JP4816848B2 - Coating agent and laminated material using the coating agent - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースを用いたガスバリア性コーティング剤、及びそれを塗布して得られる積層材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスバリアフィルムとしては、塩化ビニリデン共重合体(PVDC)等の塩素系のものが各種包装材料などに広く普及している。しかし、最近の環境問題に対する意識の高まりから、非塩素系のガスバリア材としてポリビニルアルコール(PVA)とエチレンビニルアルコールとの共重合体、あるいはこれらの樹脂がコートされたフィルムが使用されている。しかしながら、これらのガスバリアフィルムは、湿度依存性が大きく、また、酸素透過度が1cc/m2・day・atm以下という高いガスバリア性を実現することができない。
【0003】
一方、高いバリア性を実現するガスバリアフィルムとしては、SiOx、Al23等の無機物を蒸着法によりプラスチックフィルム基材上に蒸着した、いわゆる、セラミック蒸着フィルムが開発され、その優れたガスバリア性から注目されている。
しかしながら、セラミック蒸着フィルムは、その蒸着層がセラミックからなる故に脆く、可撓性に欠けるので、包装材料としての加工適性に問題を有するものとなっている。
【0004】
そこで、セラミック蒸着フィルムの問題を解決する手段として、ポリウレタン樹脂等の樹脂溶液中に特定のアスペクト比を有するマイカ粉末等の無機物を分散させた塗液を、基材上に塗布することにより形成した有機無機複合膜や、セラミック蒸着フィルム上にPVA等の樹脂保護層を積層した積層体が検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の樹脂中に無機化合物を分散させた有機無機複合膜も、十分なガスバリア性が得られず、さらに、湿度劣化や温度依存性に対する耐性も十分とはいえず、これらを改善することが課題となっている。
【0006】
また、セラミック蒸着フィルム上に樹脂保護膜を形成した積層材料も、その樹脂保護膜は、セラミック蒸着層を外力による機械的損傷等から保護するための保護膜として機能するが、ガスバリア性を十分に向上させるものとはなっていない。
そのため、この積層材料は、温度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化が見られ、また、撓みや引っ張りによって損傷しやすく、ラミネート加工や製袋等に対する加工適性が依然として不十分であるという問題を有している。
【0007】
一方、近年、これまでの環境負荷型技術から環境保全型への技術転換が世界中で巻き起こる中、再生可能な天然資源が注目されてきている。これはほとんどの天然資源は、石油由来のプラスチックより燃焼熱が低い上に、生分解性もあり土に戻すことができ、廃棄物処理の心配がない。そこで、天然資源を有効利用した材料を使用することは、環境問題の深刻化する中で、重要な課題であろう。
【0008】
そこで最近では、環境保全型の資源を利用した、水溶性デンプンや水溶性セルロース誘導体をはじめとする多糖類を用いたガスバリア性コーティング剤が開発されている。これらのコーティング剤は、天然物由来ということで環境的にも安全上の観点からもPVA等の合成高分子由来のコーティング剤に比べ好ましい。しかし、水溶性多糖類のコーティング剤は、温度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化は避けられない問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決しようとするものであり、環境保全型の天然資源を利用し、廃棄処理あるいはリサイクリングが可能でコスト的にも安価であり、かつ可とう性と優れたガスバリア性を有し、湿度劣化や温度依存性が抑制できるコーティング剤、及びそのコーティング剤を使用して塗布形成した塗膜が、透明で、ガスバリア性を有し、加工適性や保存適性にも優れた積層材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とする微細セルロースを含有することを特徴とするコーティング剤である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記カルボキシル基量が、セルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上60%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤である。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記カルボキシル基量が、セルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上30%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤である。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の微細セルロースの平均粒径が100μm以下であることを特徴とするコーティング剤である。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の微細セルロースの平均粒径が10μm以下であることを特徴とするコーティング剤である。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記グルクロン酸残基を導入する酸化が、水分散させた微細セルロースを水系で処理する酸化方法であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のコーティング剤である
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項6記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で処理する酸化方法であることを特徴とするコーティング剤である。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項6記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で、水中で臭化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ金属の存在下、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およびそれらの塩のうち少なくとも1種の酸化剤を用いて酸化することを特徴とするコーティング剤である。
【0018】
請求項9に係る発明は、前記N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシルであることを特徴とする請求項7または請求項8記載のコーティング剤である。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のコーティング剤中に、他の添加剤を含むことを特徴とするコーティング剤である。
【0020】
請求項11に係る発明は、前記添加剤が、無機層状化合物であることを特徴とする請求項10記載のコーティング剤である。
【0021】
請求項12に係る発明は、前記添加剤が、有機金属化合物あるいは有機金属化合物の加水分解物であることを特徴とする請求項10記載のコーティング剤である。
【0022】
請求項13に係る発明は、前記有機金属化合物が、下記一般式
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする請求項12記載ののコーティング剤である。
【0023】
請求項14に係る発明は、前記一般式で示される金属元素Mが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)であることを特徴とする請求項13記載のコーティング剤である。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明のコーティング剤は、セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とする微細セルロースを含有することを特徴とするものである。そして、前記カルボキシル基量が、セルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上60%以下の範囲、さらに好ましくは、1%以上30%以下の範囲であることを特徴とする。
この範囲にある微細セルロースは水に不溶であるが非常によくなじみ、分散性もよい。
