JP4836564B2 - エレベーター用主ロープの滑り量検出方法及び滑り量検出装置 - Google Patents

エレベーター用主ロープの滑り量検出方法及び滑り量検出装置 Download PDF

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本発明は、エレベーター用主ロープの滑り量検出方法及びその滑り量検出方法に用いられる滑り量検出装置に関するものである。
従来のエレベーター用主ロープの滑り量検出装置としては、エレベーターの駆動綱車の駆動により主ロープが第1の基準位置から第2の基準位置まで所定距離だけ移動するときに、前記駆動綱車の当初の位置及び移動後の位置をそれぞれ検出する位置検出手段と、この位置検出手段による検出値を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶される検出値を演算して前記駆動綱車の位置変化量を算出するとともに、この位置変化量に基づいて前記主ロープの滑り量を算出する滑り量算出手段とを備えたものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−16362号公報(段落番号0005〜段落番号0006、図1)
しかしながら、上述した特開平6−16362号公報などに記載されたエレベーター用ロープの滑り量検出装置では、エレベーターの駆動綱車の位置変化量から主ロープの滑り量を算出するため、駆動綱車の位置を検出するための高精度な位置検出手段が必要となるので、高価格化となるという問題があった。また、上述した特開平6−16362号公報などに記載されたエレベーター用ロープの滑り量検出装置では、駆動綱車の位置変化量から主ロープの滑り量を算出するため、主ロープの伸びによる検出誤差があり、検出精度が低くなるという問題があった。
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その主たる目的は、低価格化及び滑り量の検出精度向上を図り得るエレベーター用ロープの滑り量検出方法を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、滑り量の検出精度が優れ、かつ、低価格化なエレベーター用ロープの滑り量検出装置を提供することにある。
上記主たる目的を達成するために、本発明に係るエレベーター用ロープの滑り量検出方法は、乗りかごとつり合いおもりを連結した主ロープと、この主ロープを巻き掛ける駆動綱車との間の、滑りを測定するエレベーター用主ロープの滑り量検出方法において、無負荷の前記乗りかごを任意の階床から他の任意の階床の間を上昇運転した場合におけるエンコーダーからの上昇時パルス信号に基づき上昇時走行距離値を演算し、走行開始時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行開始時補正値を演算し、さらに前記上昇時走行距離値に前記走行開始時補正値を加算するとともに、前記上昇運転と同一階床を下降運転した場合における前記エンコーダーからの下降時パルス信号に基づき下降時走行距離値を演算し、走行停止時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行停止時補正値を演算し、さらに前記下降時走行距離値から前記走行停止時補正値を減算し、その後、補正された前記上昇時走行距離値と補正された前記下降時走行距離値との差分から主ロープの滑り量を測定するようにしたことを特徴としている。
さらに、本発明に係るエレベーター用ロープの滑り量検出方法は前記発明において補正された前記上昇時走行距離値と補正された前記下降時走行距離値との差分の値と予め設定した判定基準値とを比較して、その差分の値が判定基準値より大きいと判定された際には、主ロープや駆動綱車の保守点検を促す表示若しくは警報を行うようにしたことを特徴としている。
さらに、上記他の目的を達成するために、本発明に係るエレベーター用ロープの滑り量検出装置は、乗りかごとつり合いおもりを連結した主ロープと、この主ロープを巻き掛ける駆動綱車との間の、滑りを測定するエレベーター用主ロープの滑り量検出装置であって、この滑り量検出装置を、前記駆動綱車の駆動源となる巻上電動機若しくは前記駆動綱車の回転数を計測するエンコーダーと、前記乗りかごを任意の階床から他の任意の階床の間を上昇運転した場合における前記エンコーダーからの上昇時パルス信号と前記上昇運転と同一階床を下降運転した場合における前記エンコーダーからの下降時パルス信号に基づき滑り量を算出する滑り量算出装置とから少なくとも構成し、前記滑り量算出装置を、無負荷の前記乗りかごを任意の階床から他の任意の階床の間を上昇運転した場合における前記エンコーダーから入力される上昇時パルス信号を基に、前記乗りかごの上昇時走行距離値を演算し、走行開始時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行開始時補正値を演算し、さらに前記上昇時走行距離値に前記走行開始時補正値を加算するとともに、前記乗りかごを前記上昇運転と同一階床を下降運転した場合における前記エンコーダーから入力される下降時パルス信号を基に、前記乗りかごの下降時走行距離値を演算し、走行停止時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行停止時補正値を演算し、さらに前記下降時走行距離値から前記走行停止時補正値を減算する走行距離演算手段と、この走行距離演算手段から出力される補正された前記上昇時走行距離値と補正された前記下降時走行距離値との差分を算出して、その差分を前記主ロープの滑り量として表示する滑り量検出手段とから少なくとも構成したことを特徴としている。
本発明によれば、主ロープの滑り量を、精度よく、自動的に、かつ、容易に検出することを可能にし、しかも、低価格化を可能にするエレベーター用主ロープの滑り量検出方法が得られる。
本発明によれば、主ロープの滑り量を、精度よく、自動的に、かつ、容易に検出することができ、しかも、低価格化を実現できるエレベーター用主ロープの滑り量検出装置が得られる。
以下、本発明に係るエレベーター用主ロープの滑り量検出装置の一実施形態を、図面に、基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わり、エレベーター用ロープの滑り量検出装置の要部構成を示すブロック図である。図2は、本発明の一実施形態に係わり、無負荷時におけるエレベーター用乗りかごの上昇運転動作を示す説明図である。図3は、本発明の一実施形態に係わり、無負荷時におけるエレベーター用乗りかごの下降運転動作を示す説明図である。
図1に示す一実施形態のエレベーター1は、巻上電動機2と、この巻上電動機2に減速機3を介して連結された駆動綱車(シーブ)4と、この駆動綱車4に巻き掛けられた主ロープ5と、この主ロープ5の一端側に吊るされた乗りかご6と、この主ロープ5の他端側に吊るされたつり合いおもり7と、巻上電動機2の回転を制御する制御装置8とを少なくとも具備しており、制御装置8によって制御される巻上電動機2により駆動綱車4を正逆させることで、主ロープ5に吊るされた乗りかご6とつり合いおもり7が釣瓶式に昇降させるようにしてある。主ロープ5は、その主ロープ5と駆動綱車4の溝との間の摩擦力によって、移動するようにしてある。
主ロープ5の滑り量検出装置9は、図1に示すように、巻上電動機2の回転数をパルス信号として出力するエンコーダー10と、乗りかご6を任意の階床から他の任意の階床の間を上昇運転した場合におけるエンコーダー10からの上昇時パルス信号と前記上昇運転と同一階床を下降運転した場合におけるエンコーダー10からの下降時パルス信号とに基づき滑り量を算出する滑り量算出装置11とから構成されている。
滑り量算出装置11は、図1に示すように、制御装置8内に組み込まれており、走行距離演算手段12と、滑り量検出手段13とから少なくとも構成されている。走行距離演算手段12は、乗りかご6を最下階14から最上階15の間を上昇運転した場合にエンコーダー10から入力される上昇時パルス信号を基に、その乗りかご6の上昇時走行距離値を演算するとともに、乗りかご6を前記上昇運転と同一階床分(最上階15から最下階14)を下降運転した場合にエンコーダー10から入力される下降時パルス信号を基に、その乗りかご6の下降時走行距離値を演算し、その演算した上昇時走行距離値及び下降時走行距離値を滑り量検出手段13に出力する機能を有している。
滑り量検出手段13は、走行距離演算手段12から出力される上昇時走行距離値と下降時走行距離値との差分を算出して、その差分を主ロープ5の滑り量として表示する機能を有している。滑り量は、表示画面に表示するようにしてもよいし、プリンターによって保守点検用報告紙に印字するようにしてもよい。
次に、上記構成からなる滑り量検出装置9を用いて、乗りかご6が無負荷の場合における主ロープ5の滑り量検出方法を、図2及び図3を用いて、詳説する。
まず、図2に示すように 乗りかご6を、最下階14から最上階15まで上昇運転させることで、走行距離演算手段12によって、上昇時走行距離値X1を演算し、その上昇時走行距離値X1を滑り量検出手段13に記憶させる。
この場合の上昇時走行距離値X1は、エレベーター1では、主ロープ5の滑りによって乗りかご6の床面と各階床の乗場床面との差が生じないように、予め制御装置8内に記憶させてある位置データとエンコーダー10からのパルス信号を基に演算した乗りかご6の走行距離値とから乗りかご6の現在位置を、常時補正しながら乗りかご6を走行させていること、及び無負荷の乗りかご6を上昇運転させた場合、乗りかご6の荷重よりも重いつり合いおもり7によって主ロープ5が引っ張られており、主ロープ5に生じている滑りの方向と駆動綱車(シーブ)4の回転方向が、図2に示すように、同一方向となることの理由で、主ロープ5の滑り量及び伸び量を含んだ走行距離値となっている。
