参考例1]
図1は、本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図(図2のA−A断面)、図2は、本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機の断面図、図3は、本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機を適用した空気調和装置の冷媒回路図である。なお、図1は、図2に示すA−A部分断面図であり、ここでは吐出弁47の図示は省略している。
参考例において、図2又は図3に示すように、圧縮機としてのスクロール圧縮機1は、車載用空調装置などに使用されて好適なスクロール圧縮機であり、ここでは空気調和装置2に適用され、流体として冷媒ガスが用いられる。空気調和装置2は、スクロール圧縮機1と、コンデンサ100と、膨張弁200と、エバポレータ300とを備える。スクロール圧縮機1は、冷媒ガスを圧縮し、高温高圧の冷媒ガスとしてコンデンサ100へ送り出す。コンデンサ100は、スクロール圧縮機1から供給された高温高圧の冷媒ガスを外気に放熱することで冷却し、凝縮液化させるものである。このコンデンサ100で液化された冷媒は、膨張弁200に送られ、膨張弁200で減圧及び膨張させられることによって低温低圧の液冷媒とされ、エバポレータ300へ供給される。エバポレータ300は、この低温低圧の液冷媒と空気とを熱交換させ、空気を冷却させるものである。
具体的には、スクロール圧縮機1は、内部が中空のハウジング11と、ハウジング11に固定して内設される固定スクロール14と、自転が阻止されつつ公転旋回可能にハウジング11内に支持される旋回スクロール15とを備える。さらに、スクロール圧縮機1は、一端部に旋回スクロール15が係合する偏心部60を有すると共に他端部に駆動装置13が設けられる駆動軸16を備える。
ハウジング11は横置きに配置されており、スクロール圧縮機各部を包む略円筒形状をなす密閉容器として構成される。このハウジング11は、フロントケース21と、このフロントケース21に隣接して配置されるリアケース22とから構成される。フロントケース21は略円筒状に形成されており、リアケース22は一端が閉止された略円筒形状に形成される。このリアケース22は、開口している側の端部がフロントケース21に嵌合した状態で、フロントケース21に複数の締結ボルト23により固定される。ハウジング11は、フロントケース21に吸入口26が形成され、リアケース22に吐出口27が形成される。吸入口26及び吐出口27は、当該スクロール圧縮機1の外部の冷媒ガス経路に接続され、この吐出口27は上述のコンデンサ100に接続されている。
固定スクロール14は、渦巻状の壁体としての渦巻状ラップ45が立設される端板44を有する。旋回スクロール15は、渦巻状の壁体としての渦巻状ラップ51が立設される端板50を有し、後述するように、渦巻状ラップ51が固定スクロール14の渦巻状ラップ45に噛み合わさった状態で公転旋回可能に支持される。固定スクロール14と旋回スクロール15とは圧縮機構12を構成する。固定スクロール14は、渦巻状ラップ45が旋回スクロール15の渦巻状ラップ51と対向して噛み合う状態でリアケース22の内周面に嵌合して設けられる。固定スクロール14は、上述した締結ボルト23により端板44がリアケース22に固定される。
旋回スクロール15は、略円盤状に形成される端板50が駆動軸16の偏心部60と対向するように配設される。渦巻状ラップ51は、端板50の固定スクロール14側の面に立設される。旋回スクロール15は、フロントケース21と一体に形成されるスラスト軸受61により端板50を回転可能にスラスト支持される。さらに、旋回スクロール15は、端板50の背面(渦巻状ラップ51が立設される面の反対側の面)に偏心部60が係合するためのボス部53が形成される。ボス部53は、端板50の背面から偏心部60側に突出するように形成される。また、ボス部53は、内側が空洞の略円筒状の形状に形成される。ボス部53の内側には、転がり軸受56が設けられる。
駆動軸16は、一端部に偏心部60が形成され、他端部に駆動装置13が設けられる。偏心部60は、偏心駆動ピン54とドライブブッシュ55によって構成される。偏心駆動ピン54は、略円柱状に形成される。さらに、偏心駆動ピン54は、偏心駆動ピン54の中心軸線と駆動軸16の中心軸線とが平行となり、且つ、偏心駆動ピン54の中心軸線が駆動軸16の中心軸線から所定量だけ離れて位置するように設けられる。したがって、偏心駆動ピン54は、駆動軸16の回転の中心となる中心軸線に対して所定量だけ偏心している。ドライブブッシュ55は、偏心駆動ピン54の外周側を覆うように偏心駆動ピン54に嵌合される。また、駆動軸16には、公転旋回運動によって旋回スクロール15に与えられるアンバランス量を打ち消すためのバランスウェイト58が連結される。
