JP4807816B2 - 紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物 - Google Patents

紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置用紫外線硬化型インク組成物に関するものであり,更に詳しくは,色材に酸化チタンを用いた吐出安定性優れ、かつ黒地ないし暗色地の基材に対する印刷物の視認性に優れた紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置による印刷は、ノズルよりインクを吐出し被記録材に付着せしめる方式であり、該ノズルと被記録材が非接触状態にあるため、曲面や凹凸した不規則な形状を有する表面に対して、良好な印刷を行うことができる。このため,産業用途で広範囲にわたる利用分野が期待されている印刷方式である。
【0003】
このインクジェット記録装置に用いられるインクとして、紫外線等の活性エネルギー線で硬化、乾燥するインクが、非吸収材料上での乾燥時間の短いこと、印刷画像の付着性、耐久性の優れていること等のため数多く提案されている。さらにまた黒色ないし暗色地の基材に白色印刷を行うインクとして、隠蔽力、着色力、耐薬品性等に優れた白色顔料である酸化チタンを色材に用いた紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物も提案されている。例えば、特開昭62−64874号公報には、顔料の分散媒体として熱可塑性樹脂を使用し、白色顔料としてルチル型の酸化チタンを使用したコンティニュアス方式のジェットプリンター用インクが提案されており、特開2000−336295公報には、アナターセ型の酸化チタンを使用することにより、分散安定性、吐出安定性を向上させたインクが提案されており、また、特開2001−207098号公報には、ルチル型の酸化チタンと顔料分散剤を使用したインクが提案されている。
【0004】
このように酸化チタンは隠蔽性、着色力が大きいため白色インク用顔料として優れている。しかしながら一方酸化チタンは沈降し易く、また一度沈降すると再度分散させるのが困難である。このため吐出安定性に優れ、かつ黒地ないし暗色地の基材に対する印刷物の視認性に優れた紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物は未だ得られていないのが現状であり、そのような優れた特性を持った紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物が強く求められている。
【0005】
ノズル先端の吐出オリフィス(微細孔)よりインクを吐出させて印刷画像を形成するインクジェット記録用インクの吐出安定性に係わる一般的な要求特性として次の3点がある。
(1)低粘度であり、吐出口でのインクの乾燥による粘度変化が小さい。
(2)粒子化(インクの切断)がスムーズに行われる。
(3)吐出方向安定性が良好である。
【0006】
インクジェット記録用顔料系インクのスムーズな粒子化、良好な吐出方向安定性を実現するためには、顔料粒子が微細に分散されていなければならない。インク中の粗大粒子の存在は、インク柱のスムーズな切断を妨害すると共に、オリフィス周辺への粗大粒子の付着により吐出方向安定性が不良となるからである。また、顔料として酸化チタンを用いた場合、酸化チタンは比重が大きいため、インクジェト記録装置の長期停止による顔料の沈降は避けることはできない。このとき顔料の再分散性が不良であると、インク供給経路で顔料が沈降したままとなり、インクの不均一化、インク物性変化等により吐出性は不良となる。したがって、吐出安定性に優れ、かつ黒地ないし暗色地の基材に対する印刷物の視認性に優れたインクジェット記録用紫外線硬化型白色インクを得るためには、光重合性化合物を有する混合物中に酸化チタンを沈降しにくいように安定に分散させることが重要であり、またかりに酸化チタンが沈降したとしても、沈降した酸化チタンの再分散性に優れていなくてはならない。しかしながら色材に酸化チタンを用いた従来の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物においては、これら酸化チタンの分散に係わる特性が必ずしも充分とは言えず、吐出安定性の点で不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち本発明の目的は,吐出安定性に優れ、かつ黒地ないし暗色地の基材に対する印刷物の視認性に優れたインクジェット記録用紫外線硬化型白色インク組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の説明から明らかなように、吐出安定性と、黒地ないし暗色地の基材に対する印刷物の視認性に優れた紫外線硬化型白色インク組成物を得るためには、まず酸化チタンを光重合性化合物中に安定に分散させなければならない。
【0009】
すなわち本発明は、少なくとも、酸化チタンと、酸性の極性基を有する高分子分散剤と、光重合性化合物と、光重合開始剤からなる紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物において、前記酸化チタンがシリカとアルミナで表面処理されており、表面処理に用いた前記アルミナの質量が、表面処理に用いた前記シリカの質量より多い事を特徴とする紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物を提供する。
