JP4851854B2 - 揚艇装置 - Google Patents

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本発明は、母船に対して搭載艇を搬出及び搬入する揚艇装置に関するものである。
揚艇装置として、母船の側面部に設けたレセスに対して搭載艇を搬出及び搬入する装置がある。
このような揚艇装置として、特許文献1には、垂直軸回りに回動してレセスから母船外へ振出されるクレーンブームと、クレーンブームの先端部からシーブを介して繰り出される一本のワイヤロープと、ワイヤロープを巻き取る1台のウインチとを備えるものである。
特開2006−1440号公報
特許文献1に記載の揚艇装置は、クレーンブームを回動させるものであるため、寸法制約の厳しいレセス、つまり狭いレセス内に装備することが困難な場合がある。
また、搭載艇を母船のレセス内から搬出するには、クレーンブームを90度回動させ搭載艇を母船外に振り出すため、搭載艇は母船に対して90度回転する。したがって、搭載艇を海面に向けて下降させる前に、搭載艇を母船と平行に回転させる操作が必要となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、狭いレセス内に装備でき、かつ効率良く搬出入することができる揚艇装置を提供することを目的とする。
本発明は、母船に設けたレセスに対して搭載艇を搬出及び搬入する揚艇装置であって、前記レセスの天井に取り付けられ前記母船外に向かって延在する走行レールと、当該走行レールに案内されて移動可能で、かつ前記搭載艇を吊り下げるワイヤロープを先端部から繰り出すスライドブームと、前記スライドブームを前記走行レールに沿って移動させる移動手段と、を備え、記移動手段は、前記スライドブームに固定された走行用モータと、当該走行用モータの出力軸に連結された回転体と、前記走行レールに沿って設けられ、前記回転体と噛み合い当該回転体を案内する回転体案内部材と、前記スライドブームに取り付けられ、前記走行レールに案内される移動体と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、母船に設けたレセスに対する搭載艇の搬出及び搬入は、搭載艇を吊り下げたスライドブームを、走行レールに沿って移動させることに行われる。したがって、スライドブームを回動させる必要がないため、本発明に係る揚艇装置は狭いレセス内であっても装備させることができる。
また、搭載艇を母船と平行状態のまま船外へ搬出させることができるため、搭載艇を回転させる操作が不要であり、効率良く搬出入させることができる。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図7を参照して本発明の実施の形態の揚艇装置100について説明する。図1、図2、及び図3は、それぞれ母船の搭載艇を揚艇装置100にて吊った状態を示す側面図、正面図、及び平面図であり、図4、図5、図6、及び図7は、それぞれ揚艇装置100を示す側面図、正面図、背面図、及び断面図(図4におけるA−A断面)である。
図1〜図3に示すように、母船1は、母船側面部に開口して設けられ、救助艇や高速艇等の小型搭載艇2(以下、「搭載艇2」と称する。)を格納する格納空間であるレセス3を有する。
レセス3内の床面である甲板4上には搭載艇2を載置する艇レスト5が設置され、揚艇装置100は、レセス3内の艇レスト5に対して搭載艇2を搬出及び搬入する装置である。
揚艇装置100は、図4〜図7に示すように、レセス3内の天井12に取り付けられた走行レール7と、走行レール7に案内されて移動可能なスライドブーム8と、スライドブーム8を走行レール7に沿って移動させる移動手段としての移動機構6とを備える。
スライドブーム8の先端にはシーブ9が取り付けられ、シーブ9からワイヤロープ10が繰り出される。スライドブーム8の他端にはワイヤロープ10が巻き付けられるウインチ11が固定されている。ウインチ11は油圧モータ11aにて駆動し、油圧モータ11aの動作によりワイヤロープ10の巻き取り及び繰り出しが行われる。
搭載艇2は、図1〜図3に示すように、母船1と平行の向きに艇レスト5上に載置され、その状態にてワイヤロープ10によって吊り下げられる。
ワイヤロープ10は、非自転性の構造を有し、張力の増減に伴うワイヤロープ10の捻れを小さくすることによって、吊り下げられる搭載艇2の回動を抑制している。
レセス3内の天井12には、母船1の向き(母船進行方向)と略直角方向に溝部12aが形成され、この溝部12a内に走行レール7が取り付けられる。このように、走行レール7はレセス3内から母船1外に向かって延在して配置される。
移動機構6は、図4〜図7に示すように、スライドブーム8に固定された走行用モータ13と、走行用モータ13の出力軸に連結された回転体としてのスプロケット14と、走行レール7に沿って設けられスプロケット14と噛み合う回転体案内部材としてのチェーン15とを備える。