偏心部60は、上述の転がり軸受56を介して旋回スクロール15に係合される。偏心駆動ピン54は、ドライブブッシュ55及び転がり軸受56を介してボス部53に回動自在に支持される。これにより、旋回スクロール15は、駆動軸16の回転によって公転旋回運動することができる。また、フロントケース21と旋回スクロール15との間には、自転阻止機構57が介装され、旋回スクロール15は、これらの構造により自転が阻止されつつ、駆動軸16の中心軸線を公転軸として公転旋回運動可能となっている。
ここで、フロントケース21は、リアケース22の反対側の端部に縮径したリング形状をなす支持部28が形成される。駆動軸16は、回転の中心となる中心軸線がフロントケース21の中心軸線とほぼ一致する方向、及び位置でハウジング11内に設けられる。また、フロントケース21の内周部には、フロントケース21と駆動軸16との隙間を封止し、ハウジング11外部へ冷媒ガスの漏洩を抑制するリップシール31が取り付けられる。さらに、このフロントケース21の内周部には、転がり軸受30と玉軸受29が装着される。この玉軸受29は、リップシール31に隣接するように設けられ、該リップシール31の外側の端部で回転軸としての駆動軸16を回転自在に支持する。転がり軸受30は、リップシール31の内側で、駆動軸16の大径部16a(偏心部60側の端部)を回転自在に支持する。
駆動装置13は、駆動軸16の偏心部60とは反対側の端部に設けられる。駆動軸16のこの端部には、回転板32が連結ボルト33により固定される。この回転板32の外周部には、リング形状をなす支持リング34が複数の連結ピン35により連結される。そして、この支持リング34に従動プーリ36の端面が固定され、軸受を介してフロントケース21の支持部28に回転自在に支持される。この従動プーリ36内に電磁石38が装着されることでマグネットクラッチが構成される。なお、この従動プーリ36には、図示しない駆動ベルトを介して駆動源(例えば、エンジン)が連結される。
固定スクロール14と旋回スクロール15とは、端板44と端板50との間において、固定スクロール14の渦巻状ラップ45と旋回スクロール15の渦巻状ラップ51が噛み合うように組み合わされることで、各渦巻状ラップ45、51の間に圧縮室40を形成する。固定スクロール14、旋回スクロール15、圧縮室40は、圧縮機構12を構成する。この圧縮機構12とフロントケース21との間には、吸入室39が形成される。さらに、固定スクロール14の渦巻状ラップ45とは反対側には、端板44とリアケース22の内周面とによって吐出室41が画成される。吐出室41は、固定スクロール14の端板44に形成される凹部とリアケース22の内周面に形成される凹部とが対向することで画成される。
低圧室としての吸入室39と、圧縮室40と、高圧室としての吐出室41は、それぞれ連通している。具体的には、上述した吸入口26は、吸入室39に開口しており、この吸入室39は、圧縮室40に潤滑油を含有する冷媒ガスを導入する。圧縮室40は、固定スクロール14に対して旋回スクロール15が公転旋回することで吸入室39に導入された冷媒ガスを圧縮する。そして、圧縮室40は、固定スクロール14の端板44の中央に設けられる吐出ポート46により吐出室41と連通する。この吐出ポート46は、圧縮室40で圧縮された冷媒ガスを吐出室41に吐出するものであり、吐出室41側端部に吐出弁47が設けられている。この吐出弁47は、圧縮室40内が所定の圧力になると開弁する開閉手段であり、吐出室41側から圧縮室40側への冷媒ガスの逆流を防止するものである。吐出室41は、吐出ポート46から吐出される冷媒ガスを一旦膨張させる容積部として機能する。
なお、吸入口26を圧縮機構12とほぼ対向するように開口させたのは、吸入口26からハウジング11内に取り込んだ冷媒ガスを直接圧縮室40に導入することで、圧縮効率の低下や圧力損失の増大を抑制するためである。また、圧縮室40で圧縮される冷媒ガスには、スクロール圧縮機1のハウジング11内の各部を潤滑する潤滑油がミスト状の状態で含有されており、この潤滑油によって、スクロール圧縮機1内の各摺動部は潤滑される。
上記のように構成されるスクロール圧縮機1は、駆動源を駆動すると、駆動力が駆動装置13の従動プーリ36に伝達され、駆動軸16が回転し、この回転力が偏心部60等を介して旋回スクロール15に伝達され、この旋回スクロール15が自転阻止機構57によって自転が阻止されながら公転軌道上を旋回する。すると、潤滑油のミストを含む冷媒ガスが吸入口26からハウジング11内の吸入室39に吸い込まれ、圧縮室40内に導入される。