【0010】
酸化チタンが非水分散系で安定な分散液となるためには立体障害斥力による分散安定化が有効であり、分散剤として、高分子化合物の吸着による立体障害を利用した分散剤を使用する必要がある。更に、高分子分散剤を酸化チタンに強固に吸着させるためには親和性の良好な酸化チタンとの高分子分散剤の組み合わせを選定する事が重要である。本発明の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物は、酸性の極性基を有して、該極性基が吸着基として作用する高分子分散剤と、アルミナとシリカで表面処理されており、表面処理に用いた前記アルミナの質量が表面処理に用いた前記シリカの質量より多い酸化チタンを含有しているため、高分子分散剤の酸化チタンへの吸着力に優れ長期にわたって高分子分散剤の効果を維持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる光重合性化合物は、高分子分散剤を溶解する光重合性化合物を含有していることが好ましい。
【0012】
顔料の分散性を改良するための高分子分散剤の使用にあたっては、これを溶解させる非反応性の希釈溶剤が通常使用されるが、非反応希釈溶剤の使用は紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物の耐溶剤性、耐摩耗性を低下させ、印刷物の耐久性を低下させる。
【0013】
したがって吐出安定性に加えて、紫外線硬化型インクの特徴である印刷物の良好な耐摩耗性、耐溶剤性等の耐久性を得るためには、水、有機溶剤等の非反応性希釈溶剤を実質的に含有しない非水系の紫外線硬化型インクを用いることが有利であり、非反応性希釈溶剤を全く含有しない、各色顔料系の紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物がさらに好ましい。
【0014】
紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物が高分子分散剤を溶解する光重合性化合物を含有することにより、高分子分散剤を溶解するための希釈用溶剤を添加する必要がなく、硬化被膜の耐溶剤性、耐摩耗性等の耐久性を良好にすることができる。さらにこのような紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物は非反応性希釈溶剤を実質的に含まないので、印刷物に溶剤が残留することがなく、溶剤臭がすることがないため衛生上、環境上にも好ましい。
【0015】
次に、本発明の実施形態を示すとともに、本発明を更に詳細に説明する。
酸化チタンとしては、塗料、インク、プラスチック等の着色剤用として、顔料粒子径、表面処理剤の異なる各種の顔料として市販がされており、用途に応じて適正な品種が選択される。
【0016】
酸化チタンの表面処理方法としては、水系処理、気相処理等が行われるが、表面処理剤としては一般的にアルミナ、シリカが使用され、未処理、アルミナ処理、アルミナ・シリカ処理のものがある。また、アルミナ・シリカ処理の顔料については、アルミナ処理量に比較してシリカ処理量の多い品種、シリカ処理量に比較してアルミナ処理量の多い品種が市販されている。本発明において、酸性の極性基を有する高分子分散剤と共に使用する酸化チタンは、アルミナ・シリカ処理顔料で、表面処理に用いた前記アルミナの質量が、表面処理に用いた前記シリカの質量より多い酸化チタンであって、これらは石原産業(株)、テイカ(株)等の酸化チタン製造メーカーより、市販されており、容易に入手することができる。表面処理の状況は蛍光X線またはESCA等により酸化チタン表面に吸着されたアルミナ、またはシリカの量を分析、比較することで確認することができる。
特に蛍光X線による測定が簡便で精度が高い。
【0017】
酸化チタンは、光重合性化合物総量の5〜30質量%の範囲で用いることが好ましい。5質量%未満の場合は、印刷被膜の隠蔽性が不十分となる傾向にあり、30質量%を超える場合には、印刷被膜の耐久性が不十分となる傾向にある。
【0018】
酸化チタンの平均粒径は、100〜500nmであることが好ましい。顔料の平均粒径が100nm未満の場合は、印刷被膜の隠蔽性が不十分となる傾向にあり、500nmを超える場合には、吐出安定性が不十分となる傾向にある。
【0019】
本発明において使用する高分子分散剤は、酸性の極性基を有し、該極性基を顔料への吸着基とするものであって、本発明に使用する表面処理に用いた前記アルミナの質量が、表面処理に用いた前記シリカの質量より多い酸化チタンに対して、良好な分散性を付与することができる。高分子分散剤としては、公知の酸性基を有する高分子分散剤を広く使用することができるが、特にリン酸エステル系分散剤が好ましい。
【0020】
具体的には、BYK−Chemie社製のDisperbyk−111、110等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、高分子分散剤の使用量は、顔料に対して、1〜10質量%の範囲が好ましく、特に3〜6質量%の範囲が好ましい。使用量が少なすぎる場合には、分散性が不十分となり易く、また多すぎる場合には吐出安定性が低下し易いため好ましくない。高分子分散剤は溶解しないと顔料への吸着点が露出しないため、通常高分子分散剤を溶解する溶剤とともに使用される。
【0021】
