JP4909089B2 - ズームレンズ及びそれを有する撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明はズームレンズに関し、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に好適なものである。
固体撮像素子を用いたビデオカメラ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置(カメラ)には小型で高ズーム比のズームレンズが求められている。
この種のカメラには、レンズ最後部と固体撮像素子との間に、ローパスフィルターや色補正フィルターなどの各種の光学部材が配置される。
このため、これらのカメラに用いるズームレンズには、比較的バックフォーカスが長いことが要望されている。
又、カラー画像用の固体撮像素子を用いたカラーカメラの場合、色シェーディングを避けるため、像側のテレセントリック特性の良いものが望まれている。
全系が小型でバックフォーカスが長く、しかも像側のテレセントリック特性の良いズームレンズとして、負の屈折力のレンズ群が先行する(物体側に位置する)ネガティブリード型のズームレンズがある。
ネガティブリード型のバックフォーカスの長いズームレンズとして、物体側より像側へ順に負の屈折力の第1レンズ群と正の屈折力の第2レンズ群より成り、双方のレンズ群を移動してズーミングを行う2群ズームレンズが知られている(特許文献1〜3)。
又、ネガティブリード型で、像側がテレセントリック特性の良いズームレンズとして、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、および正の屈折力の第3レンズ群より成る3群ズームレンズが知られている(特許文献4、5)。
特許文献4、5では最も物体側の第1レンズ群を1枚の負レンズと、1枚の正レンズで構成し、色消し構成とし、全系の小型化を図った実施例を開示している。
又、3群ズームレンズにおいて第1レンズ群中の負の屈折力のレンズの物体側と像側の面を非球面形状とすることで、構成レンズ枚数の少ない3群ズームレンズが知られている(特許文献6)。
特開平05−249374号公報 特開2003−131128号公報 特開2004−102211号公報 特開2001−66503号公報 特開2001−281545号公報 特開2002−55278号公報
ネガティブリード型の2群又は3群又はそれ以上のレンズ群を有するズームレンズにて全系の小型化を図るには各レンズ群の屈折力を強めるのが有効である。
しかしながら各レンズ群の屈折力を単に強めると、ズーミングに伴う収差変動が増大し、全ズーム範囲において高い光学性能を得るのが困難になってくる。
例えば広画角化及び高ズーム比化を図ろうとすると、ズーミングに伴う収差変動が増大し、全ズーム領域で高い光学性能を得るのが困難になる。
このため、ネガティブリード型の2群又は3群又はそれ以上のレンズ群より成るズームレンズにおいて、全系の小型化を図りつつ、広画角化そして広ズーム比化を図るには、各レンズ群のレンズ構成を適切に設定することが重要になってくる。
特に負の屈折力の第1レンズ群のレンズ構成はズーミングにおける収差変動を少なくしつつ、全ズーム領域において高い光学性能を得るのに重要である。
例えば負の屈折力の第1レンズ群のレンズ構成を適切に設定しないと、色収差の発生が多くなり、ズーミングに伴う色収差の変動が多くなり、全ズーム範囲にわたり高い光学性能を得るのが難しくなる。
本発明は、レンズ系全体がコンパクトで、広画角、高ズーム比のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群を有し、広角端に比べて望遠端において前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が狭くなるズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は1枚の負レンズと1枚の正レンズより構成され、前記第1レンズ群の負レンズの材料の屈折率とアッベ数を各々N1n、ν1n、前記第1レンズ群の正レンズの材料のアッベ数をν1p、前記第1レンズ群の焦点距離をf1、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
ν1p<18.5
2.0<|f1|/fw<2.8
1.83<N1n
27<ν1n
なる条件を満足することを特徴としている。
本発明によれば、レンズ系全体がコンパクトで、高ズーム比のズームレンズ及びそれを有する撮像装置が得られる。
以下、本発明のズームレンズ及びそれを有する撮像装置の実施例について説明する。
図1は本発明の実施例1のズームレンズの広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図、図2、図3、図4はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端(長焦点距離端)における収差図である。実施例1はズーム比3.58、開口比2.89〜5.70程度のズームレンズである。
