JP4855536B1 - 防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適し、さらに防錆性にも優れたタッチ入力シートの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、透明な基体シートの両面に各々、透明導電膜、遮光性導電膜、第一フォトレジスト層を順次積層形成した導電性シートを用い、両面同時に第一フォトレジスト層を露光し、現像した後、透明導電膜及び遮光性導電膜を同時にエッチングし、第一フォトレジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜上に防錆剤が添加され且つパターン化された第二フォトレジスト層を積層形成し、中央窓部及び端子部の遮光性導電膜のみをエッチングし、透明導電膜を露出させ、第二フォトレジスト層を剥離後、露出した遮光性導電膜を防錆機能膜で被覆する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適するタッチ入力シートとその製造方法に関する。
従来、透明電極の引き出し端子の各端子上に金属膜を形成した後、入力パネル領域の透明電極パターンと引き出し端子列の金属膜及び透明電極を同時にエッチングして、タッチ入力装置を形成する発明の文献として特許文献1があった。
上記特許文献1の発明は、図6に示すように、ポリエステルフィルム30上にITO膜31からなる透明電極を形成し、その上にフォトレジスト膜32をパターン形成し、次いでフォトレジスト膜32上をマスク33で覆った後、In膜からなる金属膜34を形成し、マスク33を外し、フォトレジスト膜32をレジスト剥離液で除去して、金属膜34をパターン形成するものであり、その後パターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成し(図6(e)参照)、塩化第2鉄水溶液等で金属膜35とITO膜31を同時にエッチング除去し、最後にフォトレジスト膜35をレジスト剥離液で除去する方法の発明である。
特開平5−108264号公報
しかし、特許文献1の方法は、図6(e)のパターン化された金属膜34上に第二のフォトレジスト膜35をパターン形成する際、マスク33の位置が少しでもずれてしまうと、一方の金属膜34は細く他方の金属膜34は太くなり金属膜34が所望の電気抵抗にならない問題があった。したがって、金属膜34が細線で所定の電気抵抗範囲内に収めなければならない狭額縁のタッチ入力シートには適用できない問題があった。
また、静電容量式のタッチ入力シートでは、通常X方向に形成された透明導電膜のパターンとY方向に形成された透明導電膜のパターンとを絶縁層を挟んで積層形成する必要があり、特許文献1の方法では金属膜及び透明電極を両面に位置をあわせて形成することはできないため、作製したタッチ入力シートを二枚、位置をあわせて貼り合わせるなどの工程を経て作製しなければならない問題があった。その結果、生産が低下し、透明窓部の透過率が低くなることや厚みが厚くなってかさばるなどの問題もあった。
したがって、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、狭額縁で透明導電膜パターンが二層の静電容量式のタッチセンサーに適し、さらに防錆性にも優れたタッチ入力シートの製造方法を提供することにある。
本発明の第1態様によれば、透明な基体シートの両面に各々、全面的に透明導電膜、遮光性導電膜、第一フォトレジスト層が順次積層形成された導電性フィルムを得る工程と、
両面同時に前記第一フォトレジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
当該パターン化された第一フォトレジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、
前記第一フォトレジスト層の剥離後、電極パターン及び細線引き回し回路パターンが形成された面上に全面的に第二フォトレジスト層を積層形成する工程と、
両面同時に前記第二フォトレジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
当該パターン化された第二フォトレジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部で各々、前記透明導電膜を露出させる工程と、