そして、旋回スクロール15が旋回し続けると、これに伴って圧縮室40が次第に狭められ、内部の冷媒ガスが圧縮されつつ中央部に至り、吐出ポート46を通って吐出室41へ吐き出される。吐出弁47は、圧縮室40と吐出室41との差圧により開閉する。即ち、圧縮室40の冷媒ガスの圧力が吐出室41の圧力よりも高くなると、吐出弁47を押し開いて高圧の冷媒ガスが吐出室41に流出する。
このとき、旋回スクロール15の公転旋回運動に伴って圧縮され吐出弁47の開弁により吐出室41内に吐出される冷媒ガスは、旋回スクロール15の公転旋回及び吐出弁47の開閉に応じて吐出室41内で脈動する。しかしながら、吐出室41は、吐出ポート46から吐出される冷媒ガスを一旦膨張させる容積部として機能する。すなわち、この容積部としての吐出室41において冷媒ガスの圧力脈動成分が反射・干渉することにより、この冷媒ガスの圧力脈動は減衰される。
ところで、このような吐出室41は、ハウジング11のリアケース22内の空間に設けられていることから、容積部として確保できる空間には上限があり、したがって、冷媒ガスの圧力脈動を減衰する機能にも限界がある。
そこで、本参考例では、図1又は図2に示すように、吐出室41に連通し、冷媒ガスの流路面積を絞る絞り部70と、冷媒ガスをハウジング11外に吐出する吐出口27と絞り部70とを連通する流体通路としての管路状ガス通路71を設けることで冷媒ガスの圧力脈動をより効果的に低減している。すなわち、吐出口27は、管路状ガス通路71、絞り部70を介して高圧部としての吐出室41に連通している。
絞り部70及び管路状ガス通路71は、ハウジング11のリアケース22に立設されるリアケース側リブ72と、固定スクロール14の端板44に立設される固定スクロール側リブ73により形成される。リアケース側リブ72は、基端がリアケース22の内面に固定されると共に先端が端板44側に突出し、固定スクロール側リブ73は、基端が端板44の背面に固定されると共に先端がリアケース22側に突出する。そして、このリアケース側リブ72の先端と固定スクロール側リブ73の先端が互いに当接することで、このリアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73の内方(吐出ポート46側)に吐出室41を画成させる一方、外方に絞り部70及び管路状ガス通路71を画成させる。
すなわち、リアケース側リブ72は、リアケース22の内面に沿ってこのリアケース22と間隔をあけて設けられ、このリアケース22とリアケース側リブ72との間の部分が管路状ガス通路71として画成される。固定スクロール側リブ73は、このリアケース側リブ72に応じた位置に形成される。したがって、リアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73を設けるという簡単な構成で、吐出室41を形成すると共にこの吐出室41の外方に絞り部70及び管路状ガス通路71が形成される。さらに、リアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73が湾曲状に形成されることで管路状ガス通路71も吐出室41の周囲に湾曲状に設けられることから、よりコンパクトな構成となっている。
また、リアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73は、吐出口27から吐出ポート46を挟んでこの吐出口27とほぼ対向する位置まで延設される。そして、この吐出ポート46を挟んで吐出口27とほぼ対向する位置に絞り部70が設けられ、管路状ガス通路71は、この絞り部70と連続して吐出口27まで延設される。つまり、管路状ガス通路71の長さL1は、吐出口27に対する絞り部70の位置により設定される。
ここで、管路状ガス通路71の長さL1は、吐出室41内における圧力脈動の周波数特性に応じて設定される。この吐出室41内における圧力脈動は、旋回スクロール15の公転旋回運動の速度、すなわち回転数に応じて変化する。ただし、上位装置、ここでは空気調和装置2の仕様に応じて圧力脈動を低減させたい周波数範囲は特定されることから、この特定の周波数において圧力脈動を低減することができればよい。すなわち、管路状ガス通路71の長さL1は、圧力脈動を抑えたい周波数に応じて設定され、この圧力脈動を低減させたい周波数において、管路状ガス通路71内の気柱固有振動数と、圧力脈動周波数とが一致しない長さとすることで共鳴現象の発生を防止すると共に減衰率がピークとなる長さに設定される。