図5は本発明の実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図、図6、図7、図8はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。実施例2はズーム比3.85、開口比2.82〜5.67程度のズームレンズである。
図9は本発明の実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図、図10、図11、図12はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。実施例3はズーム比3.82、開口比2.88〜5.90程度のズームレンズである。
図13は本発明の実施例4のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図、図14、図15、図16はそれぞれ実施例4のズームレンズの広角端、中間のズーム位置、望遠端における収差図である。実施例6はズーム比3.80、開口比3.50〜7.00程度のズームレンズである。
図17は本発明のズームレンズを備えるデジタルスチルカメラの要部概略図である。
各実施例のズームレンズは撮像装置に用いられる撮影レンズ系であり、レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。
レンズ断面図において、iは物体側から像側への各レンズ群の順序を示し、Liは第iレンズ群である。
まず実施例1〜3のズームレンズの特徴について説明する。
図1、図5、図9のレンズ断面図において、L1は負の屈折力(光学的パワー=焦点距離の逆数)の第1レンズ群、L2は正の屈折力の第2レンズ群、L3は正の屈折力の第3レンズ群である。
SPは開放Fナンバー(Fno)光束を決定(制限)する開口絞りの作用をするFナンバー決定部材(以下「開口絞り」ともいう。)である。
Gは光学フィルター、フェースプレート、水晶ローパスフィルター、赤外カットフィルター等に相当する光学ブロックである。IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が置かれる。
又、銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際にはフィルム面に相当する感光面が置かれている。
収差図において、d、gは各々d線及びg線、ΔM、ΔSはメリディオナル像面、サジタル像面、倍率色収差はg線によって表している。
尚、以下の各実施例において広角端と望遠端は変倍用レンズ群(第2レンズ群L2)が機構上、光軸上移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
各実施例のズームレンズでは、広角端から望遠端のズーム位置へのズーミングに際して、第1レンズ群L1が像側に凸状の軌跡で略往復移動、第2レンズ群L2が物体側に移動し、第3レンズ群L3は像側に移動している。
このとき広角端に比べ望遠端での第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が小さく、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔が大きくなるように各レンズ群が移動してズーミングを行っている。
各実施例のズームレンズは、第2レンズ群L2の移動により主な変倍を行い、第1レンズ群L1の往復移動によって変倍に伴う像点の移動を補正している。
Fナンバー決定部材SPは、光軸方向に関して、第2レンズ群L2の最も物体側に配置されたレンズG21の物体側頂点と、レンズG21の物体側の面と外周部(コバ部)との交点との間に配置している。
このように、Fナンバー決定部材SPを第2レンズ群L2中に置き、ズーミングに際して第2レンズ群L2と共に移動させて広角側での入射瞳と第1レンズ群L1との距離を縮めている。
開口絞りSPをこのように配置することにより望遠端における第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が詰められるため、ズーミングのための第2レンズ群L2の物体側への移動量を十分確保することができる。これにより高ズーム化としながら望遠端におけるレンズ全長の増大を防いでいる。
なお光量調節を行うためには第2レンズ群L2の像側に小絞り可能な絞りユニットもしくはNDフィルターの挿脱手段等を設けるのが良い。
次に図13の実施例4のズームレンズについて説明する。
図13において図1、図5、図9で示したのと同じ部材には同符号を付している。実施例4は、実施例1〜3の3群ズームレンズに比べて第3レンズ群を有していなく、2つのレンズ群より構成した2群ズームレンズである点が異なっている。