スライドブーム8には、走行レール7に案内され走行レール上を回転して前進する移動体としてのローラ16が取り付けられる。
このように構成される移動機構6の動作について説明する。走行用モータ13が駆動すると、スプロケット14が回転する。スプロケット14は、チェーン15と噛み合っているため、チェーン15に案内されて移動する。これにより、走行用モータ13及び走行用モータ13が固定されたスライドブーム8は、ローラ16を介して走行レール7上を移動する。
このように、移動機構6の走行用モータ13を駆動することによって、スライドブーム8は、ウインチ11及び走行用モータ13を伴って、走行レール7に沿って移動する。走行レール7はレセス3内から母船1外に向かって延在しているため、スライドブーム8の先端部から繰り出されるワイヤロープ10に吊り下げられた搭載艇2は、回転すること無くレセス3内を横行する。このように、搭載艇2は、母船1と平行を保った状態にてレセス3に対して搬出及び搬入される。
また、ウインチ11はスライドブーム8と一体に移動するため、スライドブーム8の移動に伴って搭載艇2が横行する際、ウインチ11を駆動させる必要がない。
上記移動機構6では、回転体と回転体案内部材とを、スプロケット14とチェーン15との組み合わせとしたが、ラックとピニオンとの組み合わせとしてもよい。
走行モータ13は、油圧モータにて構成され、内蔵される油圧ブレーキの作用によって停止しスライドブーム8を所望の位置に停止させることができる。
走行レール7の両端部には、スライドブーム8のそれ以上の移動を防止するために、ローラ16の移動を規制するストッパー(図示せず)が設けられる。
シーブ9には、搭載艇2の上限位置を検出する検出手段としてリミットスイッチ18が設けられる。リミットスイッチ18は、ワイヤロープ10の巻き上げ時において、ワイヤロープ10の先端付近に設けられた作動体(図示せず)がリミットスイッチ18に当接した場合にオンとなる。リミットスイッチ18が作動体を検知した場合には、ウインチ11の動作が停止し、搭載艇2の上昇が停止する。
このように、リミットスイッチ18によって、搭載艇2を上限位置に精度良く停止させることができる。したがって、レセス3の高さが低く、搭載艇2の上げ代が小さい場合には、リミットスイッチ18は有効に作用する。
スライドブーム8には、スライドブーム8が走行レール7に沿って移動している最中に、搭載艇2を支持し搭載艇2の姿勢変化を抑えるスタビライザ20が設けられている。
スタビライザ20は、図5に示すように、スライドブーム8に取り付けられた軸部21と、軸部21の先端に直角に取り付けられた連結バー22と、連結バー22両端に連結された一対の支持バー23とを備える。
搭載艇2の両側部には円柱状のゴムチューブ24が取り付けられ、支持バー23はゴムチューブ24の外周に沿った円弧形状にて形成される。ゴムチューブ24の外周に支持バー23の内周面が当接することによって、搭載艇2の姿勢変化が抑えられる。
次に、図2及び図3を参照して、揚艇装置100の動作について説明する。図2及び図3では、スライドブーム8及び搭載艇2の移動の様子を同一図面内に表している。
まず、搭載艇2を母船1のレセス3内から母船1外へ搬出する場合について説明する。
・搭載艇2が母船1と平行の向きで艇レスト5上に載置された状態で、スライドブーム8の先端部からシーブ9を介して繰り出されたワイヤロープ10を搭載艇2に連結する。
・ウインチ11を駆動させワイヤロープ10を巻き取り、搭載艇2を上昇させる。ウインチ11は、リミットスイッチ18が動作することによって停止し、搭載艇2は上限位置にて停止する。
・この状態にて、スタビライザ20は、搭載艇2のゴムチューブ24に当接する。
・走行用モータ13を駆動し、スライドブーム8を走行レール7に沿って移動させる。これにより、ワイヤロープ10に吊り下げられた搭載艇2は、母船1と平行を保った状態にてレセス3内から母船1外へと横行する。また、ウインチ11は、スライドブーム8に固定されているため、ウインチ11はスライドブーム8と一体に移動する。したがって、搭載艇2の横行中、ウインチ11を駆動させる必要がない。なお、搭載艇2の横行中、搭載艇2はスタビライザ20にて支持されるため、揺動及び回転が抑制される。
・スライドブーム8の移動によって、搭載艇2をレセス3内から母船1外へと横行させた後、ウインチ11を駆動させワイヤロープ10を繰り出し、搭載艇2を下降させ着水させる。
以上のように、揚艇装置100を用いれば、搭載艇2を回転させることなく、母船1外へ搬出することができる。
搭載艇2を母船1外からレセス3内へ搬入するには、上記搬出する場合とは逆の操作を行う。つまり、着水している搭載艇2を母船1と平行に上昇させ、リミットスイッチ18が動作する上限位置にて搭載艇2を停止させる。そして、走行用モータ13を駆動し、スライドブーム8を走行レール7に沿って移動させる。これにより、搭載艇2は、母船1と平行を保った状態にて横行しレセス3内に進入する。最後に、搭載艇2を下降させ、艇レスト5上に載置する。