さらに、セルロース中に元々ある水酸基よりも極性が高く、水素結合能も高いカルボキシル基を導入する事により高いガスバリア性とコーティングした際の透明性を付与できる。
【0027】
本発明におけるグルクロン酸残基を導入する酸化方法は水分散させた微細セルロースを水系で処理することを特徴とするもので、水系で処理した後乾燥工程を経ることなくコーティング剤が調製できる為、微細セルロースの凝集などを防ぐことができる。
また、本発明におけるグルクロン酸残基を導入する酸化方法はN−オキシル化合物などの触媒の存在下で、水分散させた微細セルロースを水系で処理することを特徴とする。
【0028】
本発明のコーティング剤に含まれる改質微細セルロースは、N−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)の存在下、酸化剤を用いて、微細セルロースを酸化することにより得ることができる。N−オキシル化合物には、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシル(以下、TEMPOと称する)などが含まれる。
この酸化方法では、酸化の程度に応じて、カルボキシル基を均一かつ効率よく導入できる。本酸化反応は、前記N−オキシル化合物と、臭化物又はヨウ化物との共存下で行うのが有利である。
この臭化物又はヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用できる。酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸,亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。
【0029】
本発明では、微細セルロースのセルロース骨格中6位の水酸基を選択的に酸化し、骨格中のグルコースをグルクロン酸に変換するものである。N−オキシル化合物は触媒量で済み、例えば、セルロースに対して重量比で2%〜10ppmあれば充分である。
【0030】
本発明の酸化反応条件などは、特に限定されず、セルロースの性状、使用する設備などによって最適化されるべきであるが、臭化物やヨウ化物との共存下で酸化反応を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を大きく改善できるので好ましい。
【0031】
ここで、臭化物及び/又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択でき、例えば、セルロースに対し20%〜100ppmである。
【0032】
本発明における改質微細セルロースの酸化反応系は、N−オキシル化合物にはTEMPOを用い、臭化ナトリウムの存在下のもとで、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0033】
また、微細セルロースの酸化反応では、セルロースの1級水酸基への酸化の選択性を上げ、副反応を抑える目的で、反応温度は室温以下で反応させることが望ましい。
さらに、改質微細セルロースの酸化反応における反応系のpHは、反応の効率の面から、PH9〜12の間で反応を行うことが望ましい。
【0034】
一方、本発明における微細セルロースの原料は特に限定されるものではなく、各種木材、非木材パルプ、微生物産生セルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、レーヨン等の再生セルロース等を高圧ホモジナイザーや凍結粉砕、ミル等で粉砕した粉末状のものや加水分解などの化学的処理により精製した微細セルロースで、市販されている各種セルロース粉末や、微結晶セルロース粉末を使用できる。
これらの微細セルロースのセルロース粉末は平均粒径が100μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは平均粒径が10μm以下の範囲のものが、分散性、コーティング膜の透明性において優れているので好ましい。
【0035】
また、本発明のコーティング剤中には、更に他の添加剤を含ませてもよい。
この添加剤として、無機層状化合物を含有させる事も可能で、無機層状化合物とは層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘土鉱物をあげることができる。無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は、そのガスバリアフィルムの使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
一般的には、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等をあげることができ、これらの中でも、溶液中の安定性や、塗工性等の点から好ましいものとしてモンモリロナイトをあげることができる。
【0036】
また、他の添加剤として、有機金属化合物あるいは有機金属化合物の加水分解物を含み、改質微細セルロースと複合化させることも可能である。
この有機金属化合物は、下記一般式
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする。
上記一般式で示される有機金属化合物の置換基がビニル基、エポキシ基、アルキル基、アミノ基を有してもよく、それらの有機金属化合物を1種類または、2種類以上添加する事により、各種機能、特に耐水性、耐湿性を付与することが可能となる。
【0037】
また、前記一般式で示される金属元素Mが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)であることを特徴とする載のコーティング剤とすることができる。
【0038】
次に、本発明の積層材料は、前記のコーティング剤を予め作成し、基材にコーティングして形成させるものである。
このコーティング方法は、ディッピング法、ロールコート法、スクリーン印刷法、スプレー法等の公知の塗工方法によって基材の少なくとも一方の面上にコーティングし、乾燥させる。
これにより、基材上に透明な被膜を形成することができる。
ここで、コーティング剤はセルロース粉末のであるが、酸化処理を経てこれらの改質微細セルロースの主に表面に導入されたカルボキシル基の存在により、乾燥後は均一な透明の薄い膜を得ることができる。
【0039】
前記被膜を基材の片面に形成する場合には、乾燥後の複合被膜の厚さが約0.01〜100μmとなるようにコーティング形成することが好ましく、特に、0.1〜20μmとすることが好ましい。被膜が薄すぎると塗膜が形成されにくく、反対に被膜が厚すぎると不経済である。
なお、複合被膜を基材の両面に形成する場合、複合被膜の厚さは、0.1〜10μmとすることが好ましい。
【0040】
これらのコーテイング剤には、この他、顔料分散剤等を配合することもできる。
【0041】
一方、ここでの基材は、一般的に使用されている種々のシート状又はフィルム状の基材を、当該ガスバリア材の用途に応じて適宜選択し、使用することができる。例えば、紙、板紙や、ポリ乳酸等の生分解性プラスチック、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド等あるいはこれらの高分子の共重合体を使用することができる。
【0042】
この基材としては、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の公知の添加剤を含有したものを使用することができる。また、表面に、コロナ処理、アンカーコート処理等の表面改質を行い、その表面に形成される複合被膜との密着性を向上させたものも使用することができる。
【0043】
ガスバリア性を一層向上させる場合、基材として、セラミック蒸着フィルムを使用してもよい。
このセラミック蒸着フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン等のプラスチックフィルム上に、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスにより、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着膜を形成したものを使用することができる。
【0044】
基材として、セラミック蒸着フィルムを使用する場合に、その蒸着膜の好ましい膜厚は、当該ガスバリア材の用途や蒸着膜の膜組成等に応じて異なるが、通常、数nm〜500nmの範囲が好ましく、5nm〜300nmがより好ましい。この蒸着膜が薄すぎると蒸着膜の連続性が維持されなくなり、反対に厚すぎると可撓性が低下し、クラックが発生しやすくなる。
【0045】