この他の構成は実施例1〜3と同じである。
図13に示すように、実施例4のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2の2つのレンズ群で構成している。
そして広角端から望遠端へのズーミングに際して、第1レンズ群L1が像側に凸状の軌跡を有して移動し、第2レンズ群L2が物体側に移動する。
実施例4のズームレンズは、第2レンズ群L2の移動により主な変倍を行い、第1レンズ群L1の移動によって変倍に伴う像点の移動を補正している。 各実施例のズームレンズは、物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2を有し、広角端に比べ望遠端での第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が狭まるズームレンズである。そして、第1レンズ群L1は1枚の負レンズと1枚の正レンズにて構成されている。第1レンズ群L1の正レンズの材料のアッベ数をν1p、第1レンズ群の焦点距離をf1、広角端における全系の焦点距離をfwとする。このとき
ν1p<18.5 ‥‥‥(1)
2.0<|f1|/fw<2.8 ‥‥‥(2)
なる条件を満足している。
ここで条件式(1)は第1レンズ群L1の正レンズの材料のアッベ数を規定する式である。上限値を超えてアッベ数が大きすぎるすなわち分散が小さいと色収差の補正のために第1レンズ群L1を構成するレンズの屈折力を強めなければならない。そうすると広角側において像面湾曲、歪曲収差、望遠側において球面収差、コマ収差等が多く発生してくるので良くない。
条件式(2)は第1レンズ群L1の焦点距離を規定する式である。下限値を超えて焦点距離が短すぎると、すなわち屈折力が強すぎると第1レンズ群L1の負レンズから広角側において像面湾曲、歪曲収差、望遠側において球面収差、コマ収差が多く発生し、これを第1レンズ群L1の2枚のレンズで補正することが難しくなる。
収差補正のために構成レンズ枚数を増やせば良いが、そうすると第1レンズ群L1が大型化するためよくない。
上限値を超えて焦点距離が長すぎると、すなわち屈折力が小さすぎるとレトロフォーカスタイプの屈折力配置が弱まり像側にフィルター等の光学ブロックを挿入するための長さのバックフォーカスを確保するのが困難となる。 以上のように本発明によれば、ネガティブリード型のズームレンズにおいて高ズーム比でズーム全域に渡って諸収差が良好に補正されバックフォーカスの長いコンパクトなズームレンズが得られる。
尚、各実施例のズームレンズにおいて、更に良好なる光学性能を得るため、又はレンズ系全体の小型化を図りつつ、高い光学性能を得る為には、次の構成のうちの1つ以上を間満足するのがより好ましい。これによれば、各構成に相当する効果が得られる。 第1レンズ群L1の正レンズの材料の屈折率をN1pとする。
第1レンズ群L1の負レンズの材料の屈折率と、アッベ数を各々N1n、ν1nとする。
第1レンズ群L1の正レンズの焦点距離をf1pとする。
第2レンズ群L2の焦点距離をf2とする。
第1レンズ群L1の最も物体側のレンズ面の頂点から最も像側のレンズ面の頂点までの距離をL1とする。
第2レンズ群L2の広角端から望遠端のズーム位置までの光軸方向の移動量をm2とする。
第2レンズ群L2の像側に正の屈折力の第3レンズ群を有するときには、第3レンズ群L3の焦点距離をf3とする。
このときには、
1.93<N1p ‥‥‥(3)
1.83<N1n ‥‥‥(4)
27<ν1n ‥‥‥(5)
0.9<f1p/|f1|<2.2 ‥‥‥(6)
1.3<f2/fw<2.4 ‥‥‥(7)
0.6<L1/fw<1.3 ‥‥‥(8)
1.90<m2/fw<3.2 ‥‥‥(9)
4.0<f3/fw<7.0 ‥‥‥(10)

なる条件のうち1以上を満足するのがより好ましい。
条件式(3)は第1レンズ群L1を構成する正レンズの材料の屈折率を規定する式である。下限値を超えて屈折率が低くなると正レンズを所望の屈折力としたときのレンズ中心厚みが増大し小型化の点で課題を有する。
条件式(4)は第1レンズ群L1を構成する負レンズの材料の屈折率を規定する式である。下限値を超えて屈折率が低くなると負レンズを所望の屈折力としたときのレンズ周辺厚みが増大してくる。負レンズを例えばガラスモールド非球面レンズとする場合は周辺厚みに対してある程度中心の厚みをとらないと離型時に融着が起こりやすい。よって外周部が厚くなると中心部も厚くする必要があり小型化が難しくなる。またレンズ面の曲率がきつくなりすぎ非球面形状としても広角側において像面彎曲、歪曲収差が補正不足となってくる。
条件式(5)は第1レンズ群L1を構成する負レンズの材料のアッベ数を規定する式である。下限値を超えてアッベ数が小さすぎると、すなわち分散が大きすぎると広角側において倍率色収差、望遠側において軸上色収差の発生が多くなる。