以上のように、本実施の形態によれば、母船1に設けたレセス3に対する搭載艇2の搬出及び搬入は、搭載艇2を吊り下げたスライドブーム8を、走行レール7に沿って移動させることに行われる。したがって、スライドブーム8を回動させる必要がないため、揚艇装置100は、狭いレセス3内であっても装備させることができる。
また、揚艇装置をレセス3内に装備するに際して、スライドブームを回動させるタイプの装置の場合には、スライドブームの回動範囲にてレセス3の天井12を上げる必要があるが、揚艇装置100の場合には、走行レール7が取り付けられる溝部12aのみをレセス3の天井12に形成するだけで良い。したがって、揚艇装置100は、寸法制約が厳しいレセス3内に対しても装備することが可能となる。
また、搭載艇2をレセス3に対して搬出入するに際して、搭載艇2のレセス3内における横行は、母船1と平行を保った状態にて行われるため、搭載艇2を回転させる操作が不要であり、効率良く搬出入させることができる。
また、ウインチ11はスライドブーム8に固定されているため、スライドブーム8の移動に伴ってウインチ11も移動する。ウインチ11がスライドブーム8と別体に設けられている場合には、スライドブーム8の移動に伴って搭載艇2が横行する際、ウインチ11を駆動させる必要がある。しかし、本実施の形態では、ウインチ11はスライドブーム8と一体に移動するため、スライドブーム8の移動に伴って搭載艇2が横行する際、ウインチ11を駆動させる必要がない。このように、ウインチ11は、搭載艇2の横行時には駆動させる必要がなく、搭載艇2の揚降時にのみ駆動させればよい。
また、シーブ9にリミットスイッチ18が設けられるため、レセス3の高さが低く搭載艇2の上げ代が小さい場合でも、搭載艇2の上限位置は、リミットスイッチ18によって精度良く位置決めされる。
さらに、スライドブーム8には搭載艇2を支持するスタビライザ20が設けられているため、スライドブーム8が走行レール7に沿って移動している最中の、搭載艇2の姿勢変化を抑えることができ、搭載艇2の安定した搬出及び搬入を行うことができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明の揚艇装置は、母船に対して搭載艇を搬出及び搬入する装置に適用することができる。
本発明の実施の形態に係る揚艇装置100を用いて母船の搭載艇を吊った状態を示す側面図である。 同じく揚艇装置100を用いて母船の搭載艇を吊った状態を示す正面図である。 同じく揚艇装置100を用いて母船の搭載艇を吊った状態を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る揚艇装置100を示す側面図である。 同じく揚艇装置100を示す正面図である。 同じく揚艇装置100を示す背面図である。 同じく揚艇装置100を示す断面図である。
符号の説明
100 揚艇装置
1 母船
2 搭載艇
3 レセス
4 甲板
6 移動機構
7 走行レール
8 スライドブーム
9 シーブ
10 ワイヤロープ
11 ウインチ
12 レセス天井
13 走行用モータ
14 スプロケット
15 チェーン
16 ローラ
18 リミットスイッチ
20 スタビライザ

Claims (5)

  1. 母船に設けたレセスに対して搭載艇を搬出及び搬入する揚艇装置であって、
    前記レセスの天井に取り付けられ前記母船外に向かって延在する走行レールと、
    当該走行レールに案内されて移動可能で、かつ前記搭載艇を吊り下げるワイヤロープを先端部から繰り出すスライドブームと、
    前記スライドブームを前記走行レールに沿って移動させる移動手段と、を備え
    前記移動手段は、
    前記スライドブームに固定された走行用モータと、
    当該走行用モータの出力軸に連結された回転体と、
    前記走行レールに沿って設けられ、前記回転体と噛み合い当該回転体を案内する回転体案内部材と、
    前記スライドブームに取り付けられ、前記走行レールに案内される移動体と、
    を備えることを特徴とする揚艇装置。
  2. 前記ワイヤロープが巻き付けられるウインチを備え、
    当該ウインチは前記スライドブームに固定されてなることを特徴とする請求項1に記載の揚艇装置。
  3. 前記スライドブームに設けられ、前記搭載艇を支持するスタビライザを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の揚艇装置。
  4. 前記スライドブームの先端部に、前記搭載艇の上限位置を検出する検出手段が設けられてなることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の揚艇装置。
  5. 前記回転体と前記回転体案内部材との組み合わせが、スプロケットとチェーン、又はラックとピニオンであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の揚艇装置。
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