本発明のガスバリア材には、必要に応じて、上述の基材及び複合被膜の他、さらにヒートシールを可能とする熱可塑性樹脂層、印刷層等を積層することができる。この場合、積層する各層は、溶融押出により積層してもよく、接着剤を用いて積層してもよい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0047】
以下の実施例で使用する微細セルロースは、一例として、下記の製造方法に基づいて製造した。
<微細セルロースの製造方法>
それぞれの微細セルロースを水に分散させたペースト(絶乾セルロース量=10g相当)にTENPO0.125g、臭化ナトリウム 1.25gを溶解させた水溶液を加え、セルロース重量の全体に対する濃度が約1.3wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)100mlを添加し、酸化反応を開始する。
反応温度は常に5℃に維持した。反応中は系内のPHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、PH10.8付近に調整した。
1日後反応を停止し、十分に水またはアルコールにより洗浄した後、約5wt%の改質微細セルロースペーストを得た。微細セルロースが天然セルロースであれば、上記のような酸化方法により構成単糖全体のうち60%までをグルコースからグルクロン酸に変換できる。酸化の程度を60%以下に調節するには、次亜塩素酸ナトリウムの添加量と反応時間を調整すれば、制御が可能である。
天然セルロースに比べ、酸化され易いアルカリセルロースや、レーヨンなどの再生セルロースの粉末を用いるときは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の添加量を酸化当量の60%(セルロース1gに対し6g、グルコース残基1モルに対し、1.2モル)以下にした。
セルロースの本酸化方法によっては、セルロースの種類などにより60%以上のものも得られるが、60%以上酸化したものの中には水溶性の部分も多く含まれるため、取り扱い易さや、収率の面から、60%以下が望ましい。
【0048】
また、微細セルロースの平均粒径が100μm以上のものは、コーティング剤としての分散性が悪くコーティングが困難な上に、乾燥後のコーティング膜も不透明で、バリア性も低い。一方、平均粒径100μm以下であればコーティング剤の分散性も良好で、乾燥後のコーティング膜も透明になる。さらに、平均粒径10μm以下であると、乾燥後のコーティング膜はより透明になり、バリア性も高くなる。
【0049】
(実施例1)
平均粒径3μmの市販のペースト状微結晶セルロース100g(絶乾セルロース量=10g相当)にTEMPO0.125g、臭化ナトリウム 1.25gを溶解させた水溶液を加え、セルロース重量の全体に対する濃度が約1.3wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)100mlを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃に維持した。反応中は系内のPHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、PH10.8付近に調整した。
1日後反応を停止し、十分に水またはアルコールにより洗浄した後、約10wt%の改質微細セルロースペーストを得た。この酸化処理後の改質微細セルロースペーストを基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
【0050】
(実施例2)
市販のセルロースパウダーの懸濁液をミルで粉砕し平均粒径100μmの微細セルロースペーストを得た。実施例1と同条件にて酸化処理を行い、約10wt%の改質微細セルロースペーストを得た。さらに実施例1同様にコーティング、乾燥を行い膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
【0051】
(実施例3)
実施例1で用いた10wt%改質微細セルロースペーストと、2倍量の5wt%モンモリロナイト水分散液を混合し、コーティング剤を調製した。このコーティング剤を、基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
【0052】
(実施例4)
テトラエチルオルソシリケート(Si(OC2H5)4:TEOSと略記)8.3g(0.04mol)と2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ製 サイラーエースS530)9.9g(0.04mol)に0.1Nの塩酸水溶液を18g加え18時間攪拌し、加水分解溶液を作成した。これに実施例1で用いた10wt%改質微細セルロースペーストを重量比で1/1になるように混合して複合溶液を作成した。これらの溶液を基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
【0053】
(比較例1)
酸化前の微細セルロースペーストを基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)の片面にバーコーターでコーティング後、乾燥機で100℃−10min乾燥して膜厚1.0μmの被膜を形成し、試験体を得た。
【0054】
(比較例2)
比較として基材のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm,コロナ処理)のみを試験体とした。
【0055】
実施例及び比較例で得られた試験体について透明度、酸素透過度の測定及び密着試験を下記の測定方法及び試験方法に基づいて評価した。その評価結果を表1に示す。
<透明度測定>
ヘイズメータ(日本電色工業株式会社)にて全光線透過率及びヘイズ率を測定した。
【0056】
ガスバリア性を酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製MOCON OXTRAN 10/50A)を用い30℃−70%RH雰囲気の条件で測定した。
【0057】
<密着性試験>
セロハンテープ剥離試験により評価した。
【0058】
【表1】

Figure 0004816848
【0059】
酸化処理を行った改質微細セルロースペーストをコーティングしたフィルム(実施例1〜4)はいずれも、酸化処理を行っていない微細セルロースペーストをコーティングしたフィルム(比較例1)に比べガスバリア性や、密着性に優れていた。
また、全光線透過率やヘイズ率においても、酸化処理を行った改質微細セルロースペーストをコーティングしたフィルは透明性が高かった。さらに、ペースト中の微粉末の平均粒径が3μmのものの方が100μmのものより高い透明性を示した。
【0060】
【発明の効果】
本発明のコーティング剤は、再生可能な天然資源である改質微細セルロースを利用していることから、石油由来のプラスチックより燃焼熱が低く、焼却時に有毒ガス、有害物質を発生することない。
また、本発明のコーティング剤は、グルコースとグルクロン酸ユニットからなる改質微細セルロース使用していることから、生分解性があり廃棄物処理の心配がない。
また、本発明のコーティング剤からなる乾燥塗膜は、透明性に優れ、酸素通過度が低く、湿度劣化や温度依存性が抑制される。
さらに、本発明のコーティング剤を基材に塗布形成してなる積層材料は、加工適性や保存適性にも優れたガスバリア材料として用いられる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a gas barrier coating agent using cellulose and a laminated material obtained by applying the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, chlorine-based films such as vinylidene chloride copolymer (PVDC) have been widely used as various gas barrier films. However, with the recent increase in awareness of environmental problems, copolymers of polyvinyl alcohol (PVA) and ethylene vinyl alcohol, or films coated with these resins are used as non-chlorine gas barrier materials. However, these gas barrier films are highly dependent on humidity and cannot achieve a high gas barrier property with an oxygen permeability of 1 cc / m 2 · day · atm or less.