条件式(6)は第1レンズ群L1を構成する正レンズの焦点距離を規定する式である。下限値を超えて焦点距離が短すぎる場合は望遠側において球面収差の発生が多くなる。上限値を超えて焦点距離が長すぎる場合はズーム全域における倍率色収差、望遠側において軸上色収差が補正不足となる。
条件式(7)は第2レンズ群L2の焦点距離を規定する式である。下限値を超えて焦点距離が短すぎる場合はペッツバール和が大きくなりすぎて像面湾曲がアンダーとなってくる。又上限値を超えて焦点距離が長すぎる場合、変倍のための第2レンズ群L2の移動量が増大し、望遠側においてレンズ全長が増大してくる。
条件式(8)は第1レンズ群L1の光軸上の厚みを規定する式である。下限値を超えて第1レンズ群L1が薄すぎる場合は第1レンズ群L1を構成する負レンズと正レンズの間隔が短すぎて、第1レンズ群L1を物体側から順に負、正のレンズより成るレトロフォーカス型とした光学的効果が薄れる。
第1レンズ群L1をレトロフォーカス型のレンズ系とすることで後側主点位置を像側に設定でき望遠端において第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔を確保するのが容易となる。
下限値を超えると、このときの第1レンズ群L1の後側主点位置を十分像側に設定するのが難しくなり望遠側において、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2とが干渉しやすくなる。
干渉しないようにすると高ズーム比が得られなくなってくる。上限値を超えて第1レンズ群L1が厚すぎる場合は前玉径が増大してくる。
条件式(9)は第2レンズ群L2のズーミングに伴う光軸方向の移動量を規定する式である。下限値を超えて移動量が小さすぎる場合は高変倍比を得るために第2レンズ群L2の屈折力を強めなければならない。
このときペッツバール和が大きくなりすぎ像面湾曲がアンダーとなってくる。上限値を超えて移動量が大きすぎる場合は望遠端において全長が長すぎ小型化が難しくなってくる。また望遠端にて絞りから像面までの距離が長すぎるためFナンバーが暗くなってくる。
条件式(10)は、第2レンズ群L2の像側に第3レンズ群L3を有する場合の第3レンズ群L3の焦点距離を規定する式である。
下限値を超えて焦点距離が短すぎると倍率色収差の発生が多くなる。上限値を超えて焦点距離が長すぎるとフィールドレンズとしての光学作用が薄れ射出瞳を像面から遠ざけるのが難しくなり、固定撮像素子を用いた場合に周辺部の光量が低下してくる。
各実施例において、更に好ましくは、条件式(1)〜(10)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
ν1p<18.2 ‥‥‥(1a)
2.1<f1/fw<2.7 ‥‥‥(2a)
1.940<N1p ‥‥‥(3a)
1.840<N1n ‥‥‥(4a)
28<ν1n ‥‥‥(5a)
1.0<f1p/|f1|<2.1 ‥‥‥(6a)
1.5<f2/fw<2.2 ‥‥‥(7a)
0.70<L1/fw<1.20 ‥‥‥(8a)
2.10<m2/fw<3.10 ‥‥‥(9a)
4.3<f3/fw<6.5 ‥‥‥(10a)
以上のように、各実施例によれば、前述の如くレンズ群を構成することにより高ズーム比(例えばズーム比3.5以上)、広画角(例えば画角50度以上)で高い光学性能を有したズームレンズが得られる。
次に、実施例1〜3のレンズ構成の具体的な特徴について説明する。
第1レンズ群L1は物体側より像側へ順に、像側の面が凹形状の負レンズG11、物体側の面が凸でメニスカス形状の正レンズG12で構成している。このような構成により少ないレンズ枚数としてレンズ系全体の小型化を図りながら諸収差を良好に補正している。
又、1以上の非球面を用いている。これにより広角側のズーム領域において歪曲収差、像面彎曲、そして望遠側の球面収差等を良好に補正している。
図1の実施例1では負レンズG11の両面を非球面形状としている。
図5、図9の実施例2、3では負レンズG11の像側の面を非球面形状としている。負レンズG11の像側のレンズ面の非球面形状は周辺に向かって曲率が緩くなるような形状であり、これによって諸収差の補正を行っている。
第1レンズ群L1の正レンズG12に超高分散材料を用いている。全系の小型化を図るには、各レンズ群L1、L2の屈折力を強めるのが有効である。第1レンズ群L1の屈折力を強めたうえで第1レンズ群L1内にて色消しを行なおうとすると負レンズG11、正レンズG12ともに屈折力が強まる傾向にある。
そこで各実施例では正レンズG12の材料にアッベ数が極めて小さい高分散材料(アッベ数で18.5以下)を用いることで負レンズG11とのアッベ数の差を大きく設定し負レンズG11、正レンズG12の屈折力を極力緩めている。
これにより第1レンズ群L1にて発生する広角側の像面彎曲、歪曲収差を低減し、全系の小型化と高性能化を両立している。
また各実施例では、第1レンズ群L1の負レンズG11、正レンズG12ともに高屈折率(屈折率1.83以上)材料を用いている。