本発明に使用する光重合性化合物としては、その反応機構による分類として、ラジカル重合型のものと、カチオン重合型のものがあり、双方の公知の光重合性化合物を広く使用することができる。
【0022】
本発明に使用するラジカル重合型光重合性化合物としては、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートを単独または2種以上併用して用いることができる。
【0023】
本発明に使用できる単官能(メタ)アクリレートとして例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
また、多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキルリン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0025】
本発明に使用する代表的なカチオン重合型光重合性化合物の具体例としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物等を挙げることができる。
エポキシ化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族系エポキシ化合物、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2000、3000、4000等の脂環式エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0026】
ビニルエーテル化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルモノエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等を挙げることができる。
【0027】
本願発明で使用する光重合性化合物としては、高分子分散剤を溶解する光重合性化合物を含有していることが望ましく、ラジカル重合型光重合性化合物の具体例としては、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、本発明では、アクリレートとメタアクリレートを併せて(メタ)アクリレートと称している。これらの高分子分散剤を溶解する(メタ)アクリレートの含有量は、インク中の高分子分散剤の含有量と同量以上含有させることが好ましい。
【0028】
また、高分子分散剤を溶解するカチオン重合型化合物としては、低粘度の脂環式エポキシ化合物を用いることが好ましく、具体的にはセロキサイド3000を挙げることができる。
【0029】
このように高分子分散剤を溶解する光重合性化合物を使用することで、インク組成物中に非反応性希釈溶剤を含有しない紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物を作製することができる。
【0030】
ここで非反応性とは光重合性を有しないという意味である。また、非反応性有機溶剤を実質的に含有しないとは、たとえ含有されたとしても、高分子分散剤の希釈溶剤として通常使用される量より遥かに少ない量以下という意味であって、被膜の耐溶剤性、耐摩耗性に影響を与える可能性があり、また衛生上、人体に影響を与える可能性のある量より少ない量という意味である。通常の高分子分散剤の使用量を考慮し、非反応性希釈溶剤の使用量を考慮すれば、非反応性有機溶剤の含有量はインク組成物の0.5重量%程度以下が好ましく、0.1重量%程度以下がさらに好ましく、0.01重量%程度以下が最も好ましい。
【0031】
このように本願発明では光重合性化合物として、ラジカル重合型光重合性化合物とカチオン重合性化合物の双方を使用することができる。
しかし、低粘度で硬化乾燥速度の速いインクを得るためには、光重合性化合物としてラジカル重合型化合物である(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0032】
さらに本発明のインク組成物に優れた耐溶剤性、硬化性、硬化被膜の耐摩耗性を付与するためには、ラジカル重合型光重合性化合物からなる紫外線硬化性組成物中にポリウレタン(メタ)アクリレートを含有させることが好ましい。ポリウレタン(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化性組成物が良好な硬化性、耐溶剤性、耐摩耗性を示す理由は、一般的な(メタ)アクリレートの末端二重結合に比べて、ポリウレタン(メタ)アクリレートの末端二重結合は近傍にウレタン結合が在るために開裂しやすいためであると考えられる。また,ポリウレタンの特性に由来して耐摩耗性が良好となるためと考えられる。
【0033】
インクジェット用として使用するポリウレタン(メタ)アクリレートは、低粘度であるか、または結晶性等でポリウレタン(メタ)アクリレート自体の粘度は高くとも、(メタ)アクリレートで希釈されることによって容易に低粘度化することが好ましい。このためには、長鎖ポリエーテル、ポリエステル等のポリオールを使用せず、ポリイソシアネートとモノヒドロキシ(メタ)アクリレートを反応させたポリウレタン(メタ)アクリレートを用いることが望ましい。
【0034】
ポリウレタン(メタ)アクリレートは、ジェットインク組成物の粘度、硬化性、耐溶剤性、耐摩耗性の点から、紫外線硬化性組成物の総量に対して、3〜15%の範囲で用いることが好ましい。
【0035】