[0003]
On the other hand, as a gas barrier film that realizes a high barrier property, a so-called ceramic vapor-deposited film in which inorganic substances such as SiOx and Al 2 O 3 are deposited on a plastic film substrate by a vapor deposition method has been developed. Attention has been paid.
However, the ceramic vapor-deposited film is brittle because the vapor-deposited layer is made of ceramic and lacks flexibility, and therefore has a problem in processability as a packaging material.
[0004]
Therefore, as a means to solve the problem of the ceramic vapor deposition film, it was formed by applying a coating liquid in which an inorganic substance such as mica powder having a specific aspect ratio was dispersed in a resin solution such as polyurethane resin on a substrate. An organic / inorganic composite film or a laminate in which a resin protective layer such as PVA is laminated on a ceramic vapor-deposited film has been studied.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, organic / inorganic composite membranes in which inorganic compounds are dispersed in conventional resins also do not provide sufficient gas barrier properties, and are not sufficiently resistant to humidity degradation and temperature dependence. Has become an issue.
[0006]
In addition, a laminated material in which a resin protective film is formed on a ceramic vapor-deposited film also functions as a protective film for protecting the ceramic vapor-deposited layer from mechanical damage due to external force, but has sufficient gas barrier properties. It is not meant to improve.
For this reason, this laminated material is subject to temperature dependency and deterioration of gas barrier properties under high humidity, is easily damaged by bending and pulling, and is still insufficient in processability for laminating and bag making. Have a problem.
[0007]
On the other hand, in recent years, renewable natural resources have been attracting attention as a technological change from the conventional environmental load type technology to the environmental conservation type has occurred all over the world. This means that most natural resources have lower combustion heat than petroleum-derived plastics and are biodegradable and can be returned to the soil without worrying about waste disposal. Therefore, the use of materials that make effective use of natural resources will be an important issue as environmental problems become more serious.
[0008]
Therefore, recently, gas barrier coating agents using polysaccharides such as water-soluble starch and water-soluble cellulose derivatives using environmental conservation resources have been developed. Since these coating agents are derived from natural products, they are preferable to coating agents derived from synthetic polymers such as PVA from the viewpoints of environment and safety. However, the water-soluble polysaccharide coating agent has a problem that it cannot avoid deterioration of gas barrier properties under temperature dependency and high humidity.
[0009]
The present invention is intended to solve the above-described problems of the prior art, and can be disposed of or recycled using an environmentally-conserving natural resource, and is inexpensive in cost. The coating agent that has excellent properties and excellent gas barrier properties, and that can suppress humidity deterioration and temperature dependence, and the coating film formed using the coating agent are transparent, have gas barrier properties, and are suitable for processing and storage. It aims at providing the laminated material excellent also in aptitude.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problems, the invention according to claim 1 is characterized in that a glucuronic acid residue and a glucose residue obtained by oxidizing cellulose and selectively converting the carbon 6 position of a glucopyranose ring into a carboxyl group are used as constituent units. A coating agent characterized by containing fine cellulose.
[0011]
The invention according to claim 2 is the coating agent according to claim 1, wherein the amount of the carboxyl group is in the range of 1% to 60% with respect to the total number of moles of monosaccharides constituting cellulose. .
[0012]
The invention according to claim 3 is the coating agent according to claim 1, wherein the amount of the carboxyl group is in the range of 1% to 30% with respect to the total number of moles of monosaccharides constituting cellulose. .
[0013]
The invention according to claim 4 is a coating agent characterized in that the average particle size of the fine cellulose according to any one of claims 1 to 3 is 100 μm or less.
[0014]
The invention according to claim 5 is a coating agent characterized in that the average particle size of the fine cellulose according to any one of claims 1 to 3 is 10 μm or less.