高屈折率とすることで所望の屈折力としながらレンズの薄型化が図れるばかりでなく、望遠側において高次の球面収差の補正を容易にしている。
また正レンズG12の材料には部分分散比が比較的大きい材料を用いている。これにより望遠側において二次スペクトルの発生が少なくなるようにしている。
第2レンズ群は正レンズと負レンズから成る正の屈折力の接合レンズを1以上有している。
具体的には、第2レンズ群L2は、物体側より像側へ順に、正レンズG21と負レンズG22からなる正の接合レンズG25、負レンズG23と正レンズG24からなる正の接合レンズG26で構成している。
第2レンズ群L2は変倍に伴う収差変動が起こりやすいので比較的対称なレンズ構成とすることで変倍時の収差変動を低減している。第2レンズ群L2は中間のズーム位置で等倍としている。第2レンズ群L2はトリプレットの発展形である正、負、負、正レンズの構成とし、諸収差を良好に補正しつつ、変倍による収差変動を小さくしている。特に高変倍とする場合には第2レンズ群L2をこのようなレンズ構成とするのが収差補正上有効である。
第2レンズ群L2中の最も物体側の正レンズG21は、第1レンズ群L1を射出した軸外主光線が大きく屈折して軸外諸収差が多く発生しないように物体側の面を凸形状にしている。
また、第1レンズ群L1を発散状態で射出した軸上光束に対して球面収差の発生量を抑えるためにも正レンズG21の物体側の面を凸形状としている。更に物体側のレンズ面を非球面形状とするのが良く、これによれば大口径化した際の球面収差を良好に補正することができる。
さらに負レンズG22は像側の面が凹形状である。これにより正レンズG21の物体側のレンズ面で発生するコマ収差を負レンズG22の像側のレンズ面で補正している。
正レンズG21と負レンズG22を以上の形状とすることで球面収差とコマ収差をともに良好に補正している。
なお正レンズG21と負レンズG22で構成される接合レンズG25は全体としてメニスカス形状となるため屈折力をあまり強められない。そこで各実施例では第2レンズ群L2の正の屈折力を主に像側の接合レンズG26に分担させている。
以上のような構成とすることで高ズーム比化に伴う第2レンズ群L2の収差の発生を全ズーム域で低減するとともにレンズ構成の薄型化を図っている。
なお正レンズG21と負レンズG22は必ずしも接合レンズを構成する必要はなく、球面収差、コマ収差が良好に補正される範囲内で分離してもよい。また物体側の面が凸でメニスカス形状のレンズ1枚で置き換えても構わない。このとき色収差を接合レンズG26で補正するようにすればよい。
第3レンズ群L3は正の屈折力を有しており、固体撮像素子等を用いた撮影装置に必要な像側のテレセントリックな結像を、第3レンズ群L3にフィールドレンズの役割を持たせることで達成している。
なお第3レンズ群L3は広角端から望遠端へのズーミングに際して像側に移動させているが、各実施例のズームレンズとしてはズーミングのためには不動としても良い。不動とすると駆動のために必要なメカ部材、アクチュエーター等が不要となる。
またズーミング中移動する場合は広角端から望遠端に向かって極端に物体側に移動させない方がよい。第3レンズ群L3が物体側へ移動すると第3レンズ群L3の倍率が低下するため全系のズーム比を低下させてしまう。
よって高ズーム化を図るためには広角端から望遠端に向かって第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が広がるように構成するのが良い。さらに第3レンズ群L3を広角端から望遠端に向かって像側に移動させると変倍作用がより高まるという効果がある。
また、各実施例のズームレンズでは、フォーカシングを構成レンズ枚数が少ない第3レンズ群L3で行うのが良い。これによればフォーカスレンズユニットが小型化され好ましい。
尚、以上の各実施例においては、ズーミングに際して3つのレンズ群を移動させていた。この代わりに、各レンズ群の間隔が変化するように2つのレンズ群(例えば第1と第2レンズ群、又は第1と第3レンズ群又は第2と第3レンズ群)を移動させるズームタイプにも適用できる。
又、第1レンズ群L1の物体側又は/及び第3レンズ群L3の像側に屈折力の小さなレンズ群を付加しても良い。
又、各実施例のズームレンズは、負、正、正の屈折力のレンズ群より成る3群構成に限定されるものではない。第2レンズ群を正、正のレンズ群に分割した負、正、正、正の屈折力のレンズ群より成る4群構成や、第2レンズ群を正、負のレンズ群構成に分割した負、正、負、正の屈折力のレンズ群より成る4群構成にも適用される。 又、4群以上のレンズ群も同様に適用することができる。
次に図13の実施例4について説明する。実施例4において第1レンズ群L1と、第2レンズ群L2の構成は基本的に図1、図5、図9の実施例1〜3と同様である。非撮影時にレンズ群の間隔を短縮して小型化を図る沈胴方式が知られているが実施例4では第3レンズ群がない分沈胴時の全長が短縮され撮像装置の小型化の点で有利である。
フォーカスは第1レンズ群L1を用いて行っている。