前記第二フォトレジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜を防錆機能膜で被覆する工程と、を備えたことを特徴とする防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記防錆機能膜が印刷法により形成されたものである、第1態様の防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記防錆機能膜がフォトプロセスにより形成されたものである、第1態様の防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記透明導電膜がITO膜、前記遮光性導電膜が銅箔である、第1〜3態様のいずれかにの防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法。
本発明のタッチ入力シートの製造方法は、透明な基体シートの両面に各々、全面的に透明導電膜、遮光性導電膜、第一フォトレジスト層が順次積層形成された導電性フィルムを得る工程と、両面同時に前記第一フォトレジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、当該パターン化された第一フォトレジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、を備える。したがって、精巧で微細な細線引き回し回路パターンを形成できるため、非常に狭額縁のタッチ入力シートを製造できる効果がある。
また、第一フォトレジスト層の下層に遮光性導電膜が形成されているため、両面同時に第一フォトレジスト層を露光などの方法でパターン形成する際、該露光の光線が反対面の第一フォトレジスト層に達するのを防ぐことができ、一方の面の第一フォトレジスト層のパターン形成が反対面の第一フォトレジスト層のパターン形成に影響を与えない。したがって、回路パターンおよび細線引き回し回路パターンが基体シートの両面に形成されているタッチ入力シートを生産性よく高品質で製造できる効果がある。なお、その後、中央窓部で各々、電極パターンの遮光性導電膜を除去して透明導電膜を露出させるため、タッチ入力シートの視認性は確保できる。
また、細線引き回し回路パターンは、遮光性導電が残存しているものの、端子部の遮光性導電は除去されて透明導電膜を露出し、又端子部以外の部分は防錆機能膜で被覆される。したがって、細線引き回し回路パターンは、端子部以外は透明導電膜と遮光性導電膜の二層構造が防錆機能膜で被覆されていることにより低抵抗が長期的に維持され、なおかつ、端子部においては遮光性導電膜を除去することにFPCとの電気的接続性が維持される。
本発明に係るタッチ入力シートの一実施例について電極パターンおよび細線引き回し回路パターンを説明する図である。 電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シートからなる透明な基体シートの両面に形成されているタッチ入力シートの例を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートの端子部付近Aを示す部分拡大断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。 フィルムセンサーの中央窓部に形成された電極パターンの形状及び配置態様の一例を説明する平面図である。 特許文献1に記載のタッチ入力装置の電極形成工程を説明するための図である。 端子部で遮光性導電膜が露出した例を示す部分拡大断面図である。 FPCと接続した上からコンフォーマルコートを設けた例を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るタッチ入力シートの一実施例について電極パターンおよび細線引き回し回路パターンを説明する図である。図2は電極パターンおよび細線引き回し回路パターンが一枚の樹脂シートからなる透明な基体シートの両面に形成されているタッチ入力シートの例を示す断面図であり、図3は図2のタッチ入力シートの端子部付近Aを示す部分拡大断面図である。図4(a)〜(k)は図2のタッチ入力シートを製造する工程を示す断面図である。図中、1はタッチ入力シート、6は基体シート、7は中央窓部、8は外枠部、9は透明導電膜、10は電極パターン、11は細線引き回し回路パターン、12は遮光性導電膜、13は端子部、14は防錆機能膜、16は第一フォトレジスト層、17はマスク、18は第二フォトレジスト層、19はマスク、28は第に三フォトレジスト層、29はマスク、32は露光光線を示す。