[0015]
The invention according to claim 6 is the oxidation method according to any one of claims 1 to 5, wherein the oxidation for introducing the glucuronic acid residue is an oxidation method in which fine cellulose dispersed in water is treated in an aqueous system. The coating agent according to item [0016]
The invention according to claim 7 is a coating agent, wherein the oxidation method according to claim 6 is an oxidation method in which treatment is performed in the presence of a catalyst of an N-oxyl compound.
[0017]
The invention according to claim 8 is characterized in that the oxidation method according to claim 6 is characterized in that hypohalous acid, halogenous acid in the presence of an alkali metal bromide or alkali metal iodide in water in the presence of a catalyst of an N-oxyl compound. It is a coating agent characterized in that it is oxidized using at least one oxidizing agent among acids, perhalogenic acids and salts thereof.
[0018]
The invention according to claim 9 is the coating agent according to claim 7 or 8, wherein the N-oxyl compound is 2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidine N-oxyl. It is.
[0019]
The invention according to claim 10 is a coating agent characterized in that the coating agent according to any one of claims 1 to 9 contains another additive.
[0020]
The invention according to claim 11 is the coating agent according to claim 10, wherein the additive is an inorganic layered compound.
[0021]
The invention according to claim 12 is the coating agent according to claim 10, wherein the additive is an organometallic compound or a hydrolyzate of an organometallic compound.
[0022]
The invention according to claim 13 is characterized in that the organometallic compound has the following general formula AmM (OR) nm
(In the formula, A is composed of one or more carbon main chains having 1 to 10 carbon atoms, M is a metal element, R is an alkyl group, n is an oxidation number of the metal element, and m is a substitution number (0 ≦ The coating agent according to claim 12, wherein the coating agent comprises an organometallic compound represented by m <n) or a polymer of the organometallic compound.
[0023]
The invention according to claim 14 is the coating agent according to claim 13, wherein the metal element M represented by the general formula is silicon (Si), aluminum (Al), or titanium (Ti).
[0026]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The coating agent of the present invention contains glucuronic acid residue obtained by oxidizing cellulose and selectively converting the carbon 6 position of the glucopyranose ring to a carboxyl group and fine cellulose containing glucose residues as structural units. It is what. And the amount of the said carboxyl group is the range of 1% or more and 60% or less with respect to the total number of moles of the monosaccharide which comprises a cellulose, More preferably, it is the range of 1% or more and 30% or less.
Fine cellulose in this range is insoluble in water, but is very familiar and dispersible.
Furthermore, by introducing a carboxyl group having higher polarity and higher hydrogen bonding ability than the hydroxyl group originally present in cellulose, high gas barrier properties and transparency when coated can be imparted.
[0027]
The oxidation method for introducing a glucuronic acid residue in the present invention is characterized in that water-dispersed fine cellulose is treated in an aqueous system, and a coating agent can be prepared without passing through a drying step after being treated in an aqueous system. Aggregation of fine cellulose can be prevented.
Further, the oxidation method for introducing a glucuronic acid residue in the present invention is characterized in that water-dispersed fine cellulose is treated in an aqueous system in the presence of a catalyst such as an N-oxyl compound.
[0028]
The modified fine cellulose contained in the coating agent of the present invention can be obtained by oxidizing the fine cellulose using an oxidizing agent in the presence of an N-oxyl compound (oxoammonium salt). N-oxyl compounds include 2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidine N-oxyl (hereinafter referred to as TEMPO) and the like.
In this oxidation method, carboxyl groups can be uniformly and efficiently introduced according to the degree of oxidation. This oxidation reaction is advantageously performed in the presence of the N-oxyl compound and bromide or iodide.
As the bromide or iodide, a compound that can be dissociated and ionized in water, such as an alkali metal bromide or an alkali metal iodide, can be used. As the oxidizing agent, halogen, hypohalous acid, halohalic acid, perhalogenic acid or salts thereof, halogen oxide, nitrogen oxide, peroxide, etc., as long as the oxidizing agent can promote the target oxidation reaction Any oxidizing agent can be used.
[0029]
In the present invention, the hydroxyl group at the 6-position in the cellulose skeleton of fine cellulose is selectively oxidized to convert glucose in the skeleton into glucuronic acid. The N-oxyl compound may be a catalytic amount, for example, 2% to 10 ppm by weight with respect to cellulose is sufficient.
[0030]
The oxidation reaction conditions and the like of the present invention are not particularly limited and should be optimized depending on the properties of cellulose, the equipment used, etc., but if the oxidation reaction is carried out in the presence of bromide or iodide, mild conditions It is preferable because the oxidation reaction can proceed smoothly even under a low temperature, and the carboxyl group introduction efficiency can be greatly improved.
[0031]
Here, the usage-amount of a bromide and / or iodide can be selected in the range which can accelerate | stimulate an oxidation reaction, for example, is 20%-100 ppm with respect to a cellulose.
[0032]
In the oxidation reaction system of modified fine cellulose in the present invention, TEMPO is preferably used as the N-oxyl compound, and sodium hypochlorite is preferably used as the oxidizing agent in the presence of sodium bromide.
[0033]
In addition, in the oxidation reaction of fine cellulose, it is desirable to carry out the reaction at a reaction temperature of room temperature or lower for the purpose of increasing the selectivity of the oxidation of cellulose to primary hydroxyl groups and suppressing side reactions.
Furthermore, the pH of the reaction system in the oxidation reaction of the modified fine cellulose is desirably a reaction between PH 9 and 12 in terms of reaction efficiency.