したがって、吐出ポート46を介して吐出室41に吐出された冷媒ガスは、容積部としての吐出室41において冷媒ガスの圧力脈動成分が反射・干渉することにより、この冷媒ガスの圧力脈動は減衰される。そして、この冷媒ガスが絞り部70に至ると、その流路面積が縮小することから、絞り部70を通過する際に抵抗が生じ、これにより、圧力脈動が低減される。さらに、絞り部70を通過した冷媒ガスは、圧力脈動の周波数に応じた所定長さL1の管路状ガス通路71を通過し、このとき断続的に発生する圧力波が互いに打ち消し合うことで圧力脈動がさらに低減された後、吐出口27を経て外部に導出され、コンデンサ100(図3参照)に導入される。すなわち、スクロール圧縮機1から吐出される冷媒ガスの圧力脈動は、絞り部70、管路状ガス通路71において十分に減衰され、この結果、脈動波が配管を介して空気調和装置2のコンデンサ100に伝播してしまうことが防止され、この脈動波がコンデンサ100に伝播することで、このコンデンサ100が起振され事が防止され、振動によりコンデンサ100が破損してしまうことが防止される。
以上で説明した本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機1及び空気調和装置2によれば、ハウジング11と、ハウジング11内に設けられ圧縮室40で圧縮された冷媒ガスを吐出する吐出ポート46と、吐出ポート46に連通し冷媒ガスを膨張させる吐出室41と、吐出室41に連通し冷媒ガスの流路面積を絞る絞り部70と、冷媒ガスをハウジング11外に吐出する吐出口27と絞り部70とを連通する所定長さの管路状の管路状ガス通路71とを備える。
したがって、圧縮室40で圧縮され吐出ポート46を介して吐出室41に吐出された冷媒ガスは、この吐出室41で一旦膨張し、圧力脈動成分が反射・干渉することにより減衰される。そして、この吐出室41に連通して流路面積を絞る絞り部70を設けたことで、この絞り部70において圧力脈動が低減される。さらに、この絞り部70と吐出口27とを連通する管路状ガス通路71を設け、圧力脈動を抑えたい周波数に応じてその長さL1を設定したことで、冷媒ガスがこの管路状ガス通路71を通過する際に、その圧力脈動がさらに低減される。この結果、簡単な構造で冷媒ガスの圧力脈動を十分に減衰することができ、上位装置としての空気調和装置2の損傷を防止することができる。また、管路状ガス通路71の長さL1を適宜変更することで、簡単に種々の周波数特性に対応することができる。また、吐出室41とは別に、例えばマフラ空間などを設ける必要もないことから、装置の大型化や構造の複雑化を防止することができる。
さらに、以上で説明した本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機1によれば、渦巻状の渦巻状ラップ45が立設される端板44を有し、ハウジング11に固定して内設される固定スクロール14と、渦巻状の渦巻状ラップ51が立設される端板50を有し、この渦巻状ラップ51を固定スクロール14の渦巻状ラップ45に噛み合わせた状態で自転が阻止されつつ公転旋回可能にハウジング11内に支持される旋回スクロール15とを備え、圧縮室40は、固定スクロール14の端板44と旋回スクロール15の端板50との間に設けられ、旋回スクロール15が固定スクロール14に対して公転旋回することで冷媒ガスを圧縮可能であり、吐出ポート46は、固定スクロール14の端板44に形成され、吐出室41は、固定スクロール14の端板44とハウジング11とによりに形成される。したがって、旋回スクロール15の公転旋回運動に伴って圧縮され吐出ポート46を介して吐出室41内に吐出される冷媒ガスは、この旋回スクロール15の公転旋回運動に応じて吐出室41内で脈動するが、このとき、絞り部70及び管路状ガス通路71により特定の周波数の圧力脈動を低減することができる。
さらに、以上で説明した本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機1によれば、固定スクロール14の端板44及びハウジング11のリアケース22にリアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73が立設されることでこのリアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73の内方に吐出室41が画成されると共に外方に管路状ガス通路71が画成される。したがって、リアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73を設けるという簡単な構成で、吐出室41を形成すると共にこの吐出室41の外方に絞り部70及び管路状ガス通路71を形成することができる。この結果、製造コストの抑制を図ることができる。