実施例4においては、第1レンズ群L1の物体側又は/及び第2レンズ群L2の像側に屈折力の小さなレンズ群を付加しても良い。
さらに、実施例4のズームレンズは負、正のレンズ群より成る2群ズームレンズの構成に限定されるものではない。例えば第2レンズ群L2を正、正のレンズ群に分割した負、正、正のレンズ群より成る3群構成や、第2レンズ群L2を正、負のレンズ群に分割した負、正、負のレンズ群より成る3群構成にも適用されるものである。
以下に、本発明の数値実施例を示す。各数値実施例において、iは物体側からの面の順序を示し、Riはレンズ面の曲率半径、Diは第i面と第i+1面との間のレンズ肉厚および空気間隔、Ni、νiはそれぞれd線に対する屈折率、アッベ数を示す。また、もっとも像側の2面は水晶ローパスフィルター、赤外カットフィルター等のフィルター部材である。また、B,C,D,E,Fは非球面係数である。非球面形状は光軸からの高さHの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとするとき
Figure 0004909089
で表される。但しRは曲率半径、Kは円錐定数である。
又、「e−0X」は「×10−x」を意味している。fは焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角を示す。また前述の各条件式と各数値実施例との関係を表1に示す。
数値実施例1〜4においてD5の値が負となっているが、これが物体側から順に、Fナンバー決定部材(開口絞り)、第2レンズ群L2のレンズG21と数えた為である。具体的な構成としては図1、図5、図9、図13に示すように、Fナンバー決定部材(開口絞り)SPが第2レンズ群L2の物体側のレンズG21のレンズ面の物体側頂点よりも絶対値D5だけ像側に位置していることを示している。
[数値実施例1]
f=4.73〜 16.95 Fno= 2.89 〜 5.70 2ω=70.6゜ 〜 22.4゜
R 1 = 29.729 D 1 = 1.35 N 1 = 1.848620 ν 1 = 40.4
R 2 = 4.887 D 2 = 2.69
R 3 = 8.790 D 3 = 1.50 N 2 = 1.945950 ν 2 = 18.0
R 4 = 13.740 D 4 = 可変
R 5 = 絞り D 5 = -0.49
R 6 = 4.196 D 6 = 1.90 N 3 = 1.783423 ν 3 = 45.9
R 7 = 6.215 D 7 = 0.60 N 4 = 1.698947 ν 4 = 30.1
R 8 = 3.678 D 8 = 0.51
R 9 = 7.918 D 9 = 0.50 N 5 = 1.846660 ν 5 = 23.9
R10 = 4.043 D10 = 2.15 N 6 = 1.638539 ν 6 = 55.4
R11 = -15.225 D11 = 可変
R12 = 14.878 D12 = 1.35 N 7 = 1.622992 ν 7 = 58.2
R13 = 89.039 D13 = 可変
R14 = ∞ D14 = 0.80 N 8 = 1.516330 ν 8 = 64.1
R15 = ∞

\焦点距離 4.73 10.75 16.95
可変間隔\
D 4 14.27 3.77 0.83
D11 3.77 10.78

非球面係数
R1 k=-7.50224e+00 B=9.18146e-05 C=2.40557e-06 D=-6.69411e-08
E=4.62065e-10 F=0
R2 k=-2.03956e+00 B=1.63749e-03 C=-1.08551e-05 D=5.79941e-07
E=-1.14835e-08 F=0
R6 k=-3.33536e-01 B=-7.17021e-05 C=4.42696e-06 D=0.00000e+00
E=-3.50000e-08 F=1.90000e-9
[数値実施例2]
f=5.93〜 22.82 Fno= 2.82 〜 5.67 2ω=58.9゜ 〜 16.7゜
R 1 = 52.791 D 1 = 1.45 N 1 = 1.903660 ν 1 = 31.3
R 2 = 5.820 D 2 = 1.80
R 3 = 10.001 D 3 = 1.95 N 2 = 1.945950 ν 2 = 18.0
R 4 = 25.178 D 4 = 可変
R 5 = 絞り D 5 = -0.50
R 6 = 4.645 D 6 = 1.94 N 3 = 1.859610 ν 3 = 40.3
R 7 = 14.399 D 7 = 0.50 N 4 = 1.728250 ν 4 = 28.5
R 8 = 3.929 D 8 = 0.83
R 9 = 10.581 D 9 = 0.50 N 5 = 2.003300 ν 5 = 28.3
R10 = 5.243 D10 = 1.80 N 6 = 1.772499 ν 6 = 49.6