図1及び図2に示すタッチ入力シート1は、基体シート両面の中央窓部24に透明導電膜3のみからなる電極パターン9が形成され、外枠部22に透明導電膜3および遮光性導電膜1が順次積層された細線引き回し回路パターン10が形成されているタッチ入力シートであって、該細線引き回し回路パターン10の透明導電膜3および遮光性導電膜1が同一幅のパターンで位置ずれなく積層形成されている。
このような透明導電膜3の回路パターンおよび細線引き回し回路パターン10を両面に形成するタッチ入力シート5の製造方法は、まず一枚の樹脂シートからなる透明な基体シート6の両面に各々、全面的に透明導電膜9、遮光性導電膜12、第一フォトレジスト層16が順次積層形成された導電性フィルムを得た(図4(a)参照)後、表裏それぞれ所望のパターンのマスク17を載せ、露光(図4(b)参照)・現像して第一フォトレジスト層16をパターン化する。その際、遮光性導電膜1が反対側の面の露光光線32を遮断するので、同時に違うマスクパターンで露光しても反対側の第一フォトレジスト層16のパターンに影響を及ぼすこともない。したがって、両面同時に露光することが可能なため、第一フォトレジスト層16の表裏の位置あわせがしやすく一回の工程で両面パターン化でき、生産性も向上する。なお、図4(b)に示すマスク17の位置は、第一フォトレジスト層16がネガ型(露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る)の場合を示している。ポジ型(露光されると現像液に対して溶解性が増大し、露光部が除去される)の場合にはマスクで遮光する部分が逆になる。
次いで、塩化第二鉄などのエッチング液で透明導電膜9および遮光性導電膜12を同時にエッチングし、パターン化された第一フォトレジスト層16が積層されていない部分の透明導電膜9及び遮光性導電膜12を除去することにより、基体シート6両面の中央窓部7に各々、透明導電膜9及び遮光性導電膜12が位置ずれなく積層された電極パターン10を形成するとともに、基体シート6両面の外枠部8に各々、透明導電膜9及び遮光性導電膜12が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターン11を形成する(図4(c)参照)。
ところで、基体シート6には伸びの問題がある。それゆえに導電性フィルム両面の第一フォトレジスト層16のパターニングは両面同時露光によるのが適している。何故なら、第一フォトレジスト層16のパターニングを片面ずつ露光して行う場合、片面のパターニングが終了し、露光装置に導電性シートの表裏を入れ替えて再び取り付け際に基体シートに伸びが生ずると、表面の回路パターンと裏面の回路パターンとが位置ずれを起こすことになるからである。図1及び図5に示す例の場合、菱形電極46と菱形電極47との配置関係は相補的であるので、表面の回路パターンと裏面の回路パターンとが位置ずれを起こすと、静電容量式タッチセンサーとして正確に機能しなくなる。
本発明においては、露光の際、遮光性導電膜12が反対側の面の露光光線32を遮断するので、同時に違うマスクパターンで露光しても反対側の第一フォトレジスト層16のパターンに影響を及ぼすこともない。したがって、両面同時に露光することが可能なため、第一フォトレジスト層16の表裏の位置あわせがしやすく一回の工程で両面パターン化でき、生産性も向上する。
なお、表マスク及び裏マスクのアライメントは、両面露光装置の公知のマスクアライメント方法を用いることができる。たとえば、表マスク及び裏マスクにそれぞれマスク用アライメントマークを形成し、カメラ等の光学的に読み込むセンサが、一対のマスク用アライメントマーク同士の重畳状態を読み取ることで表マスク及び裏マスクの相対的な位置情報を得る。そして、得られた位置情報に基づいて、マスク位置調整機構が、一対のマスク用アライメントマーク同士が中心を合わせて重合するように表マスク及び裏マスクを相対的に移動させることで、表マスク及び裏マスクのアライメントを行う方法などである。
前述のエッチングの後、レジスト剥離液でもって第一フォトレジスト層16を剥離し、電極パターン10及び細線引き回し回路パターン11が形成された面上に全面的に第二フォトレジスト層18を全面形成した(図4(d)参照)後、マスク19を載せ、露光(図4(e)参照)・現像して第二フォトレジスト層18をパターン化する(図4(f)参照)。なお、図4(e)に示すマスク19の位置は、第二フォトレジスト層18がネガ型(露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る)の場合を示している。
次いで、酸性化した過酸化水素などの特殊エッチング液でエッチングし、パターン化された第二フォトレジスト層18が積層されていない部分の遮光性導電膜9のみを除去することにより、基体シート両面の中央窓部7及び外枠部8内の端子部13において各々、透明導電膜39を露出させる(図4(g)参照)。