さらに、以上で説明した本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機1によれば、ハウジング11は、円筒形状をなし、内側に湾曲状のリアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73が形成されることで吐出室41の周囲に湾曲状の管路状ガス通路71が設けられる。したがって、よりコンパクトな構成としながら、管路状ガス通路71の長さL1を適正な長さに設定することができる。
[参考例2]
図4は、本発明の参考例2に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図である。参考例2に係るスクロール圧縮機は、参考例1に係るスクロール圧縮機と略同様の構成であるが、流体通路としての管路状ガス通路を複数、ここでは2つ備えている点で参考例1に係るスクロール圧縮機とは異なる。その他、参考例1と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
図4に示すように、参考例2に係るスクロール圧縮機201は、参考例1でも上述した絞り部70及び流体通路としての管路状ガス通路71に加えて、絞り部274及び流体通路としての管路状ガス通路275を備える。
絞り部274及び管路状ガス通路275は、吐出ポート46を挟んで絞り部70及び管路状ガス通路71とほぼ対向するように設けられる。ここでは、絞り部274及び管路状ガス通路275は、リアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73(図2も参照)を延設することで形成される。すなわち、吐出ポート46を介して吐出室41に吐出された冷媒ガスは、絞り部70、管路状ガス通路71を介して吐出口27に至る流路と、絞り部274及び管路状ガス通路275を介して吐出口27に至る流路の2系統の流路に分かれて流動し、吐出口27の上流で再び合流して外部に導出される。管路状ガス通路275の長さL2は、吐出口27に対する絞り部274の位置により設定され、ここでは、管路状ガス通路71の長さL1と等しく設定する。このように、2系統の冷媒ガス流路を設けることで、絞り部70及びで絞り部274における流路面積を小さくしすぎることなく、冷媒ガスの圧力脈動が低減される。
以上で説明した本発明の参考例2に係るスクロール圧縮機201によれば、流体通路は、管路状ガス通路71及び管路状ガス通路275の2本が設けられ、管路状ガス通路71及び管路状ガス通路275は、長さが等しく設定される。したがって、管路状ガス通路71を介して吐出口27に至る流路と、絞り部274及び管路状ガス通路275を介して吐出口27に至る流路の2系統の流路を設けたことで、この2系統の流路で圧力脈動を低減することができるので、絞り部70及びで絞り部274における流路面積を小さくしすぎることなく、冷媒ガスの圧力脈動を低減することができ、また、流路面積を小さくしすぎることがないことから圧縮効率の低下や圧力損失の増大を抑制することができる。
[参考例3]
図5は、本発明の参考例3に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図である。参考例3に係るスクロール圧縮機は、参考例2に係るスクロール圧縮機と略同様の構成であるが、2本の管路状ガス通路の長さが不等長である点で参考例2に係るスクロール圧縮機とは異なる。その他、参考例2と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
図5に示すように、参考例3に係るスクロール圧縮機301は、参考例2に係るスクロール圧縮機201と同様に、参考例1でも上述した絞り部70及び流体通路としての管路状ガス通路71に加えて、絞り部376及び流体通路としての管路状ガス通路377を備える。
絞り部376及び管路状ガス通路377は、吐出ポート46を挟んで絞り部70及び管路状ガス通路71とほぼ対向するように設けられる。ここでも、絞り部376及び管路状ガス通路377は、リアケース側リブ72、固定スクロール側リブ73(図1も参照)を延設することで形成される。すなわち、吐出ポート46を介して吐出室41に吐出された冷媒ガスは、絞り部70、管路状ガス通路71を介して吐出口27に至る流路と、絞り部376及び管路状ガス通路377を介して吐出口27に至る流路の2系統の流路に分かれて流動し、吐出口27の上流で再び合流して外部に導出される。