それゆえに、図2に示すように、乗りかご6を最下階14から最上階15まで上昇運転させた場合、乗りかご6が最上階15に達するまでに必要な駆動綱車4の回転数は、主ロープ5の滑り量分少なくなることになる。そのために、上昇時走行距離値X1は、図2に示すところの、主ロープ5の滑り量を含まない走行距離初期値よりも小さい値となる。
次いで、乗りかご6を最上階15から最下階14まで下降運転させることで、走行距離演算手段12によって、下降時走行距離値X2を演算し、その下降時走行距離値X2を滑り量検出手段13に記憶させる。
この場合の下降時走行距離値X2は、無負荷の乗りかご6を下降運転させた場合、主ロープ5に生じている滑りの方向と駆動綱車4の回転方向が、図3に示すように、反対方向となるため、乗りかご6が最下階14に達するまでに必要な駆動綱車4の回転数は、主ロープ5の滑り量分多くなる。それゆえに、下降時走行距離値X2は、図3に示すところの、主ロープ5の滑り量を含まない走行距離初期値よりも大きい値となる。したがって、上昇時走行距離値X1と下降時走行距離値X2との差分が、主ロープ5の滑り量に相当することになる。
次いで、主ロープ5の滑り量に相当するところの、上昇時走行距離値X1と下降時走行距離値X2との差分を、滑り量検出手段13によって、算出する。すなわち、滑り量検出手段13では、記憶されている上昇時走行距離値X1と下降時走行距離値X2との差分を算出して、その差分を主ロープ5の滑り量として記憶させる。
最後に、滑り量検出手段13に記憶された滑り量を、保守用携帯端末装置の表示画面に表示させたり、あるいは、プリンターによって保守点検用報告紙に印字させたりすることによって、保守作業者が容易に確認できる状態にする。この場合、滑り量検出手段13に予め設定した判定基準値を記憶させておき、その判定基準値と滑り量検出手段13によって算出された滑り量とを比較して、その滑り量が判定基準値より大きいと判定された際には、主ロープ5や駆動綱車4の保守点検を促す表示や警報が行われるようにしてもよい。
さらに、駆動綱車4に巻き掛けられた主ロープ5には、乗りかご6とつり合いおもり7との重量差により異なる荷重が作用している。そのため、駆動綱車4は、主ロープ5を介して荷重の大きい方に回転しようとする力が働いているため、制御装置8からの起動信号に基づき駆動綱車4のブレーキ装置(図示せず)を開放させた状態にすると、回転してしまうことがある。この駆動綱車4の回転による乗りかご6の走行距離を、次のように、補正することで、より正確な滑り量の測定を可能にする。
すなわち、図2に示すように、乗りかご6が無負荷で上昇運転の場合(主ロープ5によって駆動綱車4に生起する回転方向と制御装置8からの乗りかご6への運転指令の方向が同一の場合)には、ブレーキ開放時に瞬間に乗りかご6が動くので、その動いた分に該当するパルス信号に基づき演算した上昇時走行距離補正すなわち走行開始時補正値を加算するとともに、乗りかご6が無負荷で下降運転の場合(主ロープ5によって駆動綱車4に生起する回転方向と制御装置8からの乗りかご6への運転指令の方向が逆方向の場合)には、ブレーキ開放時に瞬間に乗りかご6が動くので、その動いた分に該当するパルス信号に基づき演算した下降時走行距離補正すなわち走行停止時補正値を減算するようにすることにより、乗りかご6の走行開始時に起こりうる乗りかご6の反動動作や乗りかご6の停止時に起こりうる乗りかご6の反動動作を、考慮した上昇時走行距離値X1と下降時走行距離値X2を求めることが可能であるため、主ロープ5の滑り量の測定の高精度化を図ることができる。
上記実施形態に係わる滑り量検出方法によれば、乗りかご6の走行開始時に起こりうる乗りかご6の反動動作や乗りかご6の停止時に起こりうる乗りかご6の反動動作を、考慮した上昇時走行距離値X1と下降時走行距離値X2を求めるようにすることができるので、主ロープ5の滑り量の測定精度を向上させることを可能にする。
さらに、上記実施形態の滑り量検出装置9によれば、高精度な位置検出手段などの機器を用いることなく、エンコーダー10と、走行距離演算手段12及び滑り量検出手段13とからなる滑り量算出装置11のみで、構成することができ、低価格化が図られている。