なお、透明導電膜9がアモルファスの材料であれば、該エッチングの前に熱処理などの方法により結晶化させておくのが好ましい。結晶化によりエッチング耐性が向上し、より選択的に遮光性金属膜12のみをエッチングしやすくできるためである。
次いで、レジスト剥離液でもって第二フォトレジスト層18を剥離し、遮光性導電膜9を露出させた(図4(h)参照)後、露出した遮光性導電膜9を覆うように防錆機能膜14を形成した(図4(k)参照)。したがって、細線引き回し回路パターン11は、端子部13以外は透明導電膜9と遮光性導電膜12の二層構造が防錆機能膜14で被覆されていることにより低抵抗が長期的に維持され、なおかつ、端子部13においては遮光性導電膜12を除去することにFPC40との電気的接続性が維持される。
上記防錆についてより詳しく説明すると、防錆機能膜14で被覆されていないと、製品完成後の外部からの腐食性の液、例えば汗液や塩水などが侵入して、あるいは高温高湿などの環境試験下において細線引き回し回路パターン11の遮光性導電膜12の腐食が進み、電気特性が劣化する問題が生ずる。これに対して、本発明のように防錆機能膜14で被覆されていると、製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下においても引き回し回路に腐食が進むことがなく、電気特性を維持できる。従って、静電容量式タッチセンサーなどに適用されるタッチ入力シートのように引き回し回路が細線でかつ長期間に渡って低抵抗を維持しなければならないという用途にも十分に適用できる。また、端子部13については、防錆機能膜14で被覆してしまうとFPC40との導通が取れなくなるので、防錆機能膜14で覆うことはできず、そのままでは端子部13の遮光性導電膜が腐食されてしまう(図7参照)。そのため、FPC40と接続した上からコンフォーマルコート60が必要となり(図8参照)、その分だけ手間や材料を必要とするため製造コストが高くつく。しかし、本発明の場合、電極パターンの遮光性導電膜12を除去する工程のエッチングを利用して端子部13の遮光性導電膜12も除去し、腐食に強い透明導電膜9を露出させるため、製造コストをかけずに端子部13の防錆も図ることができる。
なお、防錆機能膜14の形成方法としては、フォトプロセスにより形成する方法を採用することができる。すなわち、レジスト剥離液でもって第二フォトレジスト層18を剥離し、遮光性導電膜9を露出させた(図4(h)参照)後、電極パターン10及び細線引き回し回路パターン11が形成された面上に全面的に第三フォトレジスト層28を全面形成した(図4(i)参照)後、マスク29を載せ、露光(図4(j)参照)・現像して第三フォトレジスト層28を遮光性導電膜9を覆うようにパターン化し、これを防錆機能膜14とした(図4(k)参照)。なお、図4(j)に示すマスク29の位置は、第三フォトレジスト層28がネガ型(露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部分が残る)の場合を示している。
また、防錆機能膜14の形成方法として、印刷法により形成してもよい。すなわち、レジスト剥離液でもって第二フォトレジスト層18を剥離し、遮光性導電膜9を露出させた(図4(h)参照)後、露出した遮光性導電膜9を覆うように防錆機能膜14を印刷する(図4(k)参照)。
以上の方法により得られたタッチ入力シート1の両面に形成された細線引き回し回路パターン11の端部をFPC40に各々、端子部13において接続すれば、基体シート6を挟んで透明導電膜9からなる電極パターン10が両面に形成された静電容量式タッチセンサーが製造される。
ここでタッチ入力1の中央窓部7に形成される電極パターン9について補足説明する。当該電極パターン9は表裏でパターンが異なる。たとえば、図5に示すように、基体シート6の裏面には、平面視して菱形形状を持つ菱形電極46と、この菱形電極46の複数を図中縦方向(Y方向)に貫く接続配線469とを備えている。複数の菱形電極46と接続配線469とは、相互に電気的に接続されている。また、このような、接続配線469及びそれに貫かれた複数の菱形電極46を一組として、当該一組が図中横方向(X方向)に繰り返し配列される。一方、これと同じようにして、基体シート6の表面には、複数の菱形電極47と、それらを貫く接続配線479とを備えている。ただし、この場合、接続配線479の延在方向は、接続配線469のそれとは異なり、図中横方向(X方向)である。また、それに伴い、接続配線479及びそれに貫かれた複数の菱形電極47からなる一組が、繰り返し配列される方向は、図中縦方向(Y方向)である。そして、図5から明らかなように、菱形電極46は、複数の接続配線479間の隙間を埋めるように配置される一方、菱形電極47は、複数の接続配線469間の隙間を埋めるように配置される。図5では更に、菱形電極46と菱形電極47との配置関係は相補的である。つまり、菱形電極46をマトリクス状に配列する場合に生じる菱形形状の隙間を埋めるように、複数の菱形電極47は配列されているのである。