また、管路状ガス通路377の長さL3は、上述と同様に吐出口27に対する絞り部376の位置により設定される。ただし、ここでは、管路状ガス通路377の長さL3は、管路状ガス通路71の長さL1よりも短く設定している。このように、2系統の冷媒ガス流路を設け、2流路の長さを不等長とすることで、絞り部70、管路状ガス通路71を介して吐出口27に至る冷媒ガスと絞り部376及び管路状ガス通路377を介して吐出口27に至る冷媒ガスとが、吐出口27の上流側で合流する際に干渉することから、互いの脈動を打ち消し合い、その結果、吐出口27から外部に導出される冷媒ガスの圧力脈動が効果的に減衰される。
以上で説明した本発明の参考例3に係るスクロール圧縮機301によれば、流体通路は、管路状ガス通路71及び管路状ガス通路377の2本が設けられ、管路状ガス通路71及び管路状ガス通路377は、長さが不等長に設定される。したがって、管路状ガス通路71を介して吐出口27に至る流路と、絞り部376及び管路状ガス通路377を介して吐出口27に至る流路の2系統の流路を設け、この2系統の流路の長さL1、L3を異ならせたことで、各流路を流動してきた冷媒ガスが吐出口27の上流側で干渉し、互いの脈動を打ち消し合うため、吐出口27から外部に導出される冷媒ガスの圧力脈動を効果的に減衰することができる。また、これにより広範囲の周波数帯域の圧力脈動を低減することができる。
[実施例1]
図6は、本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図である。実施例1に係るスクロール圧縮機は、参考例3に係るスクロール圧縮機と略同様の構成であるが、
流体通路が潤滑油貯留部を有している点で参考例3に係るスクロール圧縮機とは異なる。その他、参考例3と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す。
図6に示すように、実施例1に係るスクロール圧縮機401は、スクロール圧縮機401全体を駆動軸16の中心軸線がほぼ水平となるように設置した場合に、鉛直方向下方に位置する流体通路、ここでは、管路状ガス通路71に潤滑油貯留部478が設けられる。
潤滑油貯留部478は、鉛直方向下方側に湾曲した管路状ガス通路71における鉛直方向最下端の位置に設けられる。潤滑油貯留部478は、鉛直方向の厚みtが管路状ガス通路71の他の部分よりも薄くなるように形成される。
ここで、上述したように、圧縮室40で圧縮される冷媒ガスには、スクロール圧縮機1のハウジング11内の各部を潤滑する潤滑油がミスト状の状態で含有されており、この潤滑油は、冷媒ガスが圧縮室40内で圧縮される際に冷媒ガスから分離されて圧縮室40の内面に付着する。そして、この圧縮室40の内面に付着した潤滑油は、旋回スクロール15の公転旋回運動に伴ってかきあげられ、一部が冷媒ガスと共に吐出ポート46を介して吐出室41に吐出される。また、この高圧部としての吐出室41に吐出された潤滑油は、不図示の油戻し通路を介して低圧部としての吸入室39側に戻される。
そして、スクロール圧縮機401の高速運転時、すなわち、旋回スクロール15の公転旋回運動の速度が高速である場合には、旋回スクロール15の公転旋回運動に伴ってかきあげられ吐出室41に吐出される潤滑油の量が吸入室39側に戻される潤滑油の量をうわまわる。これにより、吐出室41に吐出された潤滑油は、その一部が管路状ガス通路71に導入され、重力によりこの管路状ガス通路71内の鉛直方向下方に移動し、管路状ガス通路71における鉛直方向最下端に位置する潤滑油貯留部478に貯留されていく。そして、潤滑油貯留部478に貯留された潤滑油が所定量に達すると、管路状ガス通路71が閉塞され、この管路状ガス通路71を介した冷媒ガスの導出が抑制される。この結果、2系統の流路のうち鉛直方向上方の管路状ガス通路377を介した流路のみにより冷媒ガスの導出が行われる。ここで、管路状ガス通路377の長さL3を高速運転時における圧力脈動の周波数特性に応じて設定しておくことで、高速運転時において適正に圧力脈動を低減させることが可能となる。なお、このとき、管路状ガス通路71を閉塞している潤滑油がダンパーになって脈動波を多少吸収することができる。また、閉端管となっている管路状ガス通路71からの反射波により、吐出口27の上流側や絞り部70の上流側において脈動波の減衰も可能となる。
一方、スクロール圧縮機401の低速運転時、すなわち、旋回スクロール15の公転旋回運動の速度が低速である場合には、吸入室39側に戻される潤滑油の量が吐出室41に吐出される潤滑油の量をうわまわる。これにより、潤滑油貯留部478に貯留されていた潤滑油は、徐々に減少していき、管路状ガス通路71の閉塞状態が解消される。この結果、管路状ガス通路71を介して吐出口27に至る流路と、絞り部376及び管路状ガス通路377を介して吐出口27に至る流路の2系統により冷媒ガスの導出が行われる。これにより、各流路を流動してきた冷媒ガスが吐出口27の上流側で干渉し、互いの脈動を打ち消し合うため、吐出口27から外部に導出される冷媒ガスの圧力脈動を効果的に減衰することができる。