上記実施形態の滑り量検出装置9では、巻上電動機2の回転数をエンコーダー10で計測するようにしているが、駆動綱車4の回転数をエンコーダー10で計測するようにしてもよい。また、上記実施形態の滑り量検出装置9では、最下階14と最上階15との間を上昇運転及び下降運転した場合の、上昇時走行距離値X1及び下降時走行距離値X2を算出しているが、これに限定されない。乗りかご6を任意の階床(例えば、2階床)から他の任意の階床(例えば、4階床)の間を上昇運転した場合とこの上昇運転と同一階床(4階床から2階床)を下降運転した場合の、上昇時走行距離値X1及び下降時走行距離値X2を算出するようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係わり、エレベーター用ロープの滑り量検出装置の要部構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係わり、無負荷時におけるエレベーター用乗りかごの上昇運転動作を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係わり、無負荷時におけるエレベーター用乗りかごの下降運転動作を示す説明図である。
符号の説明
1 エレベーター
2 巻上電動機
3 減速機
4 駆動綱車(シーブ)
5 主ロープ
6 乗りかご
7 つり合いおもり
8 制御装置
9 滑り量検出装置
10 エンコーダー
11 滑り量算出装置
12 走行距離演算手段
13 滑り量検出手段
14 最下階
15 最上階

Claims (3)

  1. 乗りかごとつり合いおもりを連結した主ロープと、この主ロープを巻き掛ける駆動綱車との間の、滑りを測定するエレベーター用主ロープの滑り量検出方法において、
    無負荷の前記乗りかごを任意の階床から他の任意の階床の間を上昇運転した場合におけるエンコーダーからの上昇時パルス信号に基づき上昇時走行距離値を演算し、走行開始時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行開始時補正値を演算し、さらに前記上昇時走行距離値に前記走行開始時補正値を加算するとともに、
    前記上昇運転と同一階床を下降運転した場合における前記エンコーダーからの下降時パルス信号に基づき下降時走行距離値を演算し、走行停止時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行停止時補正値を演算し、さらに前記下降時走行距離値から前記走行停止時補正値を減算し、
    その後、補正された前記上昇時走行距離値と補正された前記下降時走行距離値との差分から主ロープの滑り量を測定するようにしたことを特徴とするエレベーター用ロープの滑り量検出方法。
  2. 補正された前記上昇時走行距離値と補正された前記下降時走行距離値との差分の値と予め設定した判定基準値とを比較して、その差分の値が判定基準値より大きいと判定された際には、主ロープや駆動綱車の保守点検を促す表示若しくは警報を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載のエレベーター用主ロープの滑り量検出方法。
  3. 乗りかごとつり合いおもりを連結した主ロープと、この主ロープを巻き掛ける駆動綱車との間の、滑りを測定するエレベーター用主ロープの滑り量検出装置であって、この滑り量検出装置を、前記駆動綱車の駆動源となる巻上電動機若しくは前記駆動綱車の回転数を計測するエンコーダーと、前記乗りかごを任意の階床から他の任意の階床の間を上昇運転した場合における前記エンコーダーからの上昇時パルス信号と前記上昇運転と同一階床を下降運転した場合における前記エンコーダーからの下降時パルス信号に基づき滑り量を算出する滑り量算出装置とから少なくとも構成し
    前記滑り量算出装置を、
    無負荷の前記乗りかごを任意の階床から他の任意の階床の間を上昇運転した場合における前記エンコーダーから入力される上昇時パルス信号を基に、前記乗りかごの上昇時走行距離値を演算し、走行開始時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行開始時補正値を演算し、さらに前記上昇時走行距離値に前記走行開始時補正値を加算するとともに、前記乗りかごを前記上昇運転と同一階床を下降運転した場合における前記エンコーダーから入力される下降時パルス信号を基に、前記乗りかごの下降時走行距離値を演算し、走行停止時の前記乗りかごの動きに該当するパルス信号に基づき走行停止時補正値を演算し、さらに前記下降時走行距離値から前記走行停止時補正値を減算する走行距離演算手段と、
    この走行距離演算手段から出力される補正された前記上昇時走行距離値と補正された前記下降時走行距離値との差分を算出して、その差分を前記主ロープの滑り量として表示する滑り量検出手段とから少なくとも構成したことを特徴とするエレベーター用主ロープの滑り量検出装置。
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