このようにX方向電極及びY方向電極が平面視して格子を形作るように配置されているので、この格子上のいずれかの位置にユーザの指等が触れれば(例えば、破線丸印FRの位置)、当該指等とそれが触れるX方向電極との間にコンデンサが形成され、また、当該指等とそれが触れるY方向電極との間にコンデンサが形成される。このコンデンサの形成によって、当該のX方向電極及びY方向電極の静電容量は増大する。外部回路の位置検出部は、このような場合において生じる静電容量の変化量、あるいは更には最大の静電容量をもつX方向電極及びY方向電極を検出し、中央窓部7内のどこに触れたかを、特定値たるX座標値及びY座標値の組として取得することが可能となる。
次に、上記タッチ入力シート1を形成する各層について詳細に説明する。
まず、基体シート6は、厚みが30〜2000μm程度の透明な樹脂シートからなり、材質としてはポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などのプラスチックフィルムなどが挙げられる。
透明導電膜9は、インジウムスズ酸化物、亜鉛酸化物などの金属酸化物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。厚みは数十から数百nm程度で形成され、塩化第二鉄などの溶液では遮光性導電膜12とともに容易にエッチングされるが、酸性雰囲気下での過酸化水素水など遮光性導電膜12のエッチング液では容易にエッチングされないことが必要である。そして、80%以上の光線透過率、数mΩから数百Ωの表面抵抗値を示すことが好ましい。また、透明導電膜9は、チオフェンなどの導電性ポリマー膜、金属ナノワイヤやカーボンナノチューブなどを含む導電繊維膜を用いることも可能であり、その場合、各種印刷法や塗装などで形成するとよい。
遮光性導電膜12としては、導電率が高くかつ遮光性の良い単一の金属膜やそれらの合金または化合物などからなる層が挙げられ、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成するとよい。そして、透明導電膜9ではエッチングされないが遮光性導電膜12自身はエッチングされるというエッチャントが存在することも必要である。その好ましい金属の例としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、錫などが挙げられる。とくに銅箔からなる厚み20〜1000nmの金属膜は、導電性、遮光性に優れ、透明導電膜9はエッチングされない酸性雰囲気下での過酸化水素水で容易にエッチングできるほか、FPC40との接続のしやすさも併せ持つため非常に好ましい。より好ましくは、厚み30nm以上である。さらに好ましくは、100〜500nmにするとよい。100nm以上の厚みに設定することで高い導電性の遮光性導電膜12が得られ、500nm以下にすることで取り扱いやすく加工性に優れた遮光性導電膜12が得られるからである。
第一フォトレジスト層16としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、レーザー光線又はメタルハライドランプなどで露光しアルカリ溶液などで現像が可能な厚さ10〜20μmのアクリル系フォトレジスト材料などで構成する。フォトレジスト材料による露光・現像により線幅の細い細線引き回し回路パターン11が確実性よく形成でき、より狭額縁のタッチ入力シート1が製造できるからである。第一フォトレジスト層16の形成方法は、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法のほか、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法、ドライフィルムレジスト法などの各種方法により全面形成した後に露光・現像してパターニングするとよいが、中でもドライフィルムレジスト法がより好ましい。