[0034]
On the other hand, the raw material of the fine cellulose in the present invention is not particularly limited, and high-pressure homogenizer, freeze pulverization, mill, etc. for various kinds of wood, non-wood pulp, microorganism-generated cellulose, regenerated cellulose such as valonia cellulose, squirt cellulose, and rayon. Various cellulose powders and microcrystalline cellulose powders that are commercially available can be used.
These fine cellulose cellulose powders preferably have an average particle size in the range of 100 μm or less, and more preferably those having an average particle size in the range of 10 μm or less are excellent in dispersibility and transparency of the coating film. preferable.
[0035]
Further, the coating agent of the present invention may further contain other additives.
As this additive, it is also possible to contain an inorganic layered compound, and the inorganic layered compound means a crystalline inorganic compound having a layered structure, for example, clay represented by kaolinite group, smectite group, mica group, etc. Can give minerals. As long as it is an inorganic layered compound, its type, particle size, aspect ratio and the like can be appropriately selected according to the purpose of use of the gas barrier film, and are not particularly limited.
In general, examples of the smectite group inorganic layered compound include montmorillonite, hectorite, and saponite. Among these, montmorillonite is preferable from the viewpoints of stability in solution and coatability. be able to.
[0036]
In addition, as another additive, an organometallic compound or a hydrolyzate of an organometallic compound may be included and combined with the modified fine cellulose.
This organometallic compound has the following general formula AmM (OR) nm
(In the formula, A is composed of one or more carbon main chains having 1 to 10 carbon atoms, M is a metal element, R is an alkyl group, n is an oxidation number of the metal element, and m is a substitution number (0 ≦ m <n), or a polymer of the organometallic compound.
The substituent of the organometallic compound represented by the above general formula may have a vinyl group, an epoxy group, an alkyl group, or an amino group, and by adding one or more of these organometallic compounds, Functions, particularly water resistance and moisture resistance can be imparted.
[0037]
Moreover, it can be set as the coating agent characterized by the metal element M shown by the said general formula being silicon (Si), aluminum (Al), and titanium (Ti).
[0038]
Next, the laminated material of the present invention is formed by previously forming the coating agent and coating the substrate.
In this coating method, at least one surface of the substrate is coated by a known coating method such as a dipping method, a roll coating method, a screen printing method, or a spray method, and dried.
Thereby, a transparent film can be formed on a base material.
Here, although the coating agent is a cellulose powder, a uniform transparent thin film can be obtained after drying due to the presence of carboxyl groups mainly introduced into the surface of these modified fine cellulose through an oxidation treatment. .
[0039]
When the coating is formed on one side of the substrate, it is preferable to form the coating so that the thickness of the composite coating after drying is about 0.01 to 100 μm, particularly 0.1 to 20 μm. Is preferred. If the coating is too thin, it is difficult to form a coating, whereas if the coating is too thick, it is uneconomical.
In addition, when forming a composite film on both surfaces of a base material, it is preferable that the thickness of a composite film shall be 0.1-10 micrometers.
[0040]
In addition to these coating agents, pigment dispersants and the like can also be blended.
[0041]
On the other hand, as the base material here, various commonly used sheet-like or film-like base materials can be appropriately selected and used according to the application of the gas barrier material. For example, paper, paperboard, biodegradable plastic such as polylactic acid, polyolefin (polyethylene, polypropylene, etc.), polyester (polyethylene terephthalate, polybutylene terephthalate, polyethylene naphthalate, etc.), polyamide (nylon-6, nylon-66, etc.) Polyvinyl chloride, polyimide, etc., or a copolymer of these polymers can be used.
[0042]
As this base material, those containing known additives such as an antistatic agent, an ultraviolet absorber, a plasticizer, a lubricant and a colorant can be used. In addition, it is possible to use a surface which has been subjected to surface modification such as corona treatment or anchor coat treatment to improve the adhesion with the composite coating formed on the surface.
[0043]
When further improving the gas barrier properties, a ceramic vapor-deposited film may be used as the substrate.
As this ceramic vapor deposition film, inorganic substances such as silicon oxide and aluminum oxide are vapor-deposited on a plastic film such as polyethylene terephthalate or polyolefin by a vacuum process such as vacuum vapor deposition, sputtering or plasma vapor deposition (CVD). What formed the film | membrane can be used.
[0044]
When a ceramic vapor-deposited film is used as the substrate, the preferred film thickness of the vapor-deposited film varies depending on the application of the gas barrier material, the film composition of the vapor-deposited film, etc., but usually a range of several nm to 500 nm is preferred. 5 nm to 300 nm is more preferable. If this deposited film is too thin, the continuity of the deposited film will not be maintained. Conversely, if it is too thick, the flexibility will be reduced and cracks will easily occur.
[0045]
If necessary, the gas barrier material of the present invention may be laminated with a thermoplastic resin layer, a printing layer, or the like that enables heat sealing in addition to the above-described base material and composite coating. In this case, each layer to be laminated may be laminated by melt extrusion, or may be laminated using an adhesive.
[0046]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described based on examples.
[0047]
The fine cellulose used in the following examples was produced based on the following production method as an example.
<Method for producing fine cellulose>
An aqueous solution in which 0.125 g of TENPO and 1.25 g of sodium bromide were dissolved was added to a paste in which each fine cellulose was dispersed in water (equivalent to 10 g of completely dry cellulose), and the concentration relative to the total weight of the cellulose was about 1.3 wt. %. The reaction system is cooled, and 100 ml of sodium hypochlorite aqueous solution (Cl = 5%) is added to start the oxidation reaction.