R11 = -35.672 D11 = 可変
R12 = 14.244 D12 = 1.50 N 7 = 1.487490 ν 7 = 70.2
R13 = 1505.401 D13 = 可変
R14 = ∞ D14 = 1.28 N 8 = 1.516330 ν 8 = 64.1
R15 = ∞

\焦点距離 5.93 14.36 22.82
可変間隔\
D 4 20.78 5.69 1.75
D11 7.51 16.17 24.82
D13 2.58 2.53 2.48

非球面係数
R2 k=-2.01603e+00 B=8.90768e-04 C=-8.23640e-06 D=1.16620e-07
E=-9.45604e-10 F=0
R6 k=-4.32757e-01 B=1.96970e-04 C=5.68850e-06 D=3.97996e-07
E=0.00000e+00 F=0
[数値実施例3]
f=5.95〜 22.74 Fno= 2.88 〜 5.90 2ω=58.7゜ 〜 16.8゜
R 1 = 29.321 D 1 = 1.20 N 1 = 2.100000 ν 1 = 30.0
R 2 = 6.014 D 2 = 1.80
R 3 = 9.822 D 3 = 1.50 N 2 = 2.000000 ν 2 = 16.0
R 4 = 21.412 D 4 = 可変
R 5 = 絞り D 5 = -0.50
R 6 = 4.660 D 6 = 1.94 N 3 = 1.859610 ν 3 = 40.3
R 7 = 26.057 D 7 = 0.50 N 4 = 1.728250 ν 4 = 28.5
R 8 = 3.942 D 8 = 0.83
R 9 = 10.588 D 9 = 0.50 N 5 = 2.003300 ν 5 = 28.3
R10 = 5.404 D10 = 1.80 N 6 = 1.772499 ν 6 = 49.6
R11 = -30.488 D11 = 可変
R12 = 11.996 D12 = 1.50 N 7 = 1.487490 ν 7 = 70.2
R13 = 38.598 D13 = 可変
R14 = ∞ D14 = 1.28 N 8 = 1.516330 ν 8 = 64.1
R15 = ∞

\焦点距離 5.95 14.33 22.74
可変間隔\
D 4 18.57 5.38 1.92
D11 7.80 16.49 25.18
D13 2.11 2.06 2.01

非球面係数
R2 k=-2.11820e+00 B=9.21555e-04 C=-6.72439e-06 D=9.27180e-08
E=-6.77223e-10 F=0
R6 k=-4.25654e-01 B=1.56052e-04 C=5.06920e-06 D=3.32698e-07
E=0.00000e+00 F=0
[数値実施例4]
f=6.90〜 26.20 Fno= 3.50 〜 7.00 2ω=51.8゜ 〜 14.6゜
R 1 = 52.982 D 1 = 1.45 N 1 = 1.900000 ν 1 = 29.0
R 2 = 6.061 D 2 = 1.80
R 3 = 9.542 D 3 = 1.95 N 2 = 1.945950 ν 2 = 18.0
R 4 = 20.252 D 4 = 可変
R 5 = 絞り D 5 = -0.50
R 6 = 4.496 D 6 = 1.94 N 3 = 1.859610 ν 3 = 40.3
R 7 = 6.419 D 7 = 0.50 N 4 = 1.740769 ν 4 = 27.8
R 8 = 4.023 D 8 = 0.83
R 9 = 10.397 D 9 = 0.50 N 5 = 2.003300 ν 5 = 28.3
R10 = 4.320 D10 = 2.20 N 6 = 1.772499 ν 6 = 49.6
R11 = -22.013 D11 = 可変
R12 = ∞ D12 = 1.28 N 7 = 1.516330 ν 7 = 64.1
R13 = ∞

\焦点距離 6.90 16.55 26.20
可変間隔\
D 4 19.25 4.41 0.50
D11 10.70 18.09 25.48

非球面係数
R2 k=-2.27325e+00 B=1.00101e-03 C=-7.11483e-06 D=-9.98470e-08
E=5.82150e-09 F=0
R6 k=-4.53317e-01 B=1.97087e-04 C=5.91654e-06 D=3.57396e-07
E=0.00000e+00 F=0
Figure 0004909089
次に本発明のズームレンズを撮影光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例を図17を用いて説明する。
図17において、20はカメラ本体、21は本発明のズームレンズによって構成された撮影光学系、22はカメラ本体に内蔵され、撮影光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。