本発明に使用する光ラジカル重合開始剤は、用いる紫外線硬化性化合物が硬化できる公知慣用のものがいずれも使用できる。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが本発明に好適である。
【0036】
本発明に使用する分子開裂型の光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良い。さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等を用いても良い。さらに分子開裂型と水素引き抜き型の光重合開始剤を併用することもできる。
【0037】
また上記光ラジカル重合開始剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。もちろん、上記光重合開始剤や増感剤は、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れ、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いることが好ましい
【0038】
光ラジカル重合開始剤と増感剤は紫外線硬化性組成物総量に対して0.1〜20質量%,好ましくは,4〜12質量%の範囲で用いる。
【0039】
本発明に使用する光カチオン重合開始剤は、用いる紫外線硬化性化合物が硬化できる公知慣用のものがいずれも使用できる。具体的には、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート等のポリアリールスルフォニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、P−ノニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のポリアリールヨードニウム塩等を挙げることができる。これらの光カチオン重合開始剤は2種類以上併用して使用することができる。
【0040】
光カチオン重合開始剤は紫外線硬化組成物に対して0.1〜20質量%、好ましくは、1〜10質量%の範囲で用いる。
【0041】
また、本発明のインク組成物には、表面張力の調整、被印刷材料に対する接着性の付与等を目的に、樹脂、添加剤等を配合する事もできる。
【0042】
本発明の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物の製造は、酸化チタン、高分子分散剤、(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、必要に応じ樹脂を加えた混合物をビーズミル等の通常の分散機を用いて顔料を分散した後、光重合開始剤、表面張力調整剤等の添加剤を加えて攪拌、溶解することで調製できる。また予め、ビーズミル等の通常の分散機を用いて高濃度の顔料分散液であるミルベースを作製後、光重合開始剤を溶解した(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、添加剤等を攪拌、混合して調製することもできる。
【0043】
【実施例】
以下,実施例によって本発明を更に詳細に説明するが,本発明の範囲はかかる実施例に限定されるものではない。なお,以下の実施例中,部は質量部を表す。
【0044】
(ポリウレタン(メタ)アクリレートの合成例)
撹拌装置、温度計、コンデンサー、滴下ロートを付けた1L四つ口フラスコにカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセルFA−1;ダイセル化学製)606.7gを入れ、撹拌しながら反応液温が70℃を越えないように注意し滴下ロートよりトリレンジイソシアネート227.7gを滴下する。滴下終了後、反応液温を70℃前後に保ちながら撹拌を続け、1時間後にジラウリン酸ジブチル錫0.1gを添加してさらに攪拌を続ける。約10時間後、未反応のイソシアネート基が無いことを確認し取り出す。
【0045】
〔ミルベースの調製例〕
(ミルベース調製例1)
アルミナ/シリカ=3/1の比率で表面処理された平均粒子径が270nmの酸化チタン 50部、Disperbyk−111(BYK−Chemie社製分散剤)2.5部、エチレンオキサイド付加1,6ヘキサンジオールジアクリレート 42.7部、3−メトキシブチルアクリレート 4.8部を攪拌機で1時間撹拌混合した後、ビーズミルで4時間処理してミルベースを作製した。
【0046】
(ミルベース比較調製例1)
ミルベース調製例1に使用したアルミナ/シリカ=3/1の比率で表面処理された平均粒子径が270nmの酸化チタンの替わりにアルミナ/シリカ=1/2の比率で表面処理された平均粒子径が250nmの酸化チタンを用いて、ミルベース調製例1と同様な方法でミルベースを作製した。
【0047】
(ミルベース比較調製例2)
ミルベース調製例1に使用したアルミナ/シリカ=3/1の比率で表面処理された平均粒子径が270nmの酸化チタンの替わりにアルミナで表面処理された平均粒子径が250nmの酸化チタンを用いて、ミルベース調製例1と同様な方法でミルベースを作製した。
【0048】
〔インクの調製例〕
(実施例1)