以上で説明した本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機401によれば、旋回スクロール15に回転力を伝達する駆動軸16を備え、駆動軸16は、水平方向に沿って設けられ、管路状ガス通路71及び管路状ガス通路377のうち鉛直方向下方の管路状ガス通路71は、冷媒ガスに含有される潤滑油を貯留することで冷媒ガスの通過を抑制可能な潤滑油貯留部478を有する。したがって、鉛直方向下方の管路状ガス通路71に潤滑油貯留部478を設けたことで、吐出室41への潤滑油の吐出量が多い高速運転時には、潤滑油貯留部478に潤滑油が貯留され、管路状ガス通路71が閉塞され、2系統の流路のうち鉛直方向上方の管路状ガス通路377を介した流路のみにより冷媒ガスの導出が行われる。そして、吐出室41への潤滑油の吐出量が少ない低速運転時には、潤滑油貯留部478における管路状ガス通路71の閉塞状態が解消され、管路状ガス通路71を介して吐出口27に至る流路と、絞り部376及び管路状ガス通路377を介して吐出口27に至る流路の2系統により冷媒ガスの導出が行われる。この結果、スクロール圧縮機401の運転状態に応じて冷媒ガスの流路を変更することが可能となり、各運転状態に応じて適正な圧力脈動低減特性を得ることができる。また、潤滑油貯留部478の厚みtを適宜変更することで、路状ガス通路71を閉塞させたい周波数に対応することができる。
なお、上述した本発明の実施例に係る圧縮機及び空気調和装置は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、本発明の圧縮機を空気調和装置に適用した場合で説明したが冷凍装置などに適用してもよい。また、以上の説明では、参考例の圧縮機の圧縮機構12は、固定スクロール14、旋回スクロール15、圧縮室40により構成されるスクロール型の圧縮機構であるものとして説明したが、これに限らず、例えば、ロ−リングピストン型の圧縮機構を用いてもよい。
また、以上の説明では、吐出室、絞り部及び流体通路は、リアケース側リブ72の先端と固定スクロール側リブ73の先端が互いに当接することで画成されるものとして説明したが、リブはどちらか一方だけでもよく、例えば、端板44にのみリブを設けた場合には先端がリアケース22の内面に当接するようにすればよい。
また、以上の説明では、スクロール圧縮機201、301、401において、流体通路は2本であるものとして説明したが、3本以上であってもよい。例えば、3本設ける場合には、管路状ガス通路71内方にこの管路状ガス通路71に沿ってもう1本の流体通路を設ければよい。また、スクロール圧縮機401において、潤滑油貯留部478は、管路状ガス通路71の鉛直方向の厚みtを他の部分よりも薄くすることで、潤滑油を貯留して管路状ガス通路71を閉塞しやすい形状にしたが、管路状ガス通路71の湾曲を鋭角的にすることで、潤滑油がたまりやすく閉塞しやすい形状としてもよい。また、流体通路の途中にさらに絞り部を設けるようにしてもよいし、流体通路の通路断面が一定でなくてもよい。また、流体通路を直線状に設けてもよい。
本発明に係る圧縮機及び空気調和装置は、簡単な構造で流体の圧力脈動を十分に減衰して装置の損傷を防止するものであり、種々の密閉型圧縮機及び空気調和装置に適用して有用である。
本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図である。 本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機の断面図である。 本発明の参考例1に係るスクロール圧縮機を適用した空気調和装置の冷媒回路図である。 本発明の参考例2に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図である。 本発明の参考例3に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図である。 本発明の実施例1に係るスクロール圧縮機の吐出室の断面図である。
1、201、301、401 スクロール圧縮機(圧縮機)
2 空気調和装置
11 ハウジング
12 圧縮機構
13 駆動装置
14 固定スクロール
15 旋回スクロール
16 駆動軸
21 フロントケース(ハウジング)
22 リアケース(ハウジング)
27 吐出口
40 圧縮室
41 吐出室
44、50 端板
45、51 渦巻状ラップ
46 吐出ポート
47 吐出弁
60 偏心部
70、274、376 絞り部