23は撮像素子22によって光電変換された被写体像に対応する情報を記録するメモリである。24は液晶ディスプレイパネル等によって構成され、固体撮像素子22上に形成された被写体像を観察するためのファインダーである。
このように本発明のズームレンズをデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用することにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置を実現している。
実施例1のズームレンズの光学断面図 実施例1のズームレンズの広角端での収差図 実施例1のズームレンズの中間のズーム位置での収差図 実施例1のズームレンズ望遠端での収差図 実施例2のズームレンズの光学断面図 実施例2のズームレンズの広角端での収差図 実施例2のズームレンズの中間のズーム位置での収差図 実施例2のズームレンズ望遠端での収差図 実施例3のズームレンズの光学断面図 実施例3のズームレンズの広角端での収差図 実施例3のズームレンズの中間のズーム位置での収差図 実施例3のズームレンズ望遠端での収差図 実施例4のズームレンズの光学断面図 実施例4のズームレンズの広角端での収差図 実施例4のズームレンズの中間のズーム位置での収差図 実施例4のズームレンズ望遠端での収差図 本発明の撮像装置の要部概略図
符号の説明
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
SP Fナンバー決定部材(開口絞り)
IP 像面
G ガラスブロック
d d線
g g線
ΔS サジタル像面
ΔM メリディオナル像面

Claims (8)

  1. 物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群を有し、広角端に比べて望遠端において前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が狭くなるズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は1枚の負レンズと1枚の正レンズより構成され、前記第1レンズ群の負レンズの材料の屈折率とアッベ数を各々N1n、ν1n、前記第1レンズ群の正レンズの材料のアッベ数をν1p、前記第1レンズ群の焦点距離をf1、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
    ν1p<18.5
    2.0<|f1|/fw<2.8
    1.83<N1n
    27<ν1n
    なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 前記第1レンズ群の正レンズの材料の屈折率をN1pとするとき、
    1.93<N1p
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
  3. 前記第1レンズ群の正レンズの焦点距離をf1pとするとき、
    0.9<f1p/|f1|<2.2
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
  4. 前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
    1.3<f2/fw<2.4
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  5. 前記第1レンズ群の最も物体側のレンズ面の頂点から最も像側のレンズ面の頂点までの距離をL1とするとき、
    0.6<L1/fw<1.3
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  6. 広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の光軸方向の移動量をm2とするとき、
    1.90<m2/fw<3.2
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  7. 物体側より像側へ順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群より構成され、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とするとき、
    4.0<f3/fw<7.0
    なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のズームレンズと、該ズームレンズにより形成される像を受光する光電変換素子を有することを特徴とする撮像装置。
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