合成例のポリウレタンアクリレート 5.0部、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリアクリレート 10.0部、エチレンオキサイド付加1,6ヘキサンジオールジアクリレート 33.0部、3−メトキシブチルアクリレート 12.0部、DC57Additive(ダウコーニング製ポリエーテル変性シリコーンオイル) 0.1部に光重合開始剤としてイルガキュア819(チバ・スペチャリティー・ケミカルズ製)3.0部、ルシリンTPO(BASF製)3.0部を加えて60℃で光重合開始剤を加温溶解した溶液に、調製例1のミルベースを40部加えて十分に混合後、4.5μmのメンブランフィルターでろ過することによってジェットプリンター用インクを作製した。
【0049】
(比較例1)
実施例1で使用した調製例1のミルベースの替わりに比較調製例1のミルベースを用いて、実施例1と同様な方法でジェットプリンター用インクを作製した。
【0050】
(比較例2)
実施例1で使用した調製例1のミルベースの替わりに比較調製例2のミルベースを用いて、実施例1と同様な方法でジェットプリンター用インクを作製した。
【0051】
実施例1、比較例1、2のインクの分散性、沈降性、再分散性、隠蔽性、吐出性、耐溶剤性、耐摩耗性を下記の方法により評価した。結果を表.1に示す。
【0052】
(分散性)
マイクロトラック粒度分析計(リース アンド ノースラップ社)を用いて、インクの顔料粒子径(体積平均粒子径)を測定した。
【0053】
(沈降性)
20mlガラス容器中で室温環境1ヶ月放置後の顔料の沈降状態を目視により評価した。沈降量が少ない順序で○、△、×の3段階評価を行った。
【0054】
(再分散性)
沈降性評価サンプルの手振り(10回)による顔料の再分散性を目視により評価した。再分散性が良好な順序で○、△、×の3段階評価を行った。
【0055】
(隠蔽性)
PETフィルムにバーコーターで塗布し、紫外線硬化後の塗膜の隠蔽性を目視により評価した。隠蔽性が良好な順序で○、△、×の3段階評価を行った。
【0056】
(初期吐出性)
ヘッド温度を45℃に保温したピエゾ式ヘッドを有するインクジェットプリンターで印刷を行い、記録物の印刷状態を目視により評価した。
○:所定の位置に吐出している。
×:不吐出による欠陥がある。
【0057】
(耐溶剤性 耐摩耗性:メタノールラビング評価)
PETフィルム面に印刷したものを、コンベア式UV照射装置により,120W/cmのメタルハライドランプ,0.5J/cmの条件で紫外線照射し,印刷被膜の硬化状態をメタノールラビングにより評価した。
メタノールラビング評価:メタノールを含ませた綿棒を印刷物上に押しあて,左右に擦りつけて印刷被膜の剥離,薄化等の破壊がおこるまでの綿棒の通過した回数を計測する。
【表1】
(表1)
Figure 0004807816
【0058】
上記の通り,アルミナ/シリカ=3/1の比率で表面処理された酸化チタンを使用した実施例1のインクが分散性、沈降性、再分散性、隠蔽性、初期吐出性、耐溶剤性、耐摩耗性が全て良好であるのに対し、アルミナ/シリカ=1/2の比率で表面処理された酸化チタンを使用した比較例1のインクは、分散性、沈降性、再分散性、隠蔽性、初期吐出性の点で不良であった。また、アルミナで表面処理された酸化チタンを使用した比較例2のインクは、分散性、初期吐出性は良好であるが、沈降性、再分散性、隠蔽性が不十分であった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物は,分散性、初期吐出性、沈降性、再分散性、隠蔽性、耐溶剤性、耐摩耗性に優れるものであり,黒地ないし暗色地の各種被印刷材料への、隠蔽性良好な吐出安定性に優れる紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物として好適である。

Claims (6)

  1. 少なくとも、酸化チタンと、酸性の極性基を有する高分子分散剤と、光重合性化合物と、光重合開始剤からなる紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物において、前記酸化チタンがシリカとアルミナで表面処理されており、表面処理に用いた前記アルミナの質量が、表面処理に用いた前記シリカの質量より多い事を特徴とする紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物。
  2. 前記高分子分散剤を溶解する光重合性化合物を含有する請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物。
  3. 前記高分子分散剤を溶解する光重合性化合物として(メタ)アクリレートを含有する請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物。
  4. 非反応性有機溶剤を実質的に含有しない請求項2、3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物。
  5. ポリウレタン(メタ)アクリレートを含有する請求項4に記載の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物。
  6. ポリウレタン(メタ)アクリレートが、ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートから合成されるポリウレタン(メタ)アクリレートである請求項5に記載の紫外線硬化型インクジェット記録用白色インク組成物。
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