The reaction temperature was always maintained at 5 ° C. During the reaction, the pH in the system was lowered, but a 0.5 N NaOH aqueous solution was sequentially added to adjust the pH to around 10.8.
After 1 day, the reaction was stopped, and after thoroughly washing with water or alcohol, a modified fine cellulose paste of about 5 wt% was obtained. If the fine cellulose is natural cellulose, up to 60% of the entire constituent monosaccharide can be converted from glucose to glucuronic acid by the oxidation method as described above. In order to adjust the degree of oxidation to 60% or less, control is possible by adjusting the amount of sodium hypochlorite added and the reaction time.
When using regenerated cellulose powder such as alkali cellulose that is easily oxidized compared to natural cellulose or rayon, the amount of sodium hypochlorite aqueous solution added is 60% of the oxidation equivalent (6 g per 1 g cellulose, 1 glucose residue). 1.2 mol) or less with respect to mol.
Depending on the type of cellulose, depending on the type of cellulose, 60% or more can be obtained. However, those that are oxidized by 60% or more contain many water-soluble parts. Therefore, 60% or less is desirable.
[0048]
In addition, fine cellulose having an average particle size of 100 μm or more has poor dispersibility as a coating agent and is difficult to coat, and the coating film after drying is opaque and has low barrier properties. On the other hand, when the average particle size is 100 μm or less, the dispersibility of the coating agent is good and the coating film after drying becomes transparent. Furthermore, when the average particle size is 10 μm or less, the coating film after drying becomes more transparent and the barrier property is also improved.
[0049]
Example 1
An aqueous solution in which 0.125 g of TEMPO and 1.25 g of sodium bromide were added to 100 g of a commercially available paste-like microcrystalline cellulose having an average particle size of 3 μm (equivalent to 10 g of absolute dry cellulose), the concentration of the cellulose relative to the whole was about 1 It was prepared to be 3 wt%. The reaction system is cooled, and 100 ml of sodium hypochlorite aqueous solution (Cl = 5%) is added to start the oxidation reaction. The reaction temperature was always maintained at 5 ° C. During the reaction, the pH in the system was lowered, but a 0.5 N NaOH aqueous solution was sequentially added to adjust the pH to around 10.8.
After 1 day, the reaction was stopped, and after sufficiently washing with water or alcohol, a modified fine cellulose paste of about 10 wt% was obtained. The modified fine cellulose paste after the oxidation treatment is coated on one side of a polyethylene terephthalate (PET) film (12 μm, corona treatment) as a base material with a bar coater, and then dried at 100 ° C. for 10 minutes in a dryer, and the film thickness is 1.0 μm. A test specimen was obtained.
[0050]
(Example 2)
A commercially available cellulose powder suspension was pulverized with a mill to obtain a fine cellulose paste having an average particle size of 100 μm. An oxidation treatment was performed under the same conditions as in Example 1 to obtain a modified fine cellulose paste of about 10 wt%. Further, coating and drying were carried out in the same manner as in Example 1 to form a film having a thickness of 1.0 μm to obtain a test specimen.
[0051]
(Example 3)
The 10 wt% modified fine cellulose paste used in Example 1 was mixed with twice the amount of 5 wt% montmorillonite aqueous dispersion to prepare a coating agent. After coating this coating agent on one side of a polyethylene terephthalate (PET) film (12 μm, corona treatment) as a base material with a bar coater, it is dried at 100 ° C. for 10 minutes with a dryer to form a film with a thickness of 1.0 μm. A specimen was obtained.
[0052]
Example 4
Tetraethyl orthosilicate (Si (OC2H5) 4: abbreviated as TEOS) 8.3 g (0.04 mol) and 2- (3,4-epoxycyclohexyl) ethyltrimethoxysilane (Chizo Siler Ace S530) 9.9 g (0. (04 mol) was added 18 g of 0.1N hydrochloric acid aqueous solution and stirred for 18 hours to prepare a hydrolyzed solution. This was mixed with the 10 wt% modified fine cellulose paste used in Example 1 so that the weight ratio was 1/1 to prepare a composite solution. These solutions were coated on one side of a base polyethylene terephthalate (PET) film (12 μm, corona treatment) with a bar coater, then dried at 100 ° C. for 10 minutes with a dryer to form a film with a thickness of 1.0 μm. Got the body.
[0053]
(Comparative Example 1)
A fine cellulose paste before oxidation is coated on one side of a polyethylene terephthalate (PET) film (12 μm, corona treatment) as a base material with a bar coater, and then dried at 100 ° C. for 10 minutes in a dryer to form a film with a thickness of 1.0 μm. A test specimen was obtained.
[0054]
(Comparative Example 2)
For comparison, only a polyethylene terephthalate (PET) film (12 μm, corona treatment) as a base material was used as a test specimen.
[0055]
The specimens obtained in Examples and Comparative Examples were evaluated for transparency and oxygen permeability measurement and adhesion test based on the following measurement method and test method. The evaluation results are shown in Table 1.
<Transparency measurement>
The total light transmittance and haze ratio were measured with a haze meter (Nippon Denshoku Industries Co., Ltd.).
[0056]
The gas barrier property was measured using an oxygen permeability measuring device (MOCON OXTRAN 10 / 50A manufactured by Modern Control Co., Ltd.) under conditions of 30 ° C.-70% RH atmosphere.
[0057]
<Adhesion test>
The cellophane tape peeling test evaluated.