ドライフィルムレジスト法に用いるドライフィルムレジスト(DFR)は、第一フォトレジスト層16となる感光層がベースフィルムとカバーフィルムによってサンドウィッチされているフィルムである。上記した印刷法、コート法、塗装法などは、片面コーティングしかできず効率が悪いなどの問題があるのに対し、ドライフィルムレジスト法は、カバーフィルムを剥離した後に感光層を加熱ロールで接着する方法であるため、生産性が高く、多様な要求に応じられることから主流になっている。なお、露光は、通常、ベースフィルムの上からマスクを配置して行ない(図示せず)、ベースフィルムを剥離した後に現像を行なう。ドライフィルムレジストのベースフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートなどからなるものを用いることができる。また、ドライフィルムレジストのカバーフィルムとしては、ポリエチレンなどからなるものを用いることができる。
第二フォトレジスト層18の材料及び形成方法は、第一フォトレジスト層16と同様の材料及び形成方法とすることができる。
防錆機能膜14がフォトプロセスによる場合、第一フォトレジスト層16と同様のフォトレジスト材料中に防錆剤が添加されたものを第三フォトレジスト層28として用いるか、あるいは前述のフォトレジスト材料で防錆性に優れたものを第三フォトレジスト層28として用いるとよい。また、第三フォトレジスト層28の形成方法は、第一フォトレジスト層16と同様の形成方法とすることができる。また、防錆機能膜14が印刷法による場合、防錆剤を含有したインキを用いて形成するとよい。防錆剤としては、すでに防錆剤として公知に用いられる材料が使用され、具体例としては、例えばイミダゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ピラゾールなどを用いるとよい。また、これらのハロゲン、アルキル、フェニル置換体などの単環または多環式のアゾール類、アニリンなどの芳香族アミン類、アルキルアミンなどの脂肪族アミン、これらの塩などが挙げられ、また、特に本記載の材料に制限する必要はない。
以上、タッチ入力シートの一実施例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、基体シート6は、図示したようなプラスチックフィルム単層で構成するものに限定されず、プラスチックフィルムを複数枚重ねて積層体を基体シート6としてもよい。この場合、プラスチックフィルムの積層手段としては熱ラミネートや接着剤層を介したドライラミネートなどが挙げられる。接着剤層にてプラスチックフィルムを積層する場合、接着剤層として芯材を有するものを用いて積層体全体の厚み調整をすることもできる。また、プラスチックフィルムの積層は、プラスチックフィルム上への透明導電膜9の形成後、遮光性導電膜12の積層後または第一フォトレジスト層16の積層後のいずれのタイミングで行ってもよい。
《実施例1》
ロールから巻き出した厚さ200μmの無色ポリエステルフィルムを基体シートとし、その片面に透明導電膜としてインジウムスズ酸化物からなるスパッタリング法で200nmの厚みで形成し、その上に遮光性導電膜として銅膜をスパッタリング法で500nmの厚みで形成して導電性フィルムを用意した。次いで、一組の導電性フィルムを透明粘着剤を用いてラミネートし、両面に透明導電膜及び遮光性導電膜を各々積層した積層体を得た後に、苛性ソーダ1%液で現像が可能なネガタイプのアクリル系感光層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚み10nmの第一フォトレジスト層を前記積層体の両面に各々、全面形成し、表側にはX方向の電極パターンを有するマスクを載置し、裏側にはY方向の電極パターンを有するマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像した。
次いで、塩化第二鉄のエッチング液で当該パターン化された第一フォトレジスト層が積層されていない部分のインジウムスズ酸化物膜および銅膜を同時にエッチング除去したところ、基体シートの中央窓部表面にはX方向の電極パターン、その裏側にはY方向の電極パターンが露出して形成され、その中央窓部を囲む外枠部には平均線幅20μmの細線引き回しパターンが表裏両面に露出して形成されていた。
次に、第一フォトレジスト層の剥離後、苛性ソーダ1%液で現像が可能でネガタイプのアクリル系感光層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚み10nmの第二フォトレジスト層を両面に各々全面形成し、その上に表側及び裏側の端子部を除く外枠部にマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像した。