71、275、377 管路状ガス通路(流体通路)
72 リアケース側リブ(リブ)
73 固定スクロール側リブ(リブ)
100 コンデンサ
200 膨張弁
300 エバポレータ
478 潤滑油貯留部

Claims (6)

  1. ハウジングと、
    ハウジング内に設けられ圧縮室で圧縮された流体を吐出する吐出ポートと、
    前記吐出ポートに連通し前記流体を膨張させる吐出室と、
    前記吐出室に連通し前記流体の流路面積を絞る絞り部と、
    前記流体をハウジング外に吐出する吐出口と前記絞り部とを連通する所定長さの管路状の流体通路と
    渦巻状の壁体が立設される端板を有し、前記ハウジングに固定して内設される固定スクロールと、
    渦巻状の壁体が立設される端板を有し、該壁体を前記固定スクロールの壁体に噛み合わせた状態で自転が阻止されつつ公転旋回可能に前記ハウジング内に支持される旋回スクロールと、
    前記旋回スクロールに回転力を伝達する駆動軸とを備え、
    前記圧縮室は、前記固定スクロールの端板と前記旋回スクロールの端板との間に設けられ、前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対して公転旋回することで前記流体を圧縮可能であり、
    前記吐出ポートは、前記固定スクロールの端板に形成され、
    前記吐出室は、前記固定スクロールの端板と前記ハウジングとによりに形成され、
    前記流体通路は、複数設けられ、
    前記駆動軸は、水平方向に沿って設けられ、
    前記複数の流体通路のうち鉛直方向下方の流体通路は、前記流体に含有される潤滑油を貯留することで前記流体の通過を抑制可能な潤滑油貯留部を有することを特徴とする、
    圧縮機。
  2. 前記固定スクロールの端板又は前記ハウジングにリブが立設されることで該リブの内方に前記吐出室が画成されると共に外方に前記流体通路が画成されることを特徴とする、
    請求項に記載の圧縮機。
  3. 前記ハウジングは、円筒形状をなし、内側に湾曲状の前記リブが形成されることで前記吐出室の周囲に湾曲状の前記流体通路が設けられることを特徴とする、
    請求項に記載の圧縮機。
  4. 前記流体通路は、複数設けられ、
    前記複数の流体通路は、長さが等しく設定されることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の圧縮機。
  5. 前記流体通路は、複数設けられ、
    前記複数の流体通路は、長さが不等長に設定されることを特徴とする、
    請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の圧縮機。
  6. ハウジングと、ハウジング内に設けられ圧縮室で圧縮された冷媒を吐出する吐出ポートと、前記吐出ポートに連通し、前記冷媒を膨張させる吐出室と、前記吐出室に連通し、前記冷媒の流路面積を絞る絞り部と、前記冷媒をハウジング外に吐出する吐出口と前記絞り部と連通する所定長さの管路状の流体通路と、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、前記ハウジングに固定して内設される固定スクロールと、渦巻状の壁体が立設される端板を有し、該壁体を前記固定スクロールの壁体に噛み合わせた状態で自転が阻止されつつ公転旋回可能に前記ハウジング内に支持される旋回スクロールと、前記旋回スクロールに回転力を伝達する駆動軸とを有する圧縮機と、
    前記圧縮機から吐出された冷媒を凝縮液化させるコンデンサと、
    前記コンデンサで液化された冷媒を減圧及び膨張させて低温低圧の液冷媒とする膨張弁と、
    前記膨張弁を通過した低温低圧の液冷媒と空気とを熱交換させるエバポレータとを備え
    前記圧縮室は、前記固定スクロールの端板と前記旋回スクロールの端板との間に設けられ、前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対して公転旋回することで前記冷媒を圧縮可能であり、
    前記吐出ポートは、前記固定スクロールの端板に形成され、
    前記吐出室は、前記固定スクロールの端板と前記ハウジングとによりに形成され、
    前記流体通路は、複数設けられ、
    前記駆動軸は、水平方向に沿って設けられ、
    前記複数の流体通路のうち鉛直方向下方の流体通路は、前記冷媒に含有される潤滑油を貯留することで前記冷媒の通過を抑制可能な潤滑油貯留部を有することを特徴とする、
    空気調和装置。
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