[0058]
[Table 1]
Figure 0004816848
[0059]
All of the films coated with the modified fine cellulose paste subjected to the oxidation treatment (Examples 1 to 4) had gas barrier properties and adhesion as compared with the film coated with the fine cellulose paste not subjected to the oxidation treatment (Comparative Example 1). It was excellent in nature.
Further, the fill coated with the modified fine cellulose paste subjected to the oxidation treatment was also highly transparent in terms of total light transmittance and haze ratio. Further, the fine powder in the paste having an average particle size of 3 μm showed higher transparency than that of 100 μm.
[0060]
【The invention's effect】
Since the coating agent of the present invention uses modified fine cellulose which is a renewable natural resource, it has lower combustion heat than petroleum-derived plastic and does not generate toxic gases and harmful substances during incineration.
Moreover, since the coating agent of the present invention uses modified fine cellulose composed of glucose and glucuronic acid units, it is biodegradable and there is no worry of waste disposal.
Moreover, the dry coating film which consists of a coating agent of this invention is excellent in transparency, oxygen permeability is low, and humidity deterioration and temperature dependence are suppressed.
Furthermore, a laminated material obtained by applying and forming the coating agent of the present invention on a substrate is used as a gas barrier material having excellent processability and storage suitability.

Claims (14)

セルロースを酸化して、グルコピラノース環の炭素6位を選択的にカルボキシル基に変換したグルクロン酸残基とグルコース残基を構成単位とする微細セルロースを含有することを特徴とするコーティング剤。  A coating agent comprising glucuronic acid residues obtained by oxidizing cellulose and selectively converting the carbon 6 position of a glucopyranose ring to a carboxyl group and fine cellulose having glucose residues as structural units. 前記カルボキシル基量が、セルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上60%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤。  The coating agent according to claim 1, wherein the amount of the carboxyl group is in the range of 1% to 60% with respect to the total number of moles of monosaccharides constituting cellulose. 前記カルボキシル基量が、セルロースを構成する単糖の全体モル数に対し1%以上30%以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載のコーティング剤。  The coating agent according to claim 1, wherein the amount of the carboxyl group is in the range of 1% to 30% with respect to the total number of moles of monosaccharides constituting cellulose. 前記微細セルロースの平均粒径が100μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコーティング剤。  The coating agent according to any one of claims 1 to 3, wherein an average particle diameter of the fine cellulose is 100 µm or less. 前記微細セルロースの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコーティング剤。  The coating agent according to any one of claims 1 to 3, wherein an average particle diameter of the fine cellulose is 10 µm or less. 前記グルクロン酸残基を導入する酸化が、水分散させた微細セルロースを水系で処理する酸化方法であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のコーティング剤。  The coating agent according to any one of claims 1 to 5, wherein the oxidation for introducing the glucuronic acid residue is an oxidation method in which fine cellulose dispersed in water is treated in an aqueous system. 請求項6記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で処理する酸化方法であることを特徴とするコーティング剤。  A coating agent, wherein the oxidation method according to claim 6 is an oxidation method in which treatment is performed in the presence of a catalyst of an N-oxyl compound. 請求項6記載の酸化方法が、N−オキシル化合物の触媒の存在下で、水中で臭化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ金属の存在下、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸およびそれらの塩のうち少なくとも1種の酸化剤を用いて酸化することを特徴とするコーティング剤。  The oxidation method according to claim 6, wherein in the presence of an N-oxyl compound catalyst, in the presence of an alkali metal bromide or an alkali metal iodide, hypohalous acid, halous acid, perhalogenated acid and their The coating agent characterized by oxidizing using at least 1 sort (s) of oxidizing agents among salts. 前記N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンN−オキシルであることを特徴とする請求項7または請求項8記載のコーティング剤。  The coating agent according to claim 7 or 8, wherein the N-oxyl compound is 2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidine N-oxyl. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のコーティング剤中に、他の添加剤を含むことを特徴とするコーティング剤。  The coating agent of any one of Claims 1 thru | or 9 contains another additive in the coating agent of any one of Claims 1 thru | or 9. 前記添加剤が、無機層状化合物であることを特徴とする請求項10記載のコーティング剤。  The coating agent according to claim 10, wherein the additive is an inorganic layered compound. 前記添加剤が、有機金属化合物あるいは有機金属化合物の加水分解物であることを特徴とする請求項10記載のコーティング剤。  The coating agent according to claim 10, wherein the additive is an organometallic compound or a hydrolyzate of an organometallic compound. 前記有機金属化合物が、下記一般式
AmM(OR)n−m
(式中、Aは炭素数1〜10個の炭素主鎖1種類以上で構成され、Mは金属元素、Rはアルキル基であり、nは金属元素の酸化数、mは置換数(0≦m<n)を表す)で示される有機金属化合物、又は該有機金属化合物の重合体からなることを特徴とする請求項12記載のコーティング剤。
The organometallic compound has the following general formula AmM (OR) nm
(In the formula, A is composed of one or more carbon main chains having 1 to 10 carbon atoms, M is a metal element, R is an alkyl group, n is an oxidation number of the metal element, and m is a substitution number (0 ≦ The coating agent according to claim 12, wherein the coating agent comprises an organometallic compound represented by the following formula: m <n), or a polymer of the organometallic compound.
前記一般式で示される金属元素Mが、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)であることを特徴とする請求項13記載のコーティング剤。  14. The coating agent according to claim 13, wherein the metal element M represented by the general formula is silicon (Si), aluminum (Al), or titanium (Ti).
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