次いで、酸性雰囲気下での過酸化水素水に浸すと露出していた中央窓部の露出していた銅膜がエッチング除去され、その下に形成されていたインジウムスズ酸化物膜のみが残った。
次に、第二フォトレジスト層の剥離後、苛性ソーダ1%液で現像が可能で且つ防錆剤としてベンゾイミダールを添加してなるネガタイプのアクリル系感光層を備えたドライフィルムレジストを用い、厚み10nmの第三フォトレジスト層を両面に各々全面形成し、その上に端子部を除く外枠部にマスクを載置して、メタルハライドランプによって表裏両面同時に露光し、苛性ソーダ1%液に浸して現像し、残存した第三フォトレジスト層を防錆機能層とした。
《実施例2》
防錆機能層をフォトプロセスではなく、防錆インキを用いたスクリーン印刷により直接パターン化して形成したこと以外は実施例1と同様の方法によってタッチ入力シートを得た。
実施例1又は実施例2の方法により、中央窓部には基体シートの両面にそれぞれX方向の電極パターン、Y方向の電極パターンのインジウムスズ酸化物膜のみが形成され、各々の外枠部にはインジウムスズ酸化物膜の上に端子部を除いて銅膜が形成された細線引き回し回路が形成され、当該細線引き回し回路を端子部を除いて防錆機能膜で覆ったタッチ入力シートが得られた。このタッチ入力シートに形成された細線引き回し回路パターンの端部をFPCに接続して、静電容量式タッチセンサーとして作動するか評価したところ、実施例1、実施例2のいずれの場合も良好な結果が得られ、又製品完成後の外部からの腐食性の液が侵入しても、あるいは高温高湿などの環境試験下において引き回し回路の腐食が進むことがなく、電気特性を維持できていた。
本願発明は、液晶パネルなどの映像画面を設けるような携帯電話やPDA、小型PC、などの入力デバイスに適用できるタッチ入力シートの製造方法の発明である。
1 タッチ入力シート
6 基体シート
7 中央窓部
8 外枠部
9 透明導電膜
10 電極パターン
11 細線引き回し回路パターン
12 遮光性導電膜
13 端子部
14 防錆機能膜
16 第一フォトレジスト層
17 マスク
18 第二フォトレジスト層
19 マスク
28 第三フォトレジスト層
29 マスク
32 露光光線
40 FPC
60 コンフォーマルコート
46,47 菱形電極
469.479 接続配線

Claims (4)

  1. 透明な基体シートの両面に各々、全面的に透明導電膜、遮光性導電膜、第一フォトレジスト層が順次積層形成された導電性フィルムを得る工程と、
    両面同時に前記第一フォトレジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
    当該パターン化された第一フォトレジスト層が積層されていない部分の前記透明導電膜及び前記遮光性導電膜を同時にエッチング除去することにより、基体シート両面の中央窓部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された電極パターンを形成するとともに、基体シート両面の外枠部に各々、透明導電膜及び遮光性導電膜が位置ずれなく積層された細線引き回し回路パターンを形成する工程と、
    前記第一フォトレジスト層の剥離後、電極パターン及び細線引き回し回路パターンが形成された面上に全面的に第二フォトレジスト層を積層形成する工程と、
    両面同時に前記第二フォトレジスト層を部分的に露光し、現像することにより各々パターン化する工程と、
    当該パターン化された第二フォトレジスト層が積層されていない部分の前記遮光性導電膜のみをエッチング除去することにより、基体シート両面の前記中央窓部及び端子部で各々、前記透明導電膜を露出させる工程と、
    前記第二フォトレジスト層の剥離後、露出した遮光性導電膜を防錆機能膜で被覆する工程と、を備えたことを特徴とする防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法。
  2. 前記防錆機能膜が印刷法により形成されたものである、請求項1記載の防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法。
  3. 前記防錆機能膜がフォトプロセスにより形成されたものである、請求項1記載の防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法。
  4. 前記透明導電膜がITO膜、前記遮光性導電膜が銅箔である、請求項1〜3のいずれかに記載の防錆性に優れたタッチ入力シートの製